正義のヒーローヘヴンホワイティネス   作:アトラクション

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こんにちは、アトラクションです。

妹欲しいな〜って思うんだけど、今から妹出来たら娘と親みたいになるので、結局いらない。

眠いけど、毎日少しずつでも頑張っています!

それでは、どうぞ!


40・月光を携えて、彼女は戦う

 

 サン・アンフェールを撃破し、真宵町の悪は滅びた。

 

 その手紙が届いた。

 

 差出人は月島ルカ。可愛らしいシールを張った、女の子が使う様な色の封筒のそのタイトルを読んで、銀河シズハは治療されたとは言え、ぐちゃぐちゃの暴行の跡が色濃く残る手紙を、読み倒していた。

 

 もう一通、戦いに出る、そのタイトルがついた手紙は先日、ルカが自宅まで来て渡してくれたものだ。

 

 (・・・今更・・・)

 

 今更どうしていいのか解らない。サン・アンフェールはちゃんと撃破されたのを、ニュースで見たし、胸がスいた気分になった。

 

 晴れやかな気分と高揚する気持ちで一杯だったが、シズハは未だに自宅から出る決心が付かないのだ。

 

 シズハもかつては正義を信じて、ルカと共に戦っていた。

 

 しかし敵にさらわれて、何度言っても、何を言っても暴力に尽くされる地獄の一週間を過ごし、最後まで助けに来なかった・・・正確には助けに来れなかったルカ達が自分を見つけた時、既に虫の息で、かつごみ捨て場だった。

 

 10代の少女が世界に絶望するのは、当然とも言える無慈悲なモノだった。

 

 救出後は、全治6ヶ月、ムーン・フォースは敵に奪われてしまったし、ルカ達の慰めの言葉は全て蔑みの言葉にしか聞こえなかった。

 

 だから・・・自分がこうなったのは、全て仲間のせいだとわめき、泣き叫び、罵詈雑言を浴びせて、何もかもを失った。

 

 それから冷静さを持ち直しても、シズハに残っていたのは後悔と憎悪。ただそれだけを残し、それらを涙に変えて毎日泣く生活を送っていた。

 

 そんな生活を一年程過ごしただろうか。

 

 ある時、ルカから手紙が来た。

 

 戦いに出る。そのタイトルの手紙が・・・。

 

 サン・アンフェールを倒した手紙は読んだ。

 

 でもこの手紙だけは読んでいなかった。この手紙だけではなく、それ以前のお手紙も。

 

 シズハは全部締め切った外を根絶したこの自分の部屋で、その手紙を読む事にしてみる。

 

 【シズハへ】

 

 〔あなたの怪我の具合はいかがですか。身体ではなく、心の方です。君を助けられなかったのは全て、僕の責任です。これからその責任を果たすのと、あなたの報復を行う為に、サン・アンフェールとの最後の戦いに出ます。取り戻せるか解らないけど、あなたのムーン・フォースも取り戻せる様に尽力します。

 

 必ず、これを約束できない僕をゆるしてほしい。なぜなら、ぼくも命をかけて、本当の最後戦いに出るからです。

 

 それで、もし生きて帰ってくる事が出来たら、あなたにお話したい事がたくさんあります。駅前にあなたが楽しみにしていたお店が出来ましたし、洋服も買いに行きましょう?もちろん、本当に生きて帰ってこれたら。

 

 もう一度あなたに会えるのを楽しみに、人生で一番必死に戦ってきます。君の仇を取ります。親友・銀河シズハの仇を、絶対に取れる様に・・・親愛なるムーン・パラディースの仲間へ、月島ルカより〕

 

 所々滲んでおり、それはきっと涙なのかも知れない。

 

 しかし、手紙の内容を読んだシズハは、サン・アンフェールを撃破した手紙の内容を先に読んでしまった。

 

 でも、ちゃんと勝てた事を知った時、シズハの心から、ちゃんとした涙が溢れ出てくる。

 

 もう何日も充電していないスマホを充電して、今すぐ電話して伝えたい。

 

