正義のヒーローヘヴンホワイティネス   作:アトラクション

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こんにちはアトラクションです

今回のお話で序盤が終わり、次回からはこの物語の中盤に入ります。

通常戦闘BGMとか変わりますね、中盤って。

感想等いただけますととても嬉しいです!
それでは、お楽しみください!


26・この感情を何と言うか、知っている

 

 くふふふふと、奇妙な笑い声が聞こえる。

 

 カエデハウスの地下医療室で眠るギンジにの上に、重たい何かが乗っている。

 

 人の様な暖かさと、鼓動を感じる。

 

 身体の両脇に何か細長いモノに挟まれ、ギンジは左右からの何かと上に乗る何かに、うなされている。

 

 「可愛い・・・寝顔、かわいい、好き」

 

 上に乗っているのは、問題児ミヤコ。

 

 ギンジへの愛が暴走している色々とやばい狂人なのだが、今はヘヴンホワイティネスに誘拐され、拉致されている。

 

 今の時間は7月1日の、朝7時30分を回る頃。

 

 音楽堂の戦いを追えたギンジは、誰よりも怪我がひどかった為に、自室ではなく、地下の医療室で看病されていた。

 

 普通の病院につれていく事も考えたが、それよりもミヤコであれば怪人の治療が、他の何処よりも速く、確実な回復が出来るという事で彼女がその役目を勝って出た。

 

 実際にその治療の腕は完璧なモノで、ダテにドクターを名乗っていない。正直にスゴイと感心出来る腕前だったが、その治療を快く受けたギンジは睡眠薬をもられて眠ってしまった。

 

 そうこうして朝になるのだが、ギンジの回復を待ちきれない少女は、欲望が抑えられず、ギンジに跨りとろんとした顔で恍惚な表情を浮かべ、恋というよりは夫を求める新婚の妻といった所。

 

 「何してんのよ・・・」

 

 また違う人物の声が聞こえる。

 

 「くふふふ、ギンジ君と一つにつながろうとしてるのよ。立ち入り禁止の札は見えなかった?」

 「そんなモノなかったわよ」

 

 ギンジにまたがるミヤコを見て、カエデは呆れる。どうみても看病をしているようには見えない。

 

 「っていうかあんたも学生でしょ!学校行きなさい!」

 「いーやーだー!学校なんていじめと不条理の塊、行きたくない〜!」

 

 ミヤコの頭を掴んでワシワシと回すも、ミヤコはそれに動じない。ただ学校という環境は嫌いの様で、異常な反応を見せる。

 

 「勉強なんかしなくても、わたしはもう既に頭いいもん!ギンジ君の側にいるのが、一番の勉強で、お嫁さんの第一歩なのよぉーー。これが花嫁修業なんだからあああーーー」

 「そんな花嫁修業あるかい!」

 「あらギンジおはよう」

 「おはようギンジ君」

 

 ついに目を冷ましたギンジ。というより跨がられた時から、実は起きていた。

 

 「おはよう、二人とも。さてミヤコ・・・なんで俺の上に居るのか聴いてもいいか?」

 

 ギンジは起き上がれずに、身体に密着する女の子を見上げる。相変わらずのはにかむ笑顔は可愛いのだが、今は非常にマズイ。

 

 男性の生理現象が、バレないかと不安になる。

 

 「んーーー・・・ギンジ君の経過観察、かな」

 「あんた一晩中ここに居たじゃないのよ、バカミヤコ」

 「くふふふ。そういうカエデモンキーは五分起きに、この部屋を覗きに来てたね・・・」

 

 それについてはギンジも覚えているが、直ぐに意識を落とされた為一晩も、やり取りを行っていた事に驚きを隠せない。

 

 それにしてもバカミヤコ、カエデモンキーとまで呼び合う程仲良くなっていた様で、ギンジは安心する。

 

 元は敵同士のこの二人、今は一つ屋根の下で嫌でも暮らさないと行けないのだから、折り合いをつけたのだろうか。

 

 「はやく退きなさいよ。ギンジが起きれないでしょ」

 「くふふふ・・・もうちょっとだけ」

 「何がもうちょっとなんだ!?も、もう大丈夫だから速く降りてくれ」

 「くふふふ、ギンジ君に言われたらしょうがないかな〜」

 

 少しの迷いも無くミヤコはギンジから降りる。女の子の良い香りと、程よい重さ、柔らかさがギンジを刺激する。

 

 (ふぅ〜危ねぇ〜・・・ほんとに理性を失いかねないんだよ。ミヤコって可愛いから)

 

 ギンジも身体を起こすと、カエデが顔を近づける。

 

 「怪我は?もう大丈夫なの・・・?」

 「ああ、もうこの通り、元気だぜ」

 

 怪人の治癒速度は普通の人間よりも速いが、そこに加えてミヤコの完璧な治療で、ギンジの怪我は無いも同然になっていた。

 

 「そ、良かったわ。じゃ、朝ごはん食べるわよ。早く上がって来なさいよ」

 

 カエデはそれだけ言うと、足早に部屋を出ていく。

 

