正義のヒーローヘヴンホワイティネス   作:アトラクション

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こんにちはアトラクションです

少し間が空きましたが、仕事が忙しすぎて泣きそうです。バーナーの怪人、会社を燃やしてくれ!!!!!!

今回のお話はややコミカルよりかも知れません。

それではどうぞ!


62・魔法界でミドリコ愛を語るッ!

 

 魔王親衛隊のボーンゴーレを下したギンジ達は、ついに魔王城への侵入に成功する。

 

 その辺に居る魔王軍の兵士から入り口と、その入り方を物理的に聞き出したギンジ達は、黒と紫を基調とした魔王城の中に入り込んだのだが・・・。

 

 「中は思ってたより綺麗なんだなァ」

 「なんだか寒いわ・・・」

 「お、おい、もう帰ろうぜ」※裏声

 

 赤鬼とカエデが先陣を切り、エントランスに入り込んだ時に、赤鬼とカエデがそんな事を話していたので、ギンジは少しふざけてみたくなった。

 

 実際に中は肌寒く感じ、冷たい雰囲気と落ち着いた空気感に、どちらかと言うとケイタの方が帰りたい雰囲気を出していた。

 

 「ここまで来たのに、敵のお出迎えも無いのか?」

 「余計な戦闘は控えるべきだろう?」

 

 ミドリコの今の姿は黒地のタンクトップインナー。赤鬼の黒い甚平を羽織らせて貰っているが、それでも少し寒い。

 

 流石にミドリコのその姿は、いくら赤鬼のお気に入りと言えどもギンジもケイタも自然と眼がミドリコに動いてしまう為、赤鬼が着せてくれた。

 

 ギンジではこんな事をしてくれない。っというより視野が狭い。

 

 赤鬼の心使いが妙にミドリコの心を波打たせる。

 

 「敵は居ない・・・訳ではないようだが・・・皆、用心して進むぞ」

 

 ミドリコが前もって気配を確認すると、まだ近くには敵が居ない事を理解する。

 

 皆がそれにうなずき、赤鬼とギンジが先頭に立ち、ミドリコとケイタがその後ろに立ち、カエデ、レン、サクラが最後尾に並びながら警戒をしながら進む体制を取る。

 

 「さーて・・・魔王軍も倒して、骨の怪人も再起不能にしてやったら、いよいよこの新しい力でミヤコ救出が待ってるぜ」

 

 ここにいつも居るはずのミヤコが居ない。

 

 場を破壊する事しかしていない彼女だが、ギンジへの愛情は間違い無く本物であり、今こうして再開出来ていない赤鬼は少し寂しくも感じている。

 

 「・・・戻ったらミヤコ姉さんと何をしやすか?」

 「何・・・か・・・」

 

 赤鬼の質問は何気ない内容だ。その前にミヤコを助け出す事が先なのだが、それが終わってからの事であれば・・・。

 

 「兄貴?」

 

 ギンジからの返事は来ない。

 

 (・・・ミヤコも、カエデも、問題がいっぱいあるなぁ・・・)

 

 ギンジは今二人の女の子に恋をしている。

 

 素直じゃなくても自分を信用してくれているカエデ。

 

 少々歪んでいるが、愛情をいっぱい注いでくれるミヤコ。

 

 そして・・・カエデもギンジに恋をし、ミヤコもギンジに恋をしている。

 

 ミヤコを連れ戻してからその先、どうなるのか、何をしたいのか・・・それはギンジにも分からないというのが正解だろうか。

 

 (何をしたい・・・か)

 

 寡黙な表情のままギンジは歩き続ける。いつもなら〈大好きな人達〉の未来を守る為に、ゲームとは違うハッピーエンドに到達するのが目的だが、ゲームの世界とは違うイレギュラーだらけの世界になった今、真にするべき事は何なのか。

 

 その答えはヘルブラッククロスを倒した時に出てくるモノなのか・・・。

 

 「ここでやるべき事を終わらせたらまた考えるよ」

 

 ギンジの返答はいつものギンジらしくない様な答えで、赤鬼は「そうですかい」と短く返す。

 

 「皆、戦闘態勢だ」

 

 ギンジと赤鬼の後ろを歩くミドリコが、気配を見た事で列に緊張感が走る。

 

 「敵が前方から来るぞ!備えろ」

 

 敵の数は外に比べればそう多くは無い。しかし、魔王直属の兵士なおか一人ひとりが強い殺意を宿しており、平原に出撃した兵士よりも強そうな装備を揃えている。

 

 「居たぞ。あれが勇者だ」

 

 赤いマントを身に着けたリーダー格と思わしき兵士が、二本の刃を取り出す。

 

 そしてもう一人青いマントを身に着けた兵士も、同じく魔法の杖を2つ取り出す。

 

 「サクラ、あいつらの情報は?」

 

 カエデの問いにはサクラは首を横に振るだけ。つまり何も知らないということ。

 

 「我々は魔王様の直属兵・・・スプゥと」

 

 赤いマントの男が丁寧なお辞儀をして、青いマントの方もお辞儀をする。

 

 「私がパスータ。ペスカトレ親衛隊がお相手させて貰おう、勇者」

 

 赤いマントのスプゥ、青いマントのパスータ。それぞれの魔王城の警備をしている二人が、手下をぞろぞろと引き連れ暗い通路の奥から現れた。

 

 「・・・赤鬼、先に行けよ。こっちの奴らは俺に任せろ」

 「兄貴一人で行くつもりですかい?だったら俺っちが・・・」

 

