正義のヒーローヘヴンホワイティネス   作:アトラクション

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こんにちはアトラクションです

最近早出、残業が多くて執筆できておりませんでした。

ブラック企業なんかやめてヘルブラッククロスに就職しようかな。
アットホームな職場環境らしいです。
今回のお話で非日常編が終わります。そしていよいよお待たせしつづけた、次回からの新章!
それではどうぞ!


48・凍土の街、溶け行く心

 震える手・・・そう呼ぶよりかは振動する手を呼ぶのが適切とも思える。この手を振りながら、オーク怪人は目の前に驚きながらもこちらを見つめる雪の怪人へと視線を戻す。

 

 この力が何かは不明だが、向けた先と突き出した先に、空間を震わせる振動による波動の並を打ち出してくれる。

 

 制御は簡単なその力を用いれば、氷も雪も冷気も怖くないと思えてきた。

 

 今なら誰よりもドクターミヤコを守れるのは自分だと、声を大にして言いたいぐらいだ。

 

 とは言え新たなこの力を完全に信用するのは危ないだろう。どこかで制御出来なくなる段階まで来てしまえば、再びこちらが負けそうになるかも知れない。

 

 (ブヒ・・・さて、どうするか)

 

 次の行動を行う前に一手攻撃の為の手段を考える。

 

 これから攻撃するとしても、雪の怪人の攻撃範囲と、その攻撃速度ははっきり言えば不利な状況は一切変わっていない。

 

 ただ自分の身体に当たる氷を粉砕出来るぐらいでしかない。

 

 見えていない場所でも、冷凍攻撃は場所を問わず狙える。

 

 空気そのものを凍てつかせる環境攻撃は、オーク怪人にとっても人類に取っても天敵になり得ることだろう。 

 

 「うっうっぐすぐす・・・」

 

 今だ泣き通している雪の怪人のは、こちらを見ていないのに次の氷柱を召喚しては、オーク怪人にめがけている。

 

 この場所がクアッドタワーの屋上という事もあり、風は抵抗無く雪を運んでくる。

 

 「いい加減寒いのでな・・・ドクターの為に、ここでお前を討つ」

 「ドクタ〜〜うわーーーん」

 

 大わめきの瞬間に氷柱が飛んでくる。それらの一本一本は対した破壊力は無いのだが、それでも人間では死ぬだろう。

 

 相手が怪人であれば無事とは行かずとも、ほとんどの場合は問題無い。

 

 「私だってドクターに会いたいのに!会いたいのにぃ!!」

 

 泣きキレしながら飛び出す氷柱を何本も召喚しては、オーク怪人めがけて来る。それらの攻撃を振動する全身の攻撃により、触れる直前で融解されていく。

 

 ジワジワと溶かされた氷柱は半分程まで進むと勢いが殺されるが、一本全てを溶かすまでは相手にはしていられない。

 

 すぐに二本目の氷柱がやってくる。

 

 「ええい、面倒だ!!」

 

 回し蹴りと手刀のラッシュで、次々と飛んでくる氷柱を破壊しては強引に切り抜ける。続く雪の壁や死角からの硬球雪も、なんら問題なく振動する手で切り抜けていく。

 

 力にモノを言わせた豪快な突破は、文字通りの破壊となって雪の怪人へと近づいていく。

 

 「くっうう・・・シクシク・・・うっうう」

 

 着物の袖で涙を拭き取りながらも溢れて止まらないソレを諦めて、白くなった屋上のコンクリートに手を触れた。

 

 その雪の怪人の手を中心に、バキバキと音を鳴らして氷が広がっていく。氷面にはトゲが飛び出しながらオーク怪人へと伸びていき、足元を狙う。

 

 振動の拳を持ってそれを打ち砕きながら、オーク怪人は雪の怪人へとひたすら突進。

 

 「ドクターを案ずるならその力を今すぐ止めろ!」

 「能力を止めたら私を押し倒すんでしょ!どうせひどい事するんでしょ!?」

 

 それはただの思い込みなのだが、ここまで来ると本当に押し倒すでもしないと止まらないかもしれない。ついでに骨も折るしかないだろうか。

 

 「いい加減にしろ!この大雪でどれだけの人が苦しんでいると思う!?貴様の範囲攻撃で、無意味に死ぬ人間が・・・」

 

 そこまで叫んでからオーク怪人は自分の発言に、大きな違和感を覚える。怪人であり、ドクターミヤコありきとは言え組織に戻りたいと願う自分が、まるでヘヴンホワイティネスみたいな事を口走った事に・・・。

 

 「私だって・・・こんな事したくないのよぉ!もしドクターを巻きこんでるって思ったら・・・ああぁっ」

 

 雪の怪人とてこんな攻撃は不本意だ。本来は街の破壊を目論む作戦だが、色々な事柄が混ざり合って狂乱している。

 

 「貴様がドクターを思うなら・・・」

 

 氷の床、氷柱、硬球雪、雪の壁をもろもろ破壊しては、踏み越えては、振動する手で粉砕してついに雪の怪人の眼前まで迫る。

 

