正義のヒーローヘヴンホワイティネス   作:アトラクション

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こんにちはアトラクションです

今年は風邪引きやすいですね、皆様風邪にはお気をつけください。

今回のお話も無理矢理感あるぞー!

多分ファンも多いあのキャラも再登場します。

それではどうぞ!


47・3つの戦線

 

 工場エリアに向かう前・・・。

 

 サクラは自分の目的、魔法界への一時帰宅を命じられており、帰還しようとしていたのだが、中央度固化市へと向かっていたが、大雪が降っている事に疑問を抱く。

 

 疑問点としてあがるのはこの雪だけではなく、異常な寒さ。真冬を大いに通り越しているこの気温の低下も含まれている。

 

 まず疑うのはこんな事をするのがヘルブラッククロスしか居ないだろう、とサクラは正義も志の下で考える。

 

 だとすればギンジ達ヘヴンホワイティネスが危ない。

 

 しかしながら、魔法界というサクラの故郷にも緊急事態が発生している為、急ぎ帰還しないと行けないのだが。

 

 工場エリアの建築中の建物には、全ての建物にサクラと魔法界を繋ぐ魔法陣による門を造っている。そこから飛ぶ事が可能なのだが、一番近い門へと近づいた時、サクラの前にはヘルブラッククロスの怪人である、骨の怪人が立ちはだかっていた。

 

 目的は不明ながらも明らかな攻撃意識は、サクラを襲おうとしているのが解る。もしかしたらこの大雪はこの怪人の指揮の下で行われているのかも知れない。

 

 実際立ちはだかったこの奇妙な骨の怪人は、サクラを捉えようとしているのか、はたまたただの戦闘狂なのか全力で骨を使った攻撃が飛んでくる。

 

 どれだけ容赦のない攻撃であっても、悪の組織を潰し、これからも戦う事を決めているサクラからすれば、こんな怪人に敗けるつもりはない。

 

 「マジカルマジカル〜・・・!」

 

 呪文の詠唱に入る。骨の怪人の飛ばす骨の弾丸や、身体そのものは非常に堅く、生半可な魔法ではダメージを与えられない。

 

 「魔法ノ力ヲモット見セテミロ」

 「ご希望ならいくらでも!・・・スパークビーム!」

 

 片手を骨の怪人に向けると迸る電撃が光線となり、骨の怪人へと飛んでいく。

 

 「ライジング・スパーク!」

 

 眼の前に飛ばした雷の光線はめくらまし。当たれば良いな、と発動したモノ。もう一個の雷の魔法が、骨の怪人の足元から真上に向かって炸裂していく。

 

 ワニの大口の様に開いた雷の牙が、バクリと骨の怪人を飲み込み辺り一面に電撃の光と、強烈に焼いていく音が鳴り響く。

 

 「さーらーにー!」

 

 魔法の杖に乗りながら両手を肩に担ぎ上げる様に、腕を上げる。その両手にも魔法陣が重なり、新たな攻撃を与える。

 

 「マジカル・ハンマー!」

 

 四角いピンク色のハンマーが出現して、見た目通り、想像以上の破壊力を秘めた一撃が、骨の怪人を雷ごと叩き潰す。

 

 電撃が静まり、ハンマーによって潰された事を確認して、サクラはまだ警戒を解かない。

 

 ハンマーは内側からヒビが入り、岩を砕く様な音を鳴らしては、内側から骨の怪人が出てくる。まるでこの力が素晴らしいと言わんばかりに、肩をボキボキと鳴らして、表情が変わる頭蓋骨をニヤニヤと嗤い、歯をカチカチと鳴らす。

 

 「素晴ラシイ力ダッ!!!」

 「魔法の力だもん!素晴らしいのは当たり前・・・って効いてないの!?」 

 

 今日一番の大きな声で叫びあげた骨の怪人へ、サクラの余裕な表情から一転、全くのダメージの無い骨の怪人に焦る。ヘルブラッククロスの怪人である触手の怪人とかには、この魔法の一撃はちゃんと効いた上に空の彼方まで飛ばした覚えがある。その分、かなり自信を失いそうになる。

 

 「モット見セテミロッ」

 

 打ち砕いたハンマーの中心であばら骨を一本抜き取ると、それが形を変えて大小様々なトゲを取り付けた棒に変わる。

 

 怪骨剣──そう名付けた骨の怪人の技の一つ。

 

 どことなく先端の尖った長い骨の形は、獣の骨を削って作った刀の様な形にも見える。

 

 変な見た目でも侮らない方が良いと思う禍々しさに、サクラは次なる魔法による詠唱を行う。

 

 この怪人は間違いなく久しぶりに現れた強敵・・・そう確信して、最大で立ち向かう。

 

 「何が目的でここに居るのか知らないけど、もう容赦しないよ!」

 

 正義の魔法少女の言葉に、骨の怪人も骨身を震わせる。まだ他の魔法が見られる。

 

 それが楽しみであると同時にこの魔法少女を、なんとしても屈服させてヘルブラッククロスに持ち帰りたい。

 

