ヘヴンホワイティネスはいったいどこまで行くのか!
頑張って書くぞ〜〜!
それでは、どうぞ
27・怪人四天王・赤鬼
ドクターミヤコの抹殺。
相当直属の怪人である、赤鬼の怪人が新たに授かった任務は至極単純な任務で、ヘヴンホワイティネスを撃破をして、それら諸共ドクターミヤコを殺してしまえばいいというモノ。
ヘルブラッククロスは簡潔で分かりやすい世界、力による支配と統一を掲げている巨大な組織。
この組織に身を置く以上、敗北は許されないし、ましてや敵であるヘヴンホワイティネスに攫われる等あってはならない。
それが大幹部という立場にある者なら尚更許されない。
「あー・・・めんどくせ」
気怠く、心底面倒な内容の任務に、赤鬼の怪人は吐き捨てるように言葉を放つ。
赤鬼の怪人は背中に金砕棒を背負い、街へと出てきていた。
必要最低限の情報と必要最低限の武器を持って、ヘヴンホワイティネスとドクターミヤコの抹殺の為に・・・。
「・・・参ったねぇ」
人々が何度も通る住宅街エリア。そこからつながる商店街エリアにて、人々の右往左往を見て、赤鬼の怪人は膨張する赤い筋肉を震わせる。
黒い甚兵衛みたいな洋服を身に纏い、頭部、額の部分から突き出る一角は、強く雄々しい印象をもたせる。
なによりその身長と身体の色が、歩く人だかりに眼を引かせる。真夏の青空の下、2メートル近い巨体と、赤鬼の名に恥じない赤い肌が、より一層人でない雰囲気を纏わせる。
「どうしたらいいスかね」
一人語散るが、人間は疎か、誰も赤鬼の怪人には近寄ろうとはしない。
たまにコスプレと勘違いされて変な人に声をかけられるが、そういう類は基本敵に睨むか無視するかしている。
「・・・あ、俺っち怪人なんだから暴れちまえばいいんだな」
思考能力は低いものの、その短絡的な思考は時たまに誰にも手が付けられない暴虐として、別の街で振り回した事もある。
敵を探せないのであれば、こちらから呼べばいい。
「・・・貴様、怪人か」
「ああ?なんだい」
真後ろから落ち着いた女性の声がする。
真夏だと言うのにその女性はスーツ姿に、膝下ぐらいまであるスカート、筋肉質だが形の良い脚、黒く綺麗に磨かれたハイヒール、清潔感のあるポニーテールと、薄めの化粧を施した女性。
「・・・!!」
ガチン、と金砕棒を落とす。
その女性は赤鬼の怪人から見ても非常に美しく、そして奥ゆかしさ、なにより戦いにおいてはそこらの人間よりも、強く逞しい気品を感じ取った。
「な、ここで戦うつもりか!」
女性は拳銃を引き抜くと、赤鬼の怪人から数歩離れるが、赤鬼の怪人は動じない。そもそも拳銃ごときでは止める事は出来ないのだが。
「あんたぁ、名前は」
赤鬼の怪人はこの目の前の女性に、臆せずに近寄る。
「俺っちは赤鬼の怪人・・・あんた、名前は」
自分から先に名乗り、下から上へ突き出る牙をガチガチと鳴らす。
これは古より鬼の一族が、鬼女へと行う求愛の行為。
「私の名前は・・・」
名乗りを聞けると思ったが、その直ぐ後に発砲音がなり、特別に開発された専用の弾丸は赤鬼の顔に命中するが、牙で器用に挟み込むと、一瞬で噛み砕く。
「いいねぇ・・・そのビビってない感じ。まさに俺っちの女にしたいぜ」
「不意打ちでも動じていないだと・・・!?ならば、ロケットランチャーを・・・」
「名前を、教えてくれ」
攻撃してくる素振りの無いこの怪人を、女性はかつて知り合ったある怪人の事を思い出す。今は仲間の、あの怪人・・・。
名前ぐらい教えてあげよう。どうせ悪事を働くなら、私達が倒すのだからと、女性は名乗りをあげる。
「私の名前は、甘白ミドリコだ」
その名を聴いた途端、赤鬼の怪人の人生に春が訪れ様な気分に高揚し、胸を高鳴らせた・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
カエデハウスのリビングにて、ミドリコの隣で牙を鳴らしながら、赤鬼の怪人は求愛行動を行い続ける。
その異様な空間に、ギンジとミヤコは思わず息を飲む。
「彼は赤鬼の怪人。ついさっき、そこの商店街で知り合ったんだ」
あっけらかんとした態度に、ギンジはついにツッコミを入れる。
「待てーい!なんだその、昔からの友達なんだ〜あはは、みたいな紹介は!!どうみてもヘルブラッククロスの怪人だろ!」
「・・・久しぶりだね、赤鬼」
「どうも、ご無沙汰ですね、ドクター」
ミヤコは大幹部であった事からこの怪人の事を知っていた様で、赤鬼も挨拶をする。その異形な顔つきからも見て取れるように、目には殺意を宿している。
「俺っちがここに来た事の意味、解ってるんでしょーが、目的はドクターミヤコの抹殺ですぜ。それとヘヴンホワイティネスの撃退」