 右手を大きく振り上げて、拳は堅く強く握られる。振動を加えたその拳骨は雪の怪人の顔面の真ん中に狙いを定めて、思い切り撃ち抜く。

 

 「今すぐこの攻撃を止めろぉぉ!!」

 

 形の整った白い肌に思い切りオーク怪人の拳が命中する。その一撃の強さは振動を加えた事により、現状のオーク怪人が出せる限界以上の威力となり、衝撃が脳髄の奥まで届く。

 

 「ぶっひ!?」

 

 殴り倒された雪の怪人の攻撃合図でも合ったのか、床の氷から鋭い氷柱が飛び出し、軍服ごとオーク怪人の腹部を左右から貫いた。

 

 「ぐっ・・・ぬぅう・・・」

 

 両手の手刀で氷柱を砕くと、その場で膝をつく。

 

 「ドクターは・・・まだ生きてるの?」

 

 雪の怪人が頭を抑えながらも、鼻血を出して涙は赤くなっている。血涙となったその雫が頬に伝うと、怪人の黒い眼にととてもよく合う不気味さを醸し出している。

 

 「・・・無論だ、貴様が案ずる事では無いがな」

 「・・・ごめんなさい、少し落ち着いたわ・・・」

 

 いつもの口調に戻りつつも、その声は涙声である。

 

 「ヘルブラッククロスって・・・なんなのかしらね」

 

 雪が舞う都会の街を見下ろしながら雪の怪人が、静かに呟く。

 

 先程のオーク怪人の人間を思いやる様な発言は聞こえていたのか、雪の怪人がその場に座り込む。着物が汚れる事も厭わずに。

 

 「ぶひ・・・ヘルブラッククロスは力による支配を求めた・・・」

 

 そんな当たり前の事を聴きたかったのでは無いと、口に雪が貼り付けられる。

 

 「違うわ・・・ヘルブラッククロスって・・・生きる為には力が必要って言うけど、気に入らない人は暴力で屈服させて、常に闘争本能のままに生きる世界を目指そうとしているでしょ?」

 

 言う慣れば無秩序な世界。相手を叩く事だけが唯一の正義となる、雪の怪人個人は生きて行くことも不可能になるような世界観、思想、破壊だけの世界。

 

 総統はその世界を支配すると言うが・・・果たしてそんな独裁的な世界で怪人達も人間も生きていけるのだろうか。

 

 そしてそこに誰よりも組織に貢献しようとしていた、あの怪人大幹部ともなったオーク怪人は人間を思いやる様な発言。

 

 「私は正直、ドクターミヤコがその世界で生きていくならそれで良いと思っている。ブヒ、あのお方が望む理想を私は叶えたいたいだけだからな」

 

 貫かれた腹部は凍結しいて出血が収まっているが、そこを抑えながらオーク怪人は荒い呼吸でそう話す。

 

 「私も・・・ドクターミヤコ様の為なら、なんでもしてあげたい。ねぇ、オーク怪人、頼みがるのだけれど、良いかしら?」

 

 鼻血をぬぐいながら雪の怪人は、オーク怪人に告げる。

 

 「ブヒ・・・ドクターの敵となるようなら、容赦はしないぞ」

 「・・・そんなんじゃないわ。ミヤコ様がどうお考えなのか。それを知りたいのよ」

 

 先程からの激痛によってかなり落ち着いたのか、雪の怪人は血涙も拭いながらそう告げると、先ずは大空を見上げる。

 

 未だに雪を降らすこの大空をオーク怪人も同じく見上げる。

 

 「先ずはやることがあるわね。この雪を止めないと」

 「どうやって止めるのだ」

 

 雪の怪人が着物の裾で溢れる血の涙を拭き取り、しかし顔は冷たい空気が漂う空を見上げたままでオーク怪人の質問にアンサーを返す。

 

 「私の能力を解除するのは簡単な事よ。気絶させればいいだけ。でも、もう解除自体はしているから余計な事はしなくていいわ」

 

 泣く様なうわずった声で話す雪の怪人の能力、天候操作・吹雪は未だ止まる気配はない。

 

 「心配しないでちょうだい。あと数分もすればこの能力は止まるわ」

 

 こんな大規模な能力を、自らの意思で止められると言うのは、本当に怪人としての実力は高いのだろう。これでフェーズ1の怪人だと言うのだから恐ろしい。

 

 雪が止み、能力も解除されれば復活した夏の熱気によってすぐに消えると言う。雪の怪人が冷気を浴びる様にその両腕を大きく広げた。

 

 「雪が止んだら・・・ミヤコ様に合わせてちょうだい」 

 「・・・ブヒ、了解した。しかし条件があるが、良いか?」

 

 訝しむ表情のままで振動する手を収めると、落ちていた軍帽をかぶり直す。雪でべちゃべちゃになっているが、構わずにそれをかぶる。

 

 「ひ、ひどい条件はやめてね・・・」

 

 相変わらず小心なのか、その声はさっきまでの泣きながらの声に戻ってしまっている。

 

 「軽いモノだ。別にこれ以上痛めつけようとは思っていない。貴様からの不意打ちが来ない様に、拘束だけはさせてもらうぞ」

 「そう。ならばご自由に」

 

