今年はお仕事忙しいね・・・いやになっちゃうよ。
温泉っぽさを楽しんでいただければ!
それではどうぞ!
木製の桶が濡れた石床に当たると、遠くまで響き渡る心地良い音が、湯けむりの広がる空間に聞こえてくる。
ただいまヘヴンホワイティネスは、温泉旅行を心から楽しんでいる真っ最中。
神宮財閥の所有する温泉宿はやはり高級感があり、カエデの父親であるソウジロウによるチケットで来ているとしても、自分も大金持ちになった気分になれる。
そう思いながらもギンジは、この宿の豪華な造りの大浴場が視界に入るだけでも、心がウキウキと踊る気分だ。
温泉ではあるが今ならきっとあのセリフが完璧に言えるのではないのかと、諦めずにギンジは口を開いた。
「テーマパークに来たみたい「うっひょおーー!これがオンセンですか!」
「・・・」
しかしギンジの言いたい言葉はいつまでも言えないのである。
言葉を遮られて少しだけ苦い表情をするが、その横を赤鬼とケイタがひたひたと濡れる石の床を歩きだす。
「初めて見やしたぜ、オンセンなんてな!」
怪人として風呂の存在は知っていても、ここまで大きい大浴場の存在は見るまで半信半疑だった赤鬼は、ここに居る3人以外が居ない大きな温泉を見ているだけで楽しんでいる。
「僕も温泉なんて久しぶりだな〜」
短めの茶髪をお風呂用のヘアバンドで上に上げながら、ケイタも神宮財閥の用意したこの大浴場を見て、表情を明るくしている。
「お前ら騒いでもいいけど、あんまりはしゃがないようにしとけよ。カエデのお嬢様カードのおかげで、俺たちだけの貸し切り状態に出来たんだからな」
この温泉は二時間だけカエデのお嬢様カードなるアイテムで、貸し切り状態にしてもらっている。
「え?でもさっき、かこーん、って音が鳴りましたが・・・」
「先に温泉に入ってるのはカエデ達だろ。湯気の逃がす為に、上が開いてるだろ。ほら、あそこ」
L字に並んだシャワー台の遥か上、天井に面した接続部分には、こちらから漏れ出る湯気を吸い込む大きな網目状の換気扇が回っており、壁を隔てた向こう側、つまり女湯の湯気もあの換気扇から吸っているのだろう。
『ちょっとミヤコ!泡をこっちにかけないでよ!』
『ミドリコ・・・やっぱり、大きい』
『そ、そうか?あまり見ないでくれよ・・・恥ずかしいだろ』
『くふふふ、カエデこそシャワーを当てないで』
どうやら向こう側も楽しんでいる様だ。
一枚の壁を隔てても女性陣の楽しそうな声が聞こえてくると、男性陣もなにか話かけられたり、ミヤコが暴走したりすると面倒そうなので、ギンジのケイタは静かにシャワー台へと向かう。
向かおうとしていたのだが・・・。
「ミドリコおぉぉぉ!!!今裸なのか!裸なんだな!」
赤鬼だけはその歩みを止めて、壁の向こうに居る女性陣に、しかもミドリコ個人に向けて雄叫びにも近い大声をあげる。
「バカやめとけよ!」
「そうだよ!僕だってレンを呼びたい気持ちがあるのに、赤鬼だけズルいよ!」
まさかのケイタもそっち側だった事に頭を抱えそうになるが、ギンジは赤鬼をぶん殴ってすぐに黙らせる。
しかしヘヴンホワイティネスはいつでもどこまでも一難去ってまた一難がやってくる。
『くふふふ!ギンジ君!今からそっちに行くね!』
『駄目だっての!あ、こらタオル外すなぁ!』
『おいおいミヤコ!本当に駄目なんだ!あ、コラ!どこを触ってるんだ!』
『・・・ミドリコ、大きい・・・』
もはや壁を見なくとも女性陣が何をしているのかさえ分かりそうな、やりとりにギンジもケイタもため息をつく。
「ミヤコー、お前もあんまり騒ぐなよ〜」
『聞こえる!ギンジ君が全裸で待っている時の声が!』
『聞こえないわよ!いい加減な事言うんじゃないわよ!』
