@入試の後-自宅
あの後の記憶はない
筆記試験を受けていたもののその時の記憶が朧げで
夢の中で問題を解いているようだった
「出久?いずく」
「どうしたの母さん」
どうやらまた惚けていたようで心配して母さんに声をかけられた
箸で持ち上げた鰯の塩焼きから湯気からチラチラと見える生気のない目
筆記の自己採点は前年度の合格ラインを越しての結果だった
けれども不安要素になっている『仮想ヴィラン』との戦闘
僅か5P+0もっと手に入っていた可能性も考えられた
けれど無我夢中だった
今でも防ぐことができたことを信じられないくらいに
そして入試以降、リカバリーガールと名乗る女性から定期連絡が来ることになった
彼女が言うには
「あんたは自分が思ってる以上に身体を酷使してるんだよ。不調がないか病院からかけるから必ず取るように」
「取れなかったらメッセージだけでもね」
携帯の画面に表示される『病院』の二文字
当たり障りのない会話をして切る
「あ、そうだ天霧さんと水乃さんに」
「出久〜?」
「何母さん?」
振り返ると何かを隠している姿勢で後ろに立っていた
「はい、来てたよ」
手渡された雄英の蝋印が入った厚手の封筒
通知を受け取る
@自室
…
見つめる
一抹の不安を感じつつ【黒キ人】から手渡されたペーパーナイフで…
また、道具が出てきたけど気にしないことにした
封筒の中身は
「ボタン…じゃないな」
ヘッドホンの片耳のような造形のそれが光りだし
音声を再生し始めた
「んん〜私が投影された!」
「オールマイ…ト!?」
驚きのあまりに椅子から転げ落ちる
「出久!?大丈夫?」
「平気だよ母さん」
服を二、三回払うとベッドに腰掛ける
「私は今年から雄英で勤務することになってね」
HAHAHAと笑い飛ばす
「…風邪かな?」
喉に何かが絡みつくような濁声が少しばかり混ざるのを聞き逃さなかった。
「オールマイトも風邪ひくのかな」
「さて、長話には時間がないからね」
固唾を呑む
「一次試験並びに二次試験」
「…」
「申し分のない成績で合格だよ」
…はぁ、緊張の糸が切れ、ベッドに勢いよく倒れ込む
「特に優秀だったのは一次試験!」
「?」
たったの5Pどこが?
倒れ込んだベッドから身体を持ち上げる
「要救助者の保護、ヴィランPの獲得、現場への迅速な参加」
「はは、なるほど」
最初に行動を起こしていた【黒キ人】のおかげかと思うとひどく情けなくなる。結局は一人じゃ…何も
「そして現場への急行と他受験者の救助」
… … …
「審査制による救助ポイントは最大で60P」
… … …
可笑しいな
「占めて125P文句なしの合格だ」
映像が…
ミダレテ…よく…見えない
「こいよ緑谷少年」
鼻が詰まり煩わしい
それでも不思議と
「
背中をさすられ嗚咽が漏れる
頭を優しく撫でられると涙が少し収まった
「ありがとうカーリー」
多すぎる助けを受け
僕の人生が動き出す
夢の高校生活が始まる