 五体満足では返さない。怪人としての本能で剣を構えて、サクラに向かったその荒削りの刃が飛び出してきた。

 

 「うわっ!ほっ!危なっ!」

 

 突き、振り上げ、大上段からの叩き落とし。空気を裂く様な音を鳴らして、サクラに魔法詠唱の為の準備とその猶予を与えない。

 

 「クカカカカカ・・・ソラソラ、次ノ魔法ヲ出セ!」

 

 再び歯を鳴らした嗤い声と攻撃の数々に、サクラは避けるだけ。魔法を詠唱出来なければ、まともな攻撃手段が無く、やや劣勢に追い込まれてしまう。

 

 「〜〜っこっのぉ!」

 

 魔法の杖から飛び降りて指先で杖の面を押し出すと、魔法の杖が骨の怪人の胸骨に刺さる。間をすり抜けて挟まった杖に、骨の怪人が一瞬動きを止めると、それを狙ってサクラの魔法詠唱が始まる。

 

 「マジカルマジカル〜マジックァス・マジック・マジカル・・・」

 

 打撃や雷が効かないのであれば、土、風、氷、聖・・・様々な属性魔法を一つにまとめたサクラの最大の魔法を叩き込むしかない。

 

 (お願い・・・速く!早く!疾く!)

 

 使う属性が多ければ多いほど、詠唱は長くなる。一言でもミスすればそれで中止となり、失敗してしまう。

 

 あと寒い。とにかく寒くてかなわない。

 

 かじかみ、口が震え、ミスしてしまいそうになる。

 

 そして目の前には骨の怪人という強敵の存在。こんな存在が居ては焦らないわけがない。

 

 マージ・ジゴックの大ボスに比べても、この骨の怪人の方が強いだろう。

 

 「先ズハ右肩ヲ貰ウゾ!」

 「マジックツァー・マジカル・メイジ・イン・マジカル・・・」

 

 骨の怪人の言葉等耳には入って来ないが、それでもサクラは詠唱を間違えない様に、必死に脳内に浮かぶ呪文を唱え続ける。

 

 「マジカルマジカル〜・・・」

 

 骨の刃はサクラの右肩に迫り、魔法少女の装束に切り込みが入る。そしてそれは一瞬にして皮膚に当たり、血をにじませた。

 

 「アイソレイト・エレメンタル!」

 

 サクラの骨に到達した刃は、一切の情け容赦無くその肩に傷をつけた。それとほぼ同時に、サクラの最大複合魔法・アイソレイト・エレメンタルが炸裂する。

 

 展開に使用した暴風が骨の怪人の身体を浮かし、次に土属性と呼ばれる岩石の大魔法が骨の怪人を埋め込み、剣の魔法が四方八方から串刺しにしていく。

 

 「これでぇ〜!!!」

 

 傷ついた右肩は痛みに負けずに持ち上がる。

 

 聖属性、炎属性、ふたつの魔法を融合させた銀色に輝く炎がサクラの手の上に現れる。岩石と剣によって動けなくなっている骨の怪人へと、その手を振り下ろして、もう一度発生する暴風と共に銀炎の竜巻を発動させた。

 

 「吹き飛べ!!!!」

 「ヌッ・・・〜〜ッオオオオ!!?」

 

 想像以上の魔法の連続攻撃に、骨の怪人は喜びに打ち震える。

 

 この女をどうにかして捕まえないと行けない。それだけを考えて、歯を再びカチカチと鳴らすが、もう二本増えた剣の魔法によって、脳天から顎の骨を縫い付ける様に、貫通させられる。

 

 岩石をも削っては焼き尽くす炎の渦に、全身を焼かれ、剣の魔法は骨の怪人を執拗に攻撃し続ける。

 

 ひたすら斬りつける刃と、とどまる事の無い強力な魔法攻撃に、骨の怪人はこの建設中の建物の中心から上の階層へと叩き上げられた。

 

 「ナントイウ・・・ナントイウ、素晴ラシイ力ダッ!」

 

 明らかなダメージを追っているのにも関わらず、骨の怪人は上空でなおも戦いを続行をしようと、両手の骨を蠢かせて、刃を突出させた。

 

 「マダ続ケヨウ!」

 「いいえ、これで終わり!」

 

 サクラの手元には先程飛ばした魔法の杖が戻ってきている。杖の先端を真上に向けて、ピンク色の光線が一瞬輝き、それは骨の怪人の空洞の身体に位置する球体へと命中する。

 

 銃を撃ったかの様な姿勢と、その魔法により骨の怪人の身体は、骨のひとつひとつが、肉の詰まった風船みたく膨れ上がり、破裂させる。

 

 その直後に大爆発をお越し、骨の怪人はサクラの上で怪人生命を停止させた。

 

 からんからんと、頭蓋骨の上半分を残した骨の虚しくコンクリートの上に残り、その後は静寂に包まれる。

 

 「はぁ〜・・・なんか変な怪人だったけど、倒せて良かった〜・・。ってイケない!早く魔法界に行かなきゃ!」

 

 強敵とは言え、終わってしまえば呆気ないモノだった。

 

