最近は例のウイルスに加えて、インフルも流行り始めましたね。
体調には皆様お気をつけて!私ですか?アレルギー性蕁麻疹が止まりません!やべーです!
それでは、どうぞ!(本編の事何も話してない)
無数に飛び交う造られた鏡が、絶えず神宮亭の屋内を襲撃し続ける。
当たっても出血するほどでは無いが、それはあくまで赤鬼の肌の硬さによる基準であり、人間だったら肌を裂傷させて、出血もひどくなるモノなのは言うまでも無い。
「おい、赤鬼!この鏡はどうやったら止まるんだ!」
神宮の文字が掘られた、特別製の刀を振り回しながら、十五夜ヒトシがひたすら中を舞う鏡を叩き落としている。
神宮御庭番衆の筆頭でもある彼は、いち早く異変に気づき、神宮亭の一つの部屋で応戦を開始する赤鬼と合流していたのだが・・・。
「止まるまで暴れ続けろォ!」
オリハル金砕棒を無差別に振り回し、空気砲を打ち出しながら、ありとあらゆるモノを破壊して行く赤鬼の言動に、ヒトシは少しだけ不憫な思いをする。
それと言うのも、この怪人と呼ばれる存在の事を、ヒトシはあまり快くは思っていないからだ。
だがそうは言ってもこの大きな神宮亭を守る為に戦ってくれているのは事実であり、赤鬼がこれ以上被害を出さないように戦ってくれているのも事実であり、赤鬼の力が無いと、対処は不可能かも知れない。
銀色の柱や、ラック、ピカピカに磨かれた窓ガラスに、部屋を明るくするシャンデリア。
それらから銃の様に飛んでくる鏡の破片が、またもや飛んでくる。
「くっ、またか!どうすれば止まるんだ!」
「十五夜の旦那、眼を閉じろ!鏡のやつの能力は、視認出来なきゃ攻撃として成立なんざしねぇ!」
「眼を閉じても、このガラスみたいな破片は飛んでくるぞ!」
赤鬼が言うとおり実践しても、それらの刃はヒトシに命中し、足を少しだけ負傷してしまったのだ。
「もう既に瞳に入ったモノは、防げねぇ!とにかく眼を閉じて、次の攻撃を視認するな!」
「どういう事だ!?」
ヒトシの眼の前では見えない打撃が空を切り、奥の窓ガラスが粉砕されていく。
ガラス一枚だけでも数十万はくだらない、貴重な神宮財閥の窓が破壊されたのを見て、ヒトシは顔を青くさせる。
もしこんな事が財閥長のソウジロウに見られたら、自分の立場さえ危なく思える。
勿論これを破壊したのは赤鬼である。
「グルァア!もう一発ぁつ!」
鈍色を貴重として八角のオリハル金砕棒を振り下ろして、銀色に輝く柱とラックを大上段から叩き壊す。
勇ましいを通り越して、なんでもかんでも一撃で破壊する怪人の恐ろしささえ感じる気迫に、ヒトシはその力強さに訝しむ表情を見せていた。
しかしそれだけ壊しても、鏡の破片はまるでそ場所から剥がれ落ちる様に生成されて行き、再び赤鬼とヒトシの下へと突っ込んでくる。
「空砕烈拳!」
左拳を鏡の破片で埋め尽くされた空間に向けて、空気による拳の一撃が再び飛んできた鏡の破片を一網打尽に吹き飛ばす。
吹き飛ばした拍子に、シャンデリアも、残ったラックも、まだ壊れていない窓ガラスも一撃で葬り去る。
「なんて力だ・・・」
「十五夜の旦那、敵は俺っちと同じ怪人・・・おまけに、実力は俺っちや兄貴と同等、もしかしたら未知の能力を引っさげている可能性もあらぁ」
黒い甚兵衛を翻しながら、赤鬼がそう言うとそのまま手にした武器を使って【鏡】んいなりうるモノを次々と破壊していく。
