正義のヒーローヘヴンホワイティネス   作:アトラクション

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こんにちはアトラクションです。
少し間が空きまして、しかも体調を崩しておりました。

楽しみにしてくださった方はお待たせしてすみません!
体調不良のやつはしばき倒して来ました!

でもまだ少し喉が痛いけど・・・まぁいっしょ、なんとかなるっしょ!

それではどうぞ!お待たせしました、暴力の怪人の再登場!


43・名も無き組織

 

 ある日の夜──。

 

 満月の日だったろうか。

 

 オレは工場エリアから、血液男爵こと血の怪人と、ハイパーメンヘラの拒絶の怪人と共に、東度固化市という所まで逃げていた。

 

 どこまで逃げても、ヘルブラッククロスの追手は数多く、オレ達は正直疲弊していた。何度も撃退しても大幹部の奴らが来ると、どうしてもオレ達は・・・敗けそうになっていた。

 

 今オレ達の居る場所は河川敷。川が流れて澄んだ水の音が耳に心地よいこの場所で、オレ達は皆絶体絶命の状況に立たされていた。

 

 「暴力の。我々二人だけでは抑えきれんぞ!」

 

 血の怪人がオレに向かって叫んだ。戦闘員の群れに囲まれて、拒絶の怪人は能力を無効化にする首輪つけられて、もう手詰まりに近い。

 

 「もう逃げるしかあるまい。行け、暴力の。拒絶を連れて逃げろ。吾輩は自爆する」

 「おいおい、ここまで来てそりゃあ無いぜ」

 

 ボンテージ衣装の紐をひっぱりながら、オレは血の怪人と背中合わせになりながら会話をする。

 

 「怪人と人間の共存世界を創りたいしよ、そのためには先ずヘルブラッククロスを倒して、乗っ取らないといけない」

 「・・・」

 

 オレのふんわりとした目的は、革命に近い。そしてそれは3人という無謀な数では達成出来ない目的だよな。普通ならそう考える。

 

 「オレに着いてくるって決めたんなら、最後まで抵抗すんぞ。逃げるなんて許さねぇ!」

 「・・・では、どうする」

 

 満月の下、今オレ達はとにかく窮地だ。あいつらは・・・ギンジ達は今、何してるかな。オレと同じ様に、どこかで戦ってるかね。

 

 「敗けるのも逃げるのも無しだ!名も無き組織(レジスタンス)として、ヘルブラッククロスと向き合う以上、オレはこいつらを全員全滅(調教)させる!」

 

 戦い尽くしでボロボロになった鞭を取り出し、オレは再び敵の群れを睨む。血の怪人の血液はまだ使えても、このメンヘラがまともに動けないのが、地獄的窮地だぜ!無事に帰ったら調教してやらねぇとなァ!

 

 「行くぞ・・・暴力の!」

 「後ろは任せっからよ!」

 

 オレと血の怪人が同時に突撃して、敵の群れを切り抜ける。このまま敵を全滅させたら何をしようか。まずはメンヘラの拒絶の怪人を調教するだろ?

 

 あとレジスタンスなんだから、アジトが欲しいよな。

 

 それから・・・。

 

 「お前たちが、組織から脱走した怪人達か」

 

 いきなり何者だ。小型飛行機・・・いやドローンみたいな形をしたこいつは。

 

 いや・・・まて、もしかしたらこいつ。

 

 「機械の怪人か!?」

 「いかにも。ここで死ね、暴力の怪人」

 

 なるほど。この戦闘員達を急にけしかけて来たのは、こいつが大元で、こいつの作戦か。厄介だぜクソ!

 

 発射されるのはミサイル。オレはそれを鞭ではね返そうとするも、鞭に着弾した瞬間に、そのミサイルは手元で大爆発を起こす。

 

 「暴力の!!」

 

 血の怪人の叫びが響くが、その後ろでは戦闘員の攻撃が飛び交ってくる。

 

 「キエエエエエ!!!」

 

 手元で爆発したからか、拒絶のやつについていた首輪が壊れた様で、いよいよ溜め込んだ拒絶の感情が爆発する。

 

 真っ黒な波動は戦闘員を蹴散らして、血の怪人が機械の怪人を血液を操る能力で捉える。

 

 「今だ!暴力の!」

 「調教用の鞭!裏切りの一撃(モードレッド・スパンク)!!」

 

 機械の怪人の頭と思われる部分に、オレの鞭を深く命中させる。バシ、と強く当てると機械の怪人は電流を流しながら、オレと共に川に落ちていく。

 

 「暴力の!」

 「だ、男爵サマ・・・まだ次が・・・」

 

 拒絶の怪人が指差すその先には、まだ倒せていない戦闘員が襲いかかろうとしていたが、オレの目の前には機械の怪人。

 

 落ちながらも、オレとこの機械野郎は、殴り合いをしながら川底へと落ちた。

 

 「水中なら・・・こっちに部があるな!死ね」

 

 クソ・・・!水に落ちたんじゃ、オレは呼吸の限界が来る。酸素がないと、どうしても勝つ事はできないし、そのうち溺れてしまう。

 

 機械は調教できねーし、どうしたものか。

 

 それよりも・・・血の怪人、拒絶の怪人・・・お前ら、オレが戻るまで死ぬなよ。

 

 その次の瞬間には、機械の怪人の猛攻が水中で次々と展開されて、オレは気がついたらその意識を落としていった。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 暴力の怪人、血の怪人、拒絶の怪人。

 

 行動原理は不明ながらも、ヘルブラッククロスへの離反、そして革命を行おうとしている、組織に取っても不都合がある脱走した怪人。

 

 これを見つけ次第殺害するという任務を受けた機械の怪人は、これの発見の後、戦闘員の手配を行い、人数的には確実に勝てる数でこの殲滅作戦に挑んだ・・・のだが。

 

 運悪く不意打ちを貰ってしまった。暴力の怪人の一撃はシミュレートを行うメインコンピューターにまで届く、人間なら間違いなく死ぬ、そんな一撃。

 

 コンピューターは幸いにも無傷だが、ここまで衝撃が届くとは思わなかった。あまりにも強く、侮れない。

 

 機械として、そして脳の部分は人としてあるこの形に、この装甲にこんなダメージを与えるとは。

 

 「油断した・・・とはこの事か」

 

 機械の怪人は川の中で暴力の怪人を殴り倒したが、自分は変形出来ないぐらい小さな岩と岩の間に、すっぽり挟まってしまう。

 

 あと一撃、二撃ほどで、完璧に殺せたのに、いきなり水の勢いが強くなった。それが原因で、暴力の怪人を逃してしまったのだが・・・。

 

 「しかし、もうあの傷では生きていけんだろう。血と拒絶の怪人は、後で必ず始末しよう」

 

 誰よりも人間らしくない見た目で、誰よりも人間らしい悔しさを放ちながら、機械の怪人は連絡用のビーコンを飛ばす。

 

 これによって連絡が届けば、すぐに毒蛾や、龍の怪人が手助けに来るはず。

 

 早く来い、自分がこの任務の手柄を立てる。

 

 早く来い、自分ならば全て力による支配への一歩を、より確実にする。

 

 早く来い、自分であればこそ、出来る事がある。創造主であるパープルに、自分の価値を見せつけられる。

 

 非力な人間共を必ず支配するのはヘルブラッククロスであり、自分だけだ。

 

 龍も、毒蛾も、触手も、犬も、紐も・・・怪人四天王の雪、鏡、骨も全て・・・機械の怪人である自分が支配する。

 

 支配したい。言うことを聞かないあいつらを、必ず痛めつけて、力によって屈服させてやりたい。

 

 手助けは未だ来ず、機械の怪人は流れる水によって、しばらくスリープモードに入る事にする。

 

