正義のヒーローヘヴンホワイティネス   作:アトラクション

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お疲れ様です。

手直ししたけどなんとか間に合った様な気がします。

楽しんでいただければ幸いでございます。




8・進化の怪人、またの名を──

 工場エリアの一角で戦闘が開始される。

 

 戦っているのは、かつてヘルブラッククロスの怪人として、ドクターミヤコとの将来を約束された怪人の最高傑作、佐久間ギンジと、見慣れない桃色の少女と、白い修道服を着た様な女性。

 

 「なんだあれらは・・・」

 

 ドクターの命令だからこそ快く聞き入れたその者は紫色の戦闘服に身を包んだ、大幹部の護衛、紫。

 

 戦闘が見える範囲でなるべく目立たない高い場所で、下で戦う6人を見下ろしながら、カメラを向けている。

 

 カメラが映す映像は、ドクターミヤコが遠隔で見ている。

 

 もし戦闘になるのであれば新参の異人の、戦闘力を図る・・・というものだが、実際強そうには見えない。

 

 ミヤコの命令で来ているのは、コウモリの怪人のお目付け役・・・ではなく、狐の闇人と銀狼の魔人の監視だ。

 

 「ギンジさんが来るのはある程度予想の範囲内だけど、また違う戦闘のメンバーが来るのは予想してなかった・・・」

 

 本来であれば来るのはヘヴンホワイティネスの方だ。だが今回はギンジが違う味方を連れて来た。

 

 なんなのだあれは。まったくもって予想外だ。

 

 「いや・・・もしかしたらギンジさんは、我々の知らない所でまた違う戦力を味方に付けたのかも知れないな・・・ふーむ、ドクターミヤコに報告する事が増えたな」

 

 カメラで送る映像では今まさに、ミヤコをはじめ他の怪人達も見ているのだろうが、あれらの存在の詳細を聴かれたら、そう答えるしか無い。

 

 「さて、あまり強そうじゃないあいつらの実力はいかほどかな」

 

 紫がカメラと共に見下ろす。

 

 その真下ではギンジがコウモリをぶん殴って、組み立て途中の鉄骨が並ぶ建設物へと、飛ばしていた。

 

 「コウモリの奴は俺に任せろ!ちょっと因縁あるやつなんだ」

 

 ギンジが後ろ二人に声をかけると、二人の女性もうなずく。

 

 「わかった!私は狐を相手する!」

 「皆なにかに因縁があるね。いいだろう、私も己の因縁にケリをつけよう。破邪の剣!」

 

 サクラとレイナが、それぞれ狐の闇人、銀狼の魔人へと交戦が開始される。サクラの魔法は狐に向けられ、小規模な爆発を起こす。

 

 レイナの攻撃が銀狼の魔人の爪と激突し、金属がぶつかる様な音が辺りに響き渡る。

 

 「ここで会うとは思いませんでしたよ。魔法少女・・・」

 

 狐の闇人が爆風の中から、余裕そうに出てくる。

 

 忌々しい敵である魔法少女を前に、いつもの様な演技の様な素振りがない。そのかわり右の糸目が薄く開く。金色の瞳がサクラを視界に入れると、狐の口が開き何かの禍々しいエネルギーを貯め始める。

 

 「消えなさい!マジカルマジカル〜ピンクキャノン」

 「消えるのは貴女の方ですよ、魔法少女」

 

 ピンクの魔法と、金色のエネルギー弾がぶつかり、電流が迸ると爆発する。

 

 その爆発をすり抜けるように、レイナが銀狼の魔人と爪と剣をぶつけ合いながら、鍔迫り合いを繰り返す。

 

 「お前みたいな顔の良い女は、ぜひとも抱いてやりたいぜ」

 「下劣な男・・・あいにくだけど、私の相手はお前じゃつとまらんよ」

 

 銀狼の魔人の下卑た笑みがレイナに不快感を抱かせるも、お互いの目線は次の攻撃への警戒をし続けているので手元を見ている。

 

 お互い油断はしていない、一撃の先手も譲らない素早い攻防が連続で繰り広げられる。

 

 「すごい戦いだ・・・」

 

 ギンジとコウモリの怪人の姿は、建物に入ってから見えないものの、あの女性二人と新参の異人二人は共に負けず劣らずの一進一退を絶えず続けている。

 

 「これは想像以上だな。ドクターミヤコが研究に熱心になるのもうなずける」

 

 すぐ真下の激戦を見ながら、紫は驚愕の連続であった。

 

 あの魔法少女と呼ばれた少女の攻撃はヘヴンホワイティネスでも、見ないような強力な威力。

 

 対するシスターの様な格好の女性は技自体はパッとしなくても鞭の様な剣を振り回したり、切りつけたり、身体能力と合わせても非常に強い事が解る。

 

 「ぜひともアレらを捕まえて欲しいものだ」

 

 かく言う紫も、異人二人の事は信用していない。負けてもいい。

 

 それでも構わない。ヘヴンホワイティネスに負けてボロボロになった二人の異人を、ヘルブラッククロスが捕まえてからドクターの研究材料として手土産にしようと考えている。

 

 無論これは紫の頭の中で描いている、サプライズなのだが。

 

 「ドクターもこれで、褒めてくれないかな〜ぐふふ」

 