 あの時、酷いことを言ってごめんね、と。同じ境遇だったら、もしかしたらルカもそうなるかも知れなかったのに、何も考えず自分勝手でごめんね、と。

 

 謝りたい事は沢山ある。

 

 それよりも、ルカとまだ生きている仲間と全員で合って、喜びを共有したい。

 

 銀河シズハの心に、希望が戻りつつあった瞬間である。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 サン・アンフェールを撃破した翌日のことだった。

 

 「はい、佐久間です」

 

 スマホから音がなり、目覚ましではない事を寝ぼけながら確認すると、それは電話だった。俺はまだまだ眠いんだけどなー。いったい誰だい、こんな時間・・・いや、もう昼前か。

 

 『佐久間君か。よかった、僕は月島です』

 

 なんだルカからか。そういえばチャットしか名前の登録してなかったな。

 

 「どうした〜?まさか悪の残党とか居た感じか?」

 

 布団の中で身体をよじりながら、俺はゆっくりと意識が復活していく感覚が脳内に冴え渡ると、俺は通話に集中していく。

 

 『おやすみだったかな』

 「いや大丈夫だぜ」

 『それならいいんだ。もし、今日は用事が無いなら、その・・・昨日出来なかった祝勝会、とか開きたいんだ。あ、も、もちろん、無理にとは言わないし、今日は来れない人もいるだろう?』

 

 焦りながらも来て欲しいというのが伝わる様な早口で、ルカに言われると、俺はなんとも断りづらくなってくる。そんなに必死になるなよ。

 

 「行くよ、祝勝会ぐらい。でも、多分ミドリコとサクラ、レイナ、それからオークの奴は多分無理だぞ。声はかけとくけど」

 

 それぞれ住んでる場所違うしな。オークのやつはどこい居るのかさえ分からん。いや、繁華街エリアなのは解るんだけども。

 

 『夜からでいい。神宮、いや、カエデとレン、それからミヤコちゃんにも声をかけて欲しいな』

 「おっけー。あ、もしあれならミドリコの変わりに、非戦闘員が1人いるんだけど、呼んでもいいか?」

 『君たちの仲間だろう?勿論いいとも!』

 「おーけー。それじゃ、また夜に」

 

 スマホを切り、俺は再び枕に頭をつける。

 

 そして通話中は気づかないフリをしていたのだが、腰あたりに重いモノを感じている。人肌の暖かさを冷房によって相殺している、コレの正体は・・・。

 

 「・・・」

 

 ふとんをまくると、俺の腰にしがみつく様に眠る少女の姿がそこにはあった。長い髪をなんにもつけず、真っ黒なサテン生地のパジャマに身を包む女の子・・・。

 

 「何してんだミヤコ・・・」

 「・・・くふーくふー」

 「コラコラ女の子はそんな寝息を立てません。たぬき寝入りはやめなさい」

 「・・・くふっ・・・くふー」

 

 なんてこったマジで寝てるじゃんこの子。無理やり起こしたら可愛そうな気がしてきた。

 

 サン・アンフェールをぶちのめしてから俺たちは、それぞれ解散していった。

 

 一先ずの面倒事は警察にまかせて、俺、ルカ、カエデ、レン、ミヤコ、サクラ・・・俺たちはまた次なる戦いにお互いを呼び合い、手助け出来る様な協力関係を結べる様になっていた。

 

 魔法少女が困れば、正白の天国(ヘヴンホワイティネス)と退魔警察とムーン・パラディースの誰かが手助けに行くという感じの。

 

 逆に俺たちが困れば、他3つの正義の志を持ったヒーロー達が手助けし合うという・・・なんかフワッとしてるけど、正義の連合とでも言った感じだな。うん、いいじゃんこういうの。いつか俺たちのピンチにルカもサクラもレイナも手助けに来てくれたりしたら熱い展開じゃん!

