@観察記録
一歩進んだ人
壁に阻まれた人
悲喜交々
期末実技試験が終了するまで
僕は観察を続けた
時間内での目標未達成者は0組
それぞれが経験を得たわけだが…
「!驚いた」
1人知った顔であるものの
A組でない人物がモニターに映し出されていた
@期末テストより次の日
「予鈴がなったら席につけ」
勢いよく開いた教室の扉が
〔カァン〕と鳴く
「おはよう、今回の期末テストでは
残念ながら赤点が三名でた、よって
林間合宿は全員で行きます」
不敵な笑みの相澤先生を他所に
それぞれが喚起に震えていた
「筆記はゼロ、実技で砂藤、青山、瀬呂だ」
今回の試験では
リカバリーガールから聞いた課題への向き合い方
を見るといった内容
「本気で叩き潰すと仰っていたのは」
「追い込むためさ、そもそも
林間合宿は強化合宿であり
赤点取ったやつこそ」
ここで力をつけなければいけない
「まぁ合理的虚偽ってやつさ」
(((合理的虚偽)))
「じゃあ補習ってのは」
「それは、赤点取った奴は
別途に補習時間を設ける」
喜ぶ者達を絶望に叩き落とすのには
十分な言葉だった
「じゃあしおりを配るから各位回しておけ」
「まぁ何はともあれ、全員で行けてよかったね」
「1週間の合宿っつったら
職場体験以上に荷物になるな…」
「水着とか持ってないな買わねぇとなぁ」
面々が準備を計画する中
「あ、じゃあさ!明日休みだし
テスト明けってことでA組皆で
買い物行こうよ」
葉隠さんの提案により
午後以降の予定が埋まっていく
@ってな感じで
「やってきましたるわ、県内最多店舗数を誇る
ナウでヤングな最先端
木椰区ショッピングモール」
芦戸さんの紹介で一部除くA組の面々が
拍手をする
短いかつ分かりやすい
それにしても凄いな
個性の多様性を数でカバーするだけじゃなくて
世代も取り入れた幅広いラインナップ
長考する中
A組の面々が目的の商品を求めて
散開を始めようとするが
「緑谷」
「緑谷さん」
「デク君」
「緑谷ぁ〜」
同時に四方向から引っ張られた
「グェ」
@一旦待って…
「オイラの目的は工具で」
「何に使うの?」
「…DIY?」
「なぜ疑問系?」
「私に合う水着ってどれかな?」
「(麗日さんとか芦戸さんとじゃ
だめなんだろうか?)」
「鏡に映らないけど緑谷くんなら分かるでしょ?」
「…確かに」
「大きめのキャリーバッグが欲しいんだけどさ」
「化粧道具とか、必需品はある?」
「ないね…強いて上げるなら
チューニング道具くらい?」
「重さも考えるとやや小ぶりになるけど…」
「私こういうところ初めてでして」
「俺もだ」
「ん〜身体が足りない…」
「ここでも人徳だな、爆豪!」
「うるせ、死ね」
「お、おつかれデク君」
「うん…ありがとう麗日さん」
「後は趣味の時間って事で解散!」
「集合時間は…」
引率というか何というか…
ひとしきりの手伝いを終え植えられた木の下で
熱を冷ます
「イズク?」
「…この声」
タオルを目から外しながら顔を上げると
「エリちゃん?」
「やっぱりイズクだ!」
差し出された缶ジュースを受け取る
「…ここで何してるの?」
「地崎とお出かけ」
思いの外上手くいってる?