 ギンジが一歩先に踏み出し、赤鬼がそれを制止しようとするが、今度は列を抜け出したカエデが赤鬼の前に出てくる。

 

 「赤鬼、皆を連れて早く行きなさい。あたしとギンジで、こいつらを仕留めとくわ」

 

 カエデもギンジと横並びになり、眼の前の敵に集中する。

 

 「赤鬼は勇者なのだろう?魔王の討伐は、君の役目だ。ギンジ達がこう言っているのだ、私も君についていく。行こう」

 

 ミドリコが二丁のサブマシンガンを両手に構えながら、赤鬼の背後に立つ。

 

 「おやおや、勇者とは戦えないのか?」

 

 パスータの魔法が展開されるが、それをサクラの魔法が上書きするように消されていく。

 

 「赤鬼さんについていくのは、私も同じ!魔王を倒さないと行けないんだから、こんな足止めに手こずってる暇はないよ!GOGO!」

 

 サクラが魔法を唱えながらいつでも発動出来る準備をし、レンとケイタも赤鬼とミドリコの背中を守る様にして隊列を組み直す。

 

 「こっちは俺とカエデが引き受けた!魔王は任せたぜ、赤鬼!」

 

 スプゥとパスータが攻撃の合図を出し、兵士達が突っ込んでくる。魔王にあだなす愚か者を排除する為、侵入者を倒す為に、己の使命を全うしようと攻撃を開始してくる。

 

 「でもよ兄貴・・・」

 「赤鬼、大丈夫。ギンジ達なら敗けない。特にカエデも、やる気を出してるから」

 「レンの言うとおりだね!僕も、一人なら怖いけど・・・皆と一緒なら大丈夫だから!」

 

 レンとケイタも赤鬼に親指を立てると、踏ん切りがついたのか赤鬼はオリハル金砕棒を振り抜いた。

 

 「兄貴!カエデの姉御!」

 

 眼前に来た兵士を纏めて4、5人を叩き潰すと赤鬼はその真っ赤に隆起した背中を見せつけつつ、高らかに叫ぶ!

 

 「必ず追いついて来いよ!!」

 「へへへ、誰に言ってんだ」

 「生意気よ赤鬼のクセに!」

 

 その叫びを聞き入れると、ギンジはスプゥへ踏みつける様な蹴りで突進し、カエデはガントレットの叩き下ろしでパスータに突撃する。

 

 周りの兵士達はギンジとカエデに突きこんで来るが、レンが斬り、ケイタが魔導書で叩き、サクラが魔法で吹き飛ばし、ミドリコが射撃援護を行い、赤鬼がまとめて叩き潰す。

 

 道が開けると、赤鬼が先に飛び出し、ミドリコがグレネードガンを引き抜き、狭い廊下に大爆発を巻き起こす。

 

 その爆風を抜けたレン、ケイタ、サクラ。

 

 まだ抜けた爆風の向こう側から兵士が逃さんと迫るが、ギンジとカエデが抜群のコンビネーションで前に現れ、ギンジは殴り倒し、カエデは回し蹴りで兵士達を倒した。

 

 「姐さん!行きやすぜ!」

 

 赤鬼の号令の下、ミドリコ、レン、ケイタ、サクラの5人が奥へと進み、ギンジとカエデはここに残った。

 

 「よくこれだけ集まるわね」

 「悪党ってのは数が多いんだよ。さ、片付けようぜ!」

 

 ヘヴンホワイティネスの二人へ、スプゥとパスータが煙を引き裂き、再度その姿を表した。

 

 「お前達を倒して快進撃を終わらせてやろう!」

 「勇者の前の前哨戦だ!」

 

 二人のペスカトレ、二人のヘヴンホワイティネス。2つの組織の激突がここに始まった。

 

 「お前らに勇者赤鬼が」

 「倒せるかしらね!」

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 魔王。

 

 それはこの世界における絶対悪。

 

 魔王。

 

 それはこの世界における悪なる魔を仕切る者。

 

 魔王。

 

 それはこの世界を支配しようと、強力な魔法で支配する者。

 

 魔王。

 

 魔を統べる王。この世界の神となる存在。

 

 魔王アマトリの野望はいつだって自分が神になること。それしか無かった。

 

 自分が新たな魔王となった時も、魔王になる前の貧しい時代で暮らしていた時も、魔法が全てのこの世界では魔力と魔法の質で生物のヒエラルキーが成立する。

 

 上位に立つ為には他者をねじ伏せる魔法が必要だった。そしてそれは魔王になった今も変わっていない。

 

 この世は結局魔法と力こそが全だ。魔法で他を支配し、国を支配する。次は神となり世界をも支配する。魔法が強い存在だけが生きていける世界にする為に。

 

 (ボーンゴーレが敗れ、勇者が城内に侵入した・・・か)

 

 宝石の散りばめられた天井のグラスから、強い日差しに色を付けた光が魔王の玉座に照らされる。その光を浴びながら魔王アマトリは気怠げに玉座に座り込み、身につけた鎧のきしむ音とその鎧が弾いている色のついた光の反射を眺めている。

 

 現在魔王軍の半数はオレキエッテ帝国に進軍し、もう半数はほぼほぼ勇者一行によって撃破されてしまった。

 

 兵士の報告もそうだが、そんな報告なんてもらわなくても全て知っている。アマトリの魔法によって戦況はあらかた把握している。

 

 自慢の精鋭であるボーンゴーレが敗れた事には驚いたが、魔王アマトリはこんな事では動じない。

 

