正義のヒーローヘヴンホワイティネス   作:アトラクション

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こんにちはアトラクションです

今回はキラーエリート2となっております。そういえば前回のお話で通算70話を超えていました。

っと言うわけで、70話突破記念の番外編を現在執筆中です。いつ出せるか?知らん。

今回のお話は自分なりに少し攻めた内容となっており、運営に怒られないか心配です・・・

それではどうぞ!


69・キラーエリート・2

 今の時間は夜・・・ギンジ達を魔法界へと向かうのを見送った瞬間だった。 

 

 あれからそれぞれの怪人との戦いを終えたレイナとルカは、二人で友人の手助けの為に動いていた。

 

 銃の怪人も謎の怪人もなんとか撃退に留まり、レイナとルカも合流。

 

 時刻は不明だが夕方、夏の夕日が美しくなるこの時間帯で、レイナはカエデの所へ、ルカはケイタの緊急連絡を聞き入れ、手助けに。

 

 そして同時刻──カエデハウスは公安の柏木タツヤと名乗る人物が連れて来た、鋼の怪人、蜘蛛の怪人による襲撃で半壊してしまっている。

 

 ギンジも戦闘が入ったのか、手酷く敗けている。

 

 サクラの合流もあり、なんとか新怪人四天王を退ける事に成功しても、今やヘヴンホワイティネスは風前の灯に近い状況。

 

 そんな中サクラの生まれ故郷である魔法界が大ピンチだという、窮地の連続。

 

 ギンジ達は今より力をつけるために、魔法界へと飛び立った。

 

 「・・・ギンジ」

 

 工場エリアの魔法門のある鉄骨部屋で、静かに想い人の名前を口に出すレイナ。心配と寂しさを残した哀愁漂うその後ろ姿に、ルカも同じ想いを背負ってしまう。

 

 「レイナさん・・・僕達は出来る事をしよう」

 

 ルカがそう告げると軍服を着用する豚顔の怪人、オーク怪人も鼻を鳴らす。

 

 今この場に居るのは、レイナ、ルカ、イロ、オーク怪人の4名。

 

 いずれもヘヴンホワイティネスへの協力者である。

 

 「そう、だな・・・」

 

 ギンジの怪我を思い出すと、どうしてもいたたまれない気持ちになる。

 

 「ブヒ、これからの行動はどうするのだ?」

 

 オーク怪人が軍帽を直しながらルカとレイナへと視線を送る。その目つきの鋭さと威圧感に、ルカとレイナ、そしてイロも怖気が少し立つ。

 

 共同戦線を走り、オーク怪人並の強敵と何度も対峙してきたルカとレイナは、これぐらいでは引かないが、イロはかつて音楽堂でシバカれてからは、怪人の存在の恐怖感を持っている。

 

 「どうするもこうするも、すべき事は色々あるな・・・」

 

 先ずはミドリコの逮捕状の解除をするために、レイナは警察庁へと向かい、ここから彼女の身の潔白を証明しないといけない。

 

 その間ヘルブラッククロスの怪人や悪事の足止めは、全てルカが行う。防衛の要として、ムーン・パラディースがその役目を買って出た。

 

 次にドクターミヤコの居場所特定、及び救出。これはオーク怪人が行う。彼女の側近である事を生涯かけて誓っているオーク怪人は、なんとしても自分の親の様な存在を助け出したい。

 

 「やる事はそれぞれ決まったな・・・ブヒ、では先に行かせてもらうぞ」

 

 オーク怪人が急ぎ目にそう話すと、むき出しの鉄骨に脚をかけて飛び出した。迷いない行動を開始したオーク怪人は、体重の重さも相まって一瞬でコンクリートに落ちていく。

 

 重苦しいほどのコンクリートの激突音を鳴らし、着地した瞬間オーク怪人は走り出す。まずはドクターの居場所を特定する為に、味方をみつけないと行けない。

 

 スマホを取り出しすぐに連絡をする。手助けが必要だからだ。

 

 今ギンジ達が居ない中、無理をすれば確実に敗ける。そうならない為にも、オーク怪人はミヤコを愛するあの怪人にコンタクトを取る事にする。

 

 「もしもし、雪の怪人か?」

 『はい。こちら安心、信頼、ミヤコ様の忠実なる僕、雪の怪人です』

  