赤鬼の怪人の言葉に嘘を付いている様な語気はなく、平然と話す赤鬼の姿に、ギンジは警戒マックスの体制で炎を拳を構えるが、ミドリコがそれを静止させる。
「ま、待つんだギンジ!」
「待つも何も無いだろ!こいつ平然と言いやがって!それにミドリコもなんでこんな奴ここに連れて来た!」
「俺っちはよぉ。恋をしたんだ・・・」
「くふふふ・・・え?」
「はい?」
赤鬼の怪人の言葉にギンジとミヤコが首をかしげる。
どう考えてもおかしいその発言に、ミドリコも不可解な表情だが、彼女の話では無理やり付いてきたらしい。
「これについては、私も正直困惑している・・・怪人に恋をされるなど・・・」
「いやまぁ、普通ならそうだろうけどよ」
腕を机に乗せて赤鬼の怪人は、ギンジを値踏みするように見渡す。
「あんたが・・・組織が手を焼くイレギュラー、進化の怪人かい」
「俺?ああ、なんかそう呼ばれてた事もあるけど・・・」
「あんた、ミドリコの姐さんのなんなのさ」
昭和を思わせる言葉使いと、気迫・・・いや鬼迫に、ギンジは後ろに下がりそうになるが、ミヤコは赤鬼の反応に興味を寄せる。
「そもそも、恋をしたからにはよぉ、俺っち、戦う事は避けたいのよ」
「どういう事だ?」
「簡単よぉ。俺っちは、あんたらと話し合いをして、ミドリコの姐さんと結婚する事を条件に、ヘヴンホワイティネスを襲わない、ドクターを殺さない、そして・・・」
赤鬼の怪人は牙を強く鳴らす。
「俺っちの好みの女のためなら、ヘルブラッククロスも裏切ってやらぁと思ってな」
ヘルブラッククロスの怪人は、基本的には女を性的に襲う事が得意な連中であり、ギンジの知る知識では、ゲームに登場する怪人たちは一人の女性には固執しない。
だがこの新たなイレギュラー枠、赤鬼の怪人はなんの間違いか甘白ミドリコに恋をし、彼女を手に入れる為なら、ヘルブラッククロスをも裏切る覚悟でさえ居る。
「何度も言っているが、私は今・・・その、恋をしていてだな・・・」
「おっ、その話是非聴きたいね。公安の人?それとも一般市民?出会いは?」
「よさないかバカ者!そ、そんな事おいそれと話せるわけないだろ!」
ミドリコが照れながら早口で話し、その後にうつむくのだが、チラりとギンジを見る。まるで恋をするかの様な、そしてなにより恋をしているのはギンジへなのだが・・・。
「むむ・・・」
ミヤコがその視線を見逃さなかった。ミドリコの顔を見て、何かの危機感を感じ取ると、ミヤコはギンジの左手に指を絡ませる。
「おい!もう指を触るな!」
「そんな〜」
「そんな〜じゃありません!!」
年端も行かない少女に、薬指を飲み込まれるわけには行かない。もう二度とあんな変な気分にはなりたくない。
話を戻して、ギンジは赤鬼の怪人を見る。
「お前、ヘルブラッククロスにいる怪人なら、いつ造られたんだ?」
「あ、その怪人は2年前だよ。くふふ、総統がオークを元に造った怪人なんだよ。わたしのと違って、皆自我が強くてね、オークに匹敵する強さなんだよ、くふふふ」
ミヤコの説明に、ギンジとミドリコは頭を抱える。あのオーク怪人と同等の怪人がここにも居るとは。
それに自我の強いという事は、一人の女性に固執する性格になった怪人なのだろうか。
「なぁ、お前さ、ミドリコと結婚したら、それって俺たちの味方になるってことだよな?」
「あ?ああ、そうだな?」
「敵の味方になるってことだよな?」
「俺っちは別にいいぜ。ヘヴンホワイティネスとドクターをテメェのモノにしたくて、あんたも裏切ったんだろ?」
「違うよ、わたしだけを自分のモノにしたくて、裏切ったんだよ、ギンジ君は。わたしを物みたく扱って?」
「黙ってろミヤコ」
赤鬼の怪人の言動は不可解な事ばかりだが、ミドリコに恋をしたというのは本当の様で、今は襲ってくる気配がない。
「なんで、私なんかに恋を?」
ミドリコの疑問に、ギンジとミヤコも黙って聴くことにする。気になる疑問なのは事実だ。
「一言で言うなれば・・・気品だな」
ロックグラスでも持ってるかの様な雰囲気で、手元を回しながら赤鬼の怪人はミドリコ愛を語り始める。
※読まなくてもいいです
「先ずは、一目会った時に見えた美しさって言うんかね。整った顔とスラリとした体つき、どちらも好みなんだが、それに付随して好きだ!と思えるのが、声なんよ。俺っち実は声で女性を選ぶ事も多くてさ、声は良くても身体や顔が駄目!なんてのはよくある話しで、声、容姿、顔、美しさ、勇敢な性格、なにより強い女性と言う気品の高さと、手料理とか得意な感じがしてな。がさつでも、旦那の為になんでも頑張って造ろうとするその健気さを将来の姿で見ることができてさ〜、俺っち、まさしく運命の出会いをしたような気がしてよ。そしてこんな強気でクールだろ?そしてヘヴンホワイティネスの年長者で、包み込むお姉さん感があるだろ?もう全部とっても好きなんだよ。きっと右耳が弱いと見た。あと武器をためらいなく使える姿にも俺っちはしびれたね。なにより何が何でもこんな真面目な性格してるから俺っちみたいに、陽気を持ってる奴が隣にいれば丁度いいと思うのよぉ」