 ─覚えてろ・・・自分が必ず、ヘヴンホワイティネスをも超えてやるのだ。自然の摂理などに、この機械の怪人が敗ける事などありはしない。必ず、必ず・・・勝利を収めるのはヘルブラッククロスだ。

 

 誰にも聞こえないその決意を、大きな殺意として飲み込み、機械の怪人は手助けが来るまでの数日間、スリープモードで難を逃れるのであった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 満月の夜・・・その日は同時刻、ギンジ達はサン・アンフェールを撃破した日だった。

 

 そんな事の裏では、暴力の怪人はとにかく襲撃に見舞われ、機械の怪人による襲撃を今は逃れた。

 

 夏休みの終わる最後の日・・・。

 

 8月25日。

 

 菊沢トモカは夏休みの最後の日に、女子野球部としての朝練に励んで、お昼頃には帰宅するという、最後まで変わらない夏休みのルーティーンを繰り返していた。進学するつもりではいるが、まだ高校2年。

 

 遊んだり、部活に勤しむのは今だけだろう。

 

 今だけだから別に夏休みの宿題とかも、後回しにしても良いのだ。学生なのだから。

 

 「しかし・・・一週間も早く夏休みが終わりか〜ん〜嫌だな」

 

 この日曜日が開けたら、また明日からは学校・・・2学期が始まってしまう。スポーツが出来るならそれでいいのだが、どうしても勉強は苦手だと、トモカはひたすら絶望している。

 

 菊沢トモカの住む東度固化は、雑貨店の多い住宅街があり近くには、アーケード街。そのアーケード街外れにある花屋が彼女の自宅であった。

 

 最近はただの人間じゃない者達が、どこかからか逃げて来ており、何故か人間達と争うことなく共存が出来ている不思議で不気味で、しかし楽しい活気のある街になってきている。

 

 花屋にお買い物に来る、リスのしっぽをつけた魔人と自称する美人さんや、鹿の角をつけた闇人なる人物達が、徒党を組んで人間達と共存している・・・それが今の東度固化市。

 

 上手く人間に擬態しているのか、見た目は完璧な人間が多いし、人のルールに従いながら生きているなら、トモカは別にコレを気にしていない。

 

 いつもの駅を降りて、帰路についているトモカは昼の暑い日差しにジリジリと焼かれて、年中小麦色の健康的な肌を晒している。

 

 「おや〜」

 

 道順としては河川敷のある道路まで、歩き進んでいる。日差しに彩られたキラキラしたこの川を眺めて帰るのが、トモカの日課でもある。

 

 そんな日課として刻まれている視界には、見慣れない存在・・・人の様な何者かが、河川敷の土手にうつ伏せで倒れているのだ。

 

 それを発見した彼女は、周りに人が居ない事を確認すると、自分がその人の安否を確認をする為に、急ぎ足で河川敷まで降りてくる。

 

 もし人が倒れているのであれば、声をかけて助けないといけない。この気温だし、熱中症の可能性も否定できない。

 

 自分が助けに行くのは何も善意だけではない。憧れのヒーロー・ヘヴンホワイティネスの様に、困っているなら自分の助けられる範疇でなんとかしようとするし、そうじゃなくてもこの気温で倒れている人を放っておくことは、トモカの常識内ではありえない事でもある。

 

 「あの〜・・・大丈夫ですか?」

 「・・・」

 

 アフロにパーマを当てた様な髪は水に濡れてペタリとしており、身体にはなんとも場違いなボンテージみたいな衣装を身に着けて、身体の出るとこはちゃんと出している。その一部分は例えるなら鈍器で殴られたかの様な、そんな傷がたくさん出来ている。

 

 「・・・こういう時は〜、目を開けるんだっけ」

 

 人の脈を調べる時は触れても大丈夫だろうと、トモカは何故か目を触る。

 

 「!」

 

 トモカがその瞳を開こうと、指が触れる瞬間に倒れていたその人物は鞭を取り出し、身体を起こす勢いを伴ってトモカの首を掴む。

 

 「・・・!女ぁぁあ!」

 「〜〜〜っ!?」

 

 信じられない力で首を抑えられ言葉が出ない。苦しい、痛いと言った感情が色濃く出てきてくる。

 

 「・・・!?いいや、お前、違うな」

 

 男はトモカを下ろすと、その首の締め付ける様な手を引いて、苦しみでうずくますトモカの肩を優しくさする。

 

 「ケホケホ・・・」

 「ごめんな、勘違いだった・・・」

 

 涙目で咳き込むトモカを、男はひたすら謝り続ける。

 

 「大丈夫かい?ほんとにごめんな。オレも勘違いじゃなければ、女に手を上げるなんて事しないんだが・・・」

 

 男はボロボロのボンテージ姿で、その場にへたりこむ。弱っているのか、すぐにその姿は大人しくなっていく。

 

 「あ、あの〜・・・大丈夫ですか?」

 

 首を締められたのには驚いたが、トモカは首を抑えながら目の前の男に歩み寄ろうとする。

 

 どうしてか解らないけど、そうする事が正しいと思えたのかも知れない。本来ならこんな事をされれば、どんな人間でも近づかない。それは当たり前の事なのだが、それでも善意が捨てきれないトモカは、男へと助けの手を差し出す。

 

 「・・・オレなんかに何か用かい?かわいいお嬢ちゃん」

 「ん〜・・・なんか、放っておけなくて」

 

 河川敷にてトモカはそう言うと、男は鞭をしまいながら善意を受け取る。

 

 「なんか〜、助けないと行けない気がしたから・・・」

 

 きっとトモカの親友も同じ状況に立ったのであれば、そうするかも知れないと、彼女は心の中で自分の正義を掲げて、倒れたこの人?を放ってはおけなかったのだ。 

 

 「あなた、お名前を聞いても〜大丈夫?」

 

 おっとりとしたトモカの口調は、男の耳に心地よく届く。とても聴きやすく、そして何より怪人としては非常に好みの女性に見えた。

 

 「オレは・・・暴力の怪人」

 

 怪人・・・その単語を聞いた時、トモカは身の危険を感じたが、こうも弱っている姿を見ると、ただの人間にしか見えない。

 

 「私は〜菊沢トモカ〜」

 「そうかい・・・トモカ、ね」

 

 ただの一般市民に過ぎない菊沢トモカと、元ヘルブラッククロスの暴力の怪人。

 

 出会っては行けない二人が出会う事で、また一つ、運命の歯車は動き出した。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 東度固化市、商店街エリア。

 

 大きな十字のアーケード街は、買い物や通り道として利用する人が多い。

 

 トモカの善意に甘えて、暴力の怪人は彼女の自宅までついてきた。怪我をしている自分を放っておけないという、それだけの理由でここまでしてくれる女はそう居ないだろう。

 

 どうにか捕まえて自分好みに調教してやりたいと思う反面、見ず知らずのこんな自分を助けてくれるという聖人みたいな人に、そんな事は出来ないし、しては駄目だろう。

 

 それではあのヘルブラッククロスとやってる事が変わらない。

 

 ヘルブラッククロスとは生き方を違えたあの脱走の日から、暴力の怪人は自分の欲をひたすら我慢して、今日までなんとか生きてこれている。もちろん、血の怪人や拒絶の怪人のフォローもあっての事なのだが。

 

 (今あいつらは・・・無事か・・・?)

