正義のヒーローヘヴンホワイティネス   作:アトラクション

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はいどーも!皆様こんにちは、アトラクションです!

今回は投稿が約2週間程出来なくてすみません。

本当に仕事忙しかったんです。一周年記念番外編をここに入れたかったのですが、話しの流れを一度切るのもアレだと思い、同時並行で執筆していたら思うように進まず、おまけに仕事が忙しく・・・。

番外編の方は、監獄襲撃が終わったら投稿しようと思います。

それでは本編、どうぞ!


93・監獄襲撃・3

 金網で形を取られた四角い通路は、普段は血液や破損した装備品で汚れたりする事は無い。

 

 無いのだが、今日だけは違った。

 

 いつもと同じ変わらない日常、いつもと同じ平和な虹層作市。

 

 いつもと同じの毎日を過ごしているだけの平和ボケをかました顔で、監獄に勤務する警備兵達が、今日が働いている史上最大で最悪な日に変わってしまった。

 

 不気味にも思える謎の少女と、それに付き従う様な長身の男の白昼堂々の襲撃。

 

 ただの暴漢ならば誰でも制圧し、そのまま逮捕にまで持っていけるのに、今回の存在はあまりにも予想外過ぎた。

 

 この監獄で働く者ならば、噂だけなら聴いた事もある、ヘルブラッククロスと呼ばれる裏社会の組織・・・。

 

 ある若手の警備兵は、ただの裏社会の組織ならばいつかボロを出して逮捕されるモノだと、楽観視していた。それどころか、自分はそんな強大なのか極小なのか、未知数の規模など、日本政府が本気を出せば確実に倒せるモノだと、本気でそう信じていた。

 

 まだ学生と思わしき少女と長身の男による襲撃のあと、地下の独房フロアでは、次々と囚人達が開放され、凶悪犯罪者の警備兵達の制圧。

 

 そして女性の警備兵や教官、聖職者は、全て彼らの行う暴力に屈して、絶望の悲鳴をあげるだけの存在になってしまった。

 

 至る所で警備兵の断末魔が聞こえては、女性の鳴き声も聞こえて、気が狂いそうになってしまう。

 

 「ああ、もうやだ。帰りたい」

 

 一人だけ物置近くの通路の端に隠れては、膝をかかえて座りながら若手の警備兵は一人そんな事を呟いた。

 

 もうここは囚人達によって制圧されて、囚人達はと言うと上を目指して大進軍を開始している。

 

 もうここに残っているのは、無残にも殺されてしまった警備兵や、騒動に巻き込まれた事であえなく死んでしまった、囚人・・・。

 

 震えてうずくまる彼の足元に、血液が流れてくる。

 

 一枚の鉄の床に敷かれた金網を溢れ出ては、川の様に流れてくる血液が革靴に付着した事で、若手の警備兵は顔を青くして、この騒動から一刻も早く生きて帰りたいと思ってしまった。

 

 恐怖。

 

 それを感じた瞬間、彼は飛び上がり上を目指そうと、この地獄からの脱出を目指そうと走りだそうとした。

 

 「はぁ、はぁ、死にたくない・・・!」

 

 このままでは発狂してしまう。もう一秒だってこんな血なまぐさい最悪な地獄の空間を脱出したい。

 

 しかし、彼が走り出した瞬間、狼狽して揺れる視界に、何者かの背中が写った。

 

 その背中は首から上、つまり頭部が存在しておらず、しかし自分の視界が落ちていくのを感じた。

 

 「あ、あれ・・・」

 

 床と思わしき所に倒れたのだろうか。

 

 まるで寝そべっている様な視界になってしまい、その後間もなく首無しの身体は膝から崩れ落ちる様に倒れてしまった。

 

 おかしい。自分の身体が動かない。

 

 おかしい。自分の意思とは反して何も出来ない。

 

 呼吸も、もう一度立ち上がる事も、声を出す事も、まともな思考も、何も出来ない。

 

 「はぁ〜また死んじゃった〜。すーぐ首がなくなるんだから、困っちゃう」

 「流石です先輩!」

 

 最後に少女の声と野太い男の声が聞こえて、若手警備兵は、自分が死んだ事も気づかずに、その瞳に光を失わせた。

 

 この若手警備兵は今、たった今首を斬られた。

 

 急に物陰から出てきた事で、黄金の刀により死角から、ペーパーナイフで紙を斬る様に、スパッと、頭部を胴体から切り離されていた。

 

 「も〜リコニスちゃんの邪魔しないでよ〜。思わずぶっ殺したくなっちゃうんだからさ〜・・・ククク、ヒャハハハハ」

 

 死神、悪魔、魔女。

 

 様々な通り名はあれど、彼女の存在は地獄に君臨する暴君と呼ぶのがふさわしい。

 

 黄金の鎧に身を包み、しなやかな身体を強調する臍を出したラバースーツに、肩と手足、背中を守れる黄金の鎧という、魅力的な姿。

 

 手に持った黄金の刀には血液も骨片も、人体の脂も一切付いていない、これも美しい刃渡りと長さをしている。

 

 そんな地獄の暴君、ことヘルブラッククロス大幹部・リコニスは、今現在、爆撃の怪人と共に地下の独房フロアの4階に到着していた。

 

 「手当たり次第バラしてたら遅れちゃったかな〜」

 

 何も悪びれずにリコニスが鼻で笑うと、コツコツと黄金のレガースを鳴らして死体と、騒動のあったと想像する事ができる道を、強く歩いていく。

 

 人間なのに、人間以上に強い怪人を従える彼女が、爆撃の怪人にはとても強く素晴らしい存在に思えた。

 

 先輩の背中はとても大きく、強く、そして底の見えない強大な悪という存在に見えた。

 

 「でもま、楽しい殺戮ショーは終わりかな?まだ下に残ってる奴らは、まぁまぁ強そうだし。きっとそいつらと殺し合いしてるほうが、私が別の用途で楽しめるかも。そう思わない?爆ちゃん」

 (楽しい・・・!?)

