@病院
次に気がついたのはベッドの上
窓から差し込む太陽と涼しい室内
鳥の囀りで目が覚めた
「先生!緑谷様が」
あれから3日意識が回復せずにいたという
その後バイタルの確認をし、天井を見つめ続ける時間が始まる
@15:30
「緑谷!!」
「デク君!!」
「緑谷くん!!」
扉が開いて最初に入って来たのはいつもの面々
峰田君、麗日さん、飯田君だった
「オイラ…お前が…」
【もぎもぎ】が一つ減った頭で泣きじゃくりながらシーツを濡らす峰田君、死柄木との戦闘時にやられたらしい
「ごめん」
「謝んな!謝ることはオイラが許さない」
涙の粒が一段と大きくなる
「蛙吹…梅雨ちゃんは?」
「何か知らいけどよ、触られただけだった。何かしようとしたのは…確実だけどよ」
「デク君…体大丈夫?」
「平気だよ、ほら」
「足…」
残酷な現実、確認作業
右足の膝下が完全になくなっていた
死柄木の【崩壊】ではここまでの速さはでないと思われる
"矛"は黒霧で間違いないだろう…
「麗日さん!ヴィランは?」
麗日さんが話してくれた内容には
敵の捕獲、収容はできたこと
しかし、主犯格に当たる死柄木、黒霧、脳無には逃げられたこと
脳無はその姿が見えないことから暫定的に判断したとのこと
僕が意識を失う直前に駆けつけたのは
4人の人物、爆豪勝己、轟焦凍
切島鋭児郎、そして、謎のヒーロー
謎のヒーローは真っ赤なコスチュームに身を包み
話によるとオールマイト並みの力を使い、敵を圧倒したという
「そんなに凄いヒーローが居たなんて」
「何か燃え上がってるようなヒーローやったよ」
全身を包む真っ赤なコスチュームは光を纏い、所々から触手が伸びていたとのこと
「確かに燃えてるみたいだね」
〈ノック音〉
「どうぞ…ニュートラル!」
ノックから扉を開け入ってきたのは【黒キ人】だった
「無事だったんだね…何かあったんじゃないかって」
「それもデク君の【個性】?」
「うん」
@16:00
その後、個性に関する情報と姿見を『ヒーロー研究ノート』に書き記す
その合間に雑談を交えつつ時間が過ぎる
「そろそろやね」
「交代だな…またな緑谷」
「うん、飯田君も」
「あ、あぁ」
終始無言の飯田君に挨拶をする
不機嫌ではないらしい
「緑谷くん!!」
「はい?」
大声が病室に響く
「副委員長として不甲斐ないことをした、申し訳ない」
自分の判断ミスで君に取り返しのつかないことを…
「顔をあげてよ飯田君」
ベッドから足を垂らす
気まずそうな飯田君
僕は
「多分ね」
目配せで【黒キ人】に合図する
「何を…!?」
包帯を丁寧に解き、丸めていく
「み、み、み、緑谷くん?」
「あ!傷口は見せないようにするね」
「いや、そうじゃない、一体?」
露わになった切断面
縫合の跡がよく見える
黒い腕から液体を出すと縫合跡に当てる
「?、!?」
液体が徐々に形を整えていく
骨を少しずつ伸ばし、それに沿って
筋肉、血管、リンパなどなどが伸び始める
最後に皮膚がそれらを包むと
色以外はまともな足が生えた
「え?は?」
「これで問題ないね」
@16:10
「おう、緑谷!起きたんだな」
「入るぞ」
「…」
切島君、轟君、爆豪君が入ってくる
「よお、クソナード元気してっかよ」
「爆豪君はいつも辛辣だな」
「!?…ああ」
どうしたんだろう?顔色が悪い
もしかして何処かを怪我してるのかも
「お前…」
「?」
「まぁ、まぁ緑谷も疲れてるだろうしよ、な?」
何かを言い掛けた爆豪君を静止する切島君
「そういえばみんなに聞きたいんだけど」
「どうした?」
「何だ?」
「…」
あの時駆けつけてくれた後もう一人いたけど
その人について聞きたい
「あぁ、真っ赤なコスチュームで派手だった」
「男だった」
「オールマイトに似た【個性】だったが毛色が違った」
「と言うと?」
爆豪君が言うには
強さはオールマイトに匹敵する
加えてコスチュームの隙間から何か時々伸びて牽制していたとのこと
「オールマイトと相澤の捕縛技術が合わさった様な戦い方だった」
「なるほど」
「爆豪お前、そんなに冷静だったんだな、前はもっとこう」
「あ?俺はいつでも冷静だわ!それいつまで言ってんだ!」
「お前は普段から死ね死ね言ってるだろ?」