 ふざけているのか、それとも真面目なのか解らないが、雪の怪人に繋がって良かったと安心する。

 

 「ブヒ、貴様に頼みたい事がある」

 『この私に貴方が頼み事?随分偉くなったのね?』

 「・・・ドクターが危ない」

 『はやく言ってそういう事は!』

 「高飛車な対応をしてきたのは貴様の方だろう!」

 

 オーク怪人が怒鳴ると、雪の怪人は息を飲む雰囲気を出して、思い切り泣き出した。

 

 『うわーん!オークがぶった〜』

 「叩いてない!いいか、ドクターがかつてないピンチだ!貴様の力が居る!今どこに居る!」

 

 こんなやり取りで時間を使っている場合ではない。ついつい語気が強くなってしまうが、それが帰って雪の怪人の泣き虫心を加速させてしまう。

 

 『びえええええ』

 『むっ!暴力の!雪のが泣いているぞ!また暴走するかもしれん』

 『オイオイまたかよ!もうかんべんしてくrプツッ・・・。

 

 そこで通話が途切れてしまった。聞き覚えのある声がしたような気がするが、今はそんな事を気にしている場合ではない。

 

 「・・・あいつは役に立たなさそうだな・・・」

 

 残念ながら雪の怪人とのコンタクトは失敗した。

 

 ならば・・・。

 

 「ブヒ。次の手段と行こう」

 

 オーク怪人の確定未来でどこに誰が何分後に現れるかを検索してみる事にする。

 

 繁華街エリアの路地裏迷宮には、戦闘員。

 

 湾岸エリアには見たことのない謎の怪人。

 

 住宅街エリアには、粘液したたる美女の姿・・・。

 

 (どれも直接ドクターに関わる事ではなさそうだな・・・どうするか)

 

 ひたすら思考を巡らせ、オーク怪人は工場エリアを駆け抜けた。

 

 そんな小さくなっていくオーク怪人を見下ろし、レイナとルカとイロは鉄骨部屋の中でこれからの作戦会議を開始する。

 

 どこに潜んでいるから解らない怪人や、戦闘員の襲撃を減らすための作戦会議だ。

 

 「山吹さんは先ず最初に、帰宅するべきだろう。ああ、ただご自宅が無事とも限らないか・・・」

 「私は正直腕が痛いからね?ここから動きたくないのが本音だけど?」

 「僕の家に来ますか?」

 

 度固化市に居るよりかは、隣の意対化市に居る方が安全だろうとは思うが・・・。

 

 「意対化市まで連れて行くのは難しいかも知れないぞ・・・敵がどこに居て、どれだけ未知数の怪人が来るのかも解らないからな・・・」

 

 レイナが顎に手を添えて慎重に発言していく。各々やる事はあるとしても、今となっては普通の一般市民となんら変わりない山吹イロを守らないと行けない。

 

 彼女の安全を守りながら、この場を離れ全てを片付けないと行けない・・・と、するとそこでレイナが長い髪を手で払いながら、イロを見つめる。

 

 怪我をしているイロは左腕を武者の怪人に斬られ、手首から先を切断されてしまった。しかしサクラの治癒の魔法により、なんとかくっつけて貰っている。

 

 安静にした上で病院に行かないといけないのだが、今はそうも言っていられない。

 

 さてレイナだが彼女はイロを守れる絶好のロケーションを思いついた様で、打ちっぱなしのコンクリートに寄りかかる。

 

 美しい戦う女性の笑顔を見せたレイナは、ルカとイロに提案をしてみる事にした。

 

 「どうでしょうか、全員で私の拠点に来るのは。まぁ、拠点と言ってもただの教会なのですが」

 「教会、ですか」

 

 レイナの提案は自分の住む教会へ一度全員で帰還すると言うこと。

 

 「もうどこでも?安全な場所なら、そこが良いよ?」

 

 出血は収まっても怪我の具合が良くないイロは、顔色悪くそう言うとレイナは頷いて返事を返す。

 

 「今ご自宅に向かっても危険が伴いますし、明日以降合流するのは大変ですしね。私には貴女が必要です」

 

 レイナがイロを必要とするのは、もちろんミドリコの無実を証明するのに、公安のトップが必要だと言うこと。

 

 件の大幹部でもあり、公安でもあった柏木タツヤに裏切られ、イロの精神は非常に参っている。

 

