@林間合宿-個性強k
「あちきにはお手上げ」
開始数秒で見捨てられました
@林間合宿-自由行動
「どうして…」
山に掛かりつつある陽を
眺めながら【透視】を悪戯に使う
少し席を外して欲しいとのことで
ぼーっと空を眺める
太陽の光に目が眩んだかと思うと
次の瞬間には太陽の外郭を視認できる様になる
「弱点が見当たらない」
【サーチ】という個性で見られた僕の感想
ラグドールから言われた言葉である
@別視点
「成長の余地なし」
見えなかった、弱点らしい弱点
伸ばせる余地という余地
綺麗に整頓されたかのようなお手本の様な
見せるためだけに置かれた置物の様な身体と個性
緑谷出久と呼ばれる少年は
個性強化を必要としない
むしろ完成していると言える
「虎」
「どうした?」
「あの子についてあげてて」
「分かった」
私じゃあの子を見つけてあげられない
私ではあの子を伸ばしてあげられない
@林間合宿
「少年…」
「虎さん」
「やるぞ我ーズブートキャンプだ!」
「…はい」
「返事はイエッサァだ!」
「イエッサァ!!」
「まだまだ!」
「イエッサァ!!!」
…
@林間合宿-我ーズブートキャンプ
会員一名
@林間合宿-1日目夜
「自分のことは自分で…」
昼同様に野菜を刻みながら呟く
「体力お化けは健在だな…」
手を増やしそれぞれの寸胴鍋をかき回す
じゃがいもがホロホロと柔らかくなり
人参に菜箸が通りやすい硬さに
ブロッコリーに味が染み
肉が紅色を失う
「すまん緑谷…」
風呂焚き組が申し訳なさそうに帰ってくるが
「お風呂のお湯で助かってるから」
感謝を述べるべきは僕だ
更なる苦難と言う校風により
今日の世話焼きもなくなった一同は
それぞれ役割を決め
ことに当たっている
風呂、寝床、食事、洗濯など
僕は食事係になっていた
「透視があるからお風呂は別ね」
「分かった」
個性のこともあり
お風呂の順番を後に回されている
「峰田じゃあるまいし大丈夫だとは思うけど
念のためね」
「うん」
「ごめんねデク君」
「気にしないで」
鍋のお玉を丁寧に回しながら返事をする
カレーと来て次はシチューという流れである
牛乳を追加し、あくび混じりに火の番に移る
「おつかれ緑谷」
「ありがとう峰田君」
同じ役割で順番が最後の峰田君
「工具役に立ってるね」
「コンナハズジャ」
「?」
机や椅子などを作ってくれた峰田君が
不貞腐れている
それもそうか汗や泥で
あまりいい気分にはならない
洗い流すまでが括りである以上
早くお風呂に入りたい
「ご褒美の一つや二つあってもいいん…下着」
土煙をあげ峰田君が居なくなる
なんと元気なことか
それと入れ替わるように洗濯班が戻ってくる
「干してくれてありがとう瀬呂君
補習もあるのに…」
「そうなんだよなぁ」
赤点組は
就寝前に特別メニューが組まれている様で
相澤先生から呼び出しを喰らっていた
「まぁ、それでも団体行動じゃ
やらないわけにもいかないっしょ」
あっけらかんとした感じで瀬呂君が答える
「風呂の準備できたぞ」
「「ありがと…」」
風呂組の轟君達が帰ってきたのだが…
脇に峰田君を抱えている
「峰田君!?」
「ずぶ濡れで気絶してたから連れ帰った」
「クソ…ガキが」
うわ言で誰かに悪態をついていたが
寝床に寝かせる
子供って言ったらあの子だけだよな
「洸汰君かな?」
発動系生成型
作り出せるのは水
アクアジェットやアクアマンとは毛色が違う
防災ヒーローでは…
…水に濡れていた
質量による気絶
「これ以上は本人から聞かないとね」
ヒーローとつるむ気がないと言うのは
そう言うことじゃないかな…
瞼の裏の熱を押し殺す様に【透視】する
平皿によそったシチューを両手に歩き出す
@高い所にある洞窟の前
「…何が個性だ」
夜風に当たりながら
苛立ちを募らせる
洸汰のいる洞窟からは
林間合宿に挑んでいるA組が一望できる
不意になった腹の虫を無視すr
「お腹すいたよね?食べなよシチュー」
「!!?」
思いもよらないところから現れた男に
びっくりする
「テメェ何故ここが」
「僕は目がいいから」
「それも個性か?」
「…うん」
壁の先も見ることができるんじゃないかと
訝しみ、沈黙する
「…?」
「話を聞いてない訳じゃないよ」
洞窟を眺めてやがる…
「君の両親は…
ウォーターホースじゃないかな?」
「!?マンダレイか」
「いや」
シチューを差し出される
空中に浮かんでいる
呆気に取られながら受け取る
「洞窟の外の壁そこに不自然な窪み」
「…気持ち悪りぃ」
どこまで見えて、なにが本当か
不気味なまでに優しい
「個性を伸ばすとか張り切っちゃってさ
気持ち悪い、そんなにひけらかしたいかよ力を」
「…」
「だんまりかよ」
無言で手渡されたスプーンを強引に奪い
口に運ぶ…気に食わない
「馬鹿みたいにヒーローとかヴィランとか
言っちゃって殺しあって
個性とか言っちゃってひけらかしてるから
こうなるんだよ…」
…なんでこんな話してるんだ?
スプーンを握る力が無性に強まる
不味くない、暖かい…なんで言いかえさない
「個性って繋がりなんだよね…」
「は?」
「僕の…いや、僕はね
後天的に個性が発現したんだ」
あることをするまで
火が吐けないかな?
物を手を使わずに
引き寄せられるんじゃないかな?
そんな漠然とした希望を毎日考えた
でも、病院で出された診断は無個性
それなのに憧れは先行しちゃって
無個性なのに雄英を受けようとも考えてた
「馬鹿じゃねぇの?」
「そうでしょ?
多分病気なんだよ…憧れっていう」
にへらと笑う表情に苛立ちと心配が湧き立つ
「でも個性は出るだろ」
「うん…でもね洸汰君」
食べ終わった皿を手渡すと
そいつは崖に向かう
「おい!」
そのまま落ちていった
崖の淵から身を乗り出したと同時に
その男は空中を歩いてみせた
「そこまで否定しちゃうと、辛くない?」
「…ずけずけと入ってくんじゃねぇ」
否定したくても…できない
分かった気でいるんじゃない
ただのお人好しの言葉だ
「あ、おかわり持ってこようか?」
「いらねぇ!よ!!」
なんなんだよこいつ!
個性を複数持ってるってことか?
でも…
「どう見ても引き寄せでも
火を吐くでもねぇじゃんかよ」
誰に言うでもない呟き
お前こそ辛くねぇのか?