「つまり、全部好きだって事だ」
ちゃんと語り尽くすあたり相当なミドリコファンだと言うことを理解出来たが、ギンジもミドリコもげんなりしている。
簡潔にまとめれば、一目惚れということ。
「くふふ。つまり簡単に言うと、一目会った時に見えた美しさに整った顔の・・・」
「いやその流れで行くと長くなるからやめとけ」
ひとまず敵で無いことを理解すると、後はどうするかを考える。
「だが、怪人との結婚は嫌だ」
「な、姐さん!」
「あとそのなんだ。話が長い人も苦手でな・・・済まない」
ミドリコの瞳に赤鬼の怪人は写って居なかった。
「そんな〜」
「そんな〜じゃありません!!あれ?これ二回目?」
ミヤコともしたやり取りを、赤鬼とも繰り返すギンジ。
そのやり取りを見て、ミドリコはクスリと微笑む。楽しそうにする今のミドリコの瞳には、進化の怪人こと佐久間ギンジが写っている。
「・・・姐さん?」
赤鬼の怪人はそれを見抜き心を痛める。
(恋をしているのって・・・なるほど、進化の怪人にか・・・)
楽しそうに談笑する輪の外から、一人で眺める様な気分になる。この恋だけはなんとしても手に入れたい。
赤鬼の怪人はあるひとつの決意を胸に秘め、ギンジを見つめる。
その姿を見て、どこに魅力があるのか、赤鬼の怪人は観察を続けていく。
夕方に入る頃まで、とりとめのない話はずっと続いた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
──夜。
宿敵であるはずのヘヴンホワイティネスと邂逅しても、赤鬼のミドリコ愛は止まらず、それを延々と聞かされたカエデ、レン、ケイタの三人はやはりげんなりしていた。
夕飯を食べることもなく、赤鬼の怪人はギンジに手紙を書き置き、一人で公園に来ていた。
高台から街を見下ろせるような、小規模な公園だが、ジャングルジムや砂場、滑り台、ブランコも完備されている。
「・・・来たかい、進化の怪人」
腕組みをしながら真夏の夜風を全身に浴び、背後から近づく足音に耳をすませると、その足音が進化の怪人─佐久間ギンジである事を確認出来る。
ギンジはボロいサングラスをかけて、この公園までやってきたようで、歩きを止めると、鼻上からするりとサングラスが落ちる。
「あの手紙は・・・読んでくれたか」
「手紙っていうか、あれ果し状か何かじゃないのか?」
手紙の内容としては【決闘を申し込む。断ったら街を襲う。一人で来い】、といった内容。読んだ時にギンジは本格的な襲撃を警戒した。
「なんであんなの書いたんだ?そもそも決闘って・・・」
異様な雰囲気も戦意も感じ取れないが、赤鬼の怪人は背中に背負う金砕棒を引き抜き、ギンジに向ける。
「おいおい、マジで決闘すんのか?」
「俺っちが、お前より強い事を証明できれば、それでいいんだ」
お互い頭はそんなに良くは無いかも知れないが、力ならどうだろうか。
きっと拮抗するか、もしかしたらオーク怪人に匹敵するのか。
「なんでそんなに・・・」
「俺っちはなぁ、惚れた女には、俺っちの方を振り向いていてほしんだ。ミドリコの姐さんは、お前の方を向いていた」
昼間のミドリコの顔を思い出して、赤鬼の怪人は牙を強く打ち鳴らす。
硬く、鋭く尖り、痛そうな音が鳴るも、赤鬼はさして気にしていない。
「惚れた女の為なら、かっこつけてぇもんだろ?」
金砕棒を頭上で腕ごと振り回して、肩に担ぐとそのままギンジの眼の前で地面を踏みつけ、砂が舞う。
「これで敗けたら、俺っちは、お前の言う事に従って、消えるなり、死ぬなり選んでやらぁ」
力を信じる世界で産まれた赤鬼の怪人は、自分の納得する条件の下で戦いたい様だ。そうする事で、勝てばヘヴンホワイティネス、敗ければ路頭に迷う。
その状況であることを解っていて、自分の親である総統よりも組織よりも、なによりも自分の恋を優先したのだ。
「そういや、名前、聴いてなかったな」
赤鬼の怪人が牙を鳴らしながらギンジに聴く。
正面に立つギンジは、赤鬼の怪人と眼を合わせて、自分の名前を教える。
「俺は佐久間ギンジ。親しみを込めて、ギンジでいいぜ」
「ミドリコの姐さんみたいに、名字もあるのか。人間って奥深いな。だから弱いんだよ」
「その弱いって侮ってる奴に恋した奴がよく言うぜ。小鬼ちゃん」
「ヌハハハ!こりゃあ違ぇねぇやな。どら、やろうか」
金砕棒を構えて、ギンジも戦闘態勢に入る。
