魔獣使いと錬成師が合わされば世界最強   作:マロニエ19号

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海上都市エリセンへ

円盤に乗って無事地上を出たした誠司達は、現在大火山の入口前にいた。どうやら、この円盤は最終的に大火山の入口の方に出るらしい。円盤は、役割を終えると、また元の場所へと帰っていった。

 

誠司達は下山した後にプリーゼでアンカジ公国に帰還した。まだ数日しか経ってないはずだが、数週間も経ったような気がするのは、それだけ濃い時間を過ごしたからだろう。

 

入場問の前までプリーゼを寄せて降車すると、門番の兵士達が駆け寄って来た。ランズィから事前にプリーゼの特徴を聞いていたのか、フューレンの時のように尋問する訳ではなさそうだ。

 

「あの、中西誠司様、南雲ハジメ様、ユエ様、シア様、ティオ様ですね?」

「ええ、グリューエン大火山から静因石を採取してきました。そのまま医療院に向かいますが、構いませんね?」

「っ! 勿論です! 今、領主様にも伝令を送ります! 誠司様達はそのまま医療院に向かって頂いて大丈夫です!」

 

静因石を採ってきたと聞いて、兵士達の顔に安堵の色が浮かんだ。おそらく彼らの家族も医療院にいるのかもしれない。

 

兵士達から許可を貰うと、誠司達はまっすぐ医療院に向かった。医療院に到着すると、治癒師の一人が誠司達に気づき、大慌てで近づいて来た。

 

「ハジメさん、皆さん戻りましたか! 静因石は見つかりましたか!?」

 

治癒師の声に他の治癒師や職員達もわらわら集まってくる。治癒師から随分切羽詰まった様子で尋ねられ、ハジメは無言で宝物庫から大量の静因石を取り出した。山盛りに積み上がった静因石に思わず唖然とする治癒師達に、ハジメは少しだけ得意そうに尋ねた。

 

「これくらいで足りるかな?」

「え、ええ。十分です。しかも、どの静因石も純度が高い。これなら効果の高いばんのうごなを大量に作れます!」

 

ハジメの言葉に、いち早くフリーズを解いた治癒師の一人が答えた。最初は呆然とした様子だったが、途中で静因石の純度が高いことに気づき、段々と口調が興奮気味になっていく。他の治癒師や職員達も先程までと違い、表情が明るい。聞いたところによると、今日の午前にばんのうごなの在庫が尽きてしまったそうだ。この医療院の責任者と思しき、治癒師がパンパンと手を叩いて、部下の職員や治癒師達に大声で呼びかけた。

 

「よし! 皆! ハジメ殿達のおかげで大量の静因石が手に入った。急いでばんのうごなを精製し、患者達に飲ませていくぞ! もう誰も死なせるな!」

『おおぉぉーー!!』

 

全員が雄叫びを上げて、一斉に作業に取り掛かっていく。誠司達も作業を手伝おうと向かったその時、自分達を呼ぶ声が聞こえた。

 

「誠司お兄ちゃん、皆! おかえりなの〜!」

 

振り返ると、万年の笑みでトテトテと走ってくるミュウの姿が見えた。誠司達の顔に笑顔が浮かんだ。ミュウの後ろには、領主のランズィの姿が見えた。少し疲れた様子のその姿は、どこか元気な孫娘に振り回されるお爺ちゃんのように見えた。

 

「領主殿、随分早い到着ですね。伝令の人が出発して、まだ十分も経っていないはずなのに」

 

誠司が近くの時計を確認しながらそう言うと、ランズィが苦笑しながら答えた。

 

「いやなに、ちょうど医療院の様子を見に行くところだったからな。その道の途中で君達の帰還の伝令を聞いたんだ。そうしたら、彼女が駆け出してな。余程会いたかったのだろう。追いかけるのが精一杯だった」

 

ランズィがそう言いながら、ミュウに目を向ける。ミュウはハジメ達に囲まれて嬉しそうな顔をしていた。それを見た誠司は少しバツが悪そうに、ランズィに謝罪する。

 

「そうでしたか…… すみません、何か振り回しちゃったみたいで」

「いやいや、子供は元気が一番だ。それに、宮殿にいた時は本当にお行儀良くしていたしな。それだけ彼女が誠司殿達に会いたかったのだから、君達が謝る必要など無いよ」

 

やはり、ミュウには寂しい想いをさせてしまっていたようだ。ミュウのことは女性陣に任せ、誠司は早速依頼の話を始める。

 

「それで……静因石は無事に採集してきましたので、依頼は完了ということでよろしいですか? それとも他にやるべきことはありますか?」

 

誠司としては、用事も終わったのでさっさと海上都市エリセンに向かいたいところであった。ハジメも誠司とランズィの会話に入ってきた。

 

「あの……まだ手伝った方が良いですか?」

「いや、心配は無用だ。実は王国の方からも救援部隊を送って貰えるようになってな。そう遠くないうちに、ここアンカジに来るだろう」

「そうでしたか。それは良かった……」

 

誠司がホッとしたようにそう言うと、ランズィは笑みを浮かべた。

 

「それに、君達としても早く出発したいのではないかな?」

「……! バレてましたか……」

 

誠司の内心をランズィは見抜いていたようだ。ハジメも言った。

 

