魔獣使いと錬成師が合わされば世界最強   作:マロニエ19号

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ちょっと長くなりました。


帝国兵と初めての〇〇

ケンタロスとシャンデラは再び大峡谷を疾走していた。シアとホルビーはシャンデラに乗せてもらっている。しばらく走っていると、シアの家族はすぐに見つかった。ライセン大峡谷は基本、一本道なため兎人族の集団など見つけやすかったのだ。

 

しかし、彼らは絶賛危機に見舞われていた。金属質の鳥のようなポケモンの大群に襲われていたのだ。

 

「あ、あそこです! 見えました! あそこに父様達が!」

「あれは……エアームドだな。それもあんなに」

「見たところ鋼属性みたい…… それなら炎が有効だよね…… ラビフット、君の出番だよ!」

 

ハジメがエアームドの属性を分析すると、すかさずモンスターボールを投げてラビフットを出した。実際、エアームドは鋼属性なためこの判断は間違っていない。

 

兎人族達はいきなりポケモンが現れたことに驚きが隠せない。そんな兎人族の様子などお構い無しにハジメはラビフットに指示を出した。

 

「“ブレイズキック”!」

「ラビ!」

 

ラビフットは足に炎を纏うと、周囲の岩壁を利用して勢いよく飛び上がる。エアームド達は空を飛んでいるが、そんなものはラビフットの跳躍力とこのライセン大峡谷にある岩壁の高低差では意味を成さない。あっという間にエアームド達のいる場所まで飛び上がると何体かのエアームドに“ブレイズキック”をお見舞いした。

 

それに恐れをなしたのかエアームドの大群は逃げ出してしまった。

 

「す、すごい………」

 

初老の兎人族が唖然としていると、シアが彼の元に駆け寄る。

 

「父様! みんな!」

「「「「「シア!?」」」」」

 

どうやら彼はシアの父親らしく、シアと逸れてから彼女を必死に探していたらしい。他のハウリアの者達もシアが見つかって本当に嬉しそうだ。ひとしきり互いの無事を喜ぶとシアの父親らしい兎人族が誠司達の方に向き直った。肩には赤い毛虫のようなポケモン、ケムッソが乗っている。他にもハウリアの者達の隣には様々なポケモンがいる。ポケモン達を大切にしているというのはどうやら本当のようだ。

 

「誠司殿、ハジメ殿、ユエ殿で宜しいか? 私はカム・ハウリアと申します。娘のシアと我々を助けて頂き、なんとお礼を言えば良いか。シアの父として、そしてハウリアの族長として深く感謝致します」

 

そう言うと、カムと名乗ったハウリアの族長は深々と頭を下げた。後ろには同様に頭を下げる兎人族の者達がいる。

 

「まぁ、礼は受け取っておきます。しかし、我々としても樹海の案内ということが条件ですので……」

「ええ。シアから聞いています。我らとしても異論はありません」

 

誠司がそう言うと、カム達もその条件で問題は無いらしい。彼らとしても下手な正義感によるものよりもギブアンドテイクの関係の方が安心なのだろう。少なくともちゃんと約束を守れば裏切られることもないのだから。

 

「でも……その前にハウリアとポケモン達の治療はしておいて方が良さそうだね」

 

ハジメの言葉通り、カムを始めとしたハウリアの者達は傷だらけだ。きっと、先程のエアームドだけでなく色々と大変な目にも遭ったのだろう。彼らが連れているポケモン達もかなり弱っている。このまま進めば間違いなく支障をきたすことになるだろう。誠司も頷いた。

 

「確かにな。だが、ここじゃ魔法は殆ど使えないぞ」

「大丈夫だよ。僕達には神水があるんだし」

 

ハジメは宝物庫から数十本の神水の小瓶を取り出した。それをハウリアの者達やポケモン達に渡していく。実はオスカーの隠れ家に着いた時点で既に奈落で拾った結晶からは神水が出なくなっていたのだが、オスカーのトランク内には様々な環境の他にも神水と同じ効果を持つ水が湧き出る泉があった。そのおかげで今、誠司達の手元には有り余るレベルの量の神水がある。ちなみに、神水が出なくなった結晶はハジメの手で加工されてペンダントや誠司のネクタイのアクセサリー等の材料の一つになっている。愛着もあったしそのまま捨てるのは惜しかったからだ。

