@市街地演習場-夜
「いやぁ爽快だったなイレイザー」
実技の総合
一位緑谷出久 125P
二位爆豪勝己 97P
…
四位麗日お茶子 83P
…
「レスキューポイントが20Pで二位とはなぁ」
「仮想ヴィランの交戦的なAIによる行動を見向いての行動だろう」
「それでも後半の勢いが落ちなかったのは本人の意思それの賜物よね」
「冷静な判断で保護もこなしてるし」
要救助者設定のロボットの扱いは後半ぞんざいだったがな
「俺はあのリスナーが気にいっちまったぜ、アレに立ち向かった上にバランスよく点数を取っているとなっては文句のつけようがないわな」
「あの黒い腕が中々良かったわね、どんな個性なのかしら」
「0Pに勝つ算段があったのか怪しかったですがね」
「そうだな、現にあのリスナー終了と同時にぶっ倒れたしな」
その受験者、緑谷出久の試験会場に訪れている
確かめたいのは応答がない機体
試験終了後破損が軽微な物は帰ってくるように指示を出していたはずだ
しかし
「あの変な影が写った直後に通信が途絶えてるのがログで分かったらしい」
「あれも彼の個性なの?」
「分かりません」
【複製器官】とだけ記載された個性再登録
改めて登録させる必要があるかなと考えに耽るイレイザーヘッド
「おい、イレイザー着いたぞ」
見上げた機体は表面だけ見れば確かに無傷であった
「カメラの横の凹みは問題ないのか?」
「あぁ問題ねぇ、メイン回路ん方には何ら影響ないとよ」
「ちょっと二人とも?」
ミッドナイトが耳を澄ませるように身振り手振りで指示をする
確かに何か金属製の床を這いずり回るような音が無数にする
軋む音が建物の窓ガラスを無闇矢鱈に振動させる
走り出したイレイザーヘッド、迅速な対応により
捕縛布が0Pのおおよそ肩と呼べる両部位と首に巻きつく
「Yeaaaaaaah」
プレゼントマイクの鋭いシャウトにより、勢いの殺された機体が捕縛布に導かれ、後ろに大きく倒れ込む
轟音と共に大きく寝そべる0P
「イレイザー口と鼻塞いどけ」
「おう」
塞ぐ前に僅かばかり香った甘い匂い
ミッドナイトによる睡眠香が展開されている
尚も聞こえる物音
「ミッドナイト…香の効果が出るのは?」
「数秒で出るはずなのに」
機械の装甲板から鼠が這い出てくる
しかしその造形は
目と鼻がない小動物
粘膜がないならミッドナイトの香が効かない訳である
のっぺら鼠が無数に0Pから溢れ出てくる
捕縛布では的が小さい上に動きが速すぎる
「おい、プレゼントマ…」
「香りが効かないんじゃ私は意味ないわね」
「あれ?山田君は?」
「プレゼントマイクなら今のびてます」
「だらしないわね」
「結局のところ鼠による不具合と見ていいんでしょうか?」
捲れ上がった緑色の装甲板を持ち上げる
ネズミが巣食っていたと見るのが普通かもしれない
しかし
異常に軽い装甲板に
腕を中心にした右腕の空白
中身が空っぽになっている機体を目の当たりにすると
どう見ても異常であることを理解する
正常に動作している映像もある
どう考えても試験中に起きたと考えるべきだな
「考えるべきは」
緑谷出久の個性把握だな