 「なんだよ素っ気ないな〜。まぁ、いつものことか。ミヤコは朝飯食べたのか?」

 

 カエデを見送ってから愚痴を吐き、ミヤコに向き直ると、ミヤコもニッと笑顔を作りながら、ギンジに言葉を出す。

 

 「わたしはもういっぱい食べたよ」

 

 そのままギンジの耳元に顔を近づけて来た。あの時耳を噛まれた事を思い出し、思わず離れてしまうが、ミヤコの手がそれを許さなかった。

 

 いつの間にか頭を抱きしめる様な腕の回し方に、驚かされる。

 

 もし戦闘になったら勝てないかもしれない。

 

 「ごちそうさま♡」

 「え・・・?」

 「それじゃ、わたしは寝るよ。つきっきりで【看病】してたから、もう眠くてね。わたしの部屋は地下にあるから、いつでの寝に来てね」

 

 一気に意味合いの変わった言葉を聴いて、ギンジは顔が青ざめる。

 

 「何されたんだ・・・何もされてないよな・・・?」

 

 色々と不純な事を妄想するが、ギンジは一先ず朝ごはんを食べる為に部屋を出た。

 

 「くふふふふふ・・・美味しかったよ・・・」

 

 ゾクゾクと悪寒の様なモノがギンジの全身に入り、鳥肌が身体いっぱいに出来上がる。

 

 「だ、大丈夫・・・俺は、何もされていない・・・居ないはずだ」

 

 一晩中カエデとひと悶着があったようだし、心配な事はないだろう。

 

 不安を忘れて今はご飯を食べよう。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 リビングではレンとケイタの姿は無く、カエデがちゃかちゃかと朝ごはんを調理していた。

 

 夏の学生服の上にエプロンをかけて、目に良いモノを見れた。その事に俺は歓喜する。

 

 あのヘヴンホワイティネスの神宮カエデが、俺の為に朝ごはん作ってくれてるんだぜ?こんな嬉しい事ないでしょ。マジで。

 

 顔を洗うと、水の冷たさが心地よい。

 

 もう7月に入った。夏が始まり、常夏を楽しむ季節だ。

 

 夏と言えば夏服よな。薄着の女の子って、なんだかこう、あるよな!?

 

 「キモい顔してんじゃないわよ。早く食べちゃって。ああ、食器とか入れとくだけでいいから」

 「おう、ありがとうな!」

 「・・・」

 

 なんかチラチラこっち見てるんだけど。どうしたん?話聴くよ?

 

 朝ごはんのラインナップは、白米と、ナスの味噌汁。それとハンバーグの残り。

 

 何より、オムレツまであるなんて有能すぎないかこの人。

 

 いやー朝から豪勢ですこと。こんなしっかりした朝ごはん、久しぶりだよ。具体的には23年ぶりかも。

 

 どれを食べても美味しいなぁ、生きててよかったよ。

 

 白米の硬さも丁度いいし、味噌汁も濃くないし、ナスがぷりぷりしてる。ハンバーグは小さいけど、こーゆーのが食べやすくていいのよな。

 

 俺はひたすらもぐもぐ食べるが、カエデはまだチラチラ俺を見てくる。

 

 「・・・味、変?」 

 

 ああ、そゆこと。どうやら俺が黙って食べてるから、まずいか心配になったんだろう。

 

 「いやいや全然!全部美味いよ」

 「ホント!?良かった・・・」

 

 ホッとしたけど、神宮カエデって好きな人とか居たっけ?

 

 あー聴かないでおこう。またぶっ飛ばされそうだ。

 

 にしても、そうだよな、学生だもんな。色恋のひとつや二つ・・・。

 

 「・・・」

 

 そこまで思って俺はなにか嫌な空気に包まれる気がした。カエデはきっと手料理が出来るのは、誰か気になる人がいるからその人の為だと俺は思う。

 

 そこはいいんだが、もしカエデに好きな人が居るんじゃないかと、こう考えたらなんかこう・・・もやっとすんなぁ・・・。

 

 「俺の出る幕じゃないと思うけど、もし・・・お前の事を利用しようとするクズ野郎がいたら、直ぐに教えてくれ。レンとミドリコ、それからレイナとサクラも連れて制裁に行くからよ」

 「え!?ああ、うん。ありがとう・・・?」

 

 この反応、間違いないな。ほとんど恋愛童貞の俺だが、これでもかつては恋人もいたんだ。すぐ別れたけどね。

 

 神宮カエデには気になってる奴がいる!!それかもしくは好きな人がいる!!!!

