正義のヒーローヘヴンホワイティネス   作:アトラクション

19 / 128
お疲れ様です。もうすぐ20話ですよ、すごいですよ、20話なんてかつてハーメルンで投稿していた作品でも20話は行ってなかった様な気がします。

しかし相変わらず無理やり展開作ってるな〜って毎度思ってます。
頑張って楽しんでもらえるように今後も励みます!

それでは20話前祭ということで、お楽しみください。


18・仲間を守りたい気持ちと、嘘

 

 ギンジが攫われて1時間程。

 

 白い光が強く灯され、スポットライトの様にギンジの居る場所へと、明かりが照らされる。

 

 辺り一面はコンクリートみたく打ちっぱなしの部屋。

 

 壁にはトロンボーンのレリーフが刻まれた、四角い枠。

 

 下半身を黒いなにかに埋め込まれ、両腕を吊るされ、身動きできず力なくだれている。

 

 そんなギンジを見て、ミヤコは心配になる。

 

 「ああ、ギンジ君・・・」

 

 アジトに連れて来た時に最低限の治療はしてあげた。傷口を止めて輸血も行った。

 

 でも身体を綺麗にしてあげないのには、一つだけミヤコの狙いがあるからだ。

 

 「ううぅ・・・」

 「くふふ。大丈夫?ギンジ君?どこか痛む?」

 

 ミヤコはギンジに接近し、鼻が当たりそうな程顔を近づける。

 

 「ミヤコ・・・か?」

 「すー・・・あ、うんそうだよ、貴方のミヤコだよ・・・すー」

 「何を・・・?」

 「くふふふ。吸ってた」

 

 顔を離すとミヤコは、相変わらずの対応をギンジに送る。本当に好きな人と一緒になれている事が嬉しくてたまらないのだ。

 

 少しだけ恥ずかしそうにはにかむと、ミヤコの手がギンジの頬に添えられる。

 

 小さく、ほんのり冷たく、綺麗な形をした指が、ギンジの血で汚れた頬に食い込んでいく。

 

 まだ怪我の影響か、ぼんやりとしたギンジの眼をミヤコが合わせると、とてもたまらない気分になる。

 

 好きな人の顔を、自分の手でもにもにと揉みほぐす。

 

 「やめ、ろ・・・」

 「ああ、ごめんね。だってギンジ君と会えるの久しぶりだったから・・・」

 「・・・ヘヴン、ホワイティネスは・・・無事、か?」

 

 憎き怨敵の名前を聴くとドクターミヤコの顔は、笑顔だが明らかに憎悪を孕んだ悪の気配が強まる。

 

 可愛らしい顔をしているのに、影で覆われる顔にはどこか恐怖を覚えそうな程だ。

 

 「良かったね、ギンジ君・・・生きてるみたいだよ・・・逃したみたいで・・・」

 「そうか・・・」

 

 掠れた声で言うと、頭の重さに耐えきれずカクンと、頭が落ちる。

 

 「・・・」

 

 後頭部を見ると、小さな手でギンジの頭を撫でる。

 

 「お腹空いてない?くふふふ。食べたいもの、なんでも言ってね」

 「・・・ああ、じゃあ、先ずは水くれ・・・」

 

 喋ることでさえあまり力の出ないギンジは、水を注文する。

 

 「はーい。待ってて、あなた・・・違った、ギンジ君」

 

 間違えたのは嘘だ。間違いなく確信犯の発言である。

 

 ミヤコが部屋を出たのを確認すると、直ぐに周囲を見渡す。

 

 先ず、部屋の内装。

 

 暗くて手術室の様な器具と、黒く広がった床。視界がいつもより一段低く見えるのが違和感に感じる。

 

 そして見える限りでは、この部屋はかなり広い。

 

 (あ〜駄目だ。腹減って上手く考えがまとまらん。水だけじゃなくて、食べ物も頼めばよかったな)

 

 光も強くて部屋の全てが見渡せる訳でもなく、そもそも後ろはどうなってるのかさえ、解らない。

 

 「お待たせ〜。お水以外にも食べたくなったらでいいから、これも食べてほしいな」

 

 ミヤコがプレートいっぱいに持ってきたのは、水の他にサンドイッチ、パスタ、調理された肉料理、カップラーメン等・・・。

 

 「腹減ってるから、ありがてぇ。腕だけでも外してくんねぇかな」

 「くふふふ駄目」

 「マジかよ」  

 「何が食べたい?」

 

 このままだと食べづらいし、今のギンジは逃げるつもりはない。

 

 もし脱出が出来たとしても、ここがどんな構造なのか、それを解っていないときっとまた捕まって終わるだけだ。

 

 「はい、ストロー」

 

 ボトルにストローを刺して、ギンジの口元に用意してくる。

 

 弱っているギンジがストローを咥え、水を吸い上げる。

 

 ミヤコはコクリコクリ、と上下に動く喉仏を見つめると、なんだか庇護欲が増える様な、母性が溢れる様な不思議な感覚に、恍惚な表情を作る。

 

 「サンキュー。だいぶ喋りやすくなったぜ」

 「どういたしまして。くふふ、さぁ次は食事をする?それともキスする?あ、身体を綺麗にしてあげようかな?」

 「待てまて!食事の後が全部お前の欲望じゃねぇか!」

 「くふーふふ、くふふーふふーふふ。そうだよ」

 

