今回はカエデメイン回!
頑張る女の子っていいよね。
それではどうぞ
ヘヴンホワイティネスの襲撃。
普段とは違う、本来であればヘルブラッククロスが行う筈の襲撃作戦を、今回は逆に襲撃され返された。
敵の目的は佐久間ギンジの救出、及び撤退、と誰もがそう思っていた。いつも思うのはヘヴンホワイティネスとの戦いは予想通り行かない、現実を見させられる。
「ブヒ・・・なんという事だ」
オーク怪人の攻撃の手が止まる。その視線の先には、ギンジとカエデの二人。
そこから先、つまり彼ら二人の背後に、剣士の怪人が敗れるのを目撃し、オーク怪人はその事実を受け入れられず、ただ驚愕する。
「へぇ、やるじゃん!」
「流石ね!レン!」
ギンジとカエデの二人が後ろを向くと、変身の解けたレンが手を上げる。
─私は勝てた。次はあなた達が、勝つ番だよ。
そう言われている気がした。
「へへへ、これは敗けられねぇな、カエデ!」
「当たり前よ!」
オーク怪人は目の前の二人よりも、剣士の怪人の撃破によるドクターミヤコの精神状態が気にかかっていた。
「ぐぅぅうう〜・・・!」
悔し涙を浮かべているのか、歯をギリギリと噛み潰すようなうめき声に、いよいよ戦闘よりもミヤコの方が気になる。
「貴様だけでもここで倒す・・・!」
オーク怪人の思惑としてはギンジを連れ戻し、次こそミヤコにあてがう。それで彼女の精神の安寧は訪れ、ヘルブラッククロスの平和が手に入る。
「やってみなさいよ。チャーシューにしてあげるわ」
「ブヒ、それは褒め言葉だ。再戦と行こうか、ギンジ、ヘヴン1!」
身構えるオーク怪人の覇気に、本気であることを肌で感じ取るが、ギンジの視線は別の方に動いていた。それを確認したギンジは戦況を確認し直す。
(ミドリコはまだ戦ってるな・・・レンはもう戦え無さそうだし、なんか後ろに誰か居るけどアレは仲間か?うーん・・・)
サキュバスの怪人の上空からの攻撃に銃で応戦するミドリコ、酷い怪我を負って戦えないレンを見て、次は藤原を見る。
触手に巻き上げられ、四肢を抑え込まれボコボコにされている。
「カエデ、悪い!」
「何よ?」
ギンジがカエデの腕を引っ張り、持ち上げる。
「え?ちょ、なんなのよ!」
「あのおっさんを助けろ!」
タコ怪人の暴れる場所まで、思い切り投げ飛ばす。
「頼む!タコを止めてくれ!」
「ちょっ、ギンジ、バカぁああ!」
カエデも本当はギンジと肩を並べて共に戦いたかったのだが、そんなワガママは言ってられない。
ギンジに飛ばされタコ怪人を捉えると、空中で回りながら体制を整えてから右足を突き出し、タコ怪人の頭部を貫かんと、蹴りつける。
蹴り飛ばされて拘束が緩まると、藤原が硬い地面に落ちる。
「いやぁ、助かったぜ・・・アレ、おじさんじゃ無理だって」
「そのワリには余裕?藤原さんは回収しておく、頼むよ、神宮さん?」
藤原が顔にアザを作り、痛みに対して気だるげな感想を述べると、イロが回収に入り、藤原を戦線から離脱させる。
「あとはあたしに任せて!」
カエデが藤原とイロの離れる所を横目に確認すると、一瞬ギンジを見て、再び視線を正面、タコ怪人の飛ばされた所を見る。
(ギンジが言うならしょうがないわね。このあたしを投げ飛ばした事も含めて後でぶっ飛ばしておこう)
脳内で物騒な事を考えると、ガントレットのギアを回転させて、戦闘態勢の構えを作る。
タコ怪人はと言うと、奥の機材を破壊して煙を振り払い、立ち上がり様にカエデを視界に捉える。
八本の触手を広げて、カエデに立ち向かう。
「・・・(本気で来いのサイン)」
「上等よ。正義のヒーローが相手してあげるわ」
カエデの戦う場所から少し離れた所では再びギンジとオーク怪人が拳をぶつけている。
