正義のヒーローヘヴンホワイティネス   作:アトラクション

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こんにちはアトラクションです

今回のお話では本編に戻っております。

ヘヴンホワイティネスvs魔王軍、いよいよ開戦!!

それでは、どうぞ!


59・巨骨の魔王城、進軍

 魔法。それは怪人にとってとてつもなく大きな、そしてなんとしても手に入れたい大いなる力。

 

 この力があれば、ヘルブラッククロスはより強大な力を手にし、そしてゆくゆくは、度固化の街だけではなくこの世界をも支配出来るだろう。

 

 そう信じて骨の怪人は襲撃を買って出た。そうすれば他の怪人四天王同様、思うがままに力を操れると信じていたからだ。

 

 しかし魔王アマトリは自分の事をどう思っているのだろうか。

 

 怪人という、言ってしまえば魔法の世界の不純物を取り込み、本当に勇者を打倒できるのか。

 

 本質こそ見極める事を出来ては居ないが、骨の怪人は自分を受け入れたこの魔王城を心から信じてしまった。心の無い怪人がこんな事を思うなんて本来はありえないのだが。

 

 「それでは・・・魔力注入を開始します」

 

 魔力という別次元の力を秘めた霊石を、土と木材を混ぜ合わせたチューブの器具に取り付け、それを骨の怪人のコアとくっつけている。

 

 一人の魔道士が魔王を背にそう告げると、骨の怪人に魔力の注入が開始される。魔法の使えないこの身体、どうなろうとも必ずや総統の望む理想の実現の為に活用せねばならない。

 

 骨の怪人の意識はそこで途絶えた。光と熱と形容しがたい感覚が、骨密度のすべてに染み渡り、誰にもわからない、誰にも予想できない大きな力をその身に取り込んでいく。

 

 強大な魔。

 

 その力が身体に入り、充実感を得ながら、骨の怪人はその身に起こる事を何も理解できずに完全に意識を失った。

 

 ドクロの形をしたその怪人は、どんどんと魔力を吸収していきその頭部しか無い骨が広がっていく。

 

 風船に水を入れる様に歪に膨れ上がりながら、やがて脊髄が出来上がり、双肩ができあがり、しかし木の枝の様に何本も別れて行く。

 

 怪人を通り越して怪物とも言うべきその姿に、魔王アマトリは奇妙で奇怪で奇形となるその怪人だった者を見て、悪辣な笑みを浮かべる。

 

 「・・・魔王様、この者は如何様に?」

 

 一人の魔道士が魔王へと声をかけた。顔の見えないフードの奥は、闇そのものとなっており、あまりにも不気味だった。

 

 「我が魔王城と融合させよ。生命を感知し、動き回る巨大な怪物、兼魔王城との適合を果たせ」

 

 魔王の命令に魔道士は「仰せのままに」と静かに告げる。

 

 暗闇の中心の魔法陣が淡く光り出して、魔の力が増幅していく。

 

 「・・・覚悟をしてもらうぞ・・・オレキエッテ帝国」

 

 魔王アマトリの野望の実現・・・神になるという壮大な計画が、着実と進み始めていた。

 

 闇が開き大きく溢れ出すと同時に、その怪人だった者の頭部が割れて更に巨大化していく。

 

 「ああ・・・楽しみだ」

 

 無邪気に嗤うか、それとも悪意に嗤うか。

 

 地獄の如く魔王の魔力が膨れ上がると、骨の怪人がそれに呼応するかの様に巨大化を続けるのであった。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 オレキエッテ帝国帝王・シシリーの朝はいつも早い。王女ポモドロと共に起床すれば、すぐに王位の服装に着替え、国の為に奔走する毎日だ。特にここ数年は魔王軍との戦争や、先代勇者の逃亡、新たな勇者との大喧嘩を始め、心労が絶えない。

 

 本当はビビリ倒して気を失いたいのに、そんな事を帝王のプライドが許さない。それと同時に個人の責任もあるだろうか。

 

 「・・・あなた」

 

 二人の寝室にはシシリーとポモドロの他には誰も居ない。香りの良い部屋の中で、ポモドロが心配そうに声をかける。

 

 シシリーが実はビビっている。その事を見ているだけで解る。

 

 「ここの所うなされる事も多いようですが・・・」

 「あ、ああ・・・やはり君には何も隠せないか」

 

 いつもの威厳のある口調ではなく、新婚当初の様な声音。優しさを出しつつも嫌な感じを一切感じさせない柔和な感情である。

 

 シシリーの性格は良く知っている。知っていてそこを好きになったポモドロはこの帝国に嫁いだ。

 

 愛があるからこそ、彼の全てを信じてついてきたからこそ、これからの事を心配している。心労がたたって倒れられたらたまったモノではない。

 

 「済まない。いつも君には苦労をかけてばかりで・・・」

 「気にしなくていいですわ」

 

 お互いの朝はとても早く、そして濃密な愛情が溢れている。

 

 そんな二人の朝を迎えた瞬間・・・。

 

 「おはよーさん!帝王、王女!起きてるかー!」

 

 扉を無遠慮に開け放ち、現れたのは赤鬼。クリムパスと護衛兵の制止も聞かずに、無理やり突入してきた様な感じだ。

 

 まだ身支度も済ませていないのにも関わらず、勇者が帝王の部屋へと入り込んでくるとは何事なのか。

 