 表情は見えないがきっとお面の中は、汚らしい笑みを浮かべているのだろう。

 

 『紫さん、これ・・・わたしの為に!?素敵!』

 『もちろん・・。全てはあなたの為に・・・』

 『さすが!結婚して!』

 

 頭の中で美化されたドクターミヤコが、紫とありえない会話をする。この妄想が現実になればなーとは思うが、ドクターは人間に興味を示さない。

 

 顔がかわいいし小柄だからか、戦闘員からも人気が高い。

 

 かくいう紫も本当はドクターミヤコに憧れたからこそ、大幹部になれる実力をつけていながらも、大幹部護衛に就く道を選んだ。

 

 「まぁ、あの異人よりもギンジを連れ帰る事の方が、ドクターにとっての最大のサプライズかな」

 

 風に煽られながら自分の考えを口に出すと、カメラの位置を調整しつつ戦闘を見守る。

 

・・・・・・・・・・・・・・・

 

 「キキキ、さて、こちらも始めようか、ギンジ」

 「テメェ、どこにいやがる」

 「コウモリは打たれ弱いんだぜ・・・お前と本気で戦ってたら、こっちが敗けてしまう。だから、少々ずるい事させてもらうよ」

 

 鉄骨と布と、完成した壁が光を通さない薄暗い一室で、姿が見えないコウモリが低く呟くと耳鳴りの様な音が波打つような、甲高い音がギンジの頭に響く。

 

 「ぐっ・・・うるせえなぁ」

 「お前だけはまともに戦っても勝てないからね。認めるよキキキ・・・さっきの狼よりもお前の方が強い。故に何があっても、再起不能にし、ドクターミヤコの下へ連れて帰るよ」

 

 音。コウモリの怪人の出すこの音は、超音波。

 

 普通の人間なら鼓膜はやぶれ、脳内は揺れて壊される。さらにここには鉄とコンクリートが沢山ある。

 

 それはつまり音が抜けづらいということ。

 

 超音波が壁や鉄に反響し合い、ギンジに何重と超音波が重なってくる。

 

 「そうら、捕まえた〜ゲッチュ〜」

 

 完全に動けなくなったギンジの肩を掴み、持ち上げる。

 

 「キキキ、重いねぇ」

 

 建物の上へと飛びながらギンジを運ぶも、上の階層部分まであがると超音波の効果が、薄れていくが捕まえれば勝負がつくと思っているのだろうか。

 

 「いいや、捕まえたのは俺の方だぜ・・・コウモリ!」

 「あ・・・」

 

 ギンジが右手を力任せに振り下ろし、右肩のコウモリの脚から抜ける。

 

 バランスを崩しながらも飛び回る、コウモリの右足を今度は逆に捕まえる。

 

 「自慢の超音波でも、例の粉でも振りまいてみな!」

 「うおうお、バカ、引っ張るな」

 「じゃあ、下ろしてもらおうかな」

 「それはできん」

 

 コウモリの右足を下に引っ張るように、腕に力を込めると、上のコウモリと位置が入れ替わるような体制になる。

 

 「力じゃ勝てないってよく解ってんじゃねーか。でもこの状況は勝ちだな、俺の」

 「キキキ、馬鹿め・・・どちらにせよ落ちるのはお前だギンジ」

 

 上手くコウモリの身体に足を引っ掛けると、今度はギンジがコウモリより下に落ちていく。

 

 「ハッハッハッ、これでお前も俺も落ちれるぜ」

 「キキキ、離せ、このままじゃ二人もろとも落ちるぞ!」

 

 落下を利用してギンジは想像する。

 

 このまま落ちる力を利用して、コウモリの怪人を壁にでも激突させられるような想像を。

 

 イメージが湧く。そしてそのままの行動を行う。

 

 (ここで俺の取れるより現実味のある行動は・・・)

 

 思いっきり身体を上に反らす。

 

 すると風圧で身体が浮く。

 

 そのまま足にコウモリの怪人をひっかけたまま、一回転、二回転。

 

 三回転目で勢いを殺し、途中に見える鉄骨がむき出しになった壁に蹴り上げる。

 

 コウモリの怪人はその勢いのまま鉄骨に命中し、壁となる鉄骨はめちゃくちゃな形にひしゃげる。

 

 二階に相当するであろう部分の、小さな鉄棒に捕まりアクロバティックに回転してから、コンクリートに固められた横向きの柱に上手く着地する。

 

 (行けた・・・。こんな馬鹿げた事でも、想像したら本当に行けるんだな)

 

 自分の想像力に驚き、無事に成功したことに喜ぶのもつかの間、再び超音波がギンジを襲う。

 

 「ぐうぅ・・・またこれか・・・」

 「やるなギンジ。お次はどうかな!」

 

 今度はコウモリの怪人がギンジの正面にバサバサと現れる。そして少しギンジの目線より高く上昇すると、羽を折りたたみ錐揉み回転しながらギンジへ頭をぶつける。

 

 「ぐほっ・・・!?」

 「同じ目に合わせてやろう!」

 

 ギンジが大の字で回転しながら、先程のコウモリの怪人の様に、鉄骨へとぶつけられる。

 

