話が複雑になって来たのですが、安心してください、これ以上の怪人はこの章では登場しませんよ!
相変わらず拙いし、めちゃくちゃだけどお楽しみ頂ければと思います。
それではどうぞ!
8月30日。
神宮リゾートホテルのダストシュートから降りたミヤコは、ゴミを分別する廃棄物処理の空洞に落ちた。
「げほ、ごほ・・・くさーい・・・」
ミヤコが頭から落ちた場所は、袋に詰まった生ゴミが大量に溜まっており、それらがクッションになったおかげで大事には至らなかった事に安心する。
最悪なのはこの悪臭満ちた空間だった。いくら不健康な生活がたたるミヤコでも、見た目はそこらに居る女の子とそう変わらない。
命を賭けた脱出劇でも、狂気に満ち溢れた科学者でも、こんなゴミだらけなのはいただけない。なによりこんな姿では愛するギンジに見せられたモノではない。
「うーん・・・どこかに出られないかな・・・おえっ」
あまりの臭さに嗚咽までが溢れる。胃を絞る様な拒否反応に、ミヤコは思わず涙が溢れる。このままこんな所に長居しては行けない。
髪も服も肌でさえボロボロになってしまいそうだ。
生ゴミの臭いが脳にまとわりついて、本当の意味で腐り果ててしまいそうな気分だった。
「おえっ・・・きつい・・・ギンジ君助けて・・・」
あまりの臭さとどうしようも無い醜悪な環境下においては、ミヤコではどうしようも無い。いっそ怪人開発の材料にでもしてしまおうか。そう考える事も出来たはずだが、今のミヤコにそこまでの事を考える余裕は無かった。
「んしょ、こっちに光が・・・」
溜まった生ゴミの袋を踏み分けて、恐らくは電球と思わしき光が差し込むシャッターの方へ、ミヤコは進んでいく。
たまになんの水なのか分からないモノを踏み抜き、足首に最悪な感触と臭いが充満して吐きそうになる。
やわらかい残飯が詰まった袋を踏んでは、中のガスが溜まっていたのか袋が破裂してミヤコのメガネを汚し、制服がどんどん汚れたシミをつけていくのが不愉快でたまらない。
自分の身体を汚して良いのはギンジ君だけ。生ゴミを操る変な怪物から、今は逃げているだけ。そう念じながらミヤコは蝿や蛆が群がる最悪な道無き道をゆっくり進んでいく。
やがてシャッターにまで到達すると、開閉の上下ボタンを発見し、内側からそのボタンを操作して、ようやくこの空間からの脱出に成功した。
シャッターが重苦しく巻き上げる音を聴きながら、ミヤコの目の前に開けた視界は清潔なホテルの一つの空間。
様々な車の出入りがあるのか、コンクリートで固められた広く入り組んだ駐車場の様に見えるこの場所は、搬入用のリフトや業務用の地下施設であると言う事が理解出来た。
「くふふ、脱出までの道のりが見えてきたね・・・はぁ臭っさ」
今はとにかくお風呂に入りたい。タツヤに折られた指を確認して、ミヤコは後ろを振り返る。
今にして思えば・・・こんな所にまで連れてこられた自分の運命が少し可笑しく思えて、口角を釣り上げる。
自分一人でもなるようにはなる。本当はギンジに助けて欲しいのだが、今回ばかりは彼らの到着も遅いらしい。
そもそも来てくれるのかさえ分からない。
「・・・でも、信じてるよ、ギンジ君」
愛しき男佐久間ギンジの顔、声、仕草、身体の形、匂い、大きさ、心。
全てを胸にしまってミヤコは強い一歩を踏み出した。
ここから、地獄の一部となった神宮リゾートホテルから逃げる為に。
「・・・拙者達から逃げられるとでも?」
「あら・・・意外と早いんだね」
そんな強い覚悟を持ったミヤコの背後・・・つまりゴミ置き場から、ひとつ低い声がした。この時代に一人称を拙者にしている者は、ミヤコが知る限りあの怪人しか居ない。
東洋鎧・・・それは甲冑とも呼ばれる鎧に、動きやすさを最大限に考えられた止め金の数々。
腰から下はフレアスカート様に広がっていて、真ん中部分から足を出せる様にした奇妙な出で立ち。
渋い顔立ちに顎から頬にかけて大きな傷跡のついた、大小様々な刀を六本携えた怪人。
武者の怪人。新怪人四天王の一人が、ここに来てミヤコの前に現れた。
ここに来てミヤコを追いかける様にして現れた理由はたった一つ。
「拙者はお前を連れ戻す様に命令された。大人しくしているなら、斬らないでおこう」
冷たく言い放つ武者の怪人の右手と左手には、腰に携えた刀をいつでも引き抜く準備が出来ていた。
「大人しくしないなら?」
武者の怪人の言うことを素直に聴く気の無いミヤコは、内心驚いていながらも武者の怪人に挑発じみた言葉を返す。その先お答えは既に決まっている。
「四肢を斬ってタツヤ殿にその身体を差し出す。無論─」
音もなく武者の怪人の両手に刀が引き抜かれた。
「──大人しくしなくても、斬りきざむ」