『えーでも明るい所でギンジ君の裸、見てみたくない?』
『・・・』
なぜかここで急に黙るカエデ。
『そう言えばあいつって・・・あろうことか、あたしの身体は見てるのよね・・・!』
『ふーん・・・ギンジ君、カエデの裸は見てるんだ?ところで質問なんだけど、今って貸し切り状態だよね?』
『そうね』
『だったらわたし達しか居ないよ?今しかないよ?わたしも見たいし、同じお湯に入りたい』
きっと今のミヤコは真顔でカエデを説得しているのだろう。
「お前ら何をするつもりだ・・・っていうかアレは不可抗力だろ!」
過去にギンジが、お風呂に入っていたカエデの裸を見てしまった事があるのだが、アレはミヤコに呼び出されたから、ミヤコしか居ないと思っていた油断から見えたラッキーだったのだ。
『ギンジしか、見ていないのは、不公平』
『そうだな。ギンジが覗いたのであれば、逮捕だな』
「違げーー!!」
「兄貴、まさかミヤコ姉さんだけじゃなく、カエデの姉御も!?流石俺っちの見込んだ漢よ!どら、こんな薄い壁、ぶっ壊してやりますよ!」
腰巻きのタオル一枚の赤鬼が、深く腰を落としてお決まりの必殺技をシャワー台と壁にめがけて放とうとするが、ケイタが前に立つことでそれを妨害する。
いくらカエデのお嬢様カードがあるとは言っても、流石に器物損壊はヒーローのする事ではない。
怪人である事がバレない為に、カエデの好意で貸し切りにしてもらっているのに、こんな事で破壊されたらカエデの本気の怒りを見る羽目になるからだ。
「さ、流石に空砕烈拳は駄目だよ!」
「じゃあ俺っちの自慢の金砕棒で・・・」
「汚ぇモン出すな!」
腰巻きタオルを外そうとした赤鬼に、ギンジから本気のパンチが飛んできた事で、まだ身体も洗っていないのに翡翠色の浴槽に叩きこまれて、赤鬼というイレギュラーは静かになった。
『あ、赤鬼は今何をしようとしたんだ・・・?』
「ミドリコもうるせー!」
奥の壁からミドリコが硬唾でも飲み下した様な、何か期待に満ち溢れた声音で訪ねてくるが、それすらもギンジが両断する。
「いいからもう大人しく風呂に入れーー!!」
なおも暴走しようとするカエデやミヤコ、浴槽のお湯を飲みながら立ち上がる赤鬼に、ギンジの本気の一括が鳴り響き、全員反省モードに。
「せっかくの温泉旅行でしかも貸し切りなんだから、暴れる様な事すんじゃねー!」
ギンジとしても今回の温泉はゆったりしたいのだ。
『くふふ、ごめんなさーい』
『ほら、もうゆっくりしましょ。あたしの下僕ちゃんが怒ってるからね』
『カエデ、あの下僕、短気だね』
『まったく・・・軽いジョークだろう』
ギンジが怒った事に対して、女性陣は全員あんまりな言い分であったが、あまり時間が無いということもあり、ヘヴンホワイティネスの温泉タイムが始まった。
・・・・・・・・・・・・・・
男湯の広さはたった三人で入るには十分すぎる広さがあり、壁に面したL字のシャワー台の向かいには、翡翠色が輝くお湯の入った、石を四角く削り、研磨した浴槽がある。
そのすぐ隣には丸く模ったタイルに、浴槽の底からボコボコとジャグジーが盛り上がっている。
この大浴場の入り口の近くには、サウナもありながらかなりの人数っがこの温泉に入れるのだろう。
そして何より目玉としてギンジもケイタも赤鬼も楽しみにしているのは、露天風呂だ。
入り口から見てすぐ目の前、露天と書かれた耐水の張り紙に、ギンジ達は楽しみにしていたのである。
その前に仲間たちの暴走もあったのだが、今はそんな事はどうでも良い。
身体を洗い、屋内風呂で身体を温め、温泉のメインとなる露天風呂。
「赤鬼ー、僕達は先に行ってるよ」