 呆気に取られる二人に、寝ぼけ眼のクリムパスもなにやら慌ただしい。

 

 「邪魔して悪いなぁ。それより、一大事だぜ」

 

 赤鬼は珍しく焦りでもあるのか、危機を知らせにこの部屋にまで来たようだった。

 

 危機なんて何度も来ているのだし、どうせいつもの魔王軍の進軍だろう。そうタカをくくった顔をしているシシリー。

 

 そして王女と帝王の二人が顔を見合わせると、赤鬼が窓の高級なカーテンを開く。

 

 帝王の寝室は北の方角を向いており、そこの窓を開けば当然見えるのは北側の城下町。

 

 さらに奥には北側の城壁・・・そしてそのさらに奥には・・・。

 

 「な・・・なんだあれは」

 

 城壁を超えたさらに先・・・オレキエッテ平原の美しい緑が見える程の大きな自然の空間には、いつもと違う見慣れない何かがそこにはあった。

 

 ゆっくりと動き、禍々しい魔力を放出し、風と共に身をうち震わせる様な殺意と敵意。

 

 そしてなにより巨大。城を背中に乗せているのか、亀にも見える動きをする巨大な白骨のモンスター。

 

 禍々しく巨悪の全てを積み込んだ様な、大きな魔にシシリー帝王は硬唾を飲み、王女ポモドロは本能的な恐れを懐き、貴族の振る舞いをなくして尻込みしてしまう。

 

 「・・・ありゃあ、なんなのか・・・俺っちは何か知ってるぜ」

 

 赤鬼も本能的に感じ取っていた。恐怖ではなく、敵意を。

 

 自分に向けられた大いなる敵意。

 

 なぜあの白骨モンスターが勇者である赤鬼に、その眼が合うだけでも殺されそうな敵意を向けているのか・・・赤鬼は本能で感じ取っていた。

 

 「・・・あんにゃろう、生きてやがったんか・・・」

 「勇者殿・・・?」

 

 赤鬼は窓の向こう、城壁のさらに奥に見える巨大で動く城を見て、喉を唸らせている。クリムパスから見た赤い大男の喉仏はゴグリ、と蠢くのが見て取れた。

 

 敵意に緊張しているのか・・・それとも豪快な赤鬼でも怖いと・・・感じるのだろうか。

 

 「あれがここまで来たらやばいから一大事ってんだ。寝ぼけてるとこ悪いがぁ・・・」

 

 シシリーに対して赤鬼がオリハル金砕棒を見せつけ、その後にはカーペットに突き刺した。すぐ下の黒曜石の床を容易に削り抜き、赤鬼がオレキエッテ帝国の敬礼を行う。

 

 「これから大きな戦争が起きるぜ。俺っち達ヘヴンホワイティネスが居れば問題は無いが・・・この国はあんたの国だ。恩義がある以上、俺っちはあんたに従う。命令を出しな」

 

 牙を打ち付けた言葉に、シシリーは威厳を取り戻す。

 

 「帝王、あれは・・・あの城に取り付けられている旗は・・・」

 

 クリムパスの指さした、窓の向こう側。動く居城の頂点にあるのは、黒く塗りつぶした生地に、悪魔をモチーフにした魔王の旗・・・。

 

 「魔王軍の進軍です・・・ッ!」

 

 シシリーとて完全に恐怖の無い人間ではない。このタイミングでの襲撃も過去あった事だ。

 

 だからこそ、今回魔王の居城がその姿を顕にして、そして動かしてまで帝国に進軍してくる事に恐怖しかない。

 

 「どら、ビビってる場合じゃないぜ・・・安心しな、王様」

 

 勇者赤鬼の言葉使いは非常に乱雑で無礼だ。口を慎むとは正にこの場合に使うべきだろう・・・。

 

 「例え相手が魔王軍だろうと、ヘルブラッククロスだろうと・・・」

 

 赤鬼は信じている。自分の力と、自分より強い正義の使者を・・・。

 

 「ギンジの兄貴達が来てくださった今、この帝国は絶対無敵だぜ」

 

 英霊の名前を呼び出して赤鬼は悪辣かつ、不敵な笑みを見せ、そして正義を秘めた表情を見せる。

 

 「・・・解った・・・すぐに兵士達を招集させよう。今すぐ軍事会議を開く!」

 

 シシリーの掛け声に、クリムパスが敬礼を行いつつ、すぐに行動に出始める。帝王の威厳のある言葉には、この場にいる誰も逆らわない。

 

 「にしても・・・骨の奴ぁ・・・」

 

 同じ組織に席を置き、同じ立ち位置だったからこそこの距離でも理解が出来た。

 

 アレが何者なのか、見ただけで解った。

 

 そう、あの巨骨・・・何故城を背中に乗せて運んでいるのかは解らないが、あの巨大な白骨を赤鬼は知っている。

 

 骨の怪人。怪人四天王としてヘルブラッククロスで共に、悪逆を尽くしたかつての同僚・・・。

 

 「気に入らねぇぜ・・・なんだってテメェがここに居やがるんでい」

 

 慌ただしく騒ぎ出す城内を背中で受け止めながら、赤鬼は城壁の向こうに居る、着実な一手を踏み出している居城に睨みを効かせた・・・。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 城内の危機感漂う雰囲気に、ギンジを始め、ヘヴンホワイティネスの面々は赤鬼とクリムパスの言われるがまま、大規模な軍議を行う様な部屋へと連れて行かれる。

