異世界に転移させられたので、いろんな人(外)に恩を売って生きていく 作:おれは
「あの、すいません。メンバー登録って奴をしたいんですけど」
「かしこまりました。書類をお持ち致しますので、少々お待ちくださいませ♪」
ハキハキと営業スマイルを見せたウサ耳の受付嬢に会釈して、改めて周りを見渡す。
様々な種族・人種が入り乱れるギルドの中は、良く言えば賑やか、悪く言えば騒がしい様相だった。
特にすごいのは簡素な仕切りで区切られた、併設されているパブスペースで、なんかそこかしこで重装備のおじさんが酔い潰れてるし、あちらこちらで下卑た笑い声とか怒号とかが聞こえるし、治安は何処へといった様相だった。
「嫌な雰囲気のところね。こんなところに毎回来なくちゃいけない訳?」
「方々にギルドの支店がありますし、街の掲示板に依頼が貼られていることも多いので、毎回じゃなくても大丈夫ですよ〜。とはいえ、環境はここが一番ですが」
「一番、ね」
まあなるべく近寄りたくはないな……と遠い目をしていれば「お待たせしました♪」と受付嬢がカウンターで何かを抱えていた。
「こちらが書類と、それから魔力検査オーブとなっております。手を十秒ほど置いていただくと登録が完了します♪」
「わかりました」
字が読めるか不安だったが、日本語そのままの文面だったので普通に書き切ることができた。転生特典的な奴なのだろうか。
魔力検査オーブは、占い師が持ちがちな水晶玉によく似ている。言われたとおりにしていると、オーブが橙色に光り、そのあと元の無色に戻った。
「これで登録完了です、ギルドのお仕事を受注できるようになりました♪」
「ありがとうございました」
「差し当たって、希望のカテゴリはございますでしょうか?」
「カテゴリ?」
「例えば大まかに肉体労働、知識労働、飲食や軽作業、家事育児から人探し・猫探しに至るまで、ある程度カテゴリごとに依頼をギルドが管理しているため、いらっしゃった際に一言頂ければ、こちらの方で見繕います♪」
「なるほど。んーと、じゃあ……」
「勿論、人助けになるような依頼ですよね?」
「わっ」
割って入ってきたのはヴィラだった。ニコッといい笑顔だが、明らかに僕に圧をかけてきている。
「恩を振りまいて自分の負担を減らそうって心づもりですか?」
「いえいえ。神として迷える人の子らを導きたいという慈悲の心です」
「あのー、基本的に困っている人からの依頼しかないので、そういったふんわりした区分はちょっと……」
「チッ」
これみよがしな舌打ちをして、邪神は去っていった。というか、依頼を遂行したとしても、その恩に報酬という対価が払われる以上、僕のスキルは発動しないのではないだろうか。
「……とりあえず、四人で受けられる依頼を見繕ってもらってもいいですか? できれば、肉体労働寄りで」
「かしこまりました! 少々お待ちくださいませ♪」
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