【リハビリ中】僕の個性は【紳士ハンド】   作:『代行さん』

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@職場体験8-ヒーローの居ない島【その6】.

@那歩島

緑谷の職場体験6日目

「ということでして」

「…なるほど?」

島民が島の復興作業を行なっている傍らで

本州から来たプロヒーローが聞き込みを行なっていた

 

聞き込み内容はもちろん

『異常気象』によるものだった

本州からでも確認できた島を覆い尽くすほど急激に発達した雨雲、竜巻、落雷の頻度は類を見ない規模であった

 

敵の襲撃、個性消失事件の類似点から

山を張っていたが無駄足となったプロヒーロー

 

「単なる異常気象か」

「噴火もあったらと思うと」

取り調べに村長が応じる中

その近くを犬面と

長身の男性が通り過ぎるが

プロヒーローは見向きもしなかった

 

「それにしても凄いですね」

プロヒーローは感心する

復興作業が島総出の作業

建物の真新しさが肌で感じ取れるほど

 

那歩島の被害状況は

島のあちらこちらで建物の倒壊

土砂崩れ、森林火災、川の氾濫など

総額億越えは容易な程だ

 

 

 

@市街地

マミーは重宝されていた

包帯で巻きつけた物は生物以外でなら自由に操れるため

瓦礫、岩、土砂、倒木様々

それらを包んでは運び、包んでは運んだ

「マミー!」

「…」

 

顔中包帯まみれ

操る赤色とは違い、真っ白な包帯が巻かれている

その表情、というより仕草が何処か…

弱々しい?

 

「聞かねえほうがいいか…災難だったな」

「今殿もその口ですか?」

「あぁ」

二人が見上げた上では空中を歩く女性の姿

『プロヒーロー』の印字がされたTシャツを着て

もう一人の女性と相談事をしている

欠伸をしながら渋々と言った様子

 

ふと、地面に視線を落としてくる

「サボるんじゃない」

「サボらないようにね」

 

「…俺らの苦労って何だったんだ?」

「まぁ、井の中の蛙だったということか」

 

@職場体験6日目

ヒーロー活動を監視のみに限定させられ

休み続けていた

 

現場での活動は

キメラは海辺

マミーは市街地

スライスは事務を担当していた

 

ナインはというと

「また間違えてる、これが書けないってどういうこと!」

「…」

「頑張ってナインさん」

活真君と真幌ちゃんに板挟みにされていた

 

 

 

布団の中で監視を続けていた時

赤い羽根を視界に捉えた

「最速ヒーロー」

【剛翼】…来ていたのは速すぎる男だったのかと

緑谷はそんなことを考えながら

復興作業を見守った

 

@6日目

「緑谷君は寝ておく!」

「でも僕職場体験中で…」

「資料に目を通して監視を活用するね」

瞬さんらが病人のような対応をしてくる

 

「出久…体調はいかがですか?」

「僕は大丈夫ですナインさんは?」

「さんはやめて下さい…」

ナインが布団の傍らで僕を見張っている

出してはくれないようだ

 

「ナインさ…ナインはどうして目指したの?その」

「弱肉強食の世界をですか?」

ナインが漏らしていた悲願

強き者が弱き者を支配するそんな世界

 

「…いい気分はしませんよ」

ある村での話

少年は村の豊作を祈り、雨をもたらした

 

村は凶作とは無縁で

穂は(こうべ)を垂れ、村人もまた

ある時私の力には限界があると悟り

身体の内から蝕まれる恐怖を話したが

訴えは村人に届かず

少年を道具としか見ていなかった

 

幼いながらも強き者が支配する仕組みを知り

その時から

天候を思うがままに支配できるようになる

「この力を存分に使えばできると思ったんですがね」

「オールマイトが止めにきますよ」

「ですね」

二人して笑い合うなか

 

「そ!の!前に!」

そこに割って入る活真と真幌

「貴方は勉強!出久は寝てなきゃだめでしょ!」

「「はい」」

「活真君は?」

「活真は皆んなの所」

 

 

 

@数日前多目的施設

「緑谷君は?」

「まだ意識は戻らないね…」

「出久兄ちゃん」

外傷はない、それでも目を開けない

黒かった腕と足がそれぞれ普通の色に戻っていること以外は普通の状態だった

 

「それでこっちが」

「今回の首謀者ね」

「ナインだっけ?」

外傷がみるみるうちに塞がった男

隻腕で長髪、鍛えられた肉体

 

しかしその体温は人のそれとは次元の違う低温

身体が氷でできているのではないか?という

錯覚を受けるほど、現に霜が降りるほど温度が低い

 