 サクラはすぐに魔法界へと向かい、魔法の杖に乗ると魔法陣へと飛び立つのであった。

 

 「・・・何か忘れてる様な気がするけど・・・まぁ、いっか!」

 

 右肩の血が飛ぶ風圧によって、一滴の雫となり先程までサクラの立っていた場所に落ちていく。

 

 ぴちょん。そんな冷たい音を鳴らしたその近くには頭蓋骨。光を通さない静寂と闇夜と、冷気が充満するその部屋では、未だに悪が嗤っていた様な雰囲気が残っているのだが、サクラはそれに気づかずに魔法界へと飛び去って行った・・・。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 大雪の繁華街。人々は氷つき無残にもその命を瞬間冷凍による攻撃で、氷結されていっていた。

 

 気配をたどれば屋内に居る人々は、かろうじて生きている、そんな状況下。

 

 これが敬愛するドクターミヤコの作戦であれば、今この道を走るオーク怪人も無様だ、と嘲笑していた事だろう。

 

 しかしドクターミヤコが関与していない所で、しかもドクターを巻き込む様なこの環境襲撃を容認は出来ない。

 

 今すぐに止めねばならない。必ず、なんとしても。

 

 「ブヒ・・・どこだ・・・」

 

 明かりすら覆い尽くす様な吹雪に包まれている繁華街エリア全域を、ひたすら駆け巡りながらオーク怪人は、この襲撃の大元を探している。

 

 繁華街エリアに大雪が降っているとすれば、どこかに通じているアジトを探して乗り込む事も考えたが、予想しうる事で言えば、リコニスを始め大幹部や、怪人の妨害、さらには物量による押し込みで流石に負けてしまう。

 

 戦闘員が出てきていない事を考えると、全員アジトに避難しているということ。

 

 だとすればアジトよりも、この襲撃をどこかで実行している人物が居ると考えたオーク怪人は、ひたすら駆け回っている。

 

 「見つからん・・・!」

 

 オーク怪人の向かっていた場所は、クアッドタワーの前。

 

 巨大なエントランスホールには氷一枚の壁を隔てて、中には侵入出来ない。

 

 「むぅ・・・一番高い所から見渡せれば、環境兵器を探せると思ったが・・・」

 

 喉を唸らせて焦りと憤りをふたつ混ぜた顔で、オーク怪人は必死に脳内で考えを張り巡らせる。

 

 何かしら自分の身に起こる確定未来を探しても、何も映らない。

 

 全て相手の行動ありきの能力である事に舌打ちをすると、そのままクアッドタワーを見上げる。

 

 角張った巨大な建造物は吹雪をまとわせて、銀の渦を巻いている。

 

 高くそびえ立つ氷の城となったクアッドタワーは、いたる所に氷が張り付き、元々の形を大きく変えている。

 

 「どうしたものか・・・」

 

 スマホは隠れ家に置いて来てしまった。今更ギンジ達を呼ぼうにも、今はどうにもならない。

 

 彼らならばきっとドクターミヤコを守護ってくれている筈・・・それを信じるしかない。

 

 「・・・時間はかかるが、登るしかないか」

 

 どうあがいても実行犯を探す為には、高い所からそれを突き止めるしか無い。そう判断してオーク怪人は氷の城に手をかけて、いそいそと登り始める。

 

 もし滑って落ちたらいくら上部で頑丈な彼でも、無事ではないだろう。しかしそんな事は考えていない。例えいくら落ちても、死にはしない・・・その考えが勝つからだ。

 

 でも今はなんとしてもドクターへの被害を考えることだ。こんな大雪、確実に人を死に至らしめるに違いない。

 

 組織がミヤコを殺そうとしているのであれば、その時は玉砕覚悟で組織に立ち向かう。

 

 「ぬっ・・・ほっ・・・えいやっ」

 

 器用に手足を使いながら、氷の塊と雪で滑る壁を登っていく。建物としてはまだ3階程だろう。全部で30階まであるこのクアッドタワーを、なんとかして登りきり、確信犯を見つけたらそこまで飛び降りて全身を使って、必ず直撃させてやる。

 

 そう誓ってオーク怪人は全力で登り続ける。

 

 弱音なんて吐いていられない。容赦のない冷気、吹雪、氷が確実にオーク怪人の体温を奪い、命に迫ってくる冷ややかな力をその身で受けながら、オーク怪人は登り続ける。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 怪人四天王という役職ははっきり言うと、ただの雑用だろうか。

 

 ヘルブラッククロスと、そして総統の意にそぐわない存在を消しに行く、怪人という最大戦力。

 

 聞こえは良いが実体はあまり良いモノではない。雪の怪人は産まれてまもなくこの怪人四天王んお座に就いていた。

 

 ・・・自我が芽生える前であれば、力による支配というモノはとても心地が良かったのかも知れない。

 

 過去を思えばきっとそれだけだった・・・自我が芽生えた今はと言うと、組織のやり方に素直に賛同出来ない日々が続いている。

 

 自我が芽生えた時、覚えているのは目から流れる不思議な液体。それを涙と知った時は驚いた。驚いたし、怖かった。

 