「くふふ、怪人の癖に、殺しの事だけ考えてるんだね」
「当たり前だ。拙者は女を斬って嬲る事しか頭に無いのでな」
渋い顔はそのままにして居れば、きっと様々な女性達から好感触を持たれる良い顔をしているだろう。ギンジには敵わないがイケメンという部類に入る。もっと詳しく言えばイケおじという言葉が似合う。
そんなイケおじ武者の怪人は、顔を歪むに歪ませて、女体を斬る事に快楽を得る、怪人としても人としてもかなり異常者。
涎すら出るぐらいに瞳を曲げて、鼻を広げて、口を大きく開いて汚らしい笑顔をミヤコに見せつけた。
「ああ、やっぱりギンジ君が一番だ」
「もうその男に会う事はあるまい。いざ──」
抜いた刀に光が反射する。それが武者の怪人の攻撃のサインであるとひと目見て理解して、ミヤコは腰を少し曲げて前かがみになる。
「──斬る!」
武者の怪人が刃を震えば、ミヤコをすり抜けた更に奥にある音クリートの柱を切り刻んで瓦礫となっていく。バラり、と斬り崩された柱は何本も連なった柱と天井を斬り崩して、ミヤコの逃げ道を完璧に封鎖した。
「・・・これでわたしが逃げられなくなったって思ってる?」
「逃げる手段があるならば、試すと良い。尤も──」
二本の刀の切っ先が、今度こそミヤコに向けられる。コンクリートの削れた粉が舞う地下で、次は柏木タツヤの嫁に狙いを定めて、刀が振るわれ様とした。
「あ・・・」
ミヤコが声を出した。武者の怪人の頭上に瓦礫が落ちてきたのだ。
「なんだと!?ぷぎゃっ」
尖ったコンクリートの瓦礫が、武者の怪人を潰した。柱を斬りすぎた事で武者の怪人に天罰が下った様子。
それをラッキーとしたミヤコは、急いで上の階層へと瓦礫を登って行く。
幸いにも瓦礫はミヤコが掴みやすい高さにあり、運動不足なミヤコでも簡単に登れる形になっている。
「よっ・・・と」
少しグラつくが、ミヤコはなんとしてもここから脱出しないと行けない。怪人が相手でも臆さずに逃げねばならないのだ。
瓦礫の尖った部分がセーラー服に引っかかって、布の破れる嫌な音がミヤコの耳に響いてくる。肩までまで裂けたセーラー服をそのままに、とにかく上に登っていく。
一方瓦礫に潰された武者の怪人はと言うと、自分に乗ったコンクリートを斬り崩しては、すぐにミヤコを追いかけようと奮起していた。
「拙者が逃がすと思うか──無謀!」
ミヤコが登りきった先は、ホテルのエントランスホール。白と黄金が混ざった大理石の床に手をかけて、冷たい床にまでミヤコの張り詰めた緊張感が広がっている。
「はぁ、はぁ、見えた」
ミヤコの眼の前にはホテルの入り口とも呼べる大きなガラスの自動ドア。その先に見えるのは、真夏の強い日差しが輝いた海を弾く絶景。
「くふふ、やっと・・・脱出」
この自動ドアを抜ける寸前、武者の怪人の刃がミヤコの首元に伸びていたが、その殺意の一刀は武者の怪人の視界の外から伸びてきた粘着性のある糸によって妨害される。
「殺す気かよ!柏木さんの嫁さんなんだから駄目だぞ!」
武者の怪人の頭上には、蜘蛛の怪人が燕尾服を汗で汚して、息も絶え絶えになりながらここまで降りてきた様子だった。
そうこうしている間に、ミヤコは自動ドアを抜けてホテルの外へと走ってしまっていたが、蜘蛛の怪人は武者の怪人を諌めながら、勝利の確信を持った表情をしていた。
「オイラ達の勝ちだぜ、ブラザー。確定演出の境地なり」
「・・・どういう事だ」
そしてミヤコが走ってホテルの大階段を降りようとした。
「─ッ!?」
階段の下の踊り場・・・そこには無数の戦闘員。
そして戦闘員の並ぶ列の真ん中には、季節に似合わない三つ揃いの衣装を着た、蛇の様な男の姿がそこにはあった。
「わたくしに内緒で、おでかけですか?ドクターミヤコ」
「柏木・・・!」
ヘルブラッククロスの大幹部、柏木タツヤが脱出寸前にて、ミヤコの前に立ちはだかった。
怪人や戦闘員よりも、明らかに大きな壁と思える程に、ミヤコの希望を軽々しく砕き去る、絶望感。
その存在が、タツヤ。彼がここに現れるとは予想外だった。
ミヤコの顔にダラダラと汗が流れ落ちる。艶のある黒髪を生ゴミと汗で汚して、破れたセーラー服がはらりと、熱されたコンクリートに落ちていく。
花びらの様に落ちたセーラー服。ミヤコの視線はタツヤから動かないままであった。
「もうすぐ結婚式ですよ?身体を汚すなんて、褒められたモノではありませんねぇ・・・そうだ、今度は一緒にお風呂に入りますか、ね?」
表情ひとつ変えないタツヤの視線が、ミヤコの心臓を鷲掴みにする。
蛇に睨まれた蛙の様に、ミヤコはもう動けなくなっていた。
「逃げる事は無理・・・だっ!」
「!!?」