「へい。このジャグジーっての、俺っちの身体にとてもマッチするんで、もう少しだけ・・・もう少しだけ・・・」
赤鬼の屈強な身体にはジャグジー風呂が効いているのか、ボゴボゴと溢れてくる空気圧にドハマりしている模様。
「それじゃあ、俺たちは露天に行くか」
ギンジが露店風呂の扉を開ける。
外は夜になりかかり、青い空が遠くに向かって徐々に秋の涼しい夜へと、その時間帯を進めていた。
「わぁ・・・」
やがて星も輝いてきそうな夜の快晴に、ケイタは肌に触れてくるそよ風の心地よく思う。
「入ろうぜ!」
露天風呂は石を削り切り、パズルの様に組み合わせたお風呂となっており、透明度の無い白いお湯は、腰痛、傷、リウマチ、まだ効かないけどいずれ癌に効く・・・等などにわかには信じられない内容のモノらしい。
隆起していて表面についた手すりに捕まりながら、ギンジとケイタは一緒に温泉を満喫しに入った。
「んっ・・・ふぅ〜〜ぁぁ・・・」
「ぷっ、おじさんみたいだね、ギンジ」
熱いお湯に脚から入り、しゃがむと同時に溜めた息を吐き出しながら、肩までお湯に入る。
そんなギンジのポカポカした顔をみながら、ケイタはオジサンみたいだとギンジをからかってみた。
「うるせー。俺はだいたい中身はオジサンなんだよ。ケイタもいつかこうなるぞ。ホラ、いつまでもそんなモノ見せてねぇで、早く入れよ」
オジサンとは言ってもギンジの見た目は、普通に若い人間に見える。
くすんだ金髪のツーブロックに、怪人としての造られた事を示す、黒く赤い瞳。
今までの戦いによって負った、傷の数々。
ケイタよりも鍛え上げられた身体に、怪人としての能力、そして誰よりもこの世界の平和を望んでいるかの様な言動。
「・・・ねぇ、ギンジ」
「どうした〜?」
「僕さ、どうしてもギンジに聞きたい事があってさ。こういう時ぐらいしか聞けないし、良いかな?」
「・・・ああ」
ケイタが軽く泳ぐ様にしてギンジの隣に座る。
白く濁らせてある温泉の効力が、身体に染み渡る気だけさせてケイタは夜空を見上げる。
「ギンジってさ、今まで僕らの事を何度も助けてくれたし、ずっと頼りになる人だって思ってたんだ」
「ん?」
「でも・・・それは君が怪人って呼ばれる存在であって、特別な力があるからだったんだよね」
「・・・まぁ、そうかもな」
「でもさ、一緒に行動をするようになって、僕は最初はギンジの事を警戒してたんだ。レンを取るんじゃないかってね」
ケイタが初めてギンジに出会った有姪海岸の事を思い出す。
あの時のギンジの悪者っぷりは、きっと誰であっても、好きな女の子を取られてしまうのでは無いのだろうかと、内心警戒はするだろう。
そもそも今年の3月の時はミドリコの家で、一つ屋根の下三人で暮らしていた事もあり、毎日ケイタはレンの事を心配していたぐらいだった。
「僕はギンジに出会えて良かったよ。ギンジに会えていなかったら、今頃ヘヴンホワイティネスは壊滅していたのかも、なんでしょ?」
本来のゲームの通りならば6月にヘヴンホワイティネスは壊滅の危機に陥る。
その事を知っているギンジは、なんとしても彼女達の仲間として、この世界の運命を変える事に尽力したのだ。
それが出来なかったとしたら、ゲームの通りの世界線に移動し、ギンジの望むハッピーエンドは達成出来なかったのだ。その事をケイタは感謝している。
「僕も本当は戦える力なんて持っていないのに、それを持つ事だって出来なかったのに、今では魔法使いだよ、この僕が」
「好きな人を守れる力だもんな。大切に使えよ」
「うん・・・」
ギンジに言われた通り、ケイタのこの力は自分の恋人を守る力だ。
誰かを傷つけたり、それこそ自分の命を使い果たしたりする様な、危険な魔法の力。
「でもさ」