 所詮神となる為のコマにすぎない。彼ら彼女らも、魔王が神として昇華した時、天使としてその身と魂を自分のモノにしようとしていた。

 

 (残念だ・・・ここで終わりにさせられたのはな)

 

 最後までこの事は話していいない。最終的に全ての目的を達成し、自分が神となった暁には、ボーンゴーレをも切り捨てるつもりで居たアマトリにとって、彼らの敗北はこれからの未来において面白く無い世界に行き着きそうであったからだ。

 

 全てコマに働かせ、最後は自分が全てをもらう。全て奪えば本当の意味での絶望を与えられるからだ。

 

 魔王アマトリの真の目的は神になる事。それは間違い無く魔王軍の野望であり、今もそれは変わらない。そこはただの野望の一部にすぎない。

 

 魔王アマトリは神となり、そこでようやくこの世界を壊す事を目的としている。

 

 自分を慕う者、魔王と崇める者、ただ勝手にアマトリに期待する者、全てを裏切り破壊と支配と残虐の限りを尽くす事・・・それこそが魔王であるアマトリの真の目的。

 

 「誰もが持つ希望を絶望に変えられないのであれば・・・今度は勇者一行にその役目を担ってもらうか」

 

 誰かに聞こえるわけでも無く、魔王アマトリはそんな事を一人で口走る。その虚構の眼差しはどこも見つめて居らず、ただ静かに底の見えない闇を宿している。

 

 「・・・来い、勇者」

 

 新たにこの世界に召喚された勇者がここに現れる事を期待して、全てを破壊しようとする魔王はただ静かに待つ。

 

 やがて暗い王の玉座には魔王の凶悪な魔力が吹き出し、風が吹き荒れる。宝石が埋め込まれた柱や壁、床等がその魔力に呼応する様に怪しく輝きはじめ、その大小様々な色と輝きが、魔王の風格をより一層強くしていく。

 

 勇者と魔王。その2つの相容れない存在の対面の時は近い。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 魔王城一階。

 

 水の上に迷路の様に張り巡らせた黒曜石の通路の上で、魔王を守る最後の精鋭を相手に、ギンジとカエデは激化する戦闘と直面している。

 

 相手はスプゥ。赤いマントの精鋭で刃を腕に取り付けた残烈の魔法使い。

 

 片や相方は青いマントのパスータ。魔法の杖を持つ氷結の魔法使い。

 

 相対するは、ヘヴンホワイティネス。

 

 黒い七歩袖の衣装を身にまとい、金髪の男は怪人佐久間ギンジ。

 

 片や相方は白をメインカラーとして、赤いラインが肩から脚にかけて入ったスーツを身に着けた美少女、神宮カエデ。

 

 この場に居る四人が主な激突を繰り返している。

 

 人数不利をモノともしない彼らに、魔王軍の兵士達は精鋭だと言うのに最早まともな手出しが出来ないでいる。

 

 しかしスプゥとパスータは別だ。

 

 彼らは本気で魔王軍の勝利を信じている。魔の方へと魅入られ、魔を信じ、魔と共に生きる事を決めた者。覚悟の重さや戦闘の為の魔力ならば、兵士達とは違う精神力を秘めている。

 

 「死ねぇ!」

 

 スプゥの両手に持った刃が魔法となり、魔力で形成された攻撃を飛ばしてくる。

 

 「マジカル・スー・マジカル!アイシクルスピア!」

 

 パスータもより高度な魔術で構成された氷の魔法とカエデに飛ばしてくる。

 

 「死ねと言われて死ぬ性分じゃないんでな!」

 

 ギンジの右腕に炎を展開させると、カエデに迫ってきていた氷の魔法を溶かして何も無かった事にする。

 

 続く飛んでくる刃はカエデがガントレットで粉砕する。

 

 「そのガントレット高性能だよなー・・・俺も欲しい」

 「ふふん、いいでしょ。あげないけどね」

 

 どれだけ叩いても斬られても壊れないし、傷ひとつつかない最高硬度を誇るガントレットは、未来の技術によって生み出された最強の兵器のひとつらしい。

 

 ヘヴンスーツの一部、という事はカエデとレンが着用するこれらは未来における兵器という事なのだろう。

 

 今は現代で使われいるが。

 

 「ホラ、よそみしない!」

 

 カエデがギンジの肩を掴んで頭上を飛びながら、パスータの次の魔法を蹴り壊す。

 

 「お前も慢心すんなよ!」

 

 ギンジの炎がスプゥの次の攻撃を妨害し、お互いに背中を合わせた攻防一体のコンビネーションを見せる。

 

 「あたしが貸しにしたのよ!1点ってとこね」

 

 そんな余裕を見せるカエデに、再び氷の魔法が飛んでくる。今度はナイフの形をしたモノが複数個カエデの命を奪おうと飛んでくる。

 

 今度はその氷をギンジが炎で溶かし、パスータに向かって雷を纏った蹴りをお見舞いする。

 

 あまりの速さに反応が間に合わず、パスータが思い切り蹴り飛ばされる。雷を纏ったその蹴りは紫電一閃蹴。かつてギンジがオーク怪人に放ち、その威力を認められた一撃。

 

 そんな攻撃によりカエデのピンチを救ったギンジは、高笑いしながらおどけてみせる。

 

 「おーっとギンジ選手1点リード!」

 「同点でしょうが!」

 

 スプゥの連続攻撃をかわしながら、カエデがそう言い返すと、身を捻りながら赤いマントの懐にまで接近する。

 

 「必殺!」

 