 

 リコニスが振り向かずに刀を揺らしながら喋る言葉は、それは本能でモノを言わせている様な口調であり、ここまでの道のりも楽しかったのだが、ここから先に起こりうる事も、彼女にとってはただ一つの退屈しのぎというカテゴリーに入っている。

 

 そう理解した爆撃の怪人は、リコニスの真後ろで肩を震わせる。

 

 武者震いの様な、もしくはリコニスへの忘れ得ない恐怖心の様なモノと、尊敬と、全てが一つになった震え。

 

 (やはり先輩は、リコニス先輩は──)

 

 ──格が違う!

 

 拳を震わせながらもう一度強く握ってみる。

 

 上手く力が入らないが、多分これはちゃんと握れている。

 

 尊敬と憧れを改めて強く持った爆撃の怪人は、「ま、いいや。行きましょ」、と言うリコニスに元気に返事をして、壮絶な争い事があったであろう金網の道を突き進む。

 

 リコニスと爆撃の怪人が通ってきた道、その奥・・・上へと通じるコンクリートの道には、無数の死体が斬られ、欠損させられ、血と肉片と死体が転がっていた。

 

 ここから逃げ出そうとした囚人達を、全員斬り伏せてリコニスはこの地下へと進軍を開始していたからだ。

 

 退屈が天敵のリコニスには、これもわずかな遊びの時間に過ぎない。

 

 囚人をおもちゃ代わりに、軽く壊れるまで遊ばせて貰う。

 

 そうしておもちゃを一瞬でとっかえひっかえしては、オレンジ色の囚人服を着たモノ達が無残に葬られた。

 

 【ズバズバ☆リコニスちゃんの殺戮人間解体ショー】

 

 誰かの血液で無理やり文字を書いたそれが、この地下フロアの入り口の上の壁に書き殴られ、ここでリコニスの“遊び”が開催されていると、ひと目で理解できる狂気的な雰囲気が、ヘルブラッククロスがこの監獄へと宣戦布告を行っている様に見えていた。

 

 ショー、の文字の血液が垂れては、一筋の線を作る。

 

 その線が床に到達すると同時に、下半身がなくなっている囚人の後頭部に、音もなく赤い雫が落ちて行った・・・。

 

 「さぁ、次はもっと楽しませて頂戴ね・・・」

 

 地下へ進むリコニスが口角を上げて、これから起こる楽しみと期待に、胸を踊らせていた。

 

・・・・・・・・・・・・・・

 

 地下19階。

 

 巨大な監獄の地下エリアは、洞窟を削ったかの様な自然由来の壁がありつつも、鉄を上手く組み込んでは、電気で動く独房をはめ込んだ無理やりな構造をしている通路が幾重にも連なっていた。

 

 どこもかしこも囚人達の暴動が、ライブ会場の熱気が広がるかの如く、騒がしくとてつもなく大きくいつまでも続いている。

 

 もう動かない警備兵を何度も踏みつけて、殴り続けて、高笑い。

 

 お決まりの行動を飽きずに続けられる汚い顔をした囚人が、高らかに警備兵を持ち上げてまだ笑う。

 

 下卑た大笑いがこの地下のフロアに広がり続ける中、リーダー格の囚人の真後ろから、首根っこを掴まれる。

 

 「・・・邪魔、死ね」

 

 その言葉を耳元で囁かれた瞬間、汚い囚人は硬い鉄の床に頭を叩き落されて、今のこの一撃により絶命した。

 

 そしてこの頭骨が砕けて鉄に響き渡る音が鳴った事で、囚人達が一斉に音の鳴った方へと視線を動かす。

 

 「なんだぁ?」

 「うほっ、良い女♡」

 「オイオイオイ、今日はツイてるなぁ!」

 

 囚人達の騒ぎがまた別の方向で大きくなる。

 

 たった今静寂を作り、そして熱狂的な騒ぎを再度起こした原因が、女だったのだ。

 

 黒いタンクトップに、カーゴパンツ、軍靴を履いた鋭い目つきをした女性。

 

 髪を振り乱して姿勢を整えた彼女が、のそのそと近寄ってくる囚人達には目もくれず真ん中の道を歩き出す。

 

 身体にまとわりつくような視線を全て無視して歩く彼女に、後ろから囚人が手を伸ばした。

 

 背中から見ても筋肉質な身体と言うのいが良く解る、タンクトップの背中と、筋肉が詰まっていても柔らかそうな二の腕。

 

 それらを見ているだけで、ここに居る犯罪者達の欲望が抑えきれなくなる。

 

 身体を触ろうと伸ばしたその手は、二の腕に触れた瞬間、指先に痛みが走る。

 

 「っ!?」

 

 痛みは指先だけではなかった。手のひらいっぱいに、紙で切ったかの様に、細い流血の線が手相みたく流れ始めていた。

 

