キラーエリート編最終3話の内の2話目です!
あっけなく終わる怪人も居ればしぶとい怪人も居ます。
怪人キラーエリートがどうなるか、その眼でご確認ください!
大雨の降る教会の外では如月ナルミと祝福の怪人とが交戦を開始していた。
雨を弾くナルミの艶めかしい魔改造を施された修道服から、雨の水滴にも負けない退魔の札が何枚も取り出される。
書いてある札は『爆』『刃』『雷撃』『風殺』等様々な効果を発動する、退魔師特有の攻撃手段でもあり、武器でもある。
「さっきから喋らないけど、俺ばっかり喋っててバカみてーじゃんかよ!」
祝福の怪人が右腕から無数に肉を断裂しながら、骨片が見え隠れする触手を振り回している。猛毒がにじみ出る筋肉繊維が丸出しになりながら、ナルミを捉えようと必死になっている。
べらべら喋り続ける祝福の怪人とは違い、ナルミは表情を変えるだけで、息ひとつ取ってもその声帯からは声すら出てこない。
しかしながら触手の攻撃を上手く躱し続けては、札で一本ずつ爆発させては、煽る様な顔つきになる少女に祝福の怪人がだんだん冷静さを失って行く。
「このっ・・・!」
いくら身体を変形させる事が出来たとしても、その伸びた腕だった触手が一本消されれば、非常に強い痛みが走る。苦悶の表情を浮かべる祝福の怪人に、ナルミが次々と札を取り出して本体へと集中砲火を決める。
『爆』の札が飛べば、祝福の怪人の顔に張り付いて爆発し、『雷撃』の札が飛べば触手を猛毒と共に感電させて焼き滅ぼす。
「女だからってもう容赦しねぇぞ!お前なんかパパの力を借りれば瞬殺出来るんだぞ!俺は何せ進化の怪人の二代目でもあるんだ!」
叫びながら炎を口内に貯めて、一気に放出する。文字通り火炎放射となった火炎は、次に飛んでくる札を焼いて消し炭に変える。一瞬で黒い灰に変えると、その札から暴風が巻き上がる。
炎を巻き込んだ札の名前は『風殺』。
風が一瞬にして舞い上がり、炎を絡め取りながら祝福の怪人へと飛んでくる。
(・・・佐久間さんに似ているなんて、少し失礼だね)
心の中ではそんな事を思っている。考えれば考えるだけ、あの恩人を真似た怪人と言う事に、少しだけナルミの中にモヤが出来る気分になる。
レイナの心を救い、自分を取り戻させる事に成功し、別れた2人を繋ぎ合わせてくれた恩人に報いる為に、この怪人はここで消す。
魔を打払う我らこそ退魔師であり、恩義を捨てる事だけはしない。
「舐めるなぁぁ!お前マジでぶっ飛ばすぞ!」
炎の渦に巻き込まれた祝福の怪人がナルミに向かって飛んでくる。
雨をモノともしない強い炎をその身に纏いながら、龍の翼を取り出して突っ込んでくるその姿は、本当に怪人なんだと思わせる。
だが・・・。
ゲヘナミレニアムの魔人と戦い続けた彼女だからこそ解る。この怪人は中身の無いただの雑魚と変わらない。
自分が助かる為に人殺しを容認する様な性格であると、ナルミはすでに見抜いていた。
そんなモノ・・・自分は10年以上辱めた五天と変わらない。
レイナと共に暮らせる日常を取り戻したナルミにとって、もう敗ける訳には行かない。
絶対にこの怪人に眼にモノを見せる。そして確実に勝つ。
「オッラァァ!!」
砂を吹き出し、龍の腕で掴みかかろうとする祝福の怪人。間違い無く殺意がこもったその突進に、不気味さと滑稽さが見える。
今は夜で雨も降っている。ならば身を隠せば良いのに・・・。
「捕まえたぞオラァン!」
ナルミの右肩にしっかり食い込む龍の爪。薄い皮膚を裂きながら血がにじみ出る。
そこへ猛毒を流しこもうとする算段なのだろうが、ナルミはそれすら見抜いている。
「むぉ」
祝福の怪人の目の前に取り出されたのは、『閃光』の札。
その文字に気づいて妨害しようとしたが、それは間に合わずにまばゆい閃光を迸らせる。
(くっそ!逃がすかよ!)