 

 「・・・じゃ、学校行ってくるわね。バカミヤコと変な事しないでよ」

 「しねーよそんな事。気をつけて行けよ」

 「うん・・・!ありがと、ギンジ」

 

 おーおー嬉しそうな顔しちゃって。

 

 奇妙な関係だが俺達はこうじゃないとな。

 

 カエデを見送って、俺は残りの朝ごはんを食べる。いやー美味しい。まじで美味しい。料理の一つひとつに愛情が籠もってる。そんな気がする。

 

 「さて・・・」

 

 食器を片付けて、朝の強い日差しを見る。

 

 7月突入。本来であればヘヴンホワイティネスは宮寺レンという仲間の一人が離脱し、背水の陣に等しいやばい状況に、カエデとミドリコは立たされる。

 

 しかし俺というイレギュラーが介入した事で、ヘルブラッククロスの矛先は俺に向いた。

 

 それにより、俺を放っておいても全滅のエンディングは回避されたのだが、あろうことかカエデ達は、俺の救出まで成し遂げた。

 

 この救出劇によって、俺はフェーズ3の進化を果たし、誰一人欠ける事無くヘヴンホワイティネスは7月という魔の領域に到達した。

 

 ここで問題が発生する。

 

 その問題とは、ここから先、ゲームのイベントが大きく変わる可能性がある。

 

 本来のイベントでは、基本カエデかミドリコがメインで進み、それぞれ心を握られていく。

 

 今はケイタも無事だし、俺は本当に皆が無事でありがたいよ。

 

 「さて・・・」

 

 問題について本格的に話そう。

 

 先にも言ったが、先ずはゲームのイベント通りに行かない事。

 

 作戦の大半を決めていたドクターは、今は俺たち所にいる。

 

 なので陣頭指揮を取れる者が、きっといないからすぐには動いて来ないから一旦保留。

 

 次に、俺の知らない怪人の出現。これについては色々と有るが、先ずはイベントで出ずっぱりのタコ怪人は倒したからもう出てくることは無い可能性が高い。

 

 更に言えば、ミヤコに次ぐ立場のドクターが居るのかも解らない。可能性としてはある・・・という事で。

 

 「居たとしても・・・ミヤコみたいに強い怪人は造れないだろうな」

 

 ・・・その方がありがたい、切実に。

 

 3つ目、これは無いと思うがミヤコの裏切り。

 

 絶対無いとは言えない為、何かしら対処を考えておこう。

 

 しかし・・・ミヤコがさっき言ったごちそうさまの意味、ものすごく気になるな・・・。

 

 考えても仕方ないが、問題点は結構まとまってきた。

 

 「シャワーでも入るか」

 

 俺はサングラスも無いため、外には出れない。また買ってもらわないとな・・・。

 

 足早にシャワールームへ向かうと、俺は疲れを熱めの温度のシャワーで身を清める事にした。真夏のシャワーって、高温であればあるほどきもちいいよね?ね?

 

 とりあえずさっぱりしたいので、俺はさっさとシャワーを浴びることにした。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・  

 

 野名神高等学校の廊下を上機嫌に歩きながら、カエデは教室へと入る。

 

 「おはよう、カエデ」

 

 声をかけてきたのは、ケイタ。その隣ではレンがニコニコしている。一旦平和となった事で、ひとまずは安心して二人は登校していた。

 

 「どうしたの、カエデ・・・何か嬉しそう」

 「いや〜・・・ふへへ・・・」

 「怪しい人物みたいだよ・・・初めてギンジと会った時みたいだよ」

 

 明らかにニヤけているカエデの顔を見るなり、ケイタはまた要らぬ一言を言ってしまう。

  

 「いいじゃない。あたしだってたまには嬉しい事ぐらいあるわよ」

 

 ギンジを救出した事もそうだが、それよりも朝ごはんをギンジに褒められたのが嬉しいのだが、それは言わない事にする。もう少しこの嬉しい感覚を独り占めしたい気分のまま、カエデは自分の席に座ると、この後のホームルームに備えて準備を始める。

 

 「きっとギンジが絡んでる、そう思う」

 「ああ、なんだかそうっぽいね」

 

 レンは時折こういう時のカエデの何も教えない態度に対して、洞察力が鋭く光ると時がある。

 

 「やぁやぁおはよう神宮君!宮寺君に、角倉君も」

 「げ、来たわね、委員長」

 

 元気な挨拶をする委員長と呼ばれた男子学生の名は、真鍋アオハル。このクラスの多分野の委員会を纏め、学年の委員会を束ねる事から、ほとんどの人から委員長と呼ばれる頭の良い生徒。

 

 そして現・生徒会の副会長を務める新進気鋭の、2年生。

 

 「ところで君たちは最近学校を休みがちだが、何かあったのかね?」

 「あ・・・えーと・・・」

 

 アオハルの質問は同級生が揃ってお休みしている事への心配からである。クラスを引っ張る者として、相談をしたり聴いたりするのが彼のやり方。

 

 それに救われる事もあり、生真面目な堅物でありながらクラス内の評価は非常に高い。

 

 ヤンキーにも好かれ、教師からも評価され、カエデ達も敵視しない人物がこのアオハル。

 

 「まさかとは思うが・・・」

 「・・・」

 「ヘヴンホワイティネスのグッズ展に行ったのではあるまいな!!!」

 

 そして少しズレている。それが真鍋アオハル。

 

 真鍋アオハル。正義のヒーローとして活動する、ヘヴンホワイティネスのグッズが超絶大好き人間。

 

 なにより学校が襲撃された時に、彼も湾岸エリアに拉致されていた。

 

