正義のヒーローヘヴンホワイティネス   作:アトラクション

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こんにちは、アトラクションです

今回のお話ですが、駒の配置が揃った・・・いざ開戦!な状況展開になったお話です

週2回の投稿を維持していきたい・・・!だが仕事がっ!

それではどうぞ!


83・必要とされる事を理解して

 ついに神宮リゾートホテルのエリアに、ヘヴンホワイティネスの襲撃が開始された。レストランフロアでは赤鬼が、ショッピングフロアではレイナ率いる正義連合が。

 

 そしてホテルに続く中央の道では、戦闘員を蹴散らしながらカエデ達がとにかく前に突き進んでいる。

 

 「退きなさいよ!」

 

 カエデのガントレットが鋭い回転音を痛いぐらいに鳴らしては、そこから繰り出すのは正義の大衝撃。

 

 前方にも左右にも後方にも無数の戦闘員が押し寄せる中、援護に回るのは甘白ミドリコ。

 

 彼女が扱う重火器はどれも特別製。

 

 二丁構えた拳銃は専用のカスタムを施し、白い鈍が薄く輝いている。

 

 「邪魔をするな!」

 

 ミドリコが叫びながら、二丁の拳銃の弾丸が切れるのを確認すると、高く二丁の拳銃を放り上げた。そして腰に装備された手をかけられる輪っかの様な形状のついたショットガンを取り出す。

 

 手元で重苦しい音を鳴らして、弾の発射準備を整えれば、後は銃口を敵の群れに構えれば良いだけ。

 

 「もう一度言うぞ。邪魔をするなっ!」

 

 スーツにベルトを付けた武装姿で、ミドリコがショットガンを撃つ。散弾銃としての効果はこの状況でかなり効力お発揮する。何しろ敵は密集しているのだから、適当に撃つだけでもほぼ全ての弾丸が敵に命中する。

 

 一発。その弾丸を撃ちながら次はもう一回手元で回す。

 

 そして2発。もう一度弾丸あ解き放たれた。いくらパワードスーツと言えどミドリコのウィンチェスターショットガンを至近距離で撃たれれば、戦闘員は吹き飛ぶだけ。ただの的に過ぎない。

 

 距離が開いて突破口が出来上がると、胸のポケットにしまった2つの弾丸の入ったマガジンケースを取り出す。

 

 ウィンチェスターショットガンをも高く上げて、今度は先に投げた拳銃が落ちてくるが、両手に携えた拳銃の弾丸を、落ちてくる拍子で装填させる。二丁拳銃を腰のホルスターにしまうと、次はウィンチェスターショットガンを片手でキャッチして、腰に戻す。

 

 重さを利用して回転したその動きで、戦闘員達に足払いまでするおまけつき。

 

 そうしたミドリコの動きの最後に、背中に背負ったのは鉄の筒で構成された大きな重火器。

 

 背中から滑らせる様にして右肩に装備し直したその武器は、ミドリコの最強の攻撃手段。

 

 超改造・敵陣爆掃大火力兵器・ロケットランチャーSW。

 

 ロボットアニメの様なありえない砲塔には、ミサイルが9つも取り付けられており、それだけでも恐ろしい改造をしているのがひと目で理解出来る。

 

 「吹き飛べ!!」

 

 未だ壁を成すヘルブラッククロスの戦闘員達に、白い弾頭が飛び出した。それも一度に9つ全部の弾頭が。

 

 圧倒的火力による大爆発をお越し、最早重火器の暴力を完全に見せつけたミドリコに、戦闘員は恐れおののくばかりだ。

 

 そんなミドリコの頭上を飛び越える様にして、蒼いビームの剣を構えたレンが、表情一つ変えずに戦意を失っていない戦闘員に向かって、急降下していく。

 

 ビーム剣の形状はアックス。縦に回転しながら落ちてきたレンの攻撃により、戦闘員は左右に分断される。

 

 「ビーム剣術・・・!」

 

 アックスの形状が、刀身から左右に別れていく。細く強いしなやかなサーベルに変わり、それぞれがレンの両手に握られる。

 

 「デュアル・エクステルミ!」

 

 刀身が手元から飛び出し、左右に別れた戦闘員の群れをビーム剣が刺し穿つ。形状はデュアル。二刀流になるレンの武器。

 