「俺っちはヘルブラッククロス・怪人四天王!そして、甘白ミドリコの姐さんの、大黒柱ァ!赤鬼の怪人!!」
夜の公園にこだまするほど大きな声で叫ぶと、赤鬼の怪人とギンジが同時に駆け出す。
「さぁ・・・」
「始めるかぁ!」
金砕棒を突くように振り抜き、ギンジの身体を捉えるが、空気を割るように先端が飛び出すその棒を見て、ギンジは防御ではなく横に避ける。
ボン、とギンジの後方まで空気が鳴る音がし、空気砲の様な打ち出しも出来るのだろうか。
「すげぇな、この棒・・・」
まさしく鬼に金棒と言ったその武器の重圧さを鑑みるに、この武器は赤鬼の怪人しか扱えない強力な兵器に等しい。
「避けるだけじゃないだろ!?」
「オラァアア」
伸ばした腕は隙きだらけ。そう判断したギンジは雄叫びと共に、右拳で赤鬼の怪人の顔をめがけて、手加減無しで殴った。
「かっ・・・たっ!!」
避ける事をせず、その拳は異様な硬さの牙に当たり、そのままダメージはギンジの右手に返ってきた。
「ヌハハハ、なまっちょろいぜ!」
一撃だけ最初に貰うつもりだったらしく、赤鬼の怪人はある程度のギンジの力量を測った。
牙に傷がつかないなら恐れることはない。きっちり痛めつけて、ミドリコの姐さんにボコしたギンジを見せつけてやろう。
「こなくそ・・・!」
仕方なくギンジは炎を纏って、赤鬼の怪人に突撃する。
「むお!?」
「これなら・・・!!」
炎を纏ったギンジの姿に驚き、動きが止まった赤鬼の腹に、高熱を帯びた拳を当てる。どうやら肉体は柔らかく、普通に攻撃として通るようだが、赤鬼の怪人は我慢して耐える。
「熱ちぃねぇ・・・俺っちも、手加減しないぜ」
ギンジの攻撃には予想以上のモノもあったが、今度は金砕棒を振り回して、頭上から振り下ろす。
重たさ故の遅さがあり、ゆっくりしている様に見えるのに、それはとてつもなく巨大な壁が迫る様な迫力に、ギンジは炎を噴射してその場から離れる。振り下ろされた棒は、公園の地面を叩き割ると、空気を周囲に分散させて、再びボン、という音を鳴らす。
その音の直後にギンジは壁まで飛ばされていく。
「ぐっ・・・うおおああああ」
耐えようとしたがその風圧に炎が巻き上げられ、身体から離れていく。火の粉となったギンジの炎は弱々しく舞い散り、やがて消沈すると、再びギンジの身体に炎がまとわりつく。
壁に張り付く様な風圧は直ぐに収まると、ギンジの顔を目掛けた棒の突き出しを赤鬼の怪人は行う。
空気の弾丸は見えず、しかし重くて強い。なんとか身体を壁から剥がして降りると、今顔のあった場所には空気によって歪な円型にくり抜かれる。
もし当たっていたらと思うとゾッとする。
ふざけている様で間違いなく殺す気の一撃に、再び炎の攻撃を出そうとするも、今度は赤鬼の怪人の接近戦が繰り広げられる。
「骨までぇ!!砕けろォォ!」
金砕棒はギンジではなく、少し隣側の壁を抉り刺し、ギンジに向かって砕きながら迫ってくる。
ガリガリとコンクリートを力任せに砕きながら、赤鬼の怪人の大ぶりな棒を飛んで避ける。
「もう一発!!」
赤鬼の頭上から炎を纏った両脚で踏みつける様に、急降下する。顔に当てて間違いなくダウンを取れるぐらいの一撃を与えるも、赤鬼の怪人は燃える脚を顔面で受け止めると、首の力でギンジを押し返す。
「いっ・・・!?スゲぇ力だな・・・」
「根性が違うんだよ・・・俺っちとお前とじゃ」
「なるほど、根性ね・・・」
この根性論はあくまでも怪人基準の話。
続けざまに金砕棒をギンジにめがけて、空気を砕きながら横胴に振り抜く。しかしその攻撃はやはり遅く、ギンジには当たらず壁を叩き砕く。
「バカみてぇに強い力だな、マジで」
ふと思うのはこの怪人がミドリコとくっつき、ヘヴンホワイティネスの味方になるのであれば相当心強いのではないか。
今自分達が戦うことの意味がよく解らなくなってくる。
「なぁ、赤鬼・・・」
「なんだ?」
ギンジは少しだけ思う事を赤鬼の怪人へと話す。
「お前は、ヘルブラッククロスの怪人なのに、ヘルブラッククロスの力の世界には興味ないのか?総統サマの理想の世界とかいうやつ」
赤鬼の怪人の攻撃が緩まる。
緩急つかず振り下ろされていた棒を、膝下に降ろして赤鬼の怪人は牙を鳴らす。
「力ですべてを支配するっちゅー話は至極単純で分かりやすいだろうな。だけど俺っちは、たった一人の惚れた女と一緒に居られれば、それでいいのさ」
ミヤコみたいな言い分に、なんとなく納得が行く。
本当は生きる為の目標や大義名分はあっても、その世界で上手くやっていけるか解らない。なにより、他人を好きになって愛し合って、助け合えるのであればなんでもいい。
それが叶うなら、力による支配の世界は正直どうでもいい。