 

誠司は神水の小瓶を一本貰うと、モンスターボールからチゴラスを出した。先程まで追いかけられていたシアはそれを見て悲鳴を上げるが、チゴラスは彼女を見向きもしない。先程の攻撃が効いたのかもう怒る元気も無いようだ。

 

「チゴラス、これを飲め。元気が出るぞ」

 

そう言って誠司はチゴラスの口に神水を流し込んだ。すると、チゴラスは元気が出たのか咆哮を上げる。

 

「グオオォォォォ!!」

「ひいぃっ!!」

 

シアがまたしても悲鳴を上げる。やはり散々追いかけられたトラウマは相当なんだろう。ホルビーも同様だ。すっかり怯えてシアの後ろに隠れてしまっている。誠司がシアに呆れた様子で声を掛けた。

 

「おい。散々追い回されて怖がるのは分かるが、このチゴラスに一言謝るべきじゃないのか? 元はと言えばコイツの尻尾を踏んだのが原因なんだろ?」

「そ、そうですね…… あの……ごめんなさい、チゴラス。尻尾を踏んでしまって」

「ホビー……」

「………グオウ」

 

チゴラスももう怒っていないようで素直にシア達の謝罪を受け入れた。それに安心したシアとホルビーがカム達の方に行ったのを確認すると、誠司は他のモンスターボールを取り出して別のポケモンを出した。

 

「さてと…… 一つやっておかないといけないことがあったな。……よし。出てこい、お前ら!」

「リキッ!」

「エリッ!」

 

出て来たのはワンリキーとエリキテル。どちらもこのライセン大峡谷で捕獲したポケモン達だ。誠司はこの三体に呼び掛けた。

 

「なぁ、お前ら。俺達はある目的のために旅をしているんだ。その目的のためには俺達はこれからもっと強くならないといけない。だからお前らの力を借りたいんだが……お前らはどうしたい? これはあくまでも俺達の都合だからな。お前らに強要する気はない。ここで暮らしたいのなら今ここで逃がすが」

 

ワンリキー達はお互いに顔を見合わせた。そして、ほぼ同時に頷くと吼えた。

 

「リキッ!」 「エリッ!」 「グオォォ!」

 

どうやら三体とも誠司の手持ちとして付いて行く気のようだ。誠司はそれを確認し満足そうに頷くと、三体をボールに戻した。

 

誠司がこの行動を取ったのには理由がある。ポケモン達の意思を尊重するためだ。捕獲したからにはそのままポケモン達の気持ちを無視して使うことも出来るが、それでは強くなれない。どんなにバトルの素質があっても、肝心の戦うポケモンの意思を無視していたら強さには繋がらないからだ。自分の意思で選択したことであれば、例えその選択が苦難を伴うものであってもまだ踏ん張れるだろう。だが、そうでなければそのポケモンを潰すことに繋がってしまう。それはあってはならない。

 

だからこそ、誠司はワンリキー達に旅に付いて来るのか確認したのだ。

 

 

 

それから一通り、ハウリアとポケモン達を回復させると、カムはハジメに感謝の言葉を述べた。

 

「ハジメ殿。重ね重ね、ありがとうございます。助けて頂いただけでなく治療まで……」

「いえ。樹海の案内をしてもらうためにしたことなので……」

 

そんなこんなで先を進んで行くと、ライセン大峡谷から脱出出来る場所であり、ハウリアの者達曰く帝国兵が居座っているという出口の階段まで辿り着いた。そこを登れば無事にライセン大峡谷から脱出出来たと言えるだろう。

 

「さてと…… ここに帝国兵とやらが居座っているんだったか?」

「はい。でも諦めて帰っている可能性もありますけど……」

「いたら面倒だが、まぁどっちでも良いさ。行くぞ」

 