 両腕を後ろに伸ばし、掌に溜めた正義の衝撃を解き放つ。

 

 「メガトン・インパクト!!」

 

 肉体からは聞こえては行けないような強い衝撃音を鳴らして、スプゥが黒曜石の壁まで突き飛ばされていく。

 

 しかしこれで彼らが倒れるわけも無く、立ちあがり様に二人の敵が魔法攻撃を再度行ってくる。

 

 「これでカエデ選手も1点リード!」

 「ふざけるな数え直せよ!」

 「選手だリードだ・・・ふざけるな!」

 

 ギンジとカエデがこんな無駄口を挟みながら戦うのは、言うほど彼らが強くないのだ。

 

 「ペスカトレの意地!見せてやる!」

 

 スプゥが北側から刃を魔法で強化すると、カエデに走り込んでくる。

 

 南側に立つパスータが氷結魔法の鎧を装備すると、同じくギンジに走り込んでくる。

 

 「ふざけるなって怒られたぜ。じゃあそろそろ・・・」

 「本気でやってあげましょっか」

 「・・・本気じゃなかったのか?」

 

 だとしたらつくづく舐められている。

 

 勇者の英霊を相手に敗ける事は許されない。

 

 魔王軍の威信を賭けたペスカトレの二人は、急いで勝負を決めにかかる。

 

 「死ね!英霊!」

 「ここで終われ!」

 

 刃と氷。対するは炎と衝撃。

 

 右手のガントレットに赤いオーラを纏わせ、それに思い切り力を込めて、カエデは強い一歩を踏み出す。

 

 右手に怪人の爆炎を纏わせ、軽く操るその姿は余裕がにじみ出ている。

 

 お互いが背中を合わせ、背後を預けて、信じあった二人の一撃がペスカトレの二人の顔面を正確に狙い、ギンジとカエデの本気の一撃がここに発動される。

 

 「必殺!(きわみ)・バスターフィスト!」

 

 修行で得た力の制御はノーマルスーツでも活きており、元々絶大な力を秘めたカエデの必殺技をさらにその威力を引き上げている。

 

 「ガッハァ・・・!??」

 

 スプゥの顔面を的確に狙ったカエデの攻撃は、文字通り必殺級。容赦の無い悪の凶刃は、悪よりも容赦の無い正義の一撃により、跡形も無く消え失せた。

 

 「燃えろォ!」

 

 右手に走る爆炎をギンジに突撃するパスータへと向ける。

 

 その堅く握りしめられた拳を開くと、火炎放射の如く爆炎が渦を造り、氷の鎧を瞬時に溶かしていく。

 

 「馬鹿な!闇より得たこの魔法が・・・ただの、生物の能力ごときに!!!」

 

 ギンジは怪人。それ故に魔力がない。

 

 だから英霊とは言えど、生物として見られ、ただの生物の固有能力と見られたのだろう。

 

 しかし、そんな能力は闇魔法である氷を凌駕し、パスータの身体を焼いていく。それは烈火の如く、はたまた地獄の業火か・・・。

 

 「まだまだ・・・どんどん燃やすぜ!」

 

 正義のヒーローなのに怪人でもあるギンジは、修行によって身体の細胞を進化させていた。

 

 その進化も今までの能力吸収に留まらず、ギンジが操れる今まで吸収した能力そのモノの強化。

 

 炎を自在に操り、雷を際限なく発動し、金棒はより威力を増して、月はその輝きと共に防御力を上げている。

 

 「がああああ!!」

 

 パスータの叫びが漏れる。炎による火力の高さから、全身中身にまで通っていく熱が広がっていき、身体を焼いて行く。

 

 「・・・はっ!!?」

 

 渦巻く爆炎の中で、パスータはギンジの姿を見る。

 

 炎を操る彼の者の姿は、魔を統べる者に似た気迫と、実力。

 

 実際にその姿を変えて居るわけではないが、黒い羽、紫の雷、黒い炎、力を誇示する砕棒、月夜を支配する王の風格、覇気。

 

 (・・・これでは・・・まるで、まるで・・・)

 

 そして漆黒の中に煌めく赤い瞳。

 

 薄れゆく意識の中で何度か瞬きをすれば、この怪人は元の姿になっている。

 

 魔王・・・。それも力だけで生きてきた怪物。

 

 その姿がギンジに重なって見えたパスータは、逆巻く爆炎に飲まれながらも、黒曜石の壁へと叩きつけられ、その意識を落とした。

 

 「・・・なんだよ、勝ったんだからそんな眼で見るなよ」

 

 炎を集束させて鎮火させ、振り向いてみればカエデが怪訝な表情をしていた。

  

 その目つきはギンジを化け物と称した上での、決して良い方面では無い顔。

 

 「また調子に乗って暴走しかけたんじゃないかって心配になったのよ」

 「・・・それなら大丈夫だぜ。まぁ、確かに調子は乗ったかも知れないけど、殺してない」

 

 ギンジが怪人としてその力を操れば、簡単に奪命が出来てしまう。かつてはそうなる事で暴走しかけていた事もあり、ミドリコにも注意された事もある。

 

 「・・・ギンジ」

 

 魔王軍の兵士は全員逃げ去り、静寂が黒曜石の彩る道を支配する中、カエデはギンジをまっすぐ見つめる。こうしてサングラスの無いギンジを見るのも久しぶりなのもあるが、どことなく二人の鼓動が少し早まる。

 

 「ギンジ、お願いだからもうあんな風にならないでよね」

 「ああ、約束するよ・・・そんな心配そうな顔すんなって」

 