そして赤鬼の怪人はその世界へと向かう人生の中、一つの幸せの種を見つけた。
気品のある女性で、強くて怪人に臆さず攻撃できる。
こんな女性ならザコの人間でも大切にしてあげたい。
惚れた女の為なら、なんでも出来る。それが赤鬼の怪人。
「親父には・・・あ、総統のことな。造ってくれた恩義こそあるが・・・まぁ、俺っちの自我には合わないってことだな。地獄が創ろうとしている世界は」
自我・・・つまり怪人の心に従って、彼もまた謀反を企てていた怪人という事になる。
「なんだか、俺たち似てるな。何か持ってるぜ、俺とお前」
「ヌハハハ。そうかもな。どら、雑談は終わりにしよう。ここいらで本気で、戦りあおうぜ」
言うと赤鬼の怪人は金砕棒を両手に構えて、ギンジも構える。
「ここから本気でやるなら・・・行くぜ・・・フェーズ3!」
ギンジの掛け声に合わせて、足元から黒い炎と、紫電が全身を包む。二つの能力が渦を巻き、ギンジが中から出てくる。
肌は灰色になり、背中には6枚のコウモリの羽。
洋服まで変わる変身っぷりに、赤鬼の怪人は心が踊る。
これが進化の怪人の本気。組織を裏切り、総統の手を焼かせる男の本気。
「炎で燃やすだけしか能が無いと思ったけど、まだまだあるんだな?楽しみだ」
「空気爆発と、バカ力以外にもあるよなぁ!?」
赤鬼の金砕棒とギンジの黒炎の拳が、ついにここに来て激突する。
黒い炎は金砕棒を燃え広がる火事の様に飲み込み、赤鬼の怪人の手元から身体までを焼いていく。
「くはぁ・・・いいじゃねぇか!」
金砕棒は熱に負けてどろり、と溶けて行き、燃える身体のまま後退していく。
「ウラぁ!!」
紫電を纏った蹴りは赤鬼の腹部に再び刺さり、身体を後方へと転がされる。
「ガバババババ」
転がされたと思ったら今度は感じたことの無い、強い電流によって身体を感電させられる。
動けなくなった赤鬼に次々とギンジの攻撃が続く。
角を引っ張り、頭突き。
身体を持ち上げて、黒い炎で燃やして、ジャングルジムにぶん投げる。
「ゴホッ・・・痛てぇ痛てぇ・・・」
さっきまでとは段違いの強さのギンジに、驚きと衝撃が走る。人が変わったかの様な強大さに、赤鬼の怪人の心が本気で楽しみ始める。
喧嘩とはこういうモノでなくては、と。
「ヌハハハハハハハ!いいぞ、もっと戦ろう!」
感電から立ち直り、大きく息を吸ってからギンジへ向かって走り出し、赤鬼の拳がギンジの拳と正面からぶつかり合う。
その腕力はオーク怪人よりも強く、ギンジの肩ごと容易に跳ね返して、膝を踏みつける。
バランスを崩したギンジの頭に、スレッジハンマーという両手を組んだ拳をぶつけ、前のめりになるギンジの顔を、蹴りでかち上げる。
「この・・・!」
お互いに頭が上がり、思い切り額をぶつける。
頭突きと頭突きのぶつかり合いに、空気を叩き、熱の放出し、互いの空いた両手同士が力押しをするために、激しく交差する。
身長や体重から行っても、有利なのは赤鬼の怪人。しかしギンジにはただの力押しだけにとどまらず、炎や雷がある。
超常的な力を持つギンジの力は、単純に見えてその癖かなり強い。
今まで何度も危機を乗り越えただけのことはある。その実力に敬意を評して、赤鬼の怪人は一切の手加減は捨て、小細工なしの正真正銘自分の力だけでギンジを捻り潰しにかかる。
「くうぅおおおお〜〜!!!」
「俺っちのパワーで・・・ミドリコの姐さんを手に入れるぜ・・・」
「おうよ、やってみろ、この、野郎!」
「ヌハハ・・・」
力は拮抗している様に見えて、お互い余裕が無い。その顔に笑みがあっても、この力と力の鍔迫り合いに、どうやって次の攻撃を繰り出すかを考える。
「・・・この、クソ!」
先に動いたのはギンジだった。押し込まれる力を利用して、倒れる様に後転すると、赤鬼の怪人を巻き込んで後ろへと投げ飛ばす。
「からの・・・燃えろ!」
跳ね起きてから後方へと、黒炎の光線を射出する。高火力バーナーの様な炎のレーザーは、立ち上がろうとした赤鬼の怪人へ命中し、小規模な爆発を起こす。
「ぐるぅおおおお!!」
甚兵衛は焼け、その身体を晒しながらも赤鬼の怪人はギンジに突っ込む。
敗けない、退かない、認めるまでは諦めない。
赤鬼の怪人なりの覚悟を持ったその突撃は、まさしく鬼気迫る。その言葉が正しいと思える迫力。
赤鬼の拳が当たる度に、視界が揺らぐ。重く硬く強い一撃に負けじとギンジも、黒い炎の拳、紫電の蹴り、根性だけの頭突き、体当たり、力任せの喧嘩術に、赤鬼の怪人も倒れそうになる。
「ハァハァ・・・本当に強いな、お前」
「俺っちも・・・ゼェ、お前が強いと解ったぜ・・・ゼェゼェ」
これが最後になるだろうかと、右手にありったけの力を込めて、二人は雄叫びを上げて拳を当てる。