 その時にヘヴンホワイティネスの存在のありがたみを知り、いつか彼女達に心からのお礼をしたいと本気で願う、高校2年生、真鍋アオハル。

 

 「ご記憶くださいますように」

 「どこ見て言ってるのよ」

 

 明後日の方向を向いて喋るアオハルに、カエデは注意を促す。それを聴くと、アオハルは真面目な表情で再びカエデに向き直る。

 

 「どこか体調とか悪いなら無理はしないでくれ給え。もちろん神宮君だけじゃないし、宮寺君も、角倉君も」

 

 友達として、同じ学校、同じ学年生として、アオハルはカエデ達を心配している。

 

 本当はヘヴンホワイティネスとして活動している彼女達だが、その正体が知られているのは、公安の一人であるミドリコだけなのだ。

 

 何故かギンジはあのサングラスだけで完璧な変装と認知され、気がついたらヘヴン3とまで呼ばれているが、それはまた別のお話。

 

 「ところで・・・神宮君は、今日はいつもより嬉しそうだが、なにかあったのかね」

 「えっへっへ〜実は・・・」

 

 話そうと思ったが、始業のベルが鳴る。

 

 それを聴いたらば、教室内の全員が直ぐにホームルームへと移動し、準備を開始する。

 

 カエデは今日一日は上機嫌で学生生活を楽しむだろう。

 

 (あー早く学校終わらないかな〜・・・)

 

 気持ちは今直ぐギンジと何でもいいから会話したい。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 ──同時刻。

 

 東度固化市、綱場尻(つなばしり)刑務所。

 

 数々の犯罪者を収容する刑務所に、甘白ミドリコは熊沢レイナと共にこのワケアリ犯罪者達が集まる場所に来ていた。

 

 理由としては五天、黒の殺害が退魔教会の崩壊後にあり、それを事件としてレイナが調べているからだ。

 

 白い廊下を進み、レイナとミドリコはカツン、カツンとヒール鳴らしている。

 

 警察組織の人間は面会時間を無制限に延長して、収容者と会話することが出来る。

 

 黒の死因について知りたいのと、他にも五天がどんな組織と繋がっているのかを知る必要がある。

 

 つまり・・・事件の捜査としての面会の利用に二人はここまで来ていた。

 

 「そういえば、甘白さん」

 

 レイナが待合室まで進み、ようやく声を出す。収容室前では話す事を許可されておらず、二人の警察はここまで来て初めて会話したような雰囲気と緊張感を持っていた。

 

 「最近、ギンジは元気ですか?」

 「ええ・・・まぁ」

 

 濁す訳ではないが、レイナはギンジに恋をしている。それを知っているからこそ、ギンジの身に何が起こったのかを詳細に話すべきか、少し迷う。

 

 やはりこれは話すべき事ではないか、とミドリコは椅子に座りながら口を開く。

 

 「実はギンジは─」

 

 ヘルブラッククロスに攫われた事や、そこで新たな力に覚醒した事も全て話す。簡潔に纏めた、分かりやすい内容の話は、レイナに納得の頷きと、感嘆のため息を漏らさせる。

 

 胸を撫で降ろした気分のレイナは、ミドリコに近寄る。

 

 「今晩、ギンジにお会いしても?」

 

 整ったクールな顔立ちの美女に言い寄られ、ミドリコは少したじろぐ。

 

 笑顔なのに影のある様な表情に、ミドリコは不安になる。こんな美人に好かれるギンジは苦労者になるに違いない。

 

 (恋・・・恋か・・・)

 

 ミドリコはもうすぐで27歳になる女性の公安警察。

 

 しかし、女子校出身や、自衛隊への入隊、その後の公安警察、更にはヘヴンホワイティネス・・・産まれてこの方出会いがなく、さらには男性経験も無い。

 

 恋愛というモノには常に飢えており、心を許せる男性と共に居たい気持ちも強い。

 

 きっとレイナみたくギンジを想う事ができれば、自分も変われるのかも知れない。

 

 そしてもう一つ、ミドリコには確信しているモノがある。

 

 (私だって、ギンジを・・・)

 

 レイナから目線をずらしてミドリコは、少し落ち込む。

 

 彼はただの仲間だ。だからこそ、道を踏み外しそうな時支えてあげたい。その気持ちのはずだったのに・・・。

 

 今はギンジがまたいなくなる事を考えると、胸が締め付けられる様な感覚があり、苦しくも感じる。

 

 今まで体験した事のない不思議な感覚に、ここ数日ミドリコは苦しめられている。

 

 「熊沢さん、今晩はちょっと・・・」

 「ご自宅にお邪魔するのが駄目なら、ギンジを呼ぶだけでもいいんですよ。あ、連絡先持ってたから・・・」

 「あいつのスマホは破壊されました・・・」

 「許せんヘルブラッククロス。今から退魔警察出動ですね」

 

 取り調べはどうするのか。

 

 しかしながらクールで強そうな女性なのに、ギンジの事となると途端に冷静さを失うこの言動に、もしかしたらいつか自分もそうなるのではないかと思うミドリコなのであった。

 