 「回転の力を加えられるのは、ギンジだけじゃないんだぜ。痛いだろう?」

 

 鉄骨は折れ曲がり、ギンジも内蔵を押しつぶされるような激痛に一瞬気を失いかける。

 

 「ゲホ・・・クソ、なんだお前強いじゃないか」

 「お前もな、この技は犬の怪人でも耐えれなかったのに・・・自信が折れそうだ」

 「そうかい、皆ちゃんと訓練してんだな・・・」

 

 鉄骨にめり込んだ身体を離すと、すぐ下にある足場に着地する。

 

 そしてギンジは視界に違和感を覚える。

 

 顔からサングラスが外れている事が解る。

 

 「このやろうが・・・俺が勝ったらサングラス弁償しろよ」

 「キキキ、お前こそ組織に戻ってこい」

 

 錐揉み回転の時に外れてしまったサングラス。もうどこにあるのかも解らないが、とにかくコウモリの怪人に払わせる。

 

 「行くぜおい!」

 

 ギンジが叫ぶと、コウモリの怪人もニタリと笑い、再び暗闇に姿を消す。

 

 (クソ、また消えたな。何か方法はねぇかな・・・)

 

 辺りを見渡し、超音波と突進攻撃と掴みを警戒する為、壁を背にする。

 

 コウモリの怪人の記憶、情報を探るもコレと言った弱点も見当たらない

 

 力押ししかないようにも見える状況で、ギンジからは怪人の姿

が見えない。

 

 「キキキ、警戒しているね」

 

 ギンジの姿をコウモリの怪人は見えている。

 

 勝つには少々厳しい戦闘の条件だ。

 

 しかし足元にあるものを見つける。

 

 「これは──」

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 建設中の建物から衝撃音が聞こえるが、紫はその音の方へ首を向けない。

 

 おそらくあの中でギンジとコウモリが戦っているが、そこよりもヘヴンホワイティネス以外の戦闘を見るのが楽しくなっている。

 

 今の所戦況は魔法少女とシスターの方に軍配が上がっている状況だ。

 

 狐の闇人も先程の余裕がないのか、どんどん身体を変化させ、銀狼の魔人の方も徐々に爪や牙を砕かれつつある。

 

 魔法少女の方も決して無傷ではなく、足やら腕やらから出血している。レイナの方も修道服はところどころ裂けており、唇を切ったのか血を流している。

  

 「いい加減に倒れなさい!」

 「断らせていただきます。私もマージ・ジゴックに最後までの忠誠を誓っております。このまま何もしないで倒れるのは、拾ってくれたヘルブラッククロスにも申し訳がたたないのでね」

 

 狐の闇人なりの覚悟を持って、新たに手に入れた目標の為にヘルブラッククロスに就いたのだ。ここまで来て終わるわけにはいかない。

 

 「オレも同じだぜ、まぁ、オレはここにいるレイナを倒せればそれでいいんだけどよ・・・でも負けっぱなしは悔しいじゃねぇか。だからオレは引かん!」

 「ゲヘナミレニアムの執念には毎度驚かされるばかりだ。だが、お前たちという悪を私は絶対に許さない。覚悟しろ」

 「それはお前もだぜ、レイナァァ!」

 

 銀狼の魔人はただの報復がメインだが、結局一人では何もできないと悟った魔人はこうしてここまで来たのだ。

 

 闇に付いている者達は、やがて大きな闇へと引きずり込まれていく。

 

 狐も銀狼もその闇の法則に則っただけ。

 

 「さて、この勝負はどうなるかな・・・」

 

 紫の見下ろす視点での四人の戦いは更に苛烈を極めていく。

 

 狐の闇人が両手に黒い炎の様に揺らぐエネルギーを溜めて、サクラに向けて打ち込む。

 

 銀狼の魔人もそれに合わせて、指と同じぐらいの長さの爪を伸ばし、より鋭利なものとして、レイナに突っ込む。

 

 「来るよ、レイナさん!」

 「問題ない、サクラも大技を決めろ!私が抑える」

 

 言うと、黒い炎を破邪の力で弾きながら、銀狼の魔人と肉薄する。

 

 「破邪の双剣!」

 

 二本の剣を持ち、同じく二本の腕で戦う銀狼の魔人と激しくぶつかり合う。

 

 狐の闇人が再び金色のエネルギー弾と黒い炎を構え、レイナめがけて発射する。

 

 「邪魔をするな!」

 

 双剣の片方でエネルギー弾と炎を弾くも何発かは、炎の方がレイナの背中や、足に当たる。

 

 「ぐっ・・・」

 「取った!」

 

 銀狼の魔人が腕を広げ、跳躍しレイナに両の爪を振るう。

 

 片手では防ぎ切る事はできず、左肩を裂かれる。

 

 「ぬぅぅ〜・・・!」

 「チィ、まだ倒せねーか??」

 

 続け様に攻撃を繰り出す銀狼の魔人に、片手の剣だけでは対応しきれない。

 

 「マジカルマジカル〜マ〜ジカ〜ル〜」

 「おっと、そうは行きませんよ!」

 

 狐の闇人がサクラに新たな攻撃の姿勢を取り立ち向かう。その狐の顔は鬼気迫るものだった。

 

 「マジカル〜・・・」

 「貴女もここで終わりですよ!」

 

