魔獣使いと錬成師が合わされば世界最強   作:マロニエ19号

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VSダダリン

ダダリンは、約四メートルの巨体を誇り、凄まじい怪力を発揮するポケモンである。その攻撃力はポケモンの中でも最大級の大きさを誇るホエルオーを一撃でKOさせる程だ。

 

「ダッダン!」

 

ダダリンは再び、豪快にイカリを振り投げてきた。誠司はすかさずツンベアーを繰り出した。

 

「受け止めてくれ、ツンベアー!」

「ベンツァ!」

 

ツンベアーはイカリをギリギリで受け止めるが、ダダリンのパワーは予想以上に高く、段々とツンベアーが押されてしまっている。

 

「あの見た目は……多分鋼属性ですね! ホルード、“10まんばりき”です!」

「ホールゥ!」

「ま、待つのじゃ! シア! ダダリンは……」

 

メインの攻撃手段であるイカリが封じられたダダリンに向かって、攻撃を仕掛けるのは悪い戦法ではないが、シアはダダリンの属性を見誤っていた。ダダリンの体に絡みついていた藻がホルードを抑えて動きを封じてしまう。その次の瞬間、藻が緑色に光って、ホルードの体力を吸収し始めた。

 

「ホ…ル…」

 

それを見て、まずいと判断したティオは部分的に竜化し、翼を出した。そして、翼から複数の刃状の風を放つ。“エアスラッシュ”である。

 

風の刃でホルードに絡みついていた藻が断ち切られ、解放されたホルードは苦しそうに膝をつく。技が失敗したダダリンは、すぐにイカリを引き寄せると、今度は全体重をかけた大技“ヘビーボンバー”を繰り出そうとホルードにのしかかりを仕掛けてきた。

 

「ホルード、負けないでください! “アームハンマー”です!」

 

シアが必死で指示を飛ばすが、属性が分かっていないために、またしても的外れな技を選択してしまう。ホルードは太い両耳を使って殴りかかって防御しようとするが、ダダリンの体がすり抜けて当たらない。

 

「ツンベアー、“れいとうビーム”!」

「ダッダ……!?」

冷気の光線がダダリンに当たり、ダダリンは苦しそうな声を上げる。誠司はシアに怒鳴る。

 

「シア、ホルードを早く戻せ! ダダリンはあんな見た目だが、草・ゴースト属性だ! だから地面技が効きにくいし、格闘技は無効になる!」

「え、そうだったんですか!? わ、分かりました!」

 

シアが慌てて、ホルードをボールに戻すと、今度はハジメとユエが攻撃を仕掛けた。

 

「草・ゴーストってことは炎には弱いはずだよね。エースバーン、“かえんボール”!」

「……シャンデラ、“だいもんじ”!」

「バースッ!」「シャシャンッ!」

 

しかし、この炎攻撃もダダリンには通用しない。ダダリンは周囲の海水を操作して渦状に放出し、炎を打ち消してしまう。誠司は苦い顔をした。

 

「あのダダリン、“うずしお”も使えるのか……」

 

ダダリンはまだまだやれるぞと言うかのように、イカリを振り回している。このまま戦っても勝ち目はないだろう。誠司は速攻で考えた作戦をハジメ達に話した。ハジメ達も今のままでは勝ち目がないことを悟っており、素直に頷く。シアは新たにデカヌチャンを繰り出し、誠司もレパルダスを繰り出した。誠司はまずダダリンの動きを引き付けることにした。

 

「レパルダス、ダダリンの動きを引き付けて、他の奴らに攻撃を向かせないようにしてくれ! “ちょうはつ”!」

「ニャオンッ! ニャーゴッ♡」

 

レパルダスはあざといポーズでダダリンを挑発して、他の者に注意が向かないようにする。その隙に、誠司はツンベアーにもダダリンに聞かれないくらいのトーンで指示を飛ばす。

 

「ツンベアー、“ぜったいれいど”で周辺の海面を凍らせていってくれ」

「ベンツァ」

ツンベアーは大きく息を吸って、強力な冷気の塊を放って、周囲の海水を凍らせていく。これで“うずしお”を使って炎技を無効化してくるようなことはないだろう。凍りつかせたことを確認すると、誠司はレパルダスの方に視線を向けた。