 怖くてまた泣いた。泣いた、その行動が怖くてまた泣き続けた。

 

 泣いている自分を馬鹿にされて嫌だった。

 

 泣いている事を怒られて悲しくなった。

 

 悲しいという感情を知った時、雪の怪人は怪人としてどこかがおかしいと決めつけられて、また泣いてしまった。

 

 同じ時期に産まれた赤鬼の怪人に怒鳴られると、怖くて身体が動かなくなり、骨の怪人とは顔を合わせる度にビビり通してしまっていた。

 

 鏡の怪人は自分と会話する時には決まって逆上してくる。それが怖くてまた泣いた。

 

 泣いた。泣いた。泣いた。

 

 涙を何度も流した。

 

 だって怖いから、だって辛いから。

 

 怪人はきっと涙を流さない。ソレが当たり前であって、涙を流す様な設計はされて居ないからだ。

 

 非人道的な行動が当たり前の組織に身を置いていて、かつ怪人四天王という位の高い位置。

 

 そこに立つ雪の怪人は、組織内の一部からはこう呼ばれて居た。

 

 泣き虫雪女・・・と。

 

 しかしながらそんな雪の怪人に興味を示して、怪人として産まれた事を後悔させない様な、素敵な人が居た。

 

 怪人開発の開祖として組織に様々な貢献をもたらした、大幹部。

 

 ドクターミヤコと呼ばれていた。彼女の言動は雪の怪人の黒く汚れた、胸の中にある何かを光で綺麗にしてくれた。それも非人道的な行いなのかも知れなかったが、不思議とドクターミヤコの言う事ならばなんでも聴いてあげられると思ってしまった。

 

 現に彼女の側に立つ怪人達は、怪人四天王である自分達とは違い、とても生き生きしている様子が見て取れた。

 

 それを羨ましいとも思い、悔しくなって、惨めになって、またもや泣いてしまった。

 

 雪の怪人はドクターミヤコが好きだった。人間でありながら怪人という新人類を造り、怪人1人ひとりの・・・。

 

 「何を・・・持っていたのかしらね・・・」

 

 自分で降らした大雪のど真ん中で、雪の怪人は闇夜に膜を張る白い大空を見上げている。

 

 怪人達の何を持っていたのだろう。ドクターミヤコは・・・やはり自分の偉大なる存在であり、造ってくれた元は違うが、彼女の為であればこの作戦も大いに喜んで行ったことだろう。

 

 この胸の中にある・・・感情の素だろうか、なんとも形容しがたいその言葉が出てこない。

 

 あのヘヴンホワイティネスに敗けて、捕虜にされたとのことだが、組織はそんなのお構い無しに抹殺を特命として出している。

 

 彼女を守りたい・・・しかし怖くてまた泣きそうになる。

 

 冷たい大雪に着物と長い髪を揺らして、再び大空を見上げる。この雪が止む頃にはきっとこの街のほとんどの人が死んでいる事だろう。

 

 その中にはドクターミヤコも・・・。

 

 「・・・っ」

 

 胸が痛くて苦しくなる。

 

 でも・・・もう止められない。

 

 この大雪は止まらない。

 

 「環境兵器ではなく・・・貴様だったのか、雪の怪人」

 

 背後からの声は野太い男性の声。鼻息も混ざり、強い男性の印象を思わせる様な、荘厳な口ぶり。

 

 「・・・有姪海岸以来ね」

 「ふん。もう二度と会いたくは無かったがな」

 

 軍服、軍帽、軍靴、豚顔。

 

 クアッドタワーの屋上にて、2人の怪人がここに再開した。

 

 「この大雪・・・納得した、貴様の仕業だな!」

 

 大きな声で怒鳴りあげると、背筋に力が入ってしまいすぐに顔が泣きそうに歪んで行く。

 

 瞳に涙を浮かべて、それはすぐに頬を伝う大きな雫となって、一筋の道を作る。

 

 「ふぇ〜〜!怒鳴らないで〜!!」

 

 また泣いた。今日こそ泣かない様にしようとしていたのに。

 

 (ブヒぃ・・・なんでこいつはすぐ泣くのだ・・・?)

 

 オーク怪人としては普通の事なのだが、何故か雪の怪人は大泣きしている。その涙を確認すると、どうにも叩き潰そうとは思えなくなってしまう。

 

 「怒らないでよぉ!怖いじゃないっ!」

 

 手に掲げた後に上に現れるのは、大雪。塊となったそれをオークにめがけて飛ばして来る。

 

 「ぬぅ・・・今登って来たばかりだから、腕に力が入らんのだが」

 

 氷の壁に悪戦苦闘しながらも、ここまで登りつめたオーク怪人の腕は普段使わない筋肉まで使用してパンパンになっていた。

 

 それに加えて指先は冷えて感覚が戻っていない。

 

 転がってくる大雪を前に、一先ずは確定未来を働かせる。

 

 ここに雪の怪人が居ることは予測出来なかった事だが、こうして戦わざるを得ないのであれば、そうするしかない。

 