 もうカエデに心配をかけさせたくない。そう思って言ってみた言葉だったが、カエデはまだその表情を緩ませない。

 

 「安心しろよ、もう怪物みたいにはならないからさ。それに・・・お前を守るって言ったんだぜ?その力を手に入れたんだから、なるべくヘヴンホワイティネスに嫌われる様な行動は取らないぜ」

 「うん・・・」

 「それにホラ」

 

 ギンジは取ってつけた様な感じで、カエデの笑顔を取り戻す事にしてみる。

 

 「俺はお前の下僕だぜ?大丈夫だって・・・」

 「・・・絶対よ、絶対に変な暴走しないでよね」

 「おう・・・任せとけよ」

 

 ギンジとカエデの中で笑顔を取り戻し、二人は勇者赤鬼を追いかける。

 

 (・・・本当に大丈夫かしら。やっぱり、心配だよ)

 

 カエデはギンジが好きになってしまったからこそ、彼を強く心配する。怪人に支配されかけていた時と、今の怪人の力を自在に操れるギンジ。

 

 いつか力に溺れないかが心配になる。だけど意気揚々と走り出したギンジを見て、そうならない様に自分がしっかりして、彼をいつでもサポート出来る様にしようと思うカエデであった。

 

・・・・・・・・・・・・・・・

 

 魔王の巨城の広さは想像以上の広さを誇り、黒曜石で彩られた通路は堅く美しい。

 

 宝石を散りばめた窓や豪華絢爛なシャンデリアが並び、しかしそれでも薄暗い通路の奥には大きな闇が広がっている。

 

 扉を開けば武器庫であり、また違う扉を開けば兵士が待ち構えていたり・・・。

 

 「クッソう、どこに進んでも敵がいやがるな」

 

 そんな道に立ちはだかる魔王軍の兵士を蹴散らして進むのは、勇者一行。

 

 赤い肌、雄々しい一本角、太く強い腕、真っ赤な皮膚に似合う黒い怪人の瞳。

 

 その手に携えるのはオリハルコンという希少金属に、様々な希少素材を一つに束ねた暴力の1振りをそのまま際限したかの様な八角の武器。

 

 勇者としての聖なる剣に変わる、悪辣の金砕棒、オリハル金砕棒。

 

 勇者の名は赤鬼。怪人でありながらこの世界の危機に召喚された運命の戦士。

 

 それに続くのは勇者の英霊として召喚されたであろうと言われている、甘白ミドリコ、宮寺レン、角倉ケイタ、そしてこの世界に数多に存在する魔法少女サクラ。

 

 一撃。赤鬼が振り下ろすと、黒曜石を粉砕し、魔王軍の兵士達をなぎ倒していく。

 

 「気合いが入っているな、赤鬼。頼もしいよ」

 

 赤鬼のすぐ後ろでミドリコが二丁のサブマシンガンを構えながらそう尋ねると、赤鬼も背中越しに返事をする。

 

 「せっかく兄貴が俺っちに託したんだからなぁ!気合いも入るってモンだぜぇ!」

 

 空気を撃ち出す一撃を解き放ち一声上げると、討ち漏らした兵士はレンとサクラが敵兵士を軒並み蹴散らしていく。

 

 そうしなくても赤鬼の恐ろしく強い一撃が繰り出されるだけで、魔王軍の兵士は倒されていく。

 

 その新たな赤鬼の武器であるオリハル金砕棒を大上段に構え、振り下ろせば絶対破壊の最強の一撃という言葉がふさわしいモノになる。

 

 暗い通路にそんな攻撃を繰り出し、闇の顔を隠せば赤い瞳がより一層強く輝く。

 

 「フシュウウゥゥゥゥ・・・」

 

 溜めた息を吐き出し、高熱を帯びた赤鬼の吐息が漏れる。蒸気機関の様なその息が飛び出し、真っ赤な肌と鬼の角。

 

 その気迫だけで奥に控える魔王軍の兵士達はもう赤鬼に道を譲る他ない。譲らずに立ち向かえば容赦なく殺される。

 

 まさしく危機(鬼気)迫る。それが勇者赤鬼の姿。

 

 「赤鬼が居れば、前は無敵。でも、油断しないで。もし怪我したらミドリコが、また塞ぎこむから」

 

 レンも赤鬼を仲間として認めているのか、冷ややかな声で忠告を行う。それを聞いていたミドリコは苦笑混じりにレンの口を塞ぐが、もう遅かった。

 

 サクラにも一瞬何が起こったのか分からないぐらいには、素早い動きで赤鬼はミドリコの前に興奮気味にその半裸の赤い身体を見せつけている。

 

 「フーッ・・・フーッ・・・もうどこにも行きやせんので、ここで始めましょうや、姐さん」

 「敵陣のただ中だぞ!っというより、そうやって変に煽らないでやってくれ!」

 「赤鬼さんて本当にミドリコさんの事好きなんだね!」

 

 なんだかミドリコと赤鬼の距離感は、どことなくギンジとカエデの様なモノを感じたサクラが思わずそんな事を口走った。

 

 「そりゃーもちろん」

 

 サクラは知らなかった。

 

 勇者赤鬼がどうしてミドリコを愛する事になったのか。その理由を知ってみたい気持ちはあったのだが、次の瞬間にはその興味本位が後悔に変わる。

 

 敵をあらかた片付けた赤鬼は、手頃な椅子とテーブルを担ぎ出し、それらに全員を座らせる。

 