 全く悪びれもしないミヤコの態度は、ギンジの調子を毎回狂わせる。

 

 前にも怪人としてこの組織に所属していた時も、こうやって無理やり関係を持たされそうになったりしていた。

 

 その度に組織への謀反を考え直す様な、曖昧な形での動きになりそうな感じになっていた。

 

 それ故ヘヴンホワイティネスとの邂逅を果たした時は、待ちわびたこの瞬間を大切に扱おうとギンジは思っていた。

 

 「でも食事はしないと駄目だめなので、食べてね、ギンジ君」

 

 ミヤコの小さな手で、様々な食事が開封されていく。温めてあるのか開ける度に白い湯気が立ち登り、そこから食欲をそそる香りが、ギンジを犬の様に素直にさせる。

 

 「解った、腕は解かなくていいから、食べさせてくれ」

 「はーい。熱くても平気?それともサンドイッチから?」

 「・・・サンドイッチからで」

 

 見るからに熱そうな物は後回しとして、今はそれなりに食べやすい物を選ぶ。

 

 「じゃあ。あーん」

 「・・・」

 

 サンドイッチを袋から取り出す。レタスとからしマヨネーズのハムサンドは、それはもう最高に美味しそうな色と見た目。

 

 それを小包から取り出し、ミヤコはギンジの口元へとそれを運ぶ。まるで病人のご飯の食べさせ方に、かなり恥ずかしい気持ちになる。

 

 (見た目中学生の女子に、ご飯を食べさせてもらうってどーゆープレイ!?俺なんかした??この絵面大丈夫・・・?)

 

 ギンジの目線よりやや高く、ミヤコの顔が見える。

 

 真上からの力強い光が、ミヤコの顔を隠すように照らしだし、こうしてみるならば今のギンジに取って天使に見えなくもない。

 

 「美味しい?コンビニのやつだから、マズイ事はないと思うんだけど」

 「あ、ああ大丈夫だぜ。うまいうまい」

 「くふふ。それは良かった。こうして食べさせる事が出来るなんて、本当に嬉しいよわたしは・・・くふ、くふふ」

 

 心から嬉しそうに笑う小さな少女。

 

 ギンジの力で叩けばすぐに殺せそうなミヤコは、底知れぬ知略を秘めた怪物だ。

 

 「ねぇ、ギンジ君は怪人になって、人を超えた生命体になって、心が人と違うモノになって、気分は晴れなかった?」

 

 サンドイッチを食べ終えると、ゴミになった小包をゴミ箱に入れながら話すミヤコの問いかけに、ギンジは顔をしかめる。

 

 「気分が晴れたか・・・そうだな・・・」

 

 何者でも無く、ただの人間であった自分が怪人と言う、超常的な存在になれた時の事を思い出す。

 

 2月の任務では人を殴ることに、躊躇い等無くなっていた。

 

 悪い事をするのにも、この力があれば適当にやっても捕まることはない。

 

 仮に捕まったとしても今のギンジなら、簡単に牢屋を破壊して抜け出せる。

 

 怪人とは法で縛ることは出来ず、力で全てを解決する最強の生物。

 

 ヘルブラッククロスが目指す力の世界における、最も生きる力を示せる生命体。

 

 「最高だった・・・?」

 

 心配そうな顔でギンジの顔を覗き、か細い声で訪ねてくる。

 

 「ああ・・・そうだな・・・」

 

 この力があったからこそ、今のギンジは好き放題暴れる事が出来ていた。

 

 「正直言うと・・・俺に心が出来た様な気がしてたんだ」

 

 転生前の世界ではまさしく生きた屍。転生後の世界では力を手に入れ戦う怪人となった男。

 

 「そう・・・心ね。くふふ、それじゃあ、ギンジ君はなんの為に戦ってたの?」

 

 なんの為に戦っていたのか。

 

 決まっている。

 

 佐久間ギンジという男は、ある意味見方を変えればヘルブラッククロスの1戦闘員。

 

 ヘヴンホワイティネスというゲームは、神宮カエデ、宮寺レン、甘白ミドリコ、リコニス、女性戦闘員、菊沢トモカ、名も無きモブ女性達が、狂わされた日常の中、ヘルブラッククロスのオモチャにされるゲームだ。

 

 26周もしたギンジは、物語の始まりからエンディングの内容まで全部覚えてる。

 

 そんなゲームはとてもギンジのお気に入りで、果てしなく楽しめていた。

 

 ただ一つ、残念な事を除いて。

 

 「やっぱりよ・・・エンディングは、ハッピーエンドじゃねぇと・・・」

 「わたしの為にハッピーエンドにしてくれるの?」

 「・・・お前が良いなら、俺と一緒にハッピーエンドに着いてきてくれないか?」

 

 ギンジの戦う理由。それはたった一つのシンプルな理由。

 

 「俺の戦う理由は一つだけだ。俺は正義の為に戦いたい。あいつらの未来を、正義を守りたい」

 

 この世界がゲームと同じバッドエンディングをたどるなら、それはきっとギンジの望む世界じゃない。

 

