今回は宮寺レンというメインヒロインではない彼女がメイン回ですぞおおうおおお
それではどうぞ
ギンジの救出。
今の目的を果たしたであろう、カエデがギンジと共に攻撃をあのオーク怪人に命中させた。
場が騒然とする中、大きなコンサートホールでは、剣士の怪人が椅子を斬り崩し、レンはビーム剣を片手に、剣士の怪人と激突する。
以前戦ったから解る。この怪人の強さは、オーク怪人に匹敵するほどの強さが有るということを。
「以前よりは強くなられたようですね?」
「当然・・・!」
お互いの刃が擦れて鍔に重なり、レンの手元へと刃が滑り落ちるも、のけぞる体制から身を捻り、今度はレンが剣士の手元へとビーム剣を滑らせる。
「はっ」
息を吐いて、体重を乗せたビーム剣の体当たりに、剣士の怪人が押される。
「わたくしとしては、ギンジさんを取り戻した、あの人と戦いたいのですが・・・それは許してくれなさそうですね」
「当たり前。私はお前を倒す。絶対に乗り越えてみせる」
かつての戦いでは、カエデもレンも一人ではほぼ歯が立たなかった強敵だが、今は違う。
今はレンだけでも、この怪人を乗り越える強さと自信を持って、戦いに挑んだ。
仲間を助けると決めた時から、ケイタと誓った時から、カエデを傷つけられた時から、必ずこの怪人とは決着をつけるつもりでいた。
「カエデの邪魔はさせない・・・ッ!」
カエデとギンジを背に、レンはビーム剣を長剣へと展開させて、その切先を剣士の怪人へと向ける。
必ず勝つという覚悟。それをビーム剣の中に見た剣士の怪人は、レンの姿勢を汲み取る事にする。
「名乗りをあげさせて頂いても?」
一瞬敵意を消し、怪人剣を綺麗な動作で鞘にしまうと、剣士の怪人は腕を前に振り上げて一礼。
「私の相手をするなら・・・お好きに」
「では・・・」
剣を引き抜き、手元でくるりと回転させる。
「わたくしの名は、剣士の怪人!」
右手に持った剣を天に向け、ラウンドシールドを左側へと振り抜き、刃の切先をレンに向ける。
「ヘルブラッククロス1の・・・剣士!」
力強く振り下ろした剣と奇妙なポーズ。胸が揺れる事も、肌を露出する事もいとわないその名乗り向上に、思わずレンはかっこいいとさえ思ってしまう。
だが今は敵同士。敵として対峙したからには、お互い引くつもりは無い。
「満足?」
「ええ・・・!」
レンの低くつぶやいたその声に、剣士の怪人は左の指先をレンに向けてウィンク。
「行きますよ・・・宮寺さん。いや、ヘヴンホワイティネス!」
「なら、私が相手する。せいぜい油断しない事」
「それは貴女もですよ!」
「ビーム剣術──」「怪人剣術──」
『イース・トゥルバレンツ!』
剣士の怪人からは赤と黒の斬撃が迸り、レンからは青と白の斬撃が迸る。お互いの必殺技の激突は弾ける刃となり、辺りに拡散していく。
「どわわあああ!おい、クール少女!おじさんを死なす気か!?」
「んもー!剣士ちゃんちょー痛いんですけど!」
タコの怪人と激突する藤原へ、ミドリコと対峙するサキュバスへと刃が弾かれ、敵味方に被害が及ぶが、二人は全く気にしない。
レンも剣士も、別で戦う仲間の事を信じているから。
「怪人剣術・ヘル・トランプル!」
剣を地面に突き刺し、赤と黒の竜巻を発生させ、その斬撃の竜巻がレンの身体を飲み込む。
「たつ、まきなら・・・私も・・・!」
四方八方から来る斬撃に、防御の体制を取るしか無いレンへと、剣士の怪人の凶刃が突き出される。
「怪人剣術・ヘル・ストリーク!」
竜巻の中に自らも突入し、その凶刃はレンのスーツに命中する。
少し前のレンならば実体に届き、その身体は貫かれたかもしれない。いまは鋭い一点へのダメージがレンの身体を後方へと突き飛ばして、竜巻を割る。
「くぅ・・・」
「こんなモノでは無いでしょう!」
「当然」
このまま二度三度と攻撃を貰うと、カエデとギンジに届いてしまう。
ここで剣士の怪人を止めると決めたのだから、これ以上の後退はしていけない。
それが例えどんなに怖くても、親友と仲間、そして恋人の為に、未来に残してきた家族の為にレンが決意した事だから・・・。
「ビーム剣術・牙(ファング)」
ビーム剣が大口の様に上下に開き、剣士の怪人へと繰り出し、牙の一つひとつが、ビキニアーマーの女へと喰らいつく。
「ガジガジと噛み付くだけではないんでしょうね・・・?」
未だ余裕な表情を保つこの怪人へ、レンの新たな武器の展開が行われる。
「複合ビーム武器・牙+カノン砲」
牙の形状、喉に相当する部分はレンのビーム剣の柄に位置し、そこから光が集束していく。