 (あ・・・解った・・・解ってしまった)

 

 今ミドリコ自身が気づいたこの感覚。ギンジに対する心配や、頼りにしてしまうこの感覚。

 

 ギンジへのこの感情。それは言葉だけなら解っている。

 

 それは──

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 カエデは昼休みの時間でも、相変わらずニマニマと笑顔になっていた。

 

 それ程までにギンジに朝ごはんが美味しいと、言ってくれた事が嬉しかった。

 

 普段ヘヴンホワイティネスとして戦う彼女達への、街の人々からの声援は、ヘヴンホワイティネスへと向けられるモノであって、自分達にではない。とはいえそれを目当てに戦っているわけではないのだから、仕方ないのだが。

 

 それ故に、直接褒められると嬉しい。それがギンジだと言うのだから、本当にずっと嬉しい。

 

 屋上では熱中症予防の為、現在他入禁止にされており、冷房の効く空き教室へと来ていつもの三人で昼食を取る。

 

 「レン、ケイタ!今日こそはあんた達二人で帰るのよ」

 「それはいいんだけど、もう僕の保護はいいの?」

 

 ケイタはヘルブラッククロスに狙われないようにするため、ギンジが誘拐されたあの日、カエデハウスへと保護を命じられていた。

 

 「ギンジが戻ってきたから別にもう大丈夫よ。それでも帰宅する時は、レンと一緒に居なさいね、ってこと」

 「そのまま、ケイタと一緒に、居るのもアリかもね」

 

 レンがコロッケパンを食べながら、ケイタに視線を送る。

 

 「うん!夏だし、暗くなるのも遅いからね。19時ぐらいには、帰るといいよ」

 「ありがとう」

 

 恋人同士、仲睦まじい光景を見て、カエデも幸せな気持ちになる。

 

 親友二人がこうやって恋をして幸せな気持ちのまま、生きていて欲しい。

 

 「あら〜いいわね〜・・・あたしは席を外そうかしら?」

 

 カエデの気遣いのつもりだったが、レンはその提案に対して首を横に振る。

 

 「カエデ、今は一緒に居て。カエデに聴きたい事が有る」

 

 レンの口調は相変わらずのモノだが、その表情はさして悪い感情を抱かせない。

 

 「夏休み前のシケタイ(試験対策)ならなんでも聴いて頂戴」

 「あ、それ僕も聴きたい」

 「聴いても、私の方が点数は上だから、問題ない」

 

 つまり対策を聴く訳では無さそうだ。

 

 レンは水筒のお茶を飲むと、カエデに目を合わせて、微笑を浮かべて質問する。

 

 「カエデは・・・ギンジの事どう思ってる?」

 

 その質問の意味をなんとなくだが、ケイタは聴きたい事の内容を感じ取った。

 

 「ど、どうって・・・」

 

 言葉に詰まってしまいカエデは目を下に向ける。

 

 「これはどうやら僕の方が席を外した方がいいかな」

 

 空になったお弁当箱を手に、ケイタは教室を出ようとするが、それをレンが引っ張って阻止する。この場に居る必要があり、彼もまた聴いておかないといけないと、レンがそう判断したからだ。

 

 「僕も居たほうがいいの?大丈夫」

 「大丈夫。この場に居る人は、皆聴く必要がある」

 

 レンの言葉はどこかしっかりしており、落ち着いた声音。

 

 「ギンジの事、どう思ってるの?」

 

 再び同じ質問をされて、カエデは少し答えづらくなってしまう。椅子に座りながらも落ち着いているようには見えず、かなりソワソワしている。

 

 「〜〜ッ」

 

 顔を赤くして答えづらそうにするカエデを見て、ケイタからすればその顔がもう答えだと思った。だけど・・・レンはカエデの表情が質問に対する答えだと解っていても、ちゃんと真意を聴きたい。

 

 だからこのままで終わらせるつもりはない。

 

 命を預けて戦う相棒であり、生きる意味や指針を授けてくれた親友の為に、その答えをちゃんと聴く必要があるからだ。

 

 「話をはぐらかすなら、私は応援しない。ミドリコに向く様に動かす。そんな力が無くても、私はそうする。もちろん、仮に、カエデが【ギンジ】を好きじゃないなら、そうしても、いいはず・・・」

 

 追い込みたくて追い込んでいるのでは決して無いが、どうにもカエデとギンジは自分を犠牲にして周りの楽しみを作りたがるところが有る。それを知っているレンは、親友としてちゃんと考えを聴きたい。

 

 不器用なりに彼女の背中を押してあげたい。ただ一つのレンの考えである。

 

 「あ、あたしは・・・」

 

 いつでも知っているし、いつでも解っていた事。だけど気づいたのは最近のこの感情。

 

 神宮カエデはこの感情を何と言うか、既に知っている。

 

 そして恐らくミドリコもこれを知っている。

 

 ギンジと会話し、ギンジと共に戦い、ギンジが攫われた時に観た動画と、音楽堂での救出戦にて気づいたから・・・。

 

 「ギンジが・・・好き・・・です」

 

