魔獣使いと錬成師が合わされば世界最強   作:マロニエ19号

6 / 160
他の作品ではポケモンを魔物と呼んでいるものが多いですが、本作品では魔獣と表記します。アルセウスの映画でもポケモンを魔獣と呼んでいるシーンがあって、そのイメージが強いので。


ステータスと最初の相棒

目の前にいる老人、イシュタル教皇というお偉いさんが言うには、この世界はトータスという名前でアルセウスという魔獣によって創られたそうだ。そして、アルセウスは手始めに二体の魔獣を生み出して、更に数多くの人間や魔獣も生み出していったらしい。

 

しかし、アルセウスはやがて狂い出し、多くの人間に危害を加えるようになった。そこで立ち上がったのが、エヒトという者らしい。エヒトはアルセウスが最初に生み出した魔獣の一体パルキアと共にアルセウスを打ち破った。そして、エヒトがアルセウスに代わってトータスの神として君臨するようになった………というのがトータスの歴史らしい。

 

まぁ、それは割とどうでも良いっちゃどうでも良いのだが、本題はここからだった。

 

どうもこの世界では人間族だけでなく魔人族という種族もいるらしく、今はその魔人族との戦いの真っ只中らしい。そして、現在魔人族側が有利な状態にあるらしく、人間族が危機に瀕しているためエヒトからの神託を得て誠司達を召喚したらしい。つまり、戦争に参加させるためにわざわざ関係ない世界から自分達を呼び出したということだ。誠司からすればふざけるなとしか思えなかった。おまけにタチの悪いことにこの世界の連中は戦うことを当然のように考えているようだ。

 

そして、それはクラスメイトも同じだったようだ。特に白崎の幼馴染のイケメンは何を血迷ったのか参戦を表明し、怖気付くクラスメイト達を鼓舞し始めたのだ。おまけに他の幼馴染達も同様にイケメンに乗ってしまったため、クラスの空気は完全にイケメンに流されていってしまった。一緒に召喚に巻き込まれた畑山先生の声も届かずに。だが、誠司は見逃さなかった。イシュタルがクラスメイト達の様子見てどこか満足そうにほくそ笑んでいるのを。ハジメも同様に気付いていたらしく、顔を顰めていた。

 

結局、流されるように誠司達は参戦を決意することになってしまった。そして、流されるようにイシュタルの先導に付いて行くことになった。途中で召喚されたこの国、ハイリヒ王国の王族達も紹介されたが、国王が挨拶にイシュタルの手にキスをしているのを見て誠司は目眩を覚えた。この国は宗教が権力を持っていることに気付いたからだ。宗教が権力を持っていて碌なことにならないのは地球の歴史でも証明されている。恐らく社会科教師の畑山先生もコレを薄々察していたから反対していたのではないだろうか。

 

翌日に戦うための術を教えていくことになったので、誠司はそのまま一人一人与えられているという部屋に入った。部屋には王城らしく、豪華な天蓋付きのベッドや大きめな机があった。

 

誠司はベッドに転がった。その時、扉を叩く音が聞こえた。扉を開けるとそこにはハジメがいた。

 

「どうしたんだ?」

「これ、返しとこうと思ってさ」

 

そう言ってハジメはノートを渡した。どうやら召喚された際に一緒に持って行ってしまっていたらしい。誠司は苦笑しながら受け取った。

 

「そうか。ありがとな」

 

だが、ハジメはどこか浮かない顔だ。どうやら他に言いたいことがあるらしい。仕方ないのでハジメを部屋に入れて話をすることにした。

 

「そういえば、さ。さっき、イシュタルさんがアルセウスやパルキアって言ってたけどアレってもしかして……」

「ん? ああ、多分この世界にはあの『ポケモン』がいる可能性があるな。まぁこの世界では魔獣と言うようだが」

「ええっ!? 本当に?」

「だって召喚場所にあった壁画も夢で見たパルキアの姿そっくりだったし、教皇が言ってた話のごく一部も夢で見た内容に近かったからな。これがただの偶然とは思えん」

「でも誠司の夢日記にエヒトの話なんて全然無かったけど……」

「ああ。だが、気を付けた方が良さそうだな。

 

 

この国………いやこの世界はあまり信用出来ない」

 

