正義のヒーローヘヴンホワイティネス   作:アトラクション

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こんにちは、アトラクションです!

今回のお話も少し短めです。すいません・・・。

しかし章の本題に入る前における前置きみたいなお話ですので、短くなっております。

それではどうぞ!


119・形見のビーム剣

 「ふぅ、今日の学校も終わった」

 

 一息つきながら放課後を迎えたケイタは、9月14日の夕日を遠く眺めた。

 

 この夕日がきれいで、こうして見ていれば、この日常はなんと平和なのだと思えるからだ。

 

 だがこの街、もしかしたらこの世界は・・・平和ではない。

 

 平和なんてのんびりした言葉では片付けられない様な日常が、ここのところ毎日続いている。

 

 昨日は放課後に、触手の怪人の学校侵入事件。

 

 これはレンが先に気づいて、先に大事にはならない様に、ビーム剣で細切れにしてあげた。

 

 今朝は触手の怪人のヌルヌル授業が始まるということで、レンがビームハンマーで叩き潰した。

 

 さらに今日の美術の授業では、触手の怪人がヌードモデルをすると申し出て来て、レンがビームドリルで削岩した。

 

 何度潰しても復活を遂げる触手の怪人は、もはやホラーの領域だ。

 

 一応ミドリコにも連絡したが、今は返事が無い。

 

 「さて・・・帰ろうか」

 

 革のカバンを持って、ケイタは隣の席に居る人物に声をかけた。

 

 「アオハル君・・・」

 「あ、ああ、帰ろう・・・か・・・」

 「今日は、男同士で、仲良く、下校?」

 

 落ち着いてゆっくりしゃべる少女の声は、レンの声だった。

 

 同じクラスの少女からの声は少し寂しそうな声でもあり、ケイタの心を痛める。

 

 「そ、そそそ、そうなんだ・・・実は僕が角倉君に用事があってだね・・・」

 

 妙に動揺しているアオハルの姿に、レンとケイタはずっとこの調子で喋っている事を怪しんでいた。

 

 無くはないと考えるのであれば、きっとアオハルの裏にもヘルブラックロスが関わっているのでは無いだろうか。

 

 そう思うと同じクラスの人間として、そして正義のヒーローとしてレンもなんの用事なのか気になってしまう。

 

 「さ、さぁ行こう・・・東度固化へ!」

 「東?家そっちだったっけ?」

 

 確かアオハルの家は中央だったのでは無いかと、小首をかしげる。

 

 レンもケイタと同じ様に小首をかしげる。

 

 「私も、ついていっても、良い?」

 

 レンが訝しむ様な顔つきでその言葉を出すと、アオハルはカバンを上に放り上げて、上履きは脱げながら硬い床に転がってしまう。

 

 「な!?ななななな!!」

 「・・・なんか、怪しい」

 

 ズバリはっきりと言い放ったレンに、ケイタも困り顔である。

 

 「あや!?怪しい!?ボクアヤシクナイヨ!」

 「いや、どう見ても怪しいよ。一体どうしたんだい、イインチョー」

 

 ケイタもこれには流石に苦笑しているが、アオハルはレンが居る気恥ずかしさからか、うまく喋れない。

 

 「あぶだびだびだあぶらぶrづskdg’sfvkbs;d’へ9うd;vc;sfん1365dgd’dhnくぁwせdrftgyふじこlp」

 「・・・は?」

 

 あまりにもめちゃくちゃな発音でもはや何語を喋っているのか分からないアオハルに、ケイタは首をカクリと落としながら、眼を開いて「は?」っとなっている。

 

 「・・・何を、隠しているの?」 

 「うん。用事がなんなのか教えてくれないと、レンも連れて行っちゃうぞ!」

 「ヒエェェ・・・ご勘弁を!女の子が居ると、だめなんです!」

 「・・・なら、なんの用事で、東に?」

 

 必死かつ、顔を赤くしているアオハルに、レンは何かと首を挟みたがる。ケイタと一緒でなければ、興味を示す事なんて無いのだが。

 

