【リハビリ中】僕の個性は【紳士ハンド】   作:『代行さん』

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@入試-3-個性の特性

@入試前

 

@12:00

「B&Tをお願いします」

僕は今、駅にできた紅茶の専門店に来ている

最近の楽しみになっている

 

B&T

は血と涙のこと

鉄分を多く含む葉を塩揉みすることで乾燥させ

少しのエグ味と酸味、塩味を持たせる

鼻に抜ける独特な香りで飲む人を分ける紅茶

 

立ち眩みが多いこともあって飲み始めたのがきっかけで

今ではお気に入りになっている

 

「ありがとうございました」

「ありがとうございます」

店員から受け取る

 

一袋の紙袋を持って店を出ようとする

扉の手前で背の高い髭の男性と小柄な女性とかぶってしまう

無論

 

「どうぞ」

扉を先に出ると押さえて頭を下げる

「ありがとう少年」

「ありがとう」

 

男性が軽く頭を下げ、続けて女性が丁寧にお辞儀をする

中に入ったのを確認すると音が出ないようにソッと扉を閉めて帰路に着く

 

@13:00

〔次のニュースです〕

紅茶の葉から抽出を始める

その間に着替えを済ませようとボタンを外す

 

テレビからは"またしても"の文言

軽犯罪ヴィランによる犯行がなされたとのこと

 

警察の調べではヒーロー活動の妨害や火に油を注ぐ行動

…これのどこが軽犯罪なのか

 

ソーサーとカップをテーブルに置くと自室で着替えを始めた

 

@16:00

加速にノッた両足裏の手

左手を両足の近くに下ろし

屈んだ状態で木々の隙間を抜ける

 

進行方向に度々出現する

黒い球と異常な空気抵抗

 

手から飛び退く

黒い球が消滅すると同時に辺りに強風が発生する

異常な空気抵抗はなお続いている

 

そんなことに気を取られ続けてはいけない

拘束されては意味がない

接近してくる異常な空気抵抗をステップで回避していく

(はた)から見れば舞踊に見えなくもない動きで

回避を重ねていく

 

黒い球が現れたのを確認するとできる限りの走りで反対側へと走り出す

黒い球が消滅し、強風が追い風となって背中を押す

 

その勢い

コロすことなく足裏に手を合わせる

自身の周囲の風が甲高い音を立て振動する

 

「お見事」

拍手の音で加速を緩め停止をする

 

両手を動かし拍手を続ける女性

天霧ミツがどこからともなく現れると

着地をする

それに合わせて僕も着地をする

 

@17:00

「なるほどね」

乗った状態では加速が遅いなら手を加速中に合わせることでその欠点を補った。不安定な部分は支点を増やすことで安定させたことを説明すると納得された。

 

「それからいいこととは?」

天霧さんが姿勢を正すと一つ話を始めた。

 

「気づいてると思うけど私の個性は【バリア】じゃないんだよね」

薄々気づいてはいたがこうも堂々と話されると笑いが出る

「それってダメなんじゃ」

「バレなきゃいいの」

軽く笑い飛ばす公務員

 

「私の個性はね」

 

@18:00

「…」

帰る途中天霧さんの言葉を思い出す

 

〔ヒーローになるなら一芸をとことん磨くか多芸になることだね〕

空を歩ける、地面を滑れる、海を越えれる

移動に向いてはいる…それでもこれと言った攻撃手段は持ち合わせていない

 

【フィンガースナップ】はあくまで凶器の無力化

近接格闘も物を弾いて飛ばすのも対人専用である

「…」

 

【黒キ人】

ひとつだけとっておきを思いついてはいる

夢で見た色々

「多芸かつとっておきを…」

 

入試まで後1ヶ月半

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