「本当に、敗けられないわ」
先程ギンジの言った言葉に同調する様に、迫りくるタコの触手に衝撃の拳を飛ばして戦闘が始まる。
「行くわよバカタコ!」
触手が弾かれても何度もこちらに返ってくる。一本の威力が大きく、避けて地面に当たる度に、硬いコンサートホールのタイルが抉れて、剥がれていく。
何本も迫り来るその触手を避け続け、どうしても避けられないモノはガントレットの衝撃で弾き飛ばす。
吸盤に吸い付かれれば、その瞬間で戦闘が終わる。かつての戦いでそれを理解しているカエデは、絶対に捕まらない様に身体を動かしては弾きを繰り返し、なんとかしてタコ怪人への接近を試みる。
「邪魔なのよ、この触手!」
一本の触手の吸盤の無い部分を掴み、力任せに自分の下へと引き寄せようとギアの回転が速くなる。
「・・・(接近戦でもこっちが強いのサイン)」
「だったら小細工無しでかかって来なさいよ!」
カエデよりも大きく巨大なタコに、普通であればこの後はカエデが負ける・・・様に見えてしまうが、この場に居るのはただのご令嬢ではなく、正義の為に戦うご令嬢。
最早体格差なんてよく有ることで、そんな事でいちいちビビっていられない。なによりも怖い事なんて、戦いによって死にかけ、仲間を奪われたカエデにはもう無いも同然。
死にかけても生きているし、奪われてもこうやって共に戦ってくれているギンジを取り戻したから。
今のカエデに恐れるモノなんて何もない。ヘヴンスーツもその気合に応えているのか、いつもより腕や脚、身体に染み渡る力がいつもより大きく感じた。
接近?という無理やりなモノに成功したカエデは、両手のギアの回転を更に加速させて、手が熱くなる。熱を帯びて赤く染まるガントレットを連続で突き出し、交互に右左と、順番に叩き込む。
「必殺!ドライヴ・レイザー!」
タコ怪人も触手を2本防御に回し、残りの6本の触手をラッシュ攻撃に合わせて叩き込む。
腕が二本の人間と、腕が8本あるタコとでは、そもそもの攻撃の手数で押される。
「ううぅ・・・おりゃあああ」
それでも手数に敗けじと、腕を何度も交互に出し続ける。6本の触手による攻撃を弾き、わずかな隙を狙って本体を守る防御の触手へと攻撃を当てる。
最初は互角の攻防だったが、次第にカエデが劣勢に成り変わる。いくらスーツによって身体能力が向上しているとは言え、攻撃の為に動き続けるのには限界がある。
タコの怪人は腕2本だけをカエデの攻撃への相殺とし、残り4本は直接カエデへとダメージを与える事が出来て、かつ余剰の2本は自分の防衛と、抜かり無い。
付け加えれば体力も人間を遥かに超えている為、ますますカエデが不利になる条件が整っていく。
「・・・(お前を人質にギンジを脅してやるのサイン)」
「・・・んぬぁにをお!?」
息切れをお越し、攻撃の手が緩み始めるこのタイミングで、タコ怪人の卑劣な物言いに、冷静さを失う。
一瞬の限界を迎えると、カエデの攻撃が終わり、呼吸を整えるために一度離れようと、後退する。しかしそれを見逃さず、今度は逆にタコ怪人が守りをやめて8本全部で、カエデを追い込む。
呼吸を整える事もままならず、4本を纏めたドリルみたいな触手攻撃に、カエデが思い切り殴られる。
「きゃああ」
さらにもう半分の触手を纏め、太くねじれた触手を、左右から挟み込み、カエデを叩き潰す。
「ぐふぁぁ!」
その強烈な打撃を貰い、カエデは倒れる。
その倒れた華奢な身体の少女へ、さらにねじれた触手を何度も振り下ろし、煙が舞い上がり、タイルの破片が辺りに飛び散る。
「・・・」
タコ怪人が笑っているのか、獲物を触手で絡めとると、カエデは打撃にやられてダランと逆さまに釣り上げられる。
墨でも吐いて、もっといじめてやろうか?