 

一方のダダリンも、巧みに攻撃を躱して挑発を繰り返すレパルダスに怒りを露わにして、その巨体を活かした大技“ヘビーボンバー”を仕掛けてきた。しかし、レパルダスは不敵に笑う。誠司とレパルダスの考えている技は同じものだった。

 

「“イカサマ”!」

誠司の指示と同時にレパルダスは技を発動させる。ゴースト属性のダダリンには効果がある技であると同時に、この技は自分ではなく()()()攻撃力を利用する技でもある。並外れた攻撃力を持つダダリン相手であれば、絶大な威力を発揮する。

 

「ダダッ……!?」

思わぬ攻撃にダダリンは怯む。その隙を突いて、ハジメとユエ、ティオが同時に攻撃を仕掛ける。

 

「今度こそ! エースバーン、“かえんボール”!」

「……シャンデラ、“だいもんじ”!」

「食らうが良い……“かえんほうしゃ”じゃ!」

 

三方向から、炎攻撃を発射しダダリンに浴びせる。咄嗟に“うずしお”を発動させようとするも周囲の海水が凍りついていることに今頃気がついたようで、何も防ぐ手段がなく、ダダリンの体が炎に包まれる。

 

「ダッダダダ……!」

「トドメです! デカヌチャン、思い切り“ぶんまわす”をお願いします!」

「カーヌチャッ!」

デカヌテャンは巨大なハンマーを大きく振り回しながら、ダダリンに突っ込んで行く。ダダリンは炎を何とかするのに夢中で、高速回転しながら突っ込んで来るデカヌチャンに気がつくのが遅れてしまった。気がついた時にはデカヌチャンのハンマーが叩き込まれていた。

 

「ダグッ……!?」

渾身の一撃を食らい、ダダリンは勢いよく吹っ飛ばされて凍りついた海水に激突した。そこまで厚く凍りついていたわけではなかったので、氷は簡単に砕け、ダダリンはそのまま氷の向こう側である海の中へ沈んでいってしまった。

 

「これは……勝てたのか……?」

「分からない。まぁ、とにかくあの魔法陣の所に行こうよ」

 

ハジメがそう言って先を促そうとした次の瞬間……誠司、ハジメ、ユエ、シア、ティオの身体が鎖のようなものに絡みついてきた。鎖というよりも藻のようなもので、それは先程ダダリンが沈んでいった海面の方から続いていた。

 

「まさか……“アンカーショット”か!?」

誠司がこの技に気がついた時にはもう遅く、誠司達はあっという間に海の中に引き摺り込まれてしまう。ポケモン達が誠司達を助けようとするも、どうにもならなかった。

 

ハジメが人数分の酸素ボンベを取り出して素早く渡したので、何とか水中でも呼吸が出来てはいるものの、酸素ボンベも三十分までしか効果がない。つまり、あのダダリンを手早く倒す必要があった。しかも、水中なので、ドンナーを始めとした武器類は全部使えず、水中でも活動できるポケモンしか使えない。誠司はラグラージとヒンバス、ハジメはフローゼルをボールから出した。

 

ラグラージ達は誠司達が拘束されている状況に驚き、慌てて助けようとするが、邪魔が入る。ダダリンだ。誠司は簡単なジェスチャーで“れいとうパンチ”を指示する。ラグラージも的確に意味を理解して“れいとうパンチ”でダダリンに攻撃を仕掛けた。ヒンバスにも“こごえるかぜ”を指示して攻撃をさせる。ヒンバスもそれに応えて、尻尾を振って“こごえるかぜ”をダダリンにお見舞いする。その隙にフローゼルは尻尾のスクリューを使って誠司達を拘束している藻を切ろうとするが、別方向から邪魔が入った。

 

ユエが魔法で防いだので助かったが、攻撃してきたのは腐った海藻のような毒々しい見た目をしたタツノオトシゴやリーフィーシードラゴンのようなポケモン達だった。魔獣図鑑の技能により、誠司の頭に情報が入ってくる。

 

(クズモーに、その進化系のドラミドロ。毒の海藻を餌にしていてダダリンとは共生関係にある……か)

 

どうやら、あのダダリンの仲間のポケモン達らしい。クズモー達は誠司達に向かって一斉に“ヘドロばくだん”を仕掛けてきた。

 

それらをまたユエが魔法で防ぐ。ハジメもハンドサインでフローゼルに指示を出す。

 

(地球のタツノオトシゴは泳ぎが下手だったはず……同じような姿のポケモンならもしかしたら……!)