 文字通りのビームが飛び、戦闘員が次々と倒れていく中、次のビーム剣の形状は2つのビーム剣をつなげたダブルセイバー。真ん中に持ち手のついたビーム剣だ。

 

 「ビーム剣術・ヘヴントルネイド!」

 

 風をも巻き起こす大回転斬りが、辺りの戦闘員を斬り裂きながら上空へと斬り上げていった。

 

 「相手に、ならない。道を開けて」

 

 静かに言うレンの声には明確な敵意が込められ、左の瞳が影に隠れて蒼い眼光が光出して居た。

 

 「やるわね、2人とも!」

 

 次はカエデが両腕を回して、前方の戦闘員を確実に殴り倒す。

 

 「進めると思ってるのか、ヘヴンホワイティネス!」

 

 一際大きな戦闘員がカエデの細い身体を捕まえようと、腕を伸ばすが彼女には絶対に当たらない。

 

 「口だけは達者ね!デカブツ!」

 

 顎下から本気のアッパーカット。そのままハイキック、そして─。

 

 「必殺!ヘヴンリー・インパクト!」

 

 反れた胴体ががら空きになり、そこへカエデの必殺技が叩き込まれた。両の掌を打ち込む正義の衝撃により、身体の大きな戦闘員をくの字に曲げると、少し高く打ち上げた。

 

 「素晴らしい・・・」

 

 十五夜ヒトシはそんなカエデの攻撃速度や、かつてとは違うお嬢様の姿を見て、その成長に感激している。

 

 しかしカエデだけでは無い。

 

 宮寺レンも、甘白ミドリコも戦いに慣れていると言う領域では無い。容赦をしていては勝てないからか、本気で敵に向かっているのが解る。

 

 そんな中、ケイタは白い本を胸に抱きかかえて、魔法を唱える。

 

 「第一の魔法!エンジェラ・アーマ!」

 

 白い矢印の様な魔法は、ヒトシの刀に纏う。

 

 「これは・・・!?」

 

 神宮の誇りとなる刀が、いつも以上に軽く強くなったのを感じた。

 

 「僕の魔法です!」

 「ま、魔法・・・!?」

 

 聴いた事はあるが実際に目にするのは初めてだったヒトシ。前線には出ていないケイタの魔法に、ヒトシはより強くなった刀を思い切り引き抜いた。

 

 透き通る程美しくきめ細やかな刀身は、ヒトシが知る強さをより高みへと登らせていた。

 

 この刀ならばきっと空間をも斬れるのでは無いかと、そう思わせてしまう程美しい。

 

 「僕の魔法は最大で五分の強化を与える力です!」

 「なるほど、5分だけ、か」

 

 ヒトシとケイタの目の前には戦闘員。

 

 カエデ、レン、ミドリコが数を減らしているとは言えど、相当数が多い。あれだけやってもまだ居る。

 

 「ならば・・・神宮御庭番衆・隊長、十五夜ヒトシ。参る」

 

 革靴で石床を踏みつけるが、その音は鳴らない。静かに力強く踏んだその脚の動きで、全身に体重をかける。

 

 流れる川の様な動作で、刀を引き抜き透き通る刀身からの居合抜きと同時に戦闘員の背後にまで到達する。

 

 刀だけの強化だと思っていたが、ヒトシの身体強化もされていた。角倉ケイタの魔法に感心しながらも、刀を鞘にしまい、鍔と鞘の止め金がぶつかる事で、戦闘員達が次々と倒れていく。

 

 「なるほど・・・君も、超常の存在と言う事か」

 

 ヒトシがケイタを見て、喧騒の中で小声で言う。その言葉の意味は、カエデやレンと照らし合わせた言葉だろう。

 

 「ならば、こちらも期待に応えねば無礼と言うモノ」

 

 ヒトシも完全に刀を引き抜いて、再度戦闘員達に突撃する。カエデお嬢様やその友の道を塞がない為に、ヒトシの全力の援護が開始された。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 神宮リゾートホテルへと続く、石の階段。そこの中層の噴水で彩られた場所まで、カエデ達の進軍は続いた。

 

 ここに到着するまでに戦闘員を全部倒して来た。確実に全部倒しておけば、後になって邪魔になる事は無いからだ。

 

 「お嬢様、お疲れ様です」

 

 ヒトシがタオルを用意して、各人数分手渡すと、それぞれが小休止を取り、しかしカエデはホテルを見上げる。

 