 「いつも、ケイタとは、私が一緒に帰ってるの。ケイタを借りる理由を言えば、一日でも2日でも、貸してあげる、よ?」

 「あ、えと・・・その・・・」

 

 その時アオハルが見たレンの顔は、まるで幾戦の死を乗り越えたかの様な、トラの眼をしたサバンナの女王を見た様な気分になった。

 

 ケイタをレンに渡すか、正直に話さないと、レンはどこまでも言及してきそうだし、何より命を奪われる様な気がしてきた。

 

 嘘をつけば首を落とされる。そんな闘気を秘めた姿に見えているのだ。

 

 (ケイタとどこに行くんだろう。東のスイーツでも食べるのかな?だとしたら、私も、行きたい。あ、もしかしたらスポーツ用品でも見るのかな?もしかしたら家族へのお誕生日プレゼントに、同じ男子の感想がほしいのかな?)

 

 当のレン本人はまったく物騒な事を考えては居なかった。

 

 「・・・わかったよ、正直に言うよ」

 

 アオハルはレンの圧力?に負けた事で、脱げた上履きを履き直して、泣きそうなぐらいに顔を赤くして正座し始めた。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 8月24日の夜。

 

 君たちもよく覚えているだろう、真夏の夜に降り注いだ、あの大雪の日の事を。

 

 テレビ撮影の人たちも、街に出ていた人たちも、水道管も、空でさえも凍てつきそうなあの日の事を。

 

 僕はあの日、夜遅くまでアルバイトしている姉の為に、迎えに行こうとしたんだ。

 

 ザクザクと踏めば音の鳴る雪道を踏み越えて、僕はその日に出会ったんだ。

 

 「出会ったって・・・何に?」

 

 宮寺さんが僕のであったモノに対して、興味を示してくれた。

 

 本当は角倉君に話したかったのだけれど、正直に話すと決めたのだから、最後まで話そう。

 

 「運命の人、かな。一言で言うなら」

 

 鼻をこすっちゃったけど、角倉君も宮寺さんも「おぉっ・・・」と言った反応。

 

 ふふふ、流石にそうでしょうな。

 

 僕はこの度固化野明神高等学校(どこかのめいじんこうとうがっこう)の2年生の中では、イインチョーと呼ばれている学級委員の学年リーダーを努めている。

 

 昔からのあだ名は天才とか、ガリ勉君とか、青春無縁やろうなど、様々だ。

 

 ちなみに僕の名前は読んで字のごとし、青い春でアオハルだ。

 

 ちなみに僕の姉さんの名前は、春に音を告げるって意味合いで、ハルネって言うんだよ。

 

 「君の、お姉さんのお話は良いから。運命の出会いについて、早く」

 

 あ、はい。

 

 宮寺さんって怖い・・・って言ったら角倉君に悪いかな。

 

 とにもかくにも、出会ったんだ。

 

 おおよそ人とは違う存在・・・でも儚く、美しくて、綺麗で、とても綺麗で、触れる事の出来た愛しいと思える人・・・。

 

 黒眼で、真ん中は赤くて・・・手を握ったらその、なんていうか、女性に触れた事に嬉しく思えて。

 

 その人にまた会える連絡を取り付けたんだよ。

 

 「ほうほう・・・」

 「・・・大雪の日の見た、その人は、もしかして着物を」

 「わ、わー、僕もその人の事気になるなぁ〜」

 「・・・?」

 

 宮寺さんが何か言っていたけど、角倉君がそれを静止した。

 

 (レン、もしかしなくても、雪の怪人の事だと思うよ。アオハル君に危害は加えてないと思うし、変に刺激しないほうが良いよ)

 (そう、かな。でもまぁ、何かあればミヤコに言いつけるから、大丈夫、かな?)

 (うんうん、大丈夫だよ!)

 (・・・でも相手は怪人、どうして、大丈夫と言い切れるの?) 

 (だって、ギンジと赤鬼を見てると、きっと恋に落ちた人間とそんな変わってないと思うんだ。せっかくだし、アオハル君の恋を成就させてみない?)