 

 そうそう手助けが必要になることもあんまり無いかも知れないけどな。

 

 そうだ、オークの奴なんだけど、あのやろーまだ諦めてないのか、最後に帰ろうってなった時まで、「ドクターとの将来を頼んだぞ!ギンジ!ぶひいいい!」とか言いやがって、さっさと走ってどっか行きやがった。あいつあの体格とあの怪人の瞳で、よく街を出歩けるよな。

 

 「ミヤコ、起きろ、もう昼になるぞ」

 「うーん・・・っもうちょっとだけ、ギンジ君の身体を味わいたい〜」

 「駄目だって、言い訳出来なくなるって。運営の怪人に消されるぞ」

 「・・・そんな怪人造ってない〜」

 

 ぎゅーっと弱々しい力で抱きつかれるが、今のこの力ならば容易にはがせるぞ俺は。

 

 「・・・」

 

 いやしかし、やっぱミヤコって顔可愛いよな・・・。

 

 ゲームの中じゃシルエットだけでよくファンアートもあったよな。どれも今ここに居るミヤコとは違ったんだけどさ。

 

 まさかの14,5歳の女の子なんて誰が想像できたと思うよ。中身がおじさんの俺でもかわいいと思っちゃうぐらいのちゅーがくせいなんて最強やろがい!

 

 いや違うんだ、話が逸れた。

 

 とにもかくにも、こんなのやめさせないと、いつ俺の本能が理性を上回るかわからんぞ。わからんぞ!!

 

 「・・・取り敢えず、もう起きるか」

 

 眠ったままのミヤコをそのまま布団に置いて、俺は部屋から出る事にする。

 

 夢見心地っちゃ夢見心地の良い感じの欲望が垣間見える、素晴らしい光景なのだが、今はソっとしとこう。色々疲れてるだろうしな、ミヤコも。

 

 「ん・・・ッ。ふぅ」

 

 身体を伸ばして、いつもの服に着替えて・・・まぁ、なんだ、お昼ごはん兼朝ごはんでも食べるか。

 

 足取り軽いまま、俺はカエデハウスの自室から出て、夜に向けた支度を行う。

 

 「ああ、カエデにもちゃんと連絡しとかないとな。ケイタにも」

 

 スマホからチャットを飛ばしてから、俺はリビングに行く。昨日夕飯の残りを、今日のお昼とはなかなか嬉しいルーティーンで、これまた俺の好きなお料理で展開されてるから、ありがたいわね。

 

 温め直してから食べる手料理とはかなり匂いも良く、とてつもなく美味しい。女の子の手料理ってのがいいよな。うん。

 

 「・・・やっぱミヤコと一緒に食べるか」

 

 1人で食べるのも悪くはないんだけど、せっかくミヤコも居るんだし、一緒に食べたいな。多分一緒に食べようって誘えばどんなに疲れて眠っていても、一瞬で飛び起きるんじゃないんかな。

 

 そういう面では扱いやすいけど、暴走させたらもう今後は俺1人じゃ止めるのは無理かもな・・・。

 

 食事ってのは、皆で食べると何故か超美味いから、やっぱり俺は1人なのは嫌なんだな、とか思うんだ〜・・・。

 

 起こすのが悪い気がするのだが、やはりミヤコも起こしてあげよう。俺1人で食べるのもアレだしね。

 

 そう思うと俺はミヤコを(疲れてる所申し訳ないけど)お越しに自室に戻るのであった。

 

 起こした後は、やたら口移しや、あーんを強要されるなだが、それはまた別のお話☆

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 再び場所は意対化市、真宵町。

 

 銀河シズハからの連絡を受け取り、ルカは予定を全て蹴っ飛ばして、彼女の家まで走っていた。

 

 連絡が来るのはいつぶりだろうか。親友の為に戦って来て本当に良かったと、心の底から想いながら月島ルカは、仲間の家である銀河家まで走り続ける。

 

 (ちょっとルカ、そんなに走ったら転ぶわよ)

 「ありがとう。でも、止まれないんだ」

 

 気持ちは解るが、そんなに急がないで欲しい。せめて信号ぐらいは守って欲しい。仮にも正義のヒーローなのだから。

 

 あれからギンジを介して、ルカの心に住まう思念となったアキハは、ずっと苦しんでいたルカと、同じ苦しみや絶望を共有出来る様になっていた。

 