動けなくなったミヤコの背後には、鋼鉄を身体をした着物の上半分だけを脱いだもう一人の怪人が、ミヤコの首に手刀を当てては、彼女を気絶させる事に成功する。
「無念──」
「柏木さーん!こいつ、嫁さん殺そうとしました。そんなんで怪人四天王とか各方面に失礼だよね。オラ、謝罪しろ。責任取れ!」
「貴様から斬るぞ」
「そんな貞操概念だと、いい大人になれんぞ!」
鋼の怪人が倒れるミヤコを抱えている間に、武者の怪人と蜘蛛の怪人が言い合いをしながら、タツヤの前に歩み寄ってくる。
「よくやってくれました。それでは、ホテルに戻りますか・・・式の準備も始めたいですし、
タツヤが腕時計を見ながら、鋼の怪人の肩で気絶したミヤコの顔をマジマジと眺める。
小顔は汚れているが、とてもタツヤの好みの顔をしている。
この未だ強気な少女の心を壊した時、タツヤはきっとこの一生で最大級の歓喜にうち震えるだろうか。それともより新たな探究心が出てくるのだろうか。
「戻りましょうか。ああ、戦闘員の皆様はホテルの敷地内を壊して回って構いませんよ。チャペルにだけは手を出さないでくださいね」
タツヤが命令すると、戦闘員達は血気盛んに破壊活動を再開し初めて、ホテルを中心とした店の並ぶエリアを地獄絵図そのモノと変えていく。
破壊し尽くした中、ひとつだけ綺麗に残されたチャペルの中で、柏木タツヤはミヤコの心を破壊しようと心血を注いだ。それをする事で、弱い者イジメをしている自分を正当化出来ると本気で思っているからだ。
ヘヴンホワイティネスをも完全に撃破し、今度こそ総統の望む計画と世界の実現に、心を踊らせられる。
鋼の怪人、蜘蛛の怪人、武者の怪人がホテルの中に戻る傍ら、タツヤは本気でこの日本の転覆を行おうとしている覚悟を、誰に見せるわけでもなく証明の為の行動に出る。
それは・・・警察手帳を、踊り場の外、人工的に造られた河にポイ捨てをするように投げ捨てた。
「さぁ・・・
青い空の下、地獄の蛇が狂気に嗤う・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
8月30日。時刻は22時。
中央度固化市、海岸エリアに存在する神宮リゾートホテル。
ホテルの敷地内にあるレストランフロアや、ショッピングフロアはそこらじゅうで戦闘員達によるお祭り騒ぎが続いており、破壊や略奪、女性のあられもない姿、男性はボコられ、子供はただ恐怖におびえて泣き叫ぶだけ。
煙が舞い、瓦礫が崩れ、建物は燃やされている。
ホテルを囲む様にした大きな一つの街の様なその姿は、かつての美しい姿をたった半日で阿鼻叫喚の絶えない最悪のスラムにまでなってしまっていた。
「ホー、ひどい状況だ」
本当の意味で無法地帯、地獄絵図となったレストランフロアの片隅で、梟の怪人は戦闘員達の暴挙を肴にする様にして楽しんでいる。
弱々しい人間が、地獄の魔の手によって蹂躙されるこの光景が、たまらなく面白い。
「ホー、いいぞもっとやれ」
ボロボロになったパン屋に突き刺さったヘルブラッククロスの旗の上で、梟の怪人がニタニタと笑っている。
戦闘員が痛みに苦しむ男性を馬乗りになって、叩き回している。
ある場所では明らかに屈服している女性は彼らの慰みモノにされ、またある場所では恋人が眼の前でボコられている姿を見て、泣き叫んでいる。
「い、嫌ぁ・・・もう、殴らないでぇ」
抵抗してしまった不幸な女性は、顔をボコボコに腫れさせて、歯が折れていてもお構いなしに戦闘員に顔面を殴られる。
「よーし、こいつとヤりたい奴いるー?居ねぇよな、こんな面の悪い女!ギャハハハハ!」
ここに居る奴らは全員悪魔だ。
「うう・・・いてぇ・・・」
哀れにも抵抗した男は、立てなくなるほど暴力を振るわれて、血だらけになった身体が震えている。
「お、まだ息があるぞ。はは、殺してやろうぜ」
軽々しく言い放つ言葉に、男性は赤い涙を流す。
恐怖ですくみあがりうずくまって動けない男に、戦闘員がひたすら下卑た笑いを上げる。その笑いはこの一箇所だけではなく、至る所で品の無い笑い声が夜空に響いていた。
「ぐへぇあ!」
有姪海岸から一本道で行けるレストランフロアの入り口では、戦闘員が戦闘員同士で身体をぶつけている。はしゃぎ過ぎたのか、身体が浮かぶ程の大騒ぎ・・・。
「ようよう、面白そうな事してんなぁ・・・!」
実は今の悲鳴を上げた戦闘員は、はしゃいだのでは無かった。右手に炎を宿し、こんな夜中だと言うのにサングラスをかけた男が、思い切りぶっ飛ばしたのだ。力の限りの拳に、レストランフロアの戦闘員達がどよめき始める。
「弱い者イジメなら・・・私達も混ぜてもらおうか」