 「なん・・・」

 

 まるで鱗みたいなモノを触ったかの様な感覚に、囚人の顔に苦悶が走る。

 

 「まさか、てめぇ・・・」

 「はーいクソザコのみなさーん♡僕達ヘルブラッククロスに歯向かうなら殺しちゃうよ〜」

 

 この女が何者か、そしてどういう存在かを理解した途端に、また別の方向から声が聞こえてくる。この地下のフロアにはその声が良く響く。 

  

 「がハッ」

 「な、なんだ・・・苦しい・・・」

 「うげぇ・・・ゲボロロロ・・・」

 

 次々と不調を訴えて、その次は倒れていく囚人達。

 

 顔色を悪くしては血を吐いて倒れる奴も居れば、心臓を抑えてバタバタともがき苦しむ囚人の姿も現れ始める。

 

 「・・・」

 

 自分の身体に触られた事で、龍の怪人が後ろで手を抑えながら激痛に耐える囚人に振り向いてにらみつける。

 

 無言のままの彼女は、次々と倒れていく囚人を背にまるで地獄から這い出てきた、得体のしれない何かに見えている。

 

 身体つきは豊満な女性なのに、真っ黒な人型のシルエットに、赤く輝く眼光が、人間としての恐怖感を本能の奥底から警笛を全開で鳴らし続けている。

 

 汚い顔の囚人は、今日改めて自分がただの人間である事を思い知らされた。外に出て悪事のために生きようと思っていた事を、この数秒で悔い改める要因を痛感した。

 

 無事にこの監獄を脱出して外に出てやり直そうにも、こんなに生物的に恐ろしい存在が待っているのであれば、自分なんてただのゴミ同然だからと、この迫力で思い知ったからだ。

 

 「し、死にたくない!頼む、げほ、おれだけでも、ごほっ、ごほっ」

 

 急に命が惜しく感じて、命乞いなんかをしてみるがもう遅い。

 

 「ざーこ♡お前もう死んでるんだよ♡ねぇねぇ、絶対に勝てると思ってた女っていう奴に敗けたっていうのは、今どんな気持ちなのかな〜♡」

 

 龍の怪人の右隣に、毒蛾の怪人もフワフワと降りてくる。

 

 蛾の羽を展開させた彼女が降りてくる事で、汚い顔の囚人が、他の騒動の仲間達が倒れた理由が解った。

 

 その羽から鱗粉の様に散布されている粉を見て、囚人がもっと顔を青くさせる。

 

 「毒・・・」

 「へぇ、頭悪そうなのに、一瞬で理解出来たんだ?」

 

 ついに苦しくなって片膝をつくのだが、毒蛾の怪人と龍の怪人はこの毒の領域の中でも平然と立っている。

 

 平然としながら、毒蛾の怪人は囚人を嘲る様に顔を歪に微笑ませて、囚人を馬鹿にしている。

 

 普段ならこんな子供みたいな顔をしている奴に敗ける事なんてありえないが、今はこの存在が何よりも大きく、人間が絶対に逆らってはいけないと、本能が伝えているのだ。だから反抗なんて出来やしないし、逆上もしない。

 

 「うげぇ、し、死にたくな・・・い」

 

 最後まで命乞いをしてみたが、その声は届く事は無く、囚人は血とよだれと苦しさから来る涙で顔を汚して、さらに汚くなった囚人の顔。

 

 「しに・・・た、く・・・な・・・」

 

 どんどん苦しくなって、どんどん辛くなって、最後はその顔を床に落とす様にして、うつ伏せに倒れた。

 

 最早言葉も喋れない程、毒蛾の怪人の猛毒によって衰弱してしまったが、まだ身体だけはわずかにピクピクと動いているが、そんなのも終わってみればちょっと可愛く思える。

 

 「さーって、どんどん行こうか姉さん」

 

 毒蛾の怪人が面白そうな声で龍の怪人に反応を求めるけど、彼女から答えはない。

 

 「何か喋ってよー」

 「・・・」

 

 失禁して倒れ付す囚人も、足元に転がっている囚人達にも目もくれずに、龍の怪人は奥へと向かう。

 

 この先、この監獄の地下の独房に幽閉されている柏木タツヤの奪還は必ず達成しないと行けない。

 

 ヘルブラッククロスの目的のためにも、あの敗者が必要なのだから。総統が必要としているのだから、後の事は何も考えずに龍の怪人と毒蛾の怪人は更に奥深くへと進んでいく。

 

 「この先もなにか居るかな?例えば・・・ヘヴンホワイティネス級に強いやつとかさ・・・」

 「・・・居るなら、殺す」

 

 ヘヴンホワイティネスクラスの強敵がもしかしたら居るとして、立ちはだかるなら確実に殺す。それが龍の怪人のアンサーであり、過去に一度ヘヴンホワイティネスの3人に敗北している事を思い出すと、龍の怪人には怒りがこみ上げてくる。

 

 レジスタンスを名乗る裏切り者達との戦い。あの敗北で自分を造り出してくれたドクターパープルだけが怒られた、その原因が自分達であった・・・それを思うだけでも、この力の世界の残酷さを思い知るには十分だ。

 

 龍の怪人は力の世界とそのありかたに固執している。

 

 もう二度と敗ける事はない。来るべき自分達の世界で生き残る為にも、もう絶対にどんな相手でも龍の怪人は敗けないと決めていた。

 