 となれば落ち着いて回復出来る場所はレイナの言う教会しか無いだろう。

 

 「一度全員で私の住む教会に行こう。後の事はそこで決めるとして・・・」

 「質問があります」

 

 レイナが決めた事に対し、挙手をしたのはルカだ。レイナから見ても以前より強くなった雰囲気を醸し出しており、一人の心に二人の意思が宿っている様に見える。

 

 「よろしい。ではどうぞ」

 

 微笑を浮かべるだけでも美しさを醸し出すレイナの表情に、ルカは女性として尊敬の眼差しを向けている。

 

 「はい!敵の襲撃にはどう対処しましょうか・・・?」

 (あんたね・・・)

 

 少々的外れな質問にアキハがついに口を挟むが、レイナはクスリと笑う。口元を抑え、長い髪が揺れる、その仕草が八頭身のモデル体型と相まってとても美しい。

 

 (こんな人に想われているなんて、ギンジは幸せ者だなぁ)

 

 会話に聞いたぐらいでしか無いが、レイナはギンジへ想いを寄せているらしい。こんなに強くて、女性としても優劣がついてしまいそうなレイナの大人の女っぷりに少し自分の立場が危ぶまれるのでは無いかと、本当に少しだけ考えてしまう。

 

 (あ、いやいや!僕はギンジを好きじゃないし・・・恩義があるだけ。うん。変な事は考えちゃだめだ)

 

 脳内で考えている事は全てアキハには筒抜けなのだが、それを忘れてしまい、自分の考えに没頭してしまう。

 

 「では、そろそろ行こうか。山吹さんもつらそうだし、教会に行けば多少なり治療出来るモノはあるだろう。治癒の札とか、退魔治療、とかな」

 

 レイナの仕切りによって、鉄骨部屋に残された女性陣は魔法門を背に、この部屋を跡にする。いつヘルブラッククロスに襲われるかも解らないこの状況ではあまり長居もしていられない。

 

 レイナが最後に魔法門へと振り返ると、小さく「ギンジ・・・」とつぶやいていたが、ルカもアキハも聞こえないフリをして、工場エリアを出て行こうとしたのであった。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 同時刻──オフィスビルエリア公安局前、車道。

 

 夜から真夜中へと移ろうとするこの街は、時間もあって人通りは少なくなっていく。

 

 しかしオフィスビルエリアには終電を目指すサラリーマンや、酔っぱらいを保護する警察などで右往左往しており、仕事の場所が集うエリアとは思えない騒がしさが一日中続いている。

 

 そんなオフィスビルエリアの通路のど真ん中、車道に該当する部分において生足をひたり、ひたり、とコンクリートつけて歩いている女性が居た。

 

 形の良い脚に光沢感あるレオタードに似た服を着用する、胸のデカイ女性が歩いていた。

 

 誰も彼もがスレ違えば、その色香と妖艶さに目を引き、巡回する警察でさえも生唾を思わず飲んでしますほどである。

 

 すべすべしていそうな瑞々しい肌、スラリとした腕、腰のくびれと大きな胸と豊満なヒップに、疲れ切ったサラリーマンが目の保養と言わんばかりに遠目で撮影していたりする始末だ。

 

 真ん中分けの長い髪の間から覗かせる瞳は、タレ目で口は大きく、厚めの唇と高い鼻、全身からまろみでるフェロモンがこの街の疲労を吹き飛ばしてくれそうな雰囲気がある。

 

 そしてなにより・・・。

 

 「な、なんだこれ・・・この白いの・・・」

 

 一人のサラリーマンが、冷えて固まった固形のプルプルをつついてみる。

 

 プリンの様にプルプルしたその固形は、表面が少し濡れているのが解る。この夏には似合わない冷たさも相まって、あの女性の歩いた後には一筋の線となって道を作っている様にも見える。

 

 白濁としたソレは男性サラリーマンの欲を掻き立てる。リビドーが一気に膨れ上がり、ヌルヌルでプルプルの固形粘液に指を突っ込んで見る。

 

 「う、うわぁ」

 

 普通の人間の判断ならそんなモノを、触ったりはしないだろう。

 

 だが疲れ切ったサラリーマンはもはや自我を失っているのか、その白濁のプルプルに指どころか手首までを突っ込む。

 

 ぶぴゅっ・・・ぐちゅっ・・・どろぉ・・・。

 

