【リハビリ中】僕の個性は【紳士ハンド】   作:『代行さん』

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@雄英体育祭-10-『ガチ勝負』:休息

@控室

上の歓声が廊下に響き渡り、天井を揺らす

鼓膜がそれを拾うたびに震える体

後頭部を圧迫するのはプラスチックの硬い板材

 

寝るにはちょうど良い長さだったが

柔軟性は皆無であった

 

「…やはり緑谷が勝ったか」

「緑谷…」

プレゼントマイクのアナウンスがそれを知らせる

 

この震えは…

疲労による物ではない

緊張による物でもない

今も残っている

 

「あの闇-緑谷と」

障子を真正面から受け止め

あまつさえ耐えてみせた

 

試合を夢見る

似た様な力

つかみ取れるやもしれない…

 

アナウンスにより2回戦目が開始される

「いざ、勝負」

 

@1-2【もぎもぎ】vs【黒影(ダークシャドウ)

「よお、常闇…」

「峰田…悪い事は言わない棄権をおすすめする」

「あぁそうしたいお前には勝てる気がしないぜ」

「なら」

見下ろしていた筈の姿

 

「だがよぉ」

それが大きく、壁のように見えた

この圧…

 

「ふん、やはり緑谷の後ろにいるだけじゃないんだな、謝罪する」

「?おう」

侮っていたわけではない…しかし、どこかで弱者に見ていたところがあったやもしれない、膨らんだ影が稚拙であった性格がそのままに向上心を内に秘めた闇の一つだったと言うことか

 

「両者離れて」

ならば全力で討ち取るまで

 

「開始!!」

 

@1-2

試合開始から1時間弱して起こった

拮抗状態が続いていた試合序盤は

 

常闇くんのダークシャドウが攻めに出るも

峰田くんの"もぎもぎ"による攻防一体の立ち回りにより

結果は芳しくなかった

 

【もぎもぎ】は敵からしたら強力な接着により機動性を奪われるトラップだが峰田君本人にとっては移動手段となる

 

近接による攻撃をしたとしても

逆に"もぎもぎ"の餌食となり

 

遠距離による攻撃も

"もぎもぎ"に吸い取られる始末

 

しかし、そんな"もぎもぎ"の弱点は

峰田君本人の体調によりその接着時間が変動する点

 

「峰田!ここで頭部からの出血!!ダークシャドウの攻撃が当たったか!?」

使い過ぎによる頭皮の裂傷

地面にばら撒いた"もぎもぎ"

攻守に使用した"もぎもぎ"

 

1時間弱で使用させられた"もぎもぎ"により出血

そこにすかさずダークシャドウの追い討ちが刺さった

 

拳による腹部への殴打

空中で受けた衝撃によりコンクリートに叩きつけられる

頭部の出血と相まって重傷に見える

「峰田君!」

「まだ…やれる」

 

片瞼を閉じた峰田君に

「いい加減オチろ!」

「ダークシャドウ!」

ダークシャドウの拳が振り下ろされる

 

「待ってたぜ!この時を」

ダークシャドウの拳がコンクリートに叩きつけられる

寸でで躱した峰田君、頭部に不意に触れたダークシャドウはそのまま地面に接着されてしまう

 

身動きができなくなった常闇君に対し峰田君は

「さっきの借り…」

地面に無数に転がっていた"もぎもぎ"による高速移動からの頭突きが腹部へと突き刺さる

 

「生々しいの入った!」

胸部から伸びた黒い管が波打つ

地面に突っ伏した常闇は"もぎもぎ"による

立ち上がることができなくなる

 

「返したぜ常闇」

「不覚…」

 

ミッドナイト先生が勝敗を告げようとした時にそれは怒った

 

@1-2 事件発生

「静まれ!ダークシャドウ」

辺りの光が力を失う

 

火の光がゆらめきをそのままに闇に食われる

コンクリートの亀裂から見える黒い手が

ダークシャドウのモノと理解するのに

そう時間は掛からなかった

 

「峰田君!常闇君!」

観客席から身を乗り出せずに止まる

 

「オォォォオ」

雄叫びと共にコンクリートから姿を現したのは

瞳が鮮紅色に染まったダークシャドウだった

 

「ッ!?」

瞬間伸び出したのは無数の手

無闇矢鱈に手を伸ばし観客席に伸び始めるが

止まる

 

「これは…」

見覚えのある無色の盾

物質の侵入をものともせずダークシャドウを押し返す

 

「天霧さんの【バリア】…」

程なくして鎮圧されたダークシャドウだったが

見てしまった…

 

【バリア】への亀裂

それ程までにダークシャドウは強力だった

 

ダークシャドウの暴走により一時中断

峰田君は場外となり

常闇君が2回戦進出となった

 

@1-3【無重力】vs【蛙】

先程と比べ、1戦目と同様の格闘主体の立ち回り

蛙吹さんの舌による牽制は麗日さんにとっての反撃チャンスとなって浮かされる蛙吹さん

 

手も足も出ず蛙吹さんの降参により

2回戦に駒を進めたのは麗日さんだった

しかし、何かを隠している様子の彼女

真の実力は未だ不明

 

@15:00

「イレイザー菓子買いに行こうぜ」

「おう行ってこい」

 

相澤先生の雑な返しにプレゼントマイクが反応する

そんな中、僕と麗日さん、飯田君で峰田君の所まで向かっている

 

「…今日で何回ここにきたんだろう」

不安で周りの目も憚らずため息が漏れる

「その節は…」

「あ、いや」

 

気まずそうになる麗日さんに謝る

誰が悪いわけでもない、かと言って

不安がないわけではない

 

あのダークシャドウの膨張は…

はっきり言って危険を感じた

 

強力過ぎる個性

人類終末論が持ち出されてもぐうの音も出ない

きっと使われるだろう…

 

「何だか気苦労が多いな君は…」

「うん、まぁ、考えすぎって感じなのかな?」

会話をしながら医務室へ向かう

 

@医務室

「確かに興味深いな…」

「個性社会なのにそんな考えもあるんやね」

到着後扉を開ける

 

扉を開けると

峰田君が挨拶をする

隣では常闇君が目を閉じている

 

「もうちょいだったのによ…」

「峰田君凄かったよ」

「あの動きプロ並みだった!」

「峰田君の加速は素晴らしかった」

 

試合への賛辞を述べ時間を過ごす

15:00ともありリカバリーガールからお菓子を貰う

 

「そういや、緑谷は次八百万とだろ?」

「みたいだね」

先の試合の後電報掲示板には

僕と八百万さん

常闇君と轟君

麗日さんと上鳴君

発目さんと飯田君

 

の対戦カードが発表されていた

「常闇は…どうだろうな」

瞼を動かすことなく眠り続ける常闇くんを心配そうに見る峰田くん

 

「おう、プレイヤー諸君」

「プレゼントマイク先生」

医務室に不意に現れたプレゼントマイクに驚く一同

「ノックして入ってきなさい!山田」

「おう、本名は勘弁してくれリカバリー」

 

常闇くんの容態を見て不戦勝となった轟君

…エンデヴァーの顔が頭をよぎり何となく

イラッとした

 

「デクくん?」

「どうしたの麗日さん」

声を掛けられハッとする

何ともないとはいえなかった…

 

そんなこんなしているうちに

16:00が迫り、2回戦目が始まる

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