 (・・・わかった。だけど、何かあったら、私は斬るよ。ケイタに何かあったら、私が許さない)

 

 何やら二人でコソコソ話している様子だけど、二人して何かしているのかな。

 

 「真鍋君、無理やり聴いた様でごめんね」

 

 気にしていないさ。

 

 そしてその運命の人なんだけど、どうしたら美味い会話が出来るかなって、思って・・・角倉君を頼ろうと思ったんだ。

 

 「・・・悪い事をしたかな」

 

 そういうわけで、頼みます。

 

 角倉君を貸してください。

 

 僕は必死に土下座をしてみた。

 

 同学年に土下座なんてはじめてだよ。しかもその理由は、好きになってしまった人に会いに行く為に、しかも今日上手な会話をする為に、現在交際をしている、なるべく声をかけやすい角倉君と一緒に行こうとしているのだから、なかなかおかしい話になっている。

 

 けれども、僕は会えると思ったら、なんとしても会いたくなってしまったんだ。

 

 「わかった。進展があったら、私にも教えて」

 「勿論だよ」

 

 僕は勢いよく返事をすると、角倉君の腕を引っ張ってすぐに教室を後にした。

 

 青春、青い春。僕は真鍋アオハル。

 

 雪も青を連想とさせる。

 

 あの日の出会いは、僕にとって大きな運命の出会いでもあり、これから押し寄せる幸せな未来を得るための、運命なんだ!

 

 そう信じて僕は、雪さんに会える事を本気で楽しみにしていた。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 「・・・帰ろう」

 

 ポツリと一人残されたレンは、雪の怪人の登場に少し不安になっていたが、それでもケイタが居るなら多分安全であり、何かあれば雪の怪人の事はミヤコを呼べば一発で解決する筈と、一人で帰る支度を始めていた。

 

 恋愛。

 

 未だにレンにもその全容が分からないモノ、人を好きになると言う大きな一大イベント。

 

 それが恋愛。

 

 恋をしていると言う感情を、ケイタに当てはめれば、今の自分はきっとその恋愛と言う謎のパワーに引き寄せられるべくして、引き寄せられたこの世界の一人になるのだろう。

 

 (きっと・・・この時代に来る事が無かったら、私は今頃・・・)

 

 思いつくのは2102年の未来。つまり本来レンが居た時代。

 

 今頃、本当に9月までレジスタンスが生き残っているとは思えないが、それでも・・・もし生きていれば。もし未来のヘルブラックロスに勝利を収めて、元の日本を取り戻していたら・・・。

 

 きっとその時は・・・。

 

 (シルヴァ・・・)

 

 自分の親でもあり、恩人でもあろ、未来における戦闘のイロハを全部教えてくれた、今はもう絶対に会う事の出来ない、最愛の家族の顔を思い出す。

 

 眼帯に革のハット、後はわずかな軽口。

 

 レンのビームガンを奪い取って、代わりにビーム剣を手渡した、未来のレジスタンスのリーダー。

 

 シルヴァの事を好きになっている事なんてあったのかもしれない。

 

 (ふふ、アリえない)

 

 なんとなく、本当になんとなく親、とすればミドリコに向ける感情と同じモノになるのだろう。

 

 だとしたら、自分の居た未来の世界には、好きな人なんて居ないはずだ。

 

 (ああ、でも・・・)

 

 また会いたい。

 

 もう二度と会えない選択をしたのは自分であり、もう二度と未来を壊させない為に、彼女はヘヴンホワイティネスになったのだ。

 

 だから、色恋に惑わされて、戦いをおろそかにするなんてことはあっては行けない。

 

 (うん・・・必ず、勝とう)

 

 レンは戦いに巻き込んでしまった親友たち、恩人たちに報いる為にも、何度もしてきた決意を新たに持ち直す。

 

 教室を出て、下駄箱に到着して革靴に履き替えて、校舎を出る。

 

 校舎を出て、右に曲がり、最初の信号を超えて、しばらくまっすぐ進む。

 

 次第に一軒家が立ち並び、住宅街エリアに。

 

 (ここを左に・・・今日のお夕飯は、何かな・・・)

 