 どう言っていいのか解らないが、これだけで適切とは言えないが、ずっと気づいている。

 

 何度も言い合いをしているものの、結果的に彼に助けられた事は数知れず。

 

 いつから?そんな事はどうでもよく、本当に気がついたらそう思ったのだ。

 

 「でも、あたしもよく解かんないの。こんなの、どうしたらいいかわからないし・・・それに、今は戦いの方が優先されてるっていうか・・・」

 「戦いが優先なのは私も同じ。カエデ、よく聴いて、ね」

 

 レンは机に乗り出して親友であるカエデの手を引っ張り、つなげた机の真ん中側で、手を繋ぐ。

 

 「私は、貴女とケイタのおかげで、この時代において、ずっとくじけずに居られた・・・カエデが私達の為に、色々としてくれた事を知ってる。だからどうしたらいいかずっと、考えてた」

 

 カエデなりの気遣いは何度もしてくれた。その度にケイタもレンも背中を押された。

 

 今度は自分達がカエデの事を応援する番。

 

 「もし、聴いてよければ、教えて欲しいんだけど。どうしてカエデはギンジを・・・その・・・言える範囲でいいけど」

 

 気を使うのかケイタは手を振りながら話す。

 

 「・・・パトロールとか、戦闘とか、ずっとあいつと組む事も多かったし・・・口は悪いのに、戦う時も暴力的なのに、優しかったから・・・」

 

 根本から佐久間ギンジという存在は、女性に優しくする人間。絶対に手を出さない、乱暴な性格でも、決して女性には手を出さない、そういう男。

 

 そして打倒ヘルブラッククロスをかかげる大切な仲間。

 

 そんな大切な仲間と一緒に戦って、助け合って、ギンジが攫われた時は、親が子を想うぐらい心配になった。

 

 カエデの手はいつの間にか、レンの両手が添えられており、優しい力で握られている。

 

 いつでも仲間として居るから、心配しなくていいよ。そう言われている様な妙な安心感に、もっと話したくなる。

 

 「あたしは・・。きっと助けようと思ったら直ぐに動ける所とか、悲しそうにしてるのを見てると、嫌になるんだと思う。できればギンジの事、ずっと助けてあげたいと思ってるし・・・だから、その・・・」

 

 いつも話すのと同じ様に喋れない。

 

 人は恋をするとバカになる。まさしくこれがそうなのかもしれない。

 

 知能指数がどんどん下がるが、それでもこの話は終わらない。

 

 「だから・・・あいつが、好・・・き・・・?」

 「うん。解った。後は、落ち着いたらどうしたい、とかまた教えて。私は、カエデの事もミドリコも応援する。あの、レイナって人も」

 「・・・ミドリコもギンジの事好きなのかなぁ・・・?」

 

 カエデとケイタはあまり考えないようにしていたが、レンにはその感情、恋と言うものがバレていたようで、いつもハラハラしている気持ちになる。

 

 「また後日、この話をミドリコにもするつもり。その時、どうなるかをしっかり決めて、欲しいだけ。ギンジのせいで戦えなくなるのだけは避けたい。もちろん、カエデとミドリコが仲違いするのも・・・」

 

 レンの心配事は別の方面にもあったが、そればかりはならないと言えない。

 

 なぜなら人は恋をすると狂気にも飲まれるから。

 

 未来の情報でしか無いが、レンはその事をよく覚えている。

 

 未来の老婆の話でしか無いが。

 

 「ううぅ・・・ミドリコとは喧嘩しないように努力するわ」

 「口喧嘩なんかしたら法的措置を取られそうだしね・・・」

 「ケイタは、少し、黙ってて」

 「ぴえん」 

 

 いつものやり取りをして、少しだけ緊張感が抜ける。

 

 「でも、カエデが、ギンジを好きっていう、そのことを聞けて、良かった。応援、してるからね、カエデ」

 「・・・ありがとう、レン」

 

 昼休憩は楽しい会話から、恋バナに変わった。

 

 それは非日常に身を置く、彼女達にしかできない恋の話。

 

 好きと、言葉を出した瞬間にカエデの心臓が、跳ねる。

 

 きっと今夜ギンジと顔を合わせたら、まともに会話はできないかも知れない。

 

 でも、それでも・・・。

 

 (あたしは本当にギンジの事、好きになっちゃったんだ)

 

 心は正直にモノを言う。想う事が、ずっと、本当のことを、言葉として出し続ける。

 

 果たして・・・神宮カエデはこの恋を成就させられるのだろうか。

 

 「ところで、あのミヤコって人だけどさ」

 

 ケイタが落ち着いた空気感の中で、急な爆弾を落とす。

 

 ミヤコという言葉を聴いて、カエデとレンは目を白くする。

 

 「ギンジの事、大好きちゃん・・・そういう印象」

 「え・・・と、今ギンジと、ミヤコって家にいるんだよね?」

 

 学生として見られる年齢のミヤコは、学校に行っていない。ギンジは瞳のせいで働けず、ずっと家にいる。たまに怪人反応が出た時に、先んじて出動するぐらいだ。

 

