異世界に転移させられたので、いろんな人(外)に恩を売って生きていく   作:おれは

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七恩目『慈悲の心です』

「あの、すいません。メンバー登録って奴をしたいんですけど」

 

「かしこまりました。書類をお持ち致しますので、少々お待ちくださいませ♪」

 

 ハキハキと営業スマイルを見せたウサ耳の受付嬢に会釈して、改めて周りを見渡す。

 様々な種族・人種が入り乱れるギルドの中は、良く言えば賑やか、悪く言えば騒がしい様相だった。

 特にすごいのは簡素な仕切りで区切られた、併設されているパブスペースで、なんかそこかしこで重装備のおじさんが酔い潰れてるし、あちらこちらで下卑た笑い声とか怒号とかが聞こえるし、治安は何処へといった様相だった。

 

「嫌な雰囲気のところね。こんなところに毎回来なくちゃいけない訳?」

 

「方々にギルドの支店がありますし、街の掲示板に依頼が貼られていることも多いので、毎回じゃなくても大丈夫ですよ〜。とはいえ、環境はここが一番ですが」

 

「一番、ね」

 

 まあなるべく近寄りたくはないな……と遠い目をしていれば「お待たせしました♪」と受付嬢がカウンターで何かを抱えていた。

 

「こちらが書類と、それから魔力検査オーブとなっております。手を十秒ほど置いていただくと登録が完了します♪」

 

「わかりました」

 

 字が読めるか不安だったが、日本語そのままの文面だったので普通に書き切ることができた。転生特典的な奴なのだろうか。

 魔力検査オーブは、占い師が持ちがちな水晶玉によく似ている。言われたとおりにしていると、オーブが橙色に光り、そのあと元の無色に戻った。

 

「これで登録完了です、ギルドのお仕事を受注できるようになりました♪」

 

「ありがとうございました」

 

「差し当たって、希望のカテゴリはございますでしょうか?」

 

「カテゴリ?」

 

「例えば大まかに肉体労働、知識労働、飲食や軽作業、家事育児から人探し・猫探しに至るまで、ある程度カテゴリごとに依頼をギルドが管理しているため、いらっしゃった際に一言頂ければ、こちらの方で見繕います♪」

 

「なるほど。んーと、じゃあ……」

 

「勿論、人助けになるような依頼ですよね?」

 

「わっ」

 

 割って入ってきたのはヴィラだった。ニコッといい笑顔だが、明らかに僕に圧をかけてきている。

 

「恩を振りまいて自分の負担を減らそうって心づもりですか?」

 

「いえいえ。神として迷える人の子らを導きたいという慈悲の心です」

 

「あのー、基本的に困っている人からの依頼しかないので、そういったふんわりした区分はちょっと……」

 

「チッ」

 

 これみよがしな舌打ちをして、邪神は去っていった。というか、依頼を遂行したとしても、その恩に報酬という対価が払われる以上、僕のスキルは発動しないのではないだろうか。

 

「……とりあえず、四人で受けられる依頼を見繕ってもらってもいいですか? できれば、肉体労働寄りで」

 

「かしこまりました! 少々お待ちくださいませ♪」







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