【リハビリ中】僕の個性は【紳士ハンド】   作:『代行さん』

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@雄英体育祭-18-『ガチ勝負』:表彰式と復讐者

@スタジアム

「それではこれより表彰式に移ります」

 

祝砲が打ち上がり、火薬の匂いが広がる

「何ですの?あれ…」

「緑谷ちゃん…カッコつかないわね」

「デク君…」

 

表彰台の天辺で足が震え、上がる時は壊れたロボットのようにギクシャクと歩く緑谷にA組一同が呆れ笑う

「シャキッとしろ緑谷!」

「大丈夫か?寒いならあっためるぞ」

「轟…」

 

「三位には心操君も居たんだけど相澤君とどこかに行っちゃったからご了承下さいな」

一年が並ぶ中、飯田君の姿が見当たらなかった

早退するということは怪我でもしたのかもしれない

 

「メダル授与よ!今年のメダルを贈呈する人はもちろんこの人」

「私がー」

どこからともなく現れた巨漢が土煙を起こすことなく

スタジアム上部の出入り口から影を下ろす

 

空中で回転し、着地に備えた動きを見せる

数回転の後綺麗に着地すると声高らかに

 

「メダルを持ってき「我らがヒーローオールマイト!」

ミッドナイト先生と被った

 

@き、気を取り直して

震える笑顔で教師陣が無言のやりとりをしている

オールマイトがわざとらしく咳払いをすると

メダル授与式を始めた

 

三位の表彰台

光沢のある茶色の長方形

厚さは1cm前後の物

 

それの紐を拳藤一佳の首にそっと掛ける

「拳藤少女おめでとう、強いな君は、その胆力と度胸があるなら成長間違いなしだろう、期待している」

拳藤がメダルを受け取ると握手をする

オールマイトの手の大きさと同等に変化させた【大拳】でしっかりと握手をする

 

 

 

それが終わると爆豪勝己の前に進むオールマイト

ミッドナイトから銀色の長方形を受け取ると爆豪の首にかける

掛けられた直後にそれを外し眺める爆豪

「爆豪少年おめでとう、決勝で見せた数々の技、天性の才能とでも言える戦闘センスには驚かされ…」

「なぁオールマイト…」

 

「おや、どうした?爆豪少年?」

「あんたは救えなかった人間がいるか?」

俯く爆豪、肩を二・三度叩き、質問に答える

 

「…相対評価に晒され続けられるこの世界で普遍の絶対評価を得続けられる人間はそう多くない、私だってプロになるまでは無名だった、大事なのは誠実さと全力で向き合うということだ」

爆豪の頭を優しく撫でようとする

 

「じゃぁよ」

手を払い除けながら爆豪は

 

「?」

「追い詰めちまった奴はいるのか?」

…生気のない目でオールマイトを眺める

 

 

 

「緑谷少年おめでとう、決勝では圧勝、相性差に関してはほぼ無敵と言っていい強い個性だが身体面でも鍛えているのだろう、プロ顔負けじゃないか」

「あ、あ、あ、ありがとう、ご、ご、ございます」

僕はオールマイトから直々にメダルをかけてもらえることに歓喜する、黄金色の綺麗な長方形、厚みを感じる重量で軽い圧迫感を首掛け紐から首に受ける

 

「あ、あの」

「うん?」

「僕も!貴方みたいなヒーローになれますか?」

僕が子供の頃から思っていたこと

憧れに対しての問い掛け

 

「君はきっとヒーローになれる」

差し出された手がぼやけて見辛い

腕が濡れて申し訳なく、伸ばしていた手を引っ込めようとするが

 

オールマイトから伸ばし返された手で引き戻される

「何泣いてんだい緑谷少年!勝ったんだから誇れ!一年の優勝者」

ボロボロとみっともなく、情けなく

大粒のそれが表彰台に落ちるのをハンカチで受け止められる

 

「ありがとう」

【黒き人】からハンカチで目元を拭われる

 

「成ります、貴方みたいなヒーローに…あと」

【黒き人】から手渡されたヒーローノートの新しいページを差し出すと

「サイン頂けますか!」

そう叫んだ

 

@さてご唱和下さい

「さぁ今回は彼ら、彼女らだった!しかし皆さん

ご覧のいただいた通り、この場の誰にもここに立つ可能性はあった!競い!高め合い!さらに上へと登っていくその姿!次世代のヒーローはその芽を確かに伸ばしている」

 

巨漢から力強く空に指が差される

「ではそんな感じで最後の一言!」

 

せーの

Plus…

「お疲れ様でした」

最後まで締まりのない終わり方で

雄英体育祭の一年生の部、全種目が終わりを迎えた

 

『好敵手と書いて"とも"と呼ぶ、歯の浮くような言葉だったけれど実感するに足る時間だった』

 

 

 

〜そんな僕らを取り巻く環境が少しずつ

@…

「兄さん!」

「天哉、お願いマスクを」

急いで駆けつけた病院の一室

勢いよく開けた扉の先には

 

いくつもの管に繋がれ

あてがわれたガーゼに包帯の数々

「天哉…母さん」

空な目、掠れた声

 

「お前みたいな優秀な弟がせっかく憧れてくれてんのに

ごめんな天哉、兄ちゃん負けちまった」

 

@…

「え?病院」

「あぁ」

私服に身を包み

靴に指を差し込みながら返事をする

 

「急にどした?ていうか焦凍それお父さんに伝えなくて良いの?」

「…話ならつけてきた」

靴を履き終え、爪先を数度打ち付け横開きの玄関を開ける

 

「何で今さらお母さんに会いに行く気になったの?」

「清算しなきゃ何なぁって気付かされた…」

轟自身が感じている母への負い目

自分にいつしかのしかかっていた重りは

これ以上傷つきたくないという思いの裏返し

 

自分の存在が母親を追い詰めているのではと感じたあの日から会っていない…母親を気遣うフリに逃げていた

病院に向かう最中

色とりどりの景色を視界に収める

みているようで見ていなかった景色の数々

青々とした木々の中にある病院の前に立つ

 

 

「見ろ…か」

受付を抜け病室の扉を前にして震えが起こった刹那

脳裏に浮かんだ同級生の顔と台詞

指先の震えが霧散するとゆっくりと

 

 

 

「お母さん」

面と向き合う

日差しが差し込む病室に

花の匂いが立ち込める

 

白髪(はくはつ)が陽光に照らされ薄らと青色を映し出す

髪の持ち主の女性が椅子に腰掛け、窓の外を眺めていたのを振り返り…

 

たとえ望まれていなかったとしても

拒絶されようとも向き合うことを決めた

 

それが焦凍、自身のスタートラインだと

そう思ったからだ

 

 

 

少し先の話になるけれど

雄英体育祭が終わった4日後

 

HR(ホームルーム)で飯田君の休学が告げられた

親族による用事があるなどによる特別処置で

復学日は未定…

 

それを知らない1日後クラスでは

何かを企んでいる二人の影が…

〜少しずつ変化を見せ始める

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