 ギンジだけじゃなく、カエデも、レンも、ミドリコも。

 

 ケイタ、トモカ、レイナ、サクラ、そしてこの世界に生きるほとんどの人間が、忌み嫌う最悪の未来になるだろう。

 

 「あいつら・・・それって、やっぱりヘヴンホワイティネス・・・?」

 

 ミヤコは知っている。誰かの為に戦う正義なんてまやかしであることを。

 

 ギンジは知っている。誰かを守る為の正義こそが真に人々を救うと。

 

 「くふふふ・・・そう・・・」

 

 笑い声は静かに消える。

 

 「わたしはね、ギンジ君と一緒ならこんな世界、どうなってもいいって思ってるの。総統の理想とする世界なら、戦わなくてもわたし達は生きていけるんだよ・・・」

 

 元々ミヤコもこんな世界に未練はない。家族に虐げられていたあの人生から、今の様に怪人を造り、見える世界が変わった。

 

 だからどうなってもいい、こんな世界。総統の作る世界でなら、今度こそ本当に幸せに生きていけるから。

 

 鈴村ミヤコにとって佐久間ギンジという存在は、ただ自分の名前を知っているだけなのに、誰も知らない、知り得ない筈の名前を知っているだけで運命の出会いを果たした気分になった。 

 

 「ギンジ君は・・・?わたしと一緒に居たら嫌・・・?」

 

 佐久間ギンジにとってドクターミヤコという存在は、中身を知らなかった喋らないシルエットだった。だが、この世界においては死にかけていた自分を助けてくれただけじゃなく、怪人にまで改造してくれた。

 

 自分の命を助けてくれた恩義がある。ヘルブラッククロスでなければこの子と一緒になるのも、嫌ではないとギンジは思う。

 

 吊るされながら、身動きの出来ないギンジに、ミヤコがすり寄ってくる。

 

 「ミヤコ・・・?」

 「わたしは・・・ギンジ君と一緒に居たいよ・・・」

 

 笑わず、でも泣かず、それでも悪としての側面の強い口調。

 

 「ギンジ君・・・」

 

 ミヤコの顔が近づき、右の耳たぶにカチリと、痛いような、甘いような感触が広がる。

 

 ミヤコに耳を甘噛みされた。

 

 「んむ・・・」

 「痛っ・・・お、おいミヤコ?」

 

 ふぅーっと耳元に息が吹きかけられる。ミヤコの吐息がギンジの耳を伝い鼻腔をくすぐると、頭の中が蕩けそうな、溶かされるような、筆舌に尽くし難い感じと、脳内に弱く甘い電流が迸る。

 

 「話が長くなったけどさ、わたしは、君と一つになりたいんだ・・・」

 「ひ、一つって・・・お前ばかりズルいぞ。俺のさっきの要求はどうなんだよ」

 

 ハッピーエンド。ミヤコが良いなら・・・。その答えを聴いていない。

 

 「くふふ・・・君がヘルブラッククロスを潰せるなら、いいよ」

 「お前それはセコいンじゃねーか・・・痛っ」

 

 また耳たぶを噛まれる。歯が鋭くて痛いのに、唇の柔らかさが後から挟みこまれる事で相殺される。それは相殺だけでなく、甘美な感覚となり次第に痛みを消し去り、非常に気持ちのいい感覚になる。

 

 唇だけじゃない。後から来るのは、ぶよぶよした、しかしザラザラとした感触。

 

 歯で噛み、唇で挟み、舌で触る。

 

 「み、み、ミヤコしゃん・・・?」

 

 感じたことのない不思議な感覚と、普通なら気持ち悪いと思ってしまうその行為に、ギンジは嫌がる素振りすら見えなくなってくる。

 

 「っは・・・ギンジ君、可愛い、好き。本当に、大好き」

 

 反応を見て楽しんだのか、未知の感覚に踊るギンジを見てミヤコはもはや女の顔となっていた。

 

 少女ではない、正真正銘、男を知っている女の顔。

 

 「ギンジ君、ハァーはァー・・・やっば・・・可愛い、好き、食べたい、はぁーー・・・」

 「絵面が!絵面がよろしくないです!誰か助けてくれー!!」

  

 首を振って暴れるもそれは無意味な抵抗。

 

 両手で抑えられると、その動きも止められてしまう。

 

 「くふふふ・・・はぁー・・・ギンジ君」

 

 ニタリと笑顔を作ると、ミヤコの眼がギンジの瞳を真っ直ぐ見つめる。黒い眼球と赤い瞳。それに写るミヤコの瞳。

 

 「あなたの身体がおかしくなるまで、めちゃくちゃにしてあげる。だからわたしの身体がめちゃくちゃになるまで好きにして?」

 

 その言葉の意味はきっと子供じゃなくても解る。それほどまでにギンジへの愛を込めた言葉。

 

 「あなたの事を好きになれるのはわたしだけだよ。好きになっていいのも、わたしだけ」 

 「ミヤコ、おい、やめろよ・・・?」

 

 もう今の彼女にギンジの声は届いていない。

 

 今まで溜めていたギンジへの愛が爆発したのだ。

 