 泣き虫雪女は簡単そうに言うと、オーク怪人は痛む腹部を抑えながらもゆっくりと立ち上がり、雪の怪人へと睨みを効かせる。

 

 最低限ドクターと合うまでは拘束しておかないと、何かしら問題行動に出るかも知れないからだ。その警戒心を残したままオーク怪人と雪の怪人は大雪の戦場となったクアッドタワーの屋上を後にした。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 血。

 

 ほんの数滴の血液がそこに落ちている。

 

 僅かな命の残りを振り絞ってそれを体内へと取り込まなければ、頭蓋骨の上半分だけとなった骨の怪人は本当に死んでしまう。

 

 工場エリアのこの建築途中の建物は、極寒の冷気によって覆われている。すぐそこに落ちている血液はもう既に氷つきはじめている。

 

 「・・・──グッゴ・・・ォォオ」

 

 唸る様な、絞り出す様な声で、言葉にならない言葉を骨の怪人は喋りだす。

 

 もう変形する能力なんてまともに残ってすらいない。かろうじて、前歯の一部が伸ばせるかどうかだが、この満身創痍の状態では賭けに転じるぐらいしか生き残れる方法が無い。

 

 血液を。血液を。血液を。

 

 それだけが今骨の怪人に残された、生への執着。

 

 自分が生きれるのであれば、最早この後の事は、復活してから考えればそれで良いのだから。

 

 ヘルブラッククロスの為にも、自分は生きなければならない。

 

 そして必ず勝たねばならない。今回の負けはまだ認めていないし、組織の誰にもバレていない。で、あればなんとしても復活して抱腹せねば。

   

 色々と考える事はあるのだが、とにかく今は数センチ離れた血液が完璧に氷になる前に、動かせる骨の一部を伸ばしてその血を体内に取り込まねばならない。

 

 「・・・血ィ──ヲォォ、──ギ・・・オオオア」

 

 冷たい風によってその唸り声は誰にも聞こえていない。

 

 最後までトドメを刺されなかった事をラッキーと思い、骨の怪人は前歯を一本だけ伸ばす。人間の一歩にも満たない程の距離なのに、すぐそこにある血液に歯を伸ばすだけでも、気を抜けば死にそうな程苦しく思える。

 

 ヒビを走らせ、バキバキと砕ける音を鳴らしながらも、垂れた血液・・・魔法少女の血液にたどり着く。

 

 表面は凍りつき始めていて、シャーベットの様にシャリシャリしている。だとしても、今の骨の怪人には大きな壁となっている。

 

 そこまでたどり着いていても、消えようとしている命の灯火は、余裕無く消え入りそうになっていく。

 

 急げ、死ぬ。急がないならば、死ぬ。

 

 何もしなくても死ぬのだから、悪あがきの意味合いも強く、骨の怪人は伸ばした歯をぷるぷると尖らせて、シャーベットを破る。

 

 「オオォ・・・」

 

 血を骨の中へと染み込ませて、そしてようやく喋れるだけの力を取り戻す。

 

 怪人の細胞に魔法少女の血液が入る事で、骨の怪人は頭蓋骨上半分だけの姿でも、復活を果たした。

 

 「魔法少女メ・・・ソノ先ニ居ルノダナ」

 

 いまだかすれたその声は、どうしても弱々しく力の無い声音を放つ。

 

 こうなっても満身創痍なのは変わりない。啜れるだけ啜ったらば、骨の怪人はよたよたと器用にえら骨を動かしながら、自分を打ち負かした敵である魔法少女が進んだ魔法陣の光へと、着実に進むのであった。

 

 そしてその場に残るのは血液も骨も戦いの跡も、何もかもが消えている、刺すような冷たい冷気だけが残るのであった。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 大雪の積もった繁華街はまだまだ寒いままであった。

 

 夏の熱気なんて嘘に思える寒さに、ギンジとミヤコ、おまけの様についてきたケイタがそれぞれ厚着をしながら、このホワイトロードを歩いている。

 

 吹雪が止んだ影響か、街には人の影がちらほら見えている。

 

 時刻は22時34分程・・・明らかな夜だと言うのに、ギンジは相変わらずサングラスをかけたままだ。

 

 「ギンジ、どうして急に外へ?」

 

 ケイタがザクザクと雪を踏み抜きながら、ギンジの隣で話しかける。

 

 ギンジ達3人がカエデハウスにて待機している中、オーク怪人からの連絡・・・更には今居る場所までドクターを連れて来て欲しいとの事。

 

 違和感と不穏さがスマホからでも見て取れる様な内容に、ギンジはミヤコとケイタを連れていつdめお逃げ出せる様に準備を行いつつ、この街までやってきた。

 

 寒さによって完璧に打ちのめされたのか、ミヤコはまともにしゃべる余裕が無い。それでもちゃっかりギンジの左腕に自分の腕を回している。

 

 これはいつものミヤコとしての求愛行動ではなく、寒すぎるのだ。誰にそう説明してもきっと理解はしてくれないだろうが、もうそれでいいとさえ思っている。

 

 ギンジの腕は温かい。できれば全身ギンジの着るダウンに入りたいぐらいだ。

 