 ところどころライトが点いていて、建物の中に人が何人か居るのかが解る。だが中に居るのは・・・間違いなくヘルブラッククロスが土足で入り込んでいる。

 

 逃げ遅れたホテルの利用者も居るだろうし、カエデの父親である神宮ソウジロウもここに居るだろう。

 

 必ず助ける。そうカエデは誓っている。

 

 ギンジの為にもミヤコも助け出すし、この戦いはヘヴンホワイティネスだけの戦いではない。

 

 「これはギンジの戦いでもあるわ。絶対に勝つわよ、皆!」

 

 ヒトシから貰ったタオルでガントレットに付着した血液を拭うと、それを軽く投げ捨てる。

 

 振り返ったカエデの言葉に、レンもミドリコもケイタもヒトシも強くうなずいた。

 

 ヘヴンホワイティネスはホテルの入り口にまで到達した。

 

 きっと中に入れば、怪人や大幹部クラスの強敵が待ち構えているのは間違いないだろう。

 

 カエデが輪になろうとしている仲間の真ん中に、手を広げて空中に置いた。

 

 そのカエデの手の上にレンが手を重ねた。

 

 次にケイタも手を置く。ミドリコも同じ様に手を添えて、ヒトシも同じく手を差し出した。

 

 「ミヤコもお父様も助けて、必ずヘルブラッククロスからこのホテルを奪い返すわよ!」

 

 カエデの激励が終わると同時に、カエデとレンが一番槍となってエントランスホールへと突撃を開始した。

 

 奪い返すのに、ガラスを蹴破って入ったのはある種ギンジのマネだろうか。

 

 「いやー素晴らしいですね・・・まったく恐れ入りますよ」

 

 明かりだけはついているエントランスホールにて、奥のソファに座りながら高級な三つ揃いに身を包んだ男が、カエデ達を値踏みするようにニタニタ眺めていた。

 

 「あー神宮家のお嬢様ですね。はじめまして、わたくし・・・」

 

 蛇の様な男は並々ならぬ黒い不穏な雰囲気を醸し出しながら、カエデと目線を合わせている。

 

 「元・公安警察、現・ヘルブラッククロス大幹部─」

 

 ミドリコも顔をはっきりと怒らせている。

 

 レンもこの男と実際に相対して見たことがある。

 

 カエデハウスの崩壊、ミドリコの逮捕状、そしてミヤコの誘拐。

 

 ホテルの占領や街の襲撃、全ての元凶。

 

 「柏木タツヤと申します。以後、お見知りおきを。まぁ、もう会うことはないんですけどね」

 

 つまらなさそうに、吐き捨てる様に、なにより退屈そうな顔でタツヤがその一言を告げた。

 

 「あたし達の前で随分余裕そうね。さっさとこのホテルから出ていきなさいよ」

 「それはお断りさせていただきます。明後日、9月1はわたくし達の結婚式が開かれるんですよ?」

 

 ミヤコの心を壊す為にここまでの状況を作ってきたのだ。ここまで来てしくじる訳には行かない。

 

 「もうあなたに、逃げ場は無い。ここで倒す」

 

 カエデが右手を出すと、その隣でレンも左手のビーム剣を構える。

 

 「わたくしとしても暴力は専門外なんですよね・・・ほら、元警察ですし」

 

 タツヤがおどけて見せると、銃撃音が発せられた。左頬に弾丸の切り傷をつけてタツヤの頬から血液がとろりと流れる。

 

 「おやおや・・・甘白さん、拳銃を使うなんて」

 「貴様はもう逃げられんぞ!全て藤原さんから聴いた。貴様は・・・貴様だけは」

 

 ミドリコに取ってもレンを傷つけられた怒りがある。

 

 住む家も壊され、逮捕状までつけられ、そして今度は結婚式。どこまでふざけた事を言うつもりなのか、もう聴く気もならない。

 

 「・・・ふむ、いいでしょう。わたくしには準備がありますし、ここは・・・彼らにお任せするとしましょうか」

 

 タツヤがソファから立ち上がり指を鳴らす。静寂の中では程良く反響する指の音が鳴った直後、カエデの頭上から鋼の怪人が飛び込んできた。

 

 不意打ちい反応が遅れたレンの背後には、蜘蛛の怪人が糸を噴出して絡めとる。

 

 更にミドリコの目の前に急に現れた武者の怪人。

 