 

 部屋で待つのは数百の兵士と、その中央には城壁の模型と、魔法で動きをリンクさせたあの巨骨。

 

 そしてそれを取り囲む様にして、ジェノべ率いる地水火風の司祭、コッツ兄妹と、ジェノべとクリムパス。

 

 「一体なんなんだ?」

 

 回りの嫌な空気感にギンジは胸を抑える。これから大きな戦いでも繰り広げられる事を誰もが予想し、覚悟している。そんな空気感が気持ち悪く、苦しく感じてしまう。

 

 赤鬼も同じなのか椅子にもたれかかり、口から大きな息を何度も繰り返している。

 

 「・・・何があったのかしら」

 「多分、何か大事件が発生した、だからみんな殺気立ってる」

 

 カエデとレンも辺りの空気感には、近寄りがたい何かを感じている。

 

 「・・・何か懐かしくも感じるな。昔の上陸演習を思い出す」

 

 ミドリコはこの空気感を懐かしむが、決して楽観視はしていない。それどころか、ヘヴンホワイティネスの中では誰よりも険しい表情を出している。

 

 「・・・」

 

 ケイタは緊張しているのか、何も喋れていない。 

 

 サクラも恐れていた事が明るみになったためか、ひたすら窓の向こう側と、手元にリンクさせた巨骨の模型を何度も往復するように眼を動かしている。 

 

 「傾聴!これより、あの魔王軍の進軍についての防衛、及び撃退についての作戦を練る!」

 

 ジェノべの言葉により、帝王直属の兵士達が色々会話を始める。

 

 城壁の防衛、これにはより強固な魔法壁を張る事。

 

 平原の段取り、兵士の配置や、戦士、飼いならしている魔法獣の配置。

 

 コンキリエ魔王軍の動き、ただオレキエッテ帝国へとゆっくり進軍している。その距離、魔法馬で約1時間の距離。

 

 ─どういう配置で行くのだ

 ─そもそも敵軍は空からも来るのではないか?

 ─こちらから迎撃に行かないのでは、いずれ押し切られるぞ

 ─魔王軍であるならば、間違いなく卑劣な策を講じているに違いない

 

 ・・・。

 

 様々な意見が入り乱れ、クリムパスの隣に居る兵士長のアラビアが大声で一括させると、静粛な場に戻る。

 

 しかし作戦を考えるとどうしても意見はまとまらなくなっていく。

 

 戦争ならばなおさらだろう。

 

 「あ・・・なぁちょっといいか?」

 

 まとまらない軍議はどんどんヒートアップしていくが、そこでようやくギンジが声を出した。

 

 勇者赤鬼が兄貴と呼び慕う英霊が声を出した事で、兵士達は一瞬で静まっていき、それと同時に期待と羨望の眼差しを送る。

 

 ギンジに向けられたその多数の期待の視線は、まさしく平和を望む者達の眼差し。不安と恐怖、そして戦わねばならない覚悟を秘めた、本当は逃げ出したいけど前を向いていないといけない、弱き者達の眼差し。

 

 一身にそれを受けたギンジはこの軍議において、重要な事を再認識した。

 

 (みんな本当は怖いんだな・・・)

 

 それでも帝国に身を置き、そして戦いに向かわないと行けないという覚悟を持っている。

 

 出来る事なら戦わずに逃げるという選択肢もあるだろうが、民を守り家族を守り、国を守る彼らにそんな事を考えている余裕なんて無いのだろう。

 

 それならば後は正義のヒーローの出番だ。彼らの思いを受け継ぎ、共に戦う。

 

 「国の防衛には全ての兵士で防衛・・・ってのはどうだ?」

 「どういう事だ?」

 

 ギンジの提案にはクリムパスが疑問を投げてきた。

 

 「いやホラ、どうにしても防衛には準備の時間が必要だろ?そして、迎撃の為の人員も割かないといけない。更に言えば、この前・・・なんだっけ、マカロとか言うゾンビ野郎の襲撃で兵士は半分近くは減らされてる・・・そうなると、まともに戦線に立てる兵士は限りなく少ない・・・」

 

 兵士の少なさ、魔法の数、そして敵の全軍突撃。

 

 どう考えても人数が足りていない。守りつつ、戦う・・・そんな事が出来る様な数ではない。

 

 どう見てもあの城の中には魔王軍の兵士達がうようよしているだろうし、城と城のぶつかりあいにおいては、このオレキエッテ帝国には、城下町の民と言う圧倒的な弱点もある。

 

 「国を守る為に立ち向かうのは立派だと思うけど、おそらく迎撃、進軍に人員を割いたら・・・まぁ先ず敗けるな」

 「じゃあどうするんで?兄貴」

 

 コッツ兄妹も作戦内容を見直しつつ、ギンジの話に耳を傾ける。そして赤鬼も体調不良から復活しては、ギンジに質問を投げてくる。

 

 「だからよ・・・この帝国の兵士全軍で、城壁と城下町の防衛だけに挑むんだ。街に侵入されても、それならなんとか対応出来るだろ?ついでに言えば、街に侵入されたら馬鹿騒ぎが好きな連中と一緒に暴れちまえばいいのさ」