 「オーク怪人・・・ってやつがミヤコを連れて来いってんだとよ。俺も一緒に居ないと駄目だろうし、俺達が居ない間にカエデハウスが襲撃されたら、ケイタも危ないしな。無理言ったのに付いて来てくれてありがとうな」

 

 ここまで連れて行くのに、とりあえず着替えて外出るぞー!っというとんでもない発言をしたギンジには正直気でも狂ったのかとさえ思ったが、ケイタは今の話でだいたいの事は理解する。

 

 「ミヤコ、大丈夫か?」

 「・・・んっ」

 

 カタカタと寒さに震えながらも、小さく頷くとミヤコはギンジの左腕に力強く精一杯自分の身体にたぐりよせる。

 

 少しでも暖を取りたい。

 

 少しでもギンジの熱を身体にくっつけていたい。

 

 (こんなのカエデが見たらブチっとキレそうだなぁ・・・)

 

 間違いなく戦争が起きるだろう。

 

 そう思いながらもケイタは何も口を出さずに、この異常な寒さの繁華街を歩く。

 

 最初は寒いと感じたこの道も、徒歩によって少し体温が高くなり極寒世界に適応出来る様になると、男子高校生故か大雪を目の前に少しだけテンションが高くなるのを感じる。

 

 「やっぱ雪と言ったら雪だるまだよね〜!」

 「遊びに来たんじゃねーんだぞ・・・手袋しろよ」

 

 言いながらもギンジは手の高さまで積もっている雪を、片手で弾くと程よい硬さだったのか叩くのが楽しくなる気持ちになる。 

 

 こういうのはどうしても男性故か。

 

 ケイタもギンジも二人して楽しくなっていくのだが、本来の目的を思い出してギンジ達はオーク怪人に指定された場所へと歩みを進める。

 

 「この路地裏なの?」

 「ああ。この先にオークのやつが指定した所なんだけど・・・」

 

 見覚えのある路地裏は、ヘルブラッククロスの戦闘員達が出入りする薄暗い路地裏。僅かな明かりはだらしなく吊るされ、雪から光を反射している。

 

 「2人とも足元気をつけろよ」

 

 ギンジの言葉を聴いて、特にケイタは細心の注意を払う。

 

 わざわざこんな所まで呼び出すとは、本格的にミヤコを奪還しに敵の作戦が開始したのだろうか。

 

 もしかしたらオーク怪人は敵に襲われたのだろうか。

 

 色々と悪い方向へと考えながらも、ギンジはなんとしてもこの2人を守ろうとフェーズ3を発動出来る様に最大の警戒を出しておく。

 

 右へ左へ前へ右へ。

 

 雪に覆われたこの建造物の迷路を、3人が通り抜けると、そこには生活感のある様な資材が積み込まれた小さな空間。

 

 ギンジも知らない路地裏の迷路と、その先の部屋には簡素なベッドと小さめのテーブル。

 

 そしてヘルブラッククロスのアジトの入り口ではない事を、ギンジもミヤコも察知すると、どうやら今回の呼び出しは白である事が解る。

 

 「ドクター!」

 

 呼びかけがあった方へ振り向くとそこに居たのは、いつもの見慣れた軍服のオーク怪人の姿。

 

 しかし腹部には穴が空いているのか、ボロボロになっている。

 

 「お前大丈夫か?」

 「私なら問題ないさ・・・はて、そこの人間は・・・?」

 

 オーク怪人がギンジの後ろに居る少年へと視線を動かす。その先に居るのは、角倉ケイタ。

 

 ケイタはオーク怪人と眼が合うとドキリと背筋が伸びる。なにかと怪人には良い思い出のないケイタは、とにかく怖い気持ちと警戒とが混ざり合う、嫌悪とも取れないが、拒絶とも取れない様な表情を浮かべる。

 

 取乱さないのは、このオーク怪人とギンジが友達っぽく接しているからだろう。

 

 そもそもこんなところでケイタがオーク怪人と出会おうモノなら、一瞬で卒倒する事は間違いないだろう。

 

 そしてもう1人の怪人・・・怪人と決めつけられる要因としての、黒い眼球を持つ女性の姿をしている存在、雪の怪人が手を縄で縛られてオーク怪人の後ろからスッと現れた。

 

 「ひい!また怪人!?」

 

 ケイタが驚くのも無理はない。ギンジがケイタの前に出るようにして警戒する。

 

 ギンジの見たことの無い怪人の登場は、少しばかり緊張してしまう。

 

 「初めまして、ね。進化の怪人。そしてお久しぶりです、ミヤコ様」 

 「ほー俺を知ってるのか。お前は誰だ?」

 

 ミヤコを様付けで呼ぶこの怪人を、ギンジは睨みつけると雪の怪人がすくみあがる。また泣き出しそうになるのを堪えて、雪の怪人は自己紹介を始める。

 

 「私は雪の怪人・・・総統直属の怪人四天王に所属する者・・・そう言えば伝わるかしら」

 「怪人四天王って言えば赤鬼と同じ・・・」

 「ブヒ。そこからは私が話そう」

 

