魔獣使いと錬成師が合わされば世界最強   作:マロニエ19号

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技の特訓 アイアンテール編

時はハウリアの訓練をしていた頃まで遡る。

 

誠司はハウリアにハードな訓練を課すと同時に、自身のポケモン達の訓練も並行して行っていた。樹海にて、誠司はエリキテルに指示を出した。誠司の隣にはイーブイもいる。イーブイはワクワクした表情を浮かべていた。

 

「よし。エリキテル、あの岩に“アイアンテール”だ!」

「エリィッ!」

 

エリキテルは一瞬で距離を詰め、尻尾を金属のように硬化させて目の前の岩を破壊する。エリキテルよりも大きい岩は簡単に砕け散った。

 

「イブーッ!」

 

イーブイは目をキラキラさせて感心している。エリキテルは少し得意そうに頰を掻く。誠司も内心、感心していた。

 

中々の威力だ。それに、動きも素早い。今の手持ちの中では一、二を争う程だ。

 

エリキテルに限らず、ライセン大峡谷で捕獲したポケモン達はどの子も身体能力が高かった。あの環境では特殊攻撃技が殆ど使えない分、物理技、つまり身体能力の高さがものを言うからだろう。

 

しかし、このエリキテルに関しては捕獲してからずっと疑問があった。魔獣図鑑によると、エリキテルは襟巻きの発電器官で太陽光から電気を作り、電気技を出すことが出来るそうなのだが、何故かこのエリキテルは電気技が一切使えないのだ。それに、エリキテルは本来は砂漠とかで生息しているはずだ。なのに、近くのグリューエン大砂漠ではなくライセン大峡谷で暮らしていたのかも分からなかった。

 

エリキテルは必死に抵抗していたが、一度よく調べてみた。すると、このエリキテルは先天的に発電器官の放出口が未発達であることが分かった。発電は問題なく出来ても放電することが出来ないのだ。恐らく、砂漠ではなく大峡谷で暮らしていたのも関係があるのだろう。

 

こういった生まれつきの障害は進化したりすることで解消することがある。夢情報によると、エリキテルはエレザードというポケモンに進化出来るのだが、そのためには太陽の石という物が必要だったはずだ。逆に言えば、これが見つかるまでは電気技は使えないと思った方が良いだろう。

 

もっともエリキテルは素早さが高いため、今はそこを伸ばしていけば良い。

 

今回、誠司はイーブイに新しい技を覚えて貰おうと考えていた。

 

イーブイは色々な属性の進化系を持ったポケモンだ。どんな属性のポケモンに進化するかはまだ分からない。石を見つけてそれを使って進化するかもしれないし、懐いて進化するかもしれないし、環境によって進化するかもしれない。

 

違う属性の技を今のうちに覚えておけば、バトルでも汎用性が広がって戦いやすくなる。このイーブイはまだまだ未熟だ。もっと多彩な技を使えるようになって欲しい。そう思った誠司はエリキテルに頼んだ。彼も快くOKしてくれた。

 

それでエリキテルがイーブイに教えることになった技が“アイアンテール”だ。

 

エリキテルはイーブイに自分の尻尾を振って見せて、技のレクチャーをする。イーブイも真似して尻尾を振るが、それを見たエリキテルは駄目だと言いたげだ。その様子に誠司は考え込んだ。

 

「うーむ…… “アイアンテール”を使えるようになるにはまずは尻尾を鍛えることが必要になりそうだな」

 

それからはイーブイの尻尾のトレーニングを始めた。ハウリアの特訓の合間にもトランクの中でイーブイは尻尾に重りを付けた状態で走り込みをしたり、尻尾を器用に使いこなせるようにヌマクローやマシェードに木の実をいくつか軽く投げてもらってそれらを尻尾に当てる練習をしたりと様々だ。誠司も時間が空いたら彼のトレーニングを手伝う。

 

イーブイは“アイアンテール”を覚えるために一生懸命だ。イーブイの姿勢に心を打たれたのか、エリキテルも何だかんだで付き合ってくれている。彼もハウリアの訓練で疲れているはずなのに……だ。

 

そういった努力のお陰なのか、()()は意外にもすぐ現れた。ハウリアの訓練を開始して五日目、“アイアンテール”の特訓から三日目の出来事だった。イーブイの尻尾が光り輝き、岩を少しだけ削ることに成功したのだ。それを見たエリキテルは少し嬉しそうだった。

 

それから何度か練習を重ね、イーブイの尻尾は段々と器用になっていった。

 

 

そして、遂に…………

 

「イーブイ、“アイアンテール”だ」

「イブイッ」

 

イーブイは尻尾を硬化させて、目の前のポケモン(相手)に叩き付けた。

 

「ヤナッ!」

「ああ、ヤナップ!」

 

ヤナップのパートナーであるハウリアの男性が悲鳴を上げた。技を受けたヤナップは目を回している。

 

時は、ハウリアの集団と『最後の訓練』として誠司がヌマクローやマシェードといった奈落の底での仲間達を使って乱戦を繰り広げていた頃まで進む。

 

イーブイは技を完成させて得意げな表情だ。誠司も静かに頷いた。

 

「よし! 遂に完成したな、イーブイ! この感じだ。この感じを忘れるなよ!」

「イーブイッ!」

「よし。どんどん来るぞ! まだハウリアの最後の訓練は終わっていないんだ。バテるなよ」

「イブイブッ!」

 

イーブイはすぐに視線を他のハウリアのポケモン達に戻し、集中した。

 

イーブイは凄く嬉しかった。自分が着実に強くなっていることが。誠司が自分を褒めてくれることが。もっともっと強くなって、早く一人前になりたい。誠司と一緒に上へ駆け上がって行きたい。

 

イーブイの中にはそういった強い想いがあった。ヌマクローやマシェード、ケンタロス、キュウコンはイーブイのそんな想いを理解し、頼もしく感じていた。そして、イーブイに負けられないとも。

 

イーブイがこれから、誠司の主力の一体として活躍していくのもそう遠くない未来である。




誠司のイーブイが何に進化するのかは実はもう決めています。進化するのはまだずっと先なので、是非お楽しみに。
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