異世界に転移させられたので、いろんな人(外)に恩を売って生きていく 作:おれは
「あっさり片付いちゃいましたね……色々と」
現状復帰した森を見て思う。先程倒した氷喰鳥たちは、討伐証明として見せる分だけメイリュが仕舞ってくれた。どうやら彼女が持っている大きな盾は持ち手の下側が別空間に繋がっているらしく「防具としても鞄としても便利なんですよ〜」と朗らかに(表情は見えないけど)教えてくれた。
倒壊した木々はクリルが『
彼女曰く、
「神なのですから、生命を与える権能くらい持っていますとも」
とのことだった。奪うことしかできない邪神だと思っていたから意外だったのと、胸を張った状態でのドヤ顔が案外ムカついたので憤慨した。が、僕が一番何もしてないのは明らかだったので、大人しくしていた。
「それにしても、こんなところに氷食鳥が出るなんてビックリです〜。ほんとはダンジョンの二階に出るモンスターなのに」
「ダンジョンって、あのダンジョンですか?」
「あのダンジョンで合ってます」
僕の疑問にヴィラが答えてくれた。
詳しく話を聞くと、RPGに出てくるダンジョンほぼそのままらしい。空気中の魔力が集まって生成されることが多く、それを元手にモンスターたちがポップする。で、周りのモンスターや餌を喰らおうと食物連鎖が続き、漏れ出たエネルギーや魔力がダンジョンに還元され──というように、徐々に規模が大きくなっていくらしい。
場所というよりは一つの生物、あるいはシステムといった様相だった。
「追い遣られたんじゃないかしら? ほら、昨日もゴブリンの群れが居座ってたでしょう?」
「たしかに、いつもはあんなところにいませんもんね~」
基本的には、ダンジョン産のモンスターは外まで出てこない。
魔力に満ちたダンジョンの中のほうが、強くなれるし餌も豊富だからだ。その利点を捨ててまで逃げてくるのは、余程弱いか或いは生命の危機かの二択──らしい。
氷喰鳥は別にそこまで弱いモンスターではないので、ダンジョンで何か大きな変化が起こっているのではないだろうか、とのこと。
ここまで全文、他三名の考察のまとめである。いかがでしたか?
「つまるところ──大きなチャンスってことね!」
「何がですか?」
「ダンジョンには、有益なアイテムや防具が生成されるのよ。物によってはめちゃくちゃ高値で売れるらしいの!」
「え、でも氷喰鳥が逃げてくるくらいやばい環境なら、むしろ落ち着いてからのほうがいいんじゃ」
「逆よ逆。
クリルの目が完全に硬貨の色に染まっていた。貴女、元はお嬢様じゃありませんでしたっけ。故に昨日の劣悪な睡眠環境で、お金への執着が生まれてしまったのだろうか。
「面白そうですね。行きましょうか」
お嬢様の提案に邪神が乗っかってしまった。コイツも目が$になってる。主体性の塊である二人が合致してしまうと、無能な僕と弱気なメイリュは乗っかることしかできない。
「……危なくなったら絶対帰りましょうね?」
「勿論よ!」
早く帰れるといいなあ、と僕は嘆息した。