「わぁ、ほんとに早いんだね」
艦首付近に居る男の子が目をキラキラさせて正面を見ている。
まだ港を出たばかりだから、そんなにスピードは出してないんだけど……
本気になった私はもっと速いのよ?
その時にビックリしないでね。
―― 艦橋内 ――
『艦長。フランス海軍司令部より入電です』
『どうした?』
『我が艦に民間人一名が乗船しているとの事ですが……』
『さっき全員降りていたのではないのか?』
『どうやら大人二名と子供一名が乗船していたらしく、子供がまだ残っているとの事です』
『その情報は確かなのか?』
『はい。その子の父親が司令部に来たそうです』
『仕方ない。捜索班をすぐ編成して子供の捜索に当たらせろ』
『はっ』
『深海棲艦との接触予定時刻は?』
『このままの速度だと接触予定時刻は15分後。砲撃可能距離は10分後には到達予定です』
『すると転回は無理か。連中が来る頃は横っ腹に撃ち込まれるな……予定通り突っ切るぞ』
『はっ』
☆ ☆ ☆
――男の子はすぐに保護されて今は食堂に居るわね。
「坊や、アイス食べるかい?」
「うん」
食堂で大人しくアイスを食べている男の子。
すると周りをきょろきょろ見て……
「あの……お外で食べても良いですか?」
「今、外は危ないから、ここで大人しくしててね」
コックの格好をした海兵が優しく男の子の頭を撫でている。
でも男の子は不満そうに頬を膨らませると
「ここだと何も見えないから、つまんない」
「そのアイスを食べ終わる頃には外に出れると思うよ。だから今は我慢してね」
海兵がそう言うと……すごい勢いでアイスを食べ始める男の子。
そして3分も掛からずに食べ終え
「食べ終わったよ。お外に行きたいんだけど……」
今は夏という事もあって艦内……特に食堂はかなり冷房が効いていて
男の子は急いでアイスを食べたせいか、少し震えているわ。
「坊や、寒いんじゃないのかい?温かいココアでも飲む?」
「うんっ」
男の子は、にこにこと笑顔になって椅子に大人しく座った。
簡単に食べ物に釣られているわね。
そして海兵が調理場の方へ行く、ちょうどその時……
――――ドォォン……ドォン……ドォン……
私の主砲が前方へ向けて発射された。
―― 艦橋内 ――
『砲撃が終了次第、最大戦速』
『はっ』
『深海棲艦が機銃の射程内に入り次第、一斉掃射』
『はっ』
『前方の状況は?』
『深海棲艦、重巡リ級一体が右側に、軽巡ホ級二体が左側に別れました』
『ふむ……挟撃するつもりか』
『艦長、どうしますか?』
『そうだな……重巡の方へ舵を取れ。当てるつもりで突っ込むぞ』
『はっ』
『大人しく通してくれるとは思えないが……』
☆ ☆ ☆
私は持てる最大スピードで深海棲艦との距離をどんどん縮めていく。
先ほど艦長が言った様に彼らは大人しくしている訳もなく……
――砲撃を開始してきた。
そんなヘナチョコ弾に当たるもんですかっ!
正面に居る深海棲艦・重巡リ級から放たれる砲弾は私の前方に着弾して炸裂すると
不規則な動きの波を起こすけど、私はそんなもの全然気にならないわ。
そして深海棲艦・軽巡ホ級二体は私の左側をぐるっと回って背後を取るつもりね。
私の背後を取るのは良いけど、いつまでも私の後姿を見ていられると思ったら大間違いよっ!
