今回は、番外編です。本編投稿は、もう少しお待ちください。
今回のお話は、藤原という公安警察なのに、セクハラとか部下の有給を勝手に申請するおじさんのお話です。
とくにとりとめないお話で、かなり短いですが、よかったらどうぞ!
それでは始まります
公安警察と呼ばれる組織は、いつだって国を脅かしかねない、もしくは国を驚異に晒す、大規模な犯罪組織と秘密裏に戦う事の多い組織である。
表立って命を賭けるような抗争はありえないが、それでも銃撃戦なんかは、一度ぐらいは経験するモノとも考えていたが、この中央度固化市の公安警察として働いている藤原は、一度もそんな経験が無いまま、20年という長い年月を超えて来てしまった。
公安警察は、必要であれば闇に生きる組織への潜入捜査を行い、長く時間をかけて成果をあげれば、後の警察官としての人生は全部無くして、自由に暮らせるとも。
そんな事を憧れる若手時代もあったが、今は最早関係ない。
時期は2022年、9月1日。
セクハラおじさんと呼ばれる事で有名な、藤原は警察本庁の屋上で、夕日に照らされながらベンチに座っていた。
先月は、藤原にとっても忘れられない大きな事件に、出くわす事になった。
それは自分の直属の部下である、甘白ミドリコの逮捕状の発行、事実上の公安警察のトップ・小鳥遊アキラによる、事情聴取と称した監禁。
元・ヘルブラッククロスの大幹部と呼ばれていた少女、鈴村ミヤコが誘拐された事。
何よりも無視出来ないのが、世間でヒーローと呼ばれている存在・・・正義のヒーロー・ヘヴンホワイティネスの失踪。
おまけ程度の事だが、赤いふんどしをつけた怪人に何故か狙われていた事。
そして・・・。
柏木タツヤ。
この男が公安警察をかなり前から裏切っており、今現在進行形でこの日本の国に大きく侵食して行く、ヘルブラッククロスと呼ばれる巨悪の組織に所属していた事。
「なぁんで柏木まで関わるもんかねぇ・・・」
南度固化市に刑事として所属している熊沢レイナとの情報交換、それから小鳥遊アキラの退職して、東度固化市のレジスタンスへの加入。
聖カエルム教会における、大規模な交戦。
8月中に起きた事を細かく並べれば、とてもじゃないがキリが無い。
「・・・焼き鳥でも食いてぇな」
今日は9月1日。昨日は8月31日。
先月起きた事の大きな事件の終わりは、柏木タツヤが
それで決着がついたのだ。
だが、藤原にとってみれば、まだ引っかかる事がある。
柏木タツヤがどうしてずっと、公安警察を裏切っていたのか。
よくよく考えてみれば、色々とおかしいのだ。
ミドリコの逮捕状、小鳥遊アキラの退職、公安警察のビルの襲撃、ヘヴンホワイティネスの失踪、ヘルブラッククロスという組織の存在。
怪人による街の大規模略奪行為、及び誘拐事件の多発。
全てが柏木タツヤ一人の作戦とは考えがたいという事。
この一週間足らずで起こす事件にしては、かなりの数が、複数箇所で行われている。
柏木タツヤの目的の全ては今になって考えると、ミヤコを自分の手の下に置くという事しか分からない。
一つの仮説としては、柏木タツヤの裏には組織、その組織の中で、柏木タツヤを動かしている、大元が居るはずと、藤原は仮説を建てている。
だが・・・。
あの柏木タツヤの考えている事だ。
蛇の様にのらりくらりし、事あるごとに正義と称した力を振るって来た男。
たまに共同で仕事をする事があれば、同じ警察、同じ人らしからぬ驚異的な何か、恐怖じみたモノを感じた事さえある。
それだけ真面目で、藤原よりも悪を許さない、実直な性格なのかと思っていたのだが、どうもそうでは無いらしい。
それに付け加えて、藤原は本庁で調べた事を頭の中でゆっくりと思い出して見る事にする。
2012年、柏木タツヤ25歳。
・中央度固化市で勢力を拡大しつつある組織を追いかける為に公安警察に転勤。
2013年
・山吹イロに捜査の腕を買われ、組織犯罪対策科第一班に所属開始。
同年、ヘルブラッククロスの動きの一つ、略奪任務というモノと衝突。
同年、公安内発砲事件のおり、藤原と共に一人の死者を出しながらも犯人逮捕に尽力した。
「・・・」
2013年に起きたこの事件の死傷者と、事件の内容を思い出してから、藤原はかなり頭を悩ませる。
2014年
・山吹イロと共にその情報を細かく探している。同年、検挙率全国1位となり表彰。
2015年
・事あるごとに巨大な犯罪組織を撲滅、そのツテで武器を所持を公安内で行い、改造したり合法の下武器の販売を行っていた。
「おじさんとしてはこの2015年が怪しいと見ているぜ。13年、14年にはきっとヘルブラッククロスと本格的に繋がりを持ったと睨んでる。詳しい事はやっぱりわからんけど、あいつが武器を作り始めたり弾丸の安く仕入れている所とかも、今になってみればかなり・・・」