 金色のオーラを纏わせた腕で殴ろうとするが、サクラの表情は満面の笑みに変わる。

 

 「マジカル〜・・・エクスプロード・ファイア!」

 「なん・・・だとぉ・・・!?」

 

 魔法のステッキから超強力な程の炎の塊が発射される。

 

 ポン・・・、という気の抜けた音でかなりゆったりと進んでいる。

 

 「・・・」

 

 狐の闇人が思わず攻撃の手を解いてしまう程の拍子抜け感。

 

 「狐ぇ!ブラフだ!」

 「もう遅いよ・・・!」

 

 銀狼の魔人が叫ぶも、狐の闇人が気づくのにはワンテンポ遅かった。

 

 狐の闇人の真上から何かが見下ろすような影。その影を見上げると、巨大な猫の顔をした棒状の何かが、見下ろしていた。

 

 「なん、これは・・・これは・・・!?」

 「マ〜ジ〜カ〜ル〜」

 

 ステッキを思い切り持ち上げて、振り下ろす。

 

 「ラブリーにゃんこプレーーーースッ!!!!」

 『ギニャ〜〜〜〜』

 「にゃあああああ!?」

 

 狐の闇人の悲鳴は重たそうな猫のハンマーフェイスに潰されて、消えるように潰された。

 

 「オイ!嘘だろ!オイ狐ぇ!!」

 「お仲間を心配しているなんて・・・随分余裕なんだな」

 「・・・レイナ、テメェ・・・」

 

 最大限のブラフに騙されて攻撃の手が止まってしまったが、それをチャンスとし、レイナが最大技の準備に入っていた。

 

 「破邪の・・・」

 「クソがあああ!!!」

 

 銀狼の魔人も敗けじと爪と牙と全身をフル活用させて、タイヤの様に回転しながらレイナに突っ込む。

 

 「敗けてたまるかああああ」

 「崩剣!!」

 

 現れた破邪の剣は、鞭の様なものではなく刃だけの丸鋸の様な形状をしていた。その刃は今までの光り輝くものでは無く、鈍色のいかにも刃と言える様な恐ろしい形状を成していた。

 

 爪と刃が当たり、火花を散らす。強力な力と力のぶつかりは、周りの空間を歪ませて拮抗させる。

 

 「グルルルルウウウオオオ!!!」

 「破邪の崩剣!!」

 

 さらに同じ技を銀狼の魔人にぶつける。横から飛ぶ同じ威力の刃が、銀狼の魔人を大きな斬撃となって襲う。

 

 破邪の崩双剣。最大技を超える最終必殺。これがゲヘナミレニアムとの戦いで培ったレイナの最強の退魔の技。

 

 「グッハアアアア」

 「これで終わりだな・・・ゲヘナミレニアム・・・!」

 

 地面に頭から落下し、銀狼の魔人はついに意識を失う。

 

 「がハッ・・・こんなの・・・認めるわ、わけには」

 

 にゃんこハンマーから這うように出てきて、狐の闇人がまだ何か喚いている。

 

 「ゲホ・・・こ、こんな、敗け方・・・」

 「あー、ごめんね、狐。次の準備できてるんだ・・・」

 

 サクラが何も悪びれず気持ちの籠もっていない、謝罪を言うと、狐の正面から先程の炎の塊が、閃光を撒き散らす。

 

 「っ!?」

 

 急な眩しい光にの次は爆発。

 

 炎が狐の闇人を飲み込み、絶大な威力と共に、上空へ舞い上がりさらに大爆発。

 

 「おのれえええええ!!!」

 

 その言葉を断末魔とし、容赦のない大爆発が狐の闇人を次々と襲い来る。その爆発はマージ・ジゴック最後の残党の肉片が完全に消えるまで続いた。

 

 それを見ていた紫は驚愕と喜びの態度を、全身で表現していた。

 

 「素晴らしい力だな・・・」

 

 あれだけの大見得切っていた狐の闇人と銀狼の魔人が、最終的にはこうもあっさりとやられてしまった。

 

 「これじゃあ、1戦闘員である私が戦って勝つのも難しいかな」

 

 戦闘が終わるとカメラを切り、紫が立ち上がり小物を回収する。

 

 この戦いの映像でドクター達が何か得られると良いのだが。

 

 「さて、私達はギンジの下へ向かおうか・・・」

 「レイナさん、少し休憩しましょ・・・魔力使いすぎちゃった・・・」

 

 二人とも戦闘でボロボロだから少しだけ休息を挟むことにする。

 

 「少しだけ休んだら、ギンジくんの所、いきましょ」

 

 肩で息をしながらもサクラもレイナも、因縁への決着をつけた事から喜びの笑みを浮かべて二人で笑い合う。

 

・・・・・・・・・・・・・・・

 

 「おーいコウモリ!これならお前の超音波を相殺できるぞ!!」

 

 ギンジが足元で見つけたもの。それは手頃な大きさの鉄板。手頃と言っても、一枚持つだけなら二人の男が協力しないと、持ち上がらない程の大きさ。

 

 それを二枚片手ずつで持ち上げて、打ち鳴らせる様に構える。

 

 超音波の音を鉄板の反響で打ち消す作戦に打って出た。

 

 (ついでにこれでコウモリを撃ち落とす!!)