 この雪玉攻撃は見た目以上に硬い様で、未来映像に映るのはこの雪玉に跳ね返される映像。

 

 太刀打ちするにはまだ力が足りない。

 

 「避けるしかないか・・・」

 

 雪玉を避けた次の映像は、氷柱の遠距離攻撃。これも砕く事は不可能という映像。

 

 戦いにおける自信は強く高いオーク怪人も、こうも不可能続きだと他の手段を用いて接近しないとならない。

 

 「避けないでよぉ!」

 「知るか!貴様こそこの大雪を止めろ!」

 「また怒鳴ったぁ〜うえーん!」

 「泣くな!」

 

 オーク怪人が怒鳴る度に雪の怪人もどんどん泣きじゃくる。泣き声が強くなればなるほど、雪の攻撃は勢いを増していく。

 

 「貴様のこの攻撃でドクターが苦しむのかも知れないのだぞ!いい加減に止まれ!」

 

 雪の壁に進行方向を塞がれても、無理やり突き進もうとして破壊してくる。

 

 突き破ったその先には氷柱と雪玉。それらがオーク怪人めがけて狙いを定めている。

 

 「おのれっ!」

 

 いくら腕が痛く、指に感覚が無くなろうと、ここまで来たら拳でも脚でも使って戦うしか無い。

 

 まともな遠距離攻撃手段を持たないオーク怪人は、こう言った環境そのものを操れる怪人との戦いはかなり相性が悪い。

 

 氷柱は堅く一本も止められずに身体に命中して吹き飛ばされる。貫通しなかったのは、ドクターミヤコお手製の軍服のおかげだ。

 

 後方に転がりると雪の壁にその身体がぶつかり、勢いが止まったと思ったら小規模な硬い雪玉が何個もオーク怪人にぶつかっていく。

 

 硬球が身体に当たるのと同じで、その威力は本当の意味で命を削るデッドボール。

 

 (不味い・・・!)

 

 床の雪が氷つき次第にオーク怪人の脚を凍らせていく。

 

 (このままではっ!)

 

 夏の海岸で戦った時と違うのは、今の環境操作による雪の怪人の独壇場、そして戦う前準備が何も出来ていなかった事。

 

 言い訳をすれば腕に力が入らないのもそうだろう。

 

 一つひとつの硬球が当たる度に顔を青くしていき、体温を奪いながら止むことの無い遠距離連続攻撃に、苦しめられる。

 

 「皆してそうやって怒って・・・!私はあやつり人形じゃないのよぉ!うっ、うっ・・・ひぎゃああああ」

 

 泣きわめきながら次々と発動する大雪攻撃に、オーク怪人は今度ばかりは死を覚悟する。

 

 相手の状況に入り込んでも勝てると、信じて疑わなかった自信と、ドクターを守るというプライドが、この凍土空間の中では意識と共に失わせる程の能力低下に追い込まれいる。

 

 脚の氷は下半身全体を覆い尽くし、上半身は雪玉と氷の結晶による連続攻撃、背中は雪の壁にくっつけられてもはやまともに動く事すら適わない。

 

 「ドクターにだってもう会えないし・・・つらいのは全部私なのよ!」

 

 雪の怪人が叫ぶとオーク怪人は、今一瞬諦めかけた事を後悔する。

 

 ──ブヒ、私が死んだら・・・誰がドクターミヤコの花嫁姿を見るのだ!誰がギンジとドクターの将来を守るのだ!!

 

 「ぬっ・・・おおおおあああああ!!!!!」

 

 全力で叫ぶ。雪の怪人は泣いていたとしても、そこは怪人。オーク怪人の息の根が止まるまで放つつもりだった攻撃が、オーク怪人の叫びによって、その手が一瞬止まる。

 

 「貴様がドクターの身を案じているのかは知らないが、私はここで敗ける訳にはいかん!」

 「・・・何よ、もう動けない癖に・・・!」

 

 ここで倒す。それしか考えていないオーク怪人は身体の中から熱い気持ちを、全て拳に乗せる。

 

 ドクターを守る為に研鑽したこの力は、何も守るためだけではない。

 

 敵を倒す為の力でもある。

 

 「私はドクターミヤコ派・側近!オーク怪人だぁ!」

 

 まるで熱感でも持ったのか、震える豪腕で正拳突きを繰り出すと、空間が歪んだかの如くドラの様な音が鳴る。

 

 その音と雪を吹き飛ばす力強くも、視認出来ない波動によってオーク怪人の身体の雪と、氷が全て打ち砕かれた。

 

 「なっ・・・何、その力・・・?」

 「・・・なんだこれは?」

 

 確定未来で出ていた動きを真似しただけなのだが、それをやった途端オーク怪人自身にも解らない謎の力が吹き出た。

 

 手の周りには空気が震えているのか、手刀の形を作る事でその周りの空気に熱を持っている事が解る。

 

 「・・・良くわからんが・・・この力ならばまともな攻撃手段にはなりそうだ!」

 

 ここに来て新たな力を覚えたが、オーク怪人にも解らないこの力。上手く扱えるのだろうか。

 