 住宅街エリアの左道に入って、車が通り過ぎると、次にレンも歩き出す。

 

 「はぁ、はぁ・・・はぁ・・・」

 「・・・」

 

 途中でボロボロの衣類をまとった男が荒々しい呼吸をしているのを遠目でもわかり、レンは眼を逸らしながら、その男をやり過ごす。

 

 二人がすれ違う瞬間、レンは興味本位で一瞬だけその男を見た。

 

 もし・・・病気をしていたら、無視をしたら可愛そうだから。

 

 ほんの少し正義感が出て、レンが覗いたその横顔は・・・。

 

 「!?」

 「はぁ・・・はやく、帰らないと・・・」

 

 男は苦しそうに、その場に座り込んでしまった。もうあまり力が出ていない様子だ。

 

 「だ、だいじょ」

 「おっと逃がすかァ!」

 

 振り向いたレンの背後からは、一軒家を破壊し、コンクリートを貫いた触手の怪人が姿を表した。

 

 「昨日から、しつこい」

 「なぬ!?なんでヘヴンホワイティネスが!」

 「ああ、クソ、もう追いついたのか!」

 「オヒョヒョヒョ、逃さんぞえ〜!」

 「逃げて。私が、倒す。あと、そこのお宅の損害請求は、ヘルブラックロスに言えばくれる?」

 

 男が何故ヘルブラックロスに追われているのかは不明だが、レンは昨日から学校に侵入し続けている触手の怪人をにらみつける。

 

 「なんで、お嬢ちゃんが、ヘルブラックロスの事を・・・」

 「・・・聞きたい事があるけど、先に、こいつをなます斬りにする」

 「やってみろ!あっしはこうして今もピンピンしてらい!」

 

 レンがヘヴンリングを掲げて変身すると、男はテレビで見た事のあるあの正義のヒーローの姿を目の当たりにする。

 

 青いラインが肩から入り、腰まで伸びていく。

 

 白を基調としたベースに、腕と足を守る、蒼く発光するアームガード、レッグガード。

 

 蒼いヘルメットは天使の輪を彷彿とさせる、光輪の模様、背中には小さな天使の羽のレリーフ。

 

 そしてその左手に持つのは、蒼白く輝く、ビームの剣。

 

 「今日こそ勝たせてもらうぜ、ヘヴンホワイティネス!」

 「お前個人じゃ、絶対に無理」

 

 顔を中心に傘みたいに無数の触手を展開させた触手の怪人が、宇宙人みたいな顔をニヤニヤと広げてレンへと形状豊かな触手を飛ばしてきた。

 

 「バンカラ・ヘルブラックロス・インターグレード・ファイアフラワーフルバーニア・エピオ・マスタートウホウフハイ!」

 

 やたら長い必殺技は相変わらずだが、速度、威力、形状、最後にレンが戦った時よりも触手の怪人は強くなっている。

 

 もう前みたいに楽に勝てる相手では無いだろう。

 

 そこまで底の見えない強さは、まるでギンジにも似ている。

 

 「それそれそれどうだぁ!!」

 「ギンジの方が、まだ強い・・・!」

 「ギンジとあっしは同期だ!あっしの方が強いわ!」

 「なら、試してみて」

 

 皮が向ける様に触手の先端が膨れ上がると、その守っていたブヨブヨの皮の内側から赤黒い触手が飛んでくる。

 

 拳みたいな形状のそれは、容赦なくレンを殴りつけて、レンも容赦なく触手を何本も斬り落とす。

 

 「なんてこった・・・まさか本当にヘヴンホワイティネスと出くわすとは・・・」

 

 男は苦しそうな顔で、眼の前で怪人と呼ばれる超常の生命体と、正義のヒーローが交戦する姿を見て、驚愕している。

 

 (いや、クソ・・・ここでジッとしてるわけにはいかん。早く、軍本部に戻らないと・・・)

 

 男が苦悶の表情を浮かべているすぐそばを、黒光りする肉片が飛び散る。

 

 それは触手の怪人の一部。本体から切り離され、壁にぶつかってもびちびちと脈打ちながら飛び跳ねるソレを見て、男はかなり嫌悪感を見せている。

 