 「えーと、ヘルブラッククロスの元大幹部で、今はカエデ達の捕虜として扱ってるんだろうけど、屋内に居ることだけを条件に自由にしていい・・・そんな条件だけど、野放しにしてたら・・・」

 「ギンジが危ない!!」

 

 ケイタの話す内容に肝を冷やし、一瞬で変身したカエデは窓から飛び出してしまった。

 

 飛び出す瞬間に「早退とどけ出しといて!」っと聞こえたが、レンとケイタは手を振るだけだった。

 

 「本当にいいのかな?行かせちゃって」

 「構わない。ああでもしないと、カエデは動かない」

 

 この話は全てレンが回していた事を改めて思い出したケイタは、少しゾッとする。

 

 朝から叩き起こされ、レンに教えてもらったこの作戦。

 

 この作戦にまんまと釣られたカエデは、今直ぐギンジの下に向かう。

 

 レンはカエデはそう動くと読んだ。だからこんな話でカエデをまくし立てて、やや無理やりだが背中を押した。

 

 親友故の性格の把握・・・それを利用する事で、カエデの恋愛を応援できる。

 

 「・・・無理やりで、ごめんね、カエデ」

 

 それでも、自分の生きる糧をくれたカエデの為に、使えるモノはなんでも使って、必ず恋を成功させてあげたい。

 

 「頑張れ・・・カエデ」

 

 キュッと締めた小さな握り拳は、窓枠に乗せられていた。

 

 そしてその瞳は走り去るカエデを、見送るように向けられていた。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 「くふふふふふ、情報提供ありがとう」

 「───、ど──無事─て─い」

 

 あれから寝ると言ったミヤコは、防音が完備された小さなモニタールームで、何者かと通信を行っていた。

 

 相手の事はミヤコが知る人物だが、その相手の端末は電波が悪いのか、ガビガビな音声とわずかに聞こえる言葉を送る。

 

 ミヤコはそれを聞き取れるのか、最後にお礼を言うと通信を切り、座る椅子でぐるぐる回り始める。

 

 「ギンジ君・・・お昼寝してないかな・・・」

 

 部屋を出て、リビングまで上がるとギンジを探す。

 

 「ふぃー・・・やっぱ夏場のシャワールームは暑いな」

 

 掃除でもしていたのか、シャワールームから出てくるギンジを見つけ、ミヤコは狂気する。

 

 「くふっくふっ・・・なんでそんなに汗をかいているの・・・?」

 「え?ああ、シャワールームが少し汚れてたからさ、少し掃除するつもりが、長丁場になっちまってさ・・・へへへ」

 

 首筋を這う水滴を拭うギンジを見て、ミヤコは自分の欲望が抑えきれなくなる。

 

 ミヤコ、またの名をドクターミヤコ。またある名は、強欲の怪人。

 

 だが今のミヤコはただの恋する女の子。

 

 少し・・・というかかなり歪んだ愛情を持った、少女。

 

 「くふふふふ・・・ギンジ君、これからまたシャワー?」

 「ああ、もう一度入るか・・・するとまた汚れるんだよな・・・」

 「じゃあ一緒に入ろう?また【味わわせて】ほしいな」

 「【また】?今【また】って言った・・・?」

 

 いったい何をされたのだろうか。

 

 「あ、わたしは服着たままでいいよね?それじゃあ・・・」

 「・・・おい、ミヤコ?やめろよ?」

 「くふふふふ」

 

 にじり寄るミヤコに、恐怖する。ギンジは逃げようとするが、ミヤコがそれを良しとせず、抱きつかれるが・・・。

 

 「悪い!」

 「あばばばばばば」

 

 触れた瞬間電撃がミヤコの身体に強く走り、その場に倒れる。

 

 決して攻撃したくはないのだが、こうでもしないとミヤコは止まりそうにない。

 

 「ふう・・・また何をされるのか解ったもんじゃないぜ。着替えるか」

 「くふふふふふ!!」

 「・・・マジで?」

 

 電撃を与えれば、潔く身を引いてくれると思ったが、感電してもミヤコは立ち上がりながら気味の悪い笑い声で立ち上がる。

 

 腐っても半分は怪人。それを証明する耐久力を見せたミヤコはメガネと白衣を払い、ギンジにターゲットを絞る。

 

 「くふふふ・・・大好き・・・好きよ、ギンジ君・・・」

 「おい・・・もうコレ以上は攻撃したくないんだ・・・頼む、酷い事しないで・・・せめて優しくして・・・」

 

 笑い声を上げながらにじり寄ってくるミヤコへ、ギンジは非常に参ってしまう。

 

 一時間後。

 

 「ぎゃああああああ!!!!!」

 

 首に流れる汗をまんべんなく舐められ、ギンジは絶叫する。

 

 さらに一時間後。

 

 「やめろおおおおおお!!!!」

 

 何故か動けなくなったギンジは、左手の薬指を咥えられる。

 

 生暖かい感触と空気が指を全部包み、ミヤコは本当に嬉しそうにギンジを上目使いで見る。

 

 そんな絶叫状態に驚き、カエデハウスの壁をぶっ壊してカエデが入ってくる。

 