 雪による被害を免れたパイプ椅子を用意したオーク怪人が、全員に座れる場所を提供する。ミヤコのだけは綺麗なブランケットを用意している。

 

 「ドクターはこちらへ。決してギンジから離れない様に」

 「ありがとう・・・」

 

 あまりの寒さにやられているのか、ミヤコにはいつもの余裕が無い表情に見える。

 

 「では・・・話すとするか」

 

 雪の怪人の今回の襲撃任務の全容、そして今のミヤコがどう思っているのかを知りたいという話を、ミヤコは真剣に聞いている。

 

 「私は・・・ミヤコ様が、怪人の【何を】持っていたのかを知りたいのです。そしてこれからはどうされるおつもりなのか」

 

 かつてミヤコが雪の怪人へとしてくれた恩義は、ミヤコからするとあまり記憶に無いモノとなっているのだが、それでも雪の怪人からするとそれは多大なる恩義だと言う。

 

 コレと言った特別な事は何もしていないのだが、それでも雪の怪人はミヤコを慕っている。自分を造った総統よりも、尊敬する先輩を見つめる様に雪の怪人は真っ直ぐにミヤコを見つめている。

 

 「ヘルブラッククロスの力による支配統治で、得られる幸せはありますか?怪人なのに変な事を聞いているとは思いますが」

 「そうだね・・・」

 

 雪の怪人の質問はヘルブラッククロスに居る事が、この先の正解なのか・・・自分の意思ではなく他人にすがらないと答えが出ないからこそ、ほぼ全ての怪人が慕う女王であるミヤコにその答えを示して欲しい。

 

 「わたしはね・・・」

 

 寒くても真面目に、元大幹部としての立場でミヤコは雪の怪人にその答えを出す。

 

 左目の黒い怪人の瞳、右目の人間の瞳、その2つを輝かせてミヤコは雪の怪人に告げていく。

 

 「正直な事を言えば、わたしはヘルブラッククロスの倫理や、総統の目論見なんて言うのはどうでも良くて、わたしが生きられる世界ならなんでもいいの。その生きられる世界には、たった一つの大切な人が居ればそれでいいから」

 

 言いながらミヤコはギンジを見つめる。いつもよりテンションが低いからか、本当に恋い焦がれる少女の表情で・・・。

 

 次の瞬間にミヤコは再び雪の怪人を見つめ直す。

 

 「今までは色々酷い事をして来たと思うんだ、だけど・・・ヘルブラッククロスの望む世界が文字通りの地獄になるなら、わたしはずっとヘヴンホワイティネスの捕虜でいいかなって思ってるんだ」

 「ミヤコ様・・・」

 

 ミヤコの答えとしては、ヘルブラッククロスに居るよりも隣に座る進化の怪人(ギンジ)と共に居たい。それだけとの事。

 

 それなのに、ミヤコの言葉が、行動が雪の怪人の心に刺さる。

 

 「全てを壊し尽くして、その後にやりなおす様な世界よりも・・・どんなに怖くても、わたしはギンジ君と一緒に居たい」

 

 ヘルブラッククロスを離れてまで、ヘヴンホワイティネスの捕虜になる事にノリノリだったのは、それほどまでに恋の力が強かったのだろうか。

 

 自分の意思として大幹部をも蹴るとは、末恐ろしい行動力だ。

 

 「半分怪人になっても、わたしは・・・自分の心に誓って生きていたい・・・そう思ったから・・・」

 

 ミヤコの話にはオーク怪人がハンカチを持ちながら、目頭を拭き取っている。感動するしないではなく、ミヤコのこの決断こそが素晴らしいモノとして、オーク怪人は涙を流しているのだ。

 

 「雪・・・キミはいつも泣いていたね」

 

 それを見てミヤコは組織に居た時の雪の怪人を思い出す。

 

 「怪人はね、涙を流さないんだよ。でも、キミもオークも・・・夫のギンジ君も、ちゃんと涙を流せるのは・・・心があるからだよ」

 「夫じゃねぇ」

 

 心。その言葉を聴いて、雪の怪人はミヤコが持っていた怪人1人ひとりの【何か】の正体を知る事になる。

 

 それこそが心・・・怪人には本来持ち合わせない不要なモノ、それを持っていた事になる。

 

 つまりミヤコにとって見れば、完璧な怪人を造るに際して、心まで植え付けていたのだ。

 

 怪人は部下であっても、奴隷じゃない・・・それをミヤコがわかっていたからこそ、思いやりを持って1人の怪人を完成させている。

 

 「総統や、他のドクターが怪人を造っても失敗する理由、それはわたしと違って道具としてしか見ていないからだよ。オークをベースに造られたキミ達怪人四天王には、その心を与えられる様になってしまっていたのかもね」

 

 辛そうにしている雪の怪人に、ミヤコはどんどん話していく。まるで解らない事を知ろうとする子供に話すお母さんの様に。

 

 その姿をギンジもケイタも、いつもと違うと思いギャップの違いに驚く。

 

 「雪。キミがしたいようにしていいと思うよ。ヘルブラッククロスが嫌なら、一緒に捕虜になる?ギンジ君に近づくなら許さないけど・・・」

 

