魔獣使いと錬成師が合わされば世界最強   作:マロニエ19号

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お待たせしてすみません! これから忙しくなるので結構不定期になると思います。ご了承下さい。

今回は前話で割愛したエリキテルの進化と電気技の習得をお送りします。


技の特訓 10まんボルト編

時はライセン大迷宮を攻略した時まで遡る。

 

誠司達はポケモンを回復させるアーティファクトの前に立っていた。

 

そのアーティファクトは大きめな岩で出来た棺のような形状で、ポケモンが入ると中に設置されている魔法陣が作動して強力な回復魔法がかけられてポケモン達が回復出来る仕組みらしい。ソルロックやルナトーン、ヒトツキ達が攻略後に元気な姿で現れたのはそういう訳だったらしい。

 

モンスターボール越しでも効果はあるようなので、誠司達はモンスターボールに入れた状態で棺に入れて回復してもらった。無事に全員回復して、元気になったポケモン達を確認して嬉しそうな表情を浮かべる誠司達。

 

そんな時、誠司にソルロックとルナトーンが近付いて来た。

 

「ソルソルゥ」

「ルナァーン」

「ん? 何だ……?」

 

ソルロックとルナトーンは“サイコキネシス”で自分の体からある石ころを浮遊させて取り出すと、それらを誠司に手渡す。その石は太陽の形をした石と透き通った黒い石だった。二つの石を見て誠司は思わず驚きの声を上げる。

 

「なっ!? もしかして太陽の石に月の石か!?」

「ソール」

「ルナナ」

「有り難いが……でも何でまたこんな貴重なものを?」

 

そんな誠司の問いに答えたのは二体の相棒であるミレディだった。

 

「うぅ〜む……どうやらソルロックもルナトーンも君を認めたみたいだねぇ。それで自分なりに報酬を渡したんだよ」

「そうなのか……」

 

誠司としては驚きだったが、正直な所有り難いので貰っておく。太陽の石はいつか手に入れて置きたいと思っていたからだ。月の石はハジメの宝物庫にしまってもらい、誠司は太陽の石を片手にエリキテルの元に近付いた。

 

エリキテルは誠司の手にある太陽の石をジイッと見つめている。エリキテルの前に太陽の石を置くと誠司は口を開く。

 

「エリキテル。お前も知っていると思うが、石での進化は普通の進化と違って、進化するかどうか選ぶことが出来る。お前はどうしたい? 進化するのはお前だからな。俺はお前の意思を尊重するつもりだ」

 

エリキテルはその言葉に思わず顔を上げる。誠司はエリキテルの顔をジッと見つめる。お互い何も言わない。

 

周囲の人やポケモン達はエリキテルがどんな判断をするのか気になっている様子だ。ただ一人、ミレディは昔を思い出しているのかどこか懐かしそうな様子だった。

 

少しの間、お互いを黙って見つめ合うエリキテルと誠司。そして、ようやくエリキテルは腹が決まったようで、目の前の太陽の石に迷わず触れた。

 

すると、エリキテルの体が光に包まれた。背は高くなり、尻尾は長く、首元には襟巻きのようなものが出来ていく。

 

光が収まると、そこには黄色と黒のエリマキトカゲのようなポケモンが立っていた。誠司が尋ねた。

 

「気分はどうだ、エレザード?」

「エザ!」

 

進化した気分は最高のようだ。エレザードは元気良く返事した。

 

 

エレザードに進化してからしばらく経つが、誠司達はまだミレディの隠れ家に滞在していた。誠司が進化したエレザードに電気技の特訓をしたいと言ったからだ。最初はミレディは渋っていたのだが、ハジメが大迷宮の修復を手伝うことになってなんとか了承してもらった。

 

「エレザード、“でんきショック”だ!」

「エェーーザァーー!」

 

エレザードは的に向かって電気を放出しようとするが、まともに放出出来ずにいた。

 

誠司は困ったように頬を掻く。

 

「うーん……どうなっているんだ? エレザードの体を調べたが、未発達だった放電器官は進化したことで解消されているし……」

「レザ……」

 

エレザードは必死に電気を出そうとするが、やっぱり上手くいかない。エレザード自身も分からないようで何度も襟巻きを広げて力を込める。だが、電気は出ない。

 

そんな時、誠司達の後ろから高笑いが聞こえて来た。

 

「あははは! 苦戦しているようだねぇ、チミ達ぃ」

 

誠司達が振り返ると、そこにはミニゴーレムのミレディとルナトーンがいた。

 