先に仰向けになって大の字で倒れたのは、赤鬼の怪人。
その後にギンジも仰向けに倒れる。
夏の夜空は綺麗で、星が輝いている。
こんな星空を眺めるだけでも、この世界がどれだけ美しく大切かと、再認識する。
「いやー・・・引き分けだなこれは」
ギンジのフェーズ3が解除されて、元の姿に戻りながらも、その姿は倒れたまま。
「いいや・・・俺っちが先に倒れた。俺っちの負けよ」
「引き分けでいいだろ」
二人の男は身体をお越し、汚い地面に座り込みまがら話す。
「いいや、俺っちの敗けだ」
頑なに敗けを認める赤鬼の怪人は、ギンジを見つめると、しっかりとした口調と共に牙を強く鳴らす。
「敗けたらよ・・・ヘルブラッククロスには居場所はなくなるからよ・・・これでいいんだわ」
「最初からそれが目的だったのか?」
「どうかね・・・」
ヘルブラッククロスはどんなに優秀な力があっても、敗ければ切り捨てられる。それを理解している怪人四天王の赤鬼の怪人は、不敵に笑う。
そして居場所の無くなったであろう、赤鬼の怪人はヘヴンホワイティネスへと入ろうとしている。
目的はたった一つ。甘白ミドリコの為に力になりたいだけ。ただそれだけ。
「惚れた女の為に、組織をも裏切る・・・か。頑張ってる、って言うならきっと俺よりも上だぜ。覚悟の大きさとかも色々な」
「ヌハハ・・・」
惚れた女の為、赤鬼の怪人は組織よりも恋の為に生きることを決意した。
「あんた、名前は・・・ギンジとか言ったっけな。頼む、俺っちならきっと役に立てらぁ!仲間にしてくんねぇか」
「いいぜ。俺は賛成だけど、カエデ達の返事も聴いてから、考えるよ」
こんなに撃たれ強く、力のある怪人が仲間になってくれるなら、これほど有り難いことはないだろう。
「恩に着るぜ。それから・・・」
座り込みながら赤鬼の怪人は、ギンジに頭を下げる。
「ミドリコの姐さんは、きっとあんたに惚れている。必ず俺っちに振り向かせてみせるからよ・・・恋愛面の先輩として、そして俺っちに喧嘩で勝った男として、よろしく頼みますぜ、ギンジの兄貴!」
「あ、兄貴!?いやいや待てまて、情報量が多すぎる!?」
ミドリコがギンジに惚れている?
そんなバカなことはあるだろうか。
(いや俺そもそも、ヘヴンホワイティネスの面々から好かれてないだろ・・・?告白してくれたのは、レイナだけなんだがな・・・?)
とは言え真意を確かめることも出来ず、ギンジは悶々とする。
「そうと決まれば兄貴!家に戻りやしょう!」
赤鬼の怪人はギンジを兄貴と呼び慕い始める。
公園は損害が大きいが、後片付けなどは一切行わず、二人の怪人はカエデハウスへと戻るのであった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「えー皆さんに紹介したい人が来てます」
カエデハウスのリビングで、カエデ、レン、ミドリコ、ケイタはギンジの方を見る。
何故かミヤコは少し離れたところで、カメラを構えている。
「だ、誰よ紹介したい人って・・・」
「落ち着いてカエデ。動揺しすぎ・・・で、誰なの、ギンジ」
少し焦るカエデとその隣のレン。ケイタはいよいよギンジがレイナを連れてきたのかと警戒する。
ミドリコも誰が来ているのか分からないようで、まるで警戒していない。
「それでは、どうぞ。心強い味方になってくれる赤鬼さんです〜ぱちぱちぱち〜」
ドアを開けて入って来たのは、先程までミドリコ愛をめちゃくちゃ語っていた赤鬼の怪人の登場に、カエデ、レン、ミドリコ、ケイタの四人は驚きに椅子から転げ落ちる。
「くふふふふ・・・え?なんで?」
カメラの録画を止めて、ミヤコは冷静になる。
「ど、どうしてお前がここにまた戻ってきた!」
ミドリコが明らかに動揺している。
そんなミドリコに近づき、顎を指で上げると、赤鬼の怪人はミドリコへと再び愛を語ろうとする。
「そんな事より、ギンジもさっきまでどこに行ってたのよ!」
「ああ、そいつと喧嘩してきた」
あまりに突拍子の無い発言に、再びカエデはズッコケる。
「で、さっきの怪人がミドリコになんの用よ!強引に攫おうってんじゃないでしょうね!」
「もしそうなら、許さない」
カエデとレンの警戒心が最大まで大きくなるが、赤鬼の怪人はとんでもないと首を横に振る。
「ヘルブラッククロスの怪人として警戒してるなら、もうその心配は無いですぜ・・・俺っちは、さっき退職願を出してきた」
「え?ヘルブラッククロスって会社だったの?」
「くふふふそうだよ。後株だよ」
ギンジの現実味の無い疑問に、ミヤコの衝撃的な全容が語られたところで、赤鬼の怪人はヌハハ、高笑いする。
「ミドリコの姐さん・・・俺っちは必ず、姐さんを振り向かせて、みせますんで。この力、期待していてくだせぇな」