炎の拳の男の隣では、明らかに人間では無い顔をした、豚顔の大男が軍服の内側から筋肉を膨張させて、その表情は怒りに満ちている。
サングラスの男も、豚顔の男も、怒っている理由は簡単なモノで、女性も男性も子供にも手を上げて、あまつさえそれを楽しんでいるという所に怒りが爆発しそうになっていた。
「いっ・・・オーク怪人だ・・・」
一人の戦闘員がオーク怪人がまだ生きていた事実に直面して、一気に冷静に戻る。
しかしそれよりも戦闘員達が驚いたのが、オーク怪人の隣に立つ男の存在だった。
「ギンジだ!ギンジが来たぞ!」
ヘルブラッククロスからおめおめと逃げた敗北者・ヘヴンホワイティネスの佐久間ギンジ。彼が現れた事で、敗残兵と侮っていたヘルブラッククロス達は、本人を前にして先程の強気な態度がだんだんなりを潜め始める。
ドゴーン。ドゴーン。ドゴーン。
レストランフロアの後方付近からも、爆発が3回聴こえた。
毎回ギンジが現れる度に、ギンジだ!と叫ばないといけない戦闘員ケントは、爆発がした方向へと振り向いた。
桃色の竜巻、虹色の爆発、月光の柱。
次いですぐ近く。一般市民を回収しつつ戦闘員を蹴散らすのは・・・。
「ヘヴンホワイティネス!!梟さん!」
ケントの視界に入ったのはヘルブラッククロスの宿敵であるヘヴンホワイティネス。
カエデが最大の怒りを顕ににしながら、必殺技を解き放つ。
レンもビーム剣を振り回して、ミドリコが拳銃で援護し、ケイタが魔法でレンとカエデを補助に回っている。
ヒトシもミドリコと同じぐらい、刀で応戦している。
ギンジ達より少し先に突き進み、戦闘員を蹴散らしながら襲撃を開始した。
レイナも破邪の剣を振り回し、サクラは魔法を解き放ち、ルカがと大盾での突撃を行い、それぞれがギンジの指示、作戦通りにレストランフロアを突破し、各々ホテルに向かって進軍をしていた。
「ホー、後は任せた。大幹部に報告してくる」
梟の怪人が翼を広げて、ホテルに向かって飛び出していく。人間の体積に変換されたその翼の動きは、元のフクロウよりも素早く、確実な飛行能力となっている。
目的としては正義連合やヘヴンホワイティネスの出現の報告。それらの対処の為に、新怪人四天王の三名と、大幹部への伝達。
「やぁやぁケント君、久しぶり♡」
「や、やぁギンジ・・・♡」
お互いそこまで面識があったわけでも無いが、ギンジがヘルブラッククロスの襲撃に出くわす度に名前を呼ばれれば、流石に馬鹿のギンジでもこの戦闘員の事を覚える。
覚えたついでに、思い切りケントを殴り飛ばす。ケントは首を撚りながら全身をプロペラの如く回転させながら、パン屋の店内にその身を叩き落された。
「ホテル突撃組に注意が向かない様に、俺たちが大暴れすんぞ!」
「ブヒ、足を引っ張るなよギンジ」
「誰に言ってんだ?俺は・・・いや、俺たちは」
ギンジの燃える拳と、オーク怪人の振動する拳。
2つが重なりながら、ギンジとオーク怪人を狙った戦闘員の顔面を2人同時に撃ち抜いた。
「ドクターミヤコの最高傑作だぜ!」
「制しに向かうぞ、ギンジ!」
「おうよ!」
ギンジとオーク怪人が2人同時に攻撃を繰り出していく。オーク怪人の見た目に違わないパワーウェーブが叩き出され、オーク怪人の頭に手を乗せた勢いでギンジが頭上に飛び上がった。
飛び上がったその手に握られたのは、金棒。電撃を纏い、魔力で増幅された破壊力は、この世界における最強の武器の一つと自負さえ出来る。
「砕けちまいなぁあ!!」
一般市民を巻き込まない様に、意外と繊細だが見た目は豪快な攻撃に、戦闘員たちは紙くずの様に吹き飛ばされていく。
圧倒的な破壊攻撃が一度終わると、ギンジが金棒を肩に担いで集まってきた戦闘員達に、正義の到着を告げる。
「正義のヒーロー。登場ってなァ!」
「ブヒ、私は違うがな」
ギンジとオーク怪人。ヘルブラッククロスの戦闘員なら知らない人は居ない、最強の怪人2トップ。
並びたった男達の登場により、戦闘員達が再びどよめき始める。
「・・・対ギンジ用の決戦兵器を出せ!」
首が折れたケントが、パン屋から姿を表しては部下達にそう指示する。
「お前用の決戦兵器・・・」
「俺用?一体なんだ?」
ギンジとオーク怪人を囲む戦闘員達が、走ってその場から離れていく、。離れるとは言っても、そこまで遠くは無く距離が離れただけで、依然ギンジとオーク怪人を取り囲んでいる。
「マジかよ。兵器の対応はレイナ達にお願いしたんだけどな・・・」
そんな事をご散るギンジとオーク怪人の足元から、白濁とした液体がにじみ出てきて、ゴボゴボと泡立つ粘液が破壊されたコンクリートに広がっていく。
「なんだ・・・!?」
「・・・何か、まずい気がするぞ。離れるぞ、ギンジ」