 

指示を理解したフローゼルが“うずしお”でクズモー達を包み込んだ。ハジメの思惑通り、クズモー達は泳ぎが苦手なようで、渦潮の中でまともに動くことが出来ず、巻き込まれている。しかし、進化系のドラミドロは何でもないかのように、尻尾や腕のような触覚を使って“たつまき”を発生させて、フローゼルが出した渦潮を簡単に霧散させた。

 

一方でラグラージとヒンバスはダダリンに有効打を与えられずにいた。解放者の相棒だっただけあって、非常に頑丈で、苦手なはずの属性の技を今まで受けてきたはずなのにまだ戦えるだけの体力が残っていた。ダダリンはヒンバスを吹っ飛ばし、ラグラージとも互角以上に戦っていた。このままでは埒があかない状況である。

 

その時、どこからか渋いおっさんの声が聞こえた。

 

「俺のダチに…………何やってんだぁぁぁ!!」

 

大型の魚ポケモンがどこからか現れてダダリンに渾身の攻撃を叩き込んだ。突然の援軍に、誠司達は大きく目を見開いた。サケのような大型の魚ポケモン、イダイトウだ。特殊な姿のバスラオが進化するポケモンという情報が誠司の頭に入ってくる。人語を話すポケモンに、誠司もハジメも心当たりがあった。

 

かつてフューレンの水族館に捕獲されていたバスラオ、ラーさんである。旅をしている間にイダイトウへと進化を遂げたようである。

 

「よぉ、再会の挨拶……って場合じゃねえな。まずはこのデカブツをぶっ倒そうぜ! やるぞ、そこのラグラージ!」

「ラ、ラグ!」

 

突然の登場により、ラグラージも一瞬呆気に取られるも、ラーさんが味方であることは取り敢えず理解したようで、素直に頷いて反撃を開始する。フローゼルもクズモーやドラミドロ達と戦っているが、多勢に無勢で厳しい状況になっていた。

 

その頃、ダダリンによって遠くまで吹っ飛ばされたヒンバスは一瞬気を失うも、すぐに意識を取り戻し、反撃のために誠司達の元へ戻ろうとする。しかし、ヒンバスの体は海藻に絡まってしまっていた。しかも、この海藻は随分と粘着生が強く、身動きが取れない。それでも必死にもがき続ける。誠司達を助けたい、フューレンで死にかけた自分を助けてくれた一生の恩に報いたい、その一心でヒレを動かし続けた。

 

その瞬間、奇跡が起こった。

 

ヒンバスが絡まっていた海藻にはハートのウロコというものも、くっ付いていた。そのハートのウロコはヒンバスがもがくうちに海藻からヒンバスの体へと移り、それがヒンバスに新しい力をもたらすこととなった。

 

「ヒヒンッ!?」

 

ヒンバスの体は光に包まれ、大きく、そして長くなっていく。絡まっていた海藻も体が大きくなるにつれて、ブチブチと千切れていく。進化の光が収まると、そこには虹色に輝く鱗を持つ美しい長魚のようなポケモン、ミロカロスがそこにいた。

 

「ミロ〜!」

ミロカロスは全速力で、誠司達の元へ向かった。

 