藤原が深く考えながら自分の調べた内容をレイナに伝えて行く。
2016年
・公安警察として相変わらず検挙率は全国個人でトップ。
同年、格闘術も強くなり全国警察官特殊警棒術総合ランキングでは2位(1位は小鳥遊アキラ)
2017年
・単独行動が増えたが、やはり公安警察。動向を捉える事が難しくなってきた。
それでも出勤時は武器の改造や特殊な弾丸を作成。
2018年
以下、2021年まで同上。
2022年
無断欠勤が増えた。
8月26日、甘白ミドリコが組織犯罪への加入をしたと判断し、緊急で逮捕状を出した。
NEW→8月31日、ヘヴンホワイティネスに敗けて、逮捕された。
と、一つ情報を付け加えて、藤原はジリジリと熱く熱された屋上のベンチから立ち上がる。
「もしかしたら、2013年、公安発砲事件の時から・・・」
藤原は美しい夕日が眩しい屋上の手すりに、身体を預けながら、深く考える。
「・・・」
あの時、2013年の事件の時に起きた、自分の無力感。
その無力感から来る怒りが、藤原を変えた。
「いや、変えたような気分、だけどな」
鼻で息を吐いて、もう一度考えてしまう。
「チトセ・・・」
気が滅入る時、藤原は決まって『チトセ』と言う名前を口ずさむ。
「そういやぁ、お前が死んだ時も・・・2013年、だったよな」
虚無を乗せた瞳で、高い街の景色を眺める。
「・・・どうにか調べようにもなぁ・・・」
夜が近づいて来た事もあって、夕日は強いが、やや涼しい風が藤原の身体を包んではすり抜けていく。
「あいつ、まだ生きてるよな」
また独り言。
そしてそのあいつと呼んだ人物は、藤原の頭の中で映し出される、柏木タツヤと言う男の顔。
あの蛇男の事が、あの蛇男の行動が、あの蛇男の仕草が頭から離れない。
これは口説き文句とかでは無いが、あいつの事しか見えていない。
「・・・望んだら、なれるのかねぇ」
手すりから離れて、振り向いた。
夕日の反対側は紫色の空。
青く染まった空は闇へとその色を変えて行き、清々しい空は禍々しい暗黒を見せている。
「このまま調べ続けるんじゃぁ、もう限界だぜ」
どんな捜査でも、都合の良い事は無い。
藤原が今求めているのは、柏木タツヤの裏に居るであろう、大元の一人。
それに会うべきだと、今は考えてしまった。
「・・・腹減ったなぁ。焼き鳥でも食いに行くか。あと、ビール」
ベンチに置いたままの赤いジャケットを持って、藤原は屋上を後にする。
(先ずは・・・ヘルブラックロスに、どうコンタクトを取るか、だな)
接触出来ない事には、何も出来ない。
先ずは、ヘルブラックロスに関する情報を、探して、探して、探して、ミドリコの様に躍起になって調べなければ。
セクハラで有名な男が、一つのキッカケで本物の男になった瞬間だった。
セクハラには執着しているが、それはあくまで娯楽。
「やってやるぜ」
先ずはヘルブラックロスへのコンタクト。
そこから内通していき、必ず柏木タツヤに関するもっと大きな情報を手にして、確実な証拠を持って、ヘルブラックロスの壊滅に動かす。
そうと決めたら、俄然正義の心が動き出す。
味方は居ない、大きく途方も無い戦いになりそうだ。
それに、これをちゃんと攻略すれば・・・きっと・・・。
(お前に顔向け出来るよな。チトセ)
屋内の冷房の効いた本庁の廊下を歩きながら、藤原はこの命にかけた使命を動かそうと、明日から行動を開始するのであった。
(まぁ、今日は焼き鳥食べたいし。あと、飲み屋のお姉ちゃんにセクハラしたいし・・・)
・・・明日から行動を開始するのであった・・・。
続く
お疲れ様です。
藤原という男は、せっかく決意した事を明日からやろうとする、ゆとり世代みたいな事を考えているおじさんです。
禄でもないな。
キャラネタ書きます
藤原
本名はまだ明かされない。
ヘヴンホワイティネスのゲームの内容では、早々にカエデ(っと言うよりは、ミドリコと公安警察)を裏切り、ミドリコに常識改変の洗脳を施すと言う、たちの悪いおじさんでした。
この世界においては、ギンジと出会った事で、本来の運命とは違う行動を取り始めているは、おおよそセクハラは変わっていない。
もしギンジが女の子だったら、間違いなくセクハラしていた。
チトセ
物語の最序盤に、藤原のデスクに置いてあった写真の女性。
その時の写真には、藤原とチトセと、チトセの腕の中には産まれて間もない赤ん坊も抱かれていた。
藤原の人生にとってとても大きなターニングポイントを抱えた女性。
これだけでも詳しいですが、もっと詳しい事はいずれ描かれる本編にて・・・
・・・
今回の番外編における、藤原、ミドリコ、柏木タツヤ、山吹イロ、そしてチトセと呼ばれる女性のしがらみは、やがて来たる、おじさん編にて!
次回はちゃんと本編になります。
鏡の怪人編の最終話です!
それではまた!