 まるでロックグラスを傾ける様な腕つきで、赤鬼は険しい表情、目つきで牙を鳴らしながらサクラを始め、ケイタ、レンにも壮絶なミドリコ愛を語り始める。

 

 (あ・・・これは)

 

 ミドリコ、レン、ケイタはかつて初対面した時の事を思い出した。

 

 ※読まなくて良いです

 「そう、あれは俺っちが怪人四天王として真夏の空の下に放り込まれた時の事。任務で出向いた先に、その美女が俺っちの前に現れた。綺麗な肌、大人の女性の気品溢れる見た目、なにより芳醇な女性の香り、そして所構わずロケットランチャーを解き放つその姿勢が他の人間の女にはない魅力を醸し出していたんだよな。なんと言ってもセミロングをウェーブさせたポニーテールも綺麗だし、ストッキングがより魅力を高めて男ならこれに惚れないと行けないと思わせてしまうようなリビドーを隠している。身体が硬い?いやいやこれは最高に柔らかいし、良い香りがするし、弾ける汗、輝く汗、それを俺っちなら全部飲み干せるレベルだ。あとなんと言ってもどんな奴にも優しく厳しくまっすぐに人と向き合うその姿勢がうんたらかんたらで、拳銃を操る指の強さ、小さくて美しい形をした指、間違った事を正義の下に正す事を実行出来る行動力、俺っちはそんなミドリコの姐さんを守りたいと思っちまったんだよな。いつか初夜を迎える様な時が来たら、怪人としてではなく男としてミドリコの姐さんを優しく抱きしめたい。きっとその身体は柔らかくて、気持ちがいいはずだ。ミドリコの姐さんラブだぜ、ラヴ。解るか?この運命の出会いが俺っちをヘルブラッククロスを飛び出してヘヴンホワイティネスについて、姐さんの為に頑張りたいって思えるし、命も賭けられるって思えたんだ。だから今度は姐さんの為になんでもするし、姐さんを悲しませない様に、漢を磨こうと思ってるんだ。再開出来た事で俺っちはフェーズ2にも覚醒出来たし、ミドリコの姐さんが居なかったら俺っちはただの欲望に飲まれたミソッカスと同じになるところだったぜ。ほんと、ミドリコの姐さんを産んでくれた親御さんには絶大な感謝をするべきだなーって思ったんだ」

 

 「つまり俺っちは甘白ミドリコを愛している」

 「う、うん・・・そうなんだ・・・もういいよ、十分伝わったから」

 

 レンのケイタも制止する事が出来ずに結局聞いてしまい、げんなりしてしまう。サクラも顔を青くして苦悶の表情を浮かべている。

 

 ひとまず赤鬼がミドリコの事を本当に愛していて、大切にしているという事は解った、十分に理解ができた。

 

 「・・・〜〜ッ」

 

 当のミドリコは顔を真っ赤にしてしまい、うつむいて顔を隠している。形の良い(赤鬼基準)の耳まで赤くしており、そんなうつむいたままのミドリコに赤鬼は忖度無しに可愛い、綺麗と言った言葉を投げている。

 

 うつむいたままの姿勢で、ミドリコは赤鬼の身体を見る。

 

 とても筋肉質で、硬そうだ。ほんのり汗ばんだその身体の光沢を見ているだけで、硬唾が自然と出来上がり、それをこくりと飲み込む。

 

 腕も太く強い。脚も強靭で強い。雄々しいのは角だけではなく、その身体も、思想も全てがミドリコの心をじっくりと溶かして行く。

 

 (言ってくれる言葉は全部嬉しいが、流石に人間と交際したい。は、初めて交際するならそれぐらいは選びたい・・・)

 

 だが現実的な話しをすれば、ミドリコには出会いがない。

 

 それ故にギンジに恋をしたり、赤鬼に心が揺らいだりしている。理想が高いが故に自衛隊時代も公安でも、遡れば学生の時にも真面目な性格も相まって、26歳になった今でも一度も経験がない。

 

 「だからまぁ・・・魔法界から帰還したら、俺っちは姐さんに求婚するぜ。無理ならその時にちゃんと答えてくれっかな」

 「・・・」

 

 求婚。プロポーズ。その内容はこの場に居る全員が拍手するのだが、ミドリコがジタバタした事でかき消される。

 

 「ダメ、ですかね?」

 

 赤鬼は牙を見せつける様な笑みを乗せながら、ミドリコにちゃんと向いて声を出していく。

 

 「か、考えとく・・・」

 

 プスプスと煙を出す様なミドリコの頭部。実際赤鬼の事は最初に出会った頃に比べればそこまで嫌いではなくなっている。

 

 前までは即断即決で断っていたが、今は考えるという所まで来ていた。

 

 「ケイタ、次は、私達だよ」

 「うっ・・・もっと勇気が出せる様に頑張ります」

 

 レンとケイタも素敵な恋人同士、誰にも入れない様な空気が出来上がる。

 

 (ヘヴンホワイティネスは皆いいなぁ・・・)

 

 サクラは友としてこんな素敵で楽しくて現実離れした恋愛をしているという事実に、心から羨ましくかつ、楽しそうに思える。

 

 恋も戦いも彼らなら仲間と共にいろんな事を乗り越えて行けそうな気がしている。

 

 マージ・ジゴックと戦っていたサクラには協力者も居なかったから余計にそう思える。

 

 彼らみたいな友は、絶対に失わないように全力で手助けして行きたいと、サクラは本気でそう思い始めていた。

 

 「さて・・・そろそろ行きやすか。姐さん!」

 