 

 ギンジの言う作戦には、今の人数であれば兵士全軍を持って国の防衛自体は可能だということ。

 

 「もちろん城壁の外側での防衛、城壁上での防衛ってのが基本だけど、空を飛んでくる奴も居るわけだ・・・それは魔法や兵器で対応するとして・・・じゃあ一番の問題のあの魔王の城だ」

 

 動く模型を指でつつきながら、ギンジは更に不敵な笑みまで一緒に乗せる。怪人らしいその笑顔は、たまにカエデも赤鬼もゾワリとする時がある。

 

 サクラも話に耳を傾けていたが、なんとなくギンジの考えている事が読めた。そして頭に青筋を立てている。

 

 ギンジらしい考えであはあるが、決めつけは良くない。口を挟まず最後まで聴いてみる事にした。

 

 「魔王城だが・・・そこにはもっと馬鹿騒ぎが好きな連中で突撃しようぜ。どっちにしたって、待ってれば敗けるし、逃げても敗けなら・・・俺たちが行くしかないだろ」

 「あんたホントに馬鹿よね」

 

 つまり魔王城にはギンジ達で行くと言うのだ。それこそ無謀だし、サクラもやっぱり・・・とため息をついている。

 

 しかし・・・。

 

 「ヌハハハハハ!」

 

 豪快に爆笑するのは赤鬼。勇者が笑う事で、クリムパスは眼を丸くしている。

 

 カエデもやれやれと頭を振りながらギンジを睨む。

 

 「なんだよ、悪い作戦じゃないだろ?」

 「別に悪いなんて言ってないわよ。馬鹿とは思っても、わかりやすいしね・・・」

 「ギンジ、カエデは素直じゃない、だけ。このまま突撃は、私も賛成」

 

 カエデとレンはこの内容に納得した様だった。この先ヘルブラッククロスの強敵と戦う事を考えれば、いくらでも無謀な事は思いつくだろう。

 

 ヘヴンホワイティネスの面々は精神が図太いのだ。

 

 「兄貴が魔王城に突撃するなら・・・俺っちもお供さえていただきやすぜ」

 

 肩の骨をバキバキと小気味よく鳴らしながら、赤鬼はあの巨骨について解っている事を話し始める。

 

 「そういや兄貴、あの骨の事なんですが・・・」

 

 サクラも混じえながら赤鬼が揚々と話し始める。

 

 「実はあいつぁ、俺っちと同じ怪人四天王でして・・・」

 

 兵士達がギンジの作戦で勢いつく中、サクラは驚き、ヘヴンホワイティネスも、思わぬ宿敵の一部であった事に驚く。

 

 「え、ええ・・・!?あれが怪人四天王の骨の怪人・・・?」

 「へい。サクラのお嬢もご存知で?」

 

 サクラは度固化市が大雪に包まれた時に、その骨の怪人と交戦していた事を話す。魔法界に帰ろうとしたら、骨の怪人と戦わざるを得なく、あの時はちゃんと撃破した筈だったのだが・・・。

 

 「それじゃあ、サクラの討ち漏らしで魔法界にヘルブラッククロスが・・・?」

 

 ケイタの言葉に罰が悪そうになっていくサクラだが、ギンジとカエデはそこには何も触れない。

 

 「大丈夫よサクラ。むしろ居てくれて好都合だわ」

 「そうだな・・・!」

 

 なにせ相手は魔王軍だけだと思っていた。

 

 ヘルブラッククロスが魔王軍に居ると言うならば、本格的にヘヴンホワイティネスの出番だからだ。

 

 「俺たちこそ魔王城への突撃をするにふさわしいぜ!なぁ!」

 

 振り向けば仲間が居る。

 

 カエデ、レン、ミドリコ、ケイタ。

 

 そして前を向いても仲間が居る。

 

 赤鬼、サクラ、クリムパス、ジェノべ、コッツ兄妹。

 

 ここに居る兵士達は全員正義のために戦おうとしている・・・。

 

 シシリー王の前にギンジが立ち、指を刺して大きな啖呵まで切り始める。

 

 「王様よ、あの魔王城については、俺たちが全壊させてやっからよ・・・この防衛戦、ヘヴンホワイティネスに全部任せとけ!!」

 「・・・民を本当にまもれるんだな?」

 「任せろ。俺たちなら全部守れるし、相手はあのヘルブラッククロスだ!これはぜってー敗けられないぜ!」

 

 ギンジの言葉に赤鬼が横に入ってく。

 

 「すいやせん兄貴、王様は実はヘルブラッククロスの事は知らんのですわ」

 「ここまで大見得切っちまったじゃねーか!先に言え!」

 

 恥ずかしさもありつつも、ギンジがわちゃわちゃし始めたおかげで、作戦は決まった。

 

 オレキエッテ帝国防衛戦の作戦は、城壁を守る兵士、上空からの攻撃に備える配置、コッツ兄妹の完全防壁を造り出す戦い。

 

 城下町はジェノべとクリムパス、アラビア率いる兵士達の防衛戦準備。

 

 そして魔王城突撃に・・・勇者赤鬼率いる英霊・ヘヴンホワイティネスを入れた大突撃作戦。

 

 「ちなみに・・・どうやって突撃するの?何か作戦はあるんでしょ?」

 