 「・・・貴様、ドクターについて知ってる事も話してもらうぞ」

 「うっ・・・うるさい!氷つけにしてやるっ!びやあああ」

 

 またも大泣きしながら繰り出される雪の攻撃に、オーク怪人は震えるこの手を持って雪の怪人へと突撃していく。

 

 反撃の時が来ていた・・・。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 オフィスビルエリア──。

 

 ここでは鏡の怪人とヘヴンホワイティネスとの激戦が繰り広げられていた。

 

 「ミドリコ!援護お願い!」

 「了解した!」

 

 カエデの掛け声に合わせて、ミドリコが銃を撃ち出す。

 

 鏡の怪人の攻撃として操られる鏡の破片は、攻防一体となる隙の無いモノであり、カエデもレンも上手く近づけないで居た。

 

 「噂のヘヴンホワイティネスもそこまで強くは無いのですね」

 

 馬鹿にする様な言い方でついついカチンと来てしまうが、舌戦に付き合っている訳には行かない。

 

 ガントレットのギアを回して、雪に覆われたコンクリートを殴り飛ばし、鏡の怪人への視界を白い壁に変えると、そこに合わせてレンとミドリコが左右から飛び出して不意を狙う。

 

 対怪人用に開発された弾丸を装填した専用カスタム銃の威力は、鏡の破片一枚と同程度の威力で、本体である鏡の怪人に当てるのは相応に連射しないと行けない。

 

 レンのビーム剣も鏡を複数枚まとめて破壊する為に、ハンマーへと形状を変えてひと振りで何枚も破壊するが、続けざまに出される防御用の鏡の破片が、攻撃と共にレンを押し返す。

 

 「銃の方も厄介だ・・・真実を映し出す鏡を前に臆さないとは・・・洗脳にも対策があるとは素晴らしーですね」

 「怪人というのは、どうしてこうも人を馬鹿にする奴が多いのだ?

 くだらん挑発だと言うことに、何故まだ気づかない」

 「そのくだらない挑発にわざわざ乗っかって戦ってくれる人がいるからよ」

 

 目隠ししている鏡の怪人の言葉に、ミドリコはずっとイライラしてしまっているが、意外と冷静な様子で攻撃をほとんど避ける事に専念している。

 

 無理して前に出て戦わないのは、自分の負傷一つでカエデとレンがまともに戦えなくなるからだ。

 

 彼女達のサポートとしてこの場で戦う一方で、ミドリコはすぐ近くの公安局も心配で、ついついそちらにも眼が行ってしまう。

 

 「行くわよ、レン!」

 「うん。任せて」

 

 2人同時に鏡の怪人へと突撃。カエデはその跳躍力で上空へと飛び出し、レンはビームドリルで真正面から破片ごと狙う。

 

 「同時に来た所で・・・そんなのは無意味だと気づかないのか」

 

 鏡の怪人はなおも馬鹿にしているが、3人の女性達にはあまり聞こえていない。

 

 「必殺!チャージング・バスターフィストぉ!」

 「ビーム剣術・ドリルタンク」

 

 2人の少女の大技が鏡の怪人めがけて飛び出して来るが、それに抵抗する為に防御の為の鏡を展開しようとするが、顔の横を弾丸がかすめる。

 

 この鏡の防御陣を抜けて正確に、顔をめがけた弾丸に眼をひかれる。

 

 視線の先にはミドリコのライフルを構えた姿勢。スナイパーライフルを立ったまま構えたその姿勢からこちらに向けた銃口は正確無比かつ、自分に向けた最大の凶器となっていた。

 

 「私達の勝ちだ」

 

 ミドリコは急に勝利宣言をする。

 

 一瞬だけでも注意がミドリコに引いた事で、2つの殺気を頭から離してしまっていた。

 

 注意不足が招いた結果、すぐに防御姿勢に入るが、上からやってくるカエデの必殺技であるチャージング・バスターフィスト。正面から来るのは、レンのドリルタンクが鏡の破片を砕きながら突っ込んでくる。

 

 2つの攻撃を寸前でガードに成功しても、この2つの攻撃を同時に止めながら力の押しこみ合いが始まる。

 

 「こっの・・・!なんで反応出来るのよ!」

 「いい加減倒れて・・・」

 「貴女達こそ、こんな猿しか出来ない様な事で、私の注意を逸らせるなんて・・・思わないことですね!」

 

 3人の女性のぶつかり合いが始まる中、ミドリコは次なる一手とする弾丸を引き抜く。放たれたスナイパーライフルの弾丸は、鏡の怪人の残った数枚の破片を貫き、脚を狙う。

 

 「あぐっ!?」

 「貰いっ!」

 

 脚を撃たれた瞬間に膝が曲がり、かくりと落ちた鏡の怪人へカエデの必殺技が再び炸裂する。

 

 「レン!」

 

 カエデが叫ぶ。こうしてくれと、何かの指示を出す様なその掛け声に、レンは瞬時に判断するとビーム剣の形状を、カエデのガントレットとブーツにまとわせる。

 