誠司達はクズモーやドラミドロ達相手に苦戦を強いられていた。先程の“うずしお”で完全に怒らせてしまったようで、強力な毒属性の攻撃を繰り出していく。ユエの結界で何とか防御しているが、向こうは縦横無尽に動き回ってあちこちの方向から放ってくる。大型の船でさえ溶かしてしまうドラミドロの毒は強力で、ユエの結界も攻撃を受ける度に溶けてしまう。フローゼルも応戦しているが、数が多すぎるために対応しきれていない。ドラミドロ達が同時に“どくどく”を撃ち込んでトドメを刺そうとしたが、突如特殊なベールのようなものが誠司達を包み込んで、“どくどく”から守った。

 

(なんだ? この技は……“しんぴのまもり”か。フローゼルはそんな技は使えなかったはず。一体誰が……)

 

誠司達が辺りを見回すと、ミロカロスがいた。ミロカロスの美しさに、思わず目を見開くが、誠司はすぐに自分のヒンバスが進化したことを悟った。

 

(……そうか。進化したのか……おめでとう)

 

誠司はミロカロスの目を見て頷くと、ハンドサインでクズモー達と戦うよう指示を飛ばす。まずはこのクズモー達を何とかするのが先だと考えたからだ。ミロカロスは大きく頷いて、クズモーやドラミドロ達に視線を向けると、蛍火のような光を出した。それを見て“あやしいひかり”だと気がついたフローゼルは咄嗟に目を瞑る。光は眩い光を放ち、クズモー達を混乱状態にしていく。混乱したクズモー達は互いに攻撃を始めてしまう。その隙に、ミロカロスは新たに覚えた“ドラゴンテール”をドラミドロ達に叩き込んでいく。ドラミドロ達は遠くへ吹っ飛ばされてしまい、残ったクズモー達はフローゼルがもう一度“うずしお”に包み込んで、まとめて弾き飛ばした。これでひとまず厄介なクズモーとドラミドロ達が片付けることが出来た。

 

その時、誠司達に絡まっていた藻の鎖が解けた。ダダリンの方を見ると、目を回して倒れるダダリンと勝利の雄叫びを挙げるラグラージとラーさんの姿があった。

 

誠司達も勝利を喜びたい所だが、酸素ボンベの酸素容量が無くなってきたので、急いでラグラージ、フローゼル、ミロカロス、ラーさんに遺跡まで運んでもらった。

 

遺跡に残されていたポケモン達も、誠司達が無事に戻って来たのを見て嬉しそうに駆け寄ってきた。ひとしきりポケモン達と勝利の喜びを分かち合うと、誠司達はラーさんの元へ向かった。誠司はお礼を言った。

 

「ラーさん、来てくれてありがとう。本当に助かったよ」

「どういたしましてだ。まぁ、フューレンの水族館での借りを返したまでだ。気にするな」

「冗談抜きでラーさんが居なかったら、僕達は負けてただろうからね。ここに居てくれた偶然にも感謝しないと」

「おいおい嬢ちゃん、積み重なった偶然は、もはや必然と呼ぶんだぜ? おっちゃんがお前さん達に助力できたのも必然、こうして生き残ったのも必然さ」

 

誠司とハジメがそんな風に会話をしている中、背後の女性陣は何とも言えない表情を浮かべていた。話の内容的に、フューレンで水族館デートをした時に知り合ったらしいことから、一体二人は何をやっていたのかと言いたげだ。

 

そうこうしているうちに区切りがついたようだ。ラーさんは踵を返して泳ぎ始めた。

 

「じゃあな。おっちゃんはもう行くぜ。縁があればまた会おうや」

「ああ、ラーさんも元気でな」

「助けてくれてありがとう」

「おう、嬢ちゃんもライバルが多そうだけど、しっかり射止めろよ。後悔のないようにな」

 

それだけ言い残すと、ラーさんはそのまま大海へと消えていった。

 

残された誠司達は、今度こそ神代魔法を手に入れるために魔法陣へ足を踏み入れた。足を踏み入れた瞬間、無事攻略者と認められたようで、誠司達の脳内に新たな神代魔法が刻み込まれていった。それと同時に誠司達の目の前に攻略の証であるオレンジ色のメダルが現れた。それぞれ証を受け取ると、衣服に着けていく。

 

「ここでこの魔法か……大陸の端と端じゃない。解放者め」

「……やっと見つけた。『再生の力』」

 