 

 やると決めたらやる。だが、外したら次のチャンスが来るまでに、ギンジの方が敗けるだろう。

 

 「お前の独壇場で戦ってやるってんだ!オラ、来いよ」

 (独壇場って・・・超音波をかき消したら、もうその時点で独壇場じゃないんだが・・・)

  

 ギンジの頭の悪さも相変わらずだが、コウモリはそのバカさ加減も気に入っていた。

 

 (このまま倒すのも気が引けるものだが、キキキ、いいだろう、それでも戦わないといけないなら本気を出そう)

 

 再び超音波を発動し、コウモリは様子見を行う。

 

 「来たな・・・オラァ」

 

 鉄板をかなり強く打ち鳴らし超音波を相殺する。その音はあまりにも大きく超音波よりも一瞬だけ強い。

 

 耳をつんざくような反響音が、コウモリを驚かせる。

 

 「キキキ、これは驚いた。恐ろしいほど力が強いじゃないか」

 

 その音のせいで隠れても居場所がまるわかりだが、特に気にならない。

 

 というよりそもそもギンジはその場を動いていない。

 

 「いつまで壁を背にしているんだい?そのままじゃあ、攻撃しづらいじゃないか」

 「またあの錐揉み攻撃されたんじゃ、きついからな。ホラホラどうしたよ、超音波だけか?」

 「次はコウモ鱗粉でも撒こうかと思っていてね、準備中だよ」

 

 女性に発情の効果を上げるコウモリの鱗粉攻撃。あれが男性にも効果があるのか不明だが、警戒はしておく。

 

 (クソ・・・これじゃラチがあかないな。さて、どうするか・・・何か、あいつの居場所がわかる様な方法でもあれば・・・)

 

 その時ギンジの中にある力の存在を思い出す。

 

 バーナーの怪人の力、炎の力を。

 

 あれを使えばこの状況は好転するが、また身体を焼く事になる。

 

 ギンジの力を飛躍的に向上させるものの、自身の身体を痛める諸刃の剣に、使いどころを選ぶ様な能力だ。

 

 「あたり一面燃やそうと思うんだけど、コウモリはどうする?」

 「キキキ・・・タコの報告にあった例の燃える力か・・・」

 「お!情報が早いねぇ〜・・・で、どうよ?コウモリって熱いの苦手だっけ?」

 「燃やされるのは勘弁だな。だからこうしよう」

 

 暗闇から声が消えた瞬間、ギンジの足元のコンクリートが砕け、コウモリの怪人の頭が錐揉み回転しながら突き破って来る。

 

 「真下からとはビビったぜ!」

 「からの、こうだ!」

 

 油断したギンジの真正面で粉を振りまく。コウモ鱗粉。普通のコウモリも怪人のコウモリも有害な猛毒を秘めている物。それらに更に、超音波を与えれば、電撃の線となってギンジに降りかかる。

 

 「うおおお・・・!?」

 

 鉄板の通電もものともせずにギンジの全身に雷の衝撃が全身を駆け巡る。

 

 「キキキ、これがコウモリの怪人としての新たな領域・・・フェーズ2だ!」

 「驚いたぜ・・・お前までフェーズ2に上がってるとはな・・・」

 

 ギンジの知識とこの世界の予想においては、コウモリの怪人はフェーズ1の怪人としてのレベルでしかいなかったはずだが・・・。

 

 「そのアフロみたいな焦げたヘアスタイル、ドクターはきっとお喜びになるぞ。ドクターへのお土産にする前に、全身真っ黒になってもらうがね」

 

 いよいよ本気で戦いに挑むコウモリ怪人が再び粉を撒き散らす。

 

 その粉が舞うのを確認すると、ギンジは吹き抜けの穴に飛び込む。

 

 「な!?」

 

 落下しながらギンジの目に入った光景は、今も電流を帯びながら発光するコウモ鱗粉。飛び降りるのを想定してか、先程の準備中という言葉はハッタリでは無かった。

 

 「死んでくれるなよ。今度は本気の超音波だ・・・」

 

 コウモリが見下ろしながら雷を発生させる。巨大な一本の雷となった電気の紐はギンジをまたたく間に囲み、そして包み込む。

 

 「うぐ・・・ぐああああ!!!!」

 

 「心地よい悲鳴だ。この悲鳴が一般市民や、女ならもっと心地よいのだが・・・」

 

 余裕な笑みを浮かべながらギンジの悲鳴を聴き悦に入るコウモリ怪人。そこから見える中心で苦しむギンジの手には、鉄板が無くなっていた。

 

 (?)