 

 ゆっくりと今の状況に至る経緯を思い出す。名も無き組織(レジスタンス)の人数確保を行う為の、勧誘作戦を決行しようとしていたら、急なヘルブラッククロスの襲撃・・・。

 

 拒絶の怪人が捉えられて、血の怪人が自爆するとか言い出したり、結果それを阻止させた癖に、自分は機械の怪人と共に川に落ちたり・・・。

 

 (だんだん思い出して来たな。自分の不甲斐なさに呆れるぜ・・・)

 

 ヘルブラッククロスを倒すと決めて、そのすぐにこの有様だ。これではいつか来るヘルブラッククロスとの本格的な戦いには、到底勝てないし、いつかギンジ達への協力をするという約束も果たせない。

 

 己の力量不足を感じながらも、暴力の怪人は行き交う人々の目線を気にせずに、トモカの後ろをついていく。

 

 「傷、痛くない?大丈夫?」

 

 トモカの声が耳に入ると、すぐに崩れた前髪を払いながら暴力の怪人が言葉を返す。

 

 「歩くと身体に響くけど問題は無いな。オレ、こう見えても頑丈だからよ」

 「ふふふ、そっか〜。もうすぐ、私の家だよ〜」

 

 微笑む彼女の顔は見えないが、多分可愛いのだろう。怪人は人間の女性をザコと侮っては居るが、綺麗で美しいと思ってしまうのも多く、意外とコロっと恋に落ちる者は少なく無い。

 

 その恋心を歪な形にして、陵辱という最悪な手段に行き着いてしまうのも怪人なのだが。

 

 トモカの後ろを歩く道すがら、暴力の怪人の視界に入る人間・・・の姿をした同じ怪人みたく見える者達が何人かは見える。

 

 左を見ればリスの様な、猿の様な、馬の様な・・・怪人に似た何か。

 

 右を見ればハイエナの様な、ライオンの様な、キリンの様な・・・怪人に似た何か。

 

 「な、なぁトモカ・・・さん」

 「さんはいらないよ〜・・・どうかしたの〜?」

 

 この商店街(アーケード)に行き交う人の姿に化けている何者かを、暴力の怪人は聞いてみる事にする。

 

 明らかに全員人間では無い、かと言っても自分の同じ怪人ではない不思議な存在を見て、暴力の怪人はそれぞれを奇妙に見つめる。

 

 「その・・・なんだ、言いづらいんだけど、ここって人間の街だよな?」

 

 赤いモヒカンと青いモヒカンの双子みたいな馬の何者かを横目に、暴力の怪人はその言葉を出す。

 

 トモカの言葉が出てくる前に、二人の前方から避ける様に歩いて来るのは、猫目をした人間・・・の様な何者かが通り過ぎていく。

 

 勿論見渡せば普通の人間も居るのだが、なぜだか不思議な街だと言う印象が強い。

 

 怪人に似た、何者かが沢山いるこの街は、暴力の怪から見るととても新鮮でかつ、そういった不思議な何者かが沢山人間達のルールの下で暮らしている。

 

 「着いたよ〜・・・ここが私の家」

 「ここが・・・」

 

 トモカにつれて来られた場所は花屋。家と店が合体したその場所は、生活感あふれ、綺麗な花が飾られる彩りに満ちた大きな入り口。

 

 「おや、トモカちゃん。今帰宅かい?」

 

 話しかけて来たのはお客さんとして来ているおじいさん。見た目は中肉中背なガタイの良いおじいさん。

 

 声も相応に歳を取った声音だが、明らかに怪しいのは眼であった。

 

 そのおじいさんの眼は、黒い眼球で、瞳孔の部分は赤い瞳・・・。

 

 そう、例えるならばヘルブラッククロスの怪人の特徴と一致する、あの瞳。暴力の怪人も何度見ては見慣れたその瞳。

 

 「な、怪人か!?」

 「・・・トモカちゃん、こいつは・・・」

 

 見たことの無い怪人の出現に、暴力の怪人は痛む身体を我慢しながらりんせんを取る。おじいさんは余裕な表情でトモカを隠す様に、暴力の怪人の目の前に立ちはだかる。

 

 「・・・お前、怪人だよな?」

 「だったらどうする」

 

 気がついたら花屋の前には、人だかり。暴力の怪人を囲むように、そしてトモカを守ろうとしている様にな雰囲気に、トモカが前に出る。

 

 「みなさん〜この人は大丈夫だよ〜?悪い人じゃないから〜」

 

 取り囲む様なその人だかりは、全て人間に見えた、人間では何者かがたくさん居たのだ。

 

 「へ、ヘルブラッククロスの怪人じゃないのか・・・?」

  

 暴力の怪人が全員を見渡す。本当に、ただの人間にしか見えないのに、ここに現れる人々は怪人に似た雰囲気を持つ、謎の存在達である事が、気配で解る。

 

 刺す様な視線に囲まれながらも、トモカが全員に敵意が無い事を伝えて回ると、その人だかり達は、すぐに離れて行く。

 

 赤いたてがみの馬と、青いたてがみの馬、そしてリスの美人な奥様と、キリンの土木のお兄さんみたいな人物はそこから離れない。

 

 それぞれが正体を表し、怪人の瞳のおじいさんも依然、トモカを背中に隠す。

 

 「何者だ。我々は異人だ。怪人ではない」

 

 おじいさんの言葉に、馬の双子も言葉を繋げていく。

 

 「そうだぜ。トモカちゃんに手を出したら、おめぇ、右往左往兄弟が黙ってねぇぜ」

 

 赤いたてがみの馬は、膨張する筋肉を震わせながら暴力の怪人をにらみつける。

 

 「異人・・・?いやいや、どうみてもお前ら怪人・・・」

 

 怪人。その言葉を聞いた途端に、キリンの異人は暴力の怪人を見下ろす姿勢で、言葉を放つ。

 

 「ここに暮らす人達を、怪人等と言う危ない存在と一緒に見てんじゃねぇ!」

 「そうね。菊沢さんには悪いけど、この人・・・追い出した方がいいのでは無いかしら。きっとこの見た目、子供の教育に悪いわ」

 

 キリンの言葉に続いて、リスの異人も敵意を向けている。

 

 「大丈夫だよ〜、怪我してるだけだから〜ウチで少しだけ診てあげようとしたんだよ〜。お花の香りで落ち着けるからね〜」

 

 善意であり、優しさでもあるトモカの言葉に異人と名乗る人達は、暴力の怪人から離れる。

 

 「・・・」

 

 異人。その言葉は聞いた事は無いが、暴力の怪人は今この状況をある種のチャンスとして見ていた。

 

 (こいつら・・・全員名も無き組織(レジスタンス)に誘えないか!?ワンチャン行けないか!?)

 

 いまだに複数人に囲まれながら、暴力の怪人は脳内で爆発的で、打算的な事を考えて、このチャンスを手に入れようと計算しようとするも、傷が開き倒れてしまった。

 

 「え、ちょっ・・・暴力さ〜ん!?」

 

 血を流しながら倒れるこの姿を血の怪人が見たら、きっとさぞ大喜びで啜り飲みに来るだろう。

 

 そんな事を思いながらも暴力の怪人の意識は再び、闇に飲まれて行くように落ちて行った。

 

 ざわめきが沢山聞こえていたのに、一瞬で何も聞こえない静寂に包まれ、その音は何もかもが聞こえなくなって行った。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 「オレ達がヘルブラッククロスを乗っ取ろう!」

 

 組織を脱走したあの日、暴力の怪人から放たれた言葉を思い出しながら、血の怪人と拒絶の怪人は口を半開きにしながらも、どうせ死ぬのを待つだけの人生ならばと、その行動とあてのない計画に賛同した。

 

 怪人としてその命を授かった時から、欠陥と呼ばれた二人はそのまま周りの言うとおり処分されるのが当たり前になってしまっていた。

 

 上手く成果が出せない事で失敗作の扱いを受けて、あらぬ罵詈雑言を浴びせられ、そして死ぬのを待つ。牢屋で過ごした数カ月は退屈で、しかし行動が起こせない残念な日々。

 

 ああ、血が飲みたい。ああ、より誰かを拒絶したい。

 

 ああ、もっと一方的に暴力を振るいたい。

 

 望みを叶えるモノは何一つとして存在しないこの世界で、自分を欠陥として扱った組織への報復、さらには乗っ取りを企てようとした事で、自分の価値を見出そうとしていた。

 