 防御が崩れた鏡の怪人へと、決め込むカエデとレンの複合必殺技。

 

 「必殺!ビーム・インパクト!!」

 

 鏡の怪人の頭上から容赦無く叩き込んだ青白い一撃は、光を反射しながらも強烈な閃光となり、華奢な身体を折り曲げる程の大きな威力を、鈍い鐘の音の様に響きわたる。

 

 「くっうううぉおお!!!」

 

 この一瞬の中で屈辱と激痛が顔に入り、鏡の怪人は後方へと脚を滑らせてその身を引いた。

 

 「なんて威力・・・ホントに女の子?」

 「この一撃でも倒れないなんて、あんたこそ本当に女なの?」

 

 屈辱による憤りから煽りを出したが、カエデも余裕な顔を作り眼の前の怪人へと煽りを返す。

 

 「・・・忌々しい奴らね」

 「それはこっちのセリフよ!」

 

 ビームが手足から離れると、それがレンのビーム剣に戻り、少し離れた場所ではミドリコがまだ武器を構えている。

 

 3vs1だとこういう不利な状況に持ち込まれるのが、面倒でしょうがない。それも特殊能力を持った相手が2人も含まれているとしたら、鏡の怪人も非常に戦い辛いのだが、襲撃もあるので諦める訳には行かない。

 

 「こうなれば・・・奥の手、使うか」

 

 気怠そうに言い放つと、鏡の怪人は虹色に輝く鏡を召喚する。

 

 「最初から使うべきだったんじゃない?」

 

 カエデが再び煽るのは、レンとミドリコと共に戦っている余裕からだろうか。

 

 「ブスになるから嫌なのよ。この姿を出すと」

 「顔隠してる、ブスとか関係ない、貴女は私達には勝てない」

 「つくづくムカつく人達・・・」

 

 レンも同じ様に煽り、鏡の怪人は虹の鏡から光を集めて攻撃を開始する。この鏡から繰り出す大技は鏡の怪人が現状出せる最大の攻撃手段。

 

 「先ずは・・・そこの女から殺す!」

 

 狙いを定めた先に居るのは、ミドリコ。彼女を狙って虹色の光が向けられたが、その場に居る4人全員に重苦しい殺気とプレッシャーが一瞬乱入してくる。

 

 姿は無い。だけど、誰かの気配を感じた。

 

 「・・・何!?」

 「わからな、い・・・」

 

 カエデとレンはそのプレッシャーに気圧されて、鏡の怪人も同じく呆気に取られて居た。

 

 ミドリコだけはこの気配をどこかで知っている様な、懐かしくも怖く思える・・・上手く言えないのだが、そう感じる何かを感じていた。

 

 「・・・貴様ァァア!!まだ生きてたのかぁぁ!!!」

 

 いきなり激昂する鏡の怪人だが、そのプレッシャーに対しては大きな焦りあ見て取れる。

 

 鏡の怪人はこの気配を知っているし、なによりついこの前まで共に戦っていた男である事を察知すると、あの【裏切り者】の存在を思い出して、全ての我慢を吐き出して怒鳴り出した。

 

 しかしその怒号をすり抜ける様に、鏡の怪人の背後から強く分厚い手で、すべすべな綺麗な肩を握り締められる。

 

 その姿は見えなくても、鏡の怪人はハッキリとわかった。【ソレ】がそこに居る事を・・・まだ生きているという事を、ヘルブラッククロスの裏切り者が、確実に居る事を。

 

 誰の姿にも見えないのに、そこに居る。鏡の怪人とミドリコにはその姿がうっすらと見えてるが、果たしてそれが人の形なのか、はたまた異形なのか不明ではあった。

 

 だけどもその存在は確実に鏡の怪人へと気配だけで、押し殺せそうな強い鬼機を持って肩を掴む。

 

 「ハァ・・・ッ・・・ハァ、ハァ・・・ッ!」

 

 恐怖。力だけはおそらく最強なこの男にここまで接近を許せば、鏡の怪人とて無事では済まない。

 

 「その女ぁ・・・殺したら。俺っちが許さねぇぞ・・・!!」

 

 ヘヴンホワイティネスには聞こえないが、その殺気に満ち溢れた言葉声音は間違い無く、鏡の怪人の脳内に、そして体内に響く程の声で伝えられた。

 

 それだけを伝えるとその気配は消えるのだが、カエデもレンもその一瞬で何が起こっているのか理解出来なかった。

 

 (・・・赤鬼・・・?)

 

 ミドリコはこの気配を確かに赤鬼だと思って感じ取った。自分を助ける為に命を賭けたあの漢の魂だけでも、ここに駆けつけて来てくれたのだろうか。

 

 (・・・馬鹿な・・・なんであいつが・・・!?)