私がすごい勢いで近付くと深海棲艦・重巡リ級は横に回避行動を取り
すれ違いざまに主砲を撃ってきた。
――――ドォォン……
かなり近い位置からの砲撃だったけど、私からの機銃掃射で照準が合わせられなかったのか
砲弾は私に当たることなく、遥か彼方へ飛んでいった。
これで後は逃げるだけね。
中途半端な気もするけど男の子も乗っているし、あまり無茶は出来ないもの。
そう思って全力で前へ進んでいると……
『後方より雷跡っ!』
『何本だっ!?』
『8本ですっ!』
私の左側を通って背後を取った深海棲艦・軽巡ホ級二体が
私の方に振り向きざまに魚雷をそれぞれ4本ずつ放ってきた。
『回避出来るかっ?』
『すぐには無理ですっ!速度を落とさないと艦がひっくり返りますっ!』
『少しで構わんっ!速度そのままで、とーりかーじっ!』
『はっ!とーりかーじ、少しっ』
私は気持ち右側に傾き、艦首を少しだけ左側に向ける。
全開航行中に思いっきり舵を切ったら反対側にひっくり返っちゃうものね。
私が少しずつ左側に進むのに対して魚雷はどんどん近付いてくる。
さすがに私がいくら速いと言っても艦同士で比べたらの話で
魚雷の速度には勝てる訳も無く……
――――ズガァァン……ドゴッドゴォォン……
8本中、3本が私の左舷側後方に着弾した。
その内の1本が左側推進軸を破壊し、速度が見る見る落ちていく。
『3本被弾っ!左側推進軸、破壊された模様っ!速度維持出来ませんっ!』
『それなら回避行動を取れっ!被害状況はっ!?』
『左側推進軸、完全に破壊された模様。左舷後方居住区域浸水っ!』
『結構被害は大きいな……どれくらいの速度なら維持出来そうか?』
『……せいぜい20ノットでしょうか』
『半分以下か……回避行動を取りつつ、射撃出来る装備は全て深海棲艦へ向けて発射』
『はっ』
『艦娘と接触するまで持てばいいんだが……』
そして私の速度が落ちたのを深海棲艦が見逃すはずも無く
私目掛けて一斉に砲撃を開始してきた。
私も右に左に、と必死に当たらないようにしているつもりでも
先ほどまでの速度を出せない今の状態では、いつまでも避ける事が出来る訳も無く……
―――― 4発目の砲弾が当たったところで
『総員退艦せよ……繰り返す、総員退艦せよ』
―― 食堂内 ――
「これ、なんて言ってるの?」
「この艦から早く逃げなさいって言ってるんだよ」
コックの格好を止めて救命胴衣を着用した海兵が緊張した面持ちで説明をすると
男の子は首を傾げて
「どうして?」
「……この艦が沈んじゃうからだよ」
海兵がそう言って救命胴衣を着せようとして男の子の手を取ると
男の子はその手を振り払って
「僕は逃げないっ」
「ダメだよ。早く逃げないと君のお父さんも心配しているよ」
海兵が優しく諭しながら男の子の手を掴もうとした時――
――――ドゴォォン……
5発目の砲弾が私の後部甲板に着弾したみたい。
その衝撃で二人とも倒れてしまったけど……
男の子は素早く立ち上がると
「僕は友達を守るんだっ」
そう言って走り出す男の子。
艦内に居る人たちは先ほどの退艦命令でみんな甲板へ向かっているので
男の子は、その人の流れに乗って外へ。
そして外へ出ると、きょろきょろと辺りを見回していて……
先ほど着弾して、まだ消えずに立ち昇っている煙を確認すると
人混みの間を縫うようにして、ひたすら後部甲板を目指していく。
少ししてから、男の子と一緒に居た海兵も
腰の辺りを押さえながら甲板に出てきた。
……きっと、さっき転んだ時に腰を打ったのね。
そんな海兵を見て艦長と一緒に居た士官が
「子供はどうした?」
「私より一足先に甲板へ上がってきていると思うのですが」
海兵はそう言うと周りを見回して……
男の子が見当たらなかったので大きな声で
「おーいっ!誰か子供を見なかったかっ!?」
「あっちの方へ行ったぞ」
近くに居た別の海兵が後部甲板の方を指差す。
それを確認して艦長の方を向くとさっきの士官が
「バカ者っ!子供から目を離すとは……」
「お叱りは、必要ならば後で頂きます。叱るのはこの後の結果で判断してくださいっ」
「そこまで言うなら……私がその結果とやらを判断しよう」