「いちいち壊すな!ここは神宮財閥の・・・」
ヒトシが赤鬼の行動に注意を促そうとするも、赤鬼が大声で一喝する。
「もうここはアイツの手のひらだ!攻撃出来る手段を潰さないと、どんどん被害が広がるぞ!旦那はソウジロウ親分を守りに行け!道中のガラス、何か反射するモノ、そいつらをかたっぱしからぶっ壊せ!」
「いや壊すって言ったって・・・」
ヒトシはこの神宮財閥に雇われている御庭番衆だ。
おいそれと神宮亭にあるモノを壊すわけには行かないと、立場を考えると簡単には出来ない事を考える。
だがこれ以上正体不明の敵の攻撃を増やすとなると、使用人の被害も甚大なモノになる。
人の命とモノの価値。どちらを天秤にかけるかは言うまでも無い事だろう。
おまけに鏡となりうるモノがあるのであれば、それが財閥長のソウジロウにも被害が及ぶ。
「・・・お前を信じていいんだな?」
「おうよ任せろ!対処の為に破壊は最低限に抑えとく!」
「敵の正体はなんだ?」
「俺っちと同じ怪人!怪人四天王の鏡の怪人だ!鏡越しで眼を合わすなよ。あっという間に手中に捉えられちまう!」
「了解した。ならば私はお前の言うとおりに、ソウジロウ様の下へ向かう!」
赤鬼が扉を蹴破ってヒトシを廊下に連れ出すと、すぐ眼の前は中庭を一望出来る大きな窓ガラスの数々。
「親分はどこでい」
「きっと神宮亭の奥のドームだ!」
ミヤコを救出する前に作戦会議を開いた、職務を全うするあの場所の事だろうと、赤鬼は考えた。
「ここからどうやって行ったら近道だ?」
「中庭を突き進むのが早い。だが・・・」
「ヌハハ。それだったら、話が早くなるぜ!」
ヒトシが赤鬼を止めようと思ったが、赤鬼はすぐに正面の窓ガラスを叩き割った。
窓を割る事で、密閉されていた廊下に、外からの空気が勢い良く流れ込んでくる。
その空気圧の強さは、すぐ隣の左右の窓さえも割ってしまい、浮かんでいた鏡の破片の効力を失っていく。
「俺っちは兄貴とミヤコ姉さんを探してくる。旦那はとにかく親分を守り通せ」
「・・・了解した。私からも一つお願いをしていいかね?」
長く束ねた髪を揺らして、ヒトシは赤鬼の眼を見る。
「ここはカエデお嬢様の帰る場所でもある。なんとしても使用人や、カエデお嬢様の帰る場所を守り通せ、いいな?」
一息で言い切ると、赤鬼は左腕で自分の胸を叩く。
固く分厚い胸板から、強い音が鳴る事で赤鬼の事を信じて、赤鬼もまたヒトシを信じ合う。
「男に二言はねぇよ!どら、旦那も吐いた唾飲むんじゃねぇぞ!」
「任せろ!お前たち怪人よりも信用に足ると言う事を、知らしめて来ようでは無いか!」
ヒトシが窓から飛び降りて、五体倒置で中庭に着地すると、眼の前の噴水を飛び越えんばかりの勢いで、地面を踏み抜いた。
黒いスーツと長い髪を翻しながら、アクロバティックな動きで噴水を飛び越えると、今度は煉瓦で囲まれた小さなトンネルへと走り出す。
そんな走り出したヒトシの背後には、噴水から反射した鏡の破片が、真っ黒なスーツの背後を狙って飛んでくる。
「小癪な・・・神宮抜刀術!」
ヒトシが背後の鏡の破片に気づいたが、眼もくれずに刀を引き抜こうとする。
だがここで、先程赤鬼に言われた対処法の一部を思い出すした。
眼を閉じて、攻撃を視認しなければ、鏡の破片は当たらない。
(・・・今、おそらく鏡の破片は私の背後にある。この状態で眼を閉じれば、それで良いのか?)