 「ビームランス!」

 

 無数の気味悪い触手に囲まれながらも、レンはビーム剣の形状を槍に変えた。明らかに長い武器は不利になると思うのだが、レンはこれで勝ちをもぎ取りに行くつもりなのだ。

 

 「ギガテンタクル・ヴィグザ・ハイニュー・ダブルゼー・ジ・リベンジェンズ!」

 

 肉のドリルとなる触手を胴体から伸ばして、甘い香りを漂わせるモノの先端をデロデロとベロを動かす様に、レンに向けて飛ばして行く。

 

 唾液に様に糸を撒き散らして、ヘヴンホワイティネスと言う獲物に向けた性の欲望を丸出しにした触手が、小柄な蒼い少女を包み込んだ。

 

 「ビーム槍術・・・!」

 

 肉のドリルは見た目に反してかなり殺意を込めた威力となっていて、レンのスーツを一舐めするだけで、肌がピリつく不気味な感触に、かなり不快な顔をしている。

 

 「ほれほれほれ!終わりじゃ!お前を倒して、そこの男も連れて行くぜ!あっしの勝ちだ!」

 

 高らかな勝利宣言が住宅街に響き渡る。

 

 「勝ちはありえない」

 「なぬっ!?」

 

 肉ドリルの渦の中から、レンは空に向けてビームランスを掲げた。

 

 突き出す様に刺し込まれた蒼い刃が、触手の渦を一撃で弾き飛ばす。

 

 「バカな!」

 

 風船が割れる様に、筋肉で膨張した触手たちが破裂していくと、空に突き出した槍の勢いで、レンが触手の怪人の上空へと躍り出た。

 

 見上げた触手の怪人の視界には、ヘヴンホワイティネス。

 

 レンが左手で構えるのはビームランス。

 

 槍投げの形で肩に力を込めて、真下に居る触手の怪人へと武器を投げ飛ばした。

 

 負けじと触手の怪人も胴体から鈍器の様な形状の巨大な触手を振り上げて、レンへと反撃を行う。

 

 だが・・・。

 

 「勝つのは・・・未来を信じている方」

 「それじゃあ、あっしの方やな!ヌルグチョにしてやるからそこに直れ!」

 「ビーム槍術・ギガトン・エクスベンダブル・ヘヴンホワイティネス・スピア・キャノン!」

 

 触手の怪人の長い名前の必殺技が気に入ったのか、レンが投げた槍は、技名と共に、蒼い光が強く輝きだして、投げた槍が加速していく。

 

 それは鈍器の触手と真正面からぶつかり、刃の表面に宿る光熱が触手を焼き潰して、貫通・・・。

 

 「げげんちょ!?」

 

 呆気に取られた触手の怪人の眼の前には、蒼く輝く槍が一本。

 

 「うっそ・・・!」

 

 触手の怪人の顔面にその槍が突き刺さった。宇宙人の様な顔に風穴を開けてやり、コンクリートにビームランスが突き立てられる。

 

 更にそこに着地したレンが、ビームランスを握るとそのまま形状をビームハンマーに切り替えて行く。

 

 「ビーム・ハンマー!」

 

 風穴の会いた頭部からビームハンマーによるフルスイングを受けて、ついに触手の怪人を大空へと殴り飛ばす。

 

 「おぉぉぉぼえてるぉおおお」

 

 夕日の彼方へと消え失せた触手の怪人の捨てセリフを聴いて、レンはげんなりした顔をしていた。

 

 「あれだけやって、まだ死なないの・・・?」

 

 だとすればタフネスはギンジ以上の怪人かも知れないと、レンはビーム剣を肩に乗せてから軽いため息を吐き出した。

 

 住宅街エリアの危機が一度なくなった事で、レンはヘヴンホワイティネスとしての変身を解除して、元の姿、学生服に戻ってから、先程まで苦しそうにしていた男の方へと、駆け寄る。

 

 「あの・・・」

 「・・・」

 

 レンはどう声をかけて良いのかが分からなかった。

 