 革命、離反、謀反。言い換えれば自分に都合の良い言葉は沢山出るだろう。

 

 それでもただ死ぬのは嫌だ。何か・・・何でも良いから、デカイ事をしたい。生きているだけでも幸せになれるのが人間ならば、同じ「人」としてそれは怪人も同じなのではないのだろうか。

 

 人と同じレールの上を歩けば良いのだから。

 

 「拒絶の。平気か?」

 

 血の怪人のボロボロになったトレンチコートに身体を隠し、拒絶の怪人は蝶にも見えるその羽をはためかせる。

 

 「だ、大丈夫です・・・」

 

 河川敷における戦闘員、及び機械の怪人の襲撃。それを上手く切り抜けた二人は、川沿いを歩きながら中央度固化市へと脚を進めていた。

 

 その先にある繁華街エリアまで来れた二人だが、街行く人々の視線により拒絶の怪人のフラストレーションが貯まるからだ。

 

 おそらく東に残り続けていれば、次の襲撃に出くわし、今度こそ全滅していたかもしれない。

 

 拒絶の怪人の洋服はボロボロにされており、全身を覆い隠せる血の怪人のトレンチコートで、とりあえずの衣類としている。

 

 「拒絶の・・・奴は死んだと思うか?」

 

 血の怪人は他人を呼ぶ時には、それぞれの特徴を捉えた呼び方をする。決してお前や、おい、等と他人を呼び出したりはしない。

 

 そんな血の怪人が呼ぶ、奴・・・それは間違いなく暴力の怪人。

 

 血と拒絶の二人を引っ張りあげる、名も無き組織のリーダー格。

 

 「わ、わからない。私は、生きていると、信じたいけど・・・」

 

 組織に居た時には特に面識があったわけではないが、今はああいう男の存在がとても頼りになっている。

 

 男性恐怖症を持つ拒絶の怪人は、怪人の癖に人間の男に欲情出来ず、本心からの嫌悪から負の波動を出す事で、拒絶の怪人と呼ばれだした。本来の名前が何だったのかは、本人でも覚えていないし、今となってはどうでもいいことだ。

 

 とにかく怖い。近寄ってほしくない。

 

 しかしそれでも自分に生きる道標を授けた仲間同士、血と暴力の怪人の事は、それなりには信じている。だからこのトレンチコートも信頼して羽織わせてもらっている。

 

 「・・・とにかく、奴を探すのと、進化のに合わなくてはな」

 

 名も無き組織の今の目的としては、二つ。1つ目は暴力の怪人を探す事なのだが、今の二人はまともに戦闘すら出来ない程には疲弊している。まだ血液があっても、温存に余裕は無いし、拒絶の怪人もなにかの拍子でフラストレーションが爆発しては、いよいよ暴走を止められなくなる。

 

 そしてもう一つは、進化の怪人・・・ギンジに協力を仰ごうとなんとかここまで逃げて来た。

 

 敵の中枢が近い場所だが、今一番頼れる人が居る場所に迎えなければ、探せるモノも探せない。

 

 一刻も早く、どちらかを達成出来ねば、お互い死んでしまう。そうなれば、ヘルブラッククロスを打倒する事も出来なくなってしまう。

 

 「吾輩達を切り捨てたあの組織には、必ずや仕返しをしたいしな。敗ける訳にはいかん。拒絶の、立てるか」

 「う、うん。大丈夫」

 

 紳士として淑女に手を差し伸べるのは当たり前なのだが、拒絶の怪人は血の怪人のその手を拒絶する。直接的な手助けは必要が無いと思っているからだ。

 

 「しかし・・・」

 

 血の怪人は困っていた。非常の困っていた。

 

 目的の一つである進化の怪人の住む街に、命からがら逃げて来たのは良いが、その目的となる人物がどこに居るのか解らない。

 

 おまけに、街はどこを歩いてもヘルブラッククロスの戦闘員達が路地裏を占領している。うっかりアジトに近づけば、間違いなく殺される。

 

 お互いの安全を優先しながらも、ゆっくりと進む。決して戦闘員に見つからないように、そして戦闘にならない様に。

 

 薄暗い路地裏を二人で進むが、血の怪人が警戒していた筈なのに、視界に捉えづらい曲がり角で、人?とぶつかってしまう。

 

 「・・・!しまった!」

 「ど、どうしよう・・・」

 

 ぶつかったのは軍服に身を包み、高身長で筋肉質な体躯に、軍帽、そして同じ怪人の瞳を持つ、豚顔の大男・・・。

 

 「ブヒ。怪人か・・・!」

 

 この男を血の怪人は知っている。拒絶の怪人も知っている。

 

 ドクターミヤコの傑作の1人で、ヘルブラッククロス初の怪人大幹部だった男。

 

 「オークの・・・!」

 

 牢屋に居た時に戦闘員の噂話程度でしか聴いて居なかったが、確かこの怪人はヘルブラッククロスをクビになったというのだが・・・。

 

 藁にすがる思いだが、今の血の怪人には余裕がない。この男でも良いから、とにかく協力者が必要だ。

 

 賭けにもなりえると解っていながら、血の怪人と拒絶の怪人は、目的の一つである進化の怪人の話をする事にする。

 

 例え戦う事になっても、拒絶の怪人を逃がす事ぐらいは出来るはずだ。

 

 「吾輩は血の怪人。オークの、同じ怪人として情報交換がしたい。吾輩達は進化の怪人を探している」

 「む、ギンジを探しているのか?」

 

 オーク怪人の表情は少しだけ鋭く、そして重圧を感じる声と体。立っているだけでも感じる圧をその身に感じながら、警戒を最大限に引き上げる。

 

 「・・・何者だ?まぁいい。同じ怪人として、よしみを持つとしよう。着いてくるといい、ここでは不都合だ」

 

 路地裏の通路内で、オーク怪人は血の怪人と拒絶の怪人に手招きする。

 

 そこかしこに居る戦闘員に見つかれば、それは面倒事になってしまう。オーク怪人はそれを避ける為に、路地裏のさらに奥の道へと進む。どこか疲れているその様子に、安心しつつも血の怪人と拒絶の怪人は、オークの後を追いかけるのであった。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 異人。そう呼ばれる人物達が現れ始めて、争いから離れてどれぐらいの年月が経ったのだろうか。

 

 戦いが嫌になって逃げた者、襲うのが嫌になって離れた者、組織の外の人間を好きになって離れた者。数えれば人数分だけの理由が見つかって、そしてキリが無い。

 

 人を超える力を持ちながら、それを命の奪い合いに使うのが嫌になって、彼らは平和を求めて、この東度固化市へと脚を運んだ。

 

 細かい事なのかも知れないが、ここには正義も悪も無い、争いが無いただの平穏の世界。

 

 誰が呼んだか、ここは東度固化市、異人町。

 

 「ゲヘナミレニアムなんて組織から離れて良かったわ。あの人にも悪いし、子供の教育にも良くないもの・・・」

 

 リスのしっぽを持つスタイルの良い女性が、暴力の怪人に包帯を巻きながら、そう呟くとトモカは苦笑混じりにその話を聴く。

 

 彼女の名は小栗鼠山(こりすやま)。かつてはゲヘナミレニアムという組織に所属していた魔人という。しかしとある退魔師との戦いに嫌気が刺し、末端の構成員であった今の夫と共にここまで逃げて来た。

 

 「ジゴックのとこも最悪ですぜ。あそこはマジで地獄な職場だった。なぁ、兄者」

 「そうだな弟よ」

 

 花屋のベンチに座りながら赤と青の双子の馬の男達は、腕組みしながら座る。彼らは右往左往兄弟、こと赤い兄・ウオーバ。青い弟はサオーバ。

 

