試験とか用事とか色々あって書く時間がまとまって取れませんでした。
次回は多分もう少し早く出ると思います。
パン作り日の朝、怜央はいつも通りのランニングを終え、自室にいた。
「今日だよな、確かパン作りすんの」
勉強しながらそんな事を呟いている怜央の部屋のドアを叩く音がした。
「兄さん、パン作り始めるよ」
チノはエプロン姿で怜央を呼びに来たのだった。
「わかった、今行く」
「私達の他にココアさんのお友達も来てるけど大丈夫?」
チノの発言に怜央は震えた。
「俺、急に熱が出てきた」
「いいから行くよ」
「女の子だけでやった方が楽しいって」
「兄さん!!」
「……はーい」
ドアを開けるとチノと頭の上のティッピーが呆れた顔をしていた。
「そんな顔しないでくれよ」
「お前が悪いんじゃよ」
「おじいちゃんの言う通りです」
チノとティッピーに色々言われながら怜央は渋々キッチンに向かうのであった。
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キッチンには、リゼ、ココア、チノ、怜央、そしてココアが連れてきた友達が集合していた。
「同じクラスの千夜ちゃんだよー」
ココアが連れてきたのは茶色がかった黒髪を長く伸ばした少女、名前は宇治松千夜という。
「今日はよろしくね」
「チノちゃんとリゼちゃんと怜央くん」
「怜央が初対面の人の前で逃げないなんてな」
リゼは怜央の方見ながら言った、しかし怜央の目には光がない。
「ゼイインウサギ、ゼイインウサギ、ゼイインウサギ」
「怜央が壊れた!!」
リゼが叫びながら怜央を揺すっていると千夜は不安そうにココアに尋ねた。
「私なにかやっちゃったかしら?」
「違うよ?怜央くんはね人見知りが激しいだけなんだよ」
「すごい人見知りさんなのね」
「うん、でも仲良くなるとすごい優しい子だよ」
「あらそうなの、私も仲良くなれるかしら」
「千夜ちゃんなら絶対なれるよ!!」
2人がそんな会話をしていると怜央の意識が帰ってきた。
「俺は……今までなにを?」
「よくわからないことを叫んでいたぞ?」
「すみませんリゼさん……」
「怜央君落ち着いた?」
「ココアさんもすみません、それで千夜さん?でしたっけ今日はよろしくお願いします」
怜央は丁寧に頭を下げた。
「いいのよ、よろしくね〜」
千夜はそういうと不思議そうにティッピーを見ながら
「さっきから気になっていたんだけど、そちらのワンチャン……」
「ワンちゃんじゃないです」
チノはキッパリ言った。
「この子はただの毛玉じゃないよ」
「まあ毛玉ちゃん?」
ココアはティッピーを撫でながら言った。
「もふもふぐあいが特別なの!!」
「癒しのアイドルもふもふちゃんね」
「ティッピーです」
「誰かアンゴラうさぎって品種だって説明してやれよ」
「誰も気にしてないからでしょうね」
「怜央は知ってるのか?」
「今知りましたよ?」
「今なのか!?」
リゼのツッコミに対して怜央は少しドヤ顔で答えたそしてまたツッコまれた。
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調理台に食材と調理器具を並べていた。
「それにしてもココアがパン作れるって意外だったな」
「えへへー」
「褒められてないですよ?」
「まあ、普段からは想像つきませんけどね」
袖まくりをして、麺棒を持つココアは燃えていた。
「みんなパン作りをなめちゃいけないよ!少しのミスが完成度を左右する戦いなんだよ!」
「ココアが珍しく燃えている……このオーラ……まるで歴戦の戦士のようだ……」
リゼはココアの普段とは違うオーラに驚いていた。
「今日はお前に教官を任せた!よろしく頼む!」
「任されたよ!サー、イエッサー!」
リゼに教官を任されココアもノリノリだった。
「私も仲間に……!」
千夜は2人の輪に入ろうとしていた。
「中学の部活を思い出すな」
「暑苦しいです」
「それじゃあ各自パンに入れたい材料の提出ー!」
「イエッサー!」
「さっ、サー」
「暑苦しいです」
「そんなこと言わずテンションあげてこうよ」
各自が材料を取り出す。
「私は新規開拓に焼きそばパンならぬ焼きうどんパンを作るよ!」
「私は自家製のあずきと……梅と海苔を持ってきたわ」
「冷蔵庫にいくらと鮭と納豆とゴマ昆布がありました」
リゼはイチゴジャムとマーマレードの瓶を取り出しながらツッコんだ。
「これってパン作りだよな」
「味の組み合わせが絶望的な物がおおそうですね」
怜央は苦笑しながらタッパーを取りだした。
「それはなんだ?」
「昨日のカレーです、冷ましてからタッパーに詰めておきました」
「怜央くんはカレーパンを作るんだね、だから昨日はカレーだったのかな?」
「はい、新メニュー開発が一応目的ですからね、新しいのに挑戦しないと」
怜央は内心すごく燃えていた。
(美味いカレーパンを作りたい!!)