 その男は、レンが一番よく知っている男の顔をしているからだ。

 

 それもこの時代の人間ではなく、レンの暮らしていた時代での、男の面影。

 

 「名前を、聴いても、良いですか?」

 「あ、ああ。俺は、銀葉イオリって言うけど・・・まさか、あの正義のヒーローの正体がこんなお嬢さんとはね」

 

 男の名前は銀葉イオリ。

 

 レンはまだ確信は持てなかったが、この男の顔を見た事で、胸が締め付けられる思いをしていた。

 

 (シルヴァ・・・シルヴァの、血縁の人、かな・・・)

 

 今まで握っていたビーム剣をくれた人。

 

 そして自分だけを逃して過去へと向かう事を許してくれた人。

 

 ヘルブラックロスに全てを奪われてしまった、悲しき戦士、それこそがレンの知っているシルヴァと呼ばれる人物だ。

 

 「なぁ、俺さ、変な奴らの住処から逃げてきたんだ。さっきの触手ヤローみたいな眼をした人たちがたくさん居てよ、治療も済ませてもらったけど、俺にはやらないと行けない事が・・・あって・・・」

 

 イオリと名乗った男は、再び苦しそうな顔をして、片膝をついた。

 

 見れば顔も赤くて、まるで熱でもあるような姿だ。

 

 (・・・ヘルブラックロスはこの近くに、もう一つの仮拠点があるの・・・?)

 

 レンはどこか不思議めいた表情をしているが、一先ずは人命救助の方が先だ。

 

 この住宅街エリアのどこにヘルブラックロスが居るかは分からないが、触手の怪人がこのイオリと言う男を追いかけていたのは、おそらくいつもどおり拉致した人間に洗脳でも施そうとしていたのでは無いだろうか。

 

 と、色々レンは考えを巡らせていく。

 

 (でも・・・今は、シルヴァ・・・じゃなくて、イオリ、さんを、どこか安全な場所に連れて行かないと)

 

 レンは苦しそうに息をするイオリに肩を貸してあげながら、一度安全な場所へと送り届けるのであった。

 

 (・・・とりあえず、カエデの家まで、連れて行こうかな。そこが一番、かな。色々聴くのはその後でも良いはず)

 

 おそらくそこが一番安全だろうと、夕日の蒸し暑い道で、レンとイオリは神宮亭へと歩みを進めていくのであった。

 

 なんだか初対面とは思えないイオリと言う男の顔を見て、レンはこの形見のビーム剣に眠る記憶を、たくさん思い返すのであった。

 

 

 

続く

 

 




お疲れ様です。

今回は前置きのお話になります。登場人物が過去最高に増えてしまっている章の為、かなり長くなる事が予想されます。

キャラネタ書きます

真鍋アオハル
雪の怪人とメッセージのやり取りをしていく中で、恋心を懐き始めた。
ケイタにどうしたら良いかと相談をしたかった。

角倉ケイタ
人の恋愛に興味を持ちつつも、相手はあの雪の怪人か〜と少し複雑な気持ち。

触手の怪人
相変わらず長い名前の必殺技を持っている。
今回の技名にはガン○ムが由来のモノが多い。
由来は、タバコ、PCやチップの要領バイト・ギガ等、ガン○ム等
最近はタフネスも強くなり、しぶとくヘヴンホワイティネスの邪魔をしている。どうしてイオリを追いかけていたのかは不明。

宮寺レン
恩人の名前はシルヴァ。そんな彼と似ている?もしくは子孫?の銀葉イオリと邂逅を果たした。

銀葉イオリ
ついさっきまで東に居たが、逃げてきたらしい。どうして逃げたかは不明であり、触手の怪人に追いかけられていた理由も不明。

・・・

さて次回は、神宮亭に連れてこられたイオリ。

彼の素性と事情を知ったレン、ミヤコ、赤鬼は、一先ずギンジとカエデとミドリコの帰還を待つことにするのだが・・・東度固化市に麺類を食べに行ったギンジ達とは連絡が取れない状況で・・・?

なお話の予定です。

それではまた次回!
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