そう言って誠司が先を進もうとすると、シアに待ったを掛けられた。

 

「ま、待ってください!」

「……何だ?」

「もし、もしも帝国兵がいたら………誠司さんとハジメさんはどうするんですか?」

 

シアの質問はいわば確認だった。帝国兵からハウリアを守るということは人間族と、同族と敵対することと同義だ。それでも本当に良いのかと言っているのだ。シアの言葉に他のハウリアの者達も神妙な顔を向けている。小さな子供達は分かっていないようだが。一方でユエは二人の答えが分かっているのか何も言わない。

 

誠司とハジメは顔を見合わせると、ほぼ同時に言った。

 

「「それがどうかしたの(か)?」」

「え?」

「別に敵であるなら排除する、例え相手が人間でもね。それだけだよ」

「それに…… 兵士ってのは死ぬのも仕事の内だ。奴らも殺される覚悟くらいあるだろ。話がそれだけなら早く進むぞ」

 

シアはその言葉に戸惑いつつも、自分達を守ってくれると再確認したのかこれ以上止めてくることも聞いてくることもなく、誠司達と同じように歩き出した。カム達、ハウリアの者達もそれに続く。

 

 

そして案の定、階段を登った先には三十人程の集団がいた。武装していることから帝国兵であることは間違いない。野営跡や馬車があることから本当にここでハウリアを待ち伏せしていたのだろう。

 

帝国兵達は誠司達を奴隷商か何かだと勘違いしているようでハウリアの引渡しを要求してきた。それを断ると今度は恫喝をし始めた。更にはハジメやユエまでお前の目の前で犯してやると言ってくる始末だ。顔に包帯を巻いている誠司を怪我人で弱いと勘違いしているのか随分強気だ。

 

誠司は深い溜息を吐く。出来れば平和的解決が良かったのだが、それは望めなさそうだ。ハジメが誠司に言った。

 

「誠司。悪いけどコイツらは僕がやるよ」

「良いのか?」

「うん。(これ)の性能も試したいし」

「ああ!? 何だテメェら!? まだ状況が分からねえのかよ! お前らは震えて許しをこっーーー」

 

想像した通りに誠司とハジメが怯えないことに苛立ったのか小隊長と思われる男が怒鳴るが、乾いた銃声の音と共に頭が爆散したことで強制的に永遠に口を閉じさせられることになった。頭の無くなった身体はそのまま後ろへ糸の切れた操り人形のように倒れた。

 

何が起きたのか分からない兵士達は更に五人ほどハジメの銃によって次々と頭が弾け飛んだ。それによってようやく我に返ったのか武器をハジメに構え始めた。人格面はともかく流石は帝国兵と言うべきか、なかなかの即時性だ。

 

しかし、そんな彼らでもハジメの敵ではないようで、どんどん帝国兵は殺されていき、三十人程いた部隊はあっという間に一人だけになってしまった。

 

「やっぱり、人間相手なら十分過ぎる威力だね」

 

最後の兵士は身体を震わせて怯えた目をハジメに向けていた。ハジメは銃を向けてじっくりと近寄る。今の兵士の目にはハジメが鎌を持った死神にしか見えなかった。

 

「ひぃ、く、来るなぁ! い、嫌だ。し、死にたくない!」

 

ハジメは銃口を兵士の頭に突き付ける。兵士は必死で命乞いする。ハジメはそんな声など最初から聞くつもりがないのか引き金を引こうとする。だが、それを誠司が止めた。

 

「………どういうつもり、誠司?」

「いや、こいつにはちょっと聞きたいことがあるからな」

 

誠司がハジメから銃を下ろさせる。すると兵士は今度は誠司に命乞いを始めた。

 

「た、頼む! 殺さないでくれ! なんでも教えるから、頼む!」

「そうか…… なら他の兎人族がどうなったのか教えてもらおうか。結構な数がいたらしいが」

「……は、話せば殺さないか?」

「……お前、条件を付けられる立場じゃないだろ。別にどうしても知りたい訳でもないしな」

「は、話す! 話すから…… 多分全員移送済みだと思う。人数を絞ったから……」

 