 拳を強く握り、腕にも血管が浮き出てくる。

 

 その力強く握られた拳のまま、龍の怪人と毒蛾の怪人は更に地下を目指してつき進むのであった。

 

 「下に行けば行くほどやばい人たちが集まってるって情報だったけど、僕の毒ですぐに無力化出来るし、姉さんも普通以上に強いし、なんだか拍子抜けだねぇ」

 

 龍の怪人の後ろで毒蛾の怪人が笑いながら話しているが、龍の怪人は何も反応を示さない。無視をしている訳では無いのだが、その内容に興味が無いのか、足も止めずに監獄の通路をあるき続ける。

 

 地下20階。

 

 監獄もいよいよ最下層が見え始めるこのフロアでは、警備兵と囚人達がより大きく争ったのか、血痕も死体の数も上のフロアとは段違いの多さであった。

 

 凄惨な光景が広がるこの視界に、龍の怪人は闘争本能が大きく加速させられる。

 

 龍の怪人と毒蛾の怪人が正規の道から侵入した直後、フロアの中心の天井から爆発が起こり、瓦礫が落ちて連鎖爆発も巻き起こる。

 

 「敵!?」

 

 毒蛾の怪人はその天井の爆発に驚きつつ、警戒心も見せている。

 

 「先輩〜!!流石に10フロアぶち抜き爆破はヤヴァイですって!」

 

 爆発の中黒いコートの裾を燃やして現れたのは、爆撃の怪人。

 

 龍も毒蛾も存在は一度見ているから知っているのだが、あの怪人はリコニスラブの一人だ。

 

 それともう一人、爆撃の怪人から遅れて爆発を切り抜けて現れる、龍の怪人が警戒しているあの女の姿。

 

 その女の名前はリコニス。ヘルブラッククロスの大幹部の一人であり、単身でその席にまでたどり着いた実力者。

 

 しかしながら大幹部リコニスと言うのは、協調性が皆無で暴虐武人、更にはとてつもなく強く、あのヘヴンホワイティネスに寝返った佐久間ギンジに不意打ちとは言え重症を追わせた事もあるという。

 

 それが大幹部リコニス。

 

 リコニスの姿を目視すると龍の怪人は、全身が震える。ブルリと、揺れた肌には小さなポツポツがたくさん出来ていた。

 

 この女と戦い組み伏せられたら、どれだけ気持ちが良いのだろうかと、龍の怪人は考える。

 

 それとは別にリコニスは爆撃の怪人を踏みつけ、装備を含めた全ての体重を乗せたまま中央の十字路の通路に、二人して落下していた。

 

 「ヤヴァイ!ヤヴァイ!先輩ヤヴァ」

 「はいはーい大丈夫よ〜」 

 「踏んでる!落ちる!あああああ!!」

 

 人体が砕ける音を鳴らしながら、龍の怪人と毒蛾の怪人の前に墜落してきた二人。

 

 煙が舞い上がるその姿がやがて大きなシルエットになっていき、リコニスと爆撃の怪人が二人その姿を表しながらゆっくり立ち上がってくる。

 

 「先輩・・・どうやら自分、まだ立てるみたいです」

 「そ〜なんだ?じゃあまだ役に立ってちょうだい」

 

 ニヤニヤとしているリコニスの表情は、いつ見ても不気味だ。悪魔の様な三日月の口に、それを上下反転させた様な眼の形。

 

 黄金の鎧もさながらだが、龍の怪人の好みのお腹の形。

 

 だけどどれだけ欲情の対象に入ったとしても、この女だけは要注意人物だ。

 

 警戒していないと、いつか自分もサクッと殺されかねない、龍の怪人の警戒心もまだ落ちては居なかった。

 

 「あれ、龍と毒蛾の姉ちゃんじゃん。何してるの?」

 

 黒いコートを翻しながら、爆撃の怪人が二人立ち尽くしている二人を見つける。

 

 意外にも毒蛾の怪人は片手で「よっ」みたいな挨拶をするも、龍の怪人は腕組みをするだけで、返事は返さない。

 

 「柏木は見つけられたのかな?」

 

 爆撃の怪人に少し遅れてリコニスが龍と毒蛾の怪人に、目配せをしながら近づいてくる。

 

 今回この監獄に襲撃したのは、元大幹部である柏木タツヤを救出?というよりは、政府の監視下から取り戻す為に、大幹部一名と、怪人七名による大襲撃を行っているのだ。

 

 ヘルブラッククロスに忠誠を誓うのであれば、殺さずに手元に置いておけという総統の命令だが、今の所忠誠を誓う者は現れて居ないし、敵として歯向かってくる者しか居ない。

 

 「まだ見つけられてないよ。でもまぁ・・・」

 

 毒蛾の怪人がリコニスの言葉に反応を返して、羽を可愛らしく揺らす。

 

 「あのロリロリタツヤだったら、この監獄の一番下に居るってさ」

 「へぇ?なんでそんな事知ってるの?」

 

 毒蛾の怪人の話す内容に、リコニスが怪訝な表情を見せる。

 

 「ここに来るまでに警備兵達を毒殺する前にさ、先に聴いておいたんだよね。ザコの癖に抵抗なんかしようとするから、もう姉さんはブチギレでさ。とにかく僕たちが先に情報はゲットしておいたからさ」