「怜央まで燃えている!」
「兄さんもあっち側だった……」
「怜央くんもやる気だね!」
「まずは強力粉とドライイーストを混ぜて」
「ドライイーストって、パンふっくらさせるんですよね?」
「そうそう、よく知ってるねチノちゃんえらいえらい♪」
ココアは袋を一旦置くとチノの頭を撫でた。
「乾燥した酵母菌なんだよ」
「攻歩菌……!?」
チノの顔はどんどん不安に染っていく。
「そ、そんな危険なものをいれるくらいならパサパサパンで我慢します」
「ドライイーストってのはパン作りには向いてるけど、糖分が多い方が甘いパンを作る場合は生イーストを使うんですよね」
「怜央くんよく知ってるね!」
「怜央君は物知りなのね」
「一応今日のための予備知識かなと思って図書館とかで調べましたので……」
そんな会話をしながらココアはボウルにドライイーストを入れた。
「はい、ドライイースト」
「あっ……あ……あ……」
チノはドライイーストが入ったボウルを不安そうに覗き込んだ。
「ドライイーストが危険なものならパンには入れないでしょ?」
「そうだけど……」
怜央はチノを説得した。
材料を混ぜていくと生地がまとまり弾力が出始めるそして生地が一つにまとまるとボウルから取り出し机の上でこねていく。
「パンをこねるのってすごく体力がいるんですね」
「腕が……もう動かない……」
「これくらい朝飯前だな」
チノは額に汗を浮かんでおり、千夜も腕を回している。怜央は余裕綽々といった具合にパンをこね続けている。
「リゼさんは……平気ですよね」
「な、なぜ決めつけた……?」
「千夜ちゃん大丈夫?」
「!!いいえ大丈夫よ!」
「頑張るなぁ」
「健気ってやつだね」
「少し違うような……」
(ココアに手間を取らせるわけにはいかないもの、みんなについていけるって事を見せなきゃ!)
千夜はまくった袖をさらにあげ気合いをいれた。
「ここで折れたら武士の恥ぜよ!息絶えるわけにはいかんきん!」
「健気?」
「この作業ってそんなにしんどいですか?というかなぜ武士の恥?」
パン生地をこね続けるとさらに弾力が増していく。
「そろそろいいかな?モチモチしててすごく可愛い♪」
「生地が?」
「すごい愛だ」
こね終えた生地をボウルに戻し、密閉してラップをしてタイマーをセットする。
「1時間ほど寝かせまーす」
「油の準備しとくか」
PIPIPI……PIPIPI
1時間が経ち、生地を確認すると、生地は膨らんでいた。生地を綿棒で伸ばし、各自が思う形に整えていく。
出来上がった生地を鉄板に並べて、オーブンを余熱する。オーブンの調節は経験者のココアがやっている。
「チノちゃんはどんな形にしたの?」
「 おじいちゃんです」
「小さいころから遊んでもらってたので……」
「おじいちゃん子だったのね」
「コーヒーをいれる姿はとても尊敬していました」
「じいちゃんってそっちか……」
孫に褒められ照れるティッピー。
怜央は鉄板の上にあるパンを見ながら、ティッピーでは無く人の顔が並べてあった。
「俺のやつはオーブンで温めないので大丈夫ですよ」
「カレーパンだったよな」
怜央のパンは焼く前の餃子のように真ん中の方が膨らんでいる。
怜央はパンを作るきっかけになった日を思い出し少しからかってみようと思った。
「食いしん坊のリゼさんにもあげますよ」
「誰が食いしん坊だ!!」
「冗談ですよ、冗談」
チノはこのやりとりを聞きながらパンの乗った鉄板をオーブンに入れた。
「……ではこれからおじいちゃんを焼きます」
「うわぁぁぁぁぁーーー!!」
「チノ、言い方……」
怜央は呆れながらツッコんだ。
「千夜さんちょっといい?」
「なに?」
「じゃじゃーん!千夜ちゃんにおもてなしのラテアート!」
ココアが渡したのはウサギの絵が書かれたラテアートだった。
「まぁ!すてき!」
「今日は会心の出来なんだ」
「味わっていただくわね」
「あぁ……」
ココアは千夜がカップに口をつけようとすると、ココアは残念そうな顔になる。