 この状態でなら、あのヘヴンホワイティネスを忘れてくれるかもしれない。それだけの熱情の入った濃密に、とろとろな身体のぶつかり合いが始まるのかもしれない。

 

 「おいいいミヤコおおお!!暴走するな!気持ちは本当に嬉しいけど!」

 「身も心もぐずぐずに一緒に溶け合って、ひとつになりましょ?理解して?解って?わたしの全てを知って・・・」

 

 愛ゆえの暴走が止まらず、どんどん言葉が出てくる。

 

 これがミヤコの本性なのかも知れない。

 

 耳元でまだギンジへの愛情をささやき続ける。

 

 「ミヤコ、もう、やめろって・・・」

 「わたしね、ギンジ君の、──が欲しい」

 

 もう止まらない。ギンジの中で欲望が膨れ上がる。

 

 ミヤコも欲望が止まらない。今、この瞬間だけはお互いがお互いを求め合う新婚夫婦にさえ見えるかもしれない。

 

 客観的に見てこの二人が夫婦と言えば、誰でも信じるかもしれない。

 

 「楽しそうな事してるね〜ミヤコ〜?」

 

 淫靡な雰囲気を一瞬で散らす、悪魔の気配。

 

 「ギンジちゃん、下半身埋まってるんだから、優しくしないと駄目だよ〜?」

 「リコニス・・・何故ここに来たのかしら?」

 (いや正直助かった・・・)

 

 リコニスの登場で、今の雰囲気から脱出したギンジは、そろそろ本格的に脱走を考える。

 

 「ん〜?何故って、私もギンジちゃんと遊びたいなって思ったのよ。お優しいドクター様なら、譲ってくれないかなぁ?」

 「・・・殺すわよ」

 「アハハハ・・・いつか言ったことなんだけどさぁ〜」

 

 右手で腰に取り付けた黄金の刀を引き抜く。光を反射しながらその切先がミヤコに向けられる。

 

 「泣かしてやる・・・」

 「くふふふ・・・」

 

 二人が怒りでピリピリし始める。

 

 腰の裏から薬品の入った瓶を取り出すと、ミヤコはそれらを何本も手に揃えてリコニスに対峙する。

 

 「ふ〜ん?私とやるんだ・・・?」

 「前から気に入らないと思ってたのよ・・・」

 「それはお互い様ね・・・ここで泣かして、その後は殺してあげようか?」

 「おいおい、やめろって、俺こんな状況なんだから戦闘しないでくれよ」

 

 ギンジの静止は届かず、二人が同時に駆け出すと同時にもう一つの静止の声が二人の動きを止める。

 

 「そこまでだ」

 

 その言葉の重みはオーク怪人でも、ギンジでも、他の大幹部でもない。

 

 部屋の遠くから歩くだけで、迫ることが解る威厳と威圧の声。

 

 黒い戦闘服の様なコートに、オーク怪人に似た形の軍帽。ひと目見ただけで解る強靭な体躯と、ヘルブラッククロスを長年一人でまとめ上げた悪の組織のリーダー。

 

 総統がギンジ、ミヤコ、リコニスのいる部屋へとやってきていた。

 

 「総統・・・」

 

 悪のカリスマ、異次元の力、地獄へと導く者。

 

 ヘルブラッククロス・総統閣下の通り名を思い出したギンジは、彼の登場に肝を冷やす。

 

 「・・・ミヤコ、例の計画は順調かね」

 

 不愉快になるような、重い声。それを聴くだけで思わず敬服しそうになるほどの強大な悪の力を感じ取る。

 

 先程まで戦闘態勢に入っていたミヤコとリコニスは、姿勢良く総統の前で横並びになっている。

 

 そんな二人を追い抜かし、総統は吊るされているギンジの目の前に近づいてくる。

 

 生身で見ると明らかに映像や、ゲームとは違う総統の迫力に圧倒されそうになる。

 

 「貴様がギンジだな。怪人としてのお披露目で一目見たきり、だったが」

 「ヘルブラッククロスのトップに、覚えておいてもらえるなんて光栄だね。ここに何しに来た?」

 「威勢は良いようだな・・・!」

 

 設定だけなら総統は人間の筈。ギンジのこの態度が気に入らないのだろうか、直ぐに拳をギンジの腹部にめり込ませ、油断していたギンジの顔が青くなる。

 

 「フン・・・その眼は私の嫌いな光を宿しているな」

 

 殴られても総統を睨みつけるギンジに、総統はある種感心する。その眼の光は気に入らないとの事だが、それを今は後にし、ミヤコとリコニスに向き直る。

 

 「ミヤコ、洗脳マシンの準備はできているのかね」

 「勿論でございます。後は撮影を済ませて、ヘヴンホワイティネスに送りつけるだけです」

 「であるか。リコニス」

 「ハッ」

 

 流石に問題児のリコニスも総統には素直なのか、礼儀正しく返事を行う。なんだかそれが新鮮でギンジは今だけはリコニスがただの戦闘員みたいに見えた。

 

 「貴様にはアジトに帰還し、次の計画の準備に入ってもらう。ここはミヤコとその部下、そして怪人に任せる」

 

 総統の指示を聞き入れると、リコニスは無言で敬礼を行う。

 

 一瞬だけギンジを見ると、ニヤリと口角をあげて部屋を出る。

 

