正義のヒーローヘヴンホワイティネス   作:アトラクション

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こんにちはアトラクションです

花粉症に毎日追い詰められています。本当にちゅらい。

ちゅらしゅぎて、ちゅらくって、まじでちゅらい。

なんかくしゃみ凄くって、止まらなくってェ・・・

今回のお話から終盤のスタートです。
それでは、どうぞ


終盤の始まり
90・敵同士の覚悟を持って


 

 ドクターミヤコが大幹部柏木タツヤぼ手によって連れ攫われた時、私は自分の中で何かが動いた気がした。自分の母同然の存在が、愛する者の眼の前で距離を離され、独りにされる恐怖なんて考えるだけでも心臓が張り裂けそうだった。

 

 「ブヒ・・・」

 

 額から流れ出る汗を拭いながら、私はいつもの軍帽をかぶり直して、明るくなる空を遠く眺める。

 

 ドクターミヤコはいつだって聡明で、賢く素晴らしい頭脳の持ち主。そんなお方がいつもの冷酷さと落ち着きを無くす要因・・・具体的に言えば【女】になる瞬間とその直接的な原因。

 

 それは佐久間ギンジの存在。

 

 本来の名前などどうでも良いが、ドクターミヤコが造りあげた怪人研究における最高傑作・・・通称、進化の怪人。

 

 あの男が現れた事で、ドクターミヤコは変わられた。

 

 元々美しかったが、心の拠り所を見つけたドクターミヤコが、更に美しい笑顔を見せる様になった。

 

 ギンジと共に居れば常に笑い、常に艶のある顔を見せ、人間の恋と呼べるモノが良く解る。

 

 艶のある黒髪を揺らして、メガネをかけた顔に明るさを取り戻し、怪人開発と研究のエキスパート。いつもの黒いセーラー服も、今は柏木大幹部が用意したのか、純白のウェディングドレスになっている。

 

 だが、その身体の一部だけでも露出しているドクターが、あのギンジとの再会を果たして、心の底から嬉しそうにしているお姿を見れば、この再会において、最早二人の会話に入る事は許されていない。

 

 「ブヒ・・・」

 

 私は自分を造って下さったドクターミヤコの幸せ、それだけを願って動いている。あのお方がが一声かければヘヴンホワイティネスも、ヘルブラッククロスも排除する。

 

 実際そんな事は命令されないが、言われれば確実に動く。

 

 だが・・・しばらくはそんな必要もなさそうに見えていた。

 

 「くふふふ、ギンジ君・・・」

 

 ドクターミヤコは進化の怪人こと、佐久間ギンジが救出を果たし、当たり前だが柏木タツヤも撃破した。

 

 そうして我れらが母であるドクターミヤコとギンジは再会を果たした。

 

 「あんな幸せそうな顔をされるとは。助けに向かった悔があった」

 

 そうだ。

 

 ドクターミヤコが幸せならばここまでの戦いに赴いた事にも意味が産まれて、助けた事が有意義になる。

 

 敗れた軍服の破片をちぎりながら、私は登り行く朝陽をもう一度その視界に入れては、最後にもう一度ドクターミヤコに視線を動かす。

 

 ドクターミヤコが幸せな笑みを浮かべて、ギンジと共に居るのであれば、もう私がこの場に居る必要は無い。後の事・・・この街の修復や、このホテルの修復はヘヴンホワイティネス達に任せるとしよう。

 

 ま、特別な意味は無いがこのホテルのマッサージチェアは、私の好みだからな。早めに直してもらいたいモノだ。

 

 豚の鼻も乾きそうな程の夏の熱気がやって来そうだと、この夏という季節に身を置いてしみじみ感じる。

 

 ギンジ達が私に声をかけるまえに、ここを離れよう。母の幸せに、この様な豚の姿があるのはきっと納得が行かないだろう。

 

 (それでは、しばらくのお別れです。ドクター。私は貴女の幸せを願っていますよ)

 

 心の中・・・怪人の私が自分で言うのも意味不明な事だが、とにかく心。その中で私が敬愛するドクターへの言葉を告げて、私はホテルから、ギンジ達から離れる様にしてこの場所から姿を消す事にした。

 

 ブヒ、ブヒ、ブヒ。

 

 歩きながら鼻から声が漏れる。

 

 呼吸の様に出てくるこの声を垂れ流しにしながら、私はいつもの人工の迷路となっている繁華街の路地裏へと戻るのであった。

 

・・・・・・・・・・・・・・・

 

 「あれ・・・オークは?」

 

 ミヤコを助けた事と柏木タツヤの撃破による完全勝利ムードを保ちながら、神宮家の車で帰還する傍ら、ミヤコがギンジにくっつきながら自分の優秀な側近の存在が居ない事を確認する。

 

 今ギンジ達を運んでいる車は長く黒塗りの高級車・・・いわゆるリムジンと呼ばれる車で、それぞれくつろぎながら神宮亭に戻っている。

 

 カエデだけは実の父親であるソウジロウと共に別の車に乗っている様で、今のミヤコを邪魔する存在はここには居ない。

 