 小栗鼠山は表向きは医者として、そして異人向けの治療を施せる良い奥さん。

 

 ウオーバサオーバ兄弟は表向きはラーメン屋を経営している。

 

 「どうやってここに入ったのか解らなかったが、トモカちゃんと一緒に居たから入れたのか」

 

 おじいさんは、結界の怪人。空間を創り、そして異人町に、同じ異人と一括にしている者達が、不用意に入れないように結界を張っている。

 

 表向きはこの町の自警団をやっている。見た目より若いその仕草で、なかなかのプレイボーイっぷりである。

 

 彼らは全てこの町の人柄の良さを知っている。差別せずに受け入れてくれた優しさに感銘を受けて、ここでは人のルールで働き、生きている。

 

 魔人、闇人、怪人。他にも探せば、それなりには他の種族も居るだろうか。

 

 包帯でぐるぐる巻きにされた暴力の怪人は、口まで包帯で巻かれて、何も喋れない。

 

 「ヘルブラッククロス脱走組なら、そう言えばよいのにな」

 「ふごうふふぉふははほっふぃはほひはふぉんふぁふぉ」

 ※言おうとしたらそっちが取り囲んで来たんだろ。

 

 「でも悪い人じゃ無さそうだし〜クビを締められた時は驚いたけどね〜」

 

 トモカのその発言で、リス、結界、右往左往兄弟が一気に殺意を全開にして再び取り囲む。

 

 花を眺めていたキリンも本来の姿を出して、暴力の怪人へと詰め寄っていく。

 

 「ま、まてまて!違うんだ!怪人のさがと言うか、女を見つけたら、こう、あるだろ!ムラっとしたんだよ!」  

 

 口の包帯を取り外して、暴力の怪人は必死に弁明するも、ムラっとしたのがいけなかったのか、トモカも少し怪訝な表情をしている。

 

 「何も悪い事はしていないって!そもそもオレはヘルブラッククロスをぶっ潰して・・・」

 

 乗っ取りを計画している。その言葉を言うよりも早く、結界の怪人が血飛沫を上げて部屋が血液で汚れて行く。

 

 耳をすませば、遠くでは爆発音。

 

 その音に花屋にいる面々が驚き、結界の怪人が膝を付いて身体から血液を流している。

 

 「なんだ!?」

 

 トモカを庇うように右往左往兄弟が、ここに立ちながら、暴力の怪人は窓を見る。

 

 「おじいさん〜!」

 「ぐふっ・・・小栗鼠山さん、トモカちゃんを・・・この町の人間を・・・」

 「大丈夫です。またあいつらですね・・・」

 

 リスの言葉は苛立ちと恐怖の混じった声と共に、暴力の怪人を押しのけて窓を見る。

 

 まだ昼間だと言うのに、この異人町に襲ったこの爆発・・・つまり襲撃者なのだが、それは間違いなく、暴力の怪人の敵、ヘルブラッククロス。

 

 「もう来たのか・・・」

 

 暴力の怪人の視界には、ヘルブラッククロス・怪人の瞳を模したマークが刺繍された旗がなびいていた。

 

 いつでもどこでもどんな時でも襲撃してくる敵。

 

 そしてその目的は女性の拉致誘拐も入っているだろうが、もう一つある。

 

 「・・・悪い、オレ、行くよ」

 「ごほっ・・・貴様、何を企んでいる」

 

 結界の怪人が血を流しながら暴力の怪人を睨む。

 

 あの旗を使う作戦を、この場に居る怪人は知っている。襲撃と破壊を暗示する作戦。つまり、この町を破壊するつもりでいる。

 

 そしてリスの行っていた、また、の意味・・・何度かここに襲撃しに来ているのだろう。

 

 「トモカ、助けてくれてありがとうな。どうなるかわかんないけど、オレ・・・あいつらひっぱたいて来るぜ」

 

 もう恐怖で動けないトモカは怯えているだけ。こんな善意の塊みたいな女の子を怯えさせるとは、やはりヘルブラッククロスを抜けていて正解かも知れないと、暴力の怪人は思う。

 

 「でもなんだってあんた、こんな大怪我を追ってるんだ?おかしくないか?さっきまで殺意むき出しだった癖に」

 

 鞭を取り出し戦いに行く前に、おじいさん、結界の怪人にその事を聴いてみる。

 

 「簡単だぜ。そいつの結界が、身体とリンクしているからだ」

 

 その説明に出てきたのはキリン。長い首が花屋の当たらない様に、身をかがめながら話している。

 

 「言うなれば、そのおじいさんは、仮の姿、っというよりも見えない壁そのもの、結界がこのおじいさんなんだよ」

 「意味がわからん!もっとまとめてわかりやすく、簡潔に話せ!人間社会じゃ当たり前だぞ!」

 

 キリンの言っている事が伝わらず、暴力の怪人は花屋を出ようと強い一歩を踏み出す。

 

 「・・・オレはヘルブラッククロスをぶっ潰して、乗っ取ろうとしてるんだ。怪人と人間の共存を望んでるからな。急な襲撃で混乱してっと思うけど、オレを信じるか、何も信じずにおびえて逃げるか。好きな方を選びな」

 

 背を向けたまま話す暴力の怪人の言葉が、リス、結界、右往左往兄弟、キリン、そしてトモカの耳に入ってくる。

 

 「・・・何を言っているんだ?」

 

 結界の怪人の疑問に、後は何も答えない。

 

 「ま、まって・・・」

 

 トモカが止めようとするが、もう暴力の怪人は止まらない。

 

 真夏の昼空の下、逃げ惑う人々の真上をすり抜けながら、暴力の怪人は暴れ始めようとする戦闘員の1人を、鞭で叩き倒す。

 

 怪人という存在を造り、そしてそれを自分の目的の為に利用する。使えなかったり、勝てなければすぐに切り捨てる。

 

 そして目的達成の為には手段を選ばない。それによって死人が出るのもお構いなし。

 

 まだまだトモカと話したかった。この町に居る異人達にちゃんと説明したかった。

 

 自分の達成しようとする目的の為に、彼らとちゃんと話したかった。

 

 同じヘルブラッククロスからの脱走者。もし、思想が似ているのであれば、きっと理解出来たかも知れない。

 

 そしてあわよくば名も無き組織(レジスタンス)に加入させられないか、考えて欲しかった。

 

 こんな状況になってはそんな事、後の祭りなのだが。

 

 「オレに仲間はできねぇなぁ・・・」

 

 傷ついた身体で鞭を操りながら、迫りくる戦闘員達を全員まとめて倒す。腐っても怪人。この程度、暴力の怪人の相手にはならない。

 

 「見つけたぞ・・・!」

 「ちっ、またお前かよ」

 

 1人で戦おうと先陣を切った暴力の怪人の真上には、小型の飛行機の姿になっている機械の怪人。

 

 「怪人反応というのは便利だな。ここには沢山反応があった上に、目標のお前まで居るとはな。この脱走者!」

 「うるせぇ!オレはお前ら暇の怪人と違って色々やる事があるんだ!」

 

 言い合いをする瞬間に、暴力の怪人の真横から顔をめがけた泡立つ粘液の塊が飛び出してくる。

 

 飛び出したソレを避けながら、鞭をふりまわしてコンクリートを穿ち、体制を整える。

 

 「へぇ〜避けられるんだ。ボクの毒液に浸れれば、幸せになれるのになぁ」

 

 蛾の羽をパタパタとさせながら、少年の見た目をした毒蛾の怪人が、余裕そうな笑みを浮かべながらこちらを値踏みする様に見ている。

 

 「・・・あぶね!」

 

 もうひとつ、一際強い殺気を感じた。その殺気の正体は真後ろからの豪腕による、確実に命を奪いに来ている攻撃。

 

 それを直前でこの身に当たる事を理解した暴力の怪人は、寸前で身をかがめて攻撃を回避した。

 