頭に乗せたタオルを取りながら、ケイタはギンジを見やる。
不気味な怪人の瞳は優しさを持っていて、見ていると吸い込まれそうだ。
「ギンジがピンチになったら、僕に守らせてくれないかな」
「お前が〜?出来んの〜?」
ケイタの魔法のおおよその能力は、他人の強化魔法だ。
大きな善行の力と正義の志を持つケイタの魔法は、ギンジと赤鬼にはかなり強い猛毒になっていた。その事を一瞬で思い出したギンジは、ケイタを小馬鹿にしたような声音で、おどけて見せる。
「だ、大丈夫だよ!絶対守るから!」
「へへへ、まぁ期待はしてるぜ。お前の事も俺が守ってやるからさ、お互い無理しないように頑張ろうぜ」
「うん。任せて!」
「前に出れないお前に何を任せるってんだ〜?」
「もうギンジ〜・・・」
他愛もない話でいつ終わるか分からない戦いへの話を、二人して夜空に聞こえるぐらいの笑い声を出し合う。
「そう言えばさ、僕たちって男同士なのにあんまりこうやって会話する事なかったよね。ギンジの事、もっと知りたいな」
「俺の話より、お前らどこまで進んだんだよ。レンの事聞かせてくれよ」
「え!?えーと・・・」
温泉の夜はまだもうちょっとだけ続いた。
・・・・・・・・・・・・・・・
人気の無くなった時間、夜。
時間としてはまだ20時を回る頃合い。
温泉街の道路には車すら通らず、やや涼しいぐらいには思える様な商店街の並びに、明らかに日本人とは思えない様な服装をした人物が、車道の真ん中を闊歩している。
白銀の鎧を身にまとい、漆黒の色を宿した幅広の長剣が、アスファルトにギリギリつかないぐらいの距離感を保ちながら、音を立てずにその者は歩き続ける。
白銀の鎧に首元には黒いファーがあしらわれ、白銀のレガース、白銀のアーム、そして白銀の兜。
眼に該当する部分には、細く開いた部位に赤い眼光が輝いている。
「ふむ・・・調整はばっちりだろう」
少し離れた所で、後を尾行しているのは、紫色のパワードスーツを身に着けた男の姿。
「鎧の怪人・王騎士型。君は量産されていない、初めての鎧の怪人だ。使っている素材を考えても、量産は不可能な怪人だがね」
くぐもった声で紫色の男・・・ドクターパープルが月夜の下で声を漏らす。
「もし私の休暇中に何かあれば面倒だ。リコニスや他の大幹部が来ているのもそうだが、何よりヘヴンホワイティネスまでこの温泉街に来ているのは予想外すぎたよ。とは言え・・・」
仮面の奥では喜びと驚きを両方混ぜ合わせた様な声を出して、ドクターパープルは雲に隠れつつある月を見上げる。
「もし彼女らが私を見つけても、黙って見逃してくれるとは思えないね。何かあった時は・・・頼むよ、王騎士」
「・・・─」
王騎士型鎧の怪人は何も答えない。沈黙が答えとして、ドクターパープルと王騎士は夜の街へと溶ける様にして消えていった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
温泉の後は豪勢な食事、ほんの少しばかりのお酒を楽しんだギンジは、酒を飲んで荒れるミドリコと赤鬼を見て、愉快な気分になっていた。
「あかおに〜〜っ!つのっ!つのさわらせろお」
「ヌハハハ〜!おっぱい!触らせろ!」
「やめんか馬鹿者!!!人の居ない所でして」
ほんの少し暴走しがちだが、今日は無礼講だ。
布団を敷いた畳の部屋は、カエデ達女性陣の泊まる部屋だ。
ミヤコは柏木タツヤに連れさらわれた事や、昨日までの色々が身体にたたったのか、もう疲れ果てている。
「うにゅ〜・・・ぎんじ君〜」
「もう寝とけよ・・・」
「やぁだぁ〜・・・」
神宮財閥の神のマークがついた浴衣を着たミヤコは、顔を少し赤くしながらギンジの膝の上に倒れている。