そう言っているのか、どこか笑みを感じるその顔と瞳に、カエデは自慢の笑顔で復活する。
「あんたの攻撃なんてこれっぽっちも痛くないわ!」
本当はダメージは大きいが、こんな事で弱音を吐いていられない。
すぐさまこの状況を脱出する為に、次なる大技を決めるために、逆さまのまま右手を前に突き出して、左手で右腕を抑える。
開いた掌は、タコ怪人の眉間と思わしき場所に狙いを定められており、思わずこの後起こりうる状況を察したタコ怪人の眼がギョッと細まる。
向けられた掌には赤白いエネルギーが溜まり、五本の指に絡まり手袋の様に手首まで伸びていく。
そこまで伸びたエネルギーを視認して、カエデはギアの回転させて掌から拳を作る。強く、硬く、仲間を助け、悪を滅ぼす正義の拳を。
「行くわよ・・・必殺・・・!」
「・・・!」
タコ怪人の頭部めがけたその技は、赤白い拳の形となって正義の衝撃が発動される。
吸盤で身体を締め付けられたり、身体の一部が真空となってスーツの奥の実体にでもしばらく跡が残りそうな吸い付きに、痛みが走るものの、その必殺技は途中で終わることはない。
「チャージング・バスターフィスト!!!」
放たれた衝撃の拳は、タコ怪人に拳の跡を焼印の如くつけて、明らかな大ダメージを与えることに成功する。
倒れる直前で墨を吐き出し、カエデに目暗ましを行う。その眼暗ましを前に警戒の姿勢を見せるカエデだが、墨の壁の向こう側から触手が何本も伸びてカエデに襲いかかる。
「どうせ見えてないなら避けなくてもいいわ、そんな触手」
触手はカエデに当たらず、空を切る。
もちろん全弾命中しないわけも無く、カエデの顔や、胴体、脚などに触手が伸びてくるがそれらは、普通に見てから簡単に避けられる。
「これで片付けるわよ!」
墨の壁をガントレットで払い飛ばすと、墨の向こう側で佇むタコ怪人へとカエデは赤白いエネルギーを両手に込めて、タコ怪人の触手の猛攻を避け続ける。
また距離を離されてしまったが、今度こそこっちから突撃する。
上空からの3本の攻撃を、軽い身のこなしで避け、足払いに飛んで来た1本の触手を踏みつけて飛び越えると、2本の触手の吸盤をカエデに向けるも、空中でカッターの様に鋭い蹴りを炸裂させて触手を弾き落とすと、着地して走り出す。
両手の拳のエネルギーは100%まで溜まり、最期の2本の触手が飛んでくる。伸びた他の触手が牢屋の様にカエデを囲み、もう逃げられない。
「・・・(ギンジや世界、お前の親、家族への交渉材料に使ってるのサイン)」
「いちいち卑劣なのよ!このバカタコ!!」
タコ怪人のカエデを捕えてからの利用方法は、他人への弱みに漬け込んだ、いかにも悪の組織が行いそうなモノで、それがますますカエデをヒートアップさせる。
こんな怪人に今まで攫われてひどい目に合わされた一般市民はどれほど居るのだろうか。
それを考えただけでも、このヘルブラッククロスという組織と、タコ怪人の言動に、正義の志が燃え上がる。
「邪魔よ!」
前方に迫る2本の触手が、カエデの左手のエネルギーによって、叩き弾かれていき、それと同時にカエデの左手のエネルギーが消滅する。
伸び切った触手を戻そうとしても、もう遅い。
「必殺!」
タコ怪人の顔面まで迫った。後はもう何もいらない。この怪人を絶対に倒す。