 「ふぅん?それで、柏木を連れ出した後は、どうやって逃げ切るのかな?外は軍隊でいっぱいなの知ってた?」

 「え・・・なにそれ、僕らはそんなの聴いてないよ!!」

 

 毒蛾の怪人の勝ち誇った様な顔は、すぐにリコニスによって消されてしまう。この監獄の外に軍隊が到着している事は流石に知り得なかったのか、毒蛾の怪人は非常に焦った顔をしている。

 

 この情報には龍の怪人も驚いたのか、腕組みを解除してリコニスの方に視線を動かしている。

 

 「自分ら、先に突入したのにここまで来るの遅れちまって・・・」

 

 次に爆撃の怪人が下を見下ろせる空洞のある手すりに腰掛けながら、リコニス、龍の怪人、毒蛾の怪人へと情報を伝える。

 

 「地下への道がわからないから手当たり次第殺して回っていたのだが・・・結局地下への進み方が見つけられないまま、囚人達が溢れかえってな。仕方ないから、そいつらを殺していたら、気がついたら外には自衛隊とか、日本政府軍が待ち構えていてな・・・いやーまいった」

 

 全く持って参った表情をしていない爆撃の怪人の言葉に、リコニスも苦笑する。この監獄が襲撃される事自体が政府にとっては予想外の出来事であり、普段とは違う対応という事で、軍隊の出撃になったのだろう。

 

 上に残っている機械の怪人が今その軍隊と戦っているのだろうか。

 

 詳しい事は不明だが、いよいよヘルブラッククロスの行動一つで軍隊が出てくる事が解った。

 

 これはそれだけこの政府と呼ばれる組織が、ヘルブラッククロスを警戒し初めたと言う事。

 

 「アハハ、それじゃあ何?僕達が目的を達成したとしても、今度は軍隊と戦わないと行けないってコト?」

 

 半分同様を隠しきれていない毒蛾の怪人が、笑いながら言うと、リコニスも口を大きく開いて、歪な表情のまま微笑む。

 

 「面白そうね。しばらくは退屈もしないかも。軍隊と戦えた、なんて馬鹿げた思い出が出来たら、本当に心の底から楽しめそうだし・・・」

 

 リコニスの笑い声と狂気的な口調が、怪人三名の背筋に怖気を走らせる。

 

 顔だけ見ればそこら辺に居る普通の少女となんら変わりのない顔が、悪魔の顔になりながら、並々ならぬ狂った発言をしているのだ。

 

 誰が聴いても頭がおかしいと思う発言を、こんな嬉しそうに退屈しのぎの一環として話す事が、余計に人間味を感じさせなかったからだ。怪人相手にも臆さない胆力と実力を持っているも相まって、一番闘争本能が強い龍の怪人であっても、リコニスに恐怖しそうになる程だった。

 

 「それに・・・ヘヴンホワイティネスとかはどうでも良いけど、しばらくギンジちゃんと殺し合い出来ないんだったら、それぐらいしても良いでしょ?ああ、帰りの時間が楽しみになってきた」

 

 リコニスが興奮しながら、恍惚な表情で瞳を煌めかせる。きっと彼女の瞳の中に写るモノは、軍隊を一人で蹴散らして虹層作市全域に戦火の炎が渦巻く情景が見えているのだろう。

 

 「はやく柏木のアホを持ち帰って、軍隊と戦いたいわ。ねぇ、立ち話なんてもういいでしょ?早く行くわよ」

 「流石先輩です!」

 

 リコニスが最後に一息でそう宣言すると、地下への道をまっすぐ歩き始める。

 

 リコニスの背中から見えているのは異質な狂気の雰囲気。

 

 どこまでも深く、なによりも狂い、圧倒的なまでの渇きと潤う事の無い殺戮と破壊の衝動。

 

 大幹部リコニス、1000人殺しのリコニス、ヘヴンホワイティネスクラスの狂人。

 

 ヘルブラッククロス1の鉄砲玉。

 

 それがリコニスであり、力に個室する地獄で暴れ狂う悪魔。   

  

 (恐ろしい女だ・・・)

 

 後ろ姿を見せるリコニスを見て、龍の怪人は初めて彼女に敬意と同時に恐怖を感じた。

 

 人間にも恐ろしい奴が居る。力や知能という問題ではなく、どう形容して良いのか解らない、とにかく底知れぬ恐怖。

 

 (敵にする事も無いけど、この女とだけは寝られそうにないな)

 

 歩き出した大幹部の背中に追いつかない様にして、龍の怪人と毒蛾の怪人は柏木タツヤの捕まっている深淵へとその歩を進めた。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 地下25階。

 

 ここまで来れば暴動は囚人達の完全勝利で幕を降ろしており、魔法の闇人による完全采配により、女性警備兵や教官は、哀れな程慰みモノとされてしまっている。

 

 「いやしかし、すげぇ術なんだな、退魔の術ってぇのはさ」

 

 囚人達が中心人物となる魔法の闇人を崇める、謎の集会が開かれている中、鎌鼬の魔人がかつての敵であった退魔教会の上層部であった老人、赤天と共に共感しあっていた。

 

 「フォッフォッフォッ・・・当たり前じゃ。本来ならば貴様ら魔人を討伐する為の技術であり、人に使うモノではないのじゃからな」

 「ボクちゃんら、もっと早く会っていれば、こうして解り会えたのかも知れないのにねぇ・・・ま、今は仲良く出来て嬉しいよん」

 