小さなトンネルをくぐる瞬間で、ヒトシは自分の瞳をきゅっと閉じる。
・・・。
・・・・・・・。
痛みはおろか、攻撃の音さえ聞こえる事は無い。
噴水と風によって揺れる中庭の木々の音だけが聞こえた。
どうやら敵の攻撃は失敗に終わったようだ。
(・・・なるほど、鏡になりうるモノ、か)
ヒトシはこの攻撃による、攻撃を成立させる条件を頭の中で考えながら、神宮亭のドームへと向かうのであった。
一方の赤鬼は、2階の廊下を猛進して行き、負傷したメイドや執事達を鏡の無い部屋へと担ぎ上げていた。
「いいか、お前ら絶対に顔を合わせるなよ!眼も合わせたら。攻撃の準備が整っちまう!」
最後の一人をおろして、赤鬼は自分の持っているサングラスを握りつぶす。
これも鏡として成立するモノであると、思い出した事で、それまでただの人間に見えていた赤鬼を、使用人達が赤鬼を怪人として認識させる事になる。
「俺っちは今から兄貴を連れて来る!お前らは鏡になりうるモノは全部ぶっ壊せよ!」
メイド達は赤鬼の姿にパニックになるよりも、赤鬼のその勇ましさに皆救われているような気分になっている。
赤鬼は誰がどう見ても怪人だ。
だがその優しさと力強さ、そしてなにより人の命を守る為に、カエデの帰る場所を守る為に、赤鬼は誓った約束を守る為に、再び部屋を飛び出す。
「兄貴!どこに居るんだ!ミヤコ姉さん!」
自分が今現状戦力として一番信用出来る人の名を叫ぶが、彼の声に反応したのは、天井に取り付けられたシャンデリアが揺れているだけ。
それは声の反響で揺れたのではない。
シャンデリアの一部が、赤鬼を映したのだ。
攻撃の条件が揃った事で、真上から鏡の破片が飛んできた。
「チッ!次から次へと!」
無数の鏡の破片をぶち壊しながら、赤鬼は再度シャンデリアを破壊して、いち早くギンジとミヤコを見つける為に、使用人達を救出しながら神宮亭を片っ端から回る事になった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ギンジが異変を感じ取った時、彼は一旦部屋で待機していた。
先ずは仲間の安否だが、カエデ、レン、ケイタは学校に行っているから無害。
次に赤鬼だが、赤鬼ならばこれぐらいはなんとか出来るはず。
ミヤコはと言うと、連絡しても探しても返事が無い。
反応すら示してくれない事で、ギンジには嫌な予感がよぎるが、そればっかりを考えていてもしょうがない。
今度はこの神宮亭に居る使用人の事だが、全部を守ろうとするとそれは間に合わない事になる。
「どうする・・・」
敵の能力は不明。
ここを襲撃してくるのは間違いなく、ヘルブラッククロスだ。
敵の数も不明だが、なにかおかしいと感じるのは、戦闘員達の姿がここに出てきていない事だ。
「手下共が居れば抑えて話を聞けるんだけどな・・・」
まだ一人で戦えるならば、カエデ達に連絡を取らなくて良いだろうと、ギンジはベッドに座りながら考える。
「さて・・・どうしたもんか・・・」
ここまで考えて思うのは、誰かを守らないと行けないと言う事。
自分達は正義のヒーローを自称しているのだから、ここで何もしないのは絶対に駄目だ。
「・・・あ、そうだ」
ギンジは自分のスマホを取り出す。手慣れた動作で、画面を見ずに起動すると、ある人物に連絡を取ろうとしていた。
「出るかな・・・?」
直接電話をかける。その電話先の相手は、神宮ソウジロウだ。
軽快でポップな音が鳴るスマホを耳につけて、ギンジはソウジロウが出てくるのを待つ。
「お、出た」
『佐久間、か・・・』
「え、ああうん。何かあったのか、オトーサン」
出てきたソウジロウの声はどこか苦しそうで、少し呼吸が荒い。
鼻息で頑張って呼吸するようにした、ソウジロウの声音に、ギンジがいよいよこの異変がただ事じゃないと確信し、それと同時に行動をしなかった事を悔やんだ。
「おい大丈夫か?今どこに居るんだ!?」
ベッドから立ち上がりながら、ギンジはソウジロウの安否を確認する。
『何が起こったのかは、正直わからない・・・ただ、破片?刃みたいなモノが、私の肩に当たって・・・その、なんだ、出血が止まらないんだ・・・』
