ーー昔から、何でもできた。
別にそれを不便だとは感じなかったし、出来る事なら何でもやってみようと考えた。
周りからは距離を取られてたし、陰口も多々あったけど。
気にしなかった。
何でもできたから、無視も簡単だった。
でも、それがいけなかったみたいで。
所謂、いじめの的になった。
あるときはものがなくなって、ある時は椅子がなくなってたりして。
まぁ、別に気にしなかった。
何でもできたから、代用何でもいくらでもできた。
気に入らなかった人たちも、いつしか離れて行って。
私は、一人になった。
不便じゃなかった。
別に、どうとでもなった。
だけどある時、こんなことを耳にした。
「広町さんって、やっぱりおかしいよね」
おかしい。
どこが?
決まってる、この才能だ。
何でもできたこの才能が、彼女らにはおかしく見えているんだ。
じゃあ、どうしたらいいんだ?
「...どうもしない」
別に、合わせる必要もない。
彼女は彼女、私は私。
みんな違って、みんな良いと誰かが言ってた気もするし。
特に、何も思わなかった。
「バンド?」
「うん。やってみようって思ったはいいけど、誰もやってくれなくて」
私にバンドの誘いをしたのは、隣のクラスの倉田ましろという、白髪の少女。
見たことがなかったから外部生かなと思ったけど、どうやら中等部のころからいたらしい。
「やってくれる?」
彼女が差し出した紙を見ながら、少し考えこむ。
バンドと言えば、ちょっと激しめのものが思いつくけど、彼女はそんなのに手を出すつもりなのだろうか。
「ねぇ、倉田さん」
「ん?」
「これって、みんなの
「さぁ?でも、奏でるのはみんなできることだし、普通なんじゃない?」
普通。
平凡になりきることもできた私は、高等部に入ってから平凡を演じてみていた。
これが普通なら、やる価値はあるかもしれない。
「分かった。バンドやるよ」
「ありがとう、これで3人目」
ふわっと笑う倉田さんを見て、誘いを受けてよかったなって思った。
程なくして、無事倉田さんをリーダーに置いた『Morfonica』というバンドが誕生した。
私はベースで、ボーカルに倉田さん、ギターには桐ヶ谷さんという派手髪だけど真面目な人。
ドラムには少しやんちゃだけどやることはしっかりこなす二葉さん。
普通のバンドなら、ここでキーボードか、この4人かでやるんだろうけど、倉田さんはヴァイオリンとして八潮さんをスカウトした。
いい噂は聞かないけど、ヴァイオリンの腕を買ったって言ってた。
かくして、私の
そんな荒れてるわけでもないけど
自分を異質と認識したうえで「それで?」ってなってる広町を書きたかった。