 お互いの考えてる事が解る様になり、お互いの心の中の暗い世界に、一気に光が舞い降りた。

 

 それは今までの悪の太陽ではなく、天国の様に輝かしい光、天使達がラッパを拭きながら、道を作るように、二人の心は晴れやかになっていた。

 

 「はぁ、はぁ、次の信号は止まるよ」

 (そうね。嬉しいのは解るけど、少し落ち着きなさいな。汗もすごいし)

 「うん・・・はぁ、はぁ、ありがとう」

 

 手元のハンカチで額の汗を拭き取り、ルカは自分が言った通り、次の信号ではしっかり立ち止まる。

 

 「ふぅ・・・祝勝会の前に一度シャワーに入らないとね」

 (そうね。ギンジに申し訳ないしね)

 「な、なんで佐久間君が出るんだ!?」

 

 アキハの鼻を鳴らした言葉に、ルカが動揺する。

 

 (あら?てっきり、ギンジと仲良くなってたのかと思ってたのだけれど。てっきり彼の強さに惹かれてるものかと)

 「そんなんじゃないよ・・・確かに強いとは思うけどさ」

 

 信号を待ちながら、ルカとアキハはギンジやヘヴンホワイティネスの事について話始める。

 

 否定をしたルカだったが、長い事共に戦い、そして心の中を読もうとすれば読めるようになったアキハは、間違いなく親友であるルカがギンジに心惹かれている事をなんとなく解るのだが、本人が違うと言うならば、今はそうしとこう。

 

 「シズハにもアキハの事を・・・」

 (伝えるのは構わないけど、ムーン・フォースがないだろうから、多分話すのは無理ね。アタシも会話はしたいけど・・・)

 「そっか・・・。うーん、残念。ところで、どうしてアキハは、ギンジとはコンタクトが取れたの?」

 

 言うなれば幽霊みたいな存在になっているアキハ、誰ともコンタクトを取れずに居たのに、何故かギンジとはコンタクトが取れていた。

 

 (不思議よね。アタシもそれだけはわからないわ。でもまぁ、きっとギンジも【この世の人】じゃないのよ。そうじゃなきゃ、上手く説明できないし)

 「とにかく不思議だね・・・」

 

 信号が青になる。光を確認して、ルカとアキハはシズハの家まで向かう。これからも友達で居るために、そしてこれからもずっと仲間として生きる為に、彼女達は運命の再開を果たす時が来たのであった。

 

 「ああ、楽しみだ」

 

 ルカの言葉に微笑みながら頷き、アキハも心からの再開に胸を高鳴らせるのであった。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 夜・・・。

 

 ルカに言われた様に、ヘヴンホワイティネスの面々は、ルカが住む住宅街近くの喫茶店で集合していた。

 

 カエデ、レン、ケイタ、ミヤコにギンジ。

 

 全員が揃ったのだが、ルカは何故か大泣きしている。

 

 「なんで泣いてんだよ」

 「くぁwせdrftgyふじこlp・・・オンドゥルラギタン・・・」

 「何言ってるかわかんねーよ!!」

 

 カエデの話では、ここに来る前に長らく連絡が取れなかった仲間と再開を果たし、ようやく希望を取り戻せた事でお互いずっと大泣きしているのだとか。

 

 アキハも静かにしているのを見ると、きっとルカの心に閉じこもって泣いているのかもしれない。

 

 「え、えーと・・・僕、居る必要あるかな・・・?」

 「ケイタも、私達の仲間、だから、居なきゃだめ」

 

 少々困惑しているが、ケイタもちゃんとした仲間なのだ。だからギンジが誘い、レンが喜んで連れて来た。

 

 「うう。すまない、取り乱していたよ」

 「乱しすぎよ。ほら、涙ふいて」

 

 カエデのハンカチでルカは涙を拭き取る。

 

 「さて、集まってくれてありがとう。この度はムーン・パラディースの最終決戦に協力してくれてありが」

 「硬いかたい。いいぜ、そんなに気を使わなくてもよ。俺達がしたくてした協力・・・言わばおせっかいだからよ」

 「そうね。あたし達が本当に手助けしたいって思ったことだし。気にしないでいいわ、ルカ」

 「同意。それよりも、勝てて良かったね。最後の光線、すごかった」

 