 「・・・!」

 

 その者は何も喋らない様な雰囲気を持っているが、表情は殺意と敵意に満ち溢れた凶なる顔をしている。

 

 「おっほ!龍の攻撃を回避するなんてすごいね〜・・・キミ、本当に脱走怪人?」

 

 龍の怪人、毒蛾の怪人、機械の怪人の三名による町の襲撃。

 

 この三人に囲まれた暴力の怪人達の左右を、武装した戦闘員が走って抜けていく。それらを止めようと暴力の怪人が駆け出そうとするも、龍の怪人が目の前に立ちはだかる。

 

 「お前は逃さんぞ」

 

 マシン音を鳴らして、多数のミサイルランチャーを展開させる機械の怪人が、龍、毒蛾と同じく殺意をむき出しにして、暴力の怪人へとその武器を向ける。

 

 「1人でボク達を撃退できるかな〜?こんな状況で、まだ戦おうとするのかな?」

 

 馬鹿にした態度と喋り方で煽られても、そこは耳に入らない。心配なのはこの町で暮らす異人達の事だ。

 

 それが気がかりで暴力の怪人は自分を足止めしに入る、三名の怪人へと警戒色を強くもった表情を向ける。

 

 「確かに今のオレは1人だしここでお前らと戦っても、まともな頭をしてりゃあ、逃げるのが懸命な判断だと思うぜ」

 

 だけど・・・。だけど、こんな見ず知らずの自分を助けようとしてくれたトモカや、そしてそれに集まる異人達は皆、この町の優しさに救われてここに居る。例えこの先仲間に出来なくとも、この町を守りたい。

 

 そう思ってしまった。異常な人物の集まりだろうが関係ない。

 

 ヘルブラッククロスや他の組織から脱走した者は、なにかしらそれだけの理由がある。

 

 「ここまで来て・・・オレは逃げる訳にはいかないんでね」

 

 鞭をしならせながら、機械の怪人をめがけて自分の調教用の鞭を構えて、激を飛ばす。

 

 「オレはレジスタンス!ヘルブラッククロスをいずれ乗っ取る男、暴力の怪人だ」

 

 心からの叫びを乗せて、更にこうも考える。

 

 (血、拒絶。オレは、必ずこいつらを倒してこの町に居る人達を助けるぞ)

 

 それこそが暴力の怪人の目指す世界・・・怪人と人間の共存の世界。

 

 共に生きる為の力こそが、この自分の名も無き組織の目標。

 

 今までのふんわりしたモノではなく、確固たる意思を持った、ちゃんとした組織として、暴力の怪人は戦闘に入る。

 

 「ふははは。言うではないか」

 「・・・み、見直した」

 

 上空には二つの声。

 

 聞き覚えのある低い男性と、まだ若い女の子みたいな声。

 

 「・・・生きてたのか」

 

 暴力の怪人を守るように、血液を固めた槍が降ってくる。

 

 そしてもう一つは黒い波動を流して、龍と毒蛾を弾く。

 

 「待たせたな、暴力の」

 「い、生きててよかった」

 

 血の怪人、拒絶の怪人がここに来て加勢に現れてくれたのだ。

 

 「お、お前ら・・・」

 

 暴力の怪人の表情は豆鉄砲を喰らった鳩の様な、ぽかんとしているようにも見える。

 

 「心配するな。町の方にも、強力な助っ人がいる」

 

 戦闘員達が向かったアーケードには、いつの日か見たあの男の姿がそこにはあった。

 

 戦闘員を軽くなぎ倒し、金棒のフルスイング一回で戦闘員達が吹き飛ばされている。

 

 その真後ろでは、白いスーツを着た二人の女性と思わしき姿を見せながらも、機敏な動きで1人ひとりを確実に戦闘不能にしていく、あの男の仲間だろうか。

 

 もう1人は銃を撃ちながら援護をしているようにも見える。

 

 「・・・あれがウワサのヘヴンホワイティネス、か。毒殺してやろうかぁ・・・!」

 

 毒蛾の怪人が目を血走らせてヘルブラッククロスの天敵である、ヘヴンホワイティネス達を睨むが、そこへ血の怪人が立ちはだかる。

 

 「貴様のオモチャには世話になったが、今度は吾輩がお前を世話してやろう」

 

 オモチャというのは、おそらく機械の怪人の事だろう。

 

 血液の補充が済んでいるのか、両手に血液の鈍器を二つ構えて、毒蛾の怪人へと対峙する。

 

 「へぇ・・・キミみたいな欠陥品が、ボクとまともに戦えるの(やりあえる)?」

 「血液は十分にある。お前こそ、血液が足りていないと吾輩には勝てないぞ、小僧」

 「ボクはこう見えても女の子だよ・・・ムカつく欠陥品だなぁ!」

 

 血と毒蛾が対峙するその横では、龍の怪人が拒絶の怪人が睨み合っている。

 

 「あ、あの・・・」

 「・・・お前たちだけは、今ここで殺す」

 

 低く落ち着いた声は、真っ直ぐな殺意を込めて放たれた。

 

 龍の怪人は普段は喋らないが、相手も喋るのは苦手な様子。わざわざ叫んだり、舌戦を繰り広げる事もないと、龍の怪人は鱗を出した腕を拒絶の怪人へと向ける。

 

 「し、死ぬのは嫌なので、抵抗・・・しますね」

 

 羽をぱたりと織り込むと、先程よりも強く重圧な黒い波動が、拒絶の怪人の身体から放出される。

 

 これだけでも一瞬押し倒されそうになる威圧を感じたが、龍の怪人は高いフィジカルでそれを耐えると、腰を落として臨戦態勢を取る。

 

 「消え、消え・・・消えええ・・・!!!」

 「・・・!」

 

 負けじと龍の怪人も喉を唸らせて、龍本来の姿に近い鱗と丸太の様に太い尻尾を出現させて、龍の力強い咆哮を上げる。

 

 「お前達は不気味だな。人間を従えるだけの力を持っているのに、わざわざ組織を抜け出し、更には我々に勝つ気でいるとは」

 

 機械の怪人の声は無機質で機械的な音声なのに、そこには確実に人らしさを込めた殺意が混ざっている。

 

 「人間ってのぁ、優しんだ。こんな見ず知らずのオレを助けてくれたり、他の・・・異人とかいう奴らも、皆手を取り合おうって決めたら、必ず助け合う、そういう奴がたくさん居るんだ」

 

 暴力の怪人は町を襲撃してきた戦闘員達が、ものの見事に倒されていく光景をみて奮い立つ。

 

 自分の背後に立つ機械の敵に向き直り、もう一度鞭を構える。

 

 「力による支配がお好みなら、やってみろ鉄くず。お前らのルールに則って、返り討ちにしてやんよ」

 「・・・ほざいたな、欠陥品が」

 「人間を道具にしか見ていない奴と、人間と手を取り合える世界を望むオレ。どっちが欠陥品か、試そうぜ」

 

 〜東度固化市・異人町防衛戦〜

 

 暴力、血、拒絶の怪人

 

 

     vs

 

 

 機械、毒蛾、龍の怪人

 

 善を信じ始めた怪人と、悪に染まりきっている怪人の戦いが始まった・・・。

 

・・・・・・・・・・・・・・・

 

 血の怪人と拒絶の怪人が、異人町へと合流する前・・・。

 

 オーク怪人に案内された裏路地の道を進む。

 

 建物の構造同士がぶつからないように、そして多数に入り組んだこの場所は、不良や裏社会に生きる者達の絶好の隠れ蓑として使えるだろう、怪しく開いた行き止まりの空間がいくつもある。

 

 すぐそこは誰でも通れる開けた道と、店の数々が並ぶのに対し、こっちの迷路は悪が蔓延るダンジョンにも思える。

 