艦長が海兵にそう言葉を掛けると
「ありがとうございますっ!ではちょっと探してきますっ!」
軽くおでこに手を当てるとそのまま後部甲板の方へ。
途中で降ろす寸前の救命ボートから救命胴衣を一つ掴んで小走りで駆けていく。
海兵が走り去ると士官が
「艦長。この艦もそう長くは持ちません。早く退艦して下さい」
「何を言ってる。艦長が艦を離れるのは一番最後と決まっている。それに結果を見ないとな」
艦長は走り去っていく海兵を見ながらそう言った。
「しかし……」
「彼らが艦から離れるのを確認したら私もすぐ降りる。君は先に降りて退艦した者の指揮を執れ」
「はっ。判りました……無理は為されぬよう」
「判っている。私も自分の命は大切だからな」
お互いに敬礼をして士官は救命ボートへ……
☆ ☆ ☆
男の子は私の後部甲板から遠くを……
離れたところから砲撃をしている深海棲艦を睨むように見ているわね。
そこへ救命胴衣を手にした海兵がやってきて
「坊や。勝手に走り出したらダメじゃないか」
そう言いながら男の子に救命胴衣を着させている。
「坊やじゃないよ。僕は吉井明久って言うんだ」
大人しく救命胴衣を着ている男の子。
「じゃあ、明久君。早くこの艦から降りようね?」
海兵は優しく頭を撫でながら諭すように言って男の子の手を取り
船体中央の方へ身体の向きを変えると……
――――ドガァァァン
深海棲艦が放った砲弾が艦橋に当たったわ。
今、艦内には一人も残っていないので誰も怪我はしないはず……
――だったんだけど
アンテナやレーダーの集積した塔が……
男の子と海兵の方へ逃げ道を塞ぐように傾いてきたわ。
それに気付いた海兵が男の子に向かって
「くっ……明久君っ、飛ぶよっ!」
「飛ぶ?」
男の子は首を傾げながら、その場でジャンプをしている。
海兵はそんな男の子を両手で掴むように抱きかかえると
そのまま海の方へまっすぐ向かって走り出し、船体の縁から海の上に飛んで……
少しでも私から遠ざけようと空中で突き飛ばすように男の子を離す。
そして二人が私から海の上に飛び出すと――
先ほどまで居た場所にアンテナやレーダーの塔が崩れるように倒れた。
海に向かって飛んだ二人は?と言うと……
「あら?何か可愛い物が落ちてきたから……思わず受け止めてしまいました」
「ありがとう、お姉さん」
どうやら男の子はさっきの深海棲艦を追いかけてきた艦娘に
海に落ちるところを助けられたみたいね。良かったわ。
すると艦娘は優しく微笑んで
「僕、お名前は?」
「吉井明久です……はふぅ」
艦娘に抱きしめられて頭を撫でられている男の子は
すごく気持ち良さそうに目を細めて……身体から力が抜けているみたいね。
――――何故か判らないけど、すごく妬ましいと言うか悔しい気がする。
そして海兵の方は……
「アンタ、どうして空から落ちてくるのよっ!?」
「話せば少し長くなるんだけど……とりあえず助けてくれてありがとう」
「べっ、別に助けたくて助けたんじゃないからねっ!たまたまよっ、たまたまっ!」
海兵を抱えている艦娘はお礼を言われて少し頬を染めているわ。
そして二人を抱えている艦娘たちに向かって、別の艦娘が
「ねぇ、その人たちの無事をこの艦の艦長に報告に行った方が良いんじゃない?」
「それもそうね」
海兵を抱えた艦娘が頷いて向きを変えると……
「僕、やる事があるんだ……友達を助けたいんだっ!」
「友達って……?」
男の子を抱えている艦娘が首を傾げて尋ねると
「このお船だよっ!僕の友達なんだ……だから助けてあげたいんだ」
男の子が真剣な
私と『友達』になりたいって言ってくれたばかりなのに……
私はこの子に何もしてあげていないのに……
この子はそんなにも私の事を大切に思ってくれていたんだ……
嬉しい。
単純にそう思った。
生まれてから、まだそんなに日が経っていない私だけど
私の事を大切に思ってくれている人がいる。
その事が……
私にとって何物にも代え難い宝物のように思えた。
――この子が私に向けてくれている、この気持ち。
すごく温かくて堪らなく心地いいものね。