 カエデもギンジに近寄りながら話すが、ギンジはあっけらかんとした表情で質問に驚異的なアンサーを返す。

 

 「ああ・・・いや特に何も考えてない。要は魔王の城に突撃して、あの骨をぶっ壊せばいいんだからよ」

 「ハァー!?何も考えてないって何よ!」

 「いやだから突撃しか無いでしょって。俺が飛べても頑張っても最高速度は・・・」

 「あんたが飛べるとかは別に聴いてないわ!!」

 「正面から突撃するしか無いだろ!魔王城にはそれしか接近できねーよ!」

 「だーかーらー、そうなる前にあたし達がどれだけの敵の数に妨害されると思ってるのよ!」

 「なんだ?頭数の有利不利でお悩みか?だったら安心しろよ、俺がお前を守ってやるからよ!」

 

 最後にギンジの発言によって、カエデが黙った。

 

 英霊同士の舌戦においては、どうやらギンジの勝利という事で収まった。

 

 カエデはギンジの言った言葉を受け入れて、顔を赤くしながらも嬉しそうにギンジの口車に乗せられた。

 

 「ほ、本当に正面突撃・・・?」

 

 ケイタも戦える様になったとは言え、ギンジの作戦には不安しか無い。というよりは怖い。

 

 「大丈夫、ケイタの事は、私が、守るから。私のことは、ケイタが守って」

 

 ケイタの恐怖に対してはレンがフォローする。

 

 二人の愛情は間違いなく硬い絆となっており、揺らがない覚悟を再度認識させてくれる。

 

 「さて突撃戦か・・・今回は私は市街戦に徹底した方がよ「ミドリコの姐さんは俺っちが守りやすぜ!ドーンと任せてくださいよ、姐さんを守れるのは俺っちしか居ないんですから!」

 

 ミドリコも赤鬼の熱量に押されたのか、少しどぎまぎしている。守ってもらえるならば、どこかギンジよりも安心感が出てきている。

 

 赤鬼ならば必ずや、ミドリコを守るということを成し遂げそうだ。

 

 かくして勇者一行の勢いに乗せられたオレキエッテ帝国は、次々と士気が高まっていき、魔王城との戦闘に備える戦争準備が始まるのであった。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 魔王軍の進軍。生命の住めない荒野にてそびえ立つ巨城を背中に乗せ、巨大な白骨が魔を纏いながら大きな一歩を踏み出しながら、オレキエッテ平原にまで侵入を成功させた。

 

 途中の国境なんてただの通り道としてみなし、崖も気にせず踏み抜き、道無き道を歩き通した。

 

 魔王城を乗せたこの骨は、骨の怪人だった者をに魔力を注入して巨大化させた最大の兵器に等しい。

 

 一歩を踏み出すだけで生命体を踏み潰す魔城。

 

 魔王アマトリの野望を達成する為の前段階の一つとなり、魔王軍の進軍を開始した。

 

 外を見渡せる魔王城のテラスには、魔界軍師ペペロンチーが優雅に座りながらその手を震わせている。

 

 そしてその隣では破壊元帥カルボーナが、いよいよ襲撃が開始されるとして闘気と魔力をその身から放出している。

 

 「いよいよですわね」

 「おおよ、いよいよだ」

 

 突撃将軍ナポリタの仇討ちと、魔王様の野望の成就。

 

 オレキエッテ帝国の保管する霊石・・・膨大な魔力を無制限にも等しい力を秘めた石を求め、アマトリは神になる事を目的としている。

 

 「この襲撃、もとい進軍は戦争になるか?」

 

 カルボーナの粘つく様な喋り方に、ペペロンチーは何も感じない様にした態度で遠くに見える城壁を眺める。

 

 「間違いなく戦争でしょうね。この巨大な魔王城を移動出来る様にしたとは言え、コレは遅い・・・もう敵もコレに気づいて防衛の準備に入っているでしょうね」

 

 気の強い口調とは裏腹に声音はとても落ち着いている。

 

 眼の前とは言ってもある程度の距離はある。その距離感の中で、これだけ移動速度の遅い巨城が迫れば、流石にオレキエッテ帝国も警戒態勢には入っている頃合いだろう。

 

 あのナポリタを単身で討ち取った勇者が居るぐらいだ。 

  

 それだけコンキリエ魔王軍も本気で勝負を決めにかかっている。

 

 平原の中腹・・・魔法馬で約30分の距離まで歩き詰めただろうか。

 

 地ならしをするかの様な足音が、平原に突風となって吹き抜けていく。

 

 ズシーン・・・ズシーン・・・。そういった音が強くなっていく。

 

 もう死んでいるとは思うが、骨の怪人にもヤル気が満ち溢れているのだろうか・・・。

 

 「この戦争の指揮はこの私が取らせて貰います。カルボーナは真正面からの戦闘に際した全軍指揮を取りなさい」

 「ガハハハ、任せておけ。どちらにせよ、あの帝国に生きている者は誰一人して逃がすつもりはない。それはそうと、お前も出るのだろう?」

 

 この戦争には二人の親衛隊が戦場に出ると言う。

 

 カルボーナはナポリタに代わり、突撃の全軍指揮を。

 

 ペペロンチーは戦場全体の指揮を取りつつ、随時指示を出していく。

 

 全ては魔王アマトリの勝利の為に。

 