 

 鏡の怪人は虹色の鏡の色を変えて黒色に変えると、自分の背後に落としてヘヴンホワイティネスを睨む。

 

 「・・・今回はここまでにしましょう。私は急遽報告しないと行けない事がありますので」

 「待ちなさい!」

 

 カエデが逃げようとしている鏡の怪人へと、走りだそうとするがレンが前に立ってそれを静止する。

 

 「カエデ、目的は公安局の救助。敵を、倒す事じゃない」

 

 こういう時に冷静なレンが居てくれて良かったと思う。

 

 いつもカエデは目の前に集中すると、本来の目的を忘れがちになりやすい。心強い相棒が居るだけでカエデは幸せな気持ちにもなる。

 

 「・・・さらば、ヘヴンホワイティネス。今度は、必ず倒してやる」

 

 憎き怨敵にそれだけ伝えると、鏡の怪人は黒い鏡に沈む様に入り、全身が水面に入るかの如く揺らめくと、鏡も姿を消した。

 

 残った静寂にヘヴンホワイティネスは戦いが終わった事を確認して、彼女達は急ぎ公安局へと進むのであった。

 

 「・・・あいつには助けてもらってばかりだな」

 

 もしかしたらあの気配は本当に赤鬼だったのかも知れない。

 

 ミドリコは胸の中にある形の無いモノ、心に手を当てる様にして静かに彼にお礼の気持ちを贈り続ける。

 

 「さて、カエデ、レン。君たちもありがとう!」

 「これぐらい、大丈夫」

 「そうね。礼には及ばないわ!」

 

 カエデもレンも同じくにっこり微笑むと、ミドリコは更に気持ちが堅くなる。必ず戦いを勝利で終わらせて、彼女達の明るい未来を守らねば、と。

 

 「でも・・・まだ雪が止まないわね」

 

 カエデがしんしんと降る雪の空を見上げる。

 

 「早く解決させましょ!ギンジが心配だし」

 

 カエデが言うとレンも言葉を続ける。

 

 「私も、ケイタが心配」

 「それじゃあ、早く解決しに行こう!まだ私達の戦いは終わっていないぞ!」

 

 元気よくミドリコが毛皮のコートをバサりと羽織り直すと、3人は決意の顔で頷き合いつつも、氷に覆われた公安局の前まで来ていた。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 ここはどこだろうか。

 

 柔らかい場所に寝かされているが、変わりに全身は激痛で起き上がれない。呼吸するだけでも体内がバラバラと痛む。

 

 香りの良い部屋の中では、ろうそくが壁に灯されておりわずかな明かりとなっている。

 

 高級感のあるシックな部屋に、その者は眠っていた。

 

 動かせない腕に視線を動かせば、包帯で巻かれている事を確認出来、身体の感覚を研ぎ澄ませれば、全身に包帯が巻かれている事もわかる。

 

 身体が痛い。目も痛い。呼吸が痛い。

 

 何をしたらこんな大怪我になるのだろうか、そう考えるのも痛い。

 

 「おや・・・お目覚めかな」

 

 視線を動かせば、その先に居るのは銀色の長い髪を束ねた、高そうな生地をふんだんに使った黒とピンク色の装束。

 

 肘まで隠れる長い手袋と、指先はまるで何かを刺せる程尖った爪。

 

 「まだ喋れないだろう?ゆっくりしていくといい、勇者よ」

 

 勇者?そう名乗った覚えはないのだが、今は言われるままにゆっくりするしかないのだろう。

 

 だけど一つだけ気になる事があった。ここがどこかとか、自分はこれから助かるのか、とかそういうのもどうでもいい。

 

 ただ一つだけ・・・本当にコレだけははっきりさせておきたい。

 

 喋れないが、ギョロギョロとゴロゴロとグリングリン眼球を動かしながら、勇者と呼ばれた者は脳内で叫ぶ。

 

 どうしてここに居るのかなんて解らないが必死に叫ぶ。

 

 (ミドリコの姐さんは無事なのかあああああうおおおおおお)

 

 ヘルブラッククロス怪人四天王→ヘヴンホワイティネス→勇者?

 

 そう呼ばれる様になってしまった赤鬼は、怪我が完璧に治るまでは、ひたすらミドリコ愛を頭の中で精一杯かき回すのであった。

 

続く

 

 

 

 




お疲れ様です

赤鬼は実は生きていた!!

キャラネタ書きます

雪の怪人
ドクターミヤコがしゅき
次回決着

オーク怪人
普通に雪の怪人強くてビビった

小町サクラ
魔法界の危機らしいので急いで故郷に帰ろうとしたら骨の怪人と鉢合わせた。

骨の怪人
魔法の力を持った怪人が居れば、組織が強くなると思っている。
実際それは間違いないのだが、今回負けましたよね?大丈夫そ?

鏡の怪人
報告する事というのは、もしかしたら生きている赤鬼の事。
今後も裏切ったままなら、絶対に排除してやらないと行けない。

赤鬼
死んで離脱した時、明確に死んだ瞬間を見た人は誰も居なかった。
そして今知らない場所で療養中。
ミドリコ愛によって下半身がものすごい事になっているらしい
全身は大やけど、複雑骨折、爪の破損、牙は砕けた。
全身もやばい事になってるぞ!!

次回は怪人四天王編完結!雪の怪人vsオーク怪人の決着と、その頃のギンジ達の話しも繰り広げられるぞい!

それではまた次回!!!!!
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