「どうしてこうなったんだ・・・」
ミドリコは困惑し続けるが、それでも赤鬼の怪人は止まらない。
おおっぴらに変なことはしないが。
「退職までして・・・何?あたし達の味方になろうなんて言うんじゃないんでしょうね」
「大正解だぜ。カエデの姉御、レンの姉御。それからケイタの旦那。ミヤコ姉さんも、ギンジの兄貴も!」
赤鬼の怪人は特段悪い怪人じゃない。
それをなんとなく感じ取れるのだが、もうここまで来たらなんでもいいの精神となりカエデは爆発する。怪人の仲間はギンジだけでいいと思っていたのに。
「あんたらが駄目だって行っても、俺っちは力になるぜ!」
人生で一度も言われたことのない言葉を出し続ける。赤鬼の怪人をチラ、と見上げるミドリコ。
(まぁ・・・変な怪人だが、悪い気はしないし・・・いいか)
こうしてヘヴンホワイティネスに新たな仲間が出来た。
赤鬼の怪人。
ヘルブラッククロスを退職し、ヘヴンホワイティネスへと入社(?)した怪人。
「それじゃ、ミドリコの姐さんと俺っちは同じ部屋でいいっすね」
「え?」
「夫になるんだからいいでしょうな!ヌハハ」
赤鬼の怪人はミドリコの部屋へと向かう。
「ま、ちょ、待て!なんで私の部屋を知っているんだ!」
「あー赤鬼!駄目だ、開けるな!」
ミドリコの部屋に入ろうとする、赤鬼の怪人をギンジとミドリコが止めるが一歩間に合わなかった。
「開けるなぁぁ〜〜!!!」
赤鬼の手が、ドアノブにかかる。そして開けられた部屋には・・・。
「なんだいこりゃ・・・」
ピンク色だったり、薄紫色だったりした、ミドリコの趣味のモノ。
かつてギンジも見たことのある、ミドリコのトップシークレット。
「見るなぁぁ〜〜!!」
顔を真っ赤にして、大人の女性のシャウトがカエデハウスに響き渡る。ロケットランチャーを取り出し、ミドリコは自分の部屋を自分の手で、赤鬼とついでにギンジを巻き込んで爆掃した。
「なんで俺まで・・・」
「ヌハハハ!ミドリコの姐さんもお盛ん・・・うおっ!?」
2発目のランチャーが放たれ、カエデハウスは2日で全損にも近い大破壊が繰り広げられたのであった。
「女の部屋を勝手に開けるな〜!うわーん!!やっぱり怪人なんて嫌いだ!!」
・・・・ミ・・・ド・・・リ・・・コ・・・・
翌日、総統の元に手紙が届く。
封筒と、汚い文字でこれの差出人は赤鬼の怪人である事を理解すると、総統は読まずにこの手紙を破り捨てる。
「・・・読まないでよろしいのですか?」
隣で総統にお酒を注ぐ、見目麗しい怪人、鏡の怪人が総統に口を出す。
「・・・赤鬼の怪人が裏切った・・・しかも、敗北までしたな」
「!?」
一部始終を見ていた訳でもないのに、総統はこの事態を一瞬で察知すると、鏡の怪人の身体を抱き寄せる。
「きゃっ!・・・総統閣下・・・?」
目隠しをしているが見えている。鏡の怪人は手元のお酒をこぼし、総統のコートを汚してしまう。
それを拭き取ろうと手を伸ばすが、総統は鏡の怪人の手を取り、それを阻止する。
「・・・貴様は・・・裏切りや、敗北等、してくれるなよ」
力強い手と、言葉に鏡の怪人は表情をとろん、と蕩けさせる。
全ては力による支配を目論む総統のお言葉。誰よりも強く、正しい倫理観、正義の為の行い、支配。
すべてが強者として許されている、総統。
そんな総統に心労を祟らせるとは、ドクターミヤコも、赤鬼の怪人も、ヘヴンホワイティネスも許せない。
「必ず・・・総統閣下のご期待にお応えいたします。ご心配なさら・・・きゃあ」
抱き寄せられた身体を持ち上げられ、鏡の怪人は可愛らしい声をあげる。
数秒運ばれたかと思うと、柔らかい布のところへと落とされ、身体の上に総統が乗るのを感じ取った。
男が女を求める欲望もまた、ヘルブラッククロスの力による支配の一つ。
甘く、それでいて強引な総統の肉欲に抗えず、鏡の怪人はひたすらその暴力を受け入れるしか無い。だと言うのに、それはどんな言葉よりも、総統に抱かれることの方が嬉しくてしょうがなくなる。
永遠にこの状態を感じ取りたい。こうされる事が、鏡の怪人にとっての幸福であり、なによりも大切な時間なのだから。
総統の心の傷を、自分だけが修復できるなら、それでいい。そうさせてほしい。
本気でそう思うと、いつ終わるかわからない総統の癇癪に鏡の怪人は満足するまで付き合うのであった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
かつてドクターミヤコの研究室であったこの場所、研究施設では、今は紫が支配、占領し、彼が扱いやすい様に改装されている。
「これは・・・新しい怪人ですか?」