液体を操る兵器・・・だとしたらコレがギンジ用の決戦兵器だと言うのだろうか。
後方に飛んだギンジとオーク怪人の目の前に、白濁とした色気のある香水の様な香りを撒き散らしながら、人の形をした真っ白なシルエットが形成されていく。
「あはー♡また会えて嬉しいわ♡進化の怪人♡」
白濁としたシルエットが流れ落ちると、真ん中分けのヘアスタイルをした、ぴっちりしたレオタードが身体にフィットしたむっちりした身体の怪人が現れる。
ひたり、と生足をつけると薄いピンク色のナメクジ達を無数に召喚しては、ギンジとオーク怪人にいやらしく舌を出して蠱惑的な表情を見せる女性の怪人。
名前を、女王ナメクジの怪人。
怪人キラーエリート、最後の生き残り。
最後のチャンスとして、大幹部柏木タツヤの説得で処分を免れた、欠陥品。しかし、彼女の能力は確実にギンジ攻略に対して役に立つとの判断で、ここに連れて来られた。
「おいおい・・・ありゃ、女の子じゃないか!」
ヘヴンホワイティネス・佐久間ギンジの弱点は女性。その事がバレているのか、女王ナメクジの怪人が現れた事で、ギンジの顔色が悪くなる。
「ブヒ・・・戦闘員が離れた事、そして怪人でありながらギンジを相手に出来るという意味合いの決戦兵器・・・つまり、広範囲の攻撃手段を持ち、能力も桁違いに高い数値を出している、と言う事か・・・」
※あってるけど、違います
オーク怪人が軍帽をなおしながら冷静に分析するが、女王ナメクジの怪人がギンジとオーク怪人に向かって、白濁とした粘液とナメクジ分隊を射出して来た。
「あの粘液・・・触れたらただでは済まないだろうな」
「マジかよ、どうする」
左右に転がりながら、ギンジとオーク怪人が女王ナメクジの怪人を視界から外さない。よそ見をすれば確実に敗けそうな気がしているからだ。
「ほーら、皆で気持ちよくなりましょ〜♡」
にぢゃあああぁぁ・・・っとした音をわざとらしく鳴らして、女王ナメクジの怪人が挑発的な姿勢を取る。大きく揺れる胸、くびれた腰回り、大きなヒップライン、見ているだけでも柔らかそうな脚。ぽってりとした厚い唇、長くいやらしく伸びる舌に、身体から止めどなく溢れる真っ白な液体。
女性としての香りの良さ、見た目のレベルの高さ、どれをとってもエロゲーに出てくる男の理想を纏めた理想の女性の姿をしており、ギンジもオーク怪人も、戦況を眺める戦闘員達もその色香にリビドーが上がっていく。
ますますギンジではまともに戦えない相手だ。
「なるほど、だから俺用の決戦兵器。これは厄介だな」
やむを得ない場合だが離れていても充満している、このオトナの女性の香りがギンジの決意を激しく揺さぶってくる。
「ほらほら〜♡私と気持ちいい事しましょ♡」
「ヌハハ、いいぜ。兄貴を落とす前に、俺っちを落とせたらなぁ!」
女王ナメクジの怪人が再び粘液を放出しようと、両腕を上げた瞬間、ギンジとオーク怪人の後ろ・・・海岸側からまたもう一人の大男が姿を表した。
赤い肌に雄々しい一本角。
右手に握られた八角の棒。
「ええ!?なんで赤鬼がここに居るんだ!」
赤鬼のまさかの登場に、ギンジが思い切りツッコミを入れた。黒い甚兵衛を夜風に揺らして、赤鬼が思い切り高笑いをした。
「ヌハハ、クソしてたら置いてかれちまってなァ。ま、ホントは兄貴達と暴れたくてよ」
「お前が一緒に居ないと、ミドリコが─」
ギンジが最後までしゃべる事を許さずに、赤鬼がギンジの兄貴の口を空気で紡いだ。
「ミドリコの姐さんは大丈夫だ。俺っちが一緒に居る事で最強になるのは間違いないが、この戦いは兄貴の戦いだ」
赤鬼の金棒が女王ナメクジの怪人に向けられ、鬼気を強く出していく。
漢の1文字を背負った赤鬼の覚悟を、ギンジに伝えていく。
「恩人の恩人、助ける事が今回の戦いの目的ってモンよ。それに、あの女が相手じゃ、兄貴じゃ勝ち目はねぇな」
「はっきり言いやがって・・・」
だが事実だ。
能力は不明、おまけに女性。
ギンジでもオーク怪人でも集中を乱す程の怪人。
そんな怪人と戦えるのは、バカ正直なこの赤鬼の怪人だけだろう。
「いっつも後先考えなくてすいやせん。でも、兄貴や豚野郎こそが、ミヤコ姉さんを助けに行くのが正しいと思うんだ。俺っちや姉御達より、兄貴こそがミヤコ姉さんに会って、その手を伸ばしてやるのが兄貴の役目ってんじゃないスかね!」
ここに残って戦闘員を引きつける役目は、赤鬼が担う。そう言っているのだ。
ミヤコが今一番会いたいのは、ギンジに決まっている。そう理解している赤鬼は、ギンジに先に進んで欲しいのだ。
オリハル金砕棒を握る力を強くして、赤鬼はギンジに拳を突き出す。
「行ってくだせぇ、そして言ってくだせぇ。ここを俺っちに任せるってな」