 ミドリコに赤鬼が腕を伸ばした。立ち上がらせる為に、分厚くて硬い手を開く。

 

 熱烈な求愛を行う男の手を握ると、恥ずかしさと嬉しさと、得も言われぬよく分からない感情が一つに混ざりながらも、ミドリコはその手に力を込める。

 

 優しくも男らしく力強い赤鬼の手を握っていると、鼓動が早まり握り返された自分の手を包む赤い指から眼が離せなくなってしまう。

 

 これが好きになるという事・・・しかしそれは今のミドリコには理解出来ていない、不思議な感情。

 

 ギンジを前にしても出てこなかったのに、赤鬼になるとズキズキと心が激しく動き出す、そんな感覚。

 

 「よーっし!魔王を早く倒して、こんな戦争終わらせよう!」

 

 サクラの号令で再び魔王城の奥へと突き進み始めたヘヴンホワイティネス。魔王との直接対決の時は確実に迫ってきていた。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 魔王の玉座。

 

 ついにここまで辿り付いた。迷路の様な城内を駆け回り、立ちはだかる敵を全て倒し、勇者赤鬼とその一行が魔王の待つ強大な魔力が漂う大門の前まで到着した。

 

 「まだ兄貴達が来てねぇが・・・」

 

 扉の前には大きな石段。その石段にも待ち構えたいた最後の兵士たちを山積みにした肉の椅子の頂上に座る赤鬼がギンジ達の到着を待っている。

 

 「カエデとギンジなら、きっと大丈夫。あの二人なら必ず追いつく」

 

 レンはそう言ってもあの二人が追いついて来ていない事を心配している。ギンジ達が居ないのでは、ヘヴンホワイティネスの士気もいまいち上がらない。

 

 ケイタとミドリコは階段に座りながらしばしの休憩。サクラも同じ様にしている。

 

 「魔王を前にしてこんな所でくすぶってても埒が開かないな。赤鬼、そろそろ行こう。もしかしたらギンジ達なら壁やら何やら色々壊して合流するかも知れないぞ」

 

 ミドリコが冗談めかして喋るが、あながちギンジなら本当にそうしそうだ。

 

 そもそもこんな広大で迷路じみた魔王の城なら、道を開ける為に破壊しても誰も文句は言わないだろう。

 

 「僕も正直怖いけど、ここに居る皆となら魔王にもきっと勝てるよ!頑張ろう!精一杯サポートする!」

 「ヌハハ、ケイタの旦那も男前な事言うじゃねぇか。どら、兄貴達が少しでも楽出来る様に、俺っちが頑張るとするか」

 

 兵士達の山から降りると、赤鬼が扉の前に歩みを進める。

 

 怪人だと言うのに勇者としてこの世界に降り立った赤鬼は、この魔法界に蔓延る巨悪、魔王軍との最後の戦いにまで来たのだ。

 

 ここまで来れば、ヘルブラッククロスだとかヘヴンホワイティネスだとかではない、自分の使命に忠実に戦いに出向かなければならない。

 

 自分の愛する人との未来を取り戻す為に、そして自分の命を拾ってくれた帝国の未来も守る為に。

 

 赤鬼が扉の前で最後にもう一回だけ後ろを振り向く。

 

 ミドリコ、ケイタ、レン、サクラが少し遅れて赤鬼と横並びになるだけで、石段を降りきった先の闇の向こう側からは誰も来る気配が無い。

 

 「・・・行くぞ」

 

 喉をうならせる様な赤鬼の言葉に、全員がうなずくと、勇者である赤鬼が先に扉を、自慢のオリハル金砕棒で粉砕した。

 

 思い切り力を込めたその一撃により、豪華な装飾の扉が破壊され、煙の奥から赤鬼達が進軍を開始する。

 

 大広間とも見える様なその扉の先の空間には、外よりも強い魔力で満ち溢れた威圧にも感じる緊張感が走っている。

 

 そして捉えた視界の先の王座に座るは、魔王の姿がそこにはあった。

 

 「来たか」

 

 漆黒の鎧を身に着け、暗黒に染まった魔力が掌から展開される。

 

 いきなりの攻撃に警戒するが、魔王はその魔法によって、侵入してきた5人の人数分の椅子を用意する。

 

 ここに来て椅子・・・?とは思いつつも赤鬼はその椅子を蹴飛ばす。

 

 「丁重にもてなすってのか?ええおい、魔王さんよぉ」

 

 威圧的な態度を崩さない赤鬼。蹴飛ばした椅子は魔王を超えた奥の壁にぶつかるとぐしゃりと破壊されていく。

 

 「血気盛んだな、勇者よ」

 

 漆黒の鎧が目立つ姿でいる魔王アマトリは、赤鬼の態度を気に入った様子で、微笑を浮かべている。

 

 「魔王・・・この進軍を止めてくれないかな」

 

 サクラが魔法の杖を握りしめながら魔王にその声を飛ばすが、魔王は微笑を浮かべたままサクラには目もくれない。

 

 「勇者よ」

 

 魔王アマトリは座ったままそこから身動き一つ見せず、赤鬼を見つめているだけ。

 

 「お前の力・・・全てここで見ていた。気に入ったぞ、我が魔王軍と共に世界を手に入れないか?」

 「あいにく世界にゃ興味がないなぁ」

 「我が魔王軍に加入し、世界を取れば・・・その半分はお前にくれてやろう・・・どうだ?悪い話しではないだろう?」

 