 タイヨーズを撃破した瞬間の戦いを見守っていたギンジ、カエデ、レン、ミヤコの4人は、ルカの勝利を称える。

 

 「皆、本当にありがとう!」

 

 正義の志を持つ者として、ちゃんとお礼を言うその姿勢に、ギンジを始め全員で小さめの拍手を行う。

 

 「それじゃー・・・飯食べようぜ!」

 「くふふふ・・・わたしギンジ君の隣!」

 「あんたって本当にギンジの隣座るわね。バカミヤコの癖に」

 「カエデモンキーはあっちのカウンター席に座りなよ」

 

 ミヤコの指差した先は、誰も座っていないカウンター席。

 

 それを見たカエデはミヤコと視線上で、バチバチと火花を散らす。

 

 「何よ・・・!」

 「何さ・・・!」

 「喧嘩すんなよ・・・」

 

 ギンジの仲裁で二人の闘志が収まると、二人は何事も無かった様に、元に戻る。

 

 ギンジの左隣には、ミヤコが座り、右隣にはカエデが座る。さりげなく座るカエデの距離感の近さに、レンが心の中で親指を立てる。

 

 ケイタとレンも隣同士で座り、会長席にはルカが座り、皆で飲み物を持ち乾杯の音頭を取る。

 

 生きている喜びと、それに付随する感謝。色々な想いがあふれる中、この戦いに参加した全員が悪を一つ滅ぼした事で、繋がりを強くしていった。

 

 「佐久間君・・・」

 「ギンジでいいって。一回呼んでみな」

 

 未だに名字で呼ばれると、壁が有るような気がしてしまうので、一度名前で呼んで欲しいのだが、ルカはどうにも苦手な様だ。

 

 「ご、ごめん・・・もう少し慣れてからでもいいかな。男性と話すのはあまり慣れていないんだ」

 「言ったって、お前もう高3だろ〜?」

 (言い忘れてたけど、アタシ達は女子校よ。特にルカは母子家庭だから、男性に慣れてないのよね)

 「うう・・・面目ない」

 

 いきなりぬっと現れたアキハに驚くギンジだが、やはりその姿はルカとギンジにしか見えていない模様。

 

 カエデにもミヤコにもケイタ、レンにはその姿は見えていないようだ。

 

 戦いに出られないケイタは、皆の為にサラダを取り分けたり、飲み物を配ったりと割と忙しそうに動いている。

 

 戦いとは常に無情でも、時にはこういう楽しい空間を皆で共有出来る。

 

 その事をとても嬉しく思い、勢いだけで手助けした事を、誇りとして、正義の為の戦いが出来てよかったと、心からそう思う。

 

 ルカが何度も涙を流しながら、ずっと同じことを言ったり。

 

 そんなルカの後ろでは、アキハがよしよしと頭を撫でる。

 

 カエデはギンジと喫茶店のメニューを見ながら色々と話したかと思えば、次はミヤコと再び口論を始めたり、それの矛先がギンジに向いたり・・・。

 

 レンとケイタは最早蚊帳の外で、二人して愛を語らう始末。

 

 祝勝会なのに脱線しているのだが、こういう光景が本当に、何より大切だと、誰もが尊く当たり前な楽しい瞬間を、ずっと自分の心にしまっておきたい。

 

 皆を見ているだけで嬉しくなってくる。

 

 ギンジにとって守りたいモノがまた増えた。新しい正義の志も加入した。

 

 こんな幸せな時間をずっと守りたい。一つたりとも欠けてはならない、未来へ繋ぐ人々の心の反映が、きっと今だから・・・。

 

 それがきっと、ヘヴンホワイティネスのゴールだと思うから。

 

 「さ、さく・・・んっ、ぎ、んじ・・・君」

 「ん?どうした?」

 

 祝勝会も良い頃合いになってきた所で、ルカはかなり言い慣れない口調でギンジを呼ぶ。

 

 「・・・渡したいモノがあるんだ」

 「?なんだい」

 

