【リハビリ中】僕の個性は【紳士ハンド】   作:『代行さん』

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@名前なき復讐者【その9】

@森の中

【鞭】を構える

 四足歩行の機械の獣に向け

 着地に合わせて振り抜き様に引き戻す

 

 空気を裂く鞭の音に

 トルクが高まる音が被さる

 

 直感で体を逸らし対応すると

 素直な軌道を取った獣の攻撃が

 視線を通過したと同時に

 

 走った衝撃に

 視界が揺れる

 

「…!」

 片耳が拾った

 再びのトルクの加速音

 

「尻尾か…」

 そんなことを考えながら【指弾】による牽制

 飛び退いた瞬間に距離を詰め、殴り飛ばす

 

「お前に」

 仰向けに吹き飛んだそれの尻尾を掴み

 振り向き様に地面へ叩きつける

 

〔獣の鳴き声〕

 地面に亀裂が走り土煙が上がる

 

 

 

「流石に…逃げられたか」

 黒霧のいた方向を眺めながらため息をつく

 まんまと逃げられたわけだ

 

「芦戸さんに合流しないと」

 それにしてもコイツは何だったんだ?

 掴んだ尻尾を手繰り寄せ首根っこを掴み上げる

 

「脳無だけど…今までと毛色が違うな」

 胴体から伸びたマフラー

 飛び出した脳に歪な四肢

 大凡生物の尊厳を踏み躙るような設計

 既に事切れている

 

「…せめて」

【捕食】

 供養をしてあげよう

 

『皆!!』

「… …はぁ」

 森に上がる火の手を眺める

 万全を期したにも関わらず

 ヴィランが攻めて来たとなると

 

「生徒側かな?」

 ため息をひとつ付き

 黒い液体を浴び、走り出す

 

 

 

 敵多数襲来

 増援の可能性あり

 動けるものは直ちに施設へ!

 会敵しても決して交戦せず、撤退を!!

 

「いつも後手に回っちゃうよね」

 ヒーローって

 

 木々の上を【スカイランナー】で飛び

【目】を散開させ、【手】を同時に展開する

 

「…1…2、そして3」

 あそこにいる二人は見たことないな

 下に転がっているのは…

 ピクシーボブ!!

 

 

 

@会敵【磁力】&【トカゲ】VS

「この子の頭、潰しちゃおうかしらどうかしら?

 ねぇ、どう思う?」

「させぬわ このっ…」

 

「待て待て早まるなマグ姉!

 生殺与奪は全てステインのおっしゃる主張に

 沿うか否か」

 背中に携えた幾千もの武器を持った敵が

 構えるとそう主張する

 

 ピクシーボブをぞんざいに扱っている奴

 爬虫類擬きに向かって【トリガー】による

 スタンを引っ掛ける

 

「何!?」

「あら!?」

 ピクシーボブを救出様に思いっきり

 蹴る(f45)

 

「「ッグ!?」」

 一人+一匹が大きく、のけ反る

 追撃したいが今は

 やることが山積みでそれどころじゃない

 

「やるわね、子猫ちゃん」

 さっきの一撃で爬虫類は失神しているものの

 オカマは問題ないようである

 

「?どう言うことよ」

 何かしようとして来ているものの

 こちらにも時間はない

 

「!?」

 ピクシーボブが少し引っ張られる

 

「【マニュアル】」

【レスキュースタイル】で搬送する

 

「どう言うことよ

 貴方何で引っ張られないの?」

「知らない、教える気も」

 

【フィンガースナップ】により

 爬虫類の武器を奪い取り

【鞭】を絡ませ、引き寄せ様に

「ない」

【黒塊】により吹き飛ばす

 

 破裂した【黒塊】から放たれた圧縮空気

 木々を何本も薙ぎ倒しながらオカマを

 闇の森へ吹き飛ばす

「何なのよ、あん…た」

 

 今は無力化だけで済ませよう

 許容量が上限に近い

 

 倒れる一人+一匹を放置し

 目指すは洸汰君の所だ

 

 

 

@【???】VS

〔洸汰聞いてた?〕

(何だよコイツ…)

 マンダレイの【テレパシー】を片耳に聞きながら

 巨漢のそれと対峙している洸汰

 

「見晴らしのいいとこを探して来てみればどうも…」

〔すぐ施設に戻って!私ごめんね知らないの〕

 心配するマンダレイの声は洸汰に届いていない

「…ぅ」

 

「資料になかった顔だ」

 黒いローブに表情を隠すマスク

 風で覗くローブの下には剥き出しの筋肉

 

「なぁ、ところでいい帽子だな子ども

 俺のこのクソダセェマスクと交換してくれよ」

「うぁ…」

 恐怖に耐え切れず

 

「うぁ!!!」

 洸汰は走り出す

 巨漢に背を向け、ひたすらに

 

「あ、オイ」

 巨漢は拳を振りかぶると踏み込み

 洸汰の数歩先に回り込む

 

「景気づけにいっぱいやらせろよ」

 拳が軋む音、手首から肘、肘から二の腕まで

 ローブから剥き出しになった腕全体が

 筋繊維に覆われる

 

 皮下に収まりきらなくなった筋繊維が

 剥き出しになり、束になると

 元の腕の何倍にも膨れ上がる

「おまえ…」

 

 その異様な光景

 眼前に映った顔に残る傷跡

「パパ…ママ」

 

 眼前の敵

 そいつが両親を殺した張本人

 増強型の逃走中のヴィランであることを悟る

 

 誰か…助けて

 今放たれようとしている拳

 当たれば死を予感させる

 

 誰か…

 誰か…

 ゆっくりと確実に迫って来ている拳

 

 誰…か…

(あんたのパパとママ…ウォーターホースはね

 確かにあんたを遺して行ってしまった)

 そうだ…ヒーローなんて居ない

 誰も助けてくれない

 

(でもね)

 

 

 

 

「マンダレイ…」

「大丈夫…」

@【筋肉増強】VS

「!?」

【スカイランナー】で突っ込み様

【黒塊】による吹き飛ばしで割り込む

 

 巨漢が吹き飛び、土煙を上げる

「僕が来た」

 危なかった…

 あと少しでも遅れていたら…

 

「ごめん洸汰君、遅れ…」

 

@00:00:00.65

【刹那】の発動を察し、飛び退こうとし

 背中に硬いものがぶつかる

 

「うそ…だろ?」

 

@【刹那】終了

 巨漢の拳を背面にモロに喰らう

 脊椎に走った衝撃と

 地面の硬さ、壁の脆さを全身で痛感する

 意趣返しというつもりか

 巨漢を吹き飛ばした壁に埋められる

 

「んん?あいつ

 リストになかったな…俺のとこはハズレか?」

「緑谷!」

「あ?全然様子が違うじゃねぇか」

 

 リスト?

 あぁもう、ただでさえ限界だってのに

「何…」

 

〔咳き込む音〕

 煙たい中を這い出る

 眼前にいる巨漢…

 ニュースサイト

 警察の資料、個性開発機関でも見た

 

「マスキュラー…」

 あぁ、なんだろう…

 ダメだ…違う

 

「笑ってんだよ、緑谷」

「は!何笑っていやがる」

「…大丈夫だよ、洸汰君」

 コイツノ【コセイ】ガホシイ

 

「必ず助けるから」

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