尻尾の様な触手を出現させては、爪から脱出したナルミを勘で追いかける。おおよその位置はわかっている。掴んでしまえばこっちのモノだと、祝福の怪人は起点を効かせてみる。
ギシリ、と尻尾が何かを掴んだ。人の様な太さを感じて思い切り押しつぶす。
こうしてしまえば後は虫の息となった人間の女なんて楽勝。
「眼がなれたら死ぬまでなぐり続けて、毒を腹いっぱい飲ませてやるよ!」
やがて閃光の後遺症が消え失せると、祝福の怪人の目の前には一本だけ伸ばした触手が、花壇の向こう側へと伸びているのが確認出来た。
虫の息でもあそこまで逃げようとしたのだろう。花壇の色とりどりの花と植木は雨風、そして戦闘の後によって荒れている。
触手を引っ張ってみるもその姿は帰って来ない。ならば多少面倒だが、こっちから行ってみよう。
「悪あがきは似合わないぜ」
雨によって淫れた髪を上げると、ツーブロックの剃り込みが見えて、伸びた部分の髪がオールバックになる。
「どれどれ・・・」
触手が伸びた先は花壇の裏の更に奥。木々が植えられた場所に一箇所、ひときわ大きく植えられた木の裏にまで触手が伸びていた。
「・・・」
血痕は流石に雨で流れてしまった様だが、匂いで解る。あいつはこの木の裏に居る。それを直感と匂いで判断仕切った祝福の怪人は、トドメを刺すために木の裏に顔を見せる。
しかし木の裏には誰も居なかった。虚しく雨音が木々を揺らしながら、伸び切った触手の先は木の枝にちょうちょ結びをされている。
さらに結び目の少し上には退魔の札がセットされていた。
『バカ』・・・そう描かれた退魔の札とちょうちょ結びの触手を見て、祝福の怪人はついにキレる。
「おちょくるのもいい加減にしやがれぇ!!!」
木をオークの力で思い切り粉砕すると、『バカ』の札が『爆』に変わる。その事に気づいて居ない祝福の怪人の頭上で、大爆発が起きた。
木一本をまるごと使った大掛かりな騙し討ちに、祝福の怪人がついに首を折りながら大量の毒と血液、触手をむき出しにしながら、グロテスクな姿を見せる。
「この・・・パパとママに見せる為の姿が・・・お前に見せる為の姿じゃねーんだよオイ!!」
無数の触手は様々な怪人の能力を噴射しながら、がくがくと脚を震わせている。
予想以上に騙し討ちが聴いているのか、怒り心頭の怪人の姿にナルミはほくそ笑んでいる。
「この姿になったら・・・お前じゃもう生きて帰れないぜ!」
口から飛び出た赤と黒の目玉が、ギョロリと茂みに隠れていたナルミを見つける。
「そうね・・・貴方こそ、退魔師を相手にしているのだから、生きて帰れないわよ」
声がした。明らかにその声は目の前の目がバイザーで隠れたナルミから聞こえた。
「モード・ウメミツキ・・・後は任せなさい、ナルミ」
ナルミの中に眠る、魔を恨む様に造られた、もう一つの心の姿が、ナルミの姿を乗っ取って現れたのだ。
「ああ、喋れたのか??」
「ナルミが貴方の様な魔を許せないんだって。だから、さよなら・・・佐久間さんのなりそこない」
「なり・・・っ!?」
なりそこない。怪人として転生を果たした自分がなりそこない?
そんな馬鹿な事があるモノか。自分は怪人キラーエリートとしてヘルブラッククロスに未来を認めらている存在だと言うのに、どうしてなりそこないなのだ。
そんな混乱を抱きながらも、首から下・・・胴体から様々な形で吹き出る触手や、伸びた筋繊維が見えている首に、『爆』の札が無数に貼り付けられる。
「魔はここで消えなさい。そしてもう二度とその姿を見せない事ね」
「待っ・・・待て!」
「退魔術式・三十・
脚から爆発。次は腰、その次は胴体、そして最後は頭。
木っ端微塵に爆発四散させられた祝福の怪人が、最後に見えたのはまだ会えてすら居ないパパとママと仲良く過ごす未来だけだった。
そしてもう一つ・・・パパと思わしき人物に思い切り殴り飛ばされる未来。
これは・・・。
(かくてい・・・みらい・・・?)
何が起きているのか分からず、祝福の怪人はそのまま意識を爆発に飲み込まれ、ナルミの前で完全に消え失せた。
(元に戻りなさい。ナルミ、貴女が前に出るのよ)
心を入れ替えて、ウメミツキはナルミの心を元に戻す。もう二度と消える事のない傷によって出来たもう一つの人格によって、この戦いはナルミの勝利となった。
聖カエルム教会・花壇の戦い
勝者
退魔教会・如月ナルミ
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ぐっはぁ・・・!」
礼拝堂の長椅子に毛むくじゃらの身体を投げ飛ばされ、超性欲の怪人は血の塊を吐き出す。
バラバラと木片が辺りに舞いながらも、赤いふんどしを翻しながら、腕毛ブレードを取り出し、尚も自分を殴り続けるミツキへと突撃を開始する。
ただの戦闘技術を持っているだけで、特別な技を持っているわけでもないシスターに敗けるなんてあっては行けない。