 そんな道を歩きながら、最後にたどり着いた部屋と思わしき空間に3人の怪人は到着する。

 

 屋外なのに屋根が付き、ドラム缶で焚き火を燃やしながら季節にそぐわない暖かさを出す。簡素な造りのベッドと、何かをまとめた書類が乗ったテーブル、電線から直接繋げたコードからはパソコンとスマホが繋がっている。

 

 「驚いたな。こんな場所があるとは・・・」

 

 血の怪人の感想に、オーク怪人は満足げに鼻を鳴らす。

 

 「座るといい。さて、詳しく話を聴かせてもらいたい」

 

 血の怪人は言われたとおりに、自分達の素性、事情、そして今の自分達が望んで立っている状況について簡単に説明する。

 

 処分を待つだけだった事、暴力の怪人に助けられた事、今の暴力の怪人の状況、現在のヘルブラッククロス。話せるだけの事情を全て話す。

 

 そして最後に、自分達を襲撃した機械の怪人に対抗する為、進化の怪人に助力を求める事も・・・。

 

 「なるほど。あらかたの事は理解したが、その怪人・・・紫の造った怪人か・・・」

 

 オーク怪人はふーむ、と座りながらため息混じりな態度を取る。疲れが見て取れるその顔は、拒絶の怪人からも心配になる程である。

 

 「済まない。今回の一件、私は役に、立てそうにないな・・・」

 「オークの。ならば、進化のに会う手段は何かないか?」

 「・・・そこのスマホを使え。ギンジにつながる」

 

 心底疲れているのか、オーク怪人はベッドに倒れる。

 

 「何があったのだ?」

 

 あまりにも疲れた顔をしている彼の者へ、血の怪人がとうとう聴いてみる事にする。何故あのドクターミヤコ直属の怪人であったあのオーク怪人がここまで疲れているのか。

 

 「・・・怪人四天王の襲撃にあったからだ」

 

 総統の直属の四名の怪人である四人の怪人。

 

 赤鬼の怪人は何故か、ギンジと協力していて、自爆したのは記憶に新しい。

 

 残る怪人四天王は雪・鏡・骨の三名。

 

 怪人達の中でも選りすぐりの戦闘能力を持つ彼らの襲撃・・・それを相手にこうやって生き延びているのは凄い事だ。

 

 「鏡の怪人は執念深くてな。たまたまアダルトしょ・・・いや、うーん、そう、スーパーで出くわしてな」

 「そ、その話詳しく」

 

 明らかに聞き慣れない単語であったが、拒絶の怪人が話を聴きたそうにしている。拒絶の怪人をしばき倒し、血の怪人が話を元に戻す。

 

 「ブヒ・・・鏡の怪人が突如として現れてな・・・雪の怪人を連れて、住宅街エリアを襲撃に来たのだ。奴らは相当強い。この私でも、あのギンジでも手を焼く強さで、非常に参った」

 

 あのオーク怪人にここまで言わせる程の強敵であるという事、つまりヘルブラッククロスはまだまだ襲撃の為の切り札を、まだまだ沢山あると言うこと。

 

 「進化のは無事なのか?」

 「ああ、その辺りは問題ない。無事に撃退は済んでいるのだがな・・・」

 

 あまりに疲れているのだろうか、本当に疲労困憊と言ったオークの表情に、思わず心配になる血の怪人だが、今は彼の心配だけに集中している場合ではない。

 

 その事を申し訳ないと思いつつも、オーク怪人のスマホへ手を伸ばして、進化の怪人・・・ギンジへと連絡を取る。

 

 「つ、使えるの?」

 「使い方は与えられた知識の中で、理解している。吾輩はこう見えても、あいてぃー系は強いのだ」

 

 言いながらもチャットアプリの通話項目を開き、ギンジへと連絡を取る。

 

 ものの数秒で彼は通話に応じてくれた。

 

 『はい、佐久間です。あ、間違えた。なんか用か?さっき帰ったろお前。なんか忘れ物でもしたか?』

 「進化の。吾輩を覚えているかね?」

 『・・・?誰だ?オークじゃねぇな?』

 「工場エリアで会った、血の怪人だ。久しぶりだな」

 

 ギンジは一瞬聞き慣れない声に、不信感を募らせる様な声音であったが、血の怪人だと言うことが解ると、すぐに声を大きくする。

 

 『なんだよ男爵か。え?なんでオークのスマホから・・・』

 「済まない。その辺りを説明している場合ではないのだ。今すぐ吾輩達の指定する場所まで来て欲しい」

 『・・・何かあったのか?』

 「暴力の怪人は敗れた。相手は・・・ヘルブラッククロス・機械の怪人」

 

 その内容に唖然とするギンジだが、お互いに協力すると決めて居る同士。困っているならすぐに助けに行こう。

 

 『よーし解ったぜ!俺はどこに行けばいいんだ?』

 「済まないな。東度固化市に・・・」

 

 その事情を聴いただけで二つ返事でOKを出すギンジの返答に、血の怪人と拒絶の怪人は少し嬉しく思った。これが人間という存在の心の大きさなのだろうか。そもそもギンジは怪人という認識でいるのだが。

 

 『すぐに行くぜ!先に行ってろ。あ、カエデ〜・・・』

 

 その名前を呼んだ瞬間に通話は切れた。兎にも角にも、第一の目的は達成された。

 

 「恩に着る。オークの。何かあれば、吾輩達、レジスタンスが貴殿の為に力になろう」

 「ブヒ。ならば、ドクターミヤコとギンジがくっつくように尽力してくれ。私は少しだけ寝かせてもらう」

 

 言うとすぐに簡素なベッドで休眠に入るオーク怪人。軍服も脱がずに寝に入るとは、相当疲れていたのだろう。

 

 「じゃ、じゃあこれで東度固化市へ行くんですね」

 「そのとおりだ。後は共に、暴力のを探し、生きていれば保護、死んでいれば・・・ヘルブラッククロスに自爆特攻でもするか」

 「・・・そ、そうですね」

 

 しかし東度固化市に戻る前に、ほんの少しだけやっておかないと行けない事がある。

 

 「せっかく恩を貰ったのだ。この部屋に誰も来ないように、戦闘員の数を少し減らしておこう。血も欲しいのでな」

 「さ、賛成・・・」

 

 二人の怪人は目を血走らせて、一気に戦闘員狩りを少しの間行ってから、東へと向かうのであった。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 東度固化市の駅に到着したギンジ達の目の前には、血の怪人と拒絶の怪人がお出迎えすると言わんばかりに、待ち構える姿勢を取っていた。

 

 「よう、来たぜ」

 「ギンジ、この怪人達があんたの言ってた奴?」

 

 片手をあげたギンジに、隣を歩くカエデが血の怪人と拒絶の怪人を見て、怪しむ様な素振りを見せる。

 

 その後ろにはレンとミドリコが付いてきている。ミドリコは二人を見ると、あの悲しい事件の事を・・・赤鬼の自爆を思い出してしまう。

 

 「久しぶりだな。進化の。それに公安のも」

 「・・・そちらは元気だったか?」

 

 ミドリコの問いには、二人の怪人が苦笑を混ぜたなんとも言えない微妙な表情で、言葉を返す。

 

 この三人の怪人はヘルブラッククロスからの脱走をした、ギンジとはまた違う思惑で動く離反者である。その事を知っているギンジとミドリコは、久しぶりの再開がこんな形になってしまい、それにも同じ様に苦笑を返す。

 

 「それで、俺たちは何をしたらいいんだ?戦闘か?捜索か?」

 「もしかしたら両方だ。吾輩達は今は拠点をこの東にうつしているからな・・・一つ気になる場所がある」

 「そこは?」

 

 ヒゲをいじりながら血の怪人は、季節に合わないコートのズレを直す。そしてその隣では、どこかのブティックから奪ったのか、タグのついた綺麗な服を着た拒絶の怪人も、羽をぱたりと可愛らしく振る。