 刀を振り回す武者の怪人に拳銃を斬り崩されて、ミドリコの腹部に蹴りが炸裂してミドリコは外に転がされた。

 

 「お前はこの鋼の怪人が相手をしてや・・・るっ!」

 「上等よ!」

 

 着物の上半分を脱いだ全身鋼鉄の怪人が、カエデの両腕に鋼の豪腕を打ち付ける。

 

 「まーた会えたね、今度こそ気持ちよくしてあげるよ。制止せよ」

 「お前とは、お断り。一生ね」

 

 粘着質な糸を内側から斬り崩して、レンがビーム剣を蜘蛛の怪人に向けて交戦を開始した。

 

 「必殺!メガトン・インパクト!」

 

 鋼の豪腕を相手に真上に解き放つカエデの衝撃により、鋼の怪人が押される。その背中がタツヤの眼前に迫ってきていたが、ぶつかるギリギリの所で脚から煙を吹き出しながら踏みとどまる。

 

 「タツヤ大幹部は上に。ヘヴンホワイティネス等、我々ヘルブラッククロスの新怪人四天王が確実に撃破してみせ・・・る」

 

 鋼の怪人が表情を変えずに言うと、タツヤは再び鎌首を上げる蛇の様にニタニタ笑いながら、ホテルのエレベーターへと乗っていった。その背中の距離は10mにも満たない距離なのに、カエデの腕は届かない。

 

 「このっ・・・!」

 「我々の邪魔をするな、ヘヴンホワイティネス」

 「あんた達こそ、いい加減消え失せなさいよ!」

 

 鋼の怪人とカエデが再び拳を打ち合い、ガントレットと鋼の重苦しい激突音が何度も響き渡る。

 

 「オラ、気持ちよくなるんだよ!だいたいこんなのでホテルが無事な訳ねぇだろうが。降伏せよ」

 「さっさと退いて。退去せよ」

 

 蜘蛛の怪人の言葉を真似て、レンが挑発する。その言葉を聴いた蜘蛛の怪人の顔に血管が浮き出てくる。

 

 この怪人と話していると脳が腐りそうだと判断したレンは、冷ややかな表情でビーム剣を構えたまま、ジリジリとお互いの距離を近づけていく。

 

 「拙者の相手は人間か?つまら・・・」

 

 武者の怪人がため息混じりに刀を構えたが、その手元には正確に指を狙ったであろう銃撃が繰り出された。

 

 「小癪な」

 

 外の噴水の中でミドリコが対怪人用のスナイパーライフルを構えて、武者の怪人に退かない覚悟を見せつけていた。

 

 刀と銃の戦いに、武者の怪人は興味が湧いた気分だった。

 

 「いいだろう、拙者はお前の様な気骨溢れるおなごを斬り捨てるのが趣味なのだ。死ぬ覚悟があると見た」

 「私達は絶対に敗けないさ。お前の様な程度の低い奴には尚更な!」

 

 一方カエデの背後で援護に入ろうとするヒトシとケイタには、カエデから激が飛んでいた。

 

 「ケイタ!ヒトシ!貴方達は先に行って、あいつを捕まえて!」

 

 鋼の怪人の豪腕を真正面から止めながら、カエデはケイタとヒトシに新たな指示を下す。

 

 振り返る余裕の無いカエデがソレ以上何も言わなくなると、ヒトシとケイタはお互いに顔を見合わせて頷きあう。

 

 「早く行きなさい!怪人が相手なんだから、ここは正義のヒーローに任せなさい!」

 「う、うん!解った!任せたよヘヴンホワイティネス!」

 「ケイタ、君も、ヘヴンホワイティネス、だよ」

 

 ケイタの言葉にレンが背中を向けたまま言葉を投げる。

 

 レンの言葉に胸が熱くなったケイタは、ヒトシと共にエレベーターへと走っていく。

 

 「カエデお嬢様!ご武運を!」

 「ありがとう!必ず勝って来るわ!」

 

 ヒトシの言葉を聴いて、背中で返事を返す。

 

 「ぬるい・・・なっ!」

 

 鋼の怪人とカエデの手の押し合いは、鋼の怪人が制した、力強く押されれたカエデは後頭部から転がってしまうが、すぐに体制を整えた瞬間に、鋼の怪人の前蹴りが炸裂する。

 

 両腕でそれをガードしながらも、ガードすら弾きそうな強く重い鋼の蹴りは、スーツで強化されているとは言っても、カエデを吹き飛ばすには十分な威力を誇っていた。

 