 

 正確には無くなったのではない。手から消えたのだ。間違いなくそれを確認した。

 

 ただし、その消え方は手品をしたとかそういう不可思議な類のモノではない。

 

 鉄板が真っ赤に、まるで燃え尽きて溶けるように消えた。何も落とさず、ギンジの手元から鉄板は【焼き消えた】のだ。

 

 「この状態でなおも戦うのか・・・?」

 

 まだ続いている電撃攻撃の中心でギンジは、その両手から広がる炎で全身を燃やしながら、一階の地面へ落ちて行った。

 

 「・・・?もしかして電気熱で燃えた・・・とか、そんな事はないだろうな?」

 

 コウモリの怪人の顔に冷や汗が落ちる。嫌な予感がする、と。不安な表情になる。

 

 直後その不安は、的中する。

 

 「熱っちいなぁ〜!痺れる感覚もあるし、この世界に来てから怖い事も痛い事もほとんど毎日あるわ!」

 

 不満を吐き出しながら、ギンジは燃えながらコウモリのいる場所まで飛び上がる。

 

 「よう!第2ラウンドと行こうぜ!」

 「お前もフェーズ2か・・・!」

 

 不安になりつつも、コウモリの怪人とギンジの表情は嗤っている。

 

 「ギンジ、こういう事もできるんだぞ」

 

 言うとコウモリが電撃を自分に纏わせてから、中へ浮くギンジへ先程の錐揉み回転を発動させる。

 

 その大回転攻撃を正面から受け止めるも、ギンジの身体に先程よりも強力な電撃が襲う。

 

 それと同時にコウモリにも高熱が襲う。

 

 「このまま、最上階の鉄骨にぶつけてやろう!」

 「冗談!その前に決着をつけてやるよ!」 

  

 次に最後の攻撃を決めた方が、この戦いの勝者となるだろう。 

 

 「さぁ、どうする?潔く敗けろ!そしてドクターの良い夫となれ!」

 「後半の部分は別になってもやぶさかじゃないんだが、敗けるのはやっぱなしだ!」

 

 炎を纏い、さらに電撃特攻のこの状態で勝てそうな動きを想像する。

 

 が、何も浮かばない。

 

 (なるほど、俺の想像は他の能力を使ってると、発動できないんだな・・・)

 

 新たな能力の使い方を覚えると、ギンジは想像を捨てて新たな行動に撃って出る。

 

 「じゃあよぉ、これならどうよ」

 

 ギンジの取った行動は・・・脱力。ただし考えなしの脱力ではない。この脱力によってギンジは大技の準備に入る。それを悟られない為の、脱力。

 

 「キキキ、諦めたな?諦めたな?もうすぐ天井の鉄骨だ!」

 「諦めた?いいや違うぜ」

 

 鉄骨に当たろうとするその直前、ギンジの全身からさらに強い炎が溢れる。

 

 「このままじゃ顔、焼けるぜ?どうするよ」

 「この顔が焼けても!この身体が尽きても!お前をドクターミヤコの下へ連れて行く!それがコウモリの怪人の覚悟だ!」

 「お前のその覚悟・・・受け取ったぜ!そして俺の技もついでに受け取れ!」

 

 脱力しきった身体に強く輝く炎が絡みついていく。

 

 「そのついではいらないな・・・」

 「決めるぜ・・・!」

 

 炎によって右足が燃えて真っ赤になる。

 

 「先ずは、右足だ・・・」

 

 振り下ろした右足はコウモリの羽を打ち砕き、守られている胴体まで熱が貫通していく。

 

 「うぐぐぐごおおおお・・・!」

 

 さらに炎によって左手が真っ赤に。その左手はコウモリの怪人の顔面を掴むと錐揉み回転を止める。

 

 「最後は・・・右手で・・・!」

 「ふぬおおおお」

 

 コウモリの回転は止まっても上昇の勢いは止まらない。

 

 (なぜだ!なぜこいつは、我々よりも、早く、強く、成長していく・・・!?何故です、ドクターミヤコ!アナタの最高傑作は、本当に最高傑作じゃないか・・・!なぜ、裏切りなどという不必要な感情をもたせたのです・・・!?)

 

 顔に手が覆われても、左目だけは隠せなかった。

 

 そしてその左目から見えたのは・・・。

 

 ギンジの燃えて白くなった右手。

 

 鉄を熱して、白くなるのと同じ様に、ギンジの右手も真っ白になるほど燃えて居た。

 

 その右手は予想通り、コウモリの怪人の顔面に貫くように振り下ろされる。

 

 「俺は絶対に負けん!燃え尽きろコウモリ!!!」

 

 皮膚が、骨が、中身が、そして雷までもが、熱に敗けて行くのを感じた。

 

 全身に走る物理的な痛みと高熱による衝撃が、コウモリの怪人の頭から足先にまで光線の様になって突き抜けていく。そして殴りつけた後のダメージが遅れてやってきてコウモリの怪人は、地面に向かって回転しながら吹き飛んで行った。

 

 重苦しい破壊音が下の方から大きく響く。

 

 「ふう、また火傷しちゃったぜ・・・」

 

 落下しながらも腕を振り払い、炎を消滅させる。

 

 「あーあ、でも力を使い果たしてイッキシ」

 

 くしゃみをするなんてめずらしい。

 

 このまま地面に落下するのは恐ろしく痛いだろうから、それを阻止したいが頑張りすぎた今のギンジにはあまり力が出ない。

 

 「死なないにしても、もの凄い痛いんだろうな・・・」

 

 もうすぐ地面だ。コウモリの怪人が燃えながら、仰向けに倒れている。

 

 「あぶなーい!ギンジくーん!」

 「うおっ」

 

 魔法のステッキに乗りながら、サクラがギンジの手を引っ張る。

 

 「うわわ、熱いね。手」

 「へへへ、悪いな」

 