「なんだとマジかよ!で、今どこに居るんだよ!」
『前に君たちを招待した、奥のドームだ・・・』
ソウジロウの苦しい声を電話越しに聴いて、ギンジは一気に焦燥する。
焦りから生まれた汗が、ぽたりと落ちて、すぐに部屋から行動を開始する為に、ギンジは小さな扉を蹴破って、ソウジロウの下に向かう事にした。
部屋の扉を抜けた先は、青白く角張った廊下となっており、窓が一枚、等間隔ではめ込んである。
「俺が今すぐ行くから、それまで持ちこたえろよ!」
『ああ、貴様の助けは要らないと言いたい所だが、なるべく早く頼む・・・私の側近達はもう動かないからな・・・』
嫌味も込められた言葉を聴いて、やっぱり助けに行くのを止めようとも思うが、最後にソウジロウが発した言葉で色々と察した。
普段ソウジロウは財閥長として、普段は身の回りの世話であったり、秘書の代わりになる人物を複数揃えている。
危険があればソウジロウから見を呈して守る事を義務付けられている、言わばSPという者達だ。
そんなSP達はもう既に動かない、となれば今ソウジロウを守れる人物は近くに居ないと言う事であろう。
「しょうがねぇ、後でカエデに死ぬほど怒られるけど、ぶっ壊して行くか・・・」
「あら、どこへ行こうと言うのかしら?」
ギンジが眼の前の壁に向かって、突進しようとした瞬間、透き通る様な、しかし高圧的なモノ言いをする声がギンジの耳に入ってきた。
壁を正面に、左右を見回してもその声の主の姿は見えない。
でも、ギンジには分かる。その声の主が何者で、どういう存在なのか。
「どこに居るんだ?隠れてないで姿を見せろよ。それとも、隠れんぼでもしたいのか?」
どうせ隠れていても、全部壊してしまえば関係無い。
「うふふ・・・ふふふ、アハハハハハ!」
甲高く、それでいて上品とは言えない様な笑い声が、青白い廊下にこだまする。
「今アナタの眼の前に居るでしょう?進化の怪人・・・」
「あ・・・?」
「見えているわよ、隠れていなくとも・・・ほら、もう少し上を見上げなさないな」
「上・・・?」
ほんの少し、首を上に向けた先は窓。
キレイに磨かれて、汚れはおろか埃も見つける事すら不可能なほど、キレイになった窓ガラスが一枚。
ここまでキレイだと一枚の鏡として使える事も出来そうなぐらいには、キレイだ。
しかし窓を眺めても見えるのは、自分の顔と、その窓の向こう側にある、向かいの建物の青白い壁だけだ。
「あら、見えていないフリをしているのかしら?」
「何を・・・」
ギンジの事を見下しきった口調で、窓から一つ声が聞こえた。
「ッ!!」
息を飲んだ。
鏡に映るのは、ギンジの顔だけでは無かった事に。
そして気づくのが遅れた。
ギンジの背後に立つように映る、艶の良い黒髪と、眼鏡を外したミヤコの姿がある事に。
ただ佇んでいるのではなく、何か見えない柱の様なモノに、十字架に貼り付けにされる様な体制で居るミヤコを見て、ギンジは顔を白くさせた。
「こうして会うのは始めてかしら?進化の怪人」
そしてその映る窓の真下からは、もう一人、声の主が姿を表した。
水面が一滴の水滴を落とした様に、揺れながら姿を表した、天女の様にも見える姿をした、女性の怪人がニヤニヤとギンジを見つめている。
ただ不思議と言うのが正しいのか、不気味と呼ぶのが正しいのか、日差しに見え隠れする窓に見えるその怪人は、眼に包帯みたいなモノを巻いていた。
瞳を隠しているのだろうか、同じ怪人として見る上では、何か雰囲気が違って見える。
だがどう見えても、ギンジの眼に映るこの女は間違いなく怪人である。
「テメェ、ミヤコに何をしやがった!」
燃える拳を振りかぶって窓を殴ろうとするが、窓に映る女怪人は、手元にガラスの破片の様なモノを取り出して、ミヤコに差し向ける。
2、3歩ほど歩かないと届かない様な距離感だが、その行動を見せられただけで、ギンジは動きを止めざるを得なかった。
「あら、意外と賢いのね。そうよ、もしお前がこの窓ガラスを攻撃しようとしたら、会話の手段が無くなっちゃうモノね〜・・・そうしたら、ドクターミヤコも死・エンドよ」