そして何より自分は怪人キラーエリートでもトップの実力者。そう信じている超性欲の怪人は、ミツキの首をめがけたブレードを向かわせるも、左肩を的確に撃ち抜かれ、左手首をショートアッパーで“く”の字に叩き折られる。
「ぐっおおお!?」
「神を侮辱した事、その身を以て償いなさい」
右拳に握られた破邪の鉄拳。シスターのベールを軽く揺らして、全身が残像を残す程の速さで、鉄拳が胸骨を叩きつける。
「マジですげぇ・・・」
聖女の像の後ろでは戦況を見守る藤原とイロ。
ミツキの場数を踏んでいるでは片付けられない様な、身のこなしに藤原もイロもあのボクシングスタイルに惚れ惚れしている。
腰を捻りながらヘヴィブロウ、腰の戻った勢いで拳骨、身体を落とした反動で体重を乗せた膝蹴り。
浮いた超性欲の怪人の顔に、左足からの痛烈なハイキック。
顎骨がメキリと音を立てて、超性欲の怪人は白目を向き始める。
「ぐっ・・・かか、神を信じている様なオンナに、我々ヘルブラッククロスが・・・ま、敗ける訳・・・!」
大きな身体をフラフラと揺らしながら、超性欲の怪人はそれでも諦めずに意識を保つ。
左腕がもう使いモノにならなくても、右腕や脚の毛が残っている。今度こそ攻撃当てればそれで良いのだ。
「神なんてこの世には存在しない!喰ってやるからおとなしくしろ!お前らの信じる神など、己からすれば性欲解消のひとつにすぎん!」
超性欲の怪人が再びミツキの神を侮辱する。血を吐き出し、全身痣だらけになって、自慢のアフロまでぐしゃぐしゃにしながらも、思い切り盛大に放つ言葉は、決死の迫力を感じる。
右腕に残った毛をドリル状にしては、ミツキの顔面に向かって伸びてくる。
「神を!」
ミツキも同じく右腕の破邪の鉄拳を輝かせ、超性欲の怪人の右腕を粉砕する。
毛のドリルを打ち砕き、むき出しになった素手の拳に破邪の鉄拳がめり込む。
指ごと手の甲を破壊されて、超性欲の怪人が声にならない苦痛を上げる。
「侮辱!」
続いて左拳から再びヘヴィブロウ。超性欲の怪人の胸骨を再び捉え、今度は胸骨を完璧に砕き、背骨にヒビを走らせる。
「ゲパァ・・・!!?」
血を吐いても・・・ミツキの破邪の鉄拳は止まらない。
それでも負けじと超性欲の怪人も折れた両腕でガッツを見せる。お味様なファイトスタイルで挑もうと言うのだ。だが・・・。
左ストレート、右ブロウ、左フック、左カウンター、右、左蹴り、右ハイキック、右踵落とし、左バックキック、右拳骨、左残像拳、右一閃拳、右ストレート、左ストレート、左ラッシュ、右ラッシュ。
その一撃一撃が全て超性欲の怪人にクリーンヒットして行き、超性欲の怪人の攻撃は何一つとして追随を許していない。
「神よ!神よ!」
右、左と、重たい拳が超性欲の怪人の顔・・・正確に言うのであれば、頭蓋骨をめちゃくちゃな形に壊して行く。
「神っ!神ぃ!」
突き出し蹴りが胸骨と背骨を叩き貫き、超性欲の怪人の顔もひどい色になっていく。
「貴方が神を信じるのであれば、ここまで一方的にはならなかったでしょう!神罰は省力し、貴方には神の鉄槌をくらい裁かれなければ、次の転生が受け入れられません!」
神がそう仰られている。その言葉を信じて、ミツキは全力で神の信頼に答える。
「神!神!神!」
もはや喋る事の無い超性欲の怪人へ、神のご意思としてそれを代弁するミツキが拳の嵐となって、欲にまみれ道を踏み外した哀れな悪を一つ裁いていく。
破邪の鉄拳による、最大の制裁によって。
「神神神神神神神神神神神ネ申かみGODKAMI神神神神仏髪紙上加味噛み祇嚙み齧み神頭帋神神神神神神!!!!」
骨の原型すら残らない程の神様ラッシュにより、超性欲の怪人はもうすでに息絶えている。
だがそれでも磯上ミツキの神への侮辱による怒りが収まらない。
なぜならば・・・。
「神はこう仰られております・・・。もっとやっちまえ、と」
「完全に自分がムカついているだけじゃねぇか!!」
思わず我慢できずに藤原がツッコミを入れてしまった。イロもこれにはさすがにビシィ!っとツッコミを入れたくなったようだ。
「さぁ・・・これで最後です!」
破邪の鉄拳に思い切り力を込めて、全力で超性欲の怪人の顔面をめがけた思い切りの良い拳が打ち出された。
最後まで容赦の無い究極的な鉄拳制裁が、怪人を完璧に打ち砕いた。
「オラァ!!」
ミツキがそれを・・・超性欲の怪人だったモノを殴り飛ばして、礼拝堂の入り口へと怪人が突き飛ばされた。
「ああ、神よ・・・また一つ迷える者を救いました。どうか彼の者の魂に、神のお導きがあらん事を・・・」
ミツキが聖女の像に祈りを捧げると、藤原とイロも同じ姿勢で祈りを捧げる。
(こんな暴力シスター、セクハラなんてもうしませんから、どうかこいつとおじさんを一緒に行動させないでくださいお願いします)
(私は神たまを信じます?だから、この人に暴力ふるわせないでください?)
