@観戦席
「飯田君?負けたのがそんなに悔しいん?」
上の空の僕を見かねて麗日くんが声を掛けてくる
しかし、試合の結果に不服はない、僕は全力を尽くして、負けた…決して悔しくないわけではないが…
「すまない皆、俺は帰る」
試合の結果ではなく
試合前の留守番電話の内容…とても信じられる様な内容じゃなかった
5回戦の初戦は普通科特別待遇により免除
@【複製器官】vs【角砲】5-2
「角取さん場外」
遠隔操作による凶器
飛んでくるツノのひと突き
掴みいなし、地面に突き立て
本人の角を纏めて制圧
決着はついたが風穴ひとつ開きそうで恐怖しかなかった
「womanizerめ」
「はい?」
起き上がった角取さんが舞台から降りる直前に僕に吐き捨てる
角を両手で押さえながら出入り口へと消えていった
@【爆破】vs【
「効かねぇよ爆発野郎!」
「(よろけもしねぇ)」
金属音が響く
爆発を防ぎ衝撃を吸収した音
「鉄哲の猛攻に手が出せない爆豪」
真正面から爆発を受け、カウンターの殴り
殆どが空を分か絶え黒煙を歪ませるだけだが
両腕で防いだ爆破
拳が変色しているのを見るに熱が上がっている
「いけぇ!鉄哲!漢見せてやれ!」
「何でB組応援してんだ?」
「爆豪には応援なんざ要らねえって言われたからB組応援してんだ」
「いいなそれ!」
A組から湧き起こったB組コール
「あいつら全員ぶっ●す」
「うおぉ〜!」
一瞬の隙をついて鉄哲の拳が爆豪の頬を捉える
煙が少量上がるが
「ってぇ」
カウンターにより鉄哲の横っ腹が凹み歪む
金属が衝撃を吸収し切れていないように見える
続けて小さな破裂音が手のひらから数度なる
ビニール傘に雨粒が落ち当たるようなくぐもった音
の後より一層大きな音と黒煙が上がる
「金属ってんならよ…」
黒煙の中から音と発光が連続して発生する
そこから真っ先に飛び出てきたのは
鉄哲だった
「グッ」
腕が白くなり心なしか凹みが酷い状態である
腹部にも焦げ付きが見られる
「上限があるだろぉ?強度…によぉ!!」
「鉄分摂っときゃ」
爆豪の爆発に次ぐ、爆発に爆発
防ぎ切れず熱変形に加えて許容上限がきた
「死ねぇ!」
「ぐふぉ!?」
凹みに凹んだ腕では防げず弾き飛ばされた腕
ガラ空きの腹部にモロに爆撃を喰らう
そこから鈍い音がスタジアムに鳴り響く
「金属疲労…がなけ…れば」
踏ん張りを試みたが
ゆっくりと場外付近で背中を地面につけた鉄哲
「鉄哲君、続行不能」
王道の殴り合い
それを制したのは爆豪だった
@【無重力】vs【大拳】5-4
「せーい!」
「おっと」
拳藤一佳 【大拳】
手が大きくなる、伸縮自在とあり範囲が変化する
武術の心得がある為その複合による戦闘形態
大きさに比べて身体の華奢なこと
鍛えているであろうが
その不釣り合いな事この上ない
機動力が拳の巨大化に合わせて落ちているのは
多少なり重みが増しているということだろう
「グッ」
大拳により多節棍のリーチが活かさずに防がれる
横薙ぎの拳に加えて踏み込みにより距離を見誤る
「まだまだぁ」
両の掌を指で触れる
「ここでは負けられへん…」
たじろぐ拳藤
多節棍による横薙ぎがまたもや防がれたに見えた
が
拳藤を吹き飛ばす
「重!?」
「…え?」
受けた拳藤はともかく麗日までもが驚く
多節棍の接合部が砕け飛んでいく
その衝撃は凄まじく
スタジアムの壁に亀裂と共に突き刺さる
リーチ差のなくなった武器を地面に置いた
麗日さんは一転攻勢に出る
俊敏性の上がった麗日さんは拳藤さんの攻撃を避ける
緩急自在、空中までも範囲として
縦横無尽に飛び回る麗日さん
笑顔なのに何処か優れない様子
それでも個性使用を止めようとしない
「勝つ!勝って!私も…」
麗日自身が気づいている
個性の覚醒
【無重力】の個性
過重力とでも言うべき別側面
許容重力を他と採算を取ることで
吐き気を受けていない事態
その代わりとして
内出血により四肢の異常事態
それでも
「麗日間髪入れずに突進!」
「かぁぁ…っ」
「やばっ…」
拳藤さんと麗日さんが倒れる
「麗日さんの続行不能と判断」
ミッドナイト先生の【眠り香】により
両者の昏倒で幕を閉じた
@医務室
「負けてしまった」
ケロッとした様子で一同を迎える麗日さん
「… … …」
「最後なんか力が湧き上がっていけるって調子乗ってしまったんよ」
「麗日…怪我大丈夫?」
扉の外で立ち聞きをする
「擦り傷とか残っとるけどリカバリーして貰ったけん大丈夫よ」
「そっか…麗日凄いな最後の追い上げ」
「それじゃあね」
ひとしきり話した後
A組の面々が帰っていく
手を振って見送った後
「あ!デク君」
入室した