@スタジアムまでの通路
「死穢八斎會…」
【黒き人】の片割れから聞いた話で治崎と名乗った男が死穢八斎會の若頭であったことを知らされる
手のひらの口がエリちゃんの容態を伝えてくる
【黒き人】の前では強がっているが包帯に滲む赤色が痛々しい
「…悪趣味だね」
アナウンスから呼び出しを受け、スタジアムへと向かう
1日が経ち、雄英体育祭が再開される
プロヒーローの増員と雄英防衛システムの引き上げ
入館者にも細心の注意を払った上での再開
@【複製器官】vs【酸】4-1
「負けないよ!緑谷」
「僕もだよ芦戸さん」
手の振りに合わせて散布される酸がコンクリートにシミを作る
腕で庇い受けるが溶けることなく蒸発する
「うん?」
コンクリートにまとわりついてる酸を滑り移動する芦戸さん、峰田君と似たものを感じる
「余裕か?緑谷」
酸によりスケートリンクを滑るようにコンクリートの上を滑り続ける芦戸さんが酸弾を飛ばしてくる
腕で防ぐと痒みと共に蒸発する
「げっ!?避けないのってか無傷?」
不穏な言葉を無視しつつ腕を飛ばす
芦戸さんはそれに掴まれるのを器用に躱す
運動神経が良いのか、一種の舞踊に見える
【腕鞭】による薙ぎ払いにも対応する
それに合わせて湧く会場、一戦目から満席とあり
初日とは比べものにならない熱を作り出す
回避主体かと思いきや飛んでくる酸弾の強さが増している
痒みから強い痒みへ変化しつつあるが
徐によろける芦戸さん
「?」
「おわわっ!」
心なしか減っている布面積
ノースリーブ寸前のジャージの上
ハーフパンツになりつつあるズボン
爆豪君と似た汗腺が変化するタイプなのだろう
「緑谷!次はマジで避けた方がいいよ!!」
身構える
「アシッドベール!」
腕から放たれた液体は弾ではなく面の攻撃となり上空から降り掛かる着弾する前から煙を帯びている様に【空気】弾により安全圏を作り出す
空中で分散した酸がコンクリート、ゴムに被弾した途端に黒く変色し焦げ臭さを辺りに放つ
「こっわ…」
あれが人体に触れたらタダでは済まないだろう…
「芦戸さ…ん!」
気づいた瞬間に展開した巨大な手で身体を包み視線を阻害する
「捕まっ…!!」
巨大に変形させた手のひらで芦戸さんを包み込む
抵抗しようと構えた芦戸さんだったけれど
下の状態を確認した瞬間に押し黙る
「ミッドナイト先生…リタイアで」
「芦戸さん…降参により緑谷君5回戦進出」
頭から上がる湯げが芦戸さんの現状を物語る
極限まで高めた酸の威力は絶大で
コンクリートやゴムが瞬時に変色する程の威力
芦戸さん本人にはその効力が及ばないのは
当たり前であるが
その身につけている衣服にはその効果が適応されていないらしく
ジャージの下の紫色を帯びた皮膚の面積が増えていき
肩に掛かっていたそれが黒みを帯びた瞬間には手を飛ばしたが無事では済んでいないだろう
「自分の個性でまさかの自滅ときた、それにラッキーすけべな技さ〜すがだぜ?助平ヒーローさんよ!」
「そんなんじゃないよ!」
会場の笑いと非難の嵐
プレゼントマイクからの茶化しにツッコミを返す
「ごめん緑谷…目隠し引き続き頼めるかな?」
「う…うん」
何とも言えない勝ち
喜ばしいことであるのに複雑な気分である
不名誉な称号が増えた…
@医務(ry
「個性が通用しないって結構ショック」
「芦戸さん、酸の強度はあれが最大?」
「ブレないね緑谷…」
呆れた様子の芦戸さん
「あれが現状の最大、あれ以上すると肌が荒れる」
「それでもあの威力は脅威だね」
スタジアムの内周に設けられていたゴムで作られたコートが音を立てて千切れていた
コンクリートも形を変形させる程の威力
「あれにあたっていたらと考えると…」
「それでも当たらなかったじゃん」
腕を上げて落胆を露わにする芦戸さん
「あれは…咄嗟のことで」
「別に緑谷悪くないじゃん、謙遜はいいけど相手側からもあんまいい気しないよそれ…」
「うん…」
医務室の前に着くと振り返る芦戸さん
「緑谷!優勝しなよ、私の裸みやがったんだから」
「みてないよ!!」
「医務室前で騒ぐんじゃないよ!」
リカバリーガールに怒られる
観戦に戻ろうとする
「緑谷」
「な…」
咄嗟に振り返ると
「勝ってよ」
「あ…えっ、あ、うん」
タオルで上半身を隠し、強気に出てくる芦戸さん
暗い通路、医務室の光が照らす
「はいはい怪我見るから早く入りな、まったく」
腕を引かれて医務室に消えていった芦戸さん
「…汗腺確保」
医務室の光を反射する四肢
汗のお陰で皮膚を守る為の役割の毛が必要ないのか…?