磯上ミツキという超常的な一般市民を見て、公安警察に所属する2人はほぼほぼ恐怖をしているだけになっていた。
しかしそれもそうだろう。ここまで圧倒的に怪人を倒せる一般市民なんて、藤原もイロも知る限り、甘白ミ○リコぐらいしか知らない。
そう、あのミド○コである。
所構わずロケットランチャーをぶっ放つ、甘○ミドリコである。
そんな凶暴な同僚を思い出していると、ミツキが破邪の鉄拳を封印して聖女の像に背を向ける。
シスターのベールを揺らしたその姿はどう見ても優雅な修道者そのモノであるのに、血液一つついていないキレイな戦闘の後が、逆に不気味さを醸し出していた。
「さぁ、後はレイナ達です。戦況はどうなっていますかね?」
礼拝堂の戦い
勝者・磯上ミツキ(あと神様)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
教会のエントランスホールに、耳障りな粘液の音がぼちゃぼちゃと落ちていく音がたくさん聞こえてくる。
女王ナメクジの怪人の卑猥な攻撃が幾度も繰り返され、レイナの週度服を汚してく。触れる者問わず性の天国へ誘うこの能力が通用しない人間が居るとは全くの予想外だった。
レイナの破悪の剣が粘液を斬りながら、女王ナメクジの怪人に飛び込んでくる。
その気迫の押されそうになるも、ナメクジの分隊がレイナに降り注ぐようにして襲い始める。
「気持ち悪い!破悪の連剣!」
ひと振り剣が回る度に、その動きをトレースした二枚目の刃がナメクジを斬り裂いて行く。
「ああ♡私の子どもたちがまで♡ひどい事するわねぇ♡」
ナメクジの一匹に♡の力を注ぎ、サキュバスの怪人の力を発動する。
水風船みたく膨れ上がるナメクジが、粘液を身体からどろどろ流しながら肥大化し、レイナに飛び出してくる。
見た目に反して機敏な動きをするナメクジは、レイナにとってとてつもなく嫌悪感と殺意をわき上がらせる。
「邪魔だ!」
破悪の剣による一刀両断が、肥大化ナメクジを斬り裂くと、その胴体の中から真っ白でヌルヌルでべとべとする液体がレイナの顔にかかる。
ビチビチ動く半分のナメクジ達が左右からその動きを繰り返し、レイナの身体を挟み込む。
「くっ!離せ!!」
「無駄よ♡」
斬られたというのに肥大化ナメクジは切断面をくっつけながら、レイナの胴体を揉み込み、粘液を刷り込む様にしてその身体をくっつける。
ぬるま湯の様な温度と、しっかり熱感を持ったナメクジの不気味な感触がレイナの身体に媚粘液をひたすらしつこく塗り込んでいく。
デコボコのコブのついた芋虫に似た形のナメクジは、それだけでも言いようの無い大きな気持ち悪さを醸し出している。どうにかして身体に触れるこのナメクジを殺さねば、初めての敗北と同じ末路をたどってしまう。
身体と肥大化ナメクジの隙間から、真っ白なヌラついた粘液が一滴線を描きながら飛び出し、いやらしい水音を耳元で響かせる。
「このっ・・・!」
「驚いた♡ここまでされてもまだ堕ちないなんてねぇ♡」
わざとらしい女王ナメクジの怪人の笑みに、レイナは心底嫌気が指している。こんなヌルヌルしたモノ、退魔師にとって見れば悪辣なモノでしか無く、これを使わないと人を堕とせない根性がとても気に入らない。
しかしそんな強気なレイナの眼の前で、再び肥大化したナメクジが2匹3匹と増えているのが見えた。
女王ナメクジのナメクジ分隊も、レイナの足元に群がっており、退魔のブーツにもちもちと絡みつこうとしていたのだ。
「ひっ・・・」
思わず嫌悪感から引きつった声が出る。顔が青くなるのを感じて、早く脱出しないと行けないと、焦らせる。
「そーれ♡皆であの人を気持ちよくしてあげて〜♡」
いくらでも堕とし様はある。媚粘液が効かないなら、肉体を叩けばいい。女王ナメクジの怪人の号令によって、大小様々なナメクジ達がレイナの身体に襲いかかる。
「舐めるなぁ!!!」
レイナが動かせないナメクジの体内に飲み込まれた手に印を結ぶ。
「退魔術式・十一!破邪の剣!」
レイナの身体から虹色の剣が飛び出て、身体に飲み込む肥大化ナメクジを内側から斬り払う。
「消え失せろ!破悪の方刃剣!」
手に持つ剣を石床に突き刺して、聖なる光と共にナメクジ達を消滅させる。次々とナメクジ達を地面から伸びた虹色の刃によって、串刺しにしていき事無きを得る。
退魔師とナメクジの縁はとても深い所にあるが、レイナかあすればそんな事は関係ない。邪悪なナメクジは全て打払う。
普通のナメクジでも魔のナメクジでも、怪人ナメクジでも、レイナ程の上級退魔師ならば相手にすらならない。
「嘘♡」
「次は貴様の番だ!」
「ヘヴンホワイティネスでも無いくせに♡生意気なのよ♡」
怪人キラーエリートとしてのプライドを持って、正義連合のリーダー格であるこの女だけは倒さないと行けない。自分達が生き残る為にも、この退魔警察だけは。
「そのヘヴンホワイティネスに託されたのだ!」
破悪の剣を女王ナメクジの怪人に向けて、レイナは声高らかに叫ぶ。
「ギンジと約束したんだ!」
ギンジと言う名前を聴いて、女王ナメクジの怪人の余裕な笑みが消えて、歯を食いしばる様にしてレイナをにらみつける。
「君たちが戻るまでは、必ず平和を維持すると!彼が帰って来た時に自分を責めない様に、私が彼の役に立てれば良いと、お前達悪の所業を止めると約束したのだ!」