 「それで本当に勝てるの・・・かっ」

 「当たり前・・・よっ!」

 

 柱にぶつかりながらも、飛ばされた勢いを利用してすぐに反撃に撃って出る。

 

 「全身鋼鉄・拳(ふるめたるふぃすと)!」

 「必殺!チャージング・バスターフィスト!」

 

 お互いの右腕がぶつかる。衝撃と鋼の大突撃が辺り一面に衝撃を分散させて、レンと蜘蛛の怪人でさえ攻撃の手を止める程に強い。

 

 その攻撃の手が止まった瞬間、レンがビームフォームに切り替わり蜘蛛の怪人に向かって走り出した。

 

 以前よりも速くなったレンの速度に、蜘蛛の怪人は反応が遅れて思い切り膝蹴りを顎に喰らう。

 

 「ビーム剣術!」

 

 ビームフォーム状態で、さらにオーラの様に纏う腕から剣が展開される。アームブレードの様に形状が変わったビームフォーム第2の戦術形態。 

 

 「バニシング・スライス!」

 

 両腕から伸びた天使の羽にも見える剣が、蜘蛛の怪人の糸ごと斬り抜け、怪人をホテルの待合のソファが並ぶ場所まで突き飛ばす。

 

 蒼白い剣の渦により、蜘蛛の怪人の燕尾服はボロボロになっていく。

 

 「オイラを舐めるなよ!斬糸(ざんし)!」

 

 指先から出した糸がレンの足元を綺麗にくり抜く。足元だけではなく、ソファも窓ガラスも次々とくりぬかれて行く。

 

 「ヘヴンホワイティネス〜今度も勝たせてもらうぜ。今度こそ気持ちよくしてやるよ!」

 「曲芸がお好みなら、サーカス小屋につれてってあげる」

 

 そしてレンは再び蜘蛛の怪人に挑発を行う。

 

 「『オラ、謝れ、このザコが。陳謝!』・・・これでいい?」

 「・・・〜〜っ!お前だけは八つ裂きにしてやるっ!!」

 

 そうして怒りがマックスになった蜘蛛の怪人の背後では爆発が起こる。

 

 全身を燃やした武者の怪人がホテル内部へと全身を滑らせていた。高火力な兵器が直撃して全身を後方に滑らせていた所を刀を使ってブレーキをかける。

 

 「あまり私を甘く見ない事だ・・・」

 

 ミドリコの姿はスーツを脱いで、スパッツの様なショートパンツに、赤い生地のタンクトップと、革製のグローブと『AKAONI』と記載された安全靴を装備していた。

 

 両腕にはショートナイフ、両足には拳銃。

 

 腰には対怪人用のスナイパーライフル。

 

 背中にはロケットランチャー。

 

 なにより目を引くのが、両手に握られた新たな兵器。

 

 銀色の四角めのボディに、先端に弓が取り付けられたボックス型の兵器。

 

 全長120cmの重そうなフォルムで、左側にはバレットローラーやら銃口までついている。右側には弓矢の束がついており、腰より後ろに伸びた場所には、ミサイルポッドも完備している物騒を体現した兵器。

 

 ミヤコお手製の兵器をミドリコが改造して、ひとつに纏めたクロスボウガン式の決戦兵器。

 

 シルバーズ・ミドリコ・ウェポンスペシャル。

 

 またの名を・・・。

 

 「これが私の完全武装だ!」

 「面白い・・・良いおなごだ」

 

 ホテルの一階、ここは確実に混迷極める戦場に変わっていた。

 

 正義と悪がぶつかる大きな戦場に。

 

 神宮リゾートホテル・エントランスホール戦

 

 神宮カエデvs鋼の怪人

 

 宮寺レンvs蜘蛛の怪人

 

 甘白ミドリコvs武者の怪人

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 赤鬼に女王ナメクジの怪人を任せて、ホテルを空から向かう事にしたギンジとオーク怪人。

 

 そんな彼らがホテルの窓にぶつかる直前の事だった。

 

 「ギンジ!貴様だけでもホテルに行け!」

 

 急なオーク怪人の発言に、ギンジは慌ててしまった。

 

 「はぁ!?何言ってんだよ!ここまでお前を連れてるんだぜ?ここでバラバラになったらなんの意味が」

 「構わん!未来が観えた!」

 

