プロローグ(省略可)
突然だった。
異形の生物とも機械とも知れないモノが現れたと同時に世界の海を支配した。
海の上を行くあらゆる飛行物体も彼らの目から逃れる事は出来ずに撃墜された。
彼らには人類が持っている武器や兵器はまったく役に立たず
彼らに傷一つ付ける事叶わず、彼らの攻撃を防ぐ事はまったく出来なかった。
人々は畏怖の念をこめて、
『
人類はまったく歯が立たなかった。
そして諦めと共にその時が来るのを享受しようとしていた。
このまま彼らが地上に進出してきて
人類は地球上から……誰も伝える事が出来なくなる歴史から消え去るのだろう、と。
しかし、彼らは海から出てこようとはしなかった。
人類が汚しまくった地上にはまるで興味が無いとばかりに。
でも人類は地球の大半を占める海に出る事が出来なくなると
食料や資源、またその運搬に困ってしまう。
そして人類は再び、彼らに挑む……勝ち目など、まるで見えない戦いに。
世界の警察たる大国の海軍や空軍を始めとした、人類が持つ戦力をほとんど失い
再び人類が諦め始めた、その時……
…………突如として現れた、兵装を身に纏った数人の少女や年頃の女性たち。
彼女たちの手や背中から伸びた砲身から発射された砲弾は
それまで人類が手も足も出なかった深海棲艦の装甲を
彼女たちは我々人類に向かって、共に戦う事を約束し
代わりに自分たちの生活する場所の提供と
自分たちの指揮を執る人間を求めた。
軍艦のような兵装に身を包んだ彼女たちは
いつしかこう呼ばれるようになった。
『
――――今から数十年前の事である。
☆ ☆ ☆
そして現在。
艦娘と人類は手を取り合い、深海棲艦と戦ってきた。
深海棲艦については
何処からやってきて、何の為に我々と対峙しているのか、いまだ判らない事が多いが
艦娘については彼女たちから教えてもらったり、一緒に生活する事で得た情報がある。
まず、彼女たちは艦船の思念体であると言う事。
昔からの、あらゆる国家の、海軍所属の、今は無き軍艦がほとんど、と言う事。
主に第二次世界大戦の艦が多いそうだけれど
もっと昔や最近の艦でも強い想いがあれば、艦娘になる事があるらしい。
その想いを伝えるべき人物の元に集う事で
彼女たちは最大限の力を発揮出来る、と言う事。
そして、その人物と艦娘が強い絆を結ぶ事が出来たなら
艦娘の更なる力が解放される、と言う事。
彼女たちは食事とは別に燃料や弾薬、鋼材にボーキサイトなどの補給が必要になる事がある。
深海棲艦と戦った後には必ずそれら資材の補給が必要になる。
必要な資材の量は艦娘によって個人差がかなりあるのだが
基本的に艦娘になる前の艦の大きさに因るところが大きい。
元が戦艦クラスと駆逐艦クラスでは倍以上も差があったりする。
戦いで傷ついた彼女たちは
彼女たちの身の回りの世話をするべく、何処からともなくやってきた『妖精』が用意した
お風呂に入る事……通称『入渠』をする事によってのみ、回復出来る。
そして一番重要なポイントは…………
彼女たちは、手に持ったり背中に背負ったりしている砲塔や
足や腰に装着されている魚雷発射管などの
外見も性格も、何処にでも居る普通の女の子だと言う事。
もちろん力は通常の人間など及びもしない程、強いのだが。
甘い物や可愛い物が好きだったりする。
歌ったり、踊ったり、身体を動かす事が楽しかったりする。
ドラマや映画を観たり、本を読んで泣いちゃったりもする。
もちろんファッションもサイズが合えば、普通の人間の女性と同じ物を着る事が出来る。
ただし、普段着ている学生服や軍服、袴や着物などが彼女たちの装甲となっている。
違う服を着ていたり、お風呂に入っている時などは装甲の無い状態なので
攻撃をされれば、ひとたまりも無い。
そして彼女たちは見た目どおりの、年頃の女の子なので……
…………男の子に恋をする事もある。
これから始まるのは――
何処にでも居そうなバカな男の子と
何処にでもある恋を夢見る女の子が
何処にもないであろう強い絆で結ばれるまでの
――日常のお話。