 魔王アマトリの己の目的の為に、希望を持たせて持ち上げて、絶望を見せつけて転落させる新たなコマが必要だ。

 

 その為にボーンゴーレをも乗り越え、自分の直属の兵士を蹴散らしたこの勇者が欲しい。

 

 きっとこいつにも絶望を見せてやろう。何をしても取り返しのつかない悲しい絶望を見せつけてやりたい。

 

 「ん、半分か・・・」

 

 顎に手を当て、牙をこすりながら少し考えてみる。この美しい世界の半分、そんな世界をミドリコと共に生きていけるなら、それも悪くは無い。

 

 「世界の半分ってのぁ、具体的にはどうやってくれるんだ?」

 「知れた事・・・我が魔の力を使えば、簡単だ。お前の愛する人や、気に入らない人物を区別し、そして全て生かすも殺すも・・・貴様しだいだ勇者・・・だから我が魔王軍に入らないか?」

 「そうかい・・・」

 

 レンもケイタもサクラもミドリコも、魔王の提案には反対の意思を見せている。

 

 だとすれば赤鬼もそんな美味しい話しに乗る気は無い。

 

 そもそも悪意がこびりついて、裏に何か隠しているのはミエミエなのだ。

 

 最初から協力するつもりはないし、魔王の言うことを聴く気も無い。

 

 「どうだ?勇者と英霊達よ」

 

 赤鬼の答えは・・・。

 

 「ヌハハ・・・いいぜ」

 

 オリハル金砕棒を一気に振り抜き、魔王アマトリの頭上をめがけて思い切りぶん殴る。

 

 「・・・どうかしたかね?」

 「チィ!」

 

 しかしその一撃は今日初めて通用しなかった。闇の魔力によって形成された魔法の障壁が赤鬼の攻撃を防いだのだ。

 

 「雑魚とは違うみたいだな!」

 「一度死ぬ思いをしないと、交渉も出来ないのか・・・」

 

 魔王の指が空間をなぞると、赤鬼の身体の眼の前で大爆発が起こる。

 

 黒い魔力と黒い光が怪しく蠢き、赤鬼の身体を包むとミドリコの居る所まで赤鬼が吹き飛ばされる。

 

 「大丈夫か!?」

 「ぬあー・・・問題ないぜ、かすり傷みたいなモンよ」

 

 次はレンがビーム剣を取り出し、魔王に突撃する。そこへサクラも魔法を展開するが、二人ともまとめて魔王アマトリの黒い魔力によってその身体が包まれると、再び爆発。

 

 「・・・お前らが止まらねば、この進軍も止めん。早く決断をよこせ、さもなければこの城を再び動かし、オレキエッテ帝国を破壊する」

 

 無情な提案。受け入れれば、進軍を止める。受け入れなければ、この城を乗せている巨大な骨の怪人を動かすと言う。

 

 そんな事をすれば、サクラの産まれた故郷が破壊され尽くしてしまう。

 

 「そんな事・・・絶対させないんだからッ!」

 「お嬢、俺っちも同じだぜ。こんな綺麗な世界を、こんな奴にぶっ壊させてたまるかってんだ」

 

 爆発から抜けたサクラとレンが赤鬼とミドリコの前に降り立ち、ケイタは魔導書を構えている。

 

 「テメェみたいな三下に構ってる暇ぁ無ぇんだわ!帝国の恩義によって、俺っちはテメェを討つぜ!」

 

 勇者としての咆哮を上げると、赤鬼達は再び突撃する。

 

 魔王を撃破し、この魔法界の平和を取り戻す為、赤鬼は魔王アマトリの撃破に挑む。

 

 

 

続く  

 

 




お疲れ様です。

勇者なのに蛮族みたいなやつですね、赤鬼って。

キャラネタ書きます

赤鬼
ミドリコ愛を語らせたら右に出る者は居ない。
まじでミドリコの姐さんを抱く妄想で夜が楽しみすぎる。もうたまらん

甘白ミドリコ
赤鬼の黒い甚兵衛を着せてもらっている。
赤鬼の身体をみてこくりと唾を飲むぐらいには何かを感じた。
もうこれ恋してませんか?まだしてないと言い張るの?あ、そう

佐久間ギンジ
なにやら細胞まで強くなっている。炎と雷もさらに自在に操れる様になり、その威力も上がっている。

神宮カエデ
なんだかギンジの後ろ姿を見ていると心配になってしまった。闇堕ちとかしないで欲しいな・・・

宮寺レン/角倉ケイタ
二人は最高の恋人。

小町サクラ
魔王とついに対面。変な事を口走る魔王にイライラマックス。

魔王アマトリ
名前の由来はアマトリチャーナ!!!(二度目)
闇の魔法のレベルはペペロンチーよりも遥かに高く、詠唱も無しに強烈な威力の魔法を発動出来るが、赤鬼とレンとサクラにはあまり効いていなかった。

スプゥ/パスータ
魔王直属の精鋭・ペスカトレのリーダー。
赤いマントがスプゥ。童貞
青いマントがパスータ。童貞
名前の由来はペスカトーレ
二人合わせてスープパスタ。

魔王軍
ヘルブラッククロスで言う所の戦闘員ポジ。

ヘルブラッククロスの怪人達
「はやく出番をよこせー」すいません

・・・

次回は本命、vs魔王戦、開始!ド○クエで言うならラスボス戦!

ギンジとカエデはちゃんと合流出来るのか!!
そして魔王を相手に勇者赤鬼は勝てるのか!

次回もお楽しみください
感想、応援お待ちしております!

それではまた次回!
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