お風呂上がりの良い匂いと、ミヤコの女の子らしさを見てドキッとしてしまう。
「・・・ちょっと、ギンジ、あんた変な事しないでひょうね」
「あれれ、カエデさん?ちょっと呂律回ってなくないか?」
ミヤコもカエデも少しだけ舌足らずな感じがした。
カエデもいつもの金髪からは、高級なトリートメントの香りがして、そしてギンジのリビドーを上からも下からも加速させる、女の子の肌の匂いが、ギンジの理性をわずかに狂わせ始めている。
「・・・ケイタ」
「ん〜?どうしたの、レン」
少し離れた場所では、レンがケイタの浴衣の袖を引っ張る。
甘える様な声音と、普段のレンらしくない弱々しい力は、ケイタに甘えたい時に出る声と仕草だった。
なのだが、普段とは違うのは、こんな状況でその素の状態に等しい姿を出している事だ。
人前では基本的にはそんな事しないと思っていたのだが・・・。
「もう眠くなっちゃったかな?寝る?」
「まだ、寝ない。寝るなら、一緒が、良い」
レンの言葉にケイタのリビドーが少し増加した。
顔を近づけて、レンとケイタが急接近している。
小顔で整った顔立ち、美少女と一言で片付けられてしまいそうな程で、カエデと同じトリートメントを使っているのか、温泉の香りと女の子の美しい匂いが、ケイタの肺一杯に入り込む。
スカイブルーの髪を普段のおろしている様なスタイルとは違い、今日は温泉ということもあって後ろに短く結んでいる。
可愛い。いつも見ているのに、レンの顔から眼が離せなくなっていく。
「・・・ケイタ、あっち」
「?」
レンが指差した方向に視線を移したケイタは、宿に必ずある謎の個室へと、身体を押される。
「え・・・?」
「・・・ごめんね」
レンが2畳ほどしかない謎の個室のふすまを閉じて、ケイタを閉じ込めた。
自分もその個室に入ったその姿は、ケイタから見えるのは光を背にして、恍惚な表情を見せるレンの姿。
天使とは程遠いが、ケイタにとってのエンジェルである彼女は、呼吸を乱してケイタの胸ぐらを掴み、左右に思い切り引き剥がした。
「え!?ちょっ!?」
「ケイタが悪いんだよ。ケイタが、私とずっと居ないから」
「ちょ、待って、なんか饒舌になってるーー!!」
「ケイタ、今から何をしても貴方なら、なんでも受け入れてくれるはず何故ならば私の心を守ってくれる王子様は君しか居なくて」
顔を近づけながら話してくるレンの息が顔にかかり、ふわっとその香りが何かを感づいた。
お酒だ。
このメンバーで飲酒出来るのは、ギンジ、ミドリコ、赤鬼しか居ない。
浴衣をはだけた・・・と言うより脱がされたケイタは、レンが酔っ払っている事に気がついたのだ。
「も、もしかしてーーー!!」
カエデとミヤコももしかして・・・。
「くふふふふ!ギンジ君、逃げちゃ駄目だよ」
「っすぉーーよギンジ!首にキスしてやんだからー」
「くふっ、じゃあわたしは二の腕に・・・あ、全身行っとく?」
「アリね〜」
「無しだよ!!どうしたんだよ、いい加減にしろ・・・んあっ」
ミヤコがギンジの脇腹に抱きつきながら、爪をたてる。柔らかい肉質部分はミヤコに触られるだけでも、身体が反応してしまっているようだ。
「お、おい・・・二人とも、本当にやめ・・・はうっ」
今度はカエデがゆっくりと押し倒し、ギンジの硬い胸に人差し指をなぞらせる。
「もう逃げらんないわよぉ」
「くふふっ、ギンジ君はねぇ、喉も好きだけどぉ〜脇とかぁ、薬指とかも良いよね〜くふふふ」
「どこでもいいわよお、ぜーーーんぶ、触っちゃえばよいのぉ!」
狂乱する二人の少女がギンジを襲い、ミヤコは浴衣を外そうと、自ら肩から浴衣をはだけさせようと細い腕を動かす。