「はい、正直なところ……早くミュウちゃんを母親のところに帰してあげたいですしね」

「うむ、それが良いだろう。しかし……娘が寂しがるだろうな」

 

聞けば、ミュウは留守の間、ランズィの娘であるアイリーと仲良くなったそうだ。アイリーもミュウのことを、妹が出来たみたいで凄く可愛がってくれていたらしい。それなら別れの挨拶とかはさせた方が良いと判断し、誠司達は一旦宮殿に向かうことにした。

 

ミュウも最後にアイリーに挨拶をしたいと言ったので、ランズィに尋ねると快く承諾してくれた。ランズィの息子のビィズとも最後に挨拶くらいはしておきたかったし、誠司達としても丁度良かった。

 

宮殿に着くと、誠司達はアイリーやビィズとも別れの挨拶を交わした。アイリーは、ミュウと別れたくないと駄々を捏ね、自分より十歳も年下のはずのミュウに宥められていた。一方でビィズは、誠司達と一人一人握手を交わし、何度もお礼を言った。ハジメに対してどこか熱の籠った目を向けていたので、それに気づいた誠司は半強制的に引き離した。そんな誠司の行動をユエやシアはニヤニヤしながら見ていた。

 

そんなこんなで、誠司達はプリーゼに乗り込んで出発の準備を始める。今出発すれば、一晩野宿して、明日の昼頃にエリセンへ辿り着けるだろう。誠司はプリーゼに乗り込む前に、ランズィと別れの挨拶を交わした。

 

「それでは誠司殿。良い旅を」

「ありがとうございます。それで、報酬の件、お忘れなく」

「ああ、勿論。今後君達が教会と敵対しても、我々は中立の立場を貫くことを約束しよう。それと、これを」

 

そう言ってランズィは一枚の手紙を渡した。封蝋には領主の家紋があり、重要なものであることが分かる。

 

「……? これは?」

「私からの推薦状だ。エリセンで何かトラブルがあった時にこれを渡すと良い。何かしらの助けになってくれるだろう」

「え? 良いんですか?」

 

イルワからの依頼書もあるので、エリセンで自分達が誘拐犯に間違われることは無いだろうが、アンカジ公国の領主からの推薦状もあれば疑われることすらないだろう。なので、ランズィからの推薦状を有り難く頂戴することにする。

 

そして、誠司達はランズィを始めとしたアンカジの民達に見送られながら、エリセンに向けて出発した。

 

 

ーーーーーーーーーー

アンカジ公国から遠く離れた氷雪地域、そこの中心にそびえる城の中でローゲンは震えながら目の前の男に跪いていた。ローゲンの身体は、全身が酷い火傷を負っており、跪くのがやっとであった。ローゲンの目の前には一人の男が立っていた。男は険しい表情で尋ねる。

 

「それで? 任務失敗とはどういうことだ? 数日前、お前の報告では、手筈通りに改造したベトベトンを設置したとあったはずだが?」

「も、申し上げますっ。確かにオレは公国のオアシスの水源に設置しました。それにより、公国内で大規模な疫病を発生させることに成功させましたが、その数日後にイレギュラーが発生しまして……」

「イレギュラー?」

「は、はい! 僅か五人で疫病問題を解決した上に、ベトベトンまで捕獲してしまいました…… 彼らはグリューエン大火山に向かったので、そこで交戦したのですが……」

「……ふむ」

 

そう呟くと、男は少し黙り込む。何かを考えているようだが、ローゲンは何が何だか分からず、不安になった。

 

「フリード様?」

「ローゲン、ウルの町での任務が失敗に終わった」

「それは……どうしてですか? あのお方が改造したカラマネロであれば、町一つ滅ぼすくらい訳ないはずでは?」

「それだけではない。オルクス大迷宮に向かったカトレアも任務が失敗に終わっている」

「なっ!?」

 

予想だにしない話に思わずローゲンはふらついた。

 

「この二つは、お前の言う者達によるものだろう。敵は想像以上に強大だ。一刻も早く力をつけねばならん。神代魔法の力がな。ローゲン、グリューエン大火山に行ったと言っていたな。あそこは神代魔法が眠る場所でもある。詳しい情報を教えろ」

「は、はっ!」

 

ローゲンは知り得る限りの情報をフリードに教えた。情報を聞き終えたフリードは頷くと、味方をして心胆寒からしめる眼差しを向けた。

 

「開戦の時は近い。その時はお前にも働いてもらうからな。私がいない間に傷を癒やし、牙を更に研ぎ澄ませろ。良いな?」

「っ了解しました!」

 

ローゲンは決然とした表情で頷くと、身体中が火傷で痛みながらも部屋を出て行く。フリードは、そんな部下を見つめつつも、出発の用意を始める。

 

フリードは部屋に置かれていた黒い球状の石を持ち出すと、それを窓の外に向かってかざす。すると、石は強い光を放ち、次の瞬間には黒い巨大なドラゴンのようなポケモンがいた。ゼクロムだ。

 

「ゼクロム、グリューエン大火山に行くぞ」

「ギュオオオオオ!!」

 

フリードはゼクロムに乗り込むと、グリューエン大火山に向かって飛んで行った。




フリードの相棒はゼクロムです。当初は原作に合わせてレシラムにしようと思ったのですが、フリードは「真実」って感じではなかったので「理想」のゼクロムにしました。
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