 

 「気になる場所・・・それは、ある商店街。アーケード街と呼ばれている場所なのだが、そこは吾輩達は何故か近寄る事が出来ないのだ」

 「は、弾かれる様な・・・よくわからないけど」

 

 その弾かれる様な不思議なアーケード街はすぐ近くとの事。

 

 「なんでそこに行くんだ?暴力の怪人はそこに居るのか?」

 「いや・・・なんと言うか、そこに怪人に近い反応を感じてな。もし、暴力のが居るのであれば、そこに上手く逃げた可能性はあると思い、な」

 「ふーん。そうかい。じゃあ、行くか。ミヤコが心配だし、やることはさっさと済ませちゃおうぜ」

 「そうね。早く帰って、皆でお昼ごはんでも食べましょう」

 

 初めて会うヘヴンホワイティネスに面々は非常に自由で、それでいてかなりの豪胆さを兼ね備えていた。

 

 アーケードに向かう途中で、駅前の広場へと大きな爆発音がする。

 

 その音は間違いなくギンジ達の聞き慣れた爆撃の音。ヘルブラッククロスの襲撃の音だった。

 

 「レン!」

 「解ってる。ギンジ、ミドリコ、先に私達が行く」

 

 カエデの呼びかけに答えて、レンと共に二人の美少女が変身すると、爆発音に向かって走り出す。

 

 「俺たちも急ぐか!」

 「そうだな。装備の確認をするから、後で合流する!先に行ってくれ」

 

 ミドリコは軽く言うと、アタッシュケースの中身から複数の装備を取り出しながら、一先ずギンジたちから離れる。 

 

 「ん。了解したぜ!オラ、行くぞ男爵、メンヘラ!」

 

 あまりにも不名誉なあだ名を付けられることに、憤る拒絶の怪人だが今はそれを我慢して、走り出すギンジ、血の怪人と共に、音に困惑する人混みを避けながらアーケードへと進む。

 

 アーケード街の入り口まで進むと、幾何学模様の薄い壁みたいな何かがそこに広く展開されていた。

 

 大穴を開けられてそこかしこには、炎や煙、破壊の跡が残っている。大穴の近くにはヘルブラッククロスの旗、戦車。そして、待機する戦闘員達。

 

 「!ギンジだ!ギンジを見つけた!」

 

 早速見つかってしまい、戦闘員達がギンジを狙いに行動を開始するが、そこへ上から飛び込んできたカエデとレンが妨害に入る。

 

 カエデの衝撃と、レンのビーム剣の連携によりまたたく間に戦闘員達は吹き飛ばされていく。

 

 「ギンジギンジって・・・あたし達も居るんですけど!?」

 「同意。どちらにしても、私達にはかてないけどね」

 

 その後ろに駆け寄るギンジ、血、拒絶の三名。

 

 「このアーケード街が襲撃受けたんだな。まぁ、暴力の怪人がここに居るかは解らないけどよ、ヘルブラッククロスが襲撃しているなら、ここは正義のヒーローの出番だな!」

 「そうね!行くわよギンジ、レン!」

 

 正義のヒーローとして悪の襲撃は見逃せない。血の怪人と拒絶の怪人の目的とは少しずれてしまうが、共通の敵である事は間違いない。

 

 ならば・・・目の前にいるヘルブラッククロスはレジスタンスとヘヴンホワイティネスの協力によって倒される事だろう。

 

 ギンジ達は全員でアーケードの中へと突撃を開始する。

 

 「進化の!中腹に強い怪人反応だ!」

 「・・・そこに何か居るのか、見てきてもらってもいいか?俺達は先に市民を守りに戦闘員をぶっ飛ばしに行くからよ!」

 

 血の怪人の隣を走りながらギンジがそう告げると、血の怪人と拒絶の怪人は頷き、建物を蹴りながら上空へと飛び立つ。

 

 「ギンジ、待たせた!」 

 

 後ろから声をかけたのはミドリコ。公安への連絡を行いつつ、持てる装備をありったけ持ち運び、ここまで走って来た。

 

 相変わらず背中にはロケットランチャーを背負っている。

 

 「俺たちのやる事は簡単だぜ。戦闘員を全員ぶっ飛ばす!以上!」

 「野蛮な考えね、本当に馬鹿なんだから」

 「でも、わかりやすくて、単純」

 「私達なら問題あるまい」

 

 何が来ても問題ない。何をしてもヘヴンホワイティネスは勝つのだから。

 

 守る為に戦い、敗けない戦いをして今日も平和を守る。ただそれだけの事。

 

 「こうして四人で突撃するのも久しぶりだな」

 「そうね・・・今回も頼りにしてるわよ、ギンジ!」

 「任せろ!カエデも頼むぜ!」

 「下僕があたしに期待してるの?生意気よ!」

 「へへへ・・・いつものカエデって感じだな。そっちの方が可愛いぜ」

 

 二人して言い合いをするかと思いきや、まさかのギンジからの不意打ち。走る脚は止めないが、聞き間違いでは無いことを確認すると、カエデは嬉しそうに戦闘員を殴り倒す。

 

 「よし、いつものカエデだ」

 「だんだん扱い方がひどくなっていないか、ギンジ」

 「・・・そこは反省する」

 

 今やるべき事はこの街の襲撃を止めること。阿鼻叫喚しているこのアーケード街にヒーローがやってくれば、それは平和が訪れると、喝采を浴びるのだが、今は戦いに集中しなければならない。

 

 ヘヴンホワイティネスvsヘルブラッククロス。東の地でも激突開始!

 

 

続く

  

 

 

 




お疲れ様です。少しずつ書いて、結構長く成りました。

失踪はしません。終わるまでは!もし無理だなー続けられないなーってなったら謝った上で未完にはします。ちゃんと最後まで書きたいから頑張るけどね!

毎度読みづらいかとは思いますが、どうか楽しんでいただければと。

最後までお付き合いいただければと思います。

キャラネタ書きます

暴力の怪人
人の優しさとは何かを学び始めた所。
自分の目標である怪人と人間の共存世界を掲げ始めた。

血の怪人
血液男爵。次回、衝撃的な必殺技を放ちます。

拒絶の怪人
メンヘラとか言われてるけど、男性恐怖症なだけです。
リストカットとかしたくないタイプ。
暴力の怪人と血の怪人とは長く居る時間がおおいために、ある程度は慣れた。

異人町の人々
結界の異人
結界を貼る能力を持つ。自分の身体と結界はリンクしており、結界が破壊されると本体にもダメージが行く。

リスの異人
小栗鼠山さん。おっぱい大きい、しっぽもふもふ、真ん中分け美人。
お医者さん。子供は息子が1人、夫と共にゲヘナミレニアムを脱走した。
夫は最初の第一印象は不潔っぽいであったが、なんの間違いか恋に堕ちた。

ライオンの異人
同じくゲヘナミレニアムからの脱走者。リスとは面識はなかった。ステーキ屋を経営中。

キリンの異人
闇人であり、マージ・ジゴックの元幹部。故にサクラと面識はあるが、逃してもらった。頭が悪く、うまく喋れない、まとめられない等欠陥がるが、力を利用して土木、建設、足場、溶接と現場系はなんでもできる。

右往左往兄弟
赤いたてがみのウオーバ、青いたてがみのサオーバ。
それぞれ馬の闇人で、変身すると10m以上の体格を持つお馬さんになれる。
組織が壊滅した時右往左往しながらこの町にたどり着いた。

次回は・・・脱走者3人vs3怪人!
ヘヴンホワイティネスの見せ場もあるよ!
そして非日常に〜編もそろそろ終わりに近づき、新章が近づいております!
次回もお楽しみに!感想、応援等いただけましたら必死にがんばれます!

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