 「そう言えばオークの奴って、気がついたらどこかに行ってるよな。サン・アンフェールとかと戦った時も気がついたら居なかったし」

 

 戦いが終われば多くは語らず姿を消すオーク怪人に、ミヤコはほんの少しだけ唇を尖らせながら、窓を眺める。

 

 「くふふ・・・オークにもお礼言いたかったな」

 

 ミヤコが無事に救出出来たのは、ひとえにオーク怪人も協力してくれたのもあるだろう。ギンジもそれは同じ思いであり、梟の怪人に邪魔される事も考えたら、オーク怪人の功績はあるだろうか。

 

 「あいつも何も言わずに消えるんじゃなくて、俺たちと一緒に飯でも食えばいいのになぁ」

 

 素直に協力者という関係を超えて、すでに仲間同然の扱いをしているギンジにミヤコも激しく同意しているのか、首を縦に大きく降っている。

 

 「うんうん、そうだよね。ギンジ君はかつて命のやりとりをした怪人とも仲良く出来るなんて本当に素晴らしい怪人だ。わたしの最高傑作なだけあるよ、くふふ」

 「お褒めに預かり光栄だね。それで、ミヤコ、お前は今何をしようとしているんだ?」

 

 オーク怪人の事は一旦置いておく事としたギンジ。放っておいても彼とはまた再会するだろう。怪人同士よくある事だ。それもミヤコにまつわる事なら間違いない。

 

 それはそれとして、ミヤコが今行っている行動にギンジは微笑みながら怪訝な顔をしている。

 

 「え?何って、左手の薬指をですね・・・」

 

 ミヤコが今行っている行動は、ギンジの左手の薬指をその小さな手で、優しく握りながら、同じく自分の左手の人差し指と親指で、ギンジの薬指を上下で挟む様にして往復させている。

 

 その指の動きが何故かとてもいやらしく見えて、そして少しくすぐったい。

 

 「指輪を嵌める練習しようかと思って・・・」

 「・・・?」

 「あ、違うモノを嵌める練習する・・・?」

 「・・・一応それが何かを聴いておこうか」

 「えーと、ギンジ君がわたしを「よし!もういいぞ喋るな」

 

 ミヤコが何を言うか既に解り切っていたが、会えて聴きたくなってしまったのはギンジ自身の悪い所である。

 

 でも内容は解ったが、それは今からするのでは少し早すぎる。それだけは止めておかないと、またミヤコが暴走してしまう。

 

 「くふふ、冗談だよ。ま、いつかはそうなるかも知れないけどね」

 「・・・かもな」

 

 今までのギンジとは違う態度と声に、ミヤコはふと鼓動が高まる。

 

 「へぇ、否定しなくなったね。いいよ、今すぐわたしを愛しても」

 

 言いながらミヤコは自分の仮の洋服となっていたウェディングドレスを引裂こうと、その両手に力を込めるが、ついに黙っていた赤鬼とミドリコがそれを止めに入る。

 

 「くふー!離しなさい!今からギンジ君とぷにぷにでコリコリの誘惑の世界に行くんだーー!」

 

 ぷにぷにでコリコリとは一体何の事を話しているのかはミヤコにしか分からない事だが、その世界の誘惑に向かわせない為に、ミドリコが暴れる少女を抑えている。

 

 「姉さん、流石に駄目だって!言い訳できなくならァ」

 「くっ、久しぶりに会ったと思ったら相変わらずだな。安心したけど、流石にだめだぞミヤコ!」

 

 いい加減この暴走だけはさせては行けないと、誰もが思った瞬間、ミドリコと赤鬼の顔の間をすり抜ける様にして、ミヤコの瞳の前に突き出た、蒼白い光が瞬時にミヤコの視界に広がっていく。

 

 「おとなしくしないと、私も、怒るかも・・・」

 

 虎の様な鋭い眼光と、引き抜かれたビーム剣、そしてその後ろでアワアワと驚いているケイタ。

 

 「おとなしくして・・・ね?」

 

 皆疲れている中、こんな事で暴れられてはレンも報われない。

 

 「はい・・・」

 (今度からレンにミヤコの暴走を止めてもらうか・・・)

 

 レンの迫力にビビってしまったミヤコは荒れた髪の毛を直しながら、再びギンジの隣におとなしく座り、帰路を走るリムジンに揺られていくのであった。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 その日の夜。

 

 新怪人四天王が三名ロスト。その報告を読んだドクターパープルは、ある場所に脚を運んでいた。

 

 「ふむ、ドクターミヤコは無事に救出され、変わりに我々は貴重な戦力を三名失った、と」

 

 暗闇が全てを静寂に包み込む夏の夜。その光の無くなった道を歩きながら、ドクターパープルは繁華街の喧騒を遠く聞き入れながら、人工の迷路を決まった道順で歩いていく。

 

 目的地は2つ。

 

 一つはヘルブラッククロスのアジトとなる本部への帰還。

 

 もう一つは・・・。

 

 「おや、もう帰っていたのかい」

 