「このクソ女・・・一体何をしやがった・・・」
怒りに震えたギンジの声と形相には、一つも動じないままで居るこの怪人が、肩から伸びた羽衣を揺らして、ギンジに破片を向ける。
「ドクターミヤコにだけでは無いわ。もう既に、始めているのよ。こおのジングウテイの破壊と、ヘヴンホワイティネスへの襲撃をね!」
つくづくムカついてくるモノ言いに、ギンジは奥歯を噛みしめる。
ソウジロウも助けに行かないといけない、しかし眼の前に捉えれれているミヤコも最大に危険な状態。
「もちろん、アナタにも、ね。進化の怪人・・・!」
「野郎・・・ッ」
「どれだけ恐ろしい顔をしても無駄よ。今はヘヴンホワイティネスが居ない様だけど、アナタもドクターミヤコも、そしてあの赤鬼の怪人も・・・全てこの鏡の怪人が抹消してあげるわ!」
鏡の怪人の放った一言と同時に、窓ガラスの内側から一枚、2枚と剥がれ落ちる様にして、破片が飛び出してくる。
窓に映る向こう側から、指先だけを動かした鏡の怪人が、ギンジに向けて攻撃も開始したのだ。
「赤鬼も使用人も、死ぬのは時間の問題よ!後は、アナタだけなのだから!」
裏切り者を絶対に許さないと言わんばかりの大声で、鏡の怪人がギンジに次々と能力で造った鏡の破片を生成しては、発射を繰り返す。
キラキラした美しい粒の数々が、ギンジの視界いっぱいに広がるが、それにビビって何もしないギンジでは無い。
「このクソが!燃えろ!!」
息をいっぱい吸い込んで、両手で口元に輪っかを作る。その仕草の後に、息を吐き出す事で、大きな火炎放射を吐き出した。
一瞬で鏡の破片を焼き潰して、怪人の能力だとかをまったく関係ないまま、圧倒的な火力で焼き付く様は、まさしくバーナーと呼べるだろう。
「むむっ・・・上手く姿を隠したわね・・・今度は進化の怪人がカクレンボと言うゲームのするのかしら?キャハハハハ」
「クソッタレ・・・」
火炎で鏡を焼き尽くして、カエデに用意された自室のベッド横に戻ってきたギンジ。
火炎の余波から離れる様に、ベッドの横へと転がり、床へと転げ落ちて、あとはベッドを背にしてもたれている。
「赤鬼と使用人がどうとか言ってたな。つまり、異変を感じたあの瞬間からずっと赤鬼は応戦してたってのか・・・悪い事したな」
あの赤鬼に始まりを任せてしまった事に申し訳なく思い、ギンジはスマホを再度操作する。
やはり手慣れた操作で画面を見ずに電源をつけると、今度はカエデに連絡する。
「どこに隠れても無駄よ、進化の怪人!」
「うるせぇな、アイツ・・・カエデ、早くでろよ・・・」
スマホの着信音を鳴らして、カエデが通話に出てくれた。
カエデの声を聴いて安心すると同時に、今の状況をザッとかいつまんで説明する。
ソウジロウが負傷している事、赤鬼が既に戦っている事。
そしてミヤコも敵の術か何かにハマった事。
『そう・・・解ったわ。すぐ戻るから・・・』
カエデの不安な声音を聞くと、ギンジも不安になってくる。
だけど今はソウジロウとミヤコを危機から開放する事の方が先だ。
自分もヒーローを自称しているのだから、市民や仲間の危機に立ち向かわないと。
そうしてギンジはスマホの通話を終了させて、今度はスマホのスリープを入れる。
そうする事でギンジの手元には、画面が真っ暗になったスマホの画面にて、自分の顔が映る。
敵は一人で神宮亭を襲撃してきた、鏡の怪人。
そしてギンジの眼の前に現れた時は、窓から映りながら現れた・・・。
「あ、やべ・・・」
鏡の怪人の能力をなんとなくで理解してしまったギンジは、スマホから眼を離そうとしたが、もう遅かった。
「
嬉しそうに顔を覗かせるのは、鏡の怪人。
しかもその顔は、あろうことかギンジのスマホからその顔を覗かせたのだから、ギンジの読みは的中してしまったのだ。
「そうそう、その顔が見たかったのよ!焦りから恐れが生まれる、その顔よ!進化の怪人!」
(またカエデに怒られるけど、スマホをぶっ壊して・・・)
そう考えても、既に遅かった。
「この私から逃げられるとは思わない事ね!