 冗談じみたはにかみを見せ、雪の怪人はこの話しの中で決意を一つ持ち始める。

 

 ヘルブラッククロスの命令、任務による抵抗感、罪悪感。それらが辛くていつも泣いていた。

 

 もう泣きたくない、辛い思いをしたくない、ならば・・・。

 

 彼女の為に生きていたい。ヘルブラッククロスみたいな、自分にとって既に生きづらい世界より、ミヤコの様に自分の意思で生きていける様に。

 

 「・・・ミヤコ様、私は貴女の為に生きていたいです・・・」

 

 心。それを自分もいつの間にか持っていたのだ。形の無い大切なソレを、いつしかミヤコが自分にくれていたのだから、この心を守りたいと本気で思い始めている。

 

 「ヘルブラッククロスから離反する事になるけどいいのか?」

 「ええ、構わないわ。心・・・これをくれたミヤコ様の為なら、裏切るぐらいなんでも無いことよ」

 

 ギンジの問いかけには意外とすんなり答えられる雪の怪人。

 

 ケイタもなんとなく言ってる事が解るのか、頷くばかり。

 

 「オークも泣かないで・・・これからも、わたしの為によろしくね」

 「無論です。貴女のためであれば、組織に戻るも裏切るままなのも構いません。全ては貴女のお心次第で、我々は動きます」

 

 忠誠心の高い発言にミヤコも笑顔で頷く。

 

 本当にこんなに慕ってくれる仲間が居て、ミヤコという少女は幸せ者だろうとギンジは思う。

 

 「さて・・・これからだけど、雪はどうするのかな?」

 

 離反するという事は決まった。であれば次は、裏切り者の抹殺が開始されるだろうから、心配になったミヤコは今後の事を聴いてみる。

 

 「・・・一度逃げれる所まで逃げてみます」

 「え?ミヤコと一緒に居たらいいんじゃ・・・?」

 

 ケイタの素っ頓狂な声に雪の怪人とオーク怪人は首を横に振る。

 

 「このまま一緒に居れば、多分カエデ達も危なくなると思うぜ。ほとぼりが冷めるまでは、この街からも離れた方が良い・・・って事だよな?」

 「流石ミヤコ様の最高傑作ね。物分りがよくて助かるわ。ああ、一応言っておくけれど、私はヘヴンホワイティネスの味方になるつもりはないから」

 

 高圧的かつ嫌味な言い方に、ヘヴンホワイティネスとして活動するギンジからすると少しムカつくのだが、気にしてもしょうがないから「あーそうですか」とギンジは返す。

 

 「ミヤコ様の為ならば、この雪の怪人・・・心をくれたお礼にヘルブラッククロスをも成敗して参ります!!」

 「くふふ・・・そこまでしなくても良いよ?」

 

 ミヤコはメガネを直して雪の怪人の手を取る。冷たい低音の手はミヤコの熱を確実に奪う冷たさなのだが、それでもミヤコはその手を握る。

 

 この少女の温かくて小さな手を、雪の怪人はなんとしても守りたいと、心の中で何度も何度も思う。

 

 「でもお前のせいで少なからず死んだ人も居るからな・・・」

 「罪滅ぼしは必ずするわ。貴方に言われなくてもね」

 

 この大雪により凍死した人間は何人程か。数えたらキリが無いのは当然だが、ギンジも同じ怪人として行った悪事の罪滅ぼしは、〈大好きな人達〉の未来を守る事でなくそうと考えている。

 

 雪の怪人の〈大好きな人〉というのは、間違いなくミヤコの事だ。

 

 彼女もまたオーク怪人と同じで心を貰ったのだ。だからこそ、いつかはミヤコの為に協力してくれるのだろうか・・・。

 

 雪の怪人の作りだした雪は、心に暖かさを取り戻して行く。雪の怪人の凍てついた心が溶けて、光を取り戻していく。

 

 「・・・そうか、心、か」

 

 オーク怪人がなにやら思い出す様にして、心という単語をつぶやいていく。きっと彼にも思う所があり、また思慮深く考えるのだろう。

 

 「それじゃあ・・・ものすごく怖いヘヴンホワイティネスが戻ってくる前に、早く行きなさい」

 

 新たな主となったミヤコに命令され、雪の怪人はすぐに頷いて、路地裏の迷路へと歩みを進める。

 

 「そう・・・進化の怪人」

 「ん?」

 

 雪の怪人は去り際にギンジを呼ぶ。

 

 「ミヤコ様のこと・・・幸せになさい」

 「よくぞ言った!雪の怪人!」

 「うるせーぞテメェら!!」

 

 ミヤコの夫というのを信じたのか、雪の怪人はミヤコを守る事をギンジに託した。それに合わせてオーク怪人が雄叫びを上げるが、ギンジは憤り、それをケイタが抑える。

 

 かくしてまたもやヘルブラッククロスを裏切った怪人四天王・雪の怪人。

 

 彼女もまた、いつしか来る一大事件で大きな戦果を上げる事になるが、それはまた少し先の未来のお話・・・。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 時刻は現在0時を超えて、8月25日が始まったばかり。

 