 そんな音を鳴らした固形粘液は形を維持できずに、熱いコンクリートに溶け込んでく。

 

 それと同時に・・・。

 

 「んっ!?〜〜〜おおおおんッッ!!!?♡♡」

 

 サラリーマンが全身を弓なりに仰け反らせ、よだれも涙も汗も、全ての体液を絞り出すかの如く、嬌声を上げて夜空を向いて倒れた。

 

 「あひっ・・・♡あへぇ♡」

 

 ビクビクと動くそのサラリーマンは一切苦しそうな顔はしておらず、むしろその逆・・・この世の楽園にでも居るかの様な恍惚な表情を浮かべてだらしなく口を開いている。

 

 「ククク、ひっかかったわね、おバカなお猿さん♡」

 

 生足でアスファルトを歩く女性が、ぬらりとした牙を見せつける様に嗤う。表情はとてつもなく蠱惑で、見る者をそれだけで魅了しそうな笑みを浮かべている。

 

 彼女の名前は女王ナメクジの怪人。

 

 見る者を引きつけ、その粘液は男女問わず【極楽】の快感へと誘う、ヘルブラッククロス・怪人キラーエリートの一人。

 

 「さぁーって♡」

 

 腕を広げて非常にエロティックな仕草で、サラリーマン、警察、酔っぱらいに自分の身体を見せつける。

 

 大股開きでしゃがみ込むと、どんどん男性達の視線がいやらしく粘つく様なモノに変わっていく。

 

 こんなモノを見せつけられて、我慢出来る男性は居ない。そこには女性も居たが、女性も目を離せなくなっている。

 

 「皆で気ん持ちよくなりましょぉッ♡」

 

 後頭部にまで上げた腕を開くと、両手の間からニチャニチャといやらしい音を鳴らして、糸を引いている。

 

 ごぼごぼと、その両手から粘液を放出すると、腕を再度上に振り上げる。先程の固形粘液が夜空に舞い上がり、それが雨みたく振り出してくる。 

 

 べちゃりと顔にかかるだけで、女性は発情しきった動物の様な表情になり、近くの男に突撃を始める。

 

 運悪く飲み込んでしまった男性は、一瞬で脳みそが溶けてなくなってしまうような強烈な快楽が襲いかかり、意識は無いのに身体が貪欲に気持ちの良い快楽を求めて動き始める。

 

 「あー最高♡こんな馬鹿共、とるにたらないっての・・・どうせ従わせるなら、最初からアメの方が良いのよ♡」

 

 指先で粘液を動かし、プルプルとしたその小さな白濁固形は、指から飛び降りてアスファルトへとポトリと落ちていく。

 

 見れば意思を持っている様に見えるそのうにょうにょ動く粘液は、びっしりとアスファルトに走っている。

 

 無数の粘液のナメクジ達が、いよいよ公安局の近くにまで迫り、そのガラスの扉に、女王ナメクジの怪人の子供達が一斉に襲いかかった。

 

 無数の軍列の様に統制された動きで、小さな粘液生物達の統率された動きによって、オフィスビルエリアはおろか、正義の象徴である公安局に二度目の襲撃が始まった。

 

 「ぜーんぶ気持ち良くしちゃっていいわよ♡全部、食べちゃいなさい♡」

 

 女王ナメクジの怪人の登場により、それまでオフィスで動揺していた警官達に現実を知らしめる時が来てしまった。

 

 「お腹いっぱいになるまでねぇ!!♡」

 

 腕の粘液を左右から来る警察へと飛ばし、弾丸の様な速さで飛び出す粘液を警官に当てると、その場で嬌声を上げて警官が倒れ込む。

 

 それをチャンスと見たナメクジ達が警官にむらがり、望まぬ粘液快楽を無理やり与えていく。

 

 「ヒィっ!」

 

 女性警官と眼が合った女王ナメクジの怪人は、怯えきったその人を見ると、ニンマリと笑みを浮かべて口を開ける。

 

 ゴボゴボとした泡立つ粘液を女性の顔にかけると、女性警官はそのまま意識を失い、そしてすぐに白目を向きながら赤くした顔のまま無理やり動かしていた。

 

 「そうよ、本能のままに自分の欲をさらけ出してぇ♡」

 