 

 

 

そして、翌日になり、この日から訓練と座学が始まるようになった。まずはクラスメイト達が城の敷地内の広場に集められた。全員動きやすい服装になっている。どうも誠司達、召喚者はトータスの人間よりもかなり力が強く、特別な力があるらしい。まずはそれを明らかにする必要があるそうで誠司達には銀色のプレートが配られた。そのプレートについてこの国に騎士団長であるメルド・ロギンスという男が説明を始めた。

 

メルド曰くこのプレートはステータスプレートというらしく、自身の能力やステータスを客観的に表示することが出来るというアーティファクトらしい。その説明を聞いて誠司は感心した。つまりこれがあれば自分にどんな才能があるのかが分かるということだ。日本でも欲しい程だ。また、この世界では身分証明書としても使用出来るものらしい。

 

プレートに自身の血を垂らして「ステータスオープン」と言うだけで良いらしい。クラスメイト達がやっているのを見て誠司も試してみると、プレートに文字が浮かび上がった。

 

 

==============================

 

中西誠司  17歳 男 レベル: 1

天職: 魔獣使い

 

筋力: 20

体力: 50

耐性: 20(魔獣攻撃時100)

敏捷: 35

魔力: 10

魔耐: 20(魔獣攻撃時100)

 

技能: 言語理解、魔獣攻撃耐性、魔獣図鑑、意思疎通(魔獣)

 

===============================

 

誠司は首を傾げた。

 

「魔獣使い? 要はポケモントレーナーになったってことか?」

 

他はどうなったのか気になった誠司はまず隣にいるハジメに声を掛けた。

 

「なぁ、ハジメ。お前のはどうだっ……」

 

ハジメの顔は引き攣っていた。何事かとハジメのステータスプレートを覗いて見るとその訳が分かった。

 

「おっと……」

 

ハジメのステータスは誠司より低かった。錬成師という天職が何かは知らないが。それが珍しい天職であることに賭けたい。

 

やがてメルドが順番にクラスメイトのステータスを確認して回って来た。ちなみに白崎は治癒師、あのイケメンは勇者だったらしい。ある意味ピッタリの配役だ。

 

そして、ハジメや誠司の番になった。メルドの話によればハジメの天職、錬成師はこの世界ではありふれた職業だったらしい。ハジメは打ちのめされた表情を浮かべて崩れ落ちる。いつもハジメを馬鹿にしてる奴らがここぞとばかりに嬉しそうに囃し立てる。誠司が軽く睨むとすぐ静かになったが。

 

次に誠司も自身のプレートをメルドに見せると、顔を強張らせた。何かマズかったのか。

 

「魔獣使い………か。うーーーむ………」

「え? 何か不都合でも?」

「うむ…… 我々が魔人族と戦っているのは知っているな?」

「ええ、昨日聞きました」

「その魔人族は最近魔獣を駆使して戦争を有利に進めている。だからな、つまり……」

 

メルドは言いにくそうにしているが、誠司は何となく察した。

 

「つまり、人間族の味方が魔獣を使っていると心象が悪すぎると?」

「……まぁ、そういうことになる………」

 

誠司もこればかりは流石に絶句した。それを聞いて調子を取り戻したのかさっきまで黙っていた奴らが誠司まで馬鹿にし始めた。

 

「なんだよ。結局こいつも役立たずってことじゃねえか!」

 

その言葉でドッと笑い声が上がった。

 

こうして誠司とハジメはクラスメイトの中で役に立たない無能の烙印を押される羽目になった。その後、畑山先生が何の慰めにもならないフォローをしてくれたが、そこは割愛する。

 

 

 

ステータスが明らかになってから数日後の夜、誠司は城の中を散策していた。首にタオルを巻き、普段着というラフな格好だ。道中、メイドが誠司を見てヒソヒソ話していたがスルーする。まさかこの世界でも遠巻きにされるとは思わなかった。数日の間、何度か訓練が行われ、レベルも少しは上がったが、他の者と比べて碌に結果が出せない状態だった。やはり魔獣使いとしての本領を発揮するには魔獣、いやポケモンの力は不可欠だ。だが、そのポケモンもここでは出逢うことが出来ない。誠司はどうしたものかと悩んでいた。