「人数を絞った」ということは老人など役に立たない者は殺したということだろう。その兵士の言葉で意味を察したのかハウリアの者達は悲痛な表情を浮かべた。

 

「そうか…… ならもう良い」

 

誠司は自身の銃を取り出して兵士の頭に突き付けた。兵士の顔が絶望で歪み、再び命乞いを始めた。

 

「待て! 待ってくれ! 死にたくない! 死にたくない!」

「……見苦しい。仮にも兵士なら………潔く散れ」

「い、嫌だ! 他にも何でも話す! 話しますから! 帝国のでも何でも! だからーーー」

 

だが、兵士の必死の命乞いへの答えは一発の銃弾だった。

 

ハウリアの者達は息を呑み、その瞳には若干の恐怖が宿っていた。それはシアも同様でおずおずと誠司達に尋ねた。

 

「こ、殺しちゃったんですか……?」

「ああ。安心しろ。ちゃんと息の根を止めておいたから」

「うん。これでもう二度と追って来ることは出来ないね」

 

平然と言い放つ誠司達にシア達はドン引きした。誠司は構わず帝国兵の死体を一瞥した。

 

「さてと…… この死んじまった奴らだが……」

「……あ、埋めるのでしたら私達も手伝いますが……」

「違う違う。金目のものと食い物を貰うんだよ」

 

そう言って誠司は帝国兵の死体を物色し始めた。どれも頭を吹き飛ばしているだけなので、胴体は比較的綺麗な方だ。だが、流石にこの行動はハウリアだけでなくハジメやユエも少し引いていた。やってることが完全に追い剥ぎのそれだからだ。

 

「……なんだよ? 貰えるものは貰っとかないと損だろ」

 

誠司は少し不満げに言った。ハジメやユエも仕方なくではあるが追い剥ぎを手伝っていると、シアが再び尋ねてきた。

 

「あの…… さっきの人は別に殺さなくても良かったんじゃないですか……?」

 

その言葉に誠司もハジメも「はぁ?」という呆れを多分に含んだ視線をシアに向ける。シアもその視線に思わず「うっ」と唸る。自分でも都合の良いことを言っている自覚はあるのだ。だが、つい言わずにはいられなかった。誠司やハジメの代わりにユエが反論した。

 

「……一度剣を抜いておいて相手の方が強いと分かった途端に見逃してもらおうとか都合が良すぎ」

「そ、それは………」

「……そもそも守られているだけのあなた達がそんな目を向けること自体がお門違い」

「…………」

 

どうやらユエは静かに怒っていたようだ。ただ守られている者の分際で、自分達を守ってくれた誠司達に対して負の感情を持つことなど許さないと言いたげである。実際その通りではあるのでハウリアの者達もバツが悪そうな顔だ。

 

「誠司殿、ハジメ殿、申し訳ない。別にあなた方に含むところがある訳ではないのです。ただ我らはこういうことに慣れていないので驚いただけで……本当に申し訳ない」

「誠司さん、ハジメさん。すみません……」

 

カムとシアが代表して謝罪した。もっとも謝罪されている当の本人は2人とも特に気にしていないため、ただ手をヒラヒラと振るだけだった。

 

帝国兵から使えそうなものを殆ど貰い終えると、残った死体はユエの風魔法で吹き飛ばして谷底に落とした(ライセン大峡谷を抜けたので魔法が使える)。後には血溜まりだけが残った。貰った(奪った?)ものは全て宝物庫にしまっている。

 

だが、峡谷を抜けたとは言え、樹海へは徒歩で半日は掛かる。そこで帝国兵が使っていた数台の馬車と馬を使うことにした。時間短縮にもなるからだ。

 

また、ハウリアが連れているポケモン達は全員、誠司とハジメから渡されたモンスターボールに入ってもらうことになった。一部の者達は狭いボールに閉じ込めるのは可哀想だと反対していたが、シアが最初にホルビーをモンスターボールに入れた。ホルビーも最初は恐る恐るだったが、問題は無かったらしく簡単に受け入れてくれた。ポケモン達に害が無いことが分かるとハウリアのポケモン達は全員ボールの中に入ることになった。

