魔獣使いと錬成師が合わされば世界最強   作:マロニエ19号

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大樹と賢者

誠司達はハウリアの案内の元、ようやく大樹に辿り着いた。しかし、目の前には予想外の光景が広がっていた。

 

「……なぁ、これが大樹なのか?」

「ん……枯れてる」

「他の樹々は生い茂っているのに……」

 

三人は大樹について、他の樹々とは比べ物にならない、壮麗で威容に満ちた姿を想像していた。しかし、目の前にあった大樹は大きさこそ立派ではあるが、枯れているのである。周囲の樹々は青々とした葉を生い茂らせているのに大樹だけ枯れ木となっているのも更に異質さを際立たせている。

 

カムが言うには、この大樹はフェアベルゲン建国以前から存在しているらしい。枯れているにも関わらず、朽ちることもない。変わらずこの姿のままで、周囲の霧も相まっていつの頃からか神聖視されるようになったそうだ。

 

それを聞くと、この大樹が唯の枯れ木でないことは明らかだ。誠司は興味を持った。もう少し知ろうと誠司達が大樹の根元まで歩み寄ってみると、石版を見つけた。

 

石版には七角形とその頂点に七つの模様が刻まれていた。そして、そのうちの一つはオルクス大迷宮のベテランシンボルに刻まれているものとそっくりだった。恐らく他の模様は他の攻略の証の模様なのだろう。

 

石版をもう少し詳しく調べてみると裏側に窪みがあったため、試しにベテランシンボルと同じ模様の窪みにベテランシンボルを入れてみた。すると、石版が淡く輝き出した。

 

その異変に何事かと周囲を見張っていたハウリア達も集まって来た。全員でしばらく輝く石版を見ていると、次第に光が収まり、代わりに文字が浮かび上がる。浮かび上がった文字はこのように書かれていた。

 

ーーー四つの証

ーーー再生の力

ーーー紡がれた絆の道標

ーーー全てを有する者に新たな試練の道は開かれるだろう

 

「四つの証……もしかしてベテランシンボルみたいなものを四つってことか?」

「……再生の力……私?」

「いや。多分、神代魔法の中に再生に関する魔法があるんじゃないかな。それが使えないといけない……みたいな?」

「うーん…… 紡がれた絆というのは……恐らく亜人族に連れて来て貰わないと、ここには辿り着けないってことじゃないですか? 亜人族に案内してもらうなんて基本は有り得ませんから」 

「なるほどな……ん? それってつまり……」

「うん。ここの攻略はしばらくお預けってことになるね……」

 

ハジメの言葉に誠司もユエも残念そうな顔を浮かべる。

 

だが、他に三つの大迷宮の攻略が必要な以上、ここは切り替えていくしかない。まぁ、亜人族の部分は解決しているので、そこは良かったと思うことにした。

 

誠司達はハウリアに自分達は一旦、樹海を出て他の大迷宮を攻略してから再び樹海に向かうことを伝えた。そして、それまでの間、この大樹付近で待機・警護してもらうことをお願いした。

 

カム達は快諾してくれた。そして少しの間、シアと別れの挨拶をしてからカム達は樹々の影に消えて行った。その姿に誠司は忍者のようだなと内心思った。鍛錬も欠かさないと言っていたので、再会した時には今よりも遥かに強くなっているだろう。

 

シアは家族の別れに少し名残惜しそうにしていたが、やがて気持ちを切り替えたのかキリッとした顔になった。少し歩いていると、シアが尋ねて来た。

 

「そういえば、皆さんは次はどこに向かうんですか? やっぱりグリューエン大火山ですか?」

「いや、次はライセン大峡谷に行こうと思ってる。あそこにも大迷宮があると言われているからな。ハジメやユエはそれに異論はないな?」

「うん。どうせ大火山に行くのならライセンを通りながらの方が良いし」

「んっ。通り道」

「そうですか。……あれ? ところで皆さん、樹海の出口って分かってます?」

「……え? シアが分かっているんじゃないの?」

「いや、私はずっと匿われて育てられましたから樹海の出口とか分かりませんよ。前に出た時は父様達に連れられてでしたし……」

「……ちょっと待って。ということは私達……」

 

四人は立ち止まった。周囲を見渡すが、同じような樹が立ち並ぶだけで何も目印になるものがない。しかも喋りながらだったためどうやって来たのか分からない。

 

試しに樹海で捕獲したポケモン、クルミル、チリーン、ヘラクロスに樹海の案内をお願いしてみたが、駄目だった。どうもこの樹海にはそれぞれの生息域があるらしく、ポケモン達は基本そこから出ないため、樹海の出口は分からないらしい。