 (ここ、アジトじゃなかったんだ・・・)

 「さて、ミヤコ・・・そろそろお遊びは終わりだ。我々の敵であるヘヴンホワイティネスに、見せしめを開始しろ」

 「畏まりました。くふふ」

 

 総統の命令でミヤコも部屋を後にする。

 

 今この部屋ではギンジと総統の二人。己の中で正義の志を持つ二人だけの空間。

 

 「さて、一度お前とは話してみたいと思っていたのだ。いいかね」

 「話す事なんてあんのかね・・・」

 「お前にはなくても、私にはある・・・この世界の行く末について、話そうではないか、進化の怪人」

 

 総統の重苦しい程の言葉に、ギンジは吊るされたまま身構える気持ちで総統と向き合う。

 

 「この世界は実に不公平だと思わないかね」

 

 総統は語り始める。ギンジにとって興味の無い話かも知れないが、そんな事は関係なく、自らが理想とする世界への話をしていく。

 

 例えば仕事。

 

 誰もが認める実力があるのにも関わらず、顔が怖い、協調性がない。

 

 たったそれだけで昇進を得られない環境、社会。

 

 例えば勉強。

 

 学校中が尊敬するほどの勉学力においても、まともに会話できないという理由だけで虐げられる世界。

 

 例えば・・・戦闘。

 

 命を奪うか奪われるか、常識的に考えたら異常かも知れないが、どこかの国では命を数多く奪った者が功績賞をもらえるはずなのに、殺人鬼等と揶揄される。

 

 「どれにおいても力なのだ。個人個人が持つ、力」

 

 総統は硬く拳を握る。

 

 仕事の話においては、ギンジにも納得が行く。

 

 勉強であればミヤコだろうか。

 

 戦闘ならば、おそらく怪人やリコニス・・・。

 

 「力は正義だ。何においても優先され、誰にとっても正しい正義だ。そして実力の持たない者が、実力のある者の未来を摘み取る事など、誰にも許されていいものじゃない」

 

 だからこそ、と総統はギンジに詰め寄る。

 

 「真の実力社会を、引いてはあらゆる闘争においての力を手にし、この世界を作り変える。先ずは日本を、我らが世界を創る」

 「なるほど・・・まぁ、あんたの言うこともごもっとも、かもな。そこで聞きたいんだけどよ」

 

 ギンジは総統から眼を離さない。

 

 「そんな世界だったら確かに生きやすいかもな。それで、全てにおいて弱い人を守りたい、大切な人を守りたいってなった時に、弱い人たちはどうなるんだ?」

 「愚問だな」

 

 ギンジの質問に総統は即答する。

 

 「弱い者が存在しない世界を創るのだ。我々が創る世界に、弱い者は存在しない」

 「じゃあズルく生きるのも力だな」

 「そうだな。進化の怪人よ、お前は強い。戦闘においてはピカイチだ。お前なら世界を手に出来る、共に来い」

 

 確かに総統の創る世界なら、かつて死んだ男であるギンジならば理解できる世界かも知れない。

 

 だが今の力のあるギンジならば、もっと違う考え方がある。

 

 「やっぱ100%も興味ねぇ世界だな」

 「・・・なんだと」

 

 力があれば生きていける。その変わり弱いものは切り捨てられる世界。

 

 聞こえはいいが、それでは世界は成り立たない。

 

 死ぬ事を簡単に済ませる世界なんて、今のギンジの望む世界ではない。力のある自分だからこそ守りたいモノが沢山あるから、沢山出来たから、だからそんな世界で生きていきたいなんて思わない。

 

 「他人を大切に出来ない世界に未来は無ぇな」

 「・・・不要な感情だ、そんなものは」

 「まだ解かんねぇのかよ。トップって言っても、意外と頭悪いんだなぁ!」

 

 総統の表情は変わらないが、眼が紅の光を灯す。見ているだけで殺されそうな、圧倒的な威圧と殺意。

 

 「いいか、総統サマ。力ってのは、持ってる奴が持たざる奴の為に、手を差し伸べるのが力ってんだよ」

 

 ハッキリと解っている事は、総統の言う理想の世界なんて言うものは、誰にとっても理想ではない最悪の世界。

 

 気に入らないなら暴力で解決する世界など、この世界で誰が受け入れるものか。

 

 「そんで聴いてれば、不要な感情だの、俺の考えが愚問?笑わせるぜ」

 

 その世界は、弱くなったら部下でも仲間でも恋人でも家族でも友達でも切り捨てないといけない、ギンジにとって一番嫌いな世界。

 

 思いやりの心を持てない人間しかいない世界。

 

 「人を思いやる事を出来ない人間に、世界なんて創れねぇよ!」

 

 強く叫ぶ。その声が部屋全体に響き、総統は今まで見たことのない殺意を全身から纏わせる。

 

 「貴様も力の前に破れてここに連れて来られた筈だ」

 「刀ぶっ刺されなきゃ、全員しばき倒したわ」

 

 総統の圧に負けじと、勢いだけで叫び続ける。

 

 「力で従えるのが正義なら、俺も同じやり方でお前らを従えてやるよ。最後に勝つのは、俺だ!!!」

 