 

そして、人数分乗れるので誠司達も馬車に乗ることにした。誠司達を乗せて全力疾走したケンタロスやシャンデラも少し疲れていたため休ませた方が良いと判断したからだ。

 

「誠司殿。本当にありがとうございます。このモンスターボール……でしたかな? これのおかげでポケモン達もコソコソと隠れずに済みました」

「いえ。こうした方が良いと判断したまでですから」

 

移動中の馬車の中でカムから何度もお礼を言われた。いつの間にか魔獣からポケモンと呼び方が変わっている。カム達としてもそっちの呼び方が気に入ったのか既にハウリア族ではポケモンという言葉が定着しつつあった。

 

そんな風にカムと話していると誠司はふと隣に座っているハジメの様子が少しおかしいことに気が付いた。窓の外をボーッと眺めて心ここにあらずって感じだ。よく見ると顔色も少し悪い。

 

「おい、ハジメ。大丈夫か?」

「……え? 何が?」

「初めて人を殺したんだ。参ってないか?」

「え? まさか。大丈夫だよ」

「ほぉ…… そう言う割には手が震えてるみたいだが」

「え?」

 

ハジメが自分の手を見ると少し震えていた。大丈夫そうに振る舞ってはいるもののやはり精神的に何か来るものがあったのだろう。正当防衛とは言え命を奪ったことによる罪悪感、自分が自分でなくなってしまったかのような感覚、そして、人殺しになってしまった自分が地球に帰ってもこれからやっていけるのかという恐怖。それらが無意識のうちにハジメの心に重くのしかかっていたようだ。だが、それはハジメだけではない。

 

「そう言う誠司も手が震えているけど」

「……ああ。今頃になって来たみたいだな」

「……やっぱり、キツいものだね」

「まあな。だが、この世界にいる限り、遅かれ早かれ()()を体験することになるんだ。初体験があの性根の腐った兵士共だったのはある意味良かったよ。罪悪感があまり湧かないからな。もしも殺した相手が何の罪も無い只の一般人だったらもっと地獄だぞ」

「あははは……」

 

ハジメが苦笑いを浮かべる。ハジメの正面に座っていたユエがふと尋ねた。

 

「……そういえば、どうしても二人ともポケモンを使わなかったの?」

 

ポケモンを使えばわざわざ自分の手を汚さなくても帝国兵など簡単に始末することは出来ただろう。何故それをしなかったのか。もっとも何て答えるかは大体予想はつくが。

 

「え? そんなの………」 「決まってんだろ」

「「ポケモンを人殺しの道具にしたくなかったからだ(よ)」」

 

誠司とハジメは同時に答えた。ユエも分かっていたのか頷いた。

 

「………それで大丈夫?」

「うん。今後はそんなこと言ってられないしね。出来ないと大事なものを失うんだから」

「ハジメの言う通りだ。大事なものを守るためなら俺は修羅でも何でもなってやる」

 

あれだけ容赦なく惨殺した二人が、実はどちらも初めて人を殺したという事実にシアは驚きを隠せなかった。同じく馬車内にいたカムや数人の兎人族達も同様だったようで思わず二人を凝視している。

 

「あ、あの! 三人のことを良ければ詳しく教えてくれませんか?」

「え? 何でいきなり?」

「単純に知りたくなったんです。だから教えてください。お願いします!」

 

シアに頭を下げられて三人は顔を見合わせた。周囲を見ると、カム達も同様に気になっているようだ。仕方ないので三人は色々と自分達のことを話すことにした。どうせ暇だし、誰かに話すことで少しは気を紛らわせることが出来るかもしれないと思ったからだ。

 

そして、揺れる馬車の中で三人はこれまでの経緯を語り始めた。




原作だと帝国兵を殺した後、ハジメは平然としていますが、本作のハジメでは少し精神的に来てる感じにしました。半分魔王化している感じです。
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