@『騎馬戦』
「調子乗ってんじゃねえぞクソが」
「緑谷!」
咄嗟に腕を前に出す
液体散布により牽制を図るが
「邪魔くせえ」
爆破による強引な攻撃により大きくよろめく
爆発による直接的なダメージは軽微ながら【無重力】状態では相殺できなかった爆風が何よりも厄介になった
よろめいた大勢と爆風によりリンクアウトになりかける
「ココこそ私のベイビーの出番!!」
発目さんが背負っていた機械が駆動すると
先程までのよろめきが緩和される
「見ましたか私のベイビー、このオートバランサー!本来なら方向転換のサポートに適していますが噴出口を制御することで移動のサポーターに早変わり!!」
先程駆動した装備の説明がアナウンス用のスピーカーから流れてくる…発目さんの耳にはインカムがつけられている
「あ?何これ?」
「売り込み根性逞しいな」
それはともかく助かった…
場外による失格は明言されていないものの
「落ちたら退場だろうから」
しのごの言ってられない
【リンクスタイル】×【スカイランナー】
頭痛は軽微
スラスターの加速をそのまま【リンクスタイル】で制御下に置く
「爆豪君負けないよ」
「やめろやそれ、イラつくからよ」
「オイラそっちのけで熱くなるなよ!」
「飛ぶ時は言え爆豪!」
地面スレスレで飛んできたテープにより騎馬へと復帰する爆豪君
「そんなのアリかよ!!」
「ありよ」
ミッドナイトのアナウンスにより峰田君の訴えは一蹴される
「と言うか緑谷、腕増えてない?」
…
確認しよう
今騎馬を組んでいる両腕
?
さっきから使ってるもう一組は?
「肩のそれわざとじゃなかったん?」
麗日さんの声により視線をズラすと
肩関節から計4つの腕が生えていた
「障子と緑谷…お前らも被りだったのか!」
切島君が涙ぐみながら突っ込んでくる
「逃がさねえぞデク!」
再びの飛翔で爆煙混じりに突入してくる爆豪君
「緑谷!」
「今度は!」
増やしていた手で先程より距離があるうちに液体により距離を取る
「デク君…ごめん少し酔った」
「解除して大丈夫だよ、麗日さん」
装備の重量軽減に努めていた麗日さんの限界が来てしまった
「後は僕が」
「いや、みっともない姿見せるかもってこと、解除はせんから…」
その時
「漁夫の利…」
「取られちまった!!取られちまったよ緑谷!!」
「んのやろう!」
B組の人が峰田君の鉢巻を奪い去る
首にかけている鉢巻の数が多いのを見るに相当暴れていたのだろう
「大丈夫だよ峰田君、鉢巻は取り返せばいいから」
「単純なんだよA組は」
唐突に語り出したB組に気を取られる
「予選段階から大幅に数を減らすとは考えにくいと思わない?だから大凡の目安を仮定してその順位以下にならないように後ろで個性を確認したってわけさ」
「その場限りの有意に執着したって仕方ないだろ?」
「それは一種の作戦だし、否定はしないけどね」
さて、目算だと点数は…
ムキになった物間が口にした言葉
「指揮官が無能だと苦労するねぇ〜」
「あんま煽んな物間!同じ土俵だぞ」
…は?
「人参ぶら下げた馬みたいに仮初の頂点を狙うより…」
「物間!!」
… … …なんて言った?
「仕返しかい?ヴィランがしそうな…」
「言葉を選べB組」
「!?」
「デク君?」
「緑谷?」
たかだか競技、エンターテイメント
暑くなることなんて考えもしなかった
楽しんでもらえるような動きを心がけていたけど
「競技するのがそんなに悪いか?」
使わずにいた技を構える
「?」
「エンタメ抜きで相手してやる」
腹が立つ、たかだか優越感の為だけに
僕の仲間を馬鹿にしたことが
「ひとつ教えておく」
「円場!がー」
作戦なんて知らない
ただ殴るだけ
物間が作戦を口頭で説明するよりも早く軽いパンチにより口が閉じさせる、その拍子に口の中を切ったのか血が少量噴き出る
「【空気凝固】」
空中に見えない壁が形成されたのか二発目に出そうとした拳が止まる
「野蛮だな…そんなんじ!?」
見えない壁に広がる黒い液体が壁の端を捉えると
すぐさま相手の鉢巻を根こそぎ飲み込む
「はぁ!?」
「弱いんだよ」
こっちはプロヒーローの【バリア】相手にしていたんだぞ?
範囲も
硬さも
速さも
劣るならわけない
「謝れ!」
「… … …!」
「何のことかな!」
物間が僕に触れる
「その個性もらったよ」
…
接触による【個性】発動型…
【黒キ人】に何かしら作用するものだろうか?
警戒を念頭に置きつつ鉢巻を奪い取り距離を取る
が
「…」
「物間?」
動く気配がない
両腕を交互に見続け
動きが鈍い…
というよりぎこちない
「…デ!…デク君!」
麗日さんの呼びかけでハッとする
「ミッドナイト先生から警告!次やったら失格って」
友達を馬鹿にされてもキレるなってんだったら…
「…わかった、ごめんね皆」
「私は正直どうでもいいです」
「緑谷よぉあんま熱くなるなよ」
「ごめん峰田君」
謝りながら奪い取った鉢巻を首にかける
この時点で点数に余裕しかなかった
@『騎馬戦』-残り3分
先の一件以来攻めてくる騎馬がおらず
発目さんが苦言を漏らす
「私のベイビーの活躍が…」
「ごめんね」
僕が独断したせいでやりたいことができていないことに責任を感じる
「いえ、次の競技がありますので」
談笑に近いやり取りの最中
「悪いな緑谷君」
立ち塞がったのは
「君に挑戦する!」
「待ってたよ飯田君」
飯田君のエンジン音が鼓膜に触れる
「だからオイラを抜きに熱くなるなって!」
@『騎馬戦』-別視点
「やっと出久が活躍したわ、遅いのよ」
「でも少し怖い…」
「…」
プライベートジェットの中で中継を観る島乃一家であった