 「ちょっとギンジ!?敵!?だいじょ・・・う、ぶ・・・」

 

 敵かと思って急いで入ったカエデは、一気にその状況を見て心が白けていく。 

 

 「ッチュウうううーーーーっ。ちゅふふ、ひんひ君、ゆひ、んちゅるる、ひゅふふふ」

 「うおおお助けてくれカエデええええーーー!!!」

 「・・・」 

 

 恍惚な表情で指を咥えるミヤコと、その下で動けない汗だくのギンジの姿を見て、カエデは助けるよりもドン引きしてしまう。

 

 「あたしはお邪魔のようで・・・じゃ、あとはごゆっくり」

 「え?おーい神宮さん!?助け、助けて!いやあああ拳は入らないって!やめろおおおお!!!」

 

 いよいよギンジの左手そのものを咥えようとしているミヤコへ、ギンジは思い切り叫ぶが、カエデは半ば放心状態になりながら壊れた壁を抜けて、夕日の空を見上げる。

 

 「・・・恋って、なんなんだろ」

 「いいから助けてくれええ!!!」

 

 もうコレ以上は本気で攻撃しないと止まりそうにないが、カエデの耳には聞こえていない。

 

 「これは何が起こったんだ・・・」

 

 ミドリコが帰宅しながら、壊れた壁やギンジの絶叫。

 

 混沌した状況だが、さらにカオスにするのが変身した姿のままの、黄昏るカエデ。

 

 「たーすーけーてーくーれー!!!!」

 

 夕日にギンジの絶叫がこだまする。

 

 ヘヴンホワイティネスは今日も平和であった。

 

 ある意味、ギンジ以外は・・・。

 

 

 

 

 更に一時間後。

 

 ミヤコの暴走を収めるのに、レンがビーム剣を引き抜き、ミドリコがランチャーを引っ張り出す事態にまでなったが、ようやく重大さに気づいたカエデの加勢でギンジは救出された。

 

 「あれ?どうしたのギンジ」

 「うっ・・・うっ・・・」

 

 何故か泣いているギンジを見て、壊れた部屋、疲れ切ったカエデ、レン、ミドリコ。

 

 食材を買いに出ていたケイタは遅れて合流したが、状況を察するにミヤコが暴走したのだろう。

 

 「もう、結婚でけへん・・・男子のプライドはズタボロやでぇ」

 

 膝をかかえる座り方でギンジは泣いている。

 

 「うん、なんか、ドンマイ・・・」

 

 肩を叩くと、ギンジはがくりとうなだれる。相当ひどい目に合わされたのだろうか。あのギンジがこんなにダウンするとは。

 

 「くふふふ、また味あわせてね・・・ギンジ君♡」

 「いい加減にしなさーい!!」

 

 カエデの静止で今度こそ止まるが、ミヤコはまだ諦めてない。

 

 神宮カエデ、甘白ミドリコ、鈴村ミヤコ。

 

 本来交わる筈のない三人の乙女は、この世界に本来存在しない筈の男に恋をした。

 

 佐久間ギンジ。この世界のイレギュラー。

 

 彼女達は、この感情を何と言うか、知っている。

 

 恋、という感情を。

 

 「もう指を咥えるのはやめてくれ」

 「あ、指を味わったのは初めてだよ?」

 「・・・え?」

 

 ミヤコの朝ごはんとはなんなのだろうか。

 

 「え、じゃあ、朝は何を食べたんだ・・・お前、ずっと俺を看病してたんだよね・・・?」

 「くふふふ・・・ヒ・ミ・ツ♡」

 

 

続く

 

 

 

 




どうするんだ、どうすればいいんだ、ってぐらい広がり続けてこの話は序盤が終わりました。

次回も楽しんでいただけるように、頑張ります!

キャラネタ書きます

佐久間ギンジ
左手を犠牲に、色々失った気分。

角倉ケイタ
「ドンマイ、ギンジ。元気出して。今度僕の家でスマ○ラやろう?」

神宮カエデ
ギンジを好きである事は自覚した。自覚したんだけど、いまいち解らなくなってしまった。でも多分熱は冷めてない。

宮寺レン
カエデの背中をひとまず押してあげた。のだが、裏工作ばりの行動をしてカエデを動かした。

甘白ミドリコ
彼女もまたギンジに恋をした一人の乙女である。
レイナの件でそれは解っていたのだが、それを恋と自認できるようになるまでは時間がかかった。ロケットランチャー愛好会のメンバー。

鈴村ミヤコ
ドクターと名乗る事は控えた模様。ギンジの左手は美味しかったらしい。
ちなみに朝ごはんとして食べたモノは乙女のヒミツ。

真鍋アオハル
序盤最後にして現れた新キャラ。
ヘヴンホワイティネスの大ファン。
実はカエデと幼稚園から一緒なのだが、まともに会話するようになったのは高校生になってから

次回からは中盤の始まり!
相変わらず無理やりかもしれませんが楽しんでもらえるように頑張ります。
感想、評価などいただけましたら幸いです。

それでは、また次回!!!!
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