エリちゃんの頬を持つようにして
声を掛ける
「無理してない?」
「うん、無理してないよ」
嘘じゃない…
高度な嘘って感じもしない
「お父さんとはうまくいってるんだね」
「うん、こうかんじょうけん」
「難しい言葉知ってるね…」
雑談をする中
「あ!ニュー!」
視界に映る僕の姿
主観と【黒き人】の主観がブレて映る
「イズクに挨拶」
〔猫が鳴く〕
差し出した手のひらに【黒き人】が触れた瞬間
@…同期完了
損失部位の補填開始
【マニュアル】との情報共有
保護対象エリの情報提供
受領、返信
A組並びにB組、普通科、教師陣
総称雄英高校の情報提供
個性アンプルに関する情報
回収に関する情報
ナイン
スライス
マミー
キメラに関する
… … …
【】
@ショッピングモール
猫を膝の上に乗せ、撫でる
リラックスしたような仕草で横になる
「壊理…これはどうも」
「あ、どう…も」
席から立つと頭を下げ
猫を地面に降ろす
水の様な動きで地面に降り立つと
地崎の足元に移動する
「ご迷惑をかけていないようで
安心しました」
「いえ、私も助かっています」
「ばいばいイズク」
手を振って見送る
上手くいっているんだったら
口を突っ込む必要もないか
動物を通じて
不仲?が解消されたんだったら
肩まで戻った黒い部分を見つめながら
座り直す…
「巻き戻し…」
@ため息をつきながら
木陰を眺めていると
「デク君…」
麗日さんと
「おー!雄英の人だスゲーサインくれよ」
「…買い物中?死柄木 弔」
「死柄木…って」
「少しは驚けよwサプライズだぜ?」
「保湿液なら…」
〔パンとなる手〕
「ヒーロー…っ」
「どういうつもりだ?」
「おいおい、個性を私用で使うなんて
まるでヴィランみたいじゃないか」
道ゆく人の肩を掴もうとしたのを手で止める
「やっぱ発動してない
…チートは御健在ってわけか」
「もう一度聞く、どういうつもりだ?」
両者が睨み合う
「デク君」
「大丈夫だよ…取り敢えず話そうか?」
「…お前変わってんな」
「そのつもりで声をかけてきたんだろ?」
@…
「「んで(なして)本格的に
茶屋に入ってんだよ!!」」
「ごめん、ここにも出店してたんだなって…」
駅前の
紅茶の専門店系列のお店が気になって
入ってしまった
しかもヴィランと同級生を連れて
「B&Tと…何か贔屓は?」
「んな物飲んだことすらねえ」
「紅茶って言ったら…
八百万さんの…ハローだっけ?」
「ハロッズと…ポートパレス
ミルクと砂糖を」
「待ってる間にどうぞ」
「話す気も失せたわ」
「…」
…目的なく窓の外を眺める
何というか…普通の人?
「何でも気に入らねぇ」
「うん…」
「…」
ポツリポツリと続ける死柄木
「いつ誰が
振りかざしてもおかしくないのに
何で笑って群れていられるんだ?」
「っ…」
「お待たせ…ごゆっくりどうぞ」
カウンターに出された注文の品を
【マニュアル】が持ってくる
会計を済ませて給餌する
麗日さんと
死柄木に紅茶を注ぐ
この状況で話を聞かれても
目を離すのも得策じゃない
「法やルールってのはつまるところ
個々人のモラルが前提だ」
するわけねぇと思い込んでんのさ
「…」
「うん」
紅茶に口をつけ相づちを打つ
「今1番腹立つのはヒーロー殺しだ」
「…仲間じゃないってわけじゃなさそうだな」
「あんなバーサーカー
こっちから願い下げだっつうの」
同じタイミングで口をつける
死柄木が紅茶のカップを乱暴に持ち上げ
ソーサーに置こうとしたのを手で遮る
「デク君!?」
「んだよ」
「割れるだろ…」
「…」
「仮に俺がここで人を殺したら」
「僕が止める」
「うちも止める」
茶菓子を差し出し、空いたカップに紅茶を注ぐ
「おい!」
「頼んだから食べていって欲しい
やつれているのが気になる…」
「変なの」
「やっぱりお前変わってるわ…」
「また話したくなったら
黒い猫の居る浜辺を探して」
「行かねぇ」
目を離すことなく監視する
誰に当たるでもなく
触れるでもなく
姿が見えなくなった
待ち合わせ場所に行かないと…
「デク君…」
「…」
@ショッピングモール
「どこ行ってたんだよ!」
「おっせえぞ」
「二人とも遅い」
「お前らそういう関係か!?」
「「そんなんじゃないよ!」」
デク君が何を思ってあんな行動をしたのか
どうしてそんなに冷静だったのか
正直分からない
でも…何というか
お人好し過ぎて…あかんわ
あまりに過密な情報量の前期が幕を下ろし
夏休み
@林間合宿当日がやってくる