 元が鼬なのか、鎌鼬の魔人が自分の喉の毛並みを揃えながら、赤天と共に笑っている。

 

 その目の前に立つ全身真っ黒な大男、鋼鉄の魔人もその赤天の退魔の術には関心を示している様子で、硬いコンクリートの上に腰掛けながら、かつて自分達を苦しめた力の有効活用に、ニチャニチャとした笑顔を見せている。

 

 この赤天と呼ばれている老人の術は、魔人である鎌鼬と鋼鉄の魔人にはとてつもなく大きなダメージを与えられてしまう、いわゆる毒の様なモノ。

 

 その技術は単純に攻撃だけでも多種多様に存在しており、破邪と呼ばれる見えない力が大元となっているらしい。

 

 そんな破邪の能力は、応用次第では人にも作用できるという事で、実際に見せてもらったのは、気の強そうな女性教官の脳の中に、実際とは違う現実を植え付けたり、自分の意思とは関係なく身体を操ったりするという、ゲヘナミレニアムでも実現には相当時間のかかる事を、この老人は一人で数人やってのけたのだ。

 

 魔法の闇人が周りの囚人達を崇拝させているのも、その脳を使った洗脳の如き力らしい。

 

 「どうじゃ?これから儂はあの美少年、名前は・・・魔法の闇人と言ったかね?アレにつ行こうと思うのじゃが・・・」

 

 赤天が下卑た笑いを見せながら提案を述べようとしたが、鋼鉄の魔人も鎌鼬の魔人も、その言葉を遮る様にして笑顔で言葉を返す。

 

 「もう過去の組織の事なんか俺たちには関係ないんだ。俺も鎌鼬も、あいつについていくよ」

 

 鋼鉄の魔人が首を向けた先に居る、魔法の闇人のの姿を三名で視線に入れながら、元々敵同士だった者たちがここに集結してしまった。

 

 「・・・ふふ」

 

 薄く笑いながら囚人達の洗脳を完成させた魔法の闇人。

 

 彼の行動、発言の一つひとつが、とてつもなく大きな征服感を醸し出しており、そのどれもがただの人間である囚人達の心を掴む程にまでなったのだろう。

 

 元々悪の志を持っている事が、魔法の闇人にとっては本当に好都合だった。

 

 こうして自分を崇め奉る様にするのに、長い調教なんて必要なくなるからだ。

 

 自分の魔法と呼ばれる能力で、自分の都合の良い様に操る事も出来るからこそ、魔法の闇人は人間の操作を得意としている。

 

 赤天と鋼鉄と鎌鼬の魔人は、憎き怨敵でもある退魔警察レイナを嬲る為。

 

 魔法の闇人はマージ・ジゴックを次ぐ、新たな組織の誕生と、魔法少女サクラの撃滅の為。

 

 悪に心を染めた救えぬモノ達が、今度こそ目的を達成させる為に、強い団結を生み出し初めていた。

 

 「む・・・なんじゃ?」

 

 血が充満する様なこの地下のフロアで、赤天が何か見知らぬ気配が近づいていくるのを察知する。

 

 今までの楽しみに満ち溢れたこの空間に、明らかに場違いな例えようの無い何か大きな悪性そのモノの存在。

 

 それらがこの地下に大きく近づこうとしていた。

 

 「・・・警戒、したほうが良いのかな」

 

 にこやかな姿勢を崩さないまま、魔法の闇人もこの近づいてくる悪性存在に警戒を示している。

 

 「味方ならいいが・・・」

 「敵なら・・・ボクちゃん達の脱獄前に、盛大なパーティーが開かれるね」

 

 人ならざる存在である3人が、警戒を示し初めたのは、囚人やここに居た人間とはまた違う雰囲気を感じ取れたからだ。

 

 異人と同じ気配を感じ取った。

 

 魔人と闇人に同じ生命の反応を悟らせて、さらに敵意を姿の見えないこの瞬間から感じさせるという事は、まず間違いなく異人。

 

 それも闇人や魔人ではなく、超人か怪人か、それともまた違う新たな存在なのだろうか。

 

 「はは、強い殺気も感じるね」

 

 薄ら笑いを浮かべた顔のまま、魔法の闇人がこちらに迫り来る謎の気配達を迎え入れようとも、返り討ちにしようとも解らないまま、指先に魔法を込める。

 

 こちらに向かってくるのが異人であれ、囚人であれ敵としてこちらに来るのであればすぐに攻撃を打ち込む為の魔法の準備。

 

 少し離れた所に居る鋼鉄の魔人も同じく向かってくる異人達の気配に、警戒の体制を持ち始める。

 

 「いっつでも戦ってやるぜ・・・来な!」

 

 鋼鉄の魔人の声が聞こえたのか、いよいよ真上に迫ってきた気配達が、二人の存在が姿を表して、この崇拝場に飛び降りてきた。

 

 一瞬薄暗く見えるその奥からは、タンクトップ姿の女性の姿と、黄金の鎧に身を包んだ、どちらも顔は鋼鉄の魔人も鎌鼬の魔人も好みの部類と言える女性の姿だった。

 

 しかしこんな監獄に似合わない姿をしている事と、タンクトップ姿の女性の方は、瞳の色が人間とは違う事が、この距離感でも確認出来た為か、鋼鉄の魔人はその存在がやはり異人であった事を再認識し、こちらに向かってくる女を、防衛と称して押し倒す目論見で迎撃に入る。

 