「へぇ〜そう・・・」
レイナがいつかギンジと一緒に退魔師として活躍する為にも、この場所は死守する。そしいて彼が帰る場所も一緒に守りたい。
「じゃあそのギンジって奴、最初に堕としてあげたいな〜・・・あんたの眼の前でお尻フリフリするギンジを見せてあげるわよ!」
まだ見たことも無い、情報だけしか知らないその男を馬鹿にされた気分で、レイナは憤りが高くなる。
「お前が・・・ギンジを呼び捨てにするなぁ!」
粘液で重くなった修道服の上半分を脱ぎ捨てる。そこあら出てきたのは肩と脇が出たバトルスーツが粘液で濡れ輝いているが、レイナの覚悟を汲み取ったのか、バトルスーツが虹色の光を出している。
スカートの様に広がった修道服をレイナの退魔術によってはためきながら、ブーツで強く踏み出し粘液の海を支配する、女王ナメクジの怪人へと突撃を開始する。
「破悪の剣!」
頭上で二回転させ、虹色の西洋の剣が輝きを増す。
「
退魔警察の自分は負けないという、自分は大丈夫だと言う態度が気に入らない。自分が堕とせないのは、怪人だけだと思っていたのに、まさか人間にも通用しない存在が居るとは思っても見なかった。
これ以上の失態は許せないし、自分のプライドが逃げる事を許さなかった。
この女だけは倒す。絶対に撃破して、自分だけでも組織に有意義な怪人だと言う事を証明するのだ。
巨大な粘液のボールがレイナの破悪の剣を飲み込み、その手元までを沈ませる様にして取り込んでいく。
「あんたは生かしておいてあげる!その粘液は内側からじゃ」
「内側から・・・何?」
再び一刀両断。粘液の球体に飲み込まれた筈の退魔警察レイナが、女王ナメクジの怪人にその一太刀を浴びせる瞬間までやって来ていた・・・。
「覚悟しろ!」
「それはこっちのセリフ♡!」
レイナの手には破悪の剣、女王ナメクジの怪人の口元には♡の形をしたキャノン砲。
2つの攻撃が同時に繰り出された瞬間だった。
・・・・・・・・・・・・・・・
教会の書庫にまで届く激しい衝突が、幾度も続いていた。
暗かった通路での戦いはルカが先手を果たし、銃の怪人を押し倒す。
食堂にまで届く銃の怪人のエネルギー弾が、ルカを吹き飛ばし、五分の状況に。
そうこうして書庫での戦いは銃の怪人が床を破壊し、一つリードを取る。
しかし落ちた先の洞窟の様な湖が広がる場所では、地の利を生かしたルカが銃の怪人を朽ち果てた道場の様な場所にまで叩き着ける事に成功する。
「いい加減倒れろ!」
ルカが湖に月光を照らすと、銃の怪人に大技を叩き込む。
月光線。この技で銃の怪人を倒す。そう決めていたルカとアキハの心のシンクロが織りなした強化された必殺技となり、道場らしき建物ごと銃の怪人を破壊しにかかる。
「ギャーハッハッハ!やる気だなぁ!俺もお前となら強い子供を残せると思っているんだ!」
ボロボロになっているのに、変わらずルカに執心な銃の怪人に、ルカもアキハもうんざりしている。
「お断りだと何度も言っているぞ!」
尽きる事の無い弾丸が、再びルカを狙う。
「っ!?」
一発、今のは顔を狙ってきた。
それ自体は見てから動けば問題は無かった。
当たる事の無い弾丸が、今度は軌道を変えてルカの右足を後ろから貫いた。
「・・・なんっ!?」
(ルカ!?)
飛んで避けたのが災いとなり、ルカはバランスを崩して硬い岩の道に落ちて行く。
(今のは・・・弾丸がこっちに向きを変えた様に見えたわ。大丈夫、ルカ?)
アキハは冷静に弾丸の軌道について分析を開始しながら、ルカの出血を見て心配になる。宿主である彼女が居なくなれば、今度こそアキハも消滅の危機を迎える事になる。
「こ、こんな事、なんてことないさ・・・」
右足に飛んだ弾丸は正確にふくらはぎを貫通し、スーツをも貫いてきた。
「ギャーハッハッハ!とうとう俺も覚醒しちまったみてぇだ!」
銃の怪人が崩れた道場から瓦礫を撃ち壊して、高笑いを上げる。
血を吐き出しながら口を真っ赤に染め上げた銃の怪人の登場に、アキハの血の気が引いていく思いをルカは感じ取った。
「銃の怪人!フェーズ2って所だなぁ!!」
フェーズ2・・・ギンジの能力にあるフェーズ3みたいなモノだろうか。ただ尽きる事の無い弾丸を乱射するだけではなく、弾丸の軌道すら変える事が可能になったのだろうか。
「これじゃ、正面から防げなくなるのか・・・!?」
(落ち着いてルカ!まだ勝機を失ったわけじゃないわ!)
アキハも焦りながらも、ルカの心を立たせる。
(アタシ達はまだ負けていない!)
「そのとおりだ!ギンジと約束もしているしな・・・僕達は悪の進軍を防がないと行けない・・・」
2人が肩を支え合う様にして立ち上がる。
そしてなんとか立ち上がった2人の前には、銃の怪人。
「結婚する準備は出来たかい?ムーン・パラディース」
口笛でも吹くような態度の銃の怪人に、ルカは苛立つ表情を見せる。
「まさか・・・結婚したいと言っている相手に、銃弾を打ち込む様な奴を・・・僕が好きになると思うのかい?」
ルカが大盾をどっしりと担ぐ様にして構える。
この怪人のめちゃくちゃな言動に、付き合わされるのはもううんざりだ。
「僕たちの心の強さを・・・お前に叩きつけてやる!」
(行くわよ!ルカ!)