 公安局1階のオフィスはモノの数分で占拠した。誰一人として死者を出さずに、誰一人として反撃を許さずに。

 

 「んー♡柏木様も、ドクターパープルも容赦が無い・・・♡素敵だわ〜・・・いつか食べちゃおうかしら♡」

 

 脚にしたたる粘液をこぼしながら、女王ナメクジの怪人は階段へと一歩を踏み出していく。

 

 ヘルブラッククロスからの命令を遂行する為に、そして確実に殺さないと行けない人物を探す為に・・・。

 

・・・・・・・・・・・・・・・

 

 「これは何事!」

 

 アキラが第1のオフィスで叫んだ。怒号の原因は監視カメラに写っていた、謎の女性の襲撃。資料でしか見た事が無いが、あれはおそらく怪人。

 

 どうしてこのタイミングで来たのか。何故、この夜というタイミングなのか。

 

 「第1の責任者は誰!」

 

 大男の側近と共にオフィスで叫ぶ。一人恰幅の良い中年の男性警察が、手を出して答えを出す。

 

 「か、柏木ですが・・・」

 「柏木・・・?彼は今どこに?」

 

 アキラが係長のプレートをつけた男に詰め寄るが、係長には解らない様だ。最近は外出が多く、よく公安のオフィスを出ていると聞いているとの事。

 

 「ああ、でも最後に出勤がかぶったのは、今朝ですね」

 「今朝・・・今日は何日だったかしら」

 

 アキラがうーんと頭を捻りながらカレンダーを見る。

 

 今日の日付は8月25日だ。今の時刻は・・・22時を回る頃なのを確認出来た。

 

 今朝・・・それは丁度甘白ミドリコが逮捕状を発行された頃、そしてその時の逮捕状発行者の確認を急ぎ脚で行うアキラ。

 

 「・・・!」

 

 恰幅の良い係長と共にそれを確認をすると、その発行者には意外な名前が出てきた。小鳥遊アキラも、そして公安局では知らない者は居ない、検挙率もトップクラスのこの公安局のメンバー。

 

 組織犯罪対策科第一班の中でも中心人物となる男、その名前もはやはり小鳥遊アキラも知っている柏木タツヤの名前が出てきた。

 

 せっかく犯人を逮捕出来るかも知れない日だと言うのに、今朝・・・その姿を見たのはこの係長だけだと言う。

 

 「相変わらずあの若造は何を考えているのかわかりやしませんよ。今どこに居るのかも・・・」

 

 係長が言うには緊急の報告でさえ連絡がつかなくて困っている・・・それはいつもの事なのだが、前回の凍結事件みたく公安局が怪人という得体の知れない存在に襲われているのに、誰とも連絡がつかないと困り顔を見せている。

 

 (きな臭いな・・・)

 

 アキラにはここで、この瞬間、何かがつながる感じが頭の中で出来上がっていた。まるでこの柏木タツヤが裏で何をしているかの様な・・・それも報告も連絡も相談も無しに・・・。 

 

 「あっれー♡まだ居たの?♡」

 「ッ!?」

 

 ここまで怪人が迫ってきていた。何も気づかない訳ではなかったが、それにしても早すぎる。ここは公安局の10階、エレベーターでしか来れない場所なのだが。

 

 「貴様ッ!」

 「!だめだ、よせ石川!」

 

 アキラの制止も聞かずに、アキラの側近である大男・石川が特殊警棒片手に突撃を果たすも、白濁した液体にその身体を飲まれてしまい、大の字に倒れてしまった。

 

 「んっほおおお♡♡!!!?!???!?♡」

 

 聞いた事のない男の嬌声に、アキラは怖気が走る。

 

 「あー直撃したね♡もう廃人確定ッ♡」

 「私の部下に何をした!」

 

 これはもう緊急事態だ。アキラと係長が迷い無く拳銃を引き抜いて、威嚇射撃の体制を取るも、係長の頭上からどろりと大きな固形粘液が覆いかぶさる。

 

 「〜〜〜ッ♡♡♡」

 

 中年男性の嬌声は聴くに絶えない絶叫。それを間近で聞いたアキラはいよいよ切羽詰まった状況に追い込まれた。

 

 周りを見渡せば第一のオフィスは、白濁とした粘液と、小さく蠢く蟲みたいなモノがそこら中ににうにょついていた。

 