ハジメが悪態をつく。それは、手に入れた神代魔法が再生魔法というものだったからだ。

 

思い出すのは、ハルツィナ樹海の大樹の下にあった石版の文言。先に進むには確かに『再生の力』が必要だと書かれていた。つまり、東の果てにある大迷宮を攻略するには、西の果てにまで行かなければならなかったということであり、最初にハルツィナ樹海に訪れた者にとっては途轍もなく時間がかかる。誠司達は、魔力駆動車という高速の移動手段を持っているからまだマシではあるのだが。

 

ハジメが解放者の嫌らしさに眉をしかめていると、魔法陣の輝きが薄くなっていくと同時に、床から直方体がせり出てきた。小さめの祭壇のようだ。その祭壇は淡く輝いたかと思うと、次の瞬間には光が形をとり人型となった。どうやら、オスカー・オルクスと同じくメッセージを残したらしい。

 

人型は次第に輪郭をはっきりとさせ、一人の女性となった。祭壇に腰掛ける彼女は、白いゆったりとしたワンピースのようなものを着ており、エメラルドグリーンの長い髪と扇状の耳を持っていた。女性は口を開いた。

 

「初めまして、私はメイル・メルジーネと申します。反逆者と言えば分かるかしら?  ヒストリーシンボルを手に入れたということは、貴方はここまでの数々の試練を乗り越え、私のだぁりんにも勝ったということね」

 

どうやら、あのダダリンは『だぁりん』というニックネームだったらしい。彼女は、オスカーと同様に、解放者の真実を語り始めた。おっとりした女性のようで、憂いを帯びつつも柔らかな雰囲気を纏っている。やがて、オスカーの告げたものと同じ語りを終えると、最後に言葉を紡いだ。

 

「……どうか、神に縋らないで。頼らないで。与えられる事に慣れないで。掴み取る為に足掻いて。己の意志で決めて、己の足で前へ進んで。どんな難題でも、答えは常に貴方の中にある。貴方の中にしかない。神が魅せる甘い答えに惑わされないで。自由な意志のもとにこそ、幸福はある。貴方に、幸福の雨が降り注ぐことを祈っています」

 

そう締め括り、メイル・メルジーネは再び淡い光となって霧散した。

 

「証の数も四つですね、誠司さん、ハジメさん。これで、きっと樹海の迷宮にも挑戦できます。父様達どうしてるでしょう~」

 

シアが、懐かしそうに故郷と家族に思いを馳せた。その時、神殿全体が振動を始めた。床全面に魔法陣が現れる。その光景に誠司達は既視感を覚える。

 

「うぉっ!? なんだなんだ?」

「……この揺れ、もしかして……」

「どうやらまた転移のようじゃの」

「ええ〜、今度はどこに飛ばされるんですか?」

「分からないよ。でも備えとかないと」

 

誠司達が一旦全部の手持ちをボールに戻した瞬間、魔法陣が発動してどこかへ飛ばされた。気がつくと、誠司達はメルジーネ海底遺跡の入口である月影の島にいた。空は真っ暗で、まだ夜のようだ。

 

「どうやら、これで大迷宮攻略完了ってところかな」

 

ハジメがそう呟くと、島の近くに停泊していた船からガイドの怒鳴り声が聞こえてきた。

 

「お客さん、何してる! もうそろそろ日が昇るよ! 早く島から離れないと二度と帰れなくなるね!」

 

それを聞いて誠司達は顔を青ざめた。どうやらかなり長い時間いたらしい。誠司達は急いで船に向かい乗り込んだ。船を発進させて島から離れた時には日が昇り、夜明けを迎えていた。振り返ると、確かにあったはずの島が見えなくなっていた。

 

何とも不思議な島で夢だったのではないかという気持ちになるが、誠司達の衣服には新たにオレンジ色の証が着いており、現実であることを証明していた。




ちなみにですが、メルジーネ海底遺跡内は時間の進み方が特殊であり、攻略後は必ず月影の島が消える直前である夜明け前に帰る形となっています。「攻略したからって油断していると大変だよ」というメイル・メルジーネのありがたい教えです。
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