痛む右足を抑えながら、ルカが思い切り月光を全身から溢れ出させる。
銃の怪人も律儀にこの状態が終わるのを待ちながら、ムーン・パラディースの輝きを目に入れている。
「その月の光が、真の力かい?ギャーハッハッハ!じゃそれに勝てれば、お前は俺の嫁になるってこったな!」
両腕の機関銃を構えて、深緑色の目立つスーツから全てが月光色に変わったルカを見て高笑いする。これからこの女を自分のモノに出来る喜びで胸いっぱいになっているからだ。
「好きに言っていろ。もう僕は・・・僕たちはお前を絶対に許さないぞ!」
右足は動くがこんな痛みは久しぶりだ。
ルカとアキハの心が完璧に混ざりあって適合した真ムーン・パラディースへとオーラを変えた2人の少女。
「行くぞ!」
大盾には今までのルカの能力と同じく、あらゆるモノを受け止めて跳ね返す力に加えて、アキハが元々使っていた心の力、新月の長ドスが盾の横の縁に加えられている。
叩きつけだけではなく、アキハの様にギンジにも似た荒々しい切り裂く力も加えられた。
攻めと守りが両立したムーン・パラディース最強の印。
「ディフェンス・エクストラ!カグヤビート!」
月の力を全身に発動して、銃の怪人の銃弾を迎え撃つ。
「無駄だぜ!何をしてもお前の突進なんて、俺の軌道操作にかかれば、もう近づく事も出来ねぇからな!」
カグヤ姫の如き美しき月の輝きをその身に秘めたルカは、次々と不規則な動きをする弾丸に対して、長ドスを全て引き抜く。
「ディフェンス・エクストラ!ドス・ダンサー!」
8本の刃が、それぞれ弾丸を斬り壊して行き、ルカの背面から飛んでくる弾丸でさえ、刃が盾となり斬り崩す。
「まだそんな能力を!素晴らしいぜ、ムーン・パラディース!ギャーハッハッハ!」
銃の怪人もここでもう一つの隠し弾を発動する。
「怪人銃術!」
「ディフェンス・エクストラ!」
赤黒いエネルギー弾が両腕の機関銃の銃口に溜まり続け、ルカは月光の大盾を前方に構えて怪我の痛みを忘れる程、思い切り突撃する。
「イース・トゥルバレンツ・ハードガン!」
「カグヤビート・マキシマム・ラビッドネス!」
満月の神々しさ、赤黒いエネルギーの禍々しさ。
2つが正面からぶつかり合い、ルカはその勢いを右足から飛び出る出血によって止まりそうになる。
(まだ行けるわよ!ルカ!)
「ぐっ・・・〜〜ハァアアアア!!!」
赤黒いエネルギー波弾の中にルカが飲み込まれそうになる。
闇一色、地獄の様な世界へと誘われる様な感覚が、月島ルカと天体アキハを引っ張って行こうとする。
「敗ける・・・モノかぁぁ!」
闇の中に輝く満月の様に、ルカのスーツがさらに美しい月光を照らし出す。
冷たく、美しく、それでいて怪しく・・・。
そしてその中に秘めたるは友と誓った正義の志が色濃く輝いている。
『おおおおお!!!!』
2人の少女が真に心を一つにして、8本の長ドスがリーチを伸ばして闇のエネルギーを斬り払う。
8つに別れたエネルギーの弾丸の向こう側に佇むのは、銃の怪人。
「・・・マジかよ」
ルカの月そのモノとなる満月の大盾を回転させて、銃の怪人を真正面から激突する。
その衝撃が全身を貫き、銃の怪人を持ち上げる。勢いはまだ止まらない。
洞窟の天井を破壊するほどに回転しながら、ルカが銃の怪人を教会内部へと突き出した。
「これで・・・終わりだぁ!!」
書庫へ、通路へ、思い切り叩き飛ばして、ついには教会の外側、花壇の美しい木々の道へと銃の怪人を吹き飛ばす。
「月光・アストラルグリム!」
ディフェンス・エクストラ・カグヤビートの中に眠るアキハの潜在能力まで開放して、銃の怪人を石畳の道に叩き落とす事い成功した。
銃の怪人は人の形のまま、石畳にめり込んでしまい、その意識をすでに落としている様子。
大雨の降り注ぐ冷たい真夏の夜に、闇夜に輝く戦士は痛む怪我を抑えながらも、地面に着地する。
少し無理がたたったが、それでも今度こそ銃の怪人を倒す事に成功した筈だ。
(やったわねルカ)
「うん・・・ありがとうアキハ。君が居なかったら勝てなかったよ」
心の中でハイタッチをして、ルカは変身を解く。右足の痛みが現実を思い出させて、ルカは声無き絶叫を上げるのであった。
教会内部の戦い
勝者ムーン・パラディース・月島ルカ
・・・・・・・・・・・・・・・・
本領発揮したレイナの破悪の剣により一太刀を浴びてしまった女王ナメクジの怪人。
粘液も、ナメクジ分隊も、サキュバスの怪人の能力も何一つとして、今の彼女には通用しない。
まともな攻撃手段であるサキュバスの怪人の攻撃でさえ、あの退魔警察はやすやすと斬り崩してくる。
「ハァハァ・・・痛いのよ♡嫌いじゃないけど・・・」
「もう終わりだ。貴様じゃ私には勝てん。今すぐ召されろ」
レイナの冷たい表情と目線に、女王ナメクジの怪人は背筋がゾクゾクと震える感覚が来ていた。
「痛いより気持ち良いのがいいの♡・・・」
女王ナメクジの攻撃はひたすら相手の快楽神経を焼いて逆撫でする能力に特化している。
艶めかしい生足をレイナに見せつける様にする。ふとももに垂れる白濁として粘液が、光沢感を作り出しより女性としての妖艶さ蠱惑さを醸し出すが、レイナにすればこんなモノただのイタズラにしか思えない。
これ以上時間を使うわけにも行かず、レイナは破悪の剣を女王ナメクジの怪人に突き立て様とし、女王ナメクジの怪人は死を覚悟して顔を伏せる。
これ以上の対話は不要。そう判断して、レイナは問答無用で刃を刺そうとした。
「・・・?」
「また怪人か・・・」
その刃は新たに現れた怪人の登場によって、女王ナメクジの怪人に刺さる事は無かった。
黒いタンクトップにカーゴパンツ、軍靴を履いたポニーテールで結んだ髪と、健康的な肌の色。
しかしレイナの剣を止めている腕が人ならざる腕をしている。
鱗が映え揃った腕に、人の形とは思えない形状をした龍の腕。
「・・・キラーエリートは、お前以外全滅。撤退命令、出た」
「・・・!?」
低い声で話す怪人が、女王ナメクジの怪人の救援に来た。
そして内容に驚いた。女王ナメクジ以外の怪人キラーエリートがもう全滅していた・・・?