 「ねぇ〜♡こいつ探してるんだけど知らない?♡オネェさん美人だから、特別に生かしておいても良いよ♡」

 

 胸にぴっちり張り付いたレオタードから粘液がたっぷり染み込んだ写真を取り出す。その写真に見える人物は左顔のアングルと真正面のmの黒写真に、いやらしく白濁とした粘液がまとわりついていた。

 

 見るだけでも嫌悪感を抱き、それでなくてもこの粘液の香りが鼻を刺激し続けている。

 

 「・・・これは」

 

 アキラが見せて貰った写真は間違いなく、今朝から事情聴取をしたあの男・・・セクハラで有名、勝手に人の有給を使う事で有名、職務怠慢で有名・・・。

 

 「藤原さん・・・」

 「へーこいつフジワラって言うんだ?♡名前も解ったから、もういいよ♡たーっぷり気持ちよくなって♡どうぞ♡」

 

 女王ナメクジの怪人の指示で、ナメクジ分隊が一斉に動き出す。

 

 「だっがっ・・・なしさん!」

 

 大の字に倒れた石川が、ローラーの付いた椅子でアキラを乗せると、思い切り蹴飛ばして粘液溜まりの無い所へと転がしていく。

 

 「逃っげ・・・おほぉッ♡」

 「石川!」

 

 側近石川はアキラの決死の想いで逃がす事に成功すると、ナメクジ分隊に飲み込まれてしまい、中ではぐちゃりぐちゃりと媚声を上げながら、粘液にかき消されていく。

 

 「へぇ〜♡精神力が強いと、こうなるんだ〜♡」

 「このっ!」

 

 もはや容赦はしない。朝の冷静さを失っているアキラは、壁を背にして拳銃の引き金を思い切り引いた。迷いなく放たれた撃鉄の音は、弾丸と共に女王ナメクジの怪人の頭部に命中・・・したかに思われた。

 

 「ぷっ・・・アハハハハ!♡」

 

 間違い無く顔面を狙い、言うなれば殺すつもりだったその弾丸は、女王ナメクジの怪人の肌の表面にまとわりついた粘液によって、つるりと後方へと滑る様に不発していった。

 

 「馬鹿な!」

 「・・・さーて、お前たち♡」

 

 女王ナメクジの怪人の指示により、石川と呼ばれた男と、係長が粘液まみれになりながら、本能で動き始める。

 

 理性を失いながらあーうーと唸るその姿はまるでゾンビだ。

 

 「あの娘、食べちゃいなさい♡」

 「冗談だろう!」

 

 頭から突っ込んできた石川をうまく避けて、オフィスを走り出るアキラの背後で、ナメクジ分隊が壁の様にして襲いかかってくる。

 

 「くそっ!」

 

 オフィスの扉を思い切り閉めて、アキラはさらに上の階層を目指す。エレベーターの扉越しに聞こえる下の階層から響いてくる男女の叫び声に、アキラは完全に恐怖していた。

 

 怪人という存在の認識を改めるしか無いだろう。

 

 これは間違い無く最大最悪最強の怪人であり、全ての男女が恐怖するしかない怪物だ。そしてこんな怪人をヘルブラッククロスという悪の組織が開発しているならば、もはや誰にも手出しなんて出来ない。

 

 「あれ一人で世界が滅ぶぞ!冗談じゃないわ!」

 

 ピンヒールで階段を踏みつけ、とにかく上の階層を目指す。

 

 「時間も時間だ・・・ほとんど帰宅しているだろうしな・・・」

 

 それでも上の階層では無数のざわめき、どよめきが聞こえており、この公安局の襲撃に誰も彼もが困惑仕切っていた。

 

 「・・・ッ」

 

 次つぎと空いているオフィスのドアを蹴破り、アキラは叫ぶ。

 

 「皆さん!早く逃げてください!この公安局はもうだめです!機能を失い、たった一人の怪人によって壊滅しました!全員逃げて!上へ!早く!」

 

 まだ生き残りが居るならば、逃げてもらった方が良い。悪に敗けたなんて認めたくは無いが、もはやこうするしかない。

 

 「アッハハハハ♡逃げられると思ってるの♡かわいいわね♡」

 

 声がしたのは通気口。そこから先程の美女が頭をにゅるりと出すと、粘液のしたたりがオフィスの中に出来上がる。

 