 オーク怪人のフェーズ2の能力は確定未来。時間の指定問わず、何かしら、こうなるという未来が確実に見える能力。

 

 その未来の映像は今より数秒先、ホテルに到着する前にギンジが梟の怪人に妨害されて2人同時に墜落させられるという映像。

 

 「このままでは我々は墜落するぞ!そうならない為にも、ここで私を降ろせ!速くだ!」

 「おいおい、そんな急な事言われても!」

 

 風に煽られるオーク怪人が、焦っている。ギンジの腕から今にも落ちようとしている不可解な行動だが、ギンジもギンジでここまで来たら2人で突撃したいと思っている。

 

 「・・・来るぞ!下からだ!」

 「はぁ!?下?上からじゃなくてか?」

 「速く降ろせ!このままでは!2人同時に」

 「ホー、もう遅い」

 

 オーク怪人の言うとおり、下から梟の見た目をした怪人が、ギンジをめがけて飛んできた。猛禽類の獰猛な勢いはそのままに、人の体積に換算したその速度はジェット機かとみまごうぐらいに速く、そして強かった。

 

 「でぇい!離せ!」

 「あ、おい!ちょ、大丈夫かよ!」

 

 力任せにギンジの手を払うと、オーク怪人も下から迫ってきていた梟の怪人の頭と、オーク怪人の脚とが激突しあい、ギンジの真横を2人の怪人が飛んでいく。

 

 「行け!ギンジ!この梟は私が抑える!」

 「ホー、抑えられているのはお前の方だ」

 「ぬおっ」

 

 梟の怪人がオーク怪人の両肩を鷲掴みにして、空中で一回転、二回転と速度を上げていき、神宮の文字が刻まれたホテルの外壁へと激突させる。

 

 「ホー、骨も残るまい」

 

 オーク怪人を頭からぶつけたその攻撃は物理的なやり方だが、死に至らしめるには十分な一撃だ。

 

 自信を持ってオーク怪人の討伐に成功した。そう思っていた。

 

 「ホー?」

 

 オーク怪人はこんなモノでは死なない。今度は逆に梟の怪人の脚を鷲掴みにして、ホテルの内部へと引っ張り出す。

 

 「ほがぁ!」

 

 神の文字から伸びた腕に、引っ張られて宮の文字に頭をぶつけてホテルの内部へと引きずり込まれた梟の怪人。

 

 「飛び回るのが得意ならば、屋内ならばそうは行くまい」

 「ホー、それはどうかな」

 

 オーク怪人が油断をしていたわけでは無かったが、梟の怪人はまさかの体当たりでオーク怪人の身体を押し込んだ。急激な体当たりは、オーク怪人の身体を壁の向こう側にまで飛ばして行く。

 

 「空の捕食者と地上の捕食者。一度戦ってみたかったのだ。ホー、覚悟しろ」

 「貴様こそ、私に勝てるとは思わない事だ」

 

 ここは巨大な冷蔵庫や調理場のあるこのホテルのキッチンだろう。

 

 至る所に冷蔵庫や冷凍庫、大きなシンクや食器が並んでいる。

 

 「貴様を煮込んだらさぞ美味しい出汁が出そうだな」

 「ホー、貴様こそ良い出汁になるんではないか」

 

 神宮の文字が完璧に破壊されたホテルの外側では、ギンジが羽ばたきながら穴を覗きこむが中がよく見えない。

 

 だけどこれはチャンスかも知れない。本来の目的はミヤコを助けるという事。ここで能力の分からない怪人を相手に時間をかけていてはどうしようも無くなる。

 

 「よし、オークの言うとおりになってた訳だし、俺もさっさと前に進むか」

 

 梟の怪人についてはオーク怪人に任せておけば、どうにかなるだろう。

 

 赤鬼にも言われた通り、これはギンジ自身の戦いでもあるのだ。

 

 「あまり時間はかけてらんねぇな!」

 

 更に飛翔してギンジはホテルの外壁を這うようにして、更に高く飛ぶ。

 

 どこにミヤコが捉えられているのか解らないが、目的はミヤコを見つける事もそうだが、大幹部柏木タツヤを見つけて倒す事も含まれる。

 

 「出来ればあの蛇男と先に会いてぇな。必ずぶっ飛ばしてやる」

 

 飛びながら拳を強く握る。今度こそあの大幹部を倒す。倒してミヤコも救う。

 