牙を打ち鳴らす赤鬼の言葉に、ギンジは拳を突き出し赤鬼とグータッチを行う。軽くぶつけた拳を引っ込めると次にギンジは赤鬼は肘をぶつけ合い、左手の掌をハイタッチの要領で叩き合う。
「ここは任せたぜ、赤鬼!」
「どら、気合も入ったし大暴れしてやるぜ!」
赤鬼とギンジの立ち位置が入れ替わると、ギンジはオーク怪人を連れて空へ飛翔する。コウモリの羽をはやしたギンジとオーク怪人は一目散にホテルへと飛び出して行った。
「ちょっと〜♡気持ちよくなろうよ〜♡」
女王ナメクジの怪人が両手に滴る粘液を、ギンジ向けて撃とうとするが、見えない何かが粘液を飲み込んで視界の端に消えていく。
びちゃり。そんな音を鳴らした粘液が離れていた戦闘員に付着すると、その戦闘員は腰をガクガクと動かしながら、嬌声を上げて悶絶してしまった。
「俺っちの空気は、こんな事も出来るんだぜ。兄貴に夢中みてぇだが、生憎兄貴はモテモテだからよ。俺っちに浮気しとけや」
「気持ちよくなれるんなら、誰でもいいわよ♡・・・でも、そうね♡先ずはあんたから快楽堕ちになる姿を見てみたいかも♡」
尤も赤鬼もこんな品の無い、怪人なのか人間なのか不明な女に魅力ふがあるようにも見えず、浮気もするつもりも無かった。
2人の怪人が闘志を燃やして、空気と粘液がぶつかり合う戦いが始まると、少し離れた戦闘員達が空気圧で飛び、粘液で悶え狂い初めた。
〜レストランフロア・入り口広場の戦い〜
赤鬼vs女王ナメクジの怪人
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
レイナ、サクラ、ルカがホテルのフロア中層であるショッピングフロアに到着する。目視で確認出来る限りでは、破壊されていないお店は存在せず、全てが燃やされたり破壊され、戦闘員達が襲撃されているのに、正義連合の登場に関してもニヤニヤしている様に見えていた。
どこまでも下卑た連中にレイナの屈辱が、大きく顔に出てくる。こんな奴らとカエデ達は戦い続けていた事を考えると、まったく頭が下がる思いだ。
「いー女が来たぜ!霊鳥さん!」
一人の戦闘員が夜空に向かって打ち上げ花火を放った。その花火は発煙筒にも似ていて、霊鳥と叫んだ事にレイナ、サクラ、ルカの三人は警戒する。
3人が3人の背中を守る様に、3方向を向きながら防御の体制に入る。
「霊鳥・・・とか言ったな・・・何が来るか分からないぞ」
レイナが修道服をなびかせながら、破邪の剣を強く握る。
「どんな大きい敵でも、今ならぜーんぜん怖くないし余裕だよ!」
サクラはここに戻ってくる前に、魔王となった骨の怪人と戦ってきた。城壁すら軽々しくなぎ倒す怪物を見てしまえば、恐怖などほとんど払拭されている。
「僕は、少しだけ不安だな」
(弱気にならないの!ほら、ギンジの為に頑張るわよ、ルカ)
ルカも盾を構えながらレイナとサクラの背中を守る。右足の怪我が収まらないまま、ここに来たのだ。
だが怪我をしているからと言って、弱気になっていてはしょうがない。ギンジ達の戦いに勝利をもたらす為、ここに正義連合の作戦が開始される。
戦闘員やレイナ達の頭上から、不意打ちの強い暴風が叩きつけられた。あまりにも急な攻撃に反応が遅れてしまう。
「なんだ!?」
戦闘員達も暴風に巻き上げられ、建物も一瞬視認できる竜巻によって破壊されていく。
木材が吹き飛びながら、レイナの正面に向かって来た。間違いなく常人ならば大怪我する大きさの、お店の一部をレイナは虹色に輝く鞭の様にしなる破邪の剣で一刀両断する。
綺麗に斬り裂いた木材の向こう側で、大空を背にした人の形を成した存在を3人が目撃する。
「まだ怪人が居るの・・・?」
サクラがその怪人の姿を見やると、おそらくあれが霊鳥と呼ばれた戦闘員の切り札的な扱いに相当する存在だろう。
猿の様な毛皮の身体に、脚は3本の指に鋭い爪が怪しく輝き、両腕に該当する部分は大きな翼と同化している。さらに顔の部分は人らしさは無く、嘴を尖らせた鳥そのモノの顔をしている。
頭に乗せた王冠が赤黒く光っており、戦闘員もレイナ達も見下ろしながら暴風に耐えられない者に、嘲笑の目線を送っている。
「フゥーハハハハ!俺様の出番だぜぇ!」
息を引く様な笑い声を発しながら、霊鳥の怪人がもう一度暴風を巻き起こす。
その強い風圧は盾で身体を支えるルカでさえ、足元が浮きそうな程強かった。
気を抜けば一瞬で身体ごと浮かびそうな強い風圧を産み出すのは、霊鳥の怪人の翼と同化した腕の力だろう。
「ウワサのヘヴンホワイティネスに味方するマヌケに、こーの俺様自らぶち殺しに来てやったぜ!」