「なんだ、ミレディか。そっちの大迷宮の修復はどうだったんだ?」

「いやぁ〜、君の仲間の白髪ちゃん、凄いね。昔のオーちゃんに負けず劣らずの腕前だよぉ。この調子なら明日、いや今日中には修復が終わっちゃいそうだ」

 

ミレディが感心したように言う。

 

本来、大迷宮内では魔法は使えない。それはハジメの錬成魔法も例外ではない。しかし、宙に浮いていれば問題は無いため、ソルロックやルナトーンに乗っていれば修復作業が出来る。現在、ハジメはソルロックと一緒に大きく損傷したミレディ・ゴーレムの修理をしているそうだ。なので、暇になったミレディは誠司達の様子を見にやって来たのだ。

 

「しっかし……君んとこのエレザード、随分と電気技を使うのに手こずっているみたいじゃないの」

「まぁな……俺も電気属性のポケモンを育てるのは初めてだし、電気属性のポケモンも他にいないからな…… どうしたら良いのか分からなくて困っている所だ」

「なるほどねぇ……よし! 仕方ない! 折角だし、このミレディ先生が教えてしんぜよう!」

「ルナナァン!」

 

ミレディとルナトーンがそう言った。だが、誠司とエレザードは首を傾げる。

 

「教えるって……ルナトーンは電気属性じゃないぞ?」

「エザァ?」

「まぁまぁ、確かにルナトーンは電気属性じゃないけどね、でもこんな技が使えるんだよ。さぁルナトーン、見せてあげて! “チャージビーム”!」

「ルナァ!」

 

ミレディの指示と同時にルナトーンの体に青白いスパークが走り始める。そして、少し経ってからルナトーンは電気を勢いよく放出する。

 

放出された電気は真っ直ぐ的に向かって命中した。的は黒く焦げるが、的には何か特殊な魔法が掛かっているのかすぐに直っていく。

 

「このルナトーン、“チャージビーム”が使えるのか……」

「そだよ〜。教えてあげるからしっかり覚えてねん」

「ルナアン」

「エザエザッ!」

 

ミレディとルナトーンの言葉にエレザードは首を何度も縦に振って頷く。

 

 

それからエレザードはルナトーンと一緒に技の特訓を重ねる。ルナトーンは電気属性ではないが、教え方は的確なようで、少しずつ手応えを掴めていることはエレザードの顔を見れば明らかだ。

 

そんな2体を眺めながら、ミレディが誠司に言った。

 

「う〜ん、青春だねぇ。ルナトーンったら張り切っちゃってさ」

「……張り切る?」

「そっ! 実はね……ルナトーンの“チャージビーム”もある人の相棒に教えて貰って何とか覚えた技だったからさ……自分と重ねているんじゃないかな?」

「そうだったのか……」

「ポケモンにはね……無限の可能性があるんだ。その可能性を活かすも殺すも私達次第だよ。それは忘れないようにね」

 

いつもふざけたことばかり言うミレディとは思えないとても深い言葉だった。

 

「……言われるまでもないよ」

「そう、確かに言うまでも無かったかもね。今の君なら」

 

誠司がミレディとそんな会話をしていると、バチバチッという音と共に光った。エレザードが初めて電気を放出することに成功したのだ。

 

「エザ!? エザッ! エザエーザッ!」

 

エレザードは歓喜の余り、飛び跳ねている。ルナトーンはそんなエレザードを微笑ましそうに見ている。

 

「やったな、エレザード! 遂に電気を出せるようになったのか!」

「おめでとう〜! やったじゃない!」

「エザ!」

 

誠司やミレディがエレザードに声を掛けると、エレザードは嬉しそうに返事を返す。

 

それから、誠司達は放出する電気をコントロールする特訓を重ねていくうちにコツを掴んだのか、いくつかの電気技が使えるようになった。

 

誠司は最後にエレザードに技の指示を出す。“でんきショック”の代わりに覚えた技だ。正直、“でんきショック”より強力だ。

 

「よし、エレザード! あの的に向かって“10まんボルト”!!」

「エエェーーザアァーー!!」

 

エレザードは体中から強い電撃を放つ。電気は真っ直ぐ、的に向かい、的を黒く焦がした。

 

誠司はエレザードを見て先程のミレディの言葉を思い出していた。

 

(ポケモンの可能性は無限大……か。これを見てると本当にそうだよな。ポケモン達の力を引き出すには俺ももっと……もっと……)

 

誠司は新たな決意を心の中で固めつつあった。




前話でエリキテルの進化云々をあっさりさせていたので書きました。ちなみに、ユエやシアや他のポケモン達は別室でゆっくり休んでいます。
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