 

完全に詰んだ状態である。誠司達の顔に絶望が浮かぶ。そんな時、誠司達の元に二体のポケモンが現れた。

 

一体は白の体毛に紫色のマントのようなものを羽織ったオランウータンのようなポケモン、そして、もう一体は緑色のヤギのようなポケモンだ。シアはヤギのポケモンに見覚えがあったようで目を見開いた。モンスターボールから勝手にホルビーが現れ、彼女も驚きの表情を浮かべている。

 

「あなたは……ゴーゴート……何でここに……?」

「え? 知ってるの?」

「……はい。元々は母の相棒だったんですが、母が亡くなってからは姿を消してしまって……」

「……そんなゴーゴートがどうしてここに……?」

 

ユエの疑問にゴーゴートは一声、鳴き声を上げる。すると、ゴーゴートと一緒にいたポケモン、ヤレユータンが前に進み出る。

 

ヤレユータンは誠司に近寄ると、片膝を突いて頭を下げた。そのポーズはまるで騎士が王に忠誠を誓う仕草そのまんまであった。だが、された当の本人は訳が分からなかった。

 

「ちょ、ちょっと待ってくれ。ヤレユータン、何をいきなり……」

「ヤレ、ヤレ、ユー」

「……え? ずっと見ていた?」

 

ヤレユータンが言うには誠司達が樹海に入ってからの行動をずっと監視していたらしい。それはゴーゴートも同じであった。その事実に四人は驚愕した。

 

どうやら、ゴーゴートは相棒であり、シアの母であるモナが亡くなったことで一度はハウリアの元を去ったものの、彼は遠くからシア達を見守っていたらしい。しかしある日、突然ハウリアが居なくなってしまい、慌てて元から付き合いのあったヤレユータンと一緒に樹海中を探し回っていたのだが、ハウリアが誠司達を連れて樹海に戻って来たのを見た。当然、誠司達に警戒したゴーゴートとヤレユータンは気付かれないように彼らを監視することにした。

 

それから何日もの間、二体は彼らを監視していると誠司達は悪い人間でないことが分かった。厳しい訓練を課したりして、ハウリアやポケモンが強くなっていくのを見てヤレユータンは感激した。人間とポケモンが協力すれば、ポケモンは更に力を発揮することが分かったのだ。いつの間にか、ヤレユータンは自分も誠司の元で強くなりたいと思うようになった。自分の力を誠司の元で奮いたい。だからこそ彼に頼み込みに来たのだ。

 

「……なるほどな。それで俺の仲間のなりたいって訳か」

「ヤレユー」

「まぁ、俺としては大歓迎だよ。戦力が増えるのは俺としても有り難いからな。それなら……一緒に行こう」

 

そう言うと誠司は空のモンスターボールを取り出してヤレユータンに向けた。ヤレユータンはワクワクした面持ちでボタンを押し、光に包まれてボールに吸い込まれていった。ボールは一回揺れると、ポフンと音を立てた。捕獲成功だ。

 

それを見たゴーゴートもシアの腰に下げているモンスターボールを突いた。シアは困惑する。

 

「え、え? もしかしてゴーゴートも一緒に行きたいんですか?」

「多分そうじゃないかな? ずっとシアを見守ってくれてたんだし、頼もしい仲間になると思うよ」

「んっ。仲間は多い方が良い」

「……はいっ! そうですね! ゴーゴート、一緒に来てくれますか?」

「ゴーッ!」

「決まりです! ハジメさん、私に空のモンスターボールをください」

「はいよ」

「それじゃ、ゴーゴート! これからもよろしくお願いします!」

 

シアはモンスターボールをゴーゴートに軽く当てた。ゴーゴートはボールに吸い込まれて、晴れてシアの手持ちになった。

 

「やったね、二人とも! 幸先が良いよ!」

「んっ。それに……」

「ああ。樹海に出るのも解決したな」

「ですね。助かりました!」

「……て言うか、シアが樹海の出口が分からないって最初から言っていれば良かったんだよ」

「はうっ……すみません……」

 

ハジメのツッコミにシアはウサ耳をションボリさせて謝罪するが、三人は笑って許した。心に余裕が出来たのが大きかった。

 

それから、誠司達はヤレユータンとゴーゴートの案内の元、無事に樹海を抜けることが出来た。




誠司はヤレユータンを、シアはゴーゴートをゲットです。最初の予定ではヤレユータンだけゲットする予定でしたが、シアに移動用のポケモンを持たせる必要があったのでこの展開にしました。

ハジメの移動用ポケモンはもうゲットしているので心配ありません。後は進化するだけです。
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