 路地裏迷路を決まった道順で歩くとたどり着ける最奥。そこを根城としているのは、かつての友であり家族でもあり、今は敵となったオーク怪人の姿があった。

 

 「相変わらず孤立しようとしている様子だが、そんなのでは到底ドクターミヤコをお守りする事は出来ないのではないかね?」

 「ブヒ。余計なお世話だ。そもそもあのお方お守りするのは、この世でたった一人だけだ。お前も知っているだろう」

 

 紫もオーク怪人もお互いに嫌味を込めた口ぶりに、一気にこの場の雰囲気が悪くなっていく。

 

 「ところで何の用だ?決着でもつけに来たか?」

 

 重苦しい空気感の中で、オーク怪人が拳を握る。かつて仲間であっても今はもう敵なのだ。殺意を込めた拳とそのにじみ出る闘気が、紫を少し押し込む様な感覚さえ感じる。

 

 「そうだ、どうせ孤立していると思ってね。これを見せに来たんだ」 

  

 そうだとしても、紫も師であるドクターミヤコと同じく大幹部。それだけの気迫を見せるだけでは動じたりはしていられない。

 

 「ブヒ・・・なんだこれは」

 

 紫が取り出したそれは、小型のカメラによる撮影機能を搭載したドローン。それが撮影したある映像をオーク怪人に見せる。

 

 「いくら敵同士とは言え、フェアでは無いと感じたのでね。これを見せる事にしたよ」

 

 紫のくぐもった声の中には、どこかかつての友を大切しようとしている様な、僅かな心使いが感じ取れる声を出していた。

 

 紫の思惑は解らないが、オーク怪人はそのカメラが撮影したであろうモノを見ようと投影機能を動かす。

 

 するとそこに写し出されたのは、ミヤコがギンジへキスをしているという映像。

 

 ついにミヤコが一つの本懐を遂げた様な行動の1場面に、オーク怪人は感動してしまった。

 

 きらびやかな瞳になるオーク怪人に、紫が仮面の奥で声を震わせては肩も上下に震わせているように見えた。

 

 「ドクターミヤコをこれからもお守りしろ。それはお前とギンジにしか出来ない事だ。そして私はこれからもヘルブラッククロスの大幹部として、お前たちを排除しに向かう。ドクターミヤコがそうあれと願ったのだから、我々に残されている道はそれだけだ」

 

 紫の冷たくも震えた声音は、オーク怪人の胸に突き刺さる様な感覚に陥らせて、少しだけ悲しくなりそうな気分にさせた。

 

 「これから我々はより大きな行動を起こす為に、決戦兵器の開発を勧めている。オーク、君もドクターミヤコも、

そしてヘヴンホワイティネス、正義連合、この世界に生きる全ての生命・・・それらが全て地獄に飲まれる大きな大きな作戦の始まりを告げる兵器だ。あまり悠長にはしていられないと、覚えておくんだね」

 

 紫が最後に一息でそれだけ告げると、オーク怪人の返事を待たずにその場所、路地裏の最奥から歩き去っていった。

 

 「ブヒ。まるで、守れるならずっと守っていろ、そう言いたげだな、紫」

 

 かつての友の背中は見たことが無いくらい、巨悪のオーラに染まっていて、そして確実にこの真夜中に取り込まれるにふさわしい死神の様な雰囲気も持ち合わせていた。

 

 「・・・必ず、この命に変えてもドクターは守ってみせる。それが・・・」

 

 それが・・・敵同士になると誓ってしまった、二人の旧友の願いであり、目標。

 

 ドクターミヤコの為に、都合の良い敵となり、また味方ともなる。

 

 彼女の果てしなく深い考え方には、尊敬すら覚えている二人は、そのまま言葉を交わす事なく、暗闇に溶けていった。

 

 「・・・もう一度観ておこう」

 

 もう一回ミヤコとギンジのキスをしている映像を観て、オーク怪人は覚悟を持ち直す事にしたのであった。

 

 

 

続く 

 

 

 

 




お疲れ様です。

今回は終盤の始まりということもあって、少し短めのお話になりました。

ギンジ達は果たして、未来を変えられるのか
そしてゲームとは違うハッピーエンドを迎えられるのか
ヘルブラッククロスを倒しせるのか!!

そこまで共に行きましょう。

キャラネタ書きます

オーク怪人
特に意味は無いけど、戦いが終わったらとりあえず姿を消していた。ミヤコとギンジの為、みたいな適当な理由をくっつけては居るが、実は典型的な陰キャタイプ。大人数で遊びには行かないタイプ。
チーズ豚丼とかが好み。


ギンジとミヤコのキスシーンを盗撮していた。盗撮は犯罪です。決してマネしないでください。

鈴村ミヤコ
ギンジ君大好きすぎてぷにぷにでコリコリの誘惑の世界に向かおうとした。具体的な内容は伏せておきます。

佐久間ギンジ
ぷにぷにで・・・コリコリ・・・????

・・・

さて次回はリコニスの主役回となります。ハチャメチャな物語ですが、どうか最後までお付き合いください!それではまた次回!
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