 力いっぱい叫ぶと、腹部の傷口が開く。また生暖かい感触が身体いっぱいに広がっていてもお構いなしに、ギンジは総統へと激昂する。

 

 「・・・オーク怪人」

 「ここに」

 

 総統が低い声でオーク怪人を呼び出すと、去り際に命令を下す。

 

 「決行の時間まで痛めつけろ」

 「ハッ」

 

 不意に現れたオーク怪人も、総統の世界のその先を信じている。

 

 「やれよ」

 

 無言で近づくと、総統とはまた違う身体の大きさに気圧される。

 

 「お前の考える事は、いつかドクターにも聴かせてやれ」

 「は?・・・グホッ」

 

 言葉の真意は解りかねるが、それの意味を考える間もなく、容赦無い暴力がギンジに降り注いだ。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 あれからどれだけの時間が経っただろうか。

 

 もう夜か、それともまだ昼か。

 

 下半身以外、全身余す所無く、暴力の雨あられがギンジにぶつけられた。

 

 身体がとにかく痛む。特に頭は殴りやすかったのか、一番殴られたかも知れない。

 

 「くふふふ、手酷くやられたね、ギンジ君。痛い?」

 

 今ギンジを吊るす部屋にいるのは、ミヤコの他に、多数の戦闘員と女性戦闘員。 

 

 それからサキュバス、剣士、タコ、オーク怪人がぞろぞろと居る。

 

 ギンジの正面には三脚に取り付けられたギンジのスマホ。

 

 ギンジの真横ではミヤコが再びギンジへ、肉欲を迫ろうとしている。

 

 ぺろり、と首筋を生暖かい何かが這う。

 

 「・・・ッ」

 「くふふ、首すじ、弱いんだね。可愛い、好き。しゅき」

 

 ミヤコの小さな舌が、血液が乾いたギンジの首を舐めた。

 

 「ギンジ君の血と汗の味・・・美味しい」

 

 もはや気持ち悪さも感じるその言動に、怖気がする。

 

 「くふふふ。それじゃあ、後はこの台本を読んでね」

 

 気が変わったのか、それとも作戦が始まるのだろうか、ミヤコは一枚の紙をギンジに読ませると、ヘルブラッククロスの黒い眼球をモチーフにしたお面をつける。

 

 「・・・これ、ヘヴンホワイティネスをおびき寄せる為の、脅しだよな」

 

 書いてある内容はとにかく命乞いをし、自分がヘルブラッククロスの軍門に下るというもの。

 

 そしてヘヴンホワイティネスをおびき寄せ、一網打尽にするというモノ。

 

 内容自体はどうでもいいが、こんな事を言わないと行けないとは、ギンジは嫌気が指す。

 

 「それじゃあ、撮影を始めるよ。台本通りにお願いね、ギンジ君」

 

 ミヤコが言うと、カメラに入らないように手下や怪人達がぞろぞろと離れる。

 

 それを確認すると手下の一人が、ギンジのスマホからカメラを操作し始める。

 

 「あ、あー。これマイク入ってる?」

 「入っております。ブヒ」

 「あ、おけおけ」

 

 ミヤコとオークのやり取りは、いつもの空気感。

 

 「それじゃあ、先ずは私が出るね・・・」

 

 小声で言うとミヤコがお面をつけたまま、カメラの前に躍り出る。

 

 「初めまして、憎き怨敵、ヘヴンホワイティネス・・・くふふ、わたしはヘルブラッククロスのドクターだよ」

 (こういうの慣れてない感じがバレバレだな、ミヤコ)

 

 少しだけ少女の知られざる一面を見て、ギンジは内心妹の様な可愛さを覚える。

 

 「私の最高傑作である佐久間ギンジ君、とても素晴らしいでしょ?くふふ、この撮影が終わったら、身体を直して彼とわたしは一つになるよ。くふふふ、もう邪魔しないでね。あぁ、そうだ。ギンジ君が君たちに伝えたい事があるんだって。それじゃ、どうぞ」

 

 ミヤコがはけると、ギンジが映される。スマホの無機質なレンズがギンジを捉えると、あの台本を思い出す。

 

 (・・・でも、これを言うことであいつらがバカ正直に突っ込んできたら、終わってしまうしな・・・)

 

 どうすれば遠回しに助けてくれと言えるか。

 

 (せめて感情だけで動かないでくれれば、それでいいんだけどな)

 

 少し間を置いて考える。あまり時間を掛け過ぎると、怪しまれてしまう。

 

 (・・・そうだ、俺達は仲間だしな、こーゆーのもアリかも知れない)

 

 浮かんだ言葉を迷わずに放つ。

 

 「・・・ヘヴンホワイティネス、俺は最初からお前たちの事なんて信用していない」

 

 その発言にミヤコを始め全員が首をかしげる。

 

 「俺は最初からお前達の事を仲間だなんて思っていないし、本当は俺がお前らに変わってヒーローを代等してやろうと思ってたんだ。なのに、お前ら・・・正義だの、平和だのボケてんのか?」

 

 言ってて心が痛む。

 

 もしかしたらこの映像を見るかも知れない、カエデの事が頭の中に浮かぶ。 

  

 ──あんたバカじゃないの!?