 「ええ・・・例え相手が勇者であろうと、民の命には変えられないでしょう。私の作戦では、どんな人間でも人質にしてしまおうと思っているわ」

 

 魔界軍師として相手陣営の弱点に成りうるモノ全て、自分の掌に転がしては、勇者を始め帝国の心を攻撃していこうと考えている。

 

 それと同じ様にカルボーナは破壊元帥の名の通り、帝国のいたる所を破壊して回ろうと画策している。

 

 壊して、奪い、殺す。

 

 最後は魔法で全てを従わせる。あの帝王シシリーでさえも、魔王の足元には及ばせない。

 

 二人の親衛隊がより強い殺気立った魔力を解き放ち、平原に暗雲が立ち込める・・・。

 

 オレキエッテ帝国の城壁はもう見えている。

 

 見下さなくとも城下町の時計塔や、屋根の数々まで全てが見え始めている。これから地獄と化する平和ボケしているあの帝国へ、真の正義となりかわる魔王軍の蹂躙が始まる。

 

 「ふふ・・・今更防衛準備を初めても、もう遅いわ」

 「そうだな。もう手遅れだ・・・何もかも破壊して、全部終わらせてやろうぜ・・・おい、野郎共!!」

 

 カルボーナが叫ぶと魔王軍の兵士達が、出撃の隊列を組み始める。

 

 魔法騎士、突撃兵、魔法部隊、空戦部隊・・・そして魔王に忠誠を誓った亜種族連合・・・。

 

 その数おおよそ2000!

 

 対するオレキエッテ帝国・・・。

 

 兵士120、魔法部隊90、司祭4、魔女1、騎士隊長1、兵長1、魔法少女1、勇者1、英霊5、帝王1、王女1。

 

 「ガハハハ!これは勝ったな!!」

 

 魔王軍の人数であればこの戦は籠城戦に持ち込まれたとしても勝利は確実だろう。

 

 しかし破壊元帥カルボーナも、魔界軍師ペペロンチーも、そして魔王アマトリもまだ、驚異を知らない。

 

 ヘヴンホワイティネスという、最大最強の壁が立ちはだかると言う事を・・・魔王軍はまだ知らない。

 

 魔王城を乗せた巨骨に雄叫びを上げる命令信号を送ると、空気を揺るがし魔力をも跳ね返しては、空の彼方に吐き出される様な咆哮が舞い上がった。

 

 それと同時に巨骨が動きを止めると、魔王城から兵士達が次々と飛び出てはオレキエッテ帝国の城壁へと突き進んでいく。

 

 雄叫びが開戦の合図となったのか、帝国兵士達も魔法を唱え始め、防衛を開始する。

 

 魔法界の歴史に残る戦争の火蓋が切って落とされた・・・。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 「来たな・・・総員!防衛開始ィ!」

 

 クリムパスの号令が城壁中に響き、兵士達がそれぞれ配置に付く。各々の平和、将来の為に覚悟を決めた兵士達は、国の未来の為に今日逃げずに戦う事を選んだ。

 

 結局ギンジの作った作戦で帝国防衛が開始されている。

 

 帝国の城壁に兵士、街に魔法部隊、ジェノべとクリムパスとアラビアの三名が適材適所でそれぞれ役割を交代しながら指揮を取る。

 

 城壁の上ではそれぞれ地水火風の司祭であるコッツ兄妹達が上空の警戒、及び迎撃体制を取っている。

 

 そして帝王シシリーは城壁外全軍指揮。

 

 帝王こそ守らねばならない存在なのだが、民を守る為に彼は恐怖に押し負けそうになりながらも、前線に出る事を決定した。

 

 これこそが帝王としての責務だと、シシリーは豪語した。

 

 城壁の格納庫、兵器や武器が一時保管される戦闘の準備室とも言うべき場所、そこにはギンジ達が魔王軍への突撃の再確認を行っていた。

 

 「で、結局・・・本当に真正面から突撃でいいのね?」

 

 埃っぽいこの部屋では既にカエデとレンはスーツに変身し、ケイタも魔導書の力を開放している。

 

 ミドリコはいつの間に着替えたのか、迷彩が目立つ武装形態に変わっており、軍事ブーツを履いている。

 

 赤鬼はオリハル金砕棒を背負いながら、ミドリコの姿に見惚れて居る。

 

 ヘヴンホワイティネスが集う中、そこには魔法少女サクラの姿もあった。

 

 「正面からの突撃だ。これしか無いね」

 

 ギンジの自信満々の発言に顔が青くなるケイタとサクラ。

 

 「ほ、本当に正面突撃・・・?」

 

 今度ばかりは死ぬ。そんな気がしてならない。

 

 「ケイタくん死にそうな顔してるよ・・・私も正直に言うと正面突撃はどうかなって思うけど・・・」

 「同意。でも、この怪人男は、言っても聞かないし、こうなったらやるしかない」

 

 サクラのおどおどした態度にレンは逆にソワソワしている。

 

 これからヘルブラッククロスと戦う事になるのが楽しいわけではないが、修行によって得た新たな武器の形状を試す良い機会だからだ。

 

 カエデもガントレットのギアを回しては止め、止めては回しを繰り返している。

 

 ケイタも魔導書を開き、文字を確認する。ほとんどのページは白紙で何も無いページなのだが、いつかは魔法の呪文で埋まるのだろうか。

 