 「それに触るな!早く逃げるんだ!」

 「あばっ♡」

 

 一人の女性警察がそれに触れてしまった様で、一瞬で表情を快楽で歪ませていく。

 

 「フジワラって男を探しているの♡」

 

 身体を形成した女王ナメクジの怪人が、一人の女性警察を抱きしめると、にぢゃりといやらしい水音が鳴る。身体をくっつけ合い、糸が二人の身体で伸びると、女性警察は白目を向いて耐えきれない快楽によだれも汗も涙も全てを垂れ流して、女王ナメクジに藤原の居る場所を伝えてしまう。

 

 「にっじゅっかい・・・でずぅ♡」

 「そ♡ありがとうね♡」

 「あひっ・・・♡」

 

 泡立つ固形粘液を顔にべちゃりと塗ると、女性警察は身体を痙攣させながら硬い床に倒れた。

 

 「逃っ」

 

 アキラが叫びだそうとした瞬間、オフィスの沈黙が嘘みたいに騒がしくなる。怪人の存在をこの眼で見た事で本当に事の重大さを理解したのか、公安局は大混乱が始まっている。

 

 「逃げろぉ!とにかく逃げるんだ!!」

 

 全員を逃し終えるのを確認し、アキラが最後にドアを閉める。

 

 「フジワラってどこ?♡言わないと、もっと気持ち良くなってあっという間に天国イキ確定にするわよ♡」

 

 後ろで余裕綽々な声が聞こえて、アキラは今回ばかりは命の危機を感じた。あんな簡単に人を狂わせ操れる怪物なんて、この国の未来が危ないでは済まない。

 

 この数分で公安局が壊滅に追い込まれるなんて、軍隊だったら一時間で壊滅させられてしまうだろう。

 

 「だがな゛じざん゛♡」

 「あら何よこの人♡」

 

 女王ナメクジの怪人が粘液したたる脚を踏み出そうとした瞬間、石川が再び理性を取り戻し、女王ナメクジの怪人の脚を掴んだ。粘液によってそれはちゅるん、と簡単に抜けてしまうが、女王ナメクジの怪人は本当におもちゃを見た子供の様に、石川に粘液を放出して埋めてしまう。

 

 「こっちだ怪物!」

 

 これ以上大切な部下を汚されては、アキラも黙って居ない。手にした消化器で女王ナメクジの怪人に吹きかけた。

 

 「チィっ♡」

 

 噴射された消化器には圧縮された炭酸とリン酸アンモニウムの入った液体が、女王ナメクジの怪人の粘液の壁に吹きかけられた。

 

 「ちょっとーそれやられると、乾いちゃうんですけど♡」

 

 女王ナメクジの怪人がウザそうに言うと、人差し指と中指を伸ばして唇に添える。

 

 投げキスの要領でその指を離すと、♡の形をした大きな風船みたいなモノが、粘液を滴らせながら形を作っていく。

 

 「偉大なる先輩の究極奥義、味わってみなさい♡」

 

 淫靡な怪人の、殺意のこもった言葉にアキラは消化器を投げ捨て、廊下を走り出す。

 

 乾いて固まった粘液の壁を貫いたハート・キャノンクイーンナメクジエディションが、アキラにギリギリ当たらず、先に逃げ出した公安の警察の面々を一瞬で肉片に変えていく。左腕と共に胸ごと貫かれた者や、5体だけ残して胴体を無くして瞬時に絶命していく公安局員。

 

 「これ汚れるし、本当は殺したくないのよぉ♡」

 「あっああ・・・」

 

 もう勝ち目は無い。こんな怪物からは逃げられない。

 

 「フジワラってどこ?♡」

 「・・・ッ」

 

 アキラの背中に迫った女王ナメクジの怪人の言動に、もはやアキラは何も言えなくなる。言うとおりにすれば生かしてもらえるのだろうか。

 

 それは解らないが、こんな状況になってしまえば、命が惜しくなるのはきっと誰でもそうだろう。

 

 (助けて・・・!)