「燃えろぉ!光線撃!」
熱線が解き放たれ、小規模な光線撃が牙の外側へと発射される。
レンの新たな戦略と新たな武器の展開の数々に、剣士の怪人は心の底からの笑顔を見せ、その熱線をモロに直撃させられる。
「これは強力ですね・・・」
光線撃による攻撃が剣士の怪人の胴体を焼くが、それを何事も無いように振る舞うと、ラウンドシールドを構えて再度突撃の姿勢を取る。
「まだ終わりじゃない・・・よね?」
まともな攻撃が命中した事で、レンは誇らしげに笑みを浮かべて、剣士の怪人へとビーム剣を構える。
「これでは遊び程度でしょう?宮寺さん」
「なら、遊び疲れないようにね」
「楽しいですよ。こういう遊びは」
二人が同時に駆け出し、お互いの剣が何度もぶつかる。レンと剣士の怪人のお互い一歩も譲らない怒涛の攻撃の数々に、火花が舞い、刃が擦れ、金属の衝突する甲高い音が絶えず鳴り続ける。
「ビーム剣・デュアル」
左手で扱うだけでは無く、右手にも同じビーム剣を装備させる。同じ速度で振り回す二本のビーム剣に対して、剣士の怪人もラウンドシールドを操り始め、両腕を使う激しい攻防。
「ビーム剣術・デュアル・エリミネイト・・・」
新しい技を披露し、速度が上昇していく。ラウンドシールドという名の絶対防壁をなんとかして打ち破らなければ、この怪人との戦いには勝てない。
それは以前学校で戦った時に、レンがよく理解した。
右の1振りが、二本の剣線となり弧を描くと、とてつもない硬度のシールドに防がれる。
「まだ、まだ・・・!」
続く左の1振りは、剣士の怪人の盾に傷をつける。
(速い!)
剣士の怪人が驚く速さに、レンはどんどん速度を上昇させて攻撃を繰り返す。
「くっふっふ・・・とても面白いですよ、貴女は・・・!」
強敵と認めたワンランク上の敵性存在。それとこうして戦える事を、剣士の怪人はとても嬉しかった。
敵として出会わなかったら、きっと良き修行相手にだってなれたかもしれない。
「怪人剣術・シャトルフヴィント!」
剣術奥義を唱えると、レンの剣の猛攻から、飛び去って距離を作ると、剣、シールド、マントを三方向に広げてトンと軽く跳躍。その後に回転を行うと、追いかけてきたレンに横薙ぎの刃が襲い来る。
剣士の怪人の代名詞、回転斬り。
この大技を避ければきっと後ろで戦う仲間達に、甚大な被害が及ぶのは間違いない。
「させない・・・!」
あの恐ろしい破壊力を秘めた大技を、止められる武器を何か考える。
そしてできれば、自分にもダメージが少ないモノを考える。
「止められますか!!止められなければ、ここが貴女の墓場ですよ!」
雄叫びにも近い怪人の叫びに、レンは逃げずにビームの武器を構える。
「これなら・・・止められる!」
「ほう・・・考えましたね!」
剣が破壊を乗せて、レンの武器と衝突する。強烈で甲高い音が鳴ると、一瞬の静寂の後に、暴風と言うのが正しい、剣の圧が吹き荒れる。
「なるほど。点では無く、面ですか」
「これなら、お前の攻撃を、止められる。そう思ったから」
怪人剣を止めたのは、レンの新しい形状の武器。
四角く、角張ったその武器の姿を見て、剣士の怪人はレンの成長と起点に感動する。
ハンマー。長い棒に、先端部分は両方向に面となる、打撃の重点となる箇所にはトゲが9本取り付けられた、ビームハンマー。
今までの剣タイプや、ヤリの様な牙でも止められない、全く新しい形状。
「重いのでは?」
見た目通りの重さを誇るビームハンマーを、腰を深く落として、両手で肩に担ぎ上げるレンを見て、それでも戦う目付きは、必ず勝つという意思を失ってはいない。
「大丈夫・・・意外と軽いの、コレ。貴女の剣術と同じぐらい、ね」
「あまり調子には乗らないことですよ・・・」
本当はかなり重いが、それでいい。
この戦いにおいてレンに足りないのは、意思とか戦術とかではない。
剣士の怪人の防御を打ち崩す、カエデにもギンジにもミドリコにも出せない、瞬間的な力。
「自信があるなら、受けてみる?」
「ご冗談を・・・さて、時間もかかっていることですし、そろそろ幕引きと行きましょう」
怪人剣を両手で持ち直し、再び回転斬りを放つ。
「これで終わりとしましょう。お別れです」
「ぬぅぁああ・・・・・・・」
自分の精一杯の力で、身体が限界だと悲鳴をあげても、カエデの為に、ミドリコの為に、ケイタの為に、平和の為に、未来の家族の為に、レンは全力で持ち上げる。
「このわたくしに速度を捨てれば、勝ち目は無いですよ!」