 「みんな。ごめんね・・・」

 「どーしたんだよサクラ〜」

 

 珍しく元気の無いサクラ。彼女は友達の宿敵であるヘルブラッククロスの怪人四天王の討ち漏らしが発覚し、それが魔法界にまで飛び火した事を申し訳なく思っていた。

 

 「いや〜・・・本当なら魔王軍だけの戦いだったのに、私のせいで余計な仕事増やしてそうだし・・・」

 

 サクラの言葉には誰も責めない。元よりこの魔法界に来たのもカエデ達の意思であり、ここで強くなって皆でヘルブラッククロスを撃破するためだ。

 

 「今更ヘルブラッククロスの怪人が一体二体来ようと、あたしは気にしないわよ!」

 「そうだな。私達は皆正義の為に戦っているんだ。サクラの産まれた故郷を守る事も、レンの未来を守る事も、私達にとってはどちらも同じぐらい大切な事だからな」

 

 カエデとミドリコが息の合った言葉を投げ、サクラの表情が少し明るくなる。

 

 「そうだなぁ。骨の奴はふんじばって、ここで何してたのか聴くとして、俺っちも気にしてないぜ、お嬢。勇者としてやる事は既に決まってらーな、魔王軍とついでに骨の奴を倒す。そんでミドリコの姐さんを抱k」

 「やめんかバカ者ぉ!」

 「ヌハハハ、ミドリコの姐さんに叩かれると心地良いぜ。どうだい、今晩?」

 「だからやめんかぁ!!」

 

 ミドリコが顔を赤くしながらもマシンガンで赤鬼をぶっ叩く。

 

 「気にすんなよサクラ。俺達は皆何かしら迷惑かけてるからよ・・・俺のこの作戦もそうだし、へへへ」

 「少数での正面突撃が迷惑って自覚はあったのね・・・」

 「ま、これしか思いつかなかったからな・・・」

 「うん・・・ありがとう、みんな。必ず、魔王軍をやっつけようね!」

 

 サクラの故郷を守る為、ギンジ達はそこにも協力の姿勢を出しているのだ。そんな正義のヒーロー達の笑顔に、サクラは心が救われた気分になる。

 

 「さてと・・・戦争、始まったか・・・」

 

 城壁の外では魔法や剣がぶつかる音がし始める。

 

 戦争なんて経験としてあるわけでもないし、知識なんて授業でぼんやり受けたぐらいでしか無い。それでもギンジは怪人である身分からか、自信を持って少数突撃を狙った。

 

 「とりあえず雑魚はこの城壁と王様にまかせてよ、俺達は突撃しやすい様に、少しだけ遅れてから行くぞ」

 「どうして?」 

 

 ギンジには何か考えがあるようで、カエデは疑問が少々あるようだ。

 

 ミドリコも何やら考えている事がある様子である。

 

 「少数で突撃する分には私は構わないが、どうやって行くつもりなのだ?流石に徒歩とかでは無いだろう?」

 「・・・」

 「ギンジ?」

 

 まさかとは思うが・・・カエデがギンジを睨みつける。

 

 「・・・敵を突破しながら正面から行けるかと思って・・・」

 「よし。今からギンジを皆で殴りましょう。好きなだけやっていいわよ」

 「流石カエデの姉御!」

 「・・・ああ、僕たちは死ぬんだ・・・」

 

 ギンジもバカなのだが、今はそこは置いておく。

 

 「でも行くしかないだろ・・・俺達は勇者一行だぜ。魔王城にたどり着く為には、敵をなぎ倒すしかないって」

 「徒歩で行くのは大分難しい問題だぞ、ギンジ」

 

 ミドリコは経験上は戦争に出向いた事は無いが、少数での目的地の突撃には経験がある。市街地戦であるならばミドリコの得意中の得意なのだが、城壁を出た先は平原。つまり何も遮るモノが無く、ただ敵に囲まれつると言う状況になる。

 

 「サクラの魔法に乗り物出せる奴とか無いか?」

 「流石にないよそんな魔法・・・」

 「じゃあ考えてもしょうがねぇや。ケイタも一緒に戦える様になったんだから、全員で背中守りながら突き進むしかねぇな。魔法の馬も借りられないんだし、それしかねぇや」

 

 ギンジだけはこの状況を楽しんでいるのか、怪人の瞳とマッチする不敵な笑みを乗せて、ワクワク感が溢れている。

 

 「しょうがないわね。あたしをちゃんと守りなさいよ。あんたは、このあたしが守ってあげるんだから」

 

 カエデがギンジの肩を軽めに叩きながら、ニッとした笑顔を見せる。二人して眼が合うと鼓動が早まるのだが、また眼をそらす。

 

 「ケイタは私に守らせて」

 「うん・・・僕もレンを、皆を守れる様に精一杯頑張るよ・・・!」

 

 レンとケイタ、二人の恋人が戦争に出る決意を出す。

 

 「私も今回は援護に徹する。皆が全員生きて帰れる様にするんだ。この作戦で失敗したら・・・ギンジの責任だぞ?」

 「解ってるよ・・・全員俺が守ってやるから安心しろって」

 「ヌハハ、なら兄貴と姐さんは俺っちにまかせてくんな!」

 