霊鳥の怪人が夜空に羽ばたきながら、高圧的な言葉を投げかけてくる。レイナを見下しているその姿に、サクラとルカがその態度にピキリと怒りを滲ませた。
「君の様な高い所からモノ言う事しか出来ない雑魚に、私達を本当に殺せると思うかね?」
「レイナさんを甘く見ているなら、痛い目に合うよ」
「どっちにしても、僕達がお前みたいな変な怪人に敗ける道理は無い。そしてお前は・・・」
レイナの破邪の剣、サクラの魔法の杖、ルカの月の大盾がそれぞれ霊鳥の怪人に向けられる。
三銃士の様に高く挙げられた武器を見て、霊鳥の怪人が両腕の翼を大きく広げて威嚇の姿勢を取り始める。
「なんだー?ボク達には勝てない!とか言うつもりかー?」
「その通りだ。お前は僕たちには絶対に勝てない!」
ルカの宣言に、霊鳥の怪人が再度暴風を巻き上げて、威嚇から戦闘体制に入った。この正義連合をこの先、大幹部が座に着いているホテルに向かわせない為に、霊鳥の怪人がレイナ達に立ちはだかった。
ショッピングフロアの戦い
正義連合vs霊鳥の怪人
・・・・・・・・・・・・・・・・・
ホテルの地下施設。物置となっているこの場所は、神宮ソウジロウがこのホテルを良くする為に様々なモノを取り寄せた、物置にしては豪華な一室。
ここでは今朝がた、柏木タツヤによって捉えられた神宮ソウジロウが、外の騒ぎに気がついて脱出の作を考えついていた時だった。
高いスーツで身なりを整えていたのに、今はヘルブラッククロスによってシワだらけ汚れだらけにされてしまった。
「おのれ・・・!」
物置部屋は外から完全に扉を封鎖されてしまっており、窓なんてあるわけも無いため、内側からは脱出の手段がなかった。
しかし、地下のこの部屋にも聴こえる衝撃音や、悲鳴、何かの雄叫び。
ついついソウジロウは希望を見出してしまう。白いスーツの襟を正して、なんとか部屋を出ようと頑張って物置部屋の扉に体当たりをかましてみる。思い切り肩をぶつけて、体重をかけて扉を開けてみようと何度も試す。
「ぬぐっ・・・鍛えをおこたった覚えはないのだが・・・」
泥棒防止の為に思い切り厳重にしたのが裏目になってしまった。
「もう一度・・・!」
例えこの身体が壊れようとも、なんとしてもここを脱出して、自分の娘にここを襲撃してきた悪の存在を知らせないと行けない。
日本を転覆して力による支配を進めようとするこの悪の組織、ヘルブラッククロスを倒せるのは、自慢の我が子だけなのだから。
「ぬおっ!?」
扉び体当たりが命中する直前で、ソウジロウはバランスを崩す。扉が急に開いてはソウジロウが外に出られたのだ。厳重だった扉は開き、ソウジロウは転がって逆さまになりながら地面に後頭部を擦りつける様に転んでしまった。
財閥のCEOとは思えない滑稽な姿になってしまったが、物置部屋の外は何個モノ扉が連なった廊下になっている。
「・・・何故急に扉が開いたのだ」
顎髭を触りながら、ソウジロウが立ち上がると、背後に人の気配を感じた。それはヘルブラッククロスの様な悪意のある気配では無く、ソウジロウにとっては懐かしい気配だった。
「・・・!?」
ゆっくり振り向いて見たが、ソウジロウの視界には誰も居ない。
だが・・・。
確かにここに誰かが居る。
『随分無様な姿だな』
その声は人の様に聴こえて、人らしさを感じない声。獣や悪魔の様な獲物を前に喉を震わせた悪意の声が、ソウジロウの耳に入ってきた。
その声を聴いた途端にソウジロウは怪訝な表情を見せては、声の主に怒鳴り散らかす。
「貴様・・・!ここで何をしている!まさかまだ復讐を考えているのか!」
『・・・クカカカ、復讐か。私はもう、神宮の家に復讐なんて考えていないさ、弟よ』
ソウジロウを弟と呼ぶその声の主は、神宮の家の下に産まれたソウジロウと血を分けた兄弟の声。
『復讐なんてした所で、神宮の金と名声は手に入らないからな。そんな事より聴いてくれ、私は力を手に入れたんだ』
どこから声が聴こえていて、そしてどこにその姿があるのか解らないが、ソウジロウの兄の声は新しいビジネスを初めた様なワクワクを胸に秘めた様な声音になり、力という不穏な言葉を流し込んでくる。
『ヘルブラッククロスという企業は良いな・・・裏の世界の職人は本当に良い仕事をする』
「まだそんな事を・・・!目的はなんだ!」
『クカカカ、目的は今の所は達成した。お前を隔離する事だけだ。もうじき、私達が勝利を収める事になる。勿論、お前が忌み嫌う私の目的の成就も。その時に神宮家、神宮財閥、愚かな弟が残っているのでは不都合なのでな』
ソウジロウの兄の言う私達と言うのは、ヘルブラッククロスも含まれるのだろう。そういうニュアンスであると同時に、どうしてこのホテルを襲撃したのかも、ソウジロウには理解出来た。