 

 とか言われそうだ。

 

 自分の心が痛むのはきっと、ギンジが一番嫌いな、他人の心を踏みにじる事に等しいからだとも思う。

 

 「俺をまだ仲間だと思うならもうやめときな。正義のヒーローなんて今日日流行らねぇからな。

 

 たった今からお前らとは決別

 するぜ

 結託だって信じてないし、お前らだっ

 て俺を仲間だとは思ってなかったはずだ」

 

 どこか不自然に、そしてぎこちなく、言ってて辛い気持ちをひた隠しにして、ギンジは毒を吐き続ける。

 

 (頼むから、俺を助けるって感情だけで動かないでくれよ。レン、ミドリコ、このメッセージ、読み解いてくれ!)

 

 どこかぎこちないギンジの態度に、やがて怪人達は不信感が募り始める。

 

 「俺は、俺の力で・・・こいつらをぶっ潰す・・・もう、テメェらの出番はねぇんだよ!!解ったら失せろ、ヘヴンホワイティネス」

 

 撮影中止のボタンがここで押される。

 

 手下達も、怪人達も、台本には書いていない事を言い始めたギンジに視線が集中している。

 

 しかし、ただ一人、ドクターミヤコだけは拍手をしながら、ギンジにすり寄る。

 

 「くふふふ。ヘヴンホワイティネスとの関係を切るなんて見直したよ・・・もっと好きになりそう・・・。でもね、ギンジ君だけじゃわたし達に勝ち目なんて無いよ」

 

 笑顔のまま手元に怪しい光が明滅するマシンを取り出し、ミヤコはそれをギンジに向ける。

 

 「映像を送った次は、怪人を洗脳しないと行けなくてね・・・こんな事、本当はしたくないんだけど、ごめんね?」

 「クソ・・・」

 

 今日だけで2回目の絶対絶命。

 

 (まさかここまで用意してるとはな・・・)

 

 洗脳マシンの光に飲まれ、ギンジはここから以前の記憶を失い、ミヤコの為の、ミヤコだけの怪人として人格が造り変えられていく。

 

 

 (ああ、クソ・・・これじゃあ、あいつらが救出に来てくれても・・・無駄足にさせちまう・・・!)

 

 意識が光に吸い取られそうになりながら、脳内は必死に抵抗する。

 

 ──まだだ、ギンジ。まだ諦めちゃいけない。お前の正義は、お前の守りたい未来はまだ、変えさせない。

 

 意識を失う瞬間、誰かが脳内に語りかけてくる。

 

 それは聞き覚えのあるような、無いような。

 

 (・・・あぁ、やべぇ。俺、駄目かもしれん)

 

 佐久間ギンジが終わる。

 

 新たにミヤコの為だけの進化の怪人が、生まれ変わる。

 

 再び力尽きたギンジの身体に、洗脳マシンが動き続ける。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 「何よコレ・・・」

 

 あたし達が見た、ギンジの映像。

 

 「信じらんない・・・!」

 

 これから、ずっと信じていけるって思ってたのに。

 

 なによ、もう終わりって事・・・?

 

 「これは・・・」

 「うん、解った・・・」

 

 ミドリコとレンは何か動画を何度も見直してるけど、あたしとケイタは何もわからないわ。いや、ギンジがあたし達を実は信じてませんでしたって事がよーーーおおおぉぉぉく解ったわ。

 

 結局、怪人はどこまで言っても怪人ね。

 

 今度会ったら、絶対ぶっ飛ばして・・・。

 

 「今度、また今度ってあるの・・・?」

 

 会えるかどうかももう解らないのに、どうしてかあたしの頭の中には、ギンジの事が沢山巡ってくる。

 

 あんなバカの事、信じたあたしの方がバカじゃない。

 

 バカ、バカ、バカ、バカ・・・バカギンジ・・・。

 

 「なんでよぉ・・・」

 

 リビングから離れて、隣の客間で一人で座り込む。

 

 「追いつくって・・・約束したのに・・・」

 

 あの時のあたしの判断が間違えていた。こんなに辛い想いをするなら、あの時無理してでもギンジを連れて帰るべきだった。

 

 「あーもう!バカ、バカ!バカギンジ!!」

 

 床を叩く。手が痛くなるけど、構いはしない。

 

 それに何よ、あたし達の手を借りないで、一人でヘルブラッククロスを潰すですって・・・?

 

 ・・・。結局、あいつ一人でなんでもする気なんだ。

 

 あたし達の事なんか、まったく気にも止めてないって事なんだ。

 

 胸の中の心・・・それが全部塗りつぶされて、あたしの色が消える様な、悲しい気持ちでいっぱいになる。

 

 ・・・。

 

 「・・・やだ」

 

 こんなの嫌だ。あたし達は正義のヒーローよ。

 

 あいつがあたし達の事信用していないなら、それでもいいわ。

 

 いいけど、この気持ちだけは嘘をつかない。

 

 悲しい気持ちを引きずりつつも、あたしは立ち上がり、リビングに戻る。

 

 「ミドリコ、レン!」

 「僕もいるんだけど・・・」

 「うるさい!」

 

 ちょっと乱暴かもしれないけど、あたしの気持ちは決まってる。

 