 ミドリコの圧にギンジは臆していない。何故なら絶対誰も死なないと信じているからだ。

 

 そんなギンジとミドリコに、赤鬼は豪快に笑い飛ばしながら笑顔を見せる。雄々しい角と牙はより悪としての圧を見せている。その力強さは正義の為に使われるのは間違いないが、どうしてもこの顔は悪そのモノに見えてしまう。

 

 「私の精一杯サポートするよ!魔法の力でぜーーんぶマジカルしてあげるわ!」

 「心強いわね!よーしドカンと行くわよ、ギンジ、サクラ!」

 

 もう観念したのかカエデもギンジの少数突撃(徒歩)に乗り気になっていた。

 

 「ヘヴンホワイティネスもこれで6人だ。全員揃ってるし、サクラも居る。絶対に俺達が魔王軍に一泡吹かせられるぜ!」

 

 ギンジがサングラスの無い顔で言うと、その表情はいつもより新鮮でかっこよく見える。

 

 「そうね・・・無謀に思えるけど、あんたが言うならできそうな気がするわ」

 「そうだろ?実は俺も・・・か、カエデが居るからできそうな気がするんだわ」

 

 言い慣れて居ない筈なのに少し気恥ずかしくなる。これも恋ゆえか。

 

 もちろん自信があるのはギンジとカエデだけではない、

 

 レンもミドリコもケイタも赤鬼もサクラも、このオレキエッテ帝国に住む全ての人々もだ。

 

 悠長に話している時間も無い為、ギンジ達はそれぞれ立ち上がる。

 

 「・・・信じてるわよ、ギンジ」

 「頼むぜ、カエデ」

 

 こういう瞬間の二人はとても信頼しあっている様に見えて、どこかミドリコには踏み出せなかった線の様な距離を感じる。

 

 (そうか、ギンジは・・・)

 

 その姿を見たミドリコはギンジの中の、ある成長を見て、それが何なのかを理解した。

 

 (・・・はは、なんだか寂しいな。っと、今はそんな事を考えている場合じゃないな)

 

 これは失恋。それもミドリコが知らない所での、ギンジとカエデの距離感の近づきに、ミドリコは大人の勘で気がついてしまった。

 

 だけど・・・気にしている場合じゃない。今はサクラの故郷を守るために、魔王軍とヘルブラッククロスを倒すのが先決だ。

 

 「よーーーぉっしゃ!行くぞぉあ!」

 

 ギンジの叫びにそれぞれが頷いて、城壁を飛び出していくと、すぐ目の前には魔王の軍勢。

 

 しかし今のヘヴンホワイティネスにはただの兵隊なんて、ほとんどの場合は相手にならないだろう。

 

 軽く蹴散らしながらギンジ達が突っ込んで行ったのを確認すると、シシリーはより一層帝国の剣に力がこもる。

 

 「勇者達が行ったぞ!なんとしてもこの国を守る為に、全員死力を尽くすのだ!!」

 

 帝王の一喝により兵士の指揮が高まり、防衛戦はより激しさを増して行く。

 

 「行くぞ!魔王城!!」

 

 巨大な骨の見下ろす平原に、ヘヴンホワイティネスが叫び、戦争は激化していくのであった。

 

 

 

続く

 

 

 

 




お疲れ様です

相変わらず無理やりかもしれませんが、この物語もとうとう60話オーバー。終わりが見えてきません!

頑張って書くぞー今年も!!!

キャタネタ書きます

佐久間ギンジ
カエデと共にいるならまぁ勝てるやろ精神。
信頼もあるのだが、恋の感情も若干?

神宮カエデ
相変わらずギンジと言い合うのが楽しい。
舌戦で初めてギンジに敗けた。

宮寺レン
真正面からの突撃作戦を聞いた時、ああ、ギンジも怪人なんだな。
って思った。ケイタを守るのは、私。

角倉ケイタ
正面突撃ってマ?死ぬよ?死ぬって!
でもギンジが怖いので何も言わないし、レンを守りたいので言うこと聞いてる。

甘白ミドリコ
久しぶりの武装形態。どこから迷彩軍服出したの。
流石にいつものスーツスタイルでは危ないと判断。
失恋したと決め込んでいるが、心にタスキをしめている。

赤鬼
ギンジの兄貴の作戦ならば自分は一番槍になって突撃するだけ。
ミドリコの心境については、側にいてやりたいと思っている。

小町サクラ
骨の怪人の討ち漏らしをした人。あれは倒したと思うでしょー・・・
魔王軍討伐とヘルブラッククロスの撃破に協力もするし、骨の怪人は必ず倒すと決めた

骨の怪人
良い用に利用されているとも知らずに、魔王城を運ぶ巨大なモンスターにさせられた。意識はもう無いと言うが・・・?

魔王アマトリ
神になるとか抜かしてる

魔界軍師ペペロンチー
妖艶な魔王軍の軍師。自分より弱い男性に返り討ちにあう妄想がお好み。

破壊元帥カルボーナ
不潔な大男。
鉄球ボンバーと鉄球スパイラルが必殺技。特に使う所は無い。
いつか美女を集めて酒池肉林を開こうと考えている。

・・・

次回はついにボーンゴーレの一人、魔界軍師ペペロンチー戦!
乞うご期待!!(期待に応えられる話作りになっているかは不安ですが・・・)

それではまた次回!
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