 「俺達ときんもちー事しよう・・・」

 「死ね」

 

 タンクトップ姿の・・・龍の怪人が強い一歩で、しかし音も鳴らさずに鋼鉄の怪人の顔面をめがけた龍の脚が突きこまれた。

 

 アクロバティックな動きからの遠心力を込めた突撃蹴が、鋼鉄の魔人の顔面にクリーンヒットしたままだが、倒れる事は無く、靴底を真正面から受け止めてなおニヤニヤと気持ち悪い笑顔を見せている。

 

 「硬い、な」

 「そこらの異人とは鍛え方が違うぜよ」

 

 龍の怪人とて手加減は絶対にしていない。地下に向かう以上、目の前に居るなら殺す。例え忠誠をヘルブラッククロスに誓おうが、彼女にとってそれは関係ない。

 

 異人等というカテゴリーが気に入らない。

 

 全ての生物の統合は怪人だけで良いというのに、この世の中のなんでもカテゴリーを決めたがる。

 

 この力が全てを決める世界に生きようとしているのであれば、今後も気に入らなければ殺して行く。

 

 それが龍の怪人がヘルブラッククロスで生きると決めた覚悟でもあった。

 

 「鋼鉄!」

 

 鋼鉄の魔人の背後で両腕を鎌に変形させて、龍の怪人にその刃を向けて来た。

 

 「いきなり攻撃してくるんだ、ボクちゃんらの敵って事で、バラバラに引き裂いてやろう!」

 

 鎌鼬の魔人も攻撃に出るが、空中に飛んで龍の怪人の頭上を正確に捉えた。

 

 「あらら、私も居るんですけど〜?」

 「!?」

 

 鎌鼬の魔人の目の前に飛び出してきたのは、黄金の鎧に身を包んだ少女の姿。

 

 「ハジメマシテ。私、ヘルブラッククロスの大幹部のリコニスちゃんでーす。早速だけどここより更に地下に用事があるので通してくれる?」

 

 同じ空中に居るのに、リコニスの攻撃が素早く繰り出されると、鎌鼬の魔人と何度も刃をぶつけ合う。

 

 空中で火花が散る戦闘の中、お互いが重力に引っ張られて着地すると同時に、龍の怪人とリコニスが後方に飛び引いた。

 

 それを追いかけようと突撃を開始する鋼鉄、鎌鼬ペアの目の前に泡立つ粘液状の何かが壁の様に形成されて行き、追撃の手を止められてしまう。

 

 「やっほーザコそうな怪人?ちゃんたち。僕達の目的の為に、とりあえず死んじゃいなよ♡どうせザコなんだからさ♡」

 「え・・・可愛い・・・」

 

 この泡立つ粘液の壁は毒。毒そのモノで形成された壁であり、それを出して妨害して来たのは、毒蛾の怪人。

 

 少年の様な見た目をして、こちらを嘲笑しながら嘲ってくる怪人を見て、鎌鼬の魔人がリビドーを加速させる。

 

 「ボクちゃん、あの子とイチャイチャしたい。いい?」

 「俺はあのタンクトップの女を食いてぇ。あの胸の大きさ、きっと汗が溜まってるに違いない」

 「へぇ〜・・・君たちみたいなクソザコに見える人たちにそんな事出来るかなぁ?」

 「・・・殺す」

 

 鋼鉄の魔人、鎌鼬の魔人

      vs

 龍の怪人、毒蛾の怪人

 

 四人の異人達が目線上で火花を散らしながら、戦闘が始まろうとする中、リコニスの足元には既に何人かの囚人達の死体が転がっていた。

 

 特になにかされたとかでは無く、ただ殺したくて殺した。

 

 黄金の刀に血液が滴り落ちる中、リコニスの眼の前には老人の姿が。

 

 「フォッフォッフォッ・・・粋がるなよ小娘・・・」

 「あら、おじーちゃんが私の退屈を払拭させてくれるの?」

 

 赤天が札を取り出してリコニスに対峙する。

 

 (この小娘・・・人でありながら、積み上げた実力は魔人以上にあるな・・・?早々に頭を潰さなければ、儂の野望が達成出来ないかも知れぬ・・・)

 

 赤天の視界に入るこの少女、名前をリコニス。

 

 ただの人間とは思えない程の高い戦闘力、恐ろしいまでの残忍さを見せつけ、更にはこの赤天に向かって来ながら何も臆していない姿。

 

 (・・・恐ろしい、小娘じゃな・・・)

 

 そのリコニスに向かって赤天も容赦無く破邪の札を取り払い、黄金の鎧の動きを封じようと動くが、飛んできた札はリコニスに近寄る前に間に現れた新たな異人の存在によって妨害されてしまう。

 

 「何奴!」

 「自分はリコニス先輩を守る、爆撃の怪人。てめぇごときしわしわのペ○ス野郎が、リコニス先輩を触れると思うなよ。殺すぞ」

 

 黒いコート翻しながら、爆撃の怪人もリコニスに追いついた。

 

 飛び出してきた札の最後の一枚を爆発させると、爆撃の怪人が赤天を相手にガンを飛ばしてきている。

 

 「お前を先に操り、その先輩と呼ばれる小娘を犯してやろう」

 「やってみろよ。そんな事したらタダじゃおかねぇぞこの包○野郎」

 

 爆撃の怪人vs赤天 

  