何かを期待する訳でもなく、何かを押し付ける訳でもない。
この子と『友達』という物になってから、数日しか経っていないけど
隣で何気ない会話をして……
横で意味の無い事でも夢中になって……
そして――
傍で楽しそうに笑っている顔を見て……私も笑っていたい。
もうすぐ沈んでしまう私が、この子にしてあげられる事は何も無いけど……
この子のために何かしてあげたい。
――――この子の笑顔の傍にずっと居たい。
何故かは判らないけれど、そんな事を思ってしまう……私が居る。
「ごめんなさい……私たちに出来る事は何も無いのです」
男の子を抱きしめている艦娘が申し訳無さそうに呟いた。
私が沈没寸前だと言う事は、きっと判っているのね。
――そして、ぎゅっと男の子を抱きしめると
「でも……アキくんの想いは、きっとこの艦にも伝わっていると思います」
「アキくん?」
男の子は不思議そうな顔で艦娘を見ている。
「ええ。『明久』だから……アキくんって呼んでも良いですか?」
「うんっ」
男の子が、にこにこと笑顔になると……
「すごく可愛い笑顔ですね」
艦娘はそう言って、さらに力強く……
男の子の顔を自分の胸に押し付けるように抱きしめる。
「はふぅ……」
男の子は
やっぱり、あんなに小さくても男の子は男の子。
その……胸の大きい女の人の方が好きなのかしら?
そんな男の子の情けない姿を見ていたら何か、こう……
ぶつけようのない怒りが込み上げてくる気がするわっ!
私がそんな自分の感情に驚いていると……
海兵を抱きかかえていた艦娘が手ぶらで戻ってきて
「ほらっ!アイツらをとっとと片付けるわよっ!」
「あら?さっきの海兵さんはどうしたの?その辺に捨てちゃった?」
「そっ、そんな事する訳ないでしょっ!?」
「冗談♪……だってアンタもまんざらじゃないって顔してたもんねぇ?」
海兵を助けていた艦娘は自分より少し大きい艦娘にからかわれて顔を赤くしているわ。
ひょっとして……さっきの海兵に気でもあるのかしらね?
「ううっ、うるさいわねっ!」
顔を赤くして、そんなにうろたえていると周りにバレバレよね。
「それよりアンタ、空母なんだから艦載機飛ばしてアイツらやっつけてよっ!」
照れ隠しなのか、男の子を抱いている艦娘をキッと睨んでいるわ。
「あら、ごめんなさい……でも私、今、人命救助してるから両手が塞がっていますし」
男の子をぎゅぅ~って抱きしめたまま、そう返事をすると
「人命救助って……その子、顔を真っ赤にしてぐったりしてるじゃないっ!?」
「えっ?あら、大変ですね……
そう言うと男の子の真っ赤な顔に自分の顔を近付ける。
――――って、ちょっと待ってよっ!?
ダメよっ!ダメダメっ!!絶対にダメっ!!!
そんな事っ、私の目の前でなんて……
目の前じゃなくてもダメなんだからねっ!?
私が何も出来ない自分を呪っていると……
「HEY!そんな事より、放っといて良いんデスカー?」
ずっと今まで黙っていた一番大きい装備を付けた艦娘が
みんなの注意を促すように深海棲艦の方を指差す。
今までも深海棲艦は砲撃を続けていたみたいだけど……
そんな事、全然気にも留めて無かったわね。
すると……今まで無視されていたのを怒ったのか
深海棲艦三体が一斉に魚雷を放ってきた。
一体につき、4本ずつ……合計12本も。
「ほら、見なサーイ!」
「これはヤバいって!?」
「こんなもの、とっとと避ければ……」
三人が一斉に男の子を抱いている艦娘を見る。
「これは困りましたね」
男の子を抱いた艦娘は、あまり困っている風には見えない顔で首を傾げているけど……
「何を悠長な事を言ってるのよっ!?私たちは魚雷を受けても生きてはいるだろうけど」
「そうよっ!その子が爆発に巻き込まれでもしたら大丈夫な訳ないじゃないっ!?」
海兵を抱いていた艦娘ともう一人の艦娘がそう言うと
一番大きい装備を付けた艦娘が、スッと前に出て
「仕方ありマセーン。私たちが盾になるしかないデスネー」
この子が爆発に巻き込まれたら……
大丈夫な訳、無いわよっ。
私に出来る事は……一つあるわね。
でも、この考えをみんなに伝える事が――
何とかして伝えなきゃっ!