 

そして、誠司はフラッと中庭に入ると淡い光があるのを見つけた。何の気無しに近付いてみると、そこにはポケモンが倒れていた。かなり弱っているようだった。誠司はこのポケモンに見覚えがあった。

 

その時だった。

 

誠司の頭に何か情報が入り込むような特殊な感覚に襲われた。少し目眩がするが、誠司は目の前のポケモンが何なのか分かった。

 

「ネマシュ。はっこう魔獣。草・フェアリー属性。頭のカサはとても美味しく、食べられても一晩で再生する。暗い森で生息し光る胞子をばら撒いて敵を眠らせる」

 

誠司は思わず口を押さえる。スラスラと言葉が出た。脳内に情報が入って来たのだ。誠司はもしやと思いステータスプレートを取り出した。そして、技能の魔獣図鑑の部分を触れてみる。以前、メルドが技能の部分は触れればどんな効果があるか分かると言っていたのを思い出したのだ。

 

すると、こんな説明が現れた。

 

『効果: 魔獣についての能力・属性・特性・使用出来る技等の情報を細かく知ることが出来る』

 

「なるほどな…… 今のがこの技能の効果の一つってわけか」

 

誠司は倒れているネマシュを抱え上げる。

 

「まぁ、流石に放っておくわけにはいかないよな。放置してたら死ぬかもしれんし」

 

そう言って誠司は首に巻いていたタオルでネマシュを覆って周囲からは見えないようにすると、急いで自室に戻った。その間、人と会わなかったのは本当に幸いだった。ベッドにネマシュを置くとすぐにタオルを濡らしに部屋を出る。タオルを濡らして部屋に戻るとちょうどネマシュは目が覚めたようだ。

 

「マ……シュ………」

「安静にしてな。でもなんでこんな所にネマシュが……」

 

誠司が濡らしたタオルでネマシュの身体を拭いていると、あちこちに(ついば)まれたような傷があった。

 

「そうか……… 鳥ポケモンか何かに咥えられて運ばれていた所を空中から落とされたのか……」

「マシュ………」

 

どうやら正解らしい。中庭には低木もあったためそれがクッションになって助かったんだろう。運が良いのか悪いのか。

 

「ネマシュには何か回復技は無いのか……」

 

そう言うと、また情報が頭に入ってくる感覚に襲われた。魔獣図鑑の効果だ。頭の中に色々な技が浮かんでくる。“ねむりごな”、“エナジーボール”、“かふんだんご”……… そして今の状況に有効な技がその中にあった。

 

「これだ…… ネマシュ、俺に向かって“すいとる”だ!」

「マ……シュ………?」

 

ネマシュが戸惑ったような声を上げる。

 

「良いから使え! 俺の体力ならお前の技くらい耐えてやる! だから早く使え!」

「マ……マシュ!」

 

誠司の言葉に意を決したのかネマシュは赤い光線を誠司に浴びせた。光線を浴びると誠司は力が抜けていく感覚に襲われる。反対にネマシュの体は段々と元気になっていく。傷も塞がっていき、目にも生気が戻って来る。やがて、ネマシュは自力で起き上がれるくらいに回復した。

 

「マッシュ!」

「はは…… 良かった。元気になったな……おっと」

 

誠司はフラリと立ちくらみを起こし、膝を着いてしまう。ネマシュが心配そうに駆け寄った。誠司は笑いかけた。

 

「気にすんな。眠れば治る」

「マシュー。マシュマッシュ!」

「ん? どうした?」

 

その時、誠司はネマシュが何を言いたいのか分かったような気がした。何となくではなく、確信のようなものがあった。強い倦怠感のせいで今はステータスプレートを確認する気が起きないが、恐らく技能の一つ『意思疎通(魔獣)』によるものだろう。

 

「お前、もしかして…… 俺と一緒にいたいのか?」

「マシュ!」

「そうか…… なら、これからもよろしくな。ネマシュ」

「マッシュ!!」

 

 

こうして、誠司は最初の相棒、ネマシュをゲットした。




誠司の最初の相棒、ネマシュ登場です。控えめな男の子です。個人的に主人公には少しマイナー寄りのポケモンを使って欲しいと思っています。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。