 ルカとアキハが手渡したそれは、ムーン・フォース。

 

 「お前、コレ・・・」

 「・・・アキハの形見で、君に持っていて欲しい。これは、アキハのモノだけど、僕のを除けば、きっと最後のムーン・フォースだから・・・」

 

 正真正銘、ルカ以外が持つ最後のムーン・フォース。中に居たアキハは月島ルカの心に入り、もう外に出ることは無い。

 

 月の力は残り続け、それはこれからのギンジの戦いを助ける、新たな力になるだろう。

 

 「本当に俺が持っててもいいのか?仲間の最後の形見だろ?」

 (持ち主であるアタシが良いって言ってるんだから、いいのよ。ルカもそれでいいって言ってるのだし・・・それに)

 

 アキハの淡々とした口調には、感謝の念も込められているのか、親しみのある声音をしている。

 

 「それがあれば、君はずっとムーン・パラディースで居てくれるしね・・・」

 

 ずっとはどうだろうか・・・。

 

 「いやそもそも俺、ヘヴンホワイティネスが本業なんですけど」

 「そうよ!こいつはあたしの下僕だから、ヘヴンホワイティネス専業なんで!」

 

 カエデが焦りながら間に入り込み、ルカとギンジを分断する。

 

 「でも、貰えるなら、持っておいた方がいいよ」

 

 レンはギンジの新しい能力が増える事には賛同で、ただせさえ強いギンジがさらなる強化を施されるのは、この先の戦いにおいても必要な力になるからだ。

 

 レンもギンジの強さを信用している。

 

 自分の生まれた時代に活躍する悪を潰す為に、この力を信じている。

 

 「くふふふ・・・ギンジ君に変身スーツがあるなら、わたしのメンテナンスももっと役に立ちそうだね。くふ、くふふ」

 「ギンジってどんどん強くなるね・・・羨ましいなぁ」

 

 ミヤコとケイタはそれぞれの思いをギンジに話す。

 

 「君に持っていて欲しいんだ。君たちの戦いにも役に立つ。そして、僕も、必ず・・・君たちが困っていたら手助けをしに行くよ」

 

 ルカの言葉は強く、その顔は初めて見る生気を取り戻した、少女らしい笑顔を宿していた。

 

 「・・・後で返せなんて言うなよ」

 「言わないさ」

 「じゃ、遠慮なく」

 

 ルカの手にあるムーン・フォースを受け取ると、それはすぐに光の粒となり、ギンジの胸へと吸い込まれていく。ギンジの心と同化して、正式に新しい能力となった。

 

 「ありがとな。俺たちも必ず勝とうぜ!」

 

 ギンジの激励に、カエデもレンも大きく頷く。何故かその隣のミヤコは目を「♡」の形にして、ギンジを応援している。

 

 ケイタは戦えないが、それでも自分のやれる事がある。これも一つの力であると信じたケイタは、少しでもギンジ達の為に頑張ろうと決意する。

 

 「まだまだご飯は食べられるかい?もう一回乾杯しよう!」

 「まだ喰うのかよ」

 

 ルカの食欲には呆れたが、それぐらい今日は見逃しておこうとするギンジであった。

 

 

 こうして、ギンジ達に協力する正義のヒーローがまた現れ、仲間同然となるのであった。正義の協力者は、再びまた手を取り合いながら戦うのである。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 8月15日。

 

 意対化市、真宵町。

 

 サン・アンフェールという悪は滅び、それをチャンスとして別の悪が進撃してきていた。

 

 「あっしがここに来るなんて・・・ここ、遠いっスよ?」

 

 気だるそうにしていても、どことなくソワソワしたその存在は、隣を歩く棒人間みたいな相方に声をかける。

 

 「確かに。勢力拡大を目的とした任務ですからね。我々の敵でもあったサン・アンフェールが滅んだ事で、いよいよ本格的な枝伸ばしに入った・・・という事ですかね・・・」

 

 触手をズラリと伸ばして、その先には神経毒がポタポタと垂れている。

 

 一方、紐の様な見た目をした者は、後ろに手を組みながら姿勢よく歩いている。

 