 公安局での救助を終えたカエデ、レン、ミドリコは帰り道でギンジ、ミヤコ、ケイタと合流する。

 

 今回の襲撃と、その実行犯となった雪の怪人の事や、鏡の怪人による妨害。それらの情報を交換しながら、6人は雪道を歩きながら帰路についていた。

 

 「なんでその雪の怪人を逃したのよ!」

 「いやー意外と悪いやつじゃなかったんだよ。怪人目線では」

 

 ボソリとつぶやいたその言葉に、カエデは憤慨する。

 

 元々その怪人の攻撃で、中央度固化市は甚大なる被害を被った。

 

 それを逃がすと言うのは、ヘヴンホワイティネスとしては許せない事だろう。なにせ悪を許さないカエデのプライドを傷つける事になってるのだが、ギンジも性根は悪である。

 

 そんな事を言い合いしていると、いつの間にかいつものギンジとカエデの夫婦漫才みたいな光景に、ミヤコは嫉妬の念を送る。

 

 「その雪の怪人とやらは気になるが・・・まぁ、逃げたのなら仕方あるまい。ミヤコのピンチの時には、あのオークみたいに駆けつけてくれるのだろうしな」

 

 ミドリコが毛皮のコート翻しながらそんな事を話す。

 

 だが実際いつか出会った時、少し冷静でいられるかは解らない。正義の下の認識で許せないかもしれない。

 

 その気持ちはカエデもレンも同じである。

 

 「罪滅ぼしはいつかしてくれるもんねーくふふ」

 「そういう問題じゃないわよ!!!」

 

 カエデの怒りの理由も解るが、雪の怪人の気持ちも解る。ギンジは2つとも尊重したいが、難しい問題である。

 

 この雪道も明日には夏の陽気が戻り、すぐに溶けていくのだろう。

 

 凍土の街の戦いは終わり、またいつもの日常・・・戦いだらけの大変な毎日が戻ってくるのだ。

 

 「うう・・・寒くて風邪ひいちゃったかもだよ・・・くふふ、ギンジ君のお布団で温まったら、治るかも」

 「寝かさないわよこの馬鹿!」

 「くふふ・・・」

 

 フラフラと倒れそうになって、ミヤコをギンジが抱える。

 

 頭部に触れると本当に熱く、体調不良は嘘では無いらしい。

 

 「おいおい、本当に熱出てるぞ」

 「いつも寝不足にしてるからよ!早く寝なさいな」

 「いやだ〜ギンジ君と寝る〜」

 「わがままは、駄目。帰宅したら、すぐに寝て」

 

 鋭い目つきのレンには流石に身の危険を感じるのか、ミヤコは無言で頷いた。

 

 「そんじゃ、急いで帰ろうぜ!」

 「あ、待ってよギンジ!鍵、鍵!」

 

 走り出すギンジに、ケイタが鍵を渡そうと追いかけていく。

 

 「うおっ!?」

 「うわわっ!?」

 

 凍りついたコンクリートに男2人が滑り転げる。

 

 「うおおお止まらねぇ〜!!」

 「なんでギンジだけ滑って行くのさ!」

 

 ギンジは身体を大の字にして滑っていく。まさしく滑稽な姿に、仲間同士で笑い合う。

 

 きっと雪の怪人を、カエデ達の許可なく逃したバチが当たったのだろう。

 

 10キロ滑ったぐらいでギンジはアスファルトにぶつかり、大怪我をしてしまうのだが、それすらもヘヴンホワイティネスの日常であった。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 大幹部の仕事というのは非常に忙しないモノだった。

 

 始めは公安として、そして市民の平和を守る・・・ありきたりの正義価値観で、潜入していた・・・つもりだった。

 

 「・・・ヘヴンホワイティネス、厄介ですねぇ」

 

 公安局を取り囲む様な小型のカメラマシンから、撮影している映像が送られる。

 

 鏡の怪人は何故か逃亡した。おそらくは組織に戻り、何かをしているのだろうが、この映像を見ている柏木タツヤはそこに興味は持ち合わせていない。

 

 今回の襲撃任務により、ヘヴンホワイティネスと内通している山吹イロと、藤原の2名の殺害、及び公安局の崩壊を目論んだのだが怪人四天王に任せたのは失敗だったかも知れないと、タツヤは胸元に当てた手をとんとんと軽めに叩く。

 

 あの正義のヒーローごっこの少女達は、現状ヘルブラッククロスの最大の敵であるが、二重スパイとして動くタツヤではうかつに彼女達に手を出せない。

 

 あの甘白ミドリコがほとんどの場合、柏木タツヤにとって最大の壁になっているからだ。

 

 「・・・こんな事ならあの人に武器を売りつけるんじゃありませんでしたよ」

 

 薄暗いモニター室で改造した拳銃を眺めては映像に視線を動かす、これを何度も繰り返して、イライラが大きくなっていく。

 

 あのヘヴンホワイティネスの協力者である事はわかっていたが、ミドリコの改造武器は、第一(組織犯罪対策第一科)として動く柏木タツヤの裏ルートのパーツをミドリコに売りつけていた。

 