 

 心すらも完璧に折れたアキラは、心の中で来ない助けの声を上げる。

 

 「1つ・・・生えあるドクターの為、協力はしましょう」

 

 凛とした声が聞こえた。

 

 「2つ・・・人間を助ける気にはなりませんが、ミヤコ様を手助けする為ならば、どんな事でもしましょう」

 

 鼻緒のついた下駄を履いて、白を基調とした着物に黒い雪の結晶の柄の入った、奥ゆかしさを感じる着物。

 

 「3つ・・・貴女からはドクターミヤコ様の怪人の気配がするのに・・・どうしてかしら、品性が足りない様に見えるわ」

 

 その怪人は袖を少しまくると、真っ白な腕を覗かせる。きめ細やかな肌と黒い扇子。

 

 「あらぁ?はじめましてかしら?先輩♡」

 「そうね。はじめまして、ね。後輩」

 

 粘液まみれの公安局に現れたのは、かつてこの中央度固化市を季節外れの大雪に見舞った、元ヘルブラッククロスの怪人。

 

 「オークに言われたから仕方なく来てやりましたわ。ご無事でして?公安の人間」

 「あ、あなたは・・・」

 「オイオイ、大変な事になっちゃってるな。立てるか?」

 

 もう一人現れたのは男性の身体にSMの女王様の様なボンテージに身を包んだ、パーマのかかったアフロヘアの男。

 

 粘液まみれの女王ナメクジの怪人と同じく、この二人の瞳は人ならざる眼をしていた。

 

 「オレは暴力の怪人・・・そしてこっちが」

 「雪の怪人です・・・」

 

 鞭を取り出した暴力の怪人、そして雪の怪人がこの公安局に脚を踏み入れていた。

 

 「あ・・・あなた達は・・・」

 「ん?あーオレ達はそうな・・・」

 

 暴力の怪人は自分達が何者かを語り始める。

 

 「一言で言うなら・・・正義を信じた悪ってところか?」

 「ぐちゃぐちゃびしてあげるわよ・・・♡」

 

 公安局の廊下にて、元ヘルブラッククロス、レジスタンス、現ヘルブラッククロス、三名の怪人がここに集った。

 

 人の命を救うと革命を決めている怪人と、ミヤコの為ならばなんでもする怪人、両名が何故かここに来た。

 

 「さーって・・・オークの奴に言われたわけだし、ちゃちゃっと片付けるか!」

 「指図しないで頂戴。でも、頼りにしているわ、暴力の」

 「お前もな!雪の!」

 「うわーん暴力が怒鳴ったぁーーーびえーーー」

 

 調子の狂う展開だが、アキラは確かに今命の危機から脱却した。

 

 そして急に現れた暴力の怪人と雪の怪人の両名により、公安局は救われるのか・・・。

 

 

 

 

続く

  

 

 

 

   




お疲れ様です

今回、わりと攻めた内容だけど、大丈夫かな。注意されたら女王ナメクジの怪人は死にます。

キャラネタ書きます

女王ナメクジの怪人
文字数最多の怪人。
蠱惑でエロティックな怪人。元々がビッ○の女性戦闘員を素体にし、怪人キラーエリートになった。
無限粘液とナメクジ分隊、そして神経毒は媚薬そのモノ。肌に触れただけで人を狂わせる快楽至上主義。無闇な殺生を好まないが、自分の粘液で人がどうなろうと知ったことではない。

小鳥遊アキラ
真面目でそつ無く仕事をこなす。他の人間に比べれば強いが、怪人には歯が立たない。ミドリコ、藤原、タツヤ、カエデと武器なし能力無しなら最強。武器があれば藤原、カエデには勝てるが、ミドリコには勝てない。そんなレベル。

石川
アキラの側近。
上司であるアキラを尊敬している。
本名石川ヒロキ。30歳。強い精神力を持っており、ほぼ一発でダウンする粘液地獄を2度乗り越えたが三度目はなかった。

オーク怪人
久しぶりに登場した。相変わらずドクタードクターとうるさい豚。トン・コッツと同じぐらいブヒってる。
二人が出会う事はあるのか

暴力の怪人
オーク怪人に連絡を変わってもらい、やっぱり協力しに来た。

雪の怪人
何故か東度固化市に居た模様。暴力の怪人と共に中央へと参戦した。

・・・

次回、雪の怪人/暴力の怪人vs女王ナメクジの怪人勃発!
そしてオーク怪人の前に立ちはだかる???の怪人、さらに南に逃走するルカ達に銃の怪人も現れ・・・!ミヤコ救出編なのに怪人キラーエリート編に乗っ取られたこの章の明日はどっちだ!

それではまた次回!
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