 「そしたら・・・」

 

 最後はヘヴンホワイティネスの勝利で幕を下ろす。それがハッピーエンドの条件だ。

 

 「その後はヘルブラッククロスも壊滅させてやる・・・!」

 

 絶対に揺るがないギンジの想いは、飛翔する力と合わせて更に強く鳴っていった。

 

 一方オーク怪人は、巨大な調理場にて梟の怪人と力の激突を行っている。

 

 手にもなる翼にもなる梟の怪人は、あろうことかオーク怪人と互角の力比べを行うにまで到達している。

 

 紫の造った怪人でもここまで強い者が現れるとは驚きである。

 

 「ホー、強いな・・・」

 「貴様こそやるな・・・」 

 

 お互いに右足を出して前蹴り。2つの足がぶつかり、その勢いでお互い後方に吹き飛ぶ。

 

 「ホー、今の【観えていた】な?」

 「貴様こそ【解っていた】な?」

 

 次にオーク怪人は手元にあった中華鍋の油を投げ飛ばすが、梟の怪人は銀のテーブルで油を妨害する。

 

 一瞬の攻防が終わると、梟の怪人の目の前にオーク怪人は姿を消していた。

 

 「・・・上!」

 「ぬぅ!」

 

 梟の怪人の頭上ではオーク怪人の姿があった。包丁を使った不意打ちに、油で濡れた銀のテーブルで妨害して、お互い距離が元に戻る。

 

 「ブヒ・・・」

 「ホー・・・」

 

 熱気がこもって空間がネジ曲がる程に、2人の闘気が漏れ出ていた。

 

 (ブヒ・・・こいつ)

 (ホー、この男)

 

 『未来が観えている!』

 

 調理場の中で2人の怪人の能力が判明し、再度力と力による戦い、先を考える思考戦・・・お互いの能力、確定未来による先読み合戦が始まった。

 

 

 神宮リゾートホテル・調理場の戦い

 

 オーク怪人vs梟の怪人

 

・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 現在の戦況

 

 レストランフロア入り口広場

 赤鬼vs女王ナメクジの怪人

 

 ショッピングフロア

 正義連合vs霊鳥の怪人

 

 ホテルエントランス

 ヘヴンホワイティネスvs新怪人四天王

 

 調理場

 オーク怪人vs梟の怪人

 

 ギンジ、ホテルの上へ

 

・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 続く

 

 




お疲れ様です

ミヤコ奪還編も佳境です。ミヤコの恋はどうなるのか、カエデの恋もどうなるのか。お楽しみに。

そういえば累計80話超えていましたね。今回の投稿で通算87話!
あと3話でトータル90!100が見えてきましたね。

キャラネタ書きます

鋼の怪人
着物の上半分を脱いだ鋼の肉体マン。強い
好みの女性は神宮カエデ。
そんな好みの女性と命がけで戦っている

蜘蛛の怪人
相変わらず気持ちよくしてあげればコロっと堕ちるとか思っている。
好みの女性は菊沢トモカ。偵察で見に言った時に一目惚れした。出会う事は無い。悲しみでへたって来るだろ。謝れ。
宮寺レンと交戦中

武者の怪人
全ての女性を斬る事に快感を覚えている。
普通に考えてやばい奴。いつか鍛錬すれば3刀流とか使えると本気で思っているが、顎はそんなに強くない。
甘白ミドリコと交戦中

霊鳥の怪人
モノすごくイカ臭い

梟の怪人
しゃべる時に、ホー、が出てくるのが特徴。怪人なので人の様な腕もあるが、普段は毛皮の中に隠している。
翼となる部分だけでも指先みたいに器用に操る事が可能で、パンチやラリアットも打てるし、モノを持ち上げる事も可。
フェーズ2としての能力は確定思考。相手の考えている事が解るが、オーク怪人の能力が自分と同じだと勘違いしている。
実はこう見えてメス。好みの男性は総統。

・・・

次回はそれぞれの戦闘が開始!赤鬼、正義連合、オーク、ヘヴンホワイティネス!

ミヤコはその頃敵に見つかり、ソウジロウも敵に捕まり・・・

ギンジはと言うと・・・ホテルの上へ飛んでいる。

大幹部戦も近い!
投稿が最近遅いですが、頑張りますのでどうか感想やお気に入り登録等、お願いしたします!

それではまた次回!

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