「あ?半々野郎、表でろ」
はは、みんな元気で良いな
そうだ
「轟君!男って?」
「あぁ、口を覆っていたが体格、声色から男って感じだった」
勘違いだったのだろうか
確かに…女性だったけれど
必死になっていたから確かじゃない
「ん、ありがとう轟君」
「…あぁ」
「と言うか緑谷?その足」
爆豪を宥める切島君が足に興味を示す
「うん、問題ないよ」
「なら、問題ねえな」
「緑谷、上鳴を救ってくれてありがとうよ」
「あ、それは多分ニュートラルが」
トレイを持って現れた一対の腕を指定する
手をひらひらと振るとトレイを丁寧にセッティングする
「それ、お前の個性か?すげえな」
「でしょ」
上鳴を助けてくれてありがとうと手を差し出す切島君
それを握り返す【黒キ人】
順応が早い…
@16:40
「それじゃあな緑谷、早く学校に来いよ!」
切島君に連れられて3人が出ていく、元気そうでよかった
@16:53
「入りますわ緑谷さん」
「あれ?起きてんじゃん」
「入るわね」
八百万さんと耳郎さん、梅雨ちゃん
「お見舞いありがとう」
「そんなボロボロなのに何言ってんだか」
「これはお礼も兼ねておりますから」
「緑谷ちゃん、体調は大丈夫かしら?」
バスケットに入ったメロンが
めちゃくちゃ気になるけれどちゃんと話を聞く
「あの時相澤先生が【個性】を消してくれていなかったと考えるとゾッとする」
「相澤先生もそうだけど、緑谷ちゃんあなたの【個性】真似をするのが得意なの?」
「確かにあの時帯電してましたしね」
「あの指を鳴らす【個性】はなんなの?」
身に覚えのない場面の数々
振り返る
【黒キ人】が窓の外を眺めている
「あれはあんたの個性で間違いないのよね?」
「うん、ニュートラルは僕の【個性】だよ」
「不思議な【個性】ね」
「なぉ〜ん」
突然聞こえた猫の鳴き声に驚く面々
「猫なんて何処から入ったのかしら?病院側に」
「あ、いやこれは良いんだよ」
「あら、猫を飼ってらしたの?」
「目がないように見えるんだけど」
「ケロ、ニュートラルちゃんかしら?」
鋭い梅雨ちゃんの発言に一同がハッとする
「生き物を出せるんですの!?」
「いや、どういう【個性】??!」
賑やかだなぁ、楽しい
@17:50
「あら、もうこんな時間」
「じゃあね緑谷、また学校で」
「うん」
1時間ほど雑談をして二人が席を後にする
猫が膝から移動すると外へ、退室する
残った梅雨ちゃんと緑谷
「…」
「どうしたの梅雨ちゃん」
「私、正直最初はあなたが怖かったわ」
「…うん」
相づち以外に声を出さずに傾聴する
「いきなり独り言を始めるし、手は黒くて何かつけてるみたいだし、目はいつも
「うん」
涙を流し始める梅雨ちゃん、ハンカチを取り出した【黒キ人】
それを受け取らずに続ける梅雨ちゃん
「私怖かったの、緑谷ちゃんは自分のことを蔑ろにする節があるのよ?気づいてる?」
「…うん」
突然立ち上がり、額を手に押し当ててくる
「約束して、あまり無茶をしないで」
「… … …必要になればする」
「やっぱり私、あなたが怖いわ」
@18:00
腫れが引いた目元を拭いながら手を振ってくる梅雨ちゃん
それに振り返すと
「また学校で会いましょう」
と残し、帰っていった
夕焼けに映える黒髪と笑顔が眩しい
「モテるだろうな」
@18:30
「ニュートラル」
【黒キ人】に質問をする
「脳無をどうしたの?」
手のひらを前に出し
唇らしき膨らみが現れる
歯茎、歯が口にできると
それを開く
淡紅色が覗くと
その奥を指差した
@19:00
「お母さん」
「い、い、出久」
抱きつかれる
涙が滲み肩が濡れる
心配をかけてしまった
「ずっとね…出久が起きなくて心配で」
腫れた目元を手で拭う、別のハンカチを取り出した【黒キ人】
何枚持ってるんだ?
「ごめん、お母さん。パーカーダメにした」
「そんな大袈裟な」
叩きつけられた時フードの内側と刺繍の膨らみが僅かばかりであるが確実にショックを和らげてくれた大袈裟じゃない
「退院は明日にでもできるって」
「もう少し休んだら?」
「体が鈍っちゃったら怖いから」
元気よく肩を回し、アピールをする
その後退院をしたものの
数日間は学校が短縮実施とあって
個性開発機関に入り浸ることになる