陰鬱系魔法少女モノに、子供向けキラキラ魔法少女が落ちてきた話。 作:ヒオルカ
轟音が鳴り止む。
「あ...」
私から湧き出た膨大な魔力は...
彼女の強化されたシールドを全て削り切ったところで、急速に収束する。
そして彼女の体には一切ダメージを与えることはなかった。
「ッ....冗談じゃない...!あたしのブレスレット全部持っていくなんて!」
狙いが定まらない。
撃ってはいけないという心が、私の魔力を完全に制御する。
「あれだけ数があったっていうのに...あんたはどんだけ貯め込んでたのよぉ。先にあんたを気絶させて持って帰ればよかったわぁ...」
撃てない。
やらなきゃサキちゃんがやられる。
さっき隠した子供も。
残った魔法少女だって、もしかしたら。
それでも私の心は、彼女を人だと言っている。
どれだけ酷いことをしていても、災禍に人生を狂わされた少女の中の一人。
「はぁ...流石にもう使い果たしたみたいね。ブレスレット五本分の落とし前もあるし...ここで死んじゃいな!」
彼女が指先をこちらへ向ける。
「っ...!ダイヤモンドベール...!」
再構築したベールを展開したけど、なんだか不安定な力しか出ない。
ポリッシュリングのヒビのせいだろうか、魔力が十分に行き渡らない。
「...っやあ!」
「あぅっ...!」
またしてもベールは粉々に砕け散ってしまう。
その衝撃でコスチュームは元に戻り、体を包み込む魔力が消え去る。
足の力が抜けて、うまく立っていられない。
「終わりよ!」
彼女は容赦なく斬撃を私に向かって走らせた。
当たれば...きっと私はもう目覚めることのなくなるであろう一撃を。
「駄目ルビーっ!」
ポシェットからルビリンが飛び出してきて、迫り来るそれを受け止めた...!
「...!ルビリンッ!」
負傷したルビリンは力なくゆらゆらと地面へ落下する。
「ルビリンッ!どうして...!」
「る、ルビ...」
ルビリンは苦しそうに息をしている...
「ルビリン...!ぅう...!」
「類は友を呼ぶってやつぅ?どいつもこいつも、お優しいことでねぇ。」
彼女は何度目かの攻撃を、もう一度繰り出そうとする。
「じゃあね.........っ!?」
彼女は瞬時にその場から飛び退いた。
その刹那、彼女が立っていた場所に魔力のこもった三本の矢が突き刺さる。
「おいおい、もう朝だってのに妙な魔力を感じると思ったら...クソ魔女さんがいるじゃねぇか!」
「...チッ。」
どうにか声の出どころに向かって振り向くと、そこにはジュリとコトノが、結界を破って乗り込んでいた...!
「ジュリ...ちゃん...!コトノちゃん...!」
結界のせいで気が付かなかったけど、空には既に日が昇っていたようで、辺りが一気に明るくなる。
「あーもう、邪魔ばっかり!...引くよラクネ!」
「わーったヨ!」
「逃がすか...!」
元々逃走用に張っていた糸があるのだろうか、魔女の体は急速に引っ張られ、この戦線から離脱しようとする。
「おっと!これくらいのお土産がなきゃ骨折り損だもんねぇ?」
その途中で、倒れ伏したサキちゃんとルビリンを掴んで連れ去ろうとする。
「サキ...!ルビリン...!ぐっ...返セ!」
「待ちやがれ!」
ジュリちゃんは一瞬だけ脚力を強化して、魔女に肉薄する。
「オラァッ!」
その勢いのままハルバードを...
「危ないねぇ!」
その瞬間、魔女は動かないサキちゃんを糸で操ってハルバードの軌道上に置いた。
「ッ...!?クソッ!」
ジュリちゃんはどうにか刃先を逸らし、そのまま体勢を崩して失速した。
「それじゃあね、お人好しのお馬鹿さん達〜。」
そうして...長い夜明けは、邪悪な魔女が行方をくらますことで幕を下ろした。
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「...酷い有様だな?」
ジュリちゃんに抱き起こされる。
「あ...あっちに、倒れてる子供がいるから...お願い...!」
「...分かったわ。まったく、少しは自分の心配したらどうなの?」
コトノちゃんがあの子を抱き抱えているのが見える。とりあえずこれであの子は安全だろう。
「クロ...!あんた無茶しすぎなんじゃないノ...?」
「あんまり動いちゃ駄目だワ!」
「うるせェ...!サキ...ちくしょウ...」
私とクロは回復魔法をかけてもらい、どうにか動けるくらいになる。
「二人とも...来てくれてありがとう...」
「勘違いすんな、目障りな魔女を叩き潰せるチャンスだと思っただけだ。逃げられちまったが...」
私は彼女との長い戦いを、二人に話した。
「ブレスレットを五本...ガキを餌に...チッ、性根の腐り切ってるようで尊敬するぜ。」
「あの魔女は陰湿な罠と躊躇のない搦手で、多くの魔法少女を消してきたと聞いているけど...何の誇張もなさそうね。」
二人は考え込む。
「とにかくサキを助けにいかねぇト...!」
「...無理だろ、あの魔女は痕跡を残さない。そう簡単にいる場所がわかればもうボコられてるはずだぜ。」
魔女がいる場所...
その時、ポリッシュリングを通して...よく知る気配を感じ取ることができた。
「...?何をしているの?」
目を閉じて感じる...慣れ親しんだあの魔力を。
「......!向こう!あっちにルビリンがいる!」
「はぁ...?なあコトノ、自分の妖精の位置とか分かるか?」
「いや、さっぱりよ...」
確実にいる。
私の大切な友達がそこに。
「...きらりとルビリンは、変身する時にほとんど完全にシンクロしてるかラ、そのおかげだナ...!」
「これで...助けに行ける...うぅ...!」
「ちょっと...!そんな体で敵の本拠地に攻め込んでどうすんのよ!」
「...けどよ、せっかく奴のブレスレットを五本消し飛ばしてやったんだ。あんまり時間かけると...サキは消えるしアイツは補充を終えちまう。」
疲れで頭が働かないけれど...動けるならば、行かなくちゃいけない。
この世界とあの世界での親友を失うなんて、私には耐えられないから。
「おい...!はぁ、しょうがねぇ。アタシ達でどうにか...」
「私が行こう。」
私たちのすぐそばに、一人の少女が降り立つ。
その彼女は西洋剣を背中にしまいながら、こちらに手を差し出した。
「カナタ...!」
「協力させてほしい。今まで尻尾を見せなかった魔女を倒す、千載一遇のチャンスだ。」
そう言って彼女は、頼もしい微笑みと共に、私に肩を貸してくれたのだった。
タ◯シード仮面枠とか出......
やっぱやめとこう。