「だけど、全員疲労している。後は組織が勝つ」
「そのまま私が逃がすと思うのか?」
「・・・!」
思い切り身体を捻り、レイナの顔をめがけた回し蹴りが鋭く刺さる。
しかし軍靴を防ぐ様にした破悪の剣がレイナの顔の前で止まり、2人は硬直状態に入る。
すかさずその乱入者・・・龍の怪人が腕を振り下ろし、力任せの攻撃を繰り出し、レイナに二度防御させる。そして最後はドロップキックを盛大にかまして、レイナを後方に押し込ませる。
「ちょ、私はまだ戦えるわよ♡なんだったら、今すぐこいつを倒して・・・」
女王ナメクジの怪人が身分可愛さに焦りながら話すが、龍の怪人は振り向かないまま静かにレイナを撃退する。
「・・・撤退」
形の良い背筋から恐ろしい殺気を感じて、女王ナメクジの怪人は引く様に息を飲む。
「後は・・・任せた」
龍の怪人が煙玉を足元に投げると、龍の化身となりながら教会の天井を破壊して女王ナメクジの怪人と共に、雨の降る大空へと飛び去った。
「待て!」
「おおっと!行かせないぜ!」
煙の奥から現れたのは・・・。
「馬鹿な・・・!?」
腕をいびつに歪めた銃の怪人が、まだ闘争本能を残してレイナの元へと現れた・・・。
「いい加減・・・しつこいぞ!」
その後ろからは、ルカとナルミが2人同時に銃の怪人を外に放り投げた。
花壇に身体を落として、震えながら銃の怪人は身体を起こす。
「・・・もういいだろう!止まれ!」
銃の怪人はそれでも止まる事無く、全力で自分の未来を守ろうと立ち上がる。
「おおお・・・おれハ・・・ヘルブラっクくロす・・・かいジん・・・キラーえりート・・・結婚、けっコンしようぜぇえええギャーハッハッハ!!!げポッ。ゴホォ、オエエエ」
びしゃりと血を吐いて、銃の怪人は膝を付く。まだ目は死んでいない、その気迫と実力がもし仲間のモノだったのであれば、心強いモノになっただろう。
「・・・痛ましいよ、君のその姿は・・・でも」
レイナの剣が輝く。
「使命の下に戦う覚悟は受け取った。今度こそ倒す!」
「僕も・・・今度こそ!」
痛みを抑えながら、怪我を推して、月島ルカは大盾を構えて、鐘のある塔へと飛び出す。
「破悪の・・・天剣!」
ナルミが札で銃の怪人の動きを止めて、レイナの剣が今度こそ銃の怪人を貫く。
そしてすかさずその場から離れると、銃の怪人の頭上からルカが盾を突き刺した。
「ムーン・ディザスター!」
頭から胴体まで盾が深く入り、次はその身体をひねって銃の怪人の身体をねじり斬る。
「おっふぅ・・・イキそ・・・」
その言葉を最後に銃の怪人は爆発して姿を消した。
しつこい銃の怪人を今度こそ倒して、レイナとルカは今度こそ安心する。
怪人キラーエリートは倒された。女王ナメクジの怪人は残ったままだが、一先ず襲撃は終わった。
後の心残りとすれば・・・。
「まだ控えている戦闘員達が心配だ・・・」
レイナの疲れ切った顔での発言はルカのメンタルにも来るモノがあった。
今だ気配としては消えていない多数の戦闘員の数に、流石にげんなりする。
襲ってくる気配が今の内は感じられない為、レイナは礼拝堂を目指す。
ミツキ達も勝利を収めていた様子で、聖女の像に祈りを捧げていた。
「私も祈りを捧げる事にするよ・・・」
神に祈るのは自分の身の安全でも、この教会の無事でもない。
この教会に暮らす子どもたちの未来と・・・想い人であるギンジへの祈りだ。
もしこのまま連戦になれば、きっと勝てない。
3日も続く戦い詰めの忙しさに、皆疲れているからだ。
数の不利は今に始まった事では無いが、これでは確実に勝利は無いだろう。
早くギンジが戻って来なければ・・・このままでは・・・。
雨音と激しい戦闘の後がより祈りに虚しさを残す。
(ギンジ・・・君は大丈夫だよね)
静かに、熊沢レイナは佐久間ギンジの帰還を願った。
(早く戻ってきてくれ・・・ヘヴンホワイティネス!)