 三名の怪人と三名の囚人の激突が始まった中、戦闘からあぶれてしまったリコニスは、理由も無く立ち尽くす囚人の一人の首をはねる。

 

 骨すら綺麗に落として頭部を身体から切り離された囚人は、一言も発する事無く血を噴出させて硬い床に倒れ付す。

 

 「はは、君、可愛いね。どうかな、私達と来ないかい」

 

 死体の山を王座の様にして座る、美麗な顔の男・魔法の闇人がリコニスを見下ろしながら、その手をユラユラと動かしている。

 

 リコニスは黄金の刀に付着した人体の脂と血液を振り払いながら、魔法の闇人の持つエネルギーが怪人とは違う能力である事を察知出来た。

 

 リコニスも一度ぶつかった事のある、魔法と呼ばれるエネルギー。

 

 こんな男?怪人モドキ?でも魔法を使えるのであれば、組織に持ち帰って実験にでも使えるのだろうか・・・。

 

 「私をヘッドハンティングしたいなら〜」

 

 黄金の刀の切っ先を魔法の闇人に向けて、再びリコニスは悪魔の様な顔を見せつける。

 

 その顔はただ笑っているだけにも見えるのだが、瞳の奥に底知れぬ狂気を孕ませた彼女の微笑みは、魔法の闇人に悪寒を走らせる。

 

 「退屈させないでくれたら、考えてあげてもいいわよ」

 「はは、死闘をお望みかな・・・?」

 「死闘?ヒャハハハ!」

 

 死闘。その言葉を聴いてリコニスは身体を反らせて盛大に高笑いを始めた。

 

 ──目的一つ持っていない様なお猿さんがこの私と死闘ですって?

 

 笑みを崩さないまま、リコニスが両腕をだらんと降ろして、身体を元の姿勢に戻した。

 

 ──私と死闘を演じられるのは、ギンジちゃんだけだし!

 

 血走った瞳を見せつけながら、リコニスの右手に握られた黄金の刀、抱腹絶刀が小刻みに揺れる。

 

 ──大した事出来ない様な顔して、そのくせ戦闘だけが生きがいって顔してるね・・・!

 

 「いいわ、私と退屈させない【死闘】って奴、演じてみなさい!」

 「美しいまでの戦闘狂、か。はは、殺さない程度に愛でてあげる」

 

 黄金の刃と、無数の魔法がこの薄暗い監獄に輝き、リコニスと魔法の闇人が笑みを崩さないまま激突を果たした。

 

 爆炎の球体も氷結の柱も、リコニスに命中したように見えたが、彼女が何事もなかったかの様に、魔法を斬り払い、魔法の闇人に肉薄して来た。

 

 「お前には地獄を見せるわ」

 「はは、地獄なんて言葉、私達の専売特許なのだがね」

 

 大幹部リコニスvs魔法の闇人

 

 柏木タツヤ奪還、進捗86%!!

 

 

続く

 

 




お疲れ様です。

前書きでも言いましたが、重ねて投稿遅れすいませんでした。

ここまで来たのならエターはしない様に頑張りますので、最後まで書ききりたい所存!

キャラネタ書きます

龍の怪人
バスト・でかい(男の夢と欲望が詰まっている)
ウエスト・でかい(引き締まっています)
ヒップ・でかい(柔らかくも、硬くもなく)
パワー・強い(成人男性をワンパンKO出来る)
作者の癖が詰まった怪人。ガチ百合ガチレ○

毒蛾の怪人
メスガキ。毒の能力はかつてヘヴンホワイティネスに負けて以来、様々な技を研鑽した模様。

爆撃の怪人
言葉の節々に卑猥な言葉を混ぜてくる。なんだよコイツ、蜘蛛の怪人か?

鋼鉄の魔人
人種差別は否定派。退魔教会に負ける前は、休暇でアメリカに言ってデモに参加していた。
人間の女の好みはナイスバディならどんな人でもおk

鎌鼬の魔人
お笑い芸人に同じ名前の人が居るらしく、サイン貰ったりしていた。
人間の女の子の好みは幼くてあどけなさのあるロリっとした子。

魔法の闇人
美麗な顔つき、おとなしい、イケメン、でも夢はハーレム王国。
こりゃマージ・ジゴックもサクラ一人に潰されますわ。
本名・コンキリエ

赤天
クソザコ退魔師。東刑務所から、こちらに輸送されて来ていた。
黄、緑、青が素直に敗けを認めた中、彼だけはギンジにもレイナにも報復をしようと画策していた。反省が認められず、虹層作市へ。

リコニス
魔法の闇人の死闘と言う言葉になにやらキレた?模様。
リコニスは一体何を求めているのか・・・?
ギンジちゃんと死闘するのもいいけど、若干ギンジちゃんに責められたい・・・かも。

ギンジちゃん
リコニスの脳内に居る佐久間ギンジの事。とてつもなく強いけど、私には勝てないかなーー?あ、でも意外と紳士な所もあるし、面白いし、夜はヘヴンホワイティネスを抱いてるのかしら・・・
あーーーーそんな事想像したら殺したくなって来た!!
ムカつくのよ、ヘヴンホワイティネスがギンジちゃんと一緒に居る事がぁ!

・・・

次回は、ヘルブラッククロスvs囚人戦の大激突!
触手の怪人、犬の怪人、紐の怪人がなんとまさかの・・・!
龍の怪人と毒蛾の怪人と爆撃の怪人も戦闘が激化!
次回もお楽しみに!
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