 触手の怪人、紐の怪人。両怪人がサン・アンフェールの後釜を手に入れる為、ヘルブラッククロスの任務でこの町へと脚を運んでいた。

 

 「おや・・・女性が居ますね・・・」

 「あ、ほんとだ。あっしが捕まえちゃうぞ〜うししし」

 

 二人の怪人が歩く目の前には、ボーイッシュな見た目をした女性が、すぐ目の前を歩いていた。

 

 いやらしくヌラついた触手を伸ばして、ボーイッシュな見た目をした女の子へと捕獲の触手を伸ばす。

 

 しかし、その触手は次の瞬間には、円型の刃によって斬られてしまった。

 

 「何者です!?」

 

 紐の怪人が警戒を強めて、戦闘員を目の前に立たせる。

 

 「・・・お前たちが、ヘルブラッククロスか」

 

 女性は月の形をしたリングを、自分の胸元に掲げるとすぐ変身の体制を取り始める。月の光に当てられたその変身に、一瞬だけ怨敵であるヘヴンホワイティネスを思い出す。

 

 そしてこの光、この力・・・。

 

 「気をつけなさい、触手さん!正義の志を持っていますよ!」

 「どーやらその様で。あっし、ああいうの見るとヌルヌルにしてやりたくなるんでスよ。新しい必殺技の、エモーショナル・ハウリング・ディストラクション・レオーナウリンディファス・・・」

 「長いですよ!コケにされてしまいます!早く倒すのです!」

 

 紐の怪人と触手の怪人の会話を聴き終えると、その女性は変身を完了させている。

 

 「どうやら、この町にも正義を自称する愚かな人が居るようですねぇ・・・」

 「初めまして、ヘルブラッククロス・・・僕は・・・」

 

 彼女は自信を持って自分の名乗り向上を上げる。

 

 悪を滅ぼす為に、今日も彼女は月光と共に、正義と平和の為に、そして友の為に戦う。

 

 「僕はムーン・パラディース!月夜の平和を護る者だ!」

 

 この真宵町の平和はずっとムーン・パラディースが守ってきた。

 

 例え1人になっても、最後まで諦めずに、偽りの陽を撃破した正義のヒーロー。

 

 真宵町の住人は、最後のムーン・パラディースが、今も平和の為に戦う姿をこう捉えて、呼んでいる。

 

 叫んだその名を、この町では知らない者は居ない。

 

 彼女の名前は月島ルカ。

 

 またの名を、ムーン・パラディース。

 

 そして・・・

 

 戦いに赴く彼女は、こう呼ばれていた。

 

 

 

 

 

 

 月光を携えて、彼女は戦う、と。

 

 「行くぞ!ヘルブラッククロス!」

 

 ルカの新たな友達を護る戦いが、始まったのであった。

 

 

 

続く

 

 

 

 

 




お疲れ様です。

好きなパスタはペペロンチーノです。

あーやっとこさムーン・パラディース編が終わった!
そしてこれで後々重要なピースが揃った!
いつ再登場するのかはお楽しみに!

次回は再び非日常に〜編の続きです。次回はヘヴンホワイティネス・カエデとギンジのペア回予定ですが、ミヤコ単独回もありかと・・・いや、暴力の怪人の再登場か?

どうなるかは私の気分しだいである。

キャラネタ書きます

佐久間ギンジ
ムーン・フォースを返して、返してもらった。
これで使える能力は炎、雷(飛行)、金棒、変身(刀、月光)となりました。
ムーン・フォース使用中は炎、雷、飛行は使用不可。
金棒、月光、イメージは使用可能。またフェーズ3との併用も不可能となるが、本当に強くなったのか?

月島ルカ
仲間達と苦労を分かちあえて本当に嬉しかった。
触手の怪人と紐の怪人はアキハの指示と適切なフォローもあり、ボコボコにしてやった。

オーク怪人
ぶひいいいい!ぷぎゃあ!ぷごおぉ!ぶひ!ぶっぶっひいいい!
オーク怪人「何をしているんだギンジ。こ○されたいのか」

それでは、また次回!
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