 サクラの魔法でゆっくり下に下ろしてもらい、一階の炎はレイナが鎮火していた。

 

 「くぅ〜・・・ギンジ・・・」

 

 か細い声でコウモリの怪人がギンジを呼ぶ。それを聞いたレイナが警戒するが、ギンジがコウモリに駆け寄る。

 

 「・・・覚悟は受け取った・・・」

 「本当に悪い・・・これが、こうする事が俺の覚悟なんだ。悪い」

 「いいさ・・・だが・・・よく聞け・・・」

 

 お互いの立場はよく解っていた。こうしないとどちらかが止まらない。かつての仲間と戦う事を選んだのは、佐久間ギンジだ。

 

 「おまえ・・・の為なら・・・ドクターは、な、んでも・・・する・・・覚えておけ・・・」

 

 もはや身体のどこも動かないコウモリの怪人は、呼吸すらできない程に衰弱していた。

 

 「・・・コウモリ、本当に悪い」

 「いいさ、命ぐら、い・・・」

 

 力なく横たわるコウモリの怪人は目を閉じる。

 

 「ドクター・・・ミヤコ・・・の幸せを・・・か、なえてやれ・・・」

 

 最後の言葉を吐き出すようにしゃべると、コウモリの怪人は足先からどんどん砂になるように消えていく。

 

 コウモリの怪人の胸の部分まで消滅すると、青黒い塊がギンジの胸に入り込む。

 

 (バーナーの時と同じだ。お前も力を使わせてくれるのか?)

 

 まるで上手く扱えと、そう言われてる様な気分になりつつもコウモリの怪人は何もしゃべらない。やがて顔まで消えると、レイナとサクラとギンジの三人が砂の舞う吹き抜けの空を見上げて行く。

 

 「ギンジくんの事、話してほしいな」

 

 無言の空間にサクラがギンジの前に立ちながら、可愛らしげのある仕草で笑みを見せる。

 

 「何かワケアリなんだろう?この戦いを通して、ギンジが悪い奴とは思っていない。話したくないならいいが・・・」

 

 レイナも同じ様にギンジの背中をポンポンと軽く叩く。

 

 「ああ、俺の事情を話すよ・・・そのかわり」

 

 泣きそうな声でギンジは空を見上げる。

 

 「誰にも言うなよ」

 

・・・・・・・・・・・・・・

 

 身体を引きずりながら、銀狼の魔人は工場エリアを抜けて、暗闇へと進む。

 

 暗闇を抜ければ、ヘルブラッククロスのアジトの入り口まで到着できるからだ。

 

 「ハァハァ・・・おう、戦闘員か、ちょうどいい」

 

 やがて見えてくる光を通さない闇の通路を抜けると、ヘルブラッククロスの戦闘員が出迎える。

 

 だがその戦闘員の奥に立つのは、軍服を来た体格の良いオーク怪人であった。

 

 「敗北で終わったね〜くふふ」

 

 オーク怪人の真横では誰かが用意した椅子にだらけて座るミヤコの姿があった。相変わらず白衣のサイズは合ってないし、身体も小さい。

 

 銀狼の魔人から見ているとこの華奢な身体は、とても美味しそうに見える。今はそんな事を考えている場合ではないが。

 

 「ドクターミヤコにも大見得切ってこの様か。失望したぞ、銀狼の」

 「ぐうう、あいつら、二人で来るとは思ってなかった・・・それにヘヴンホワイティネスじゃない敵がいたんだぞ!」

 

 血に濡れた腕を振りながら、銀狼の魔人は吠える。

 

 「アハッ、この期に及んでいいわけですか〜?。ちょーダサいんですけど。ウケる」

 

 オークとミヤコの真上にはサキュバスの怪人が銀狼を見下すように、はたまた嘲笑するように漂っている。

 

 「くっ・・・お前らの話しじゃ、ヘヴンホワイティネスが来るって筈だった!聞いてないぞ、退魔警察が来るなんて!」

 

 何か弁明の余地を取らないと、このままでは倒れてしまいそうだ。

 

 牙を鳴らしながら銀狼はオークとミヤコにすり寄る。

 

 「それ以上はドクターに近寄らないでいただけますかね」

 

 剣士の怪人がいつの間にか銀狼の背後に立ち、怪しく輝くオーラを纏う剣を突き立てるようと構えている。

 

 「バカな・・・オレを殺すのか・・・?」

 「当たり前だ。貴様は我らがドクターミヤコに不敬を働きすぎだ。作戦に役立てない無能はここにはいらないのでな」

 「それに総統にも好きにしていいって言われてるしね。くふふふ」

 

 オーク怪人に威圧された次は、ミヤコから信じられない言葉を聞かされる。

 

 「聞いてる?あんた、あーしらのミヤコさんから、戦力外通告を出されてるのよ」

 

 サキュバスの一言が、銀狼の心をへし折る。

 

 「バカな・・・このオレが・・・ゲヘナミレニアムの大幹部であるこのオレが・・・!?」

 「ここでは新参だ。選べ、死ぬか、命を捨てるか」

 

 剣士の怪人の選択肢は、まったく答えの無いものになっている。

 

 「ドクターああああ!!!!」

 