千夜が顔をあげココアの方を見るとココアは笑顔になる。
「あぁぁ……」
再び千夜がカップに口をつけようとすると、ココアは残念そうな顔になる。
千夜がココアの方を見るとココア笑顔になる。
「これが最後じゃないんですし、またいれてあげればいいじゃないですか」
「それもそうだね、さすが怜央くん」
ココアは少し残念そうな顔をしていたが、千夜はようやくカフェラテを飲むことが出来た。
「チノちゃんさっきからオーブンに張り付きっぱなしだねー」
「じーっ」
オーブンの中をじーっと見つめるチノ
「そんなに面白いか?」
気になったのでリゼがチノの隣につく。
中では熱せられたパンが膨らんでいく様子が見える。
「どんどん大きくなっています。あっ!おじいちゃんがココアさんと千夜さんに抜かれました!リゼさんだけ出遅れてます。もっと頑張ってください」
「私に言うなよ……」
怜央は油と鍋を準備してコンロに火をつける。
十分に油が温まったところで揚げる準備をしているカレーパン達を鍋に入れる。
「カレーパン〜カレーパン〜」
「怜央は楽しそうだな」
「料理してる時って楽しいんですよね、美味しいって言ってくれる人の事を考えながら作るので」
怜央は手馴れた感じでカレーパンを鍋に入れながら楽しそうに暑く語った。
「兄さん暑苦しいです」
「すまん……」
「順調に揚がってるな」
「美味しそうだね!」
パンは焼き上がり、テーブルに並べていく。
「「「「いただきます!!」」」」
早速焼きたてパンの試食会が始まった。
怜央はカレーパンを揚げているのでこの場にはいない。
「美味しい!」
「フカフカです」
「さすが焼き立てだな!」
「これなら看板メニューにできるよ!」
「この梅干しパン」
「この焼きうどんパン」
「この焦げたおじいちゃん」
「……どれも食欲そそらないぞ?」
看板メニューにするにはインパクトはあれど微妙なラインナップである。
「じゃーん!ティッピーパン作ってみたんだ」
「まぁ!可愛い!」
「!!」
「看板メニューはこれで行けそうだな」
「食べてみましょう」
「もちもちしてる……」
「えへへーおいしく出来てるといいんだけど」
「わぁ!」
「リゼちゃんの持ってきてたイチゴジャムだよ、美味しいね!」
「……あ、あぁ、でも」
(……なんかエグイな)
かじったところや目と口からはみ出すイチゴジャムが猟奇的な絵面を生み出している。
「カレーパン出来ましたよ〜」
「「「「おぉー!」」」」
怜央は笑顔でカレーパンが沢山のってる皿を持ってきた。
「怜央くん!早速食べてもいい?」
「ぜひ食べてください」
「「「「いただきます」」」」
それぞれカレーパンを手に取り試食を行う。
「おお!!美味いなこれ!!」
「美味しいわ!」
「怜央くん!これ美味しいよ!」
「美味しいです!」
みんなが美味しいと言ってくれることに怜央の口元が緩む。
「怜央くんが笑ってる」
「怜央が笑ってるのなんて初めて見たな」
「……あまり見ないでください」
怜央は顔を手で隠して、下を向いた。
「そんなに恥ずかしがることないのよ?」
怜央は埒が明かないと思い咳払いをして、話を変えようとした。
「それは置いておいて、ボリュームはどうですか足りないとか、なにか意見とかありますか?」
怜央はメモ帳とペン取り出しみんなに意見を求めた。
「ボリュームもあるし、これも看板メニューでいいんじゃないか?」
「男性客に人気が出そうです」
「私のティッピーパンと怜央くんのカレーパンで2大看板メニューだね!」
「好評のようで良かったんですが……」
「「「「が?」」」」
「コストと手間を考えると利益的な問題が発生しますしカレーが残った場合が……」
「確かにそうだな」
怜央は眉間に皺を寄せブツブツとなにか呟いてる。
「兄さん、お父さんと相談して決めましょう」
「それもそうだな」
後日タカヒロと相談した結果、1日の販売個数の制限と売る曜日を限定するということで決まったのだった。
次回は甘兎庵に突撃します!!
お楽しみに!?