私は心の奥底から必死に……伝えるべき言葉を繰り返した。
《ミンナ……ワタシノ、ウシロニ……》
「ええっ!?あなた……喋れたの?」
艦娘の一人が驚いて私を見上げているけど……今はそんな暇は無いはずよっ!
《イイカラ、ハヤクッ……》
「判ったわ。ほらほらっ、みんな早く移動するわよっ!」
そう言うと男の子を抱いている艦娘の背中を押すようにして全員私の後ろに……
良かった。
心の底からそう思った。
もう戦うどころか……動く事すら出来ない私だけど
最後の最後で私の大切な『友達』を……
――――そして12本の魚雷は
私に魚雷が命中するのと、ほぼ同時に
三人の艦娘が深海棲艦に向かっていった。
「突撃するわっ!ついてらっしゃいっ!」
さっき海兵を抱いていた艦娘は一番小柄なんだけど
先頭を切って深海棲艦へ進んでいくわ。
「そんなムキにならなくても」
「そうデース。私たちはここからでも――」
深海棲艦の砲撃を軽くいなす様にかわして、どんどん距離を縮める小柄な艦娘と
私の傍から、あまり離れないで砲撃の準備をしている二人の艦娘。
――そして二人の主砲が火を噴いた。
「全砲門っ!Fire!」
「逃げても無駄よっ!」
一人一体ずつ……深海棲艦を爆発させて沈める二人。
砲撃で爆発する深海棲艦を見ながら突っ込んで行った小柄な艦娘は
「私だってもっと大きい主砲があれば……」
悔しそうに呟くその姿は……
なんとなく未来の私を少しだけ予感させる。
そして他の深海棲艦より、一回り大きい最後の一体に近付くと
「悪いわね、もらったわっ!」
主砲や魚雷など持っている武装を一斉に発射し……
深海棲艦は一瞬で海上から消え去った。
――――
―――
――
――正直、まだ沈んでいないのが自分でも不思議なくらい。
男の子はまだ少し赤い顔をしているけど
艦娘の腕の中で気持ち良さそうに眠っている。
なんとなく微笑んでいるようにも見える、その寝顔を見ていると
本当に良かったと思えるのが不思議ね……私はもうすぐ沈んじゃうって言うのに。
《……ブジデ、ヨカッタ》
「本当に……あなたのおかげですね。ありがとうございます」
男の子を抱いている艦娘が私に向かって頭を下げている。
そして私の近くで砲撃をしていた二人と突っ込んでいった艦娘が戻ってきて
口々にお礼を言われた。
《デモ……ワタシハ、モウ……》
私がそう言いかけると艦娘全員が
「何よ?アンタは、これで終わりにするつもりなの?」
「そうね……きっとまた会える」
「アキくんもそれを望んでいると思います」
「その時は私たちの仲間として貴方を歓迎シマース」
そして四人揃って微笑むと
「「「「同じ艦娘として、ね」」」」
私は四人の艦娘に見守られて……
一人の男の子の寝顔を見ながら……
《……カナラズ……マタ、アエル……》
――――静かな海の底へ……
「……ん……」
「目が覚めましたか」
「ん……あれ?僕のお友達は何処?」
「アキくんの目が覚める前に行ってしまいました」
「何処へ行ったの?」
「少し遠いところですが……きっと、また会えます」
「そっか……じゃあ、無事だったんだね。良かった」
「ええ……たとえアキくんが忘れていても、きっと会えると思います」
「――私もきっと……」