その祈りは届いてくれるのだろうか。
「ところで藤原さん?」
イロがレイナの後ろに立つ藤原に嫌そうな顔を見せる。この後このおじさんが何をするのかなんて決まっている。そう、セクハラである。
「神はこう仰られております。このおじ様は、魔そのモノであると・・・」
「げぇ!あんなラッシュは嫌だ!」
少しだけ空気感が和やかになる。だけど、まだ控えているヘルブラッククロスの戦闘員に対して、レイナは敗ける覚悟をしている。
否、本当は勝つ気でいる。ここまで来て敗けたらなんの意味があるのだ。
「皆・・・この教会は守れなくても、まだ後ろに控えているヘルブラッククロスの戦闘員が居る」
レイナの言葉にルカもナルミもミツキも険しい顔つきになる。
「子どもたちも幸いキャンプに出ているし、我々だけで済む戦いだ。必ず、ギンジ達の帰れる場所を守り遠そう・・・」
「もちろんですよ!僕も頑張りますから!」
ルカがレイナに微笑む。
「貴女の無茶は今に始まったことではアリませんしね。良いでしょう。神も仰られております、家族を助けなさいと」
ミツキも破邪の鉄拳を鳴らして、臨戦態勢に入る。
「・・・」
ナルミもレイナの肩を軽く叩いて、頷く。声を出すことの無い親友が、今も元気を分けてくれる様な感じになって、レイナは少し涙ぐむ。
「行くぞ!目標は多数!ヘルブラッククロスなら全部倒すんだ!」
レイナが礼拝堂から扉を開けると、やはり待ち構えているのはヘルブラッククロスの戦闘員。
装備を厳重にした上級戦闘員、パワードスーツを改造した超級戦闘員も聖カエルム教会を取り囲む様にして、レイナ達が出てくるのを今か今かと待っていた様子。
小雨となった雨の中、先程の龍の怪人、そして少年の様な見た目の怪人と、マシンの様に飛び回る怪人?らしき者達が戦闘員達の中から列を開き、通常の戦闘員とは違う紫色のリーダー格と思わしき戦闘員が一人現れる。
「やぁ・・・はじめまして・・・私はドクターパープル。君たち正義連合に敗北を贈る者だよ」
おどけた態度の中で声音は非常に重圧さを感じて、悪意の存在である事を自覚する。
くぐもった声はよく聴こえる。
あれこそがこの集団をまとめ上げるリーダーだと、それを知ってなお距離はかなり遠く感じる。
3人の怪人の他に、戦闘員達の列の向こう側には鎧の怪人が数えられるだけでも20人以上は居る。
「まさしく絶望的な状況だろう?降伏するならば、私の研究材料にしてやる。反抗するならば・・・解るだろう?」
ドクターパープルの言葉に、レイナもルカもミツキもナルミも・・・後ろに控える藤原もイロも不機嫌な表情を見せる。
「私達は・・・お前らの様な悪には屈しない!」
レイナが破悪の剣を構えると、仲間達もそれぞれ武器を構える。
戦闘員達もそれに反応して、厳戒態勢が敷かれた。
「やれ・・・無傷で捉えられた者は、好きな褒美を取らせてやる」
ドクターパープルの命令で、一斉に戦闘員達が漆黒の絨毯の如く襲いかかってきた。
晴れる事の無い雨は、日付が変わろうとも降り続けた。
8月28日・午前0時。
天気は大雨のち、小雨。また、ところにより黒い地獄が降り注ぐ。
「・・・行くぞ!!」
レイナが叫び、虹色の剣が光輝く。
地獄を切り抜ける祈りは、どこまで届いたのか・・・。
それでもレイナ達は信じた。正義のヒーローの帰還を。
続く
お疲れ様です。
今回はこの作品特有の怪人がどんどん死ぬという自体を引き起こしました。
ごめんね毛の怪人、祝福の怪人、銃の怪人。
女王ナメクジの怪人はどうして死ななかったかって?皆好きでしょ?
キャラネタ書きます
熊沢レイナ
ギンジの帰還をきっと誰よりも望んでいるかも知れない。ミヤコ以上に愛情はあるかもしれない。
正義のヒーロー、早く帰ってきてくれ
如月ナルミ
モード・ウメミツキにする事で喋る事が出来る。二重人格者。
レイナの前ではウメミツキを出さないようにしている。
月島ルカ
新しい技はディフェンス・エクストラ。
アキハと共に心を深層心理まで通わせる事で出せる大技。使いすぎると脳みそが焼ける。
磯上ミツキ
W○YYYYと叫ぶ事も考えたらしいが、止めといた。
神様ラッシュは彼女の十八番。
祝福の怪人
爆発した。次回出番があります
銃の怪人
本家剣士の怪人よりもしぶとい。戦う覚悟は人一倍あったけど、しつこすぎた。
超性欲の怪人
赤いふんどしがトレードマーク怪人。ミツキに手も脚も出せず死んだ。相手が悪かった。
女王ナメクジの怪人
斬られたけど、気持ちいいらしい。
汚い印象を抱きがちだが、甘く心地よい女性ならではの香りがムンムンしている。常時素足だけど美容・健康・快楽には気を使っている。
生き延びたが、内心結構ショック。
龍の怪人
先輩である触手の怪人よりも出番が今のところある。
好みのタイプ・ドクターハルネ
毒蛾の怪人
ドクターパープルの護衛。
機械の怪人
ドクターパープルに映像を見えていた。女王ナメクジの映像だけは4カメ使っていた。
・・・
次回は・・・お待たせしました!
彼らが帰って来るぞ!!!
そして教会総力戦の行方はどうなるのか・・・!
それではまた次回!
よろしければ感想、評価等頂けますと幸いです!ではでは〜!