カエデも同じ様に、既に浴衣がゆるんでおり、二人の肩には寝間着用のインナーの肩紐が見えており、もう少し浴衣が降りれば、ギンジの理性もどうなるか分からない。
「あ、赤鬼!んんっ、はうっ・・・た、助けてくれーー!」
両腕を抑え込まれ、柔らかい所や胸に指を当てられたり、逆に女の子二人の柔らかい部分がギンジの身体に当たるだけで、理性が狂いそうになる。
そんな中最後の希望として、赤鬼と年長者であるミドリコに一縷の期待を乗せて、ギンジは叫ぶ。
「兄貴」
不思議な事に赤鬼は落ち着いた声をしていた。
「おお、流石だぜ赤鬼!お前はやっぱり冷静だな!」
しかしギンジのそんな期待は一瞬で打ち砕かれた。
「済まねぇ。男にゃぁ、引いちゃ行けない時ってあるでな」
赤鬼とミドリコは謎の個室第二号で、既に次のお酒を飲み干していた様子で、ミドリコはどこかソワソワと期待に満ち溢れた表情をしており、赤鬼は浴衣の紐を外しながら、個室へと入り込む。
ふすまを閉じようとした赤鬼が、ギンジに親指を立てた。
「兄貴、ガキが出来たら、兄貴に名前をつけてほしいぜ。じゃ」
スーッパタン。
ふすまは無情にも閉じられ、ギンジにはついに希望が途絶えた。
「うおおおおテメェふざけんなああ!!」
望みは本当に絶望的だが、なんとか身体を守る様にしてうつ伏せになったギンジは、先に個室に入ったケイタの名前を叫ぶ事にした。
身体にのしかかってこられて、全身する事は出来ないが、せめて名前だけでも。
「ケイターーー!俺のピンチだ!助けてくれ!」
・・・。
・・・・・・。
仲間からの返事は帰ってこない。
「くふふふ」
「えへへへ」
「・・・やめて、ひどいことしないで・・・お願い」
伸ばしたギンジの腕はミヤコに絡め取られて、五本の指はカエデに絡め取られて、ついにギンジに救いの手が来ることはなかった。
そしてそんなギンジこれから待っているのは、お酒に酔った少女達からの〈全て〉が待っているのであった。
「あああぁぁぁ〜〜〜っ・・・♡♡♡」
ヘヴンホワイティネスの温泉旅行はまだまだ続く。
続く
お疲れ様です。
※20歳未満の飲酒、及び酒気帯び、酒酔い運転は法律で禁じられております。
※妊娠中や授乳期の飲酒は胎児・乳児発育に悪影響を与える恐れがあります。
※飲酒は適量えおこころがけましょう。
※この物語はフィクションです。実際に学生が旅行先などで飲酒した場合、結構大変な事になります。決してマネしないでください。
※キャラネタ書きます
佐久間ギンジ
酔いどれ少女二人に何をされたのか・・・
飛びつき腕十字とキャメルクラッチ、ジャイアントスイング、根性焼きをされた。ひどいことめちゃめちゃされた
神宮カエデ/鈴村ミヤコ
ギンジにひどい事をした。お酒を飲んだ覚えが無く、多分ミドリコと赤鬼がついでくれたから気にせず行ったっぽい。
宮寺レン
ケイタと何をしたのか。酔うと饒舌になる。
角倉ケイタ
レンにめちゃくちゃにされたかと思ったら、逆にめちゃくちゃにし返した。酔いがうつった。
甘白ミドリコ/赤鬼
わ、私では無いぞ!
お、俺っちでもないぞ!
ぎ、ギンジだ!
そ、そうだ!兄貴が飲ませたんじゃ!
ギンジ「それで良いのかお前ら。警察だろお前・・・」
ドクターパープル
温泉街に怪人連れて来ていた。
リコニス、中山ピリカ、鶴ヶ峰ゴロウの到着と、ヘヴンホワイティネスが来ている事を知っている。
鎧の怪人・王騎士型
唯一量産されていない鎧の怪人。爆撃の怪人と同じタイミングで造られており、今回の休暇においてはこの怪人のみドクターパープルの護衛として連れてこられた。
・・・
次回・・・楽しい温泉旅行に不穏な影が・・・!
バトルは無いよ!
それではまた次回!更新遅くなってごめんなさい。