どちらも満身創痍と言って差し支えはない

「んでからどうする」

天霧が尋ねる

 

「どうしようかね」

プロヒーロー全員が困惑する

「ナイン殿!」

 

そこに呼び出されて来たのは

包帯に身を包んでいる男

襲撃犯の一人である

それを機にも止めていない活真が決心する

 

「僕は助けたい…」

その一心で活真が二人の手を取り力を込める

握った手に力が入ると同時に光を放ち始める

 

【細胞作用α】により

ナインの体温が元に戻り始めるが

 

「あれ?あれ??」

手応えのない感じに活真は困惑する

出久の手が一向に力を帯びない

力無く開かれた手のひらがまるで死人のように

只のピクリとも動かない

 

「嘘…冗談だよね…」

「出久!出久!!」

「二人とも落ち着つくね」

「でもおかしいわね」

真幌と活真が取り乱す中

プロヒーローは考え込んでいた

 

「ナイン殿!」

気がつけばナインが

体を持ち上げ、頭を押さえていた

 

ナインが緑谷を見るや否や

「マミー個性アンプルを」

マミーに対し命令を出す

 

「止まるね!」

「もう敵対の意志はない」

騒めきを鎮めるように叫ぶナイン

マミーからアンプルを受け取り

活真の対角線上に座る

 

「ナイン殿も負けたんですね…」

「あぁ」

マミーが静かに質問をすると

ナインは優しい声色で返した

アンプルを首に打ち、集中を始める

 

「信用できないね」

「そこの怖い人、何か考えがあるのかい?」

瞬が警戒する中、天霧が問いただす

 

「私の中に残った個性因子に打開策があるかも知れない」

「分かった…」

「アマやん!!」

「大丈夫、もしもの時はコイツを逝かす」

優しげな表情に物騒な物言い

 

「活真…君かな」

「僕?」

ナインが跪くと頭を深々と下げる

「許してくれとは言わない…だが」

 

「癒してくれたことに感謝を…」

「ヒーローは人を見捨てない…から」

緑谷の手を握りしめ、涙を堪える活真

鼻声で涙ぐんで今にも壊れそうな程

 

徐にナインが活真に手を差し伸べる

首元に浮き出た血管が腕へと伝播する

「…」

「活真君、この個性と話してくれ」

「個性と…話す?」

決意に満ちた表情のナインは

静かに活真と手を取り合った

 

 

 

@???

「ここは…」

緑谷は何もない空間を彷徨っていた

手と片足の感覚と体の一部に視界

それ以外は暗黒に閉ざされていた

 

「まさか…負けたなんて事は!?」

急いでその場を後にしようとするが

帰り方がわからず絶望する

 

「活真君、真幌ちゃん…」

心残りは助けられたか不明な知人…

 

「むしろ今までが夢だったのかもしれない」

架空に向かって笑い飛ばす声は

涙ぐみ、今にも壊れる寸前だった

…虚しい

 

「はぁ〜いい夢だった」

〔ーーー〕

何かが太腿に触れる

細かい毛の束のようなもの…

屈んで触れようとするが

 

手を掴まれる

屈まされ引かれるように

〔ーーちゃー〕

わずかに聞こえていた音の方へと

向かう

 

〔いーーにぃちゃー〕

辺りの景色が朧げながら色味を帯びていく

「あの、君は?」

先程まで手を引いてくれていた何かは

暗闇に向かって仁王立ちをする

 

「待って!君は?」

〔出久兄ちゃん!!!〕

 

@多目的施設

「…ここは?」

閉じていた瞼、まつ毛に絡まる涙が蛍光灯の光を反射させ虹色になっている、見るのは2回目の天井、木造建築の古風な作り

顔を傾ければ海の夜景が一望できる(とこ)の間

 

「出久…」

はっとした緑谷が身体を持ち上げる

「活真君!真幌ちゃ…」

緑谷が声を出している途中に差し込まれる

真幌のタックル、活真の行き場のない手

タックルをかましてきた真幌を優しく抱きしめ

活真の頭を優しく撫でる緑谷は手を確認する

 

黒い部分は指の根元だけに止まりを見せ

手相が確認できる程開きを見せていた

「ミドさん…」

「緑谷さん」

「緑谷君…」

「ロード…」

 

@活真の個性

【細胞活性化Ω】

細胞の余力を作り出し

それを活性化状態にすることができる

代謝機能の向上、身体機能の底上げを

体力の続く限りできる

 

@何もなく1週間が終わりを迎える

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