スマホから長方形の鏡の筒が飛び出して、ギンジの顔を埋める事に成功する。
ギンジの視界に見えるのは、万華鏡みたく映る自分の困惑した顔が、四方八方に見え始め、身をひねって逃げ出そうとするも、今度は真後ろから白い手が、左右からギンジを顔を抑えた。
確実に実体を捉えられるその手だが、ギンジの頭を抑えてひんやり柔らかい手のひらがギンジを強く抑え込む。
ギンジの頭上からその顔を逆さまに覗かせて、鏡の怪人はギンジに確実な狙いを定めた。
「さぁ、アナタが望む真実を映す世界へと逝きなさい。そしてもう二度と、
「・・・テメェ、何を・・・?」
「さようなら、進化の怪人・・・裏切り者、死を以って償え」
鏡によって彩られた、音だけが反響する鏡の監獄の中で、ギンジは何かを鏡の怪人に囁かれる。
「・・・」
その途端にギンジは瞳に光を失い、かくん、と力を失った様にうなだれる。
そして鏡の怪人の左手に、一枚の鏡を持って、ギンジの両目に貼り付けた。
「大丈夫よ・・・ヘヴンホワイティネスもドクターミヤコも、赤鬼も、アナタ達が守ると息巻いた全てが、後を追うことになるでしょうからね・・・」
長方形の鏡の世界の中で、力無く横たわったギンジを、暗闇の中へと連れて行く鏡の怪人。
「最初からこうすれば良かったのだわ」
終わってしまえばあっけない。
いくら組織の手を焼く問題児であろうとも、こうして自分の術中に入れてしまえば、最強の怪人だろうと、この鏡の監獄で永遠に眠り続ける。
「さ、ドクターミヤコ。アナタの造った怪人は、ほら、この通り」
「そ、そんなぁ・・・ギンジ君・・・!」
「あらあら、怪人に愛称をつけるなんて。よっぽどお気に入りだったみたいね」
見えない柱に固定されたミヤコが、横たわったまま動かないギンジの姿を見て、泣きそうな顔をしている。そのミヤコの顔を見て、鏡の怪人は勝ち誇った笑みを乗せて、背後に振り向く。
振り向いた先は、四角いモニターの様なモノが無数に、暗闇を漂っており、様々な角度から神宮亭の内部を隅々と見回せる監視カメラの様な映像が、そこかしこに点在していた。
しかもそこに映るモノは全てが左右反転しており、鏡の怪人による能力の応用力の高さを見て、ミヤコは悔しそうに顔を歪める。
「さぁ、ジングウテイは既に私の監獄よ。もう誰一人として逃さないし、誰一人として生かしてはおかないわ。覚悟しなさい」
鏡の怪人が無数に浮かび上がる【眼】の代わりともなる全ての映像を見て、組織の勝利を確信をする。
2022年、9月6日。
地獄の一日は、ここ、神宮亭でも始まったのであった・・・。
続く
お疲れ様です!
鏡の怪人編の第2話です!今回も色々考えておりますが、実はこの章の主役は鏡の怪人と、神宮カエデというメインヒロインです!
いやーしかし鏡の怪人の能力とか色々考えていたので、今回でようやく出し切れそうです!
キャラネタ書きます
鏡の怪人
まさかまさかのギンジを完封した怪人。
まだ殺しては居ないので、勝利、敗北の概念では居ない。
下記能力詳細
・鏡の怪人の能力は、自らが出入りする事が出来る、鏡の世界と現実世界を、現実世界の鏡を使って体の出し入れ、及び姿を映すと言う離れ業を持っている。故に、赤鬼がやっていた様に、なんでも壊されると手出しが出来なくなるため困る。
・鏡の世界にはもう一つ、マイルームの様な暗闇の空間があり、そこには現実世界とリンクさせた鏡を使って、監視カメラとして扱う事が出来る。そのモニターに顔を覗かせれば、鏡の世界へと自動的に入る。
・鏡は、銀色の鉄製ラックや、水面、窓ガラス、スマホ等、鏡として映るモノとして認識した場合、即座に鏡の世界とリンクされる。
・鏡の怪人の能力範囲は、半径50m、加えて鏡の破片の射程は2m
・鏡の破片は鏡の世界とリンクされない。
・彼女の持っている包帯は一部だけ所持していると、鏡の世界と現実世界を出入りする事が可能になる。
・鏡の監獄に投獄された者は、投獄された者の意思が無いと脱出不可能。その辺の細かい事は、また別のキャラネタで!
佐久間ギンジ
まさかの完封された主人公。鏡の怪人により、あっけなく眠らされた。
鈴村ミヤコ
愛しのギンジが総統の造った怪人によって敗けた?っぽく、悔しさがにじみ出ている。いやでも待てよ・・・この状態のギンジ君なら好き放題出来るのでは・・・?
赤鬼
頑張って鏡の怪人の能力を封じようとするが、規模がデカすぎて追いついていない。
十五夜ヒトシ
神宮財閥の御庭番衆。現在ソウジロウの居るドームへと進んでいる。
・・・
次回はカエデとレンとケイタの出番あります!いよいよメインヒロインの登場、そしてvs鏡の怪人開始!
神宮カエデの為の、鏡の怪人の為の、メイン章です!次回もお楽しみに!