 元々はただの興味本位と、無様にあがく彼女を見て馬鹿にしていたのだが、今回で確信する。彼女はヘルブラッククロスの天敵の1人であると。

 

 (正体がバレるわけにも行きませんしねぇ)

 

 物静かに考えにふけこむと、後ろでガサゴソと物音がする。

 

 「おや、お目覚めですか」

 

 椅子に座ったまま身体を動かさず、背後の者に声をかける。

 

 「むぐー!むごご、むぐ!」

 

 その者は全身にやけど、切り傷、打撲の跡を色濃く残して、髪は真ん中だけバリカンで刈り上げられている。

 

 見た目は完璧に女性だと言うのが解るのだが、凄惨でムゴイその姿のまま、猿轡に血液をにじませたモノを口につけられている。

 

 彼女はこの度固化市でヒーローと称して行動していた者の1人だった。正義だなんだと口にするのがうっとおしく、タツヤの怒りに触れた事で死ぬほど怖い思いをさせられ、現在は多数の暴行と共にタツヤの部屋で衰弱させられている。

 

 「早く死んでくださいよ・・・貴女じゃ役に立たないのですから」

 

 心無い一言は少女の心を大きく傷つける。

 

 「あーやはり・・・女性はあの人だけに限りますね」

 

 タツヤがそう言うと、机にある写真を自分の顔の近くまで持ってくる。その少女は艶のある黒髪、そしてサイズの合っていない白衣を着用し、ヘルブラッククロス最年少の大幹部であった少女。

 

 彼女こそタツヤに欲求を解消しうる可能性を秘めた、神秘の女性であり最高のおもちゃになれるに違いない逸材。

 

 「ああぁ・・・ドクターミヤコ・・・いつか貴女を泣かしたいと思っていましたよ・・・」

 

 愛おしく、そして狂気に満ちた声でタツヤはミヤコの写真を唾液をふくませた舌で舐めあげる。

 

 「・・・今度はわたくし自らが出ましょうか・・・!」

 

 彼女を捕まえて、自分のおもちゃにする為に。

 

 そしてミヤコの心を踏みにじり、自分の気持ちが良い様に・・・。

 

 「先ずは・・・甘白、貴女の自宅から行きましょうか・・・それとも、出てくるのを待とうか。ん〜悩みますねぇ」

 

 ミヤコは可愛い女の子だ。そんな彼女を、同じ組織に所属していたからこそ、なんとしても自分の手で壊してやりたい。

 

 あくまでも仲間であったし、大幹部としては尊敬もしていたからこそ、そんな事はしなかったが・・・今は組織から除名された彼女をどうしようと、誰も気にも止めないだろう。

 

 「そうだ・・・あの人にも協力してもらいましょうかね」

 

 力による支配を良しとするヘルブラッククロスは、法と秩序、そして社会のルールに則った現在の世界を心底うんざりしていた。

 

 必ず覆したいこのルールを、力でなんでも出来るのであれば、タツヤはなんでも協力してやろうと思って二重スパイになっている。

 

 そしてタツヤはミヤコを壊す目的の為に、ある人物に連絡を取り始める。

 

 相手はヘルブラッククロスの中でも指折りの武闘派大幹部。

 

 強く恐ろしく怪人でも容易には退けない、異常なタフネスを持ち合わせた狂人へと、連絡を取り始める。

 

 ドス黒い闇が漂う様に、そしてまさしく地獄だと思える雰囲気をかもし出しながら、タツヤは通話先の相手とコンタクトを成功させる。

 

 「──あーもしもし、夜分にすいません」

 

 ニタリと蛇の様に嗤う。その表情の極悪さはきっと警察としてはダメな領域にまで立っているのだろう。

 

 異質な雰囲気を醸し出しながら、相手の名前呼んだ。

 

 「実はですね・・・貴女のお力をお借りしたく思いまして・・・

 ええ、いいですか?──リコニスさん」

 

 

続く

 

 

 




お疲れ様です。
いよいよ大幹部柏木タツヤも動き始めました。彼は何をするのでしょうね?お楽しみに・・・くふふ!

キャラネタ書きます

雪の怪人
ミヤコによって心を貰った事を、嬉しく思っていた。
怪人四天王として裏切り者になったので、赤鬼同様やばい立ち位置。
再登場をお楽しみに

オーク怪人
彼もまた心が出来上がっていたからこそ、涙を流した。
しかし厳格な人物なのに、ほいほい泣いてしまっていいのかい?
なにより他者を自然と思いやれる事こそ、心の有様なのではないかと
腹部に穴あいたり、心が出来た事で疲れてしまった。

柏木タツヤ
本格的に動き出そうと、リコニスと連絡を取り合った。
実は重度のロリコン。ローリッコーン!
ミヤコをてにいれて壊したいのも、ルゥオルィクォン(ロリコン)としてのサガ故。いいか気をつけろ、こいつはロリコン!ロリコン公安二重スパイ大幹部!
※ロリコンなのはガチだけど、ここまでふざけたキャラではありません

次回は夏休み明けの学校一発!リコニス×カエデの回だよ!
お楽しみに!
感想、応援等いただければぜひ!!ぜひいいいい!ぶひいいい!
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