ヘアクリップで髪を纏めあげて、白い白衣に身を包む女性が、小さな声で話しているにも関わらず、静かなその研究室には声が反響する。
研究のシリンダーいっぱいに詰め込まれた砂の塊を見て、紫の護衛部下兼、助手として活動するドクターハルネは、バインダーを持ちながら紫に近寄る。
「そうだね。この怪人は【師匠】の研究を引き継いで、完成させた怪人、砂の怪人だよ」
紫はハルネの方を向かずにそう答える。紫の師匠と言う存在が気になるが、ハルネは再びシリンダーを眺める。
無機質で言葉を話さなさそうな、異質な雰囲気に飲まれそうになる。
「くくくく・・・これで、【師匠】の目的を、悲願を達成してやる・・・」
紫の肩を震わせる笑い声に、ハルネは応援したくなる。あのドクターミヤコが除名され、本来の大幹部となった事には、本気で驚いたが、今はこの紫の護衛部下として動いている。
その事に喜びながらも、ハルネは定時になることを確認すると、手元の資料を纏めて紫に手渡す。
「それではドクターパープル。ワタシはこれで。また明日来ますね」
「ああ、君はご家族に弟さんがいるんだったね。うん、お疲れ様。君の家族の無事は約束しているから、早めに帰りなさい」
ヘルブラッククロスは学生の年齢でも入ることの出来る組織。この組織において常識はあまり関係ない。
学生であるハルネは、一つ下の弟の為に、今日もアルバイトまがいの仕事で生活費を稼ぐ。
両親が亡くなった事で、生真面目になってしまって、自分の娯楽をなんでも我慢しつづける弟。
自分の弟を守ることだけが、ドクターハルネの目的。ヘルブラッククロスが弟を手違いで攫った事には肝を冷やしたが、あのドクターミヤコの命令なら、それも普通に有り得そうで怖いと思っていた。
だから、あのドクターミヤコが居なくなって心から嬉しい。なにより、自分の尊敬する上司、紫の下で働けるのも嬉しい。
このまま高校を卒業したらヘルブラッククロスに居続けよう。
それがドクターハルネの目的であり、弟を守る為の生活。
「もしもし?」
ハルネはロッカールームに向かうかたわら、弟に電話をかける。
彼女の名前は、真鍋ハルネ。
好きなモノは、働く力。嫌いなモノはヘヴンホワイティネス。
尊敬する人物は、総統、ドクターパープル、こと紫。
学生でありながら化学兵器を混ぜ合わせた武器をあやつる彼女は、なんの幸運か、紫の護衛部下として出世できた。
度固化野名神高等学校・三年生。弟は、同高校の二年生、真鍋アオハル。
真面目になった弟は勉強する力を持っている。
総統の望む世界でもきっと強く生きていけるから、なんとしてもヘヴンホワイティネスのファンをやめさせたい。
「今日は、黒々カレーでも作ろうか。お姉ちゃん、頑張るわ」
弟との会話は疲れなど無くしてくれる。
弟を守るためなら、なんでもする。だからハルネの選んだ道は、力という正義を持つ、ヘルブラッククロスへの協力。
もうすぐ夏休みだし、弟とどこかでかけに行くのもありだろう。許されるのであれば、紫も一緒に連れて行きたい。
電話を切ると、悪の勢力が広がるかの如く、ハルネは闇の道を進んでいくのであった。
続く
お疲れ様です。
中盤〜の話を創るにあたり、プロットを組み直した結果70話以上まで伸びました。怪人四天王編や、レジスタンスの話も作りたいな、このまま行くと、もっとキャラ増やさないと駄目かな・・・等。
なので登場する予定の無かったハルネというキャラを引っ張り出して、アオハルのあねというキャラになったり、赤鬼の怪人が仲間になったり、といろいろ作り直しました。
赤鬼の怪人にも、アオハルにも見せ場はあります。その時をお楽しみに。
キャラネタ書きます
佐久間ギンジ
赤鬼の怪人は強かった。ミドリコに惚れられていると言われても・・・って感じ。別に嫌いではないけど、よくわからない。
赤鬼の怪人
ミドリコに一目惚れして、たったそれだけの恋で、ヘルブラッククロスを退職してきた。結構後先考えないタイプ。
甘白ミドリコ
ついに屋内で、しかも自宅で、ランチャーをブッパした。
アダルトな趣味故に、見せられないよ!
真鍋ハルネ
真鍋アオハルの姉。リコニスと同じ学生ヘルブラッククロス。
黒々カレーの作り方。
カレーの一般的な材料達、ローリエ、パセリ、お姉ちゃんの愛情(鍋いっぱい)、黒いなんかの液体。
鍋に全部ぶちこんで煮る。これだけで疲れるのでレトルトのカレーを開けます。ちょwwwカレー美味しんだけどwww
紫
部下にドクターパープルとか呼ばせてる。
師匠とはいったい誰なのか、それは誰にもわからない
ハルネからの尊敬には気づいているけど、別に興味はない。
次回は夏と言えば・・・な、話になります。久しぶりに魔法少女も出るぞ〜出すぞ〜うおおお
次回もお楽しみに!