「貴女に勝つために、速度は捨てた。これで貴女に勝つ」
「世迷言を!」
せっかく楽しくなってきたのに、レンの言葉で本来の目的の為に戦う事を思い出す。
ドクターの為でもあるこの戦い、自分が敗けては意味がない。
勝つと言うのであれば、レンの覚悟がどれほどか、試しに見てみたさもあった。
速度を捨てた力に極振りしたその武器で、この怪人を倒せるのか。
興味は尽きないが、どちらにせよ勝つのは自分だと、二人の女性は自信と自身を持って決めにかかる。
持ち上げる力の限界を超えて、自分を中心にハンマーを回転させる。
回転の打撃と回転の斬撃。
(あの重さでは、わたくしの速度には着いて来れまい)
事実剣士の怪人の刃はレンの攻撃より早く、かつてはカエデとレンに大きなダメージを負わせたこの攻撃。
「取った!」
回転斬りはレンの身体に深く当たり、実体にまで届く。
「ぐっ・・・ああああ!」
しかしハンマーは勢いを落とさず、剣士の怪人へと重撃は横から振り出される。
「そんな攻撃・・・」
血しぶきをあげてなおも止まらないその攻撃に、剣士の怪人は盾で防ごうと防御体制に入る。
「これで・・・届いて!」
ハンマーがラウンドシールドとぶつかり、再び暴風が巻き上がる。その打撃と重く、力強い音はラウンドシールドで防ぎ切れるモノではなく、レンの限界を超えた捨て身の力により、防御ごと剣士の怪人の腕を叩き砕く。
「くっふっふ・・・侮る、とはこういう事ですね」
「腕、折れたでしょ」
「貴女もスーツ、使い物にならないでしょう?」
折れた左腕と盾。
防御能力を大幅に低下したスーツでも、レンはまだ諦めていない。
「これで、決着をつける」
「本当の最終ラウンドですね・・・」
剣士の怪人は右手の剣を構え、レンも左手のビームハンマーから、ビーム剣に戻し、構え直す。
剣の腕での勝負ならば間違いなく剣士の怪人に軍配が上がる。
だが今の二人の腕ならば、勝負は見えなくなる。
「ビーム剣術」「怪人剣術」
未来で培った剣術、産まれて間もなく知識として与えられた剣術。
『ハアアアアア!!!』
右からの横薙ぎ抜剣。
大上段に構えたビーム剣の振り下ろし。
お互いが飛び出してすり抜けるかの如く、二つ剣が身体を抜けて交差する。
「がはっ・・・」
膝をついて倒れたのはレン。
スーツを斬り裂かれ、至る所から生々しい血液を流す。
「・・・覚悟を感じましたよ・・・宮寺さん・・・」
剣士の怪人の視界が縦半分にズレる。
「言ったでしょ・・・貴女を相手に、速度は捨てたって・・・」
一刀両断。
文字通りのその剣の腕に、剣士の怪人は自分のプライドと同等の剣ではなく、身体そのものを真っ二つに、寸分違う事無く、斬られた。
時間をかけても捨て身にしても、レンの言った速度を捨て、自分の力だけで剣士の怪人との一騎打ちに勝利した。
「ここまで強くなっていたとは・・・くっふっふ・・・最期に頼みを聴いても?」
「?」
よろよろと立ち上がりながらレンは、剣士の怪人に近寄る。
「わたくしの・・・名前を、教えてくださ、い、ま、す、か・・・?」
どんどん生気を失う彼女に、レンは覚悟を受け取る。
「あなたの名前は・・・剣士の怪人。ヘルブラッククロス1の・・・いや、私が戦った最高の剣士・・・」
「ありがとう」
身体が横に広がり、半分こになり、最期は砂となって霧散していった。
最期だと言うのに、消えるその時まで剣士の怪人は悲しむ事無く、死んだ。
レンが無意識に行っていたのは、残った怪人剣をそこに突き立て、供養した。
かつてギンジが言っていた、バーナーの怪人の事を思い出す。
友達として触れ合ったにはあまりにも短い時間だったが、それでも友と認識していた、と。
友達ではないにしても、レンは自分と同じぐらいの大きな覚悟を持った、その怪人の持っていた大きな覚悟に、未来流の供養によって手を合わせると、戦況を眺めに後ろを振り向いた。
続く
お疲れ様です
剣と剣がぶつかる話とか、いつか書きたいなと思って今回ようやく出せました。
でも剣士の怪人退場はもったいなかったかな・・・?
キャラネタ書きます
宮寺レン
ビーム剣、ビーム長剣、牙、ダブル、デュアル、ハンマーと武器の形状を色々変えられる。
強い覚悟に敗けないぐらい強い覚悟を持って強敵を乗り越えた
剣士の怪人
戦う事に自信を持って全力で挑んだ。
この戦いがとても楽しく、敗けた事を悟った時は、潔く身を引いた。
決して負けるつもりではなく、絶対に勝てると信じていた。
次回はカエデメイン回!
神宮カエデのファンは喜べぇえええ!
それでは、また次回