@スタジアム観戦席 4-2
「お前は敵だよ…緑谷」
目からとめどなく頬を伝う血液
峰田君が嫉妬を露わにしながらしがみついてくる
「ご、誤解だよ峰田君」
「うるせえ!お前は戦う度に女子をひん剥かないと気が済まないのかよ!」
「誤解だよ峰田君!!」
「オイラは見れてないのにお前は間近でまじまじと!」
「峰田やめとけって」
叫び合う僕と峰田君に上鳴君が割って入る
「八百百はいいのかよ!」
「研鑽の不可抗力であるなら致し方ありませんわ」
「みどりや〜」
より一層血涙の勢いが増す
「4回戦目始まるぞ」
@【洗脳】vs【硬化】4-2
切島君が先制を仕掛ける
心操君もそれをいなし軽く小突く
「切島の攻撃は単調だな」
「だけどよどうすりゃいいんだ?」
障子君と上鳴君が観戦しながら
「先ずは跳び上がる癖をなくす、それだけでかなり変わんだよ」
「爆豪…お前そんな理性的だったか?なんか不気味だぜ」
「アホ面は黙ってろ」
「なぁ緑谷、俺の個性よぉ」
上鳴君と僕は話し合っている最中に
気づけば切島君は負けていた
轟君が負けた時同様に自らの足で舞台から降りていた
@【無重力】vs【テープ】4-3
「すまねえ皆」
「気にすんなって」
「それより麗日と瀬呂との対戦だぞ」
帰ってきた切島君が謝罪をし
峰田君と上鳴君が宥めた後観戦に戻る
@【無重力】vs【テープ】4-3
「よぉ麗日…しっかし、すげぇ盛り上がりようだよな」
「そうやね、うちもめっちゃ緊張しよる」
「だーい4回戦、対戦カードの発表だ」
優秀、優秀なのに拭い切れないその地味さはなんだ
1-A組 瀬呂範太!!
俺はこっちを応援したい
同じく1-A組 麗日お茶子!!
「まぁ、女に手をあげんのは気が引けるが」
「うちらはプロ目指してん
そんな気遣い無用!」
レディー!!!ファイ!!!
肘から射出されたテープが
目にも止まらぬ速さで空気を穿つ
そのテープは細かく刻まれると風にのる
「
「ありゃ申請を出されてた多節棍だな」
「A組はバリエーションにトびすぎなんだよ」
「手の内明かすことんなるから温存したかってん、無茶やな」
「そりゃどうも!」
テープの牽制と多節棍での受け
唸るような低い音で、空気を穿ち返す
@【無重力】vs【テープ】4-3
「麗日最近武闘派になりつつあるよな」
「武闘派…乙ですな」
「峰田…ダメだぞ」
「おい麗日が仕掛けるぞ!」
「お茶子ちゃん!」
多節棍が一本の杖になると低い音から空を裂く甲高い音へと変化し瀬呂君の肩か腹を狙う横薙ぎ、躱しざまに瀬呂君が攻撃に転じようと出した肘に多節棍がぶち当たる
両手のひらの肉球を捨てた攻めの確立
【無重力】を敢えて捨てた戦術
横倒れの姿勢となる
姿勢を戻し多節棍を避けるも
体術により近接は麗日さんの独壇場となっている
遠距離も捌かれ打つてなし
自然と起こったドンマイコールの最中
麗日さんの奥の手が
この多節棍杖術と体術だけじゃないことを
僕は【透視】で確認していた
「緑谷お前、堂々と覗きかよ」
「違うよ!」
「瀬呂君、どう?」
「打つ手なし完敗ですわ」
組み伏せられた瀬呂君が両手を上げ降参をする
@【エンジン】vs【爆破】4-4
「おいクソエリート、退かねぇなら怪我すんぞ」
「クソエリートではない!ぼ、俺には飯田天哉って名前がある」
試合開始前の雑談があるのに慣れたころ
飯田君と爆豪君での対決…
爆豪君を倒すのなら近接において隙はない
決めるなら速攻あるのみなのだが
何だあの熱の籠り様
「それに俺には」
試合開始の合図と共に甲高いエンジン音が
前方に構えた両手から閃光が
鳴り響いた
ファーストアタックは飯田君のレシプロバーストによる空中半捻りによる側頭部への蹴り込み、これを爆豪君がもろに受ける
そのまま襟を掴まれ場外へと運ばれるかに見えたが
急激な減速
「おい飯田って言ったか?」
「!!?」
エンジンの
踏み込んだ足とは反対側のマフラーが無惨にも真横へと
「俺をあまり」
間近の爆発なのにも関わらず
音を置き去りにした広域爆発により黒煙が立ち上る
「飯田君場外」
黒煙が晴れる前から聞こえたアナウンスに格の違いをスタジアム全体が気づく
「なめんじゃねえ、クソが」