魔獣使いと錬成師が合わされば世界最強   作:マロニエ19号

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ありふれの二次創作に感化されて書いてみました。


異世界召喚~オルクス大迷宮
プロローグ 少年の見た夢


ある誕生日の夜のことだ。その日十歳になったばかりの少年、中西誠司(なかにし せいじ)は夢を見た。それは自分と同じくらいの年齢の赤い帽子を被った少年が見たこともない生き物と一緒に様々な場所を旅するというものだ。少年はそんな生き物達を『ポケットモンスター』、縮めて『ポケモン』と呼んでいた。

 

ポケモン…………どこか不思議な言葉だった。ポケモンはモンスターボールと言う特殊なボールで生き物を収納して持ち運ぶことが出来、そのポケモン達と共に生きていく。そして、ポケモン達を育てたり戦ったりすることでお互いに成長を重ねていく。

 

最初はただの偶然かと思っていたが、何度も夢で見ると誠司は次第に夢を見ること自体が毎日の楽しみになり、ポケモンという存在にも心惹かれるようになっていった。ある日、誠司は自分のパソコンを使って夢で出てきた言葉を基にポケモンやモンスターボールという単語を入力してみた。

 

しかし、結果は非情なもので出て来たのは「ポケモン に関する情報は見つかりませんでした」の一言だった。勿論、モンスターボールも同様で夢で見たようなあの特徴的な形のものは一切見つからなかった。誠司は謎が増えたとがっかりした。

 

それからも誠司は夢を見続けた。しかも、不思議なことに夢の中の登場人物は1年ごとに交代していった。最初は赤い帽子を被った少年だったが、次は黄色と黒の帽子と少し変わった前髪が特徴の少年、その次は白の帽子に動きやすそうな服装をした少年………といった感じだ。そして、旅をする舞台も変わっていく。誠司が住んでいる場所に似た雰囲気の所もあれば、紅葉が綺麗な所、暑くて自然豊かな所など本当に様々だ。

 

誠司は自分の見た夢を基にそのポケモンを描いてみることにした。毎日夢を見ることで描かずにはいられなかった。しかし、描き上がったそれはとてもじゃないが、夢で見たものとは似ても似つかないクリーチャーだった。誠司は初めて自分の絵の才能の無さを深く呪った。彼は他の科目は得意でも図工だけは成績が悪かったのだ。モンスターボールだけは綺麗に描けたのは幸いだった。

 

それでも誠司は諦め切れなかった。こんな面白いものをそのまま忘れたくなかった。夢で見た内容を毎日、日記のように記録するようにしたのだ。一年も書いていくともう全ページ埋まってしまい、一冊の長編小説のようになった。

 

 

十歳から始めたこの習慣は誠司が中学生になってからも続いた。そして、その習慣がキッカケで初めて大親友とも呼べる人と出会ったのだ。それは中学二年のある日の放課後だった……… 誠司は夢で見た内容は毎朝早めに記録するようにしていた。しかし、その日はいつもより遅くに起きてしまい、遅刻こそしなかったが書く時間はなかった。だから人が少なくなる放課後まで書くのを我慢していたのだ。お陰で授業の内容がイマイチ身に入らなかった。待ちに待った放課後、夢で見た内容を書き終えた時だった。一人の同級生の男の子が誠司に話しかけて来たのだ。誠司は内心舌打ちした。ずっと居眠りしていたから大丈夫だと思ってたのにいつの間にか起きていたらしい。

 

「あれ? 中西君、その表紙の丸い模様って何?」

「……ん? これか? これは『モンスターボール』だ」

「モンスター……ボール?」

「ああ。俺にとってのシンボルみたいなもんだ」

「へぇ。変わった形だね。それで何を書いてるの?」

 

誠司は少年のその質問に一瞬だけ嫌な表情を浮かべて黙るが、やがてポツリと答えた。今までもこの習慣を誰かに教えたことはあったが、あまり良いことが無かったからだ。終いには変な奴扱いされたこともあった。どうせこの少年も同じだろうと思ったのだ。

 

「…………………………夢日記だな」

「夢……?」

「ああ。昔からやっててな。もう習慣なんだ」

「ねぇ、それ……少し読んでみても良い?」

 

少年からの思いがけない言葉に誠司は驚いた。

 

「え? 何でだ?」

「あ…… ごめん。いや、中西君が凄く目を輝かせて楽しそうに書いてたから何書いてるのかなぁって気になってさ。駄目……かな………?」

 

少年は少し遠慮がちに尋ねた。誠司はまだ書きかけのノートを少年に渡した。

 

「……まだ途中だが読んで良いぞ」

「え? 良いの?」

「ああ。俺の夢の内容が面白いかどうか感想くれよ」

「ありがとう!!」

 

そう言って少年はノートを開いて目を通す。ある程度文章は纏めてあるから支離滅裂では無いはずだ。何年もこの習慣を続けてきたおかげなのか、かなり文才が付いた。昔は大嫌いだった読書感想文も今じゃ苦じゃなくなった。

 

そしてしばらく経つと少年はノートをそっと閉じ誠司に尋ねた。どこか呆然とした様子だ。

 

「ねぇ…… これ、本当に中西君が見た夢の内容……なんだよね……?」

「ああ、そうだけど」

「これ凄いよ!! すごく面白い!! モンスターをボールに捕まえるってどうやったらそんな設定思い付くの!?」

 

少年は興奮した様子で矢継ぎ早に感想を言う。その様子に思わず誠司は呆気に取られた。

 

「え? え?」

「ねぇ、これ、今までのもある!? ノートには⑤って書いてあるから多分五冊目だよね。今までのも読んでみたい!!」

「いや、流石に………」

「お願い!!!」

「えーー………」

 

誠司は思わずその少年の勢いに押されて翌日に今まで書いた四冊も全て貸した。今までの……特に一冊目なんかはまだ書き始めたばかりだったから支離滅裂なんだけどと注意したが、少年はそれでも面白いと言ってくれた。そんなこんなで誠司はその少年、南雲ハジメと交流を持つようになった。

 

ハジメと交流をしていくうちに誠司は彼とは自分の趣味が合うことが分かっていった。実際、彼が貸してくれた漫画やゲームはすごく面白かった。しかも、ハジメは自分よりも遥かに絵が上手かった。自分の文章や下手なりに描いた絵から推測して、夢で見たまんまのピカチュウの絵を描いてくれた時など思わず深々と土下座をした程だ。された本人は滅茶苦茶動揺していたが。そんな風に誠司が喜んでくれたからかハジメはそれからもよくポケモンの絵や登場人物の絵を描いてくれた。

 

ハジメの趣味は両親の影響からだそうだ。まぁ誠司自身も母の影響でポケモンの他にお菓子作りも大好きなので分からんでもない。子供にとって両親の影響というものは大きいのだ。ハジメの両親とも仲良くなり、自分の夢日記を見せると興味を持ってくれた。そして、これは続けた方が良いとまで言ってくれた。誠司はそれが凄く嬉しかった。

 

そして、誠司はハジメという親友と一緒に中学時代を楽しく過ごし、同じ高校に進学した。




次回から原作の部分に入っていきます。
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