 ギンジの事は助ける。例え信用されてなくても、あたしがそうしたい。そう決めたら、直ぐに行動しなきゃ気がすまないわ。

 

 「カエデ、怒っているなら今の内に言うが、ギンジは助けてって言ってるぞ」

 「・・・はい?」

 「ギンジは、きっと、こう言わないと、いけないと思う」

 「僕はちょっと意味が解らなかったけど、このトロンボーンのレリーフさ・・・」

 「そんな事はなんでもいいわい!ギンジが助けてって、どういうことよ」

 

 そんな事言ってたかしら。ただ毒づいてきたぐらいの印象しか無いけど。

 

 もう一度動画を見てみる。

 

 ・・・。

 

 「助けて、なんて言ってないじゃない。どういうことよ」

 「カエデ、とりあえずその話は後で。私達は、ギンジを助けるために、場所の特定に入るが・・・カエデはどうする?」

 

 ミドリコの言葉やレンの話を聴くと、納得は行かないけど、でもものすごく安心する。昔、お父様に叱られた時みたいに悲しい気持ちから、許してもらえた時の安心感に近い様な。

 

 「嫌われてなくて・・・よかったわ」

 

 本当にホッとする。

 

 「それじゃあ、どうする?」

 

 ギンジを助けたい。でもって助けたら、嘘でもあんな事を二度と言わせないようにしないと。

 

 あーーーでもムカつく!超!最大!最強!必殺!ムカつく!

 

 「ねぇ、カエデ・・・ミドリコ・・・」

 

 レンがあたしとミドリコを呼び出す。手招きするように、客間へと案内される。ケイタはそのままトロンボーンがどうとか言ってるから置いてけぼりにされた模様。

 

 まぁいいわ。

 

 「それで、どうしたの。レン」

 「場所の特定に何か情報でもあるのか?」

 

 レンはミドリコの言葉を否定する。

 

 「・・・ねぇ、二人は、ギンジの事、好き?」

 「え・・・?」

 

 何か、背中を突き刺すような鋭くて、冷たい何かがあたし達の背後に迫る様な気配。

 

 「ギンジを助けるのは、いいよ。だけど、助けに行くなら、今の気持ちで、行くのはやめた、ほうがいい」

 「それは、どういう事だ・・・」

 

 ・・・正直あたしは言葉が出なかった。

 

 レンがこんな事言うなんて。

 

 「私は、未来では、常に家族を失いながら、戦ってきた、敵になった家族とも戦う事もあった・・・だから、その・・・」

 

 ああ、そういう事。もしかしたらギンジと戦う事もあるかも知れないし、助けたらそれでおしまい、なんて事にはならないで欲しい、ってことを言いたいのかしら・・・。

 

 「コホン、ギンジが好きかどうかはともかく、戦士であるレンの言わんとすることは解る。ありがとう、肝に命じておくよ」

 「あたしも・・・ちょっと、焦ってたかも」

 

 いつもならこういう時、ギンジが居たから上手くまとまってたのよね。

 

 「場所が特定出来次第、直ぐに出発しよう・・・!」

 「うん。ギンジはこれからも必要な、仲間」

 「必ず助けるわよ」

 

 ・・・。ミドリコの顔、少しだけ赤い・・・?

 

 (あたしもそうだけど、ミドリコもギンジの事いっぱい考えてたのかな)

 

 あぁ・・・。こんなにギンジの事で怒ったり、やきもきするんだから、あたしはきっとそういう事なのかも知れない。

 

 とにかくギンジを助ける。これだけは絶対。

 

 「とりあえず助けたらぶっ飛ばすわ」

 「私も、少々怒ってる」

 「同意。仲間の意味を、教えてあげよう」

 

 そしたら。

 

 「そしたら、皆でここに帰ってきて、ギンジにハンバーグ作ってあげなきゃね!」

 

 待ってなさいよ、ヘルブラッククロス。そしてギンジも。

 

 最後に勝つのは、あたし達なんだから!

 

 

続く      

   

 




お疲れ様です。女の子が好きな人への心情を表す時、作者はどう思っているのか・・・

答え:むっずいねん、これで正解か?大丈夫か?このままやっていいか?いいいよし行こう!
です。

キャラネタ書きます

佐久間ギンジ
人を思いやれないやつを悪とする!いいな!

ドクターミヤコ
色々と危ない中学生。

オーク怪人
一体何を考えているのか・・・

神宮カエデ
ギンジへの想いを、怒りで自覚した・・・?あと少し

宮寺レン
ギンジを見つめる二人女仲間に、そろそろ喝を入れたい。

甘白ミドリコ
ギンジの事好き?に対して最速で赤面した。年齢=彼氏いないなのでしょうがないね

角倉ケイタ
あのトロンボーンのレリーフが気になる模様。

リコニス
実はギンジが心配になって覗きに来たら案の定だったので、ミヤコを妨害した。

総統
結構アレな人。ラスボス

作者
パスタが好き

前回の次回予告で、ギンジが嘘をつくのだけは正解でした(だから何って感じだが)

次回は少しだけ話が逸れて、いつの日かあったケイタのメイン回になります。

ヘヴンホワイティネスの正義の為に、次回をお楽しみに!



  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。