「・・・まさか本当にするつもりなのか!」
『ああ、本気だとも。その時はお前の娘を・・・カエデを使わ』
「そんな事は絶対にさせん!!!このホテルの襲撃も、私の隔離も成功した様だが、私の娘に、カエデにだけは絶対に手出しはさせんぞ!」
声が地下廊下に反響する。ソウジロウの怒号で兄の言葉を遮る事で、忌々しい記憶も一緒に消し飛ばさんと、思い切り叫び続けた。
『クカカカ・・・生きていたらまた会おう、弟よ』
兄の言葉が消え失せ、兄の気配も消えた。ソウジロウはホテルの廊下で、自分の身の安全よりも今我が子がどうなっているのか、そこの心配事の方が大きく不安となって心を蝕んでいく。
「あのー・・・」
ソウジロウの下にまた新たな気配が現れた。
今度は敵意も悪意も両方感じない、しかし味方と呼べるのも怪しい気配。
「今度はなんだ!」
ソウジロウが汗を拭いながら、声のする方へ視線を向ける。全身を使った動きに、目の前に居る少女は驚き転んでしまう。
「む、君、大丈夫か」
「ええ、なんとか?」
その少女は艶の良い黒髪をウェーブパーマを当てており、露出して出ている肩には刺し傷の様な痛々しい跡が目に入る。
それと同時に着用している衣装が、この雰囲気に似合わない異常な姿だった。
純白のケールに、純白のドレス。ハーブホワイトのカラーリングをしたミドルヒールの靴を輝かせた、今から結婚式にでも出るかの様な格好をした少女がソウジロウに声をかけたのだ。
その少女が引っ張られる様にして立ち上がると、ソウジロウが自己紹介を行う。
「失礼した。私は神宮財閥のCEOを務めている、神宮ソウジロウだ。君は・・・このホテルで結婚式を行うつもりだったのかね?」
代表としての挨拶を行ったソウジロウに、ウェディングドレスを着用した少女が露骨に嫌そうな顔をしていた。
「結婚なんてしませーん・・・だってわたしを幸せに出来るのは・・・ギンジ君だけですモノ・・・くふふ」
少女が・・・ウェディングドレスを着たミヤコが、ギンジの名前を出した事で、今度はソウジロウは露骨に嫌そうな顔を見せた。
「あの輩の知り合いか・・・ならば是非、私の娘から離れさせて欲しい!」
「・・・やっぱり、カエデモンキーとパパ様なんですね、くふふ」
「佐久間と私の娘がくっつくなんて、私は受け入れられない!」
「カエデモンキーがギンジ君とくっつくなんて、わたしも受け入れられない!」
その言葉を聴いた途端に、ソウジロウとミヤコは二人して硬い握手を交わした。出会って数秒で友情を分かち合った2人の、奇妙な出会いがソウジロウの先程の不安を一時的に脳内から離れて行った。
ホテルの外、つまりこの地下の上からは激しい衝突音、衝撃音が未だ聴こえるが、ソウジロウもミヤコもこのホテルにおいて初めて意気投合する仲間の誕生に、心を踊らせるのであった。
続く
お疲れ様です。ついにウェディングドレスを着たミヤコ。
婚期が遠のくぞ・・・
キャラネタ書きます
梟の怪人
ホー、新キャラですか。
ものすごく鳥臭い。
霊鳥の怪人
暴風を得意とする怪人。
すごくイカ臭い。
鋼の怪人
恐ろしく早い手刀・・・俺でなk(ry
鋼の手刀とか普通に首飛ばせそう。次回出番あり
蜘蛛の怪人
29階から走って戻ってきた。燕尾服の後ろのひらひらが好き。
オラ、糸で震え上がれ。怪人の恐怖で震えてるぞ。60hzぐらいか
武者の怪人
ゴミ処理場で刀を研いでいた。蝿すら寄り付かない程の殺意を宿している。渋い顔をしたイケおじなのに顔怖い。
結構ドジを踏みやすい性格。
赤鬼
女王ナメクジの怪人と交戦を開始した。
佐久間ギンジ
オーク怪人と共にホテルに飛び出した。途中風が強かったけど、特に気にせずにホテルの近道を飛んでいる。
女王ナメクジの怪人
まだしぶとく、しつこく生きているナメクジ。
神宮ソウジロウ
神宮財閥のCEOでトップ。
地下の物置部屋で捉えられていたが、兄?によって脱出した後、ミヤコと意気投合した
鈴村ミヤコ
人生で初めてウェディングドレスを着た。ボディラインが強調されるエッッッなドレス。肩の露出が柏木タツヤのツボ。
でもこんな姿、ギンジもたまらん!って思う。
ソウジロウの兄
ヘルブラッククロスと協力し、神宮リゾートホテルの襲撃に手を貸した。
変わりに力を得たらしい。カエデを使うある目的をなにやら企んでいる様子だが、詳しい事は不明。
・・・
次回はヘヴンホワイティネスの場面も増えて、怪人四天王ともぶつかります。
そして荒れる戦況にて、雪の怪人も参戦し、益々戦闘は混乱を極める!
ギンジとミヤコはちゃんと再開出来るのか!イレギュラーだらけの異世界転生ライフは、超加速していく!
それではまた次回!