 銀狼の魔人が発狂した顔でミヤコに飛びかかるも、横から現れた手に背中を叩かれ、上半身が吹き飛ぶ。

 

 「これで大幹部?今、チワワはこいつを撫でただけなのだが」

 

 犬の怪人が手を広げ、下半身だけになった銀狼の魔人の足を掴み、剣士の怪人へ放り投げると、細斬れにしていく。

 

 「くふふふ、あーあ実験材料がなくなっちゃった」

 

 消え失せた銀狼の魔人は血液とわずかな肉片だけが虚しく残り、そしてその遺伝子情報の塊は、戦闘員達によって綺麗に洗い流されていく。

 

 つまりドクターミヤコにしてみても、コレは要らないということだ。

 

 「ドクター、コウモリの生命反応が消えました」

 

 近くに佇む紫から衝撃の事実を聴くと、ミヤコは奈落の瞳を見開き、狂気に震える笑顔になる。

 

 「くふふふ、戦っていたのはギンジ君だよね?」

 

 仲間が倒されたが、ミヤコはさして気にしていない素振りだ。

 

 「コウモリの怪人はより強い怪人によって食べられただけだよ。それに、ギンジ君が裏切った今計画は別の段階にすすんでいるしね」

 

 椅子から立ち上がると白衣を振り回しながら、ドクターがその場にいる全員に告げていく。

 

 「皆、悲しんだりしたら駄目だよ。それはわたしだけでいいの」

 「失礼、佐久間ギンジはさして怪人特有の能力があるようには見えないのですが・・・」

 

 オーク怪人の疑問にミヤコはまたも笑って答える。

 

 「彼にもちゃんと能力、あるよ?」

 

 ミヤコの笑みに、誰もが背筋を震わせる。他の大幹部にはない格の違いを見せつけるその狂気の笑みは、彼女がときおり人間であることを忘れそうになる程だ。

 

 左目の黒い眼球も、普通の右の眼球も輝かせながら、ドクターミヤコはギンジという怪人の、真名を言う。

 

 「彼は、佐久間ギンジ、またの名を進化の怪人」

 

 その場にいる怪人も、戦闘員も、誰もいない筈のその空間に似合わない拍手喝さいが響き渡る。  

 

 「彼にコウモリをしかけたのは、コウモリが戦いたいと、命をかけると申し出たから、わたしは覚悟を受け取ったのです」

 「流石でございます・・・」

 

 オーク怪人が膝を付き、ミヤコに頭を垂れる。

 

 「さーて、皆、帰ろうか・・・くふふふ」

 

 コウモリの怪人の消滅は非常に残念だが、それにより愛する佐久間ギンジが強くなったらそれでいい。

 

 なにせ闘争で進化する細胞、そして怪人を取り込み能力を得る力。

 

 いずれもミヤコが目指す最強の怪人を作る為の計画の1段階にすぎない。

 

 闇の中で、再び悪が嗤う。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 あれから事情を話し、サクラとレイナの連絡先の書かれたメモを貰い、ギンジはミドリコのマンションに戻ってきた。

 

 ギンジにとってみても、この世界における協力者というのはありがたい。

 

 「遅いぞギンジ!なにして・・・って、君全身ひどいことになってるぞ!」

 「まさか、一人で戦ったの?」

 「あんたなにしてんのよ!」

 「へへへ、悪いな、ちょっとバトって来た・・・」

 

 ボロボロのギンジを出迎えると、三人の女性達はギンジの声に違和感があった。

 

 「いやーコウモリの怪人強かったわ・・・エッブシ」

 

 くしゃみ。

 

 「あんた鼻声じゃない」

 「あーもしかして風邪・・・か?」

 「ギンジも、人間、ということがしょうめいされた」

 

 正義のヒーローヘヴンホワイティネスは本日を持って風邪を引いて全滅した。

 

 「怪人様も風邪ひくのね〜いっきし」

 「カエデ、お前もくしゃみしてんじゃねぇかいっきし」

 

 ウイルスをばらまくだけの四人になってしまい、風邪が直るまで四人全員一週間まともに戦えない日が続くのであった。

 

 なお、ヘヴンホワイティネスが活動していない間は、どこからともなく現れる魔法少女と、退魔警察によってヘルブラッククロスの悪事が止められるのであった。

 

 

 

 

 

続く

 

 

 




いやー疲れた。おつかれさまです。

今回もお話を楽しんでいただければ幸いでございます。

キャラネタ書きます
剣士の怪人
ビキニアーマーを身に着けたエッッな女性怪人。めっちゃ強い

サキュバスの怪人
キャットスーツに身を包み、黒い羽、黒い尻尾を持つ怪人。エッッな雰囲気が強い。

コウモリの怪人
今回の任務では死ぬことを覚悟して挑んでいた。
結果は敗けたが、ギンジに新たな力を使わせる為に魂だけは消滅しなかった。

ドクターミヤコ
ギンジ君しか勝たん。
はぁギンジ君好き好きアイシテル結婚しかない、働かなくていいよ?全部私が養うし、子供は何人欲しい?ご飯にする?お風呂にする?それともくふふにする?え?キャラネタが長い?まぁまぁ話しの通じる相手じゃないんだから(省略)

次回も頑張るぜ!アトラクションでした!
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