「バスターフィスト・・・」
呼吸を整え、大きく息を吸い込む。
右拳を叩き込み、息が続く限り、目一杯片手でのラッシュをタコ怪人にぶつけていく。
至る所に拳の跡を作り、タコ怪人に強攻撃が降り注ぐ。
「倒れろォォォオ!!!」
卑劣な巨悪に、女性の怒りの鉄拳が何度も命中して、さらに有無を言わさない連続殴打。
「・・・!?」
全身に走る痛みに苦悶を浮かべ、タコ怪人はいよいよ、身体にヒビが入り始める。身体がその痛みに対する許容を超えてきた。
「ハァハァ・・・これで本当に終わらせるわよ!」
8本の触手を戻し、カエデをめがけて掴みとろうとするも、衝撃の力を今出せる最大まで放出して、ヒビ割れた触手を全て破裂させる。
「!?!???」
ついにまともに戦う為の武器をなくしたタコ怪人は、それでも墨を吐き出そうと、カエデに口を向けるも、その口に向けてカエデが両手を後ろに構えて、ギアが再び回る。
「必殺・・・メガトン・インパクトォ!!」
タコ怪人の胴体に深くめり込む、カエデの両掌。
有姪海岸で戦った時も、それ以前での戦いでも、カエデはずっとこの技でタコ怪人を倒して来た。
今回もその自慢の技でタコ怪人をにトドメを刺す。今度、は無い。今回で最後のタコ怪人との戦い。
「・・・ネサミラ・・・ェカウイスオム・・・」
奇妙な呪文か、最後の言葉を悲しみと、誰かに向けた申し訳無さを込めて、タコ怪人は爆発して辺りに肉片を撒き散らして、その生命に終わりを告げた。
「・・・やっぱしんどいわ。体中痛いし・・・」
肩で呼吸しながら、カエデはその場に座り込む。
「おつかれ、カエデ」
「あら、ありがと、レン」
疲れたカエデの肩に、同じ様に疲れた顔のレンが手を置く。
残りはギンジとオーク怪人、ミドリコとサキュバスの怪人。
ヘヴンホワイティネスの二人は、この戦いに勝利した。
「よくやるなぁ、お前ら・・・おじさん結構ドキドキしたぜ」
「えっへっへ・・・あたし達はもう絶対敗けないわ」
「同意。私達なら、きっとどんな相手にも勝てる」
「希望が見えたね?とにかく、今は少しでも休んで?」
カエデ、レン、イロ、藤原が、ギンジとミドリコに声援を送る為に、戦況を見渡す。
この勝負、ミドリコが敗けても、ギンジが敗けても、ヘヴンホワイティネスの敗けになる非常に厳しい戦い。
しかし、カエデは二人を・・・特にギンジをその目で見ると、根拠は無いが、この戦いへの勝利を確信し、後の戦闘を任せるのであった。
続く
お疲れ様です。
今回の戦闘においてもヘヴンホワイティネスが勝ちました、勝たせました。
剣士、タコと退場しましたが、安心してください!まだ怪人は居ますよ!
キャラネタ書きます
神宮カエデ
悪の組織の行う、誰かの弱みにつけ込む言動や、その手段は人として許せない性分。新しい必殺技を持って、タコ怪人を殴り倒しました。
タコ怪人
最後に喋った言葉は、とある法則で並び替えると答えが出てきます。
正直タコ怪人はカエデには勝てない。
カエデ、レン、ギンジには勝てず、ミドリコ、藤原には勝てる。そんなレベル
タコ怪人の言葉の謎はこの音楽堂の戦いが終わったら答えが出ます。後書きで。
次回は武装形態甘